JP2011149083A - 溶銑の脱燐処理方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】上底吹転炉を用いて、脱燐剤に実質的にフッ素を含む副原料を使わずに、上吹き酸素流量が2.0〜4.0Nm3/min/tの条件で溶銑から燐を除去する方法において、その脱燐処理を高能率かつ高効率で行う方法を提供する。
【解決手段】底吹き流量を0.15〜1.5Nm3/min/tとして該脱燐処理後のスラグ中T.Fe質量濃度が3〜15質量%となるように調整し、前記脱燐処理中に該溶銑に含有される炭素濃度を2.8〜3.2質量%に一旦低下させ、その後、該溶銑に炭素源を供給して前記脱燐処理後に該溶銑に含有される炭素濃度を3.4〜3.8質量%に調整する。
【選択図】 図2

Description

本発明は、上底吹き転炉型の反応容器を用いて、溶銑を高能率で脱燐処理する方法に関する。
従来、転炉を用いて溶銑の脱燐処理を行う溶銑の予備処理工程では、転炉にスクラップおよび溶銑を装入し、塊状の生石灰や石灰石等を脱燐剤として添加することによって脱燐吹錬を行っていた。但し、溶銑の脱燐を促進させるためには脱燐剤の溶融(滓化)が必要であり、通常脱燐吹錬中の溶銑温度は1300〜1400℃と低温であることから、この温度域で脱燐剤を速やかに滓化させるためにホタル石等の滓化促進剤を利用していた。
しかし、近年では蛍石を実質的に用いることができなくなってきたため、脱燐剤を滓化させる新たな技術が必要になってきた。その一例として、特許文献1には、ホタル石等の滓化促進剤を使用しないで、粉状の生石灰を上吹き酸素と共に溶銑に吹き付ける溶銑脱燐方法が開示されている。また、そのような方法においても、脱燐処理後のスラグ塩基度を高める方が低燐溶銑を効率的に製造するためには好適であると考えて、特許文献2に示されるように、処理後のスラグ塩基度が2.5〜5.0となるよう処理している例もある。
但し、特許文献1に記載された発明の上吹き酸素流量は0.7〜2.0Nm/min/tonであり、その酸素供給時間は10分間程度である。特許文献2に記載された発明の上吹き酸素流量は不明であるが、その脱燐処理時間は8〜12分間と説明されているので、特許文献1に記載された発明と同程度と推測される。この上吹き酸素流量が2.0Nm/min/ton程度以下とされている理由は、特許文献1にはスピッティング増加の回避と説明されているが、従来は脱燐処理時間が10分間程度で十分だったこととも関係している。
ところが、近年では脱燐処理の高能率化の必要性が高くなり、その処理時間を6〜10分間程度に短縮する要請が為されるようになってきた。その要請に応えるには、端的には上吹き酸素の流量を高めた上で脱燐率の低下を防止し、かつ、スピッティングの増加を抑制する必要がある。例えば、特許文献3には、比較的低塩基度のカバースラグを生成させた後にCaO含有脱燐剤を上吹き酸素と共に溶銑へ吹き付けることによって、上吹き酸素流量を0.5〜2.5Nm/min/tonと高めても、スピッティング量を低減できる方法が開示されている。
さらに、特許文献4には、上吹きランスからの気体酸素の供給速度を1.5〜5.0Nm/min/tonと高くする発明が開示されている。但し、スピッティングやダストの発生を抑制するためにスラグ塩基度を1.0〜2.5と低めにする必要があり、その低塩基度での脱燐能力の低下を防ぐためにスラグの酸素ポテンシャルを高めるとしている。
ところが、上吹き酸素の流量を高めると、スピッティングが増加するほかにスラグ中の酸化鉄濃度が予定外に高くなって、スロッピングが発生してしまうおそれがある。その上、脱燐処理時間が短くなる結果、脱燐能力が低下してしまうおそれもある。これらのおそれに対し、特許文献4には、上吹きランスから粉粒状の固体酸素源を吹付けること以外には具体的な手段が開示されておらず、その上吹きランスからの粉粒状の固体酸素源吹付けには特別な設備を要することから、より簡便な方法が望まれる。
特開平8−311523号公報 特開2003−328025号公報 特開2001−64713号公報 特開2008−266666号公報
本発明の目的は、上底吹転炉を用いて、脱燐剤に実質的にフッ素を含む副原料を使わずに溶銑から燐(P)を除去する方法において、その脱燐処理を高能率かつ高効率で行う方法を提供することである。より具体的には、上吹き酸素の供給時間が6〜8分間でも溶銑の脱燐率が80%以上であり、かつ、スピッティングやスロッピングの発生も実際上問題ないレベルに抑制することができる方法を提供することである。
上底吹き転炉での酸素供給時間を、従来の8〜12分間から6〜8分間に短縮するためには、上吹き酸素の供給流量を従来の0.7〜2.0Nm/min/tonなどから高め、2.0〜4.0Nm/min/tでも従来並みのスピッティング、スロッピング発生状況に抑えることができ、かつ、従来並みの処理後[P]濃度0.020%以下(脱燐率80%以上)を維持できる吹錬方法を確立する必要がある。
上吹き送酸速度を2.0Nm/min/t以上とすると、スロッピングが発生し易くなる。この理由は、火点面積当たりの酸素供給量が多くなるため、酸化鉄が生成しやすくなり、スラグ中の酸化鉄量の指標をT.Fe濃度とした場合に、それが容易に15質量%以上となるためである。このスラグ中のT.Fe濃度は、底吹きガス流量を高めることで低減可能であるが、脱燐率を高めるにはT.Fe濃度が高い方が良いという事情もある。そこで、高上吹き送酸速度に対して適切な底吹きガス流量で脱燐処理を行い、スラグのT.Fe濃度を高めの適正範囲に調整することで、吹錬中のスロッピングを抑制しつつ脱燐率を維持する処理が可能となると考えられる。但し、この底吹きガス流量の調整によるT.Fe濃度の調整は、その調整幅に難点があり、その調整だけでは上吹き送酸速度が2.0Nm/min/t以上の条件下において脱燐処理後[P]≦0.02質量%を着実に達成することは難しい。
そこで、スラグのT.Fe濃度を高めに調整するだけでなく、溶銑の酸素ポテンシャルを高めることが有用と考えた。脱燐反応はスラグの塩基度とスラグ/溶銑界面での酸素ポテンシャルとに依存しているため、それぞれを高めることによって高脱燐率を達成することができるという着想である。溶銑の酸素ポテンシャルを高める方法は、処理後[C]を低下させることで良く、例えば[C]を3.2質量%以下に吹き下げることが確実かつ効果的である。
但し、[C]を3.4質量%以下にすると溶銑の凝固開始温度(液相線温度)が高くなって、処理した溶銑を次工程の脱炭処理炉などへ搬送する際に溶銑鍋への地金付きが増加し、生産量が低下するおそれがある。このおそれへの対策として、脱燐吹錬中に[C]を3.2質量%以下に一旦吹き下げて溶銑脱燐率を高め、その後、炭素源を溶銑に添加して溶銑中[C]濃度を3.4質量%以上に高めれば、高溶銑脱燐率であって溶銑鍋への地金付着も防止できる溶銑脱燐処理を行うことができる。
さらに、上記の着想を、特許文献1〜4に開示されているCaO含有脱燐剤を上吹き酸素と共に溶銑に吹き付けて脱燐する方法に適用すれば、本発明の目的が一層容易かつ確実に達成可能になるものと考えられる。
そこで、本発明においては、塊状CaO源として粒径30mm以下の塊状生石灰(CaO含有率:92〜95質量%、残COおよび不純物)を主として使用する。但し、塊状CaO源のうちCaO質量比率で50%未満の量まで転炉スラグや取鍋スラグを併用しても良い。表1に取鍋スラグの組成(単位:質量%)の一例を示す。これらのスラグはCaOのほかにSiOやAlなどを含んでいて融点が低いため、初期のカバースラグ生成に適しているからである。特に取鍋スラグは、本発明におけるAl源としても活用することができる。
Figure 2011149083
但し、本発明では溶銑を脱燐する能力を重視して脱燐吹錬終了後の塩基度を調整するため、吹錬前または吹錬初期に使用する塊状CaO源のうち、CaO純度の低い転炉スラグや取鍋スラグの使用量には限界がある。それらを多用すると脱燐吹錬後のスラグ量が増えてしまうほか、塩基度調整に支障を来たす場合も出てくるからである。
転炉内への塊状CaO源の投入は、上吹き酸素の供給開始前またはその開始後2分間以内などに転炉上に設置したバンカーから所要量を秤量して投入することにより行ったり、スクラップと一緒にシュートに入れておいてスクラップと共に投入したりして行う。したがって、投入時の飛散ロスを少なくするためには、粒径5mm以上に篩っておく方が好ましい。
また、粉状CaO源としては、粒径が60メッシュアンダーの生石灰粉(CaO含有率:92〜95質量%、残COおよび不純物)を主として使用するが、生石灰粉でなくとも石灰石粉などを用いても良い。
粉状CaO源の添加は上吹き酸素と共に溶銑に向けて吹き付けることにより行い、上吹き酸素の供給開始と同時に、または上吹き酸素の供給開始から2分間以内にその吹き付けを開始する。したがって、粉状CaO源の方が塊状CaO源よりも滓化が早く、かつ、脱燐反応効率が高いのは当然である。そこで、本発明は粉状CaO源の使用を必須とするものではないが、使用する全CaO源の中で上吹き酸素と共に溶銑に吹き付ける粉状CaO源の質量比率を、含有されるCaOの質量比で40%以上とすると、脱燐処理後の溶銑中[P]濃度が0.020質量%以下に安定するので好ましい。この処理後の[P]濃度は、処理前の溶銑中[P]濃度にも依存するので、脱燐率が80%以上を本発明実施効果の目安にしても良い。
本発明は、上記の知見に基づき完成されたもので、次のとおりである。
(1)上底吹転炉を用いて、脱燐剤に実質的にフッ素を含まない副原料のみを使用し、
上吹き酸素流量が2.0Nm/min/t以上4.0Nm/min/t以下の条件で溶銑を脱燐処理する方法であって、底吹き流量を0.15Nm/min/t以上1.5Nm/min/t以下として該脱燐処理後のスラグ中T.Fe質量濃度が3質量%以上15質量%以下となるように調整し、かつ、前記脱燐処理中に該溶銑に含有される炭素の質量濃度を2.8質量%以上3.2質量%以下に一旦低下させ、その後、該溶銑に炭素源を供給して前記脱燐処理後に該溶銑に含有される炭素の質量濃度を3.4質量%以上3.8質量%以下に調整することを特徴とする溶銑の脱燐処理方法。
(2)脱燐剤として用いるCaO源のうち、CaOの質量比率で40質量%以上を粒径60メッシュ以下の粉状CaO源として前記上吹き酸素と共に上吹きランスより溶銑へ吹き付けることによって、前記脱燐処理後のスラグ中CaOとSiOの質量濃度比(%CaO/%SiO)が2.3以上3.2以下、かつ、脱燐処理後に転炉から溶銑鍋へ出湯した直後の鍋中の溶銑の温度を1320℃以上1380℃以下となるように調整することを特徴とする、上記(1)に記載の溶銑の脱燐処理方法。
(3)吹錬終了時のスラグ中(Al)濃度が3質量%以上10質量%以下となるように吹錬前または吹錬初期にAl源を装入することを特徴とする上記(1)または(2)に記載の溶銑の脱燐処理方法。
本発明によれば、上底吹転炉を用いて、脱燐剤に実質的にフッ素を含む副原料を使わずに上吹き酸素流量を2.0〜4.0Nm/min/tとして、脱燐処理後の溶銑中[P]が0.020%以下である低燐溶銑を、6〜8分間の上吹き酸素供給時間で製造することができる。
脱燐吹錬中[C]と脱燐吹錬中[P]との関係を示すグラフである。 脱燐処理後[C]と脱燐処理後[P]との関係を示すグラフである。 脱燐吹錬中に加炭されたことに基づく炭素濃度の変化量(Δ[C])と復燐量(Δ[P])との関係を示すグラフである。
本発明での脱燐炉の操業方法では、脱燐処理を行うにあたり、実質的にフッ素を含む副原料を使う必要は無い。実質的にフッ素を含む副原料とは、蛍石などのように高濃度のフッ素を含むものである。例えば、1質量%未満のフッ素が含有されるスラグなどの物質を副原料として使用しても、脱燐吹錬終了後のスラグ中のフッ素濃度が0.4ppm未満となるような範囲であれば、本発明の実施において「実質的にフッ素を含む副原料を使うこと」には該当しない。
本発明は、実質的にフッ素を含む副原料を使わずに、上吹き酸素供給時間を6〜8分間という短時間で行う。特に、そのような短時間吹錬においても処理後の溶銑中[P]が0.020%以下という、高能率の低燐溶銑製造方法である。このように高能率な方法では、上吹き酸素の供給流量は基本的に2.0Nm/min/ton以上でなければならない。基本的にとは、上吹き酸素の供給時間中に1分間未満のような短時間だけ1.0〜2.0Nm/min/tonのような低酸素流量期間を設けた吹錬をも、本発明の均等範囲内に含めるという意味である。但し、上吹き酸素流量を高めるほど脱燐処理時間が短くなることは自明であって、代わりにスピッティング・スロッピングの増加や脱燐不良が問題となることがよく知られているので、実際可能な上吹き酸素流量には上限があって当然である。本発明においては、その上限を4.0Nm/min/tonと設定し、上吹き酸素の供給期間中には基本的に2.0Nm/min/ton以上の酸素を溶銑に吹き付けてもスピッティング・スロッピングが操業上の問題とならず、かつ、処理後の溶銑中[P]が0.020%以下にできるような技術の開発を目指して確立した。
上吹き酸素流量を2.0Nm/min/ton以上にすると、スラグ中のT.Fe濃度が上昇し易い。本発明では、上吹き酸素流量が2.0〜4.0Nm/min/tonの範囲で、底吹きガス流量を0.15〜1.5Nm/minにすることによって、脱燐処理後のスラグ中のT.Fe濃度を15質量%以下に調整し、この調整を通じてスロッピングの発生を抑制する。15質量%以上にすると、鉄分歩留まりの悪化によるコスト上昇の問題もあるため、それを防止するためにも15質量%以下にする必要がある。
一方、スラグ中のT.Fe濃度の増加に伴いスピッティングが低減する。スラグ中のT.Feは、3質量%以下になるとスピッティングが多くなり、かつ、未滓化のCaO(f.CaO)が3質量%以上となって前記した排滓性の低下と炉体付着スラグの増加を招くため、3質量%以上にすることが必要である。上吹き酸素流量を2.0〜4.0Nm/min/tonという高送酸速度下におけるスラグ中のT.Fe濃度は、底吹きガスの流量を0.15〜1.5Nm/minの範囲で調整することによって、3〜15質量%の範囲に調整することができる。
本発明に係る脱燐処理方法では、脱燐処理中に溶銑に含有される炭素の質量濃度[C]を2.8〜3.2質量%に一旦低下させる。脱燐吹錬中に[C]を3.2質量%以下に吹き下げることで、本発明で必要とする脱燐能を確保することが可能になる。ただし、[C]を吹き下げ過ぎると後の加炭負荷が大きくなってしまうので、脱燐吹錬中の[C]は2.8質量%以上に制御する。
本発明に係る脱燐処理方法では、上記のように脱燐吹錬中の[C]を2.8〜3.2質量%に一旦低下させた後、溶銑に炭素源を供給して、脱燐処理後に溶銑に含有される炭素の質量濃度[C]を3.4〜3.8質量%に調整する。処理後の溶銑[C]が3.4質量%以下では溶銑の液相線温度が高くなる。このため、溶銑鍋への地金付きが増加し、生産量が低下する。また、3.8質量%以上では炭素源の加炭歩留まり(C歩留)が著しく低下する。高い加炭歩留を確保しつつ吹錬中の[C]濃度制御を実施するためには、炭素源とスラグとの接触を抑制する必要があるため、吹錬中にサブランスから粉状の炭素源を吹き付ける方法が効果的と言える。ほかには、転炉の炉底等に設けた羽口から石炭粉などの炭素源を溶銑中に吹き込むことでも良い。
本発明に係る脱燐処理方法では、脱燐処理後に転炉から溶銑鍋へ出湯した直後の鍋中の溶銑の温度を1320℃以上1380℃以下となるように調整することが好ましい。脱燐処理後の鍋中温度、具体的には脱燐処理後に転炉から溶銑鍋へ出湯した直後の鍋中の溶銑の温度が1320℃未満であるような条件では、脱燐剤の滓化が阻害され、スラグの流動性が低下して、脱燐不良やスピッティング増加のおそれがある。また、上記の溶銑の温度が1380℃超となると、温度が高く脱燐不良になる場合がある。調整する方法としては、脱燐処理開始前の溶銑成分・温度情報を元に、当該溶銑に吹き付ける酸素量から計算される温度上昇分に見合う冷材量を計算で求めて、転炉内に投入する方法が一般的である。
また、本発明に係る脱燐処理方法では、脱燐処理後のスラグ中CaOとSiOの質量濃度比(%CaO/%SiO)が2.3以上3.2以下となるように調整することが好ましい。高脱燐能を確保する目的で吹錬後のスラグ塩基度(脱燐処理後のスラグ中CaOとSiOの質量濃度比(%CaO/%SiO))を3.2より過度に大きくすると、本願発明法によっても未反応のCaO分が増加し、処理後スラグの排滓性の低下および炉体付着スラグの増加を招くことが懸念される。また、吹錬後のスラグ塩基度が2.3よりも過度に小さくなると、脱燐能が低下して脱燐不良となる危険性が生じる。
これらの必要条件の調査と確認は、次のようにして行った。
先ず、調査条件を説明する。脱硫処理を実施した溶銑を約270tとスクラップ約20tを上底吹き転炉に装入した。溶銑の主な成分例(単位:質量%)を表2に示す。
Figure 2011149083
上吹き酸素を2.0〜4.0Nm/min/t、底吹きガスにNを0.15〜1.5Nm/min/t、脱燐剤には塊状生石灰(粒径0.5〜30mm)を2〜15kg/t、粉状生石灰(粒径60メッシュ以下)を5〜20kg/tの範囲で用い、その粉状で供給したCaOの比率は40〜80質量%を基本とした。但し、一部は塊状生石灰のみを使用した。
加炭は、サブランスの先端を溶銑浴面から1.5m上方の位置まで下げ、その先端から黒鉛粉を800〜1100kg/分の速度で、溶銑へ向けて2〜4分間吹き付けた。
加炭処理に関しては、吹錬中の[C]をスタティックモデルにより推定し、その推定[C]が2.8〜3.2質量%となるまで一旦吹き下げ、その後、サブランス先端より黒鉛粉を吹き付け、脱燐後[C]が3.4〜3.8質量%となるように調整した。脱燐処理後のT.Feは3〜15質量%、塩基度は2.3〜3.2に調整することができた。
図1は、脱燐吹錬中にサブランスを用いて溶銑をサンプリングし、オフラインで分析して得た[C]と[P]との関係である。図1から、[C]%が低いほど[P]%を低くできると分かった。
図2は、脱燐処理後の[C]と[P]との関係である。脱燐吹錬中に[C]を2.8〜3.2質量%まで一旦吹き下げた後、溶銑中の炭素の質量濃度の変化量(△[C])が0.3〜0.8質量%になるように加炭を行って[C]を3.4〜3.8質量%に高めた本発明の実施例では、処理後の[P]は0.01〜0.02質量%に収まっていた。
これは、[C]%の一旦吹下げと加炭処理を行わない従来脱燐処理と比べて、[P]が0.005〜0.015質量%低いという好成績であった。
なお、この処理後の[P]のばらつきは、粉状生石灰を用いた場合の方が小さかった。
図3は、脱燐吹錬中に加炭されたことに基づく炭素濃度の変化量(Δ[C])と復燐量(Δ[P])との関係である。加炭吹錬を行うと、溶銑[C]%の吹下げ効果を喪失してしまう程ではないが、或る程度の復燐は生じていた。
以上の結果を総合すると、処理後の溶銑中[P]%は処理中に[C]%を吹き下げるほど低くすることが出来るが、過度に吹き下げると、その後の加炭吹錬の負荷が増加するため、処理中[C]は2.8〜3.2質量%の範囲とし、その後加炭して[C]を3.4〜3.8質量%とすることが最適であると言える。
この脱燐吹錬中の[C]の制御は、脱燐吹錬開始前の溶銑中[C]や[Si]などの成分と溶銑へ供給する酸素量などのデータを用いて、いわゆるスタティックコントロールにより行えば十分であるが、溶銑サンプルを採取して[C]を迅速分析するなど、他の方法を用いても良い。
また、スラグ中(Al)濃度が3〜10質量%となるように吹錬前にAl源を装入することでスピッティングが抑制された。スラグ中(Al)濃度が3〜10質量%の場合、スラグがフォーミングしやすくなり、スラグ中(FeO)の還元速度が低下するため、T.Feが上昇し、滓化が促進され、容易にカバースラグが形成されたと考えられる。一方、スラグ中(Al)濃度が上昇するとスラグの粘度が上昇する。その影響でスラグ中(Al)濃度の増加に伴いスラグのフォーミングが発生し、スロッピングが多くなった。スラグ中(Al)濃度が10質量%を超えると過度なフォーミングにより、スラグが炉外へ溢れるスロッピングや、出湯中の炉口からのスラグ横溢などが発生し、操業が困難になることを確認した。
本発明の高速吹錬下における低燐溶銑の安定製造効果を確認するため、下記の試験を行った。
(1)試験条件
脱燐処理前の溶銑成分が、[C]:4.2〜4.8質量%、[Si]:0.15〜0.45質量%、[P]:0.095〜0.120質量%、[Mn]:0.20〜0.35質量%であり、脱燐処理前の温度が1300〜1370℃である溶銑約264tおよびスクラップ約29tを、上底吹き転炉に注銑し、主に、上吹き酸素流量=2.4〜3.0Nm/min/t、底吹きガスにNを用い、底吹き流量=0.30〜0.50Nm/min/tで吹錬した。ただし、比較例として一部上記以外の条件で処理を実施した。
脱燐炉の溶銑率は89〜91質量%であった。生石灰は、CaO純分が約92質量%であり、粒径0.5〜30mmの塊状および150μm以下の粉体を使用した。
脱燐剤には塊状生石灰を2〜15kg/t、粉状生石灰を5〜20kg/tの範囲で用い、その粉状で供給したCaOの比率は40質量%以上を基本とした。
また、脱燐中到達[C]は、溶銑成分と吹錬条件を元にスタティックモデルを用いて推定した。
加炭剤の添加方法として、サブランスの先端を溶銑浴面から1.5m上方の位置まで下げ、その先端から[C]濃度90質量%の黒鉛粉を1000kg/分の速度で、溶銑へ向けて1〜4分間吹き付けた。加炭処理に関しては、吹錬中の[C]をスタティックモデルにより推定し、その推定[C]が2.8〜3.2質量%となるまで一旦吹き下げ、その後、サブランス先端より黒鉛粉を吹き付け、脱P後[C]が3.4〜3.8質量%となるように調整した。
なお、多くの実施例・比較例において、上吹き酸素の吹付けを開始する前に、表1に記載した取鍋スラグ4.0〜7.0kg/tを転炉内に添加して脱燐処理を行った。
(2)評価方法
評価は、脱P後[P]、T.Fe、鉄分歩留、注銑鍋地金付着、およびC粉歩留について行った。注銑鍋地金付着の評価は、脱P出湯前の注銑鍋の重量と脱C注銑後の注銑鍋の重量の差を用いた。
表3に実施例の試験条件および試験結果を示す。
Figure 2011149083
本発明で規定する上吹き酸素流量、底吹き流量、スラグ中T.Fe、脱燐処理中到達[C]、脱燐処理後[C]について請求項1の条件を満足する本発明例1〜9では、表3に示すように、脱燐後[P]≦0.020質量%と、良好な結果が得られた。また、前述した条件に加え、脱燐処理後のスラグ塩基度、CaO源の粉体比率、脱燐処理後鍋中温度についての請求項2に示す条件を満足する本発明例6〜9では、脱燐処理後[P]≦0.015質量%と、さらに良好な結果が得られた。いずれも、スピッティング・スロッピングは軽微で、操業上の支障になるような発生は無かった。なお、前述した条件に加え、脱燐処理後のスラグ中(Al)濃度を7〜9質量%とした本発明例8および9では、スラグフォーミングが大きいことが認められた。しかしスロッピング発生にまでは至らず、代わりにスラグ中T.Fe濃度が高めで処理後[P]≦0.011質量%と、さらに良好な脱燐結果が得られた。
これに対し、上吹き酸素流量が本発明で規定する条件より低い比較例1では、脱燐処理後[P]やスロッピング・スピッティングには問題は無いが、上吹き酸素の供給時間が10分間を超えてしまい生産性が低かった。また、上吹き酸素流量が本発明で規定する条件より高い比較例2では、スロッピングが発生したほか、処理後の[P]濃度も0.023質量%と目標値を達成することができなかった。さらに、底吹き流量が低い比較例3でスロッピングが発生し、底吹き流量が高い比較例4ではスピッティングが激しかったほか処理後の[P]濃度も0.033質量%と不良であった。
一方、上吹き酸素流量も底吹き流量も本発明の範囲を満たす比較例5〜8において、脱燐処理中の[C]濃度を2.71質量%にまで吹き下げた比較例5では、その後の加炭処理の負荷が大きく、上吹き酸素の供給時間を8分間以下とする本発明の目標を達成することができなかった。その反対に、脱燐処理中の[C]濃度を3.34質量%にまでしか吹き下げなかった比較例6では、上吹き酸素の供給時間は約7分間と本発明の目標を達成することができたが、処理後の[P]濃度が0.039質量%と最も悪い脱燐成績になってしまった。また、脱燐処理後の[C]を低くした比較例7では、脱燐成績自体は問題なかったが、処理後の溶銑が鍋内で一部凝固し、本発明により生産性を高めるという目的に反する結果となった。その反対に、脱燐処理後の[C]を高くした比較例8では、加炭歩留まりが低いために脱燐処理コストが必要以上に嵩むという結果になった。

Claims (3)

  1. 上底吹転炉を用いて、脱燐剤に実質的にフッ素を含まない副原料のみを使用し、
    上吹き酸素流量が2.0Nm/min/t以上4.0Nm/min/t以下の条件で溶銑を脱燐処理する方法であって、
    底吹き流量を0.15Nm/min/t以上1.5Nm/min/t以下として該脱燐処理後のスラグ中T.Fe質量濃度が3質量%以上15質量%以下となるように調整し、
    かつ、前記脱燐処理中に該溶銑に含有される炭素の質量濃度を2.8質量%以上3.2質量%以下に一旦低下させ、その後、該溶銑に炭素源を供給して前記脱燐処理後に該溶銑に含有される炭素の質量濃度を3.4質量%以上3.8質量%以下に調整することを特徴とする溶銑の脱燐処理方法。
  2. 脱燐剤として用いるCaO源のうち、CaOの質量比率で40質量%以上を粒径60メッシュ以下の粉状CaO源として前記上吹き酸素と共に上吹きランスより溶銑へ吹き付けることによって、
    前記脱燐処理後のスラグ中CaOとSiOの質量濃度比(%CaO/%SiO)が2.3以上3.2以下、
    かつ、脱燐処理後に転炉から溶銑鍋へ出湯した直後の鍋中の溶銑の温度を1320℃以上1380℃以下となるように調整することを特徴とする、請求項1に記載の溶銑の脱燐処理方法。
  3. 吹錬終了時のスラグ中(Al)濃度が3質量%以上10質量%以下となるように吹錬前または吹錬初期にAl源を装入することを特徴とする請求項1または請求項2に記載の溶銑の脱燐処理方法。
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