JP2011148842A - 樹脂組成物 - Google Patents
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Abstract
【課題】30℃以下の冷水を用いた時、水中での剥離性が短時間に達成できる樹脂組成物を提供する。
【解決手段】(A)N,N−ジエチルアクリルアミドと、(B)光重合開始剤とを含有することを特徴する樹脂組成物。水溶性を有することを特徴とする該樹脂組成物の硬化体。該樹脂組成物を用いて、被加工材を仮固定し、該仮固定された被加工材を加工後、水に浸漬して、前記組成物の硬化体を取り外すことを特徴とする被加工材の仮固定方法。水が30℃以下の冷水であることを特徴とする該仮固定方法。該樹脂組成物を、被加工材の表面に被覆、硬化させた後、被加工材を加工後に水に浸漬して、前記組成物の硬化体を取り外すことを特徴とする被加工材の表面保護方法。
【選択図】なし
【解決手段】(A)N,N−ジエチルアクリルアミドと、(B)光重合開始剤とを含有することを特徴する樹脂組成物。水溶性を有することを特徴とする該樹脂組成物の硬化体。該樹脂組成物を用いて、被加工材を仮固定し、該仮固定された被加工材を加工後、水に浸漬して、前記組成物の硬化体を取り外すことを特徴とする被加工材の仮固定方法。水が30℃以下の冷水であることを特徴とする該仮固定方法。該樹脂組成物を、被加工材の表面に被覆、硬化させた後、被加工材を加工後に水に浸漬して、前記組成物の硬化体を取り外すことを特徴とする被加工材の表面保護方法。
【選択図】なし
Description
本発明は、いろいろな材料を加工するに際しての当該被加工材の表面保護方法と仮固定方法に関する。より詳細には、本発明は光学用部材や半導体ウエハ等を加工するに際し、被加工材の表面に硬化性組成物からなる保護膜を設けることで、加工しない部分を加工時の異物付着や傷等から保護することを目的とする被加工材の表面保護方法を提示する。本発明は、基材に当該被加工材を接着し、被加工材を加工した後、接着部分を温水に浸漬して、前記保護膜を取り外すことで、被加工材を回収することを特徴とする被加工材の仮固定方法をも提示するものである。
工学部品、電子部品、電気部品の加工、特に切断、研削、研磨等の精密加工等に際して、その被加工材の既加工面や回路、センサー部位等への傷や異物付着を防止するために、一時的に部品を保護する表面保護膜が広く使用されている。工学部品としては、金属板、金型、アルミサッシ、プラスチック板、半導体ウエハ、回路基板、セラミック、ガラス、石英等が挙げられる。電子部品や電気部品としては、センサー等が挙げられる。表面保護膜としては、感圧接着性シートが主に用いられている。
例えば、半導体ウエハ、光学部品等の薄型化を行う場合、いわゆる裏面研削方法により加工される。裏面研削方法とは、表面保護シートでウエハの回路面や光学部品の非加工面を保護すると共に、前記表面保護シートを介して基材に仮固定し、回路面とは反対側の裏面を研削する方法である。
しかし、現在使用されている感圧接着性の表面保護シートは半導体ウエハの回路の凹凸に対する追従性に限界がある。このため、ウエハと表面保護層との間への研削液の進入等によるコンタミネーションがしばしば問題となる。又、半導体ウエハをダイシングする際にも、典型的な半導体表面保護シートではバンプに代表される100μm以上の突起に追従することができず、コンタミネーションやチップ飛びを起こすという問題がある。
従来の表面保護シートは、一般に、ポリマーフィルム材料上に表面保護層として粘着剤層を有するシートであり、粘着剤は回路面の凹凸に追従するように、低弾性率を有するよう設計されている。しかしながら、弾性率が低すぎると、シートをウエハから剥離除去する際に大きな応力がウエハに掛かり、ウエハの破損につながる。
そこで、シートを剥離する前に紫外線等のエネルギー線を照射することにより粘着剤を硬化し、ウエハ・保護シート間の接着力を低下させるエネルギー線易剥離型保護シートが開発されている。しかしながら、研削の間は粘着剤層が未硬化の状態であり、柔軟すぎて研削中にウエハが破損するという問題がある。
特許文献1は、上記のようなエネルギー線易剥離型保護シートを、回路が形成されたウエハに貼り付け、エネルギー線で粘着剤層を硬化した後に、ウエハの裏面研削を行うウエハ研削方法を開示している。しかしながら、粘着剤は流動体ではないため、ウエハ回路面の凹凸に対する追従性が十分ではない。
特開平11−026406号公報
特開平11−026406号公報
一方、特許文献2には、ホットメルト型の半導体表面保護シートが開示されている。60〜100℃に加熱することにより溶融し流動性を示すホットメルト型シートは、回路面の凹凸に追従し、優れた研削性を示すことができる。しかしながら、このシートは接着前にシートを加熱する必要があるため接着に時間を要するという問題がある。さらに、シートの温度が融点を上回る度に溶融するため、加工時に位置ずれ等を起こし、加工精度が悪くなる可能性がある。
特開2000−038556号公報
特許文献3は、多官能(メタ)アクリレート、単官能(メタ)アクリレート、光重合開始剤を含有する樹脂組成物を使用した仮固定方法が記載されている。しかし、30℃以下の冷水に浸漬して、硬化体を取り外すことについて、記載はない。
国際公開WO2007/004620パンフレット
一方、表面保護シートとは別に、特定の有機溶剤に溶解する紫外線硬化型接着剤を加工物表面に塗布し、紫外線硬化させることで被覆し、加工時の切削屑等から表面を保護する方法が検討されているが、本方法は有機溶剤を用いるため洗浄処理工程が煩雑で作業環境的に問題があった。
切削加工後の被加工材の寸法精度を向上させるために、高接着強度であり、かつ水中での剥離性に優れ、又、剥離後の被加工材に糊残りのない、環境的にも作業性にも優れた光硬化型接着剤が望まれている。特に、裏面研削方法で半導体ウエハ、光学部品等の薄型化を行う場合に、ウエハの回路面や光学部品の被加工面を保護し、前記特性を有する光硬化型接着剤が熱望されている。
本発明者は、従来技術の課題を解決し、前記産業界の要望を満足するために、ウエハ、光学部品の回路面の凹凸に対する追従性が十分にある材料であって、かつ研削時の支持体として十分な剛性を有する樹脂組成物を求め、いろいろ検討した結果、N,N−ジエチル(メタ)アクリルアミドという特定な物質を用いることにより、高接着強度でかつ水中での剥離性の良好な樹脂組成物が得られ、本目的を達成するものであるとの知見を得て、本発明に至ったものである。
即ち、本発明は、(A)N,N−ジエチル(メタ)アクリルアミドと、(B)光重合開始剤とを含有することを特徴とする樹脂組成物であり、(A)N,N−ジエチル(メタ)アクリルアミド以外の(メタ)アクリレートを使用しないことを特徴とする該樹脂組成物であり、水溶性を有することを特徴とする該樹脂組成物の硬化体であり、該樹脂組成物を用いて、被加工材を仮固定し、該仮固定された被加工材を加工後、水に浸漬して、前記組成物の硬化体を取り外すことを特徴とする被加工材の仮固定方法であり、水が30℃以下の冷水であることを特徴とする該仮固定方法であり、該樹脂組成物を、被加工材の表面に被覆、硬化させた後、被加工材を加工後に水に浸漬して、前記組成物の硬化体を取り外すことを特徴とする被加工材の表面保護方法であり、水が30℃以下の冷水であることを特徴とする該表面保護方法である。
本発明の樹脂組成物、被加工材の仮固定方法並びに表面保護方法は、30℃以下の冷水を用いる時、水中での剥離性が短時間に達成できるという効果を有する。
本発明においては(A)N,N−ジエチル(メタ)アクリルアミドが使用できる。30℃以下の冷水、好ましくは25℃以下の冷水で硬化体を処理できる点で、N−ジエチル(メタ)アクリルアミド以外の(メタ)アクリレートを使用しないことが好ましい。
又、本発明においては(B)光重合開始剤が使用できる。(B)光重合開始剤としては、公知の各種光重合開始剤が使用可能である。光重合開始剤としては、ベンゾフェノン及びその誘導体、ベンジル及びその誘導体、エントラキノン及びその誘導体、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインプロピルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル、ベンジルジメチルケタール等のベンゾイン誘導体、ジエトキシアセトフェノン、4−t−ブチルトリクロロアセトフェノン等のアセトフェノン誘導体、2−ジメチルアミノエチルベンゾエート、p−ジメチルアミノエチルベンゾエート、ジフェニルジスルフィド、チオキサントン及びその誘導体、カンファーキノン、7,7−ジメチル−2,3−ジオキソビシクロ[2.2.1]ヘプタン−1−カルボン酸、7,7−ジメチル−2,3−ジオキソビシクロ[2.2.1]ヘプタン−1−カルボキシ−2−ブロモエチルエステル、7,7−ジメチル−2,3−ジオキソビシクロ[2.2.1]ヘプタン−1−カルボキシ−2−メチルエステル、7,7−ジメチル−2,3−ジオキソビシクロ[2.2.1]ヘプタン−1−カルボン酸クロライド等のカンファーキノン誘導体、2−メチル−1−[4-(メチルチオ)フェニル]−2−モルフォリノプロパン−1−オン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタノン−1等のα−アミノアルキルフェノン誘導体、ベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイド、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイド、ベンゾイルジエトキシポスフィンオキサイド、2,4,6−トリメチルベンゾイルジメトキシフェニルホスフィンオキサイド、2,4,6−トリメチルベンゾイルジエトキシフェニルホスフィンオキサイド等のアシルホスフィンオキサイド誘導体等が挙げられる。光重合開始剤は1種又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
(B)光重合開始剤の使用量は、(A)の量100質量部に対して、0.1〜20質量部が好ましい。より好ましくは0.2〜10質量部が好ましい。0.1質量部以上であれば、硬化促進の効果が確実に得られるし、20質量部以下であれば、水溶性及び接着強度を損なうことなく、充分な硬化速度を得ることができる。
本発明の樹脂組成物は、その貯蔵安定性向上のため少量の重合禁止剤を使用することができる。重合禁止剤としては、メチルハイドロキノン、ハイドロキノン、2,2−メチレン−ビス(4−メチル−6−ターシャリーブチルフェノール)、カテコール、ハイドロキノンモノメチルエーテル、モノターシャリーブチルハイドロキノン、2,5−ジターシャリーブチルハイドロキノン、p−ベンゾキノン、2,5−ジフェニル−p−ベンゾキノン、2,5−ジターシャリーブチル−p−ベンゾキノン、ピクリン酸、クエン酸、フェノチアジン、ターシャリーブチルカテコール、2−ブチル−4−ヒドロキシアニソール及び2,6−ジターシャリーブチル−p−クレゾール等が挙げられる。
これらの重合禁止剤の使用量は、(A)の量100質量部に対して、0.001〜3質量部が好ましく、0.01〜2質量部がより好ましい。0.001質量部以上で貯蔵安定性が確保されるし、3質量部以下で良好な接着性が得られ、未硬化になることもない。
本発明においては、極性有機溶媒を共に用いても良い。極性有機溶媒を共に用いることにより、硬化体が水と接触して容易に膨潤し、接着強度が低下する現象を一層確実に発現することができる。
極性有機溶媒に関しては、その沸点が50℃以上200℃以下であることが好ましい。沸点が前記範囲内の極性有機溶媒を選択する時には、硬化体が冷水と接触して接着強度が低下する現象をより一層確実に発現することができるので好ましい。又、このような極性有機溶媒としては、例えば、アルコール、ケトン、エステル等が挙げられるが、発明者の検討結果に拠れば、このうちアルコールが好ましく選択される。
アルコールとしては、メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、n-ブタノール、イソブタノール、第二ブタノール、第三ブタノール、n−アミルアルコール、イソアミルアルコール、2−エチルブチルアルコール等が挙げられる。さらに、前記アルコールの中でも、好ましくは沸点が120℃以下であるメタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、n-ブタノール、イソブタノール、第二ブタノール、第三ブタノールが好ましく、その中でもメタノ−ル、エタノール、イソプロパノール、n-ブタノールがより好ましい。
極性有機溶媒の使用量は、(A)の量100質量部に対して、0.5〜10質量部が好ましく、2〜5質量部がより好ましい。0.5質量部以上であれば剥離性が確保でき、10質量部以下であれば、初期の接着性が低下する恐れもなく、硬化体が剥離する。
本発明に於いては、(A)〜(B)に溶解しない粒状物質を、(A)〜(B)と共に用いても良い。これにより、硬化体が一定の厚みを保持できるため、加工精度が向上する。
(A)〜(B)に溶解しない粒状物質としては、材質として、一般的に使用される有機、無機粒子いずれでもかまわない。有機粒子としては、ポリエチレン粒子、ポリプロピレン粒子、架橋ポリメタクリル酸メチル粒子、架橋ポリスチレン粒子等挙げられる。無機粒子としては、ガラス、シリカ、アルミナ、チタン等セラミック粒子等が挙げられる。
(A)〜(B)に溶解しない粒状物質は、加工精度の向上、つまり接着剤の膜厚の制御の観点から球状であることが好ましい。有機粒子としては、メタクリル酸メチルモノマー、スチレンモノマーと架橋性モノマーとの公知の乳化重合法により単分散粒子として得られる、架橋ポリメタクリル酸メチル粒子や架橋ポリスチレン粒子が、無機粒子としては球状シリカが、それぞれ、粒子の変形が少なく、粒径のバラツキによる硬化体の膜厚が均一になるために、好ましい。その中でもさらに粒子の沈降等の貯蔵安定性や樹脂組成物の反応性の観点から、架橋ポリメタクリル酸メチル粒子や架橋ポリスチレン粒子がより一層好ましい。
(A)〜(B)に溶解しない粒状物質の使用量は、(A)の量100質量部に対して、0.1〜20質量部が好ましく、0.1〜10質量部がより好ましい。0.1質量部以上であれば硬化体の膜厚がほぼ一定であり、20質量部以下であれば、初期の接着性が低下する恐れもない。
本発明の樹脂組成物は、本発明の目的を損なわない範囲で、一般に使用されているアクリルゴム、ウレタンゴム、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレンゴム等の各種エラストマー、無機フィラー、溶剤、増量材、補強材、可塑剤、増粘剤、染料、顔料、難燃剤、シランカップリング剤及び界面活性剤等の添加剤を使用してもよい。
次に、本発明は、水と接触して接着強度を低下させる樹脂組成物を用いて被加工材を接着し、被加工材を仮固定し、該仮固定された部材を加工後、該加工された部材を水に浸漬して、硬化体を取り外すことを特徴とする被加工材の仮固定方法であり、これにより、有機溶剤を用いることなく、光学用部材等の色々な被加工材を精度高く加工することができる。
又、本発明の好ましい実施態様によれば、硬化体が水と接触して膨潤、溶解し、硬化体を取り外すことができ、環境的にも作業性にも優れるという効果が得られる。
本発明の仮固定方法において、前記本発明の樹脂組成物からなる接着剤を用いると、前記発明の効果が確実に得られる。
本発明に於いて、30℃以下の冷水、好ましくは25℃以下の冷水を用いると短時間で硬化体が膨潤、溶解し、硬化体を容易に取り外すことができるので好ましい。尚、硬化体と水との接触の方法については、水中に被加工材ごと浸漬する方法が簡便であるので好ましい。
本発明において、仮固定する際に用いられる被加工材の材質に特に制限はない。光硬化型接着剤又は紫外線硬化型接着剤として用いる場合には、紫外線を透過できる材料からなる被加工材が好ましい。このような材質としては、水晶、ガラス、プラスチック等が挙げられる。本発明の仮固定方法は、水晶振動子、ガラスレンズ、プラスチックレンズ及び光ディスクの加工における仮固定に適用可能である。
仮固定方法において、接着剤の使用方法に関しては、接着剤として接着剤を用いる場合を想定すると、例えば、固定する一方の被加工材又は支持基板の接着面に接着剤を適量塗布し、続いてもう一方の被加工材を重ね合わせるという方法や、予め仮固定する被加工材を多数積層しておき、接着剤を隙間に浸透させて塗布させる方法等で接着剤を塗布した後に、該被加工材を可視光又は紫外線を照射して、接着剤を硬化させ被加工材同士を仮固定する方法等が例示される。
その後、仮固定された被加工材を所望の形状に切断、研削、研磨、孔開け等の加工を施した後、該被加工材を冷水に浸漬することにより、接着剤の硬化体を被加工材から剥離することができる。
又、本発明は、前記の樹脂組成物を用いて被加工材の表面に被覆し硬化させた後、該被加工材を加工後に水に浸漬して、硬化体を取り外すことを特徴とする被加工材の表面保護方法である。即ち、被加工材の表面に前記樹脂組成物を塗布し硬化させることで、加工時に当該表面が汚れたり、チッピングが発生したりするのを防ぐことができる。
さらに、本発明の好ましい実施態様によれば、硬化体が水と接触した場合、膨潤又は溶解するので、硬化体を取り外すことができ、環境的にも作業性にも優れるという効果が得られる。
本発明に於いて、30℃以下の冷水、好ましくは25℃以下の冷水を用いる場合が、水中での剥離性が短時間に達成でき、生産性が向上する面から、好ましい。尚、硬化体と水との接触の方法については、水中に被加工材ごと浸漬する方法が簡便である面から、好ましい。
本発明において、表面保護する際に用いられる被加工材の材質に特に制限はない。被加工材の材質としては、水晶、ガラス、プラスチック、シリコンウエハ等が挙げられる。
以下に実験例をあげて本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれら実験例に限定されるものではない。
(実験例1)
(A)N,N−ジエチルアクリルアミド(興人社製、「DEAA」、以下「DEAA」と略す。)100質量部、(B)光重合開始剤として、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルフォリノプロパン−1−オン(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製、「IRGACURE907」、以下「I−907」と略す。)6質量部、重合禁止剤として2,2−メチレン−ビス(4−メチル−6−ターシャリーブチルフェノール)(以下「MDP」と略す。)0.1質量部を配合して樹脂組成物を作製した。得られた樹脂組成物を使用して、以下に示す評価方法にて引張せん断接着強さの測定及び剥離試験、表面保護膜剥離試験、表面硬化性試験を行った。それらの結果を表1に示す。
(A)N,N−ジエチルアクリルアミド(興人社製、「DEAA」、以下「DEAA」と略す。)100質量部、(B)光重合開始剤として、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルフォリノプロパン−1−オン(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製、「IRGACURE907」、以下「I−907」と略す。)6質量部、重合禁止剤として2,2−メチレン−ビス(4−メチル−6−ターシャリーブチルフェノール)(以下「MDP」と略す。)0.1質量部を配合して樹脂組成物を作製した。得られた樹脂組成物を使用して、以下に示す評価方法にて引張せん断接着強さの測定及び剥離試験、表面保護膜剥離試験、表面硬化性試験を行った。それらの結果を表1に示す。
(評価方法)
接着強さ(引張せん断接着強さ):
JIS K 6850に従い測定した。具体的には、被着材として耐熱パイレックス(商標登録)ガラス(25mm×25mm×2.0mm)を用いた。直径8mm×厚さ100μmの樹脂組成物にて2枚の耐熱パイレックス(商標登録)ガラスを貼り合わせ、無電極放電ランプを使用したフュージョン社製硬化装置により、365nmの波長の積算光量2000mJ/cm2の条件にて硬化させ、引張せん断接着強さ試験片を作製した。作製した試験片は、万能試験機を使用して、温度23℃、湿度50%の環境下、引張速度10mm/minで引張せん断接着強さを測定した。
接着強さ(引張せん断接着強さ):
JIS K 6850に従い測定した。具体的には、被着材として耐熱パイレックス(商標登録)ガラス(25mm×25mm×2.0mm)を用いた。直径8mm×厚さ100μmの樹脂組成物にて2枚の耐熱パイレックス(商標登録)ガラスを貼り合わせ、無電極放電ランプを使用したフュージョン社製硬化装置により、365nmの波長の積算光量2000mJ/cm2の条件にて硬化させ、引張せん断接着強さ試験片を作製した。作製した試験片は、万能試験機を使用して、温度23℃、湿度50%の環境下、引張速度10mm/minで引張せん断接着強さを測定した。
25℃冷水剥離時間(剥離試験):
上記耐熱パイレックス(登録商標)ガラスに作製した樹脂組成物を塗布し、支持体として青板ガラス(150mm×150mm×1.7mm)に貼り合わせたこと以外は上記と同じ条件で樹脂組成物を硬化させ、剥離試験体を作製した。得られた試験体を冷水(25℃)に浸漬し、耐熱パイレックス(登録商標)ガラスが剥離する時間を測定した。
上記耐熱パイレックス(登録商標)ガラスに作製した樹脂組成物を塗布し、支持体として青板ガラス(150mm×150mm×1.7mm)に貼り合わせたこと以外は上記と同じ条件で樹脂組成物を硬化させ、剥離試験体を作製した。得られた試験体を冷水(25℃)に浸漬し、耐熱パイレックス(登録商標)ガラスが剥離する時間を測定した。
表面硬化性(表面硬化性試験):
青板ガラス150mm×150mm×1.7mm上に前記樹脂組成物をバーコーターにより50μmの厚みになるように塗布し、無電極放電ランプを使用したフュージョン社製UV照射装置により、365nmの波長の積算光量2000mJ/cm2で樹脂組成物を硬化させ、表面硬化性試験体を作製した。試験体の表面を触診することにより表面硬化性を評価した。
○・・・指紋の跡が付かない
×・・・指紋の跡が付く
青板ガラス150mm×150mm×1.7mm上に前記樹脂組成物をバーコーターにより50μmの厚みになるように塗布し、無電極放電ランプを使用したフュージョン社製UV照射装置により、365nmの波長の積算光量2000mJ/cm2で樹脂組成物を硬化させ、表面硬化性試験体を作製した。試験体の表面を触診することにより表面硬化性を評価した。
○・・・指紋の跡が付かない
×・・・指紋の跡が付く
表面保護膜剥離時間(表面保護膜剥離試験):
前記条件にて作製した表面硬化性試験体を冷水(25℃)に浸漬し、硬化体が完全に剥離する時間を測定した。
前記条件にて作製した表面硬化性試験体を冷水(25℃)に浸漬し、硬化体が完全に剥離する時間を測定した。
(実験例2〜8)
表1示す種類の原材料を表1に示す組成で使用したこと以外は実験例1と同様にして樹脂組成物を作製した。得られた樹脂組成物について、実験例1と同様にして評価を行った。それらの結果を表1に示す。
表1示す種類の原材料を表1に示す組成で使用したこと以外は実験例1と同様にして樹脂組成物を作製した。得られた樹脂組成物について、実験例1と同様にして評価を行った。それらの結果を表1に示す。
(使用材料)
I−651:ベンジルジメチルケタール(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製、「IRGACURE651」)
IPA:イソプロピルアルコール
GR−200:架橋ポリメタクリル酸メチル粒子(根上工業社製、「アートパールGR−200」)
I−651:ベンジルジメチルケタール(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製、「IRGACURE651」)
IPA:イソプロピルアルコール
GR−200:架橋ポリメタクリル酸メチル粒子(根上工業社製、「アートパールGR−200」)
(実験例9、10、11)
表1に示す種類の原材料を表1に示す組成で行ったこと以外は実験例1と同様にして樹脂組成物を作製した。得られた樹脂組成物に関して、実験例1と同様に評価を行った。それらの結果を表1に示す。
表1に示す種類の原材料を表1に示す組成で行ったこと以外は実験例1と同様にして樹脂組成物を作製した。得られた樹脂組成物に関して、実験例1と同様に評価を行った。それらの結果を表1に示す。
(使用材料)
NIPAM:N−イソプロピルアクリルアミド(興人社製、「NIPAM」)
TE-2000:1,2-ポリブタジエン末端ウレタンメタクリレート(日本曹達社製、「TE-2000」)
R−684:ジシクロペンタニルジアクリレート(日本化薬社製、「KAYARAD R−684」)
M−140:2−(1,2−シクロヘキサカルボキシイミド)エチルアクリレート(東亜合成社製、「アロニックスM−140」)
M−101A:フェノールエチレンオキサイド2モル変性アクリレート(東亜合成社製、「アロニックスM−101A」」)
NIPAM:N−イソプロピルアクリルアミド(興人社製、「NIPAM」)
TE-2000:1,2-ポリブタジエン末端ウレタンメタクリレート(日本曹達社製、「TE-2000」)
R−684:ジシクロペンタニルジアクリレート(日本化薬社製、「KAYARAD R−684」)
M−140:2−(1,2−シクロヘキサカルボキシイミド)エチルアクリレート(東亜合成社製、「アロニックスM−140」)
M−101A:フェノールエチレンオキサイド2モル変性アクリレート(東亜合成社製、「アロニックスM−101A」」)
(実験例12)
ホットメルト型接着剤(日化精工社製アドフィックスA)を90℃に加熱溶融させて使用し、冷却により硬化させたこと以外は実験例1と同様にして評価を行った。その結果を表1に示す。
ホットメルト型接着剤(日化精工社製アドフィックスA)を90℃に加熱溶融させて使用し、冷却により硬化させたこと以外は実験例1と同様にして評価を行った。その結果を表1に示す。
その結果、実験例9では光重合開始剤の量が少なすぎて硬化反応が充分に進行しなかったため、接着強さが弱く、さらに、充分な表面硬化性が得られないため、表面保護膜として使用することができなかった。一方、実験例10では、室温では固体であるため、使用できなかった。実験例11では、表面硬化性は不十分であり、25℃の冷水では剥離することができなかった。又、実験例12では、接着強さ、表面硬化性は良好なものの、剥離するにはN-メチルピロリドン溶液のような有機溶剤を使用しなければならず、25℃の冷水では剥離することができなかった。
これに対して実験例1〜8では、適切な量の光重合開始剤を配合することで、充分な強度の接着強さを発現し、表面硬化性も良好であった。又、接着後は25℃の冷水に浸漬して硬化体を溶解させることで、剥離することが可能であった。
本発明は、例えば、以下の特徴を有する。
本発明の樹脂組成物は、高い接着強度を発現し、被加工材の加工時にずれを生じ難く、寸法精度面で優れた部材が容易に得られるという効果が得られる。更に、水に接触することで接着強度を低下させ、被加工材間の接着力又は被加工材と治具との接着力が低下するので、容易に被加工材の回収ができる。従って、光学レンズ、プリズム、アレイ、シリコンウエハ、半導体実装部品等の仮固定用接着剤及び表面保護材として、産業上有用である。
本発明の被加工材の仮固定方法は、従来技術に於いて必要であった有機溶媒を用いる必要がなく、産業上非常に有用である。
本発明の樹脂組成物は、30℃以下の冷水、好ましくは25℃以下の冷水を用いる時、水中での剥離性が短時間に達成できる。本発明は、加熱を要する温水を使用する必要がない。本発明は、省力化や生産性の面から好ましい。
本発明の樹脂組成物は、硬化体が水溶性であるため、被加工材を接着仮固定し、該仮固定された被加工材を加工後、該加工された部材を水に浸漬するのみで容易に取り外すことができる。
本発明の被加工材の仮固定方法並びに表面保護方法は、水に接触することで接着強度を低下させる樹脂組成物を用いているので、水に接触させるのみで容易に被加工材を回収できるという特徴がある。従って、従来の接着剤の場合に比べて、高価な有機溶媒、発火性の強い有機溶媒、人体に有害なガスを発生する有機溶媒を用いる必要がないという格段の効果が得られる。
Claims (7)
- (A)N,N−ジエチル(メタ)アクリルアミドと、(B)光重合開始剤とを含有することを特徴とする樹脂組成物。
- (A)N,N−ジエチル(メタ)アクリルアミド以外の(メタ)アクリレートを使用しないことを特徴とする請求項1に記載の樹脂組成物。
- 水溶性を有することを特徴とする請求項1又は2に記載の樹脂組成物の硬化体。
- 請求項1又は2に記載の樹脂組成物を用いて、被加工材を仮固定し、該仮固定された被加工材を加工後、水に浸漬して、前記組成物の硬化体を取り外すことを特徴とする被加工材の仮固定方法。
- 水が30℃以下の冷水であることを特徴とする請求項4に記載の仮固定方法。
- 請求項1又は2記載の樹脂組成物を、被加工材の表面に被覆、硬化させた後、被加工材を加工後に水に浸漬して、前記組成物の硬化体を取り外すことを特徴とする被加工材の表面保護方法。
- 水が30℃以下の冷水であることを特徴とする請求項6に記載の表面保護方法。
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