JP2011149034A - Ni合金スパッタリングターゲットおよびその製造方法並びに半導体素子の製造方法 - Google Patents

Ni合金スパッタリングターゲットおよびその製造方法並びに半導体素子の製造方法 Download PDF

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Nobuaki Nakajima
信昭 中島
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Abstract

【課題】 長期間使用できるNi合金スパッタリングターゲットおよびその製造方法を提
供する。
【解決手段】 平均結晶粒径1000μm以下のNi合金からなるNi合金スパッタリン
グターゲットにおいて、スパッタ面の結晶配向がランダム配向であり、ターゲットの厚さ
方向の中心面の結晶配向のランダム配向であることを特徴とするNi合金スパッタリング
ターゲット。粉末にしてX線回折を行ってもピークの順番が変わらないことが好ましい。
また、厚さが3mm以上であることが好ましい。
【選択図】 図1

Description

本発明は、Ni合金スパッタリングターゲットおよびその製造方法並びに、Ni合金ス
パッタリングターゲットを使った半導体素子の製造方法に関するものである。
高融点金属シリサイド膜は半導体素子(液晶表示素子含む)などの配線膜に使われてい
る。配線膜の形成方法としては、高融点金属シリサイドスパッタリングターゲットをスパ
ッタして成膜する方法が用いられていた。例えば、特開2002−38260号公報(特
許文献1)ではW,Mo,Niなどのシリサイドを焼結してターゲットを得ることが開示
されている。このような金属シリサイドターゲットでは、金属シリサイドと遊離Siの制
御が必要である。
一方、半導体素子は配線の狭ピッチ化や複雑化に伴い金属膜を設けた後、熱処理を施し
て金属膜を金属シリサイド膜にすることが試みられている。例えば、特開2009−23
9172号公報(特許文献2)では、V、Ti、Co、Niなどの金属膜を設けた後、4
00〜500℃程度で熱処理して金属膜を金属シリサイド膜にするRTA(Rapid
Thermal Annealing)法が開示されている。これにより、目的とする箇
所に金属シリサイド膜を形成できている。
このような金属シリサイド膜に用いられる金属としてはNiが注目されている。例えば
、特開2009−120959号公報(特許文献3)では、高純度Niに、Ti,Zr,
Cr,Co,Irなどを添加したNi合金スパッタリングターゲットが開示されている。
特許文献3では、透磁率と粗大粒を制御することにより、スパッタ膜のユニフォーミティ
を向上させている。
一方で、特許文献3のターゲットはターゲット厚さが5mm以下にしなければならない
ことから、長期のスパッタが行えず、ターゲットの交換回数が多かった。
特開2002−38260号公報 特開2009−239172号公報 特開2009−120959号公報
厚さ5mm以上のNi合金ターゲットを製造する場合、問題となるのは結晶の配向性で
ある。例えば、スパッタ面の結晶配向とターゲット中心部の配向性が違っているとスパッ
タレートが変わることから安定した長期のスパッタ特性が得られない。
本発明は、このような問題を解決するためのもので、結晶配向を均一なランダム配向と
することにより長期信頼性のあるスパッタリングターゲットを提供するものである。
本発明の第一のNi合金スパッタリングターゲットは、平均結晶粒径1000μm以下
のNi合金からなるNi合金スパッタリングターゲットにおいて、スパッタ面の結晶配向
がランダム配向であり、ターゲットの厚さ方向の中心面の結晶配向のランダム配向である
ことを特徴とするものである。
また、本発明の第二のNi合金スパッタリングターゲットは、平均結晶粒径1000μ
m以下のNi合金からなるNi合金スパッタリングターゲットにおいて、スパッタ面をX
線回折したときに検出される各ピークの高さの順番と、粉末をX線回折したときに検出さ
れる各ピークの高さの順番が同一であることを特徴とするものである。
また、Coを1〜20at%含有することが好ましい。また、Ni、Coおよびガス成
分以外の金属不純物が500wtppm以下であることが好ましい。また、スパッタリン
グターゲットの厚さが3mm以上であることが好ましい。
本発明のNi合金スパッタリングターゲットの製造方法は、円柱形状Ni合金インゴッ
トまたはビレットからなるNi合金素材を、厚さ方向に平行な方向と垂直な方向の冷間鍛
造加工を1セットとするこねくり鍛造を2セット以上行う第一のこねくり鍛造工程と、こ
ねくり鍛造工程後に900℃以上の温度で再結晶化させる第一の熱処理工程と、 第一の
熱処理工程後に、厚さ方向に平行な方向と垂直な方向の冷間鍛造加工を1セットとするこ
ねくり鍛造を2セット以上行う第二のこねくり鍛造工程と、 第二のこねくり鍛造工程後
に、冷間圧延を行う冷間圧延工程と、冷間圧延工程後、500℃以上の温度で熱処理する
第二の熱処理工程を具備することを特徴とするものである。
また、冷間圧延工程を2回以上行うことが好ましい。また、第一のこねくり鍛造工程ま
たは第二のこねくり鍛造工程の少なくとも一方は、断面減少率または厚さ減少率が40%
以上の加工率で行われることが好ましい。また、第一のこねくり鍛造後のNi合金素材の
ビッカース硬度Hvの平均値がHv160以上であることが好ましい。また、Ni合金素
材は、Coを1〜20at%含有していることが好ましい。
本発明の半導体素子の製造方法は、Siを構成元素として含む膜の上に、本発明のNi
合金スパッタリングターゲットをスパッタしてNi合金薄膜を形成する工程と、熱処理を
施しNi合金薄膜をNi合金シリサイド膜にする工程、を具備することを特徴とするもの
である。
また、前記Ni合金シリサイド膜はゲート電極、ソース電極、ドレイン電極の一部また
は全部であることが好ましい。
本発明のNi合金スパッタリングターゲットは、ランダムな結晶配向が厚さ方向に渡っ
て維持されているので長期間スパッタレートが安定している。そのため、本発明の半導体
素子の製造方法は、ターゲットの取り換え回数が少なくて済むので効率的である。
また、本発明のNi合金スパッタリングターゲットの製造方法であれば、本発明のNi
合金スパッタリングターゲットを得ることができる。
本発明のNi合金スパッタリングターゲットの一例を示す図。 円柱状Ni合金素材の一例を示す図。 円柱状Ni合金素材を横方向から見た一例を示す図。 円柱状Ni合金素材を上から見た一例を示す図。
本発明の第一のNi合金スパッタリングターゲットは、平均結晶粒径1000μm以下
のNi合金からなるNi合金スパッタリングターゲットにおいて、スパッタ面の結晶配向
がランダム配向であり、ターゲットの厚さ方向の中心面の結晶配向のランダム配向である
ことを特徴とするものである。
また、本発明の第二のNi合金スパッタリングターゲットは、平均結晶粒径1000μ
m以下のNi合金からなるNi合金スパッタリングターゲットにおいて、スパッタ面をX
線回折したときに検出される各ピークの高さの順番と、ターゲットの一部を粉末にしてX
線回折したときに検出される各ピークの高さの順番が同一であることを特徴とするもので
ある。
まず、Ni合金とは、Ni以外の第二の金属成分を含むものである。第二の金属成分は
特に限定されるものではないが、Co、Cr、Ti、Zr、V、Nb、Ta、Pt、Pd
、Mnが挙げられる。これらの元素は、半導体素子の配線としてNi合金シリサイド膜を
形成したとき、Siが必要以上に拡散するのを防ぐことができる。特に、CoはSiの拡
散防止効果が大きいため好ましい。また、第二の金属成分の含有量は1〜20at%が好
ましい。第二の金属成分の含有量が1at%未満では添加の効果が不十分であり、20a
t%を超えると添加の効果が飽和するだけでなく返ってNiの持つ特性を活かせなくなる

このため、より好ましくはCoを1〜20at%含有したNi−Co合金スパッタリン
グターゲットであり、好ましくは8〜14at%、さらに好ましく張Coを10〜12a
t%含有したNi−Co合金スパッタリングターゲットである。
また、平均粒径は1000μm以下である。平均粒径が1000μmを超えるとNi(
Ni合金含む)の結晶が大きくなりすぎてスパッタレートのばらつきの原因となる。好ま
しくは、平均結晶粒径40〜500μmである。また、平均結晶粒径の制御には熱処理に
より再結晶化することも有効である。
平均結晶粒径の測定は、光学顕微鏡写真により、単位面積3000μm×3000μm
の拡大写真を撮り、線インターセプト法により行う。線インターセプト法は、任意の直線
(長さ3000μm分)を引き、その線上にあるNi結晶(Ni合金含む)粒径の数を数
え、(3000μm/直線3000μm上の結晶の数)により平均の結晶粒径を求める。
この作業を3回行った平均値を平均結晶粒径とする。
また、Ni、第二の金属成分およびガス成分以外の金属不純物は500wtppm以下
であることが好ましい。より好ましくは300wtppm以下である。このような金属不
純物は、Niおよび前述の第二の金属成分以外の金属が該当し、Fe、Cuなどが代表と
して挙げられる。また、前述の第二の金属成分(Co、Cr、Ti、Zr、V、Nb、T
a、Pt、Pd、Mn)は1at%以上含有されていないときは金属不純物として取り扱
うものとする。また、ウラン、トリウムなどの放射性元素はそれぞれ0.1wtppm以
下、Na、Kなどのアルカリ金属はそれぞれ1ppm以下であることが好ましい。また、
ガス成分とは、酸素、窒素、炭素などが挙げられ、合計で100wtppm以下であるこ
とが好ましい。
このため、Ni−Co合金スパッタリングターゲットの場合は、Ni、Coおよびガス
成分以外の金属不純物が500wtppm以下であることが好ましい。
第一のNi合金スパッタリングターゲットはスパッタ面の結晶配向がランダム配向であ
り、ターゲットの厚さ方向の中心面の結晶配向のランダム配向であることを特徴とするも
のである。
図1に本発明のスパッタリングターゲットの一例を示した。図中、1はスパッタリング
ターゲット、2はスパッタ面、Tはターゲットの厚みである。図1では円柱形状のターゲ
ットとしたが、直方体であってもよい。円柱形状、直方体どちらの形状であっても、必要
に応じ面取りしてもよい。
本発明の第一のNi合金スパッタリングターゲットは、そのスパッタ面の結晶配向がラ
ンダム配向である。また、ターゲットの厚さ方向の中心面の結晶配向もランダム配向を示
すものである。「ターゲットの厚さ方向の中心面」とは図1に点線で示したように、ター
ゲットの厚さTの真中からスパッタ面に平行に切断した面である。Ni合金スパッタリン
グターゲットは鍛造や圧延などの塑性加工を使って製造される。塑性加工を行うと結晶が
配向し易い。特に、スパッタ面と内部で配向性が異なる現象が起き易い。それに対し、本
発明ではスパッタ面をランダム配向とし、さらにターゲットの中心部もランダム配向とな
っているので長期間使っていてもスパッタレートの変化が起き難い。
ターゲットの厚さ方向の中心面の結晶配向もランダム配向に関しては、ターゲットの厚
さ方向の中心のスパッタ面に平行な面を切り出してX線回折することにより、同様のラン
ダム配向が確認できる。
また、本発明の第二のNi合金スパッタターゲットは、平均結晶粒径1000μm以下
のNi合金からなるNi合金スパッタリングターゲットにおいて、スパッタ面をX線回折
したときに検出される各ピークの高さの順番と、ターゲットの一部を粉末にしてX線回折
したときに検出される各ピークの高さの順番が同一であることを特徴とするものである。
スパッタ面をX線回折したときに検出される各ピークの高さの順番と、ターゲットの一
部を粉末にしてX線回折したときに検出される各ピークの高さの順番が同一であるという
ことは、ターゲット全体が均一なランダム配向を具備していることを示している。
X線回折には、使用X線Cu−Kα、管電圧40kV、管電流100mAという一般的
な条件で行うものとする。
スパッタ面のX線回折を撮ったときランダム配向であれば強度比(ピークの高さ)の順
番が(220)<(200)<(111)という結果が得られる。
本発明では、スパッタ面のピークの高さの順番と、PDFピークの高さの順番を比較す
ると同じになる。個々のピークの高さの比は、スパッタ面とPDF(粉末)では異なる場
合もあるが、検出されるピークの高さの順番は一致する。前述に示したようにスパッタ面
のピーク順は(220)<(200)<(111)であり、この順番が粉末(PDFピー
ク)と同じ順番である。粉末と同じ順番であるということはターゲット全体で均一なラン
ダム配向が維持されていることの証明である。また、PDFピークは、ランダム配向した
粉末データを標準試料として使うことが好ましい。
また、ランダム配向とすることにより、透磁率を300以下、さらには200以下、9
0以下にすることができる。透磁率は結晶の配向によっても影響を受ける。ランダム配向
とすることにより、透磁率を下げることができるのでマグネトロンスパッタ時の磁界の影
響(デポレート)を低減できるのでスパッタレートが安定する。このため、本発明ではタ
ーゲットの厚さを3mm以上、さらには6mm以上と厚くしても、長期間スパッタレート
が安定したターゲットを得ることができる。なお、ターゲットの厚さの上限は特に限定さ
れるものではないが15mm以下が好ましい。15mmを超えると厚くなりすぎ取扱い性
が悪くなる。また、ターゲットの直径についても特に限定されるものではないが直径20
0mm以上、さらには400mm以上と大型化しても均一なランダム配向を得ることがで
きる。なお、ターゲット直径の上限は特に限定されるものではないが600mm以下が好
ましい。600mmを超えると取扱い性が悪くなる。
また、本発明のスパッタリングターゲットには、必要に応じ、バッキングプレートを接
合するものとする。
次に、製造方法について説明する。本発明のNi合金スパッタリングターゲットは製造
方法は特に限定されるものではないが効率よく得るための方法として次の製造方法が挙げ
られる。
本発明のNi合金スパッタリングターゲットの製造方法は、円柱形状Ni合金インゴッ
トまたはビレットからなるNi合金素材を、厚さ方向に平行な方向と垂直な方向の冷間鍛
造加工を1セットとするこねくり鍛造を2セット以上行う第一のこねくり鍛造工程と、こ
ねくり鍛造工程後に900℃以上の温度で再結晶化させる第一の熱処理工程と、 第一の
熱処理工程後に、厚さ方向に平行な方向と垂直な方向の冷間鍛造加工を1セットとするこ
ねくり鍛造を2セット以上行う第二のこねくり鍛造工程と、第二のこねくり鍛造工程後に
、冷間圧延を行う冷間圧延工程と、冷間圧延工程後、500℃以上の温度で熱処理する第
二の熱処理工程を具備することを特徴とするものである。
円柱形状Ni合金インゴットまたはビレットからなるNi合金素材とは、例えば図2に
示したように円柱形状を具備するものである。また、図3には円柱状Ni合金素材の厚さ
H、直径Wを示した。円柱状Ni合金素材のサイズは、特に限定されるものではないが、
厚さHが20〜300mm、直径Wが100〜400mmくらいのものが取扱い易い。ま
た、Ni合金素材は、NiとCoなどの第二成分を混合して、スカル溶解法やEB溶解法
などの鋳造により高純度化されたものが好ましい。Ni合金素材の純度が得られるNi合
金ターゲットの純度に準ずるためである。そのため、純度99.95wt%以上(3N5
以上)のNi合金ターゲットが必要な時は、純度99.95wt%以上のNi合金素材を
使うものとする。
円柱状Ni合金素材を、厚さ方向に平行な方向と垂直な方向の冷間鍛造加工を1セット
とするこねくり鍛造を2セット以上行う第一のこねくり鍛造工程を行う。厚さ方向に平行
な方向とは厚さH方向のことであり、厚さ方向に垂直な方向とは直径W方向のことである

厚さH方向と直径W方向を交互に鍛造するこねくり鍛造を1セットとしたとき、これを2
セット以上行うものとする。こねくり鍛造は、異なる方向から圧力を加えていることから
、結晶粒径の微細化を達成し、特定の方向に結晶配向が偏ることを防ぐことができる。ま
た、鋳造により製造されたNi合金素材の鋳造組織を減少させることができる。こねくり
鍛造の回数は多いほど良いが、あまり回数が多いと製造コストを上げ、素材の割れ、シワ
などが発生しやすくなるのでこねくり鍛造回数は2〜4セットが好ましい。
また、第一のこねくり鍛造工程により、Ni合金素材のビッカース硬度Hvが160以
上であることが好ましい。こねくり鍛造を2セット以上行うことにより組織の均質化が図
れNi合金素材の硬度は上がる。しかしながら、後述の製造工程を考慮したとき、Hv1
60未満にしたとしても、これ以上の効果は得られず、こねくり鍛造工程を無駄に行うこ
とになる。従って、第一のこねくり鍛造のセット数を制御する上でもビッカース硬度Hv
160以上になるようにこねくり鍛造を行うことが好ましい。
また、直径W方向の圧力は、図4に示したように常に一定方向ではなく、1セット目は
圧力2、2セット目は圧力3のように圧力を付加する方向を変えることが好ましい。また
、1セットの中で圧力を付加する方向を変えることも有効である。直径W方向においても
圧力を付加する方向を変えることにより、結晶粒径の微細化を達成し、特定の方向に結晶
配向が偏ることを防ぐ効果をより得ることができる。また、第一のこねくり鍛造は冷間鍛
造であることが好ましい。熱間で行うと酸化により表面割れが発生してしまう。また、結
晶の粒成長が起きるので平均結晶粒径1000μm以下の微細な結晶組織は得難い。
第一のこねくり鍛造工程の後に、900℃以上の温度で再結晶化させる第一の熱処理工
程を行う。第一のこねくり鍛造工程により、円柱状Ni合金素材に生じた内部歪を熱処理
により除去し、さらに再結晶化させて均一な微細結晶構造を得ることができる。熱処理温
度は950〜1300℃、1〜10時間が好ましい。熱処理温度が1300℃を超えるま
たは熱処理時間が10時間を超えると粒成長を伴うおそれがある。好ましくは1000〜
1200℃×3〜7時間である。また、雰囲気は0.133Pa以下の真空雰囲気が好ま
しい。酸素含有雰囲気では熱処理中に表面が酸化されるおそれがあるためである。
第一の熱処理工程の後、第二のこねくり鍛造を行う。こねくり鍛造の詳細は第一のこね
くり鍛造と同じであり、2セット以上行うことが好ましい。第二のこねくり鍛造も2〜4
回が好ましい。また、1セット目と2セット目で直径W方向に付加する圧力方向を変える
ことが好ましい。また、第二のこねくり鍛造工程も冷間鍛造であることが好ましい。第二
のこねくり鍛造により、結晶粒径の微細化をより推進することができる。
第二のこねくり鍛造後、冷間圧延工程を行う。冷間圧延は、円柱状Ni合金素材を板状
に塑性加工する工程である。必要に応じ、冷間圧延工程を2回以上行ってもよい。冷間圧
延工程により、厚さ3〜20mm、好ましくは6〜15mmの板厚にすることが望ましい
。冷間圧延工程により調製した板厚から切削加工を施してスパッタリングターゲットの板
厚とする。
また、第二のこねくり鍛造工程と冷間圧延工程の間には熱処理工程は行わない方がよい
。第二のこねくり鍛造工程により均質化されたNi合金素材をそのまま冷間圧延した方が
好ましい。
また、第一のこねくり鍛造工程、第二のこねくり鍛造工程および冷間圧延工程の加工率
は任意であるが、第一のこねくり鍛造工程、第二のこねくり鍛造工程および冷間圧延工程
の少なくとも1つの工程は断面減少率または厚さ減少率が40%以上であることが好まし
い。断面減少率は、円柱状Ni合金素材の直径W方向の断面積の減少率である。厚さ減少
率は円柱状Ni合金素材の厚さH方向の減少率である。例えば、第一のこねくり鍛造工程
は2セット以上行っている。加工率40%以上とは、1セットあたりに行った結果の加工
率である。
加工率40%以上の工程は、冷間工程であることが好ましい。例えば、第一のこねくり
鍛造工程→第一の熱処理工程→第二のこねくり鍛造工程を行った後であると、加工率40
%以上の冷間圧延を行ったとしても内部歪の発生を抑制できる。加工率が低いと内部歪の
発生は抑制できるが各工程を何度も繰り返すことなり製造時間が掛り過ぎる。そのため、
どこかの工程で加工率40%以上の工程を行うことが好ましい。なお、加工率の上限は8
0%以下が好ましい。一つの工程で80%を超える加工率で加工すると内部歪、割れ、シ
ワなどが発生し易い。
冷間圧延工程後、500℃以上の温度で熱処理する第二の熱処理工程を行う。熱処理条
件は500〜1100℃×2〜5時間が好ましい。また、雰囲気は0.133Pa以下の
真空雰囲気が好ましい。酸素含有雰囲気では熱処理中に表面が酸化されるおそれがあるた
めである。第二の熱処理工程により、第二のこねくり鍛造工程および冷間圧延工程により
生じた内部歪を除去すると共に、再結晶化させることができる。
第二の熱処理工程後は、必要に応じ、旋盤加工などの切削加工により形状を整える。ま
た、ろう材接合または拡散接合などによりバッキングプレートを接合するものとする。
このような製造方法であれば、平均結晶粒径1000μm以下と微細な結晶構造とラン
ダム配向を得ることができる。
次に本発明の半導体素子の製造方法について説明する。本発明の半導体素子の製造方法
は、Siを構成元素として含む膜の上に、本発明のNi合金スパッタリングターゲットを
スパッタしてNi合金薄膜を形成する工程と、熱処理を施しNi合金薄膜をNi合金シリ
サイド膜にする工程、を具備することを特徴とするものである。
Siを構成元素として含む膜とは、Si基板、ゲート電極(多結晶Si、非晶質Siな
ど)が挙げられる。Siを構成元素として含む膜上に、本発明のNi合金スパッタターゲ
ットを使ってマグネトロンスパッタすることによりNi合金膜を形成する。次に、400
〜500℃程度で熱処理してNi合金膜をSiと反応させてNi合金シリサイド膜にする
RTA(Rapid Thermal Annealing)工程を行う。
熱処理の度合いにより、Ni合金膜は、その一部または全部がNi合金シリサイド膜に
なる。また、前記Ni合金シリサイド膜はゲート電極、ソース電極、ドレイン電極の一部
または全部に使われることが好ましい。
本発明のNi合金スパッタリングターゲットを使うことにより、長期間スパッタレート
を安定させることができるので半導体素子を製造する際に安定したNi合金膜を得ること
ができる。また、ターゲット厚さを厚くしてもスパッタレートの変動が少ないのでターゲ
ットの交換回数を減らすことができるので半導体素子の製造効率を向上させることができ
る。
(実施例1〜5、比較例1)
NiにCoを6〜12at%添加し、EB溶解により直径W100〜300mm×厚さ
H100〜200mmのNi−Co合金素材を用意し、表1に示す製造工程を施した。実
施例1〜2はCoを10at%、実施例3はCoを6at%、実施例4〜5はCoを12
at%とした。なお、表1において、加工率(%)は、直径W方向の断面減少率(%)ま
たは厚さH方向の厚さ減少率(%)の少なくとも一方のうち、大きい方の値を記載した。
また、得られたNi−Co合金素材は、酸素20wtppm以下、窒素10wtppm
以下、炭素10wtppm以下であり、NiおよびCo以外の金属成分は合計で100w
tppm以下であった。
Figure 2011149034
表1の製造工程を経たNi−Co合金素材を旋盤加工して、表2に示すサイズのスパッ
タリングターゲットを得た。各ターゲットにおける平均結晶粒径(μm)、ランダム配向
の有無を確認した。平均結晶粒径の測定は、スパッタ面および断面から単位面積3000
μm×3000μmの拡大写真(光学顕微鏡写真)を撮り、線インターセプト法(直線3
本の平均値)により求めた。ランダム配向の有無は、スパッタ面およびスパッタ面からタ
ーゲット厚さの中心のスパッタ面に平行な面を切り出したところから任意の測定箇所を選
択しX線回折分析(2θ)を行った。なお、X線回折は、Cu−Kα(ターゲットCu)
、管電圧40kV、電流100mAで行った。
その結果を表2に示す。なお、結晶組織はいずれも再結晶化されていた。
Figure 2011149034
また、粉末のX線回折ピークの順番を求めた。その結果を表3に示す。
Figure 2011149034
表2と表3を比べると検出されるピークの順番は比較例では一致しないが、実施例では
いずれも一致した。次に各実施例および比較例のターゲットを用いてマグネトロンスパッ
タを行った。スパッタ開始後からターゲットが0.5mm消費されたときのNi合金膜厚
を100としたとき、2mm消費後と5mm消費後の膜厚の変化を比較した。
Figure 2011149034
表から分かる通り、長期間使用してもスパッタレートの変化が小さいことが分かった。
この結果から、本実施例のターゲットは厚さを厚くしても長期信頼性が高いことが分かる
1…スパッタリングターゲット
2…スパッタ面
3…Ni合金素材
T…スパッタリングターゲットの厚さ
W…Ni合金素材の直径
H…Ni合金素材の厚さ(高さ)

Claims (13)

  1. 平均結晶粒径1000μm以下のNi合金からなるNi合金スパッタリングターゲット
    において、スパッタ面の結晶配向がランダム配向であり、ターゲットの厚さ方向の中心面
    の結晶配向のランダム配向であることを特徴とするNi合金スパッタリングターゲット。
  2. 平均結晶粒径1000μm以下のNi合金からなるNi合金スパッタリングターゲット
    において、スパッタ面をX線回折したときに検出される各ピークの高さの順番と、粉末を
    X線回折したときに検出される各ピークの高さの順番が同一であることを特徴とするNi
    合金スパッタリングターゲット。
  3. スパッタ面をX線回折したときに検出される各ピークの高さの順番と、粉末をX線回折
    したときに検出される各ピークの高さの順番が同一であることを特徴とする請求項1記載
    のNi合金スパッタリングターゲット。
  4. Coを1〜20at%含有することを特徴とする請求項1または請求項2記載のNi合
    金スパッタリングターゲット。
  5. Ni、Coおよびガス成分以外の金属不純物が500wtppm以下であることを特徴
    とする請求項4記載のNi合金スパッタリングターゲット。
  6. スパッタリングターゲットの厚さが3mm以上であることを特徴とする請求項1ないし
    請求項5のいずれか1項に記載のNi合金スパッタリングターゲット。
  7. 円柱形状Ni合金インゴットまたはビレットからなるNi合金素材を、厚さ方向に平行
    な方向と垂直な方向の冷間鍛造加工を1セットとするこねくり鍛造を2セット以上行う第
    一のこねくり鍛造工程と、
    こねくり鍛造工程後に900℃以上の温度で再結晶化させる第一の熱処理工程と、
    第一の熱処理工程後に、厚さ方向に平行な方向と垂直な方向の冷間鍛造加工を1セット
    とするこねくり鍛造を2セット以上行う第二のこねくり鍛造工程と、
    第二のこねくり鍛造工程後に、冷間圧延を行う冷間圧延工程と、
    冷間圧延工程後、500℃以上の温度で熱処理する第二の熱処理工程を具備することを
    特徴とするNi合金スパッタリングターゲットの製造方法。
  8. 冷間圧延工程を2回以上行うことを特徴とする請求項7記載のNi合金スパッタリング
    ターゲットの製造方法。
  9. 第一のこねくり鍛造工程または第二のこねくり鍛造工程の少なくとも一方は、断面減少
    率または厚さ減少率が40%以上の加工率で行われることを特徴とする請求項7ないし請
    求項8のいずれか1項に記載のNi合金スパッタリングターゲットの製造方法。
  10. 第一のこねくり鍛造後のNi合金素材のビッカース硬度Hvの平均値がHv160以上
    であることを特徴とする請求項7ないし請求項9のいずれか1項に記載のタンタルスパッ
    タリングターゲットの製造方法。
  11. Ni合金素材は、Coを1〜20at%含有していることを特徴とする請求項7ないし
    請求項10のいずれか1項に記載のNi合金スパッタリングターゲットの製造方法。
  12. Siを構成元素として含む膜の上に、請求項1ないし請求項6のいずれか1項に記載の
    Ni合金スパッタリングターゲットをスパッタしてNi合金薄膜を形成する工程と、熱処
    理を施しNi合金薄膜をNi合金シリサイド膜にする工程、を具備することを特徴とする
    半導体素子の製造方法。
  13. 前記Ni合金シリサイド膜はゲート電極、ソース電極、ドレイン電極の一部または全部
    であることを特徴とする請求項12記載の半導体素子の製造方法。
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