JP2011148258A - 熱収縮性積層フィルム、並びに該フィルムを用いた成形品、熱収縮性ラベル、および該成形品を用いた、又は該ラベルを装着した容器 - Google Patents

熱収縮性積層フィルム、並びに該フィルムを用いた成形品、熱収縮性ラベル、および該成形品を用いた、又は該ラベルを装着した容器 Download PDF

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Abstract

【課題】熱収縮性フィルムの収縮仕上り性を満足させ、熱収縮特性、耐破断性、耐衝撃性等の機械的特性、および透明性に優れ、収縮包装、収縮結束包装や収縮ラベル等の用途に適した熱収縮性フィルムを得ることにある。
【解決手段】ポリ乳酸系樹脂(A)、(メタ)アクリル系樹脂(B)、ポリオレフィン系樹脂(C)および、ポリ乳酸系樹脂(A)とポリオレフィン系樹脂(C)との相溶性を向上させる相溶化剤(D)を含む樹脂組成物からなる(I)層と、ポリ乳酸系樹脂(A)を主成分とし、コアシェル型ゴム(E)を含む樹脂組成物からなる(II)層の少なくとも2層を有する積層フィルムであって、前記積層フィルムが少なくとも一方向に延伸され、かつ80℃の温水中に10秒間浸漬したときの主収縮方向の熱収縮率が20%以上であることを特徴とする熱収縮性積層フィルム。
【選択図】なし

Description

本発明は、熱収縮性積層フィルム、並びにこの熱収縮性積層フィルムを用いた成形品、熱収縮性ラベル、およびこの成形品を用いた、又はこのラベルを装着した容器に関し、より詳しくは、収縮特性、耐熱性に優れた、収縮包装、収縮結束包装や収縮ラベル等の用途に適した熱収縮性積層フィルム、並びにこの熱収縮性積層フィルムを用いた成形品、熱収縮性ラベル、およびこの成形品を用いた、又はこのラベルを装着した容器に関する。
現在、ジュース等の清涼飲料、ビール等のアルコール飲料等は、瓶又はペットボトルといった容器に充填された状態で販売されている。その際、他商品との差別化や商品の視認性向上のために、容器の外側に印刷が施された熱収縮性ラベルが装着されている。この熱収縮性ラベルの素材としては、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリスチレン、芳香族ポリエステル等が一般的に使用されている。
前記熱収縮性ラベル用の用途に対し、室温において剛性であり、低温収縮性を有し、かつ自然収縮性が良好な熱収縮性フィルムとして、ポリエステル系、特に、低結晶性のポリエチレンテレフタレート(PET)やポリ乳酸を基材とするフィルムが主として使用されている。しかしながら、これらのポリエステル系熱収縮フィルムは、PVC系熱収縮性フィルムと比較して、加熱収縮時に収縮斑やしわが発生しやすいという問題がある。また、ポリ乳酸系熱収縮フィルムは、加熱した際、結晶化が進行し十分な熱収縮特性が得られないという問題もあった。
前記の問題を解決する手段として、ポリ乳酸系樹脂のL−乳酸とD−乳酸の共重合比を調整したフィルムが知られている(特許文献1参照)。しかしながら、このフィルムは加熱の際の結晶化は抑制できているものの、急激な収縮により斑、皺、アバタを生じるという問題は十分に解決できていない。また、ポリ乳酸系樹脂の結晶化度を調整し、さらに脂肪族ポリエステル系樹脂をブレンドすること等による収縮仕上がり性の改良が試みられている(特許文献2,3等参照)。しかしながら、現在主流となっているポリスチレン系熱収縮性フィルムと比べると、未だ十分な収縮仕上がり性とは言い難い。
さらに、特定の重量平均分子量を有するポリ乳酸系樹脂とポリメタクリル酸エステル樹脂とを配合した延伸フィルムが知られている(特許文献4)。しかしながら、この技術はポリ乳酸系樹脂フィルムの耐熱性、透明性を向上させる目的を主としたものであり、本発明のような熱収縮性フィルムには適用し難い。
前記の問題に対し、ポリ乳酸系樹脂とアクリル系樹脂とを配合した熱収縮性フィルムが知られている(特許文献4)。しかしながら、このフィルムは、ポリスチレン系熱収縮フィルムと比べると、未だ十分な収縮仕上り性を有しているとは言い難く、なおかつアクリル系樹脂については、素材自体がもつ脆性のため、耐破断性に対して不十分な点が残っていた。
さらにまた、ポリ乳酸系樹脂についても、素材自体がもつ脆性のため、単体にシート状やフィルム状等に成形した場合、十分な強度を得られず、実用に供しづらいという問題を抱えている。この問題に対し、ポリ乳酸以外の脂肪族ポリエステル(特許文献5参照)、ポリカプロラクトン(特許文献6参照)、エチレン−酢酸ビニル共重合体などの共重合ポリオレフィン(特許文献7参照)等を含有させる方法が知られている。これらはポリ乳酸系樹脂フィルムの透明性を維持したまま脆性を改良させる目的を主としており、収縮仕上り性に対してはまだ不十分な点が残っていた。
一方、ポリ乳酸系樹脂、アクリル系樹脂、およびゴム状成分からなる熱収縮性フィルムが知られている(特許文献9、10)。これらはポリ乳酸の透明性を維持したまま脆性を改良させ、なおかつ収縮仕上り性についても改良させる目的を主としている。しかしながら、これらのフィルムにおいても、透明性や脆性は改良されているが、収縮仕上りに関してはポリスチレン系熱収縮フィルムと比べると、未だ十分とは言い難い。
特開2003−119367号公報 特開2001−011214号公報 特開2000−280342号公報 特開2006−316137号公報 特開2005−036054号公報 特開平09−169896号公報 特開平08−300481号公報 特開平09−151310号公報 特開2007−161826号公報 特開2007−176083号公報
本発明の課題は、熱収縮性フィルムの収縮仕上り性を満足させ、熱収縮特性、耐破断性、耐衝撃性等の機械的特性、および透明性に優れ、収縮包装、収縮結束包装や収縮ラベル等の用途に適した熱収縮性積層フィルムを提供することにある。
本発明のもう一つの課題は、収縮包装、収縮結束包装や収縮ラベル等の用途に適した前記熱収縮性積層フィルムを用いた成形品、熱収縮性ラベル、および前記成形品を用いた、又は熱収縮性ラベルを装着した容器を提供することにある。
本発明は、前記課題に鑑みてなされたものである。すなわち、本発明の上記課題は、ポリ乳酸系樹脂(A)、(メタ)アクリル系樹脂(B)、ポリオレフィン系樹脂(C)、およびポリ乳酸系樹脂(A)とポリオレフィン系樹脂(C)との相溶性を向上させる相溶化剤(D)を含む樹脂組成物からなる(I)層と、ポリ乳酸系樹脂(A)を主成分とし、コアシェル型ゴム(E)を含む樹脂組成物からなる(II)層の少なくとも2層を有する積層フィルムであって、前記積層フィルムが、少なくとも一方向に延伸され、かつ80℃の温水中に10秒間浸漬したときの主収縮方向の熱収縮率が20%以上であることを特徴とする熱収縮性積層フィルムにより達成される。
上記本発明において、前記(I)層を構成する樹脂組成物を100質量%とした場合、前記(I)層に含まれるポリ乳酸系樹脂(A)の含有量が20〜79質量%であり、(メタ)アクリル系樹脂(B)の含有量が10〜35質量%であり、ポリオレフィン系樹脂(C)の含有量が10〜30質量%であり、相溶化剤(D)の含有量が1〜15質量%であることが好ましい。
上記本発明において、前記(I)層に含有される相溶化剤(D)が、幹成分と枝成分からなるグラフト共重合体であり、前記グラフト共重合体の幹成分または枝成分が、エチレン単位、αオレフィン単位、および(メタ)アクリル酸アルキルエステル単位からなる群から選ばれる熱可塑性樹脂セグメントから構成されるグラフト共重合体であることが好ましい。
上記本発明において、前記(II)層に含有されるコアシェル型ゴム(E)のシェルが(メタ)アクリル酸エステルであり、コアがシリコーンゴムまたはアクリル系ゴムであることが好ましい。また、上記本発明において、前記(II)層に含有されるコアシェル型ゴム(E)の含有量が、(II)層を構成する樹脂組成物を100質量%とした場合、3〜20質量%であることが好ましい。
また、本発明のもう一つの課題は、上記本発明の熱収縮性積層フィルムを基材として有する成形品、熱収縮性ラベル、又は前記成形品を用いた、又は前記熱収縮性ラベルを装着した容器によって達成することができる。
本発明によれば、熱収縮性フィルムの収縮仕上り性を満足させ、熱収縮特性、耐破断性、耐衝撃性等の機械的特性、および透明性に優れ、収縮包装、収縮結束包装や収縮ラベル等の用途に適した熱収縮性積層フィルムを提供することができる。
さらに本発明によれば、収縮包装、収縮結束包装や収縮ラベル等の用途に適した前記熱収縮性フィルムを用いた成形品、熱収縮性ラベルおよび前記成形品を用いた、又は熱収縮性ラベルを装着した容器を提供することができる。
以下、本発明に係る熱収縮性積層フィルム、成形品、熱収縮性ラベル、および容器(以下、それぞれ、「本発明のフィルム」、「本発明の成形品」、「本発明のラベル」、「本発明の容器」という。)について詳細に説明する。
なお、本明細書において、「主成分とする」とは、主成分として含有される樹脂が有する作用・効果を妨げない範囲で、他の成分を含むことを許容する趣旨である。さらに、この用語は、具体的な含有率を制限するものではないが、各層の構成成分全体の70質量%以上、好ましくは80質量%以上、さらに好ましくは90質量%以上100質量%以下を占める成分である。
[本発明のフィルム]
本発明のフィルムは、ポリ乳酸系樹脂(A)(以下、「(A)成分」と称することがある)、(メタ)アクリル系樹脂(B)(以下、「(B)成分」と称することがある)、ポリオレフィン系樹脂(C)(以下、「(C)成分」と称することがある)、および上記(A)成分と(C)成分との相溶性を向上させる相溶化剤(D)(以下、「(D)成分」と称することがある)を含む樹脂組成物から構成される(I)層と、ポリ乳酸系樹脂(A)((A)成分)を主成分とし、コアシェル型ゴム(E)(以下、「(E)成分」と称することがある。)を含む樹脂組成物からなる(II)層との少なくとも2層を有し、少なくとも一方向に延伸され、かつ所定の収縮率を有する熱収縮性積層フィルムである。
<(I)層>
(A)成分(ポリ乳酸系樹脂)
(A)成分は、(I)層を構成する樹脂組成物の主成分として含有される。
(A)成分であるポリ乳酸系樹脂とは、D−乳酸若しくはL−乳酸の単独重合体、又はそれらの共重合体をいい、具体的には構造単位がD−乳酸であるポリ(D−乳酸)、構造単位がL−乳酸であるポリ(L−乳酸)、さらにはL−乳酸とD−乳酸の共重合体であるポリ(DL−乳酸)があり、これらの共重合体の混合樹脂も含まれる。
前記L−乳酸とD−乳酸との共重合体は、D−乳酸とL−乳酸との構成比(以下、「D/L比」と略する。)が、1/99〜25/75、又は75/25〜99/1であることが好ましく、3/97〜20/80、又は80/20〜97/3であることがより好ましく、5/95〜15/85、又は85/15〜95/5であることがよりさらに好ましい。
上記D/L比が0/100、又は100/0の場合は、非常に高い結晶性を示し、融点が高く、耐熱性および機械的物性に優れる傾向がある。しかしながら、熱収縮性フィルムとして使用する場合は、通常、印刷および溶剤を用いた製袋工程が伴うため、印刷適性および溶剤シール性を向上させるために、構成材料自体の結晶性を適度に下げることが必要となる。また、結晶性が過度に高い場合、延伸時に配向結晶化が進行し、加熱時のフィルム収縮特性が低下する傾向がある。そこで、本発明のフィルムでは、D−乳酸の共重合比を1以上、又は99以下とすることが好ましい。一方、D−乳酸の共重合比を25以下、又は75以上とすると、耐破断性が大幅に低下することを抑えられるため望ましい。
本発明においては、(A)成分のD/L比をより容易に調整するために、D−乳酸とL−乳酸との共重合比が異なるポリ乳酸系樹脂をブレンドすることも可能である。この場合、複数のポリ乳酸系樹脂のD/L比を平均した値が前記範囲内に入るようにすればよい。使用用途に合わせて、D−乳酸とL−乳酸との共重合体比の異なるポリ乳酸系樹脂を二種以上ブレンドし、結晶性を調整することにより、耐熱性と熱収縮特性のバランスをとることができる。
また、(A)成分は、D−乳酸および/又はL−乳酸と、α−ヒドロキシカルボン酸、脂肪族ジオール、および脂肪族ジカルボン酸から選ばれる少なくとも一種との共重合体であってもよい。
前記のα−ヒドロキシカルボン酸としては、乳酸の光学異性体(L−乳酸に対してはD−乳酸、D−乳酸に対してはL−乳酸を指す)、グリコール酸、3−ヒドロキシ酪酸、4−ヒドロキシ酪酸、2−ヒドロキシn−酪酸、2−ヒドロキシ3,3−ジメチル酪酸、2−ヒロドキシ3−メチル酪酸、2−メチル酪酸、2−ヒドロキシカプロラクトン酸等の2官能脂肪族ヒドロキシ−カルボン酸、カプロラクトン、ブチルラクトン、バレロラクトン等のラクトン類が挙げられる。
また、前記脂肪族ジオールとしては、エチレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノールなどが挙げられる。さらに、前記脂肪族ジカルボン酸としては、コハク酸、アジピン酸、スベリン酸、セバシン酸およびドデカン二酸などが挙げられる。
乳酸と、α−ヒドロキシカルボン酸、脂肪族ジオール、および脂肪族ジカルボン酸から選ばれる少なくとも一種との共重合体の共重合比率は、乳酸:(α−ヒドロキシカルボン酸、脂肪族ジオール、および脂肪族ジカルボン酸から選ばれる少なくとも一種)の質量比で、好ましくは95:5〜10:90、より好ましくは90:10〜20:80、さらに好ましくは80:20〜30:70である。共重合比が上記範囲内であれば、剛性、透明性、耐衝撃性などの物性バランスの良好なフィルムを得ることができる。
(A)成分の重合法としては、縮合重合法、開環重合法など、公知の方法をいずれも採用することができる。例えば縮合重合法であれば、D−乳酸、L−乳酸、又は、これらの混合物を直接脱水縮合重合して任意の組成を有するポリ乳酸系樹脂を得ることができる。また、開環重合法では、乳酸の環状2量体であるラクチドを、必要に応じて重合調整剤などを用いながら、所定の触媒の存在下で開環重合することにより任意の組成を有するポリ乳酸系樹脂を得ることができる。前記ラクチドには、L−乳酸の二量体であるDL−ラクチドがあり、これらを必要に応じて混合して重合することにより、任意の組成、結晶性を有するポリ乳酸系樹脂を得ることができる。さらには、分子量増大を目的として少量の鎖延長剤、例えば、ジイソシアネート化合物、ジエポキシ化合物、酸無水物、酸クロライドなどを使用しても構わない。
(A)成分の質量平均分子量は、好ましくは20,000以上、より好ましくは40,000以上、さらに好ましくは60,000以上であり、また、好ましくは400,000以下、より好ましくは350,000以下、さらに好ましくは300,000以下である。質量平均分子量が20,000以上であれば、適度な樹脂凝集力が得られ、フィルムの強伸度が不足したり、脆化したりすることを抑えることができる。一方、重量(質量)平均分子量が400,000以下であれば、溶融粘度を下げることができ、製造、生産性向上の観点からは好ましい。質量平均分子量は、一般的にGPC(ゲルパーメイションクロマトグラフ)や粘度法により測定することができる。
前記(A)成分の市販品としては、例えば、「NatureWorks」(ネイチャーワークス社製)、「LACEA」(三井化学社製)などが挙げられる。
(B)成分((メタ)アクリル系樹脂)
次に、(B)成分である(メタ)アクリル系樹脂(B)について説明する。なお、本明細書において、「(メタ)アクリル」とは、「アクリル又はメタクリル」を意味する。
前記(B)成分である(メタ)アクリル系樹脂とは、好ましくはメタクリル酸メチル単独重合体、又はメタクリル酸メチルを50質量%以上と、他のビニル単量体から選ばれる2種以上の単量体の共重合体である。このビニル単量体としては、(メタ)アクリル酸エステル類、不飽和酸類、スチレン、α−メチルスチレン、(メタ)アクリロニトリル、無水マレイン酸、フェニルマレイミド、シクロヘキシルマレイミド等が挙げられる。
ビニル単量体として例示される前記(メタ)アクリル酸エステル類の具体例としては、アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸フェニル、(メタ)アクリル酸ベンジル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル等が挙げられる。また、前記不飽和酸類としては、(メタ)アクリル酸等が挙げられる。
また、前記の共重合体には、ポリブタジエン、ブタジエン−アクリル酸ブチル共重合体、ポリアクリル酸ブチル共重合体などのエラストマー成分や、無水グルタル酸単位、グルタルイミド単位をさらに含んでいてもよい。
この中でも、(B)成分としては、剛性、成形性の観点から、メタクリル酸メチルの単独重合体であるポリメタクリル酸メチル(PMMA)や、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸ブチル、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、アクリル酸、およびメタクリル酸から選ばれる2種以上の単量体からなる共重合体等が好適に用いられる。
(B)成分の質量平均分子量は、好ましくは20,000以上、より好ましくは40,000以上、さらに好ましくは60,000以上であり、また、好ましくは400,000以下、より好ましくは350,000以下、さらに好ましくは300,000以下である。質量平均分子量が20,000以上であれば、フィルムの強伸度が不足したり、脆化したりすることを抑えることができる。一方、質量平均分子量が400,000以下であれば、溶融粘度を下げることができ、製造、生産性向上の観点から好ましい。
前記(B)成分の市販品としては、例えば、「スミペックス」(住友化学社製)、「アクリペット」(三菱レイヨン社製)、「パラペット」(クラレ社製)、「アルテュグラス」(アトフィナ・ジャパン社製)、「デルペット」(旭化成ケミカルズ社製)などが挙げられる。
本発明においては、(A)成分と(B)成分を混合することで、その樹脂組成物のガラス転移温度が向上することから、収縮特性に影響を及ぼす樹脂組成物のガラス転移温度を調整することが可能となり、収縮仕上り性を向上させるのに有効となる。
(C)成分(ポリオレフィン系樹脂)
次に、(C)成分であるポリオレフィン系樹脂(C)について説明する。
(II)層には、フィルムの耐衝撃性を向上させるために、熱収縮性、フィルムの剛性を損なわない範囲内で、(C)成分が使用される。(C)成分は、振動周波数10Hzの条件で測定したときの20℃の貯蔵弾性率(E’)が好ましくは100MPa以下、より好ましくは80MPa以下、さらに好ましくは50MPa以下である。また貯蔵弾性率(E’)の下限値としてフィルム全体の腰(常温での剛性)を考慮して、好ましくは0.1MPa以上、より好ましくは1.0MP以上、さらに好ましくは3.0MPa以上である。20℃の貯蔵弾性率(E’)が上記範囲に有する(C)成分は、ポリオレフィンの結晶化度が低く、密度が小さくなるため、(C)成分の平均屈折率も低くなり、混合する(A)成分との平均屈折率を近づけることができる。そのため、内部ヘイズを低減することが達成できるため、耐破断性の改良と透明性の維持において、非常に有用である。また貯蔵弾性率(E’)が100MPa以下であれば、耐破断性の改良効果が低下することもなく、大幅な外観不良の発生を抑えることができる。一方、貯蔵弾性率(E’)が0.1MPa以上であれば、フィルム全体の腰が大幅に低下することを抑えることができる。
さらに、(C)成分は、振動周波数10Hzで測定したときの70℃の貯蔵弾性率(E’)が好ましくは50MPa以下、より好ましくは30MPa以下、より好ましくは20MPa以下、さらに好ましくは10MPa以下である。一方、貯蔵弾性率(E’)は、好ましくは0.1MPa以上、より好ましくは0.5MPa以上、さらに好ましくは1.0MPa以上である。本発明の熱収縮性積層フィルムをペットボトルの収縮ラベル用途等に使用する場合、ペットボトル等の被覆対象物へのラベル装着工程として、熱収縮加工工程を要し、また、内容物の劣化、破裂等を防止するため、熱収縮加工は60〜100℃にて行われる。そのため、(C)成分の70℃の貯蔵弾性率(E’)が50MPa以下であれば、熱収縮加工温度領域において、フィルムに十分な熱収縮率を発現させることができる。また70℃の貯蔵弾性率(E’)が0.1MPa以上であれば、熱収縮加工工程において、十分なフィルムの強度を維持することができるため、フィルムの破袋やよれ等が生じず被覆対象物への均一な装着を可能にしやすい。
なお、(C)成分の貯蔵弾性率(E’)は、20℃および70℃の温度下で、振動周波数10Hz、歪み0.1%、昇温速度3℃/分、チャック間2.5cmの条件の下、−150℃から200℃の範囲で動的粘弾性を測定することにより算出することができる。
(C)成分の上記貯蔵弾性率(E’)の大きさは、例えば、後述するように、エチレンと炭素数3以上20以下のα−オレフィンとの共重合体を含む場合、該共重合体の含有量を増減することにより調整することができる。例えば、上記貯蔵弾性率(E’)を上げたい場合には、エチレンと炭素数3以上20以下のα−オレフィンとの共重合体の含有量を減らす、あるいはα−オレフィンとの共重合体におけるα−オレフィンの共重合比率を減らし、反対に貯蔵弾性率(E’)を下げたい場合には、エチレンと炭素数3以上20以下のα−オレフィンとの共重合体の含有量を増やし、あるいはα−オレフィンとの共重合体におけるα−オレフィンの共重合比率を増やすことによって調整可能である。
(C)成分は振動周波数10Hz、歪み0.1%の条件下で測定したときの20℃の貯蔵弾性率(E’)が前記載の範囲を満たしていれば、特に限定されず、ポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂や、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−エチルアクリレート共重合体、エチレン−メチルアクリレート共重合体などのエチレン系共重合体が挙げられる。本発明においては、70℃の貯蔵弾性率(E’)を所定の範囲に調整する観点、並びに、熱収縮特性、機械的物性および成形性の観点から、ポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂、またはこれらの混合物を用いることが好ましい。
ポリエチレン系樹脂やポリプロピレン系樹脂は、重合方法や共重合成分などにより多様な種類が存在するため、その範囲に特に限定されるものではないが、好ましくは、以下のとおりである。
ポリエチレン系樹脂としては、密度が0.92〜0.94g/cm3の中密度ポリエチレン樹脂(MDPE)、密度が0.92g/cm3未満の低密度ポリエチレン樹脂(LDPE)、および直鎖状低密度ポリエチレン樹脂(LLDPE)が挙げられる。この中でも延伸性、フィルムの耐衝撃性、透明性等の観点からは、直鎖状低密度ポリエチレン樹脂(LLDPE)が好適に用いられる。
上記直鎖状低密度ポリエチレン樹脂(LLDPE)としては、好ましくはエチレンと炭素数3以上20以下、より好ましくは炭素数4以上12以下のα−オレフィンとの共重合体が挙げられる。α−オレフィンとしては、例えば、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−へキセン、1−へプテン、1−オクテン、1−ノネン、1−デセン、3−メチル−1−ブテン、4−メチル−1−ペンテン等が例示される。この中でも1−ブテン、1−ヘキセン、1−オクテンが好適に用いられる。また、共重合するα−オレフィンは1種のみを単独で、または2種以上を組み合わせて用いても構わない。
(C)成分は、上記ポリエチレン系樹脂成分を70質量%以上含有することが好ましく、より好ましくは75質量%以上含有する。上記含有量が70質量%以上であればフィルム全体の腰を維持することができる。
上記ポリエチレン系樹脂の密度は0.910g/cm3以下であることが好ましく、0.905g/cm3以下がより好ましく、0.900g/cm3以下がさらに好ましい。また、下限は特に限定されないが0.800g/cm3以上が好ましく、0.850g/cm3以上がより好ましく、0.880g/cm3以上がさらに好ましい。密度が0.910g/cm3以下であれば、(A)成分との親和性も向上し、さらに延伸性が維持され実用温度域(70℃以上90℃以下程度)の熱収縮率を充分得ることができる点で好ましく、一方、密度が0.800g/cm3以上であればフィルム全体の腰(常温での剛性)や耐熱性を著しく低下させないため、実用上好ましい。
上記ポリエチレン系樹脂は、メルトフローレート(MFR:JIS K7210、温度:190℃、荷重:21.18N)が0.1〜10g/10分のものが好適に用いられる。MFRが0.1g/10分以上であれば、押出加工性を良好に維持でき、一方、MFRが10g/10分以下であれば積層フィルムの厚み斑や力学強度の低下を起こしにくく、好ましい。
前記ポリプロピレン系樹脂としては、ホモプロピレン樹脂のほか、ホモプロピレン樹脂と比較して、柔軟性を有する軟質ポリプロピレン系樹脂が挙げられる。軟質ポリプロピレン系樹脂としては、例えば、ランダムポリプロピレン樹脂、ブロックポリプロピレン樹脂、プロピレン−エチレンゴムなどが挙げられる。これら中でも延伸性、耐破断性の観点から、ランダムポリプロピレン樹脂が特に好適に使用される。
上記ランダムポリプロピレン樹脂において、プロピレンと共重合させるα−オレフィンとしては、好ましくは炭素数2以上20以下、より好ましくは炭素数4以上12以下のものが挙げられ、エチレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−へキセン、1−へプテン、1−オクテン、1−ノネン、1−デセンなどを例示できる。本発明のフィルムにおいては、延伸性、熱収縮特性、フィルムの耐衝撃性や透明性、剛性等の観点から、α−オレフィンとしてプロピレン単位の含有率が80質量%以上、好ましくは85質量%以上、より好ましくは90質量%以上のランダムポリプロピレンが特に好適に用いられる。また、共重合するα−オレフィンは1種のみを単独で、または2種以上を組み合わせて用いても構わない。
ポリプロピレン系樹脂のメルトフローレート(MFR)は、通常、MFR(JIS K7210、温度:230℃、荷重:21.18N)が、0.5g/10分以上、好ましくは1.0g/10分以上であり、かつ15g/10分以下、好ましくは10g/10分以下であることが望ましい。
上述のポリエチレン系樹脂やポリプロピレン系樹脂は、より具体的には、ポリエチレン系樹脂として商品名「ノバテックLD、LL」、「カーネル」、「タフマーA、P」(以上、日本ポリエチ社製)、「サンテックHD、LD」(旭化成ケミカルズ社製)、「HIZEX」、「ULTZEX」、「EVOLUE」(以上、三井化学社製)、「モアテック」(出光興産社製)、「UBEポリエチレン」、「UMERIT」(以上、宇部興産社製)、「NUCポリエチレン」、「ナックフレックス」(以上、日本ユニカー社製)、「Engage」(ダウケミカル社製)などとして市販されている。これらの樹脂は、各々単独に、または2種以上を組み合わせて使用することができる。
またポリプロピレン系樹脂として商品名「ノバテックPP」、「WINTEC」、「タフマーXR」(以上、日本ポリプロ社製)、「三井ポリプロ」(三井化学社製)、「住友ノーブレン」、「タフセレン」、「エクセレンEPX」(以上、住友化学社製)、「IDEMITSU PP」、「IDEMITSU TPO」(以上、出光興産社製)、「Adflex」、「Adsyl」(以上、サンアロマー社製)、「VERSIFY」(ダウケミカル社製)などとして市販されている。これらの樹脂は、各々単独に、または2種以上を組み合わせて使用することができる。
また、(C)成分として、エチレンと共重合可能なモノマーとの共重合体(エチレン系共重合体)も好適に用いることができる。エチレン系共重合体を例示すれば、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−エチルアクリレート共重合体、エチレン−メチルアクリレート共重合体などが挙げられる。
上記エチレン系共重合体のエチレン含有率は、好ましくは70質量%以上、より好ましくは75質量%以上であり、かつ好ましくは95質量%以下、より好ましくは90質量%以下、さらに好ましくは85質量%以下である。エチレン含有率が70質量%以上であれば、フィルム全体の耐破断性と収縮特性を良好に維持できる。
エチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)の市販品としては、例えば、「エバフレックス」(三井デュポンポリケミカル社製)、「ノバテックEVA」(三菱化学社製)、「エバテート」(住友化学社製)が挙げられる。また、エチレン−エチルアクリレート共重合体(EEA)の市販品としては、例えば「エバフレックスEEA」(三井デュポンポリケミカル社製)、エチレン−メチルアクリレート共重合体としては「エルバロイAC」(三井デュポンポリケミカル社製)などがそれぞれ挙げられる。これらの共重合体は、各々単独に、または2種以上を組み合わせて使用することができる。
上記エチレン系共重合体のMFRは、特に制限されるものではないが、通常、MFR(JIS K7210、温度:190℃、荷重:21.18N)で、下限値を考慮して、好ましくは0.5g/10分以上、より好ましくは1.0g/10分以上であり、上限値を考慮して、好ましくは15g/10分以下、より好ましくは10g/10分以下である。
(C)成分は、質量平均分子量の下限値が好ましくは50,000、より好ましくは100,000であり、上限値が700,000、より好ましくは600,000、さらに好ましくは500,000である。(C)成分の質量平均分子量が上記範囲内であれば、所望の機械物性や耐熱性等の実用物性を発現でき、また適度な溶融粘度が得られ、良好な成形加工性が得られる。
また、(C)成分の製造方法は、特に限定されるものではなく、公知のオレフィン重合用触媒を用いた公知の重合方法、例えばチーグラー・ナッタ型触媒に代表されるマルチサイト触媒やメタロセン系触媒に代表されるシングルサイト触媒を用いた、スラリー重合法、溶液重合法、塊状重合法、気相重合法等、また、ラジカル開始剤を用いた塊状重合法等が挙げられる。
(D)成分(相溶化剤)
次に、(D)成分である相溶化剤について説明する。相溶化剤は、前記(A)成分と(C)成分との相溶性を向上させるものであり、これらの樹脂を相溶化させる樹脂を主成分としてなるものである。相溶化剤は、(A)成分と(C)成分とを相溶化させる樹脂であれば特に限定されないが、(A)成分と(C)成分との相溶性および透明性の観点から、幹成分と枝成分からなるグラフト共重合体であることが好ましく、その幹成分、または枝成分が、エチレン単位、αオレフィン単位、および(メタ)アクリル酸アルキルエステル単位からなる群から選ばれる熱可塑性樹脂セグメントから構成されるグラフト共重合体を用いることがより好ましい。
グラフト共重合体の幹成分、および/または、枝成分となる熱可塑性樹脂セグメントに使用する熱可塑性樹脂は、例えば、ポリエチレン、ポリαオレフィン、ポリ(メタ)アクリル酸アルキルエステル、エチレン−αオレフィン共重合体、エチレン−(メタ)アクリル酸アルキルエステル共重合体、αオレフィン−(メタ)アクリル酸アルキルエステル共重合体、エチレン−αオレフィン−(メタ)アクリル酸アルキルエステル共重合体からなる群から選ばれる。これらは単独で用いてもよく、また2種以上組み合わせて用いてもよい。
上記αオレフィンとしては、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−オクテン、1−デセン、2−メチル−1−プロペン、3−メチル−1−ペンテン、4−メチル−1−ペンテン、5−メチル−1−ヘキセンなどが挙げられる。これらのαオレフィンは単独もしくは2種以上組み合わせて用いられる。
ポリ(メタ)アクリル酸アルキルエステルの具体例としては、ポリアクリル酸メチル、ポリアクリル酸エチル、ポリアクリル酸n−ブチル、ポリアクリル酸イソブチル、ポリアクリル酸2−エチルヘキシル、ポリメタクリル酸メチル、ポリメタクリル酸エチル、ポリメタクリル酸n−ブチル、ポリメタクリル酸イソブチル、ポリメタクリル酸2−エチルヘキシル等が挙げられる。
エチレン−αオレフィン共重合体の具体例としては、エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−ブテン共重合体、エチレン−ヘキセン共重合体、エチレン−オクテン共重合体等が挙げられる。
エチレン−(メタ)アクリル酸アルキルエステル共重合体の具体例としては、エチレン−アクリル酸メチル共重合体、エチレン−アクリル酸エチル共重合体、エチレン−アクリル酸n−ブチル共重合体、エチレン−アクリル酸イソブチル共重合体、エチレン−アクリル酸2−エチルヘキシル共重合体、エチレン−メタクリル酸メチル共重合体、エチレン−メタクリル酸エチル共重合体、エチレン−メタクリル酸n−ブチル共重合体、エチレン−メタクリル酸イソブチル共重合体、エチレン−メタクリル酸2−エチルヘキシル共重合体等が挙げられる。
(D)成分における幹成分と枝成分の組み合わせとして、幹成分または枝成分のいずれか一方がポリ乳酸系樹脂との相溶性が大きい成分から構成されることが好ましく、かつ、他方の枝成分または幹成分はポリオレフィン系樹脂との相溶性が大きい成分から構成されることがさらに好ましい。
具体的に例示するならば、例えば、幹成分としてポリエチレン、枝成分としてポリメタクリル酸メチルからなるグラフト共重合体や、幹成分としてエチレン−アクリル酸エチル共重合体、枝成分としてポリメタクリル酸メチルからなるグラフト共重合体等、あるいはその組み合わせからなるグラフト共重合体が好ましく用いられる例として挙げられる。
また、前記グラフト共重合体のメルトフローレート(MFR)又はメルトインデクス(MI)は、好ましくは0.01g/10分以上、より好ましくは0.1g/10分以上、さらに好ましくは1.0g/10分以上であり、また、好ましくは500g/10分以下、より好ましくは300g/10分以下、さらに好ましくは200g/10分以下である。このMFRはJIS K7210に規定された方法に準拠して、樹脂温度230℃、測定荷重21.18Nの条件で測定したものである。MFRが0.01g/10分以上500g/10分以下の範囲にあれば、グラフト共重合体とポリ乳酸系樹脂との良好な親和性が得られる。
また、前記グラフト共重合体の枝成分の好ましい含有量は、グラフト共重合体を構成する幹成分と枝成分の合計を100質量%として、これに対し、好ましくは1質量%以上、より好ましくは5質量%以上、さらに好ましくは10質量%以上であり、また、好ましくは95質量%以下、より好ましくは90質量%以下、さらに好ましくは80質量%以下である。上記好ましい範囲内においては、前記グラフト共重合体が、(A)成分と(C)成分とを相溶させる効果を発現しやすく、分散性が低下することもなく、良好な外観を有する成形体が得られる。また、幹成分と枝成分の割合を調整することにより、グラフト共重合体の極性を変更し、(A)成分と(C)成分との相互作用を調整することも可能である。
上記のグラフト共重合体の市販品としては、例えば商品名「モディパー」(日本油脂社製)、「レゼダ」(東亜合成社製)などが挙げられる。
(D)成分として2種以上の樹脂を使用する場合、(A)成分と(C)成分との相溶性、混合樹脂の透明性、粘弾性値等を考慮して配合比を調整することができる。例えば、上記のグラフト共重合体と変性スチレン−芳香族系炭化水素と共役ジエン系炭化水素との共重合体、芳香族ビニル系炭化水素と共役ジエン系炭化水素との共重合体の水素添加物、又はこれらに極性基を導入した共重合体などを混合樹脂として用いることができる。2種以上の相溶化剤を使用した場合、(A)成分と(C)成分との相溶効果をさらに促進させ、フィルムの透明性を向上させるため好ましい。
その他の添加物
本発明では、本発明の効果を著しく阻害しない範囲で、ポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂、ポリスチレン系樹脂(汎用ポリスチレン(GPPS)、耐衝撃性ポリスチレン(HIPS)、スチレン−ブタジエン共重合体(SBS)、スチレン−イソプレン共重合体(SIS)、スチレン−エチレン−ブタジエン共重合体(SEBS)、スチレン−エチレン−プロピレン共重合体(SEPS)、スチレン−カルボン酸共重合体等)、ポリアミド系樹脂、ポリオキシメチレン系樹脂などの熱可塑性樹脂を少なくとも1種を、前記の(I)層を構成する樹脂組成物に添加することができる。
(A)〜(D)各成分の含有量
(I)層を構成する樹脂組成物全体を100質量%として、これに対し、前記(I)層に含まれる各成分の含有量は、(A)成分が20〜79質量%であり、(B)成分が10〜35質量%であり、(C)成分が10〜30質量%であり、(D)成分が1〜15質量%であることが好ましい。また、より好ましくは、各成分の含有量は、(A)成分が27〜67質量%、(B)成分が15〜30質量%であり、(C)成分が15〜25質量%、(D)成分が3〜12質量%である。
(B)成分の含有量が10質量%以上であれば、フィルムの収縮特性、収縮仕上り性、透明性を向上させる効果を十分得ることができる。一方、(B)成分の含有量が35質量%以下であれば、フィルムの耐衝撃性が顕著に低下せず、低温での延伸性および収縮特性を維持することができ、実用温度域(70〜90℃程度)の熱収縮率を充分に得られることができるため好ましい。また、(C)成分の含有量が10質量%以上であれば、フィルムの耐破断性が著しく低減することがなく、また、(C)成分の含有量が30質量%以下であれば、(I)層に隣接する(II)層との層間剥離強度を所定の範囲に維持することができ、また外観不良が生じない。さらに、(D)成分の含有量が1質量%以上であれば、相溶効果が発揮され、外観不良などが発生し難くなり、また、(D)成分の含有量が15質量%以下であれば、フィルムの剛性を阻害することもなく好ましい。
<(II)層>
本発明の熱収縮性積層フィルムの(II)層は、(A)成分(ポリ乳酸系樹脂(A))を主成分とし、(E)成分(コアシェル型ゴム(E))を含む樹脂組成物からなる。
(A)成分(ポリ乳酸系樹脂)
(A)成分であるポリ乳酸系樹脂については、前述のとおりである。
(E)成分(コアシェル型ゴム)
次に、(E)成分であるコアシェル型ゴムについて説明する。
(E)成分は、コア層と、コア層を覆う少なくとも1層以上のシェル層とから構成される重合体である。該シェルの層数は特に限定されるものではなく、単層であっても2層以上であっても構わない。
(E)成分のコア層としては、耐破断性向上のため、ゴム弾性を有するものが好ましく、例えば、アクリル系、シリコーン系、スチレン系、ニトリル系、共役ジエン系、ウレタン系、オレフィン系の各重合体などからなるものが挙げられる。中でも、熱収縮性フィルムの要求特性の一つである透明性の観点から、コア層としては、シリコーンゴム、アクリル系ゴム、シリコーン・アクリル複合ゴムが好ましい。その具体例としては、ジメチルシロキサンやフェニルメチルシロキサン等のシロキサン化合物、アクリル酸エチルやアクリル酸ブチル、2エチルヘキシルアクリレート等のアクリル化合物を重合させて成るゴム成分、またはこれらの成分の共重合成分等が好ましい。
(E)成分のシェル層、又はシェル層が二層以上である場合はその最外層を形成するシェル層としては、不飽和カルボン酸エステル系単位、グリシジル基含有ビニル系単位、脂肪族ビニル系単位、芳香族ビニル系単位、シアン化ビニル系単位、マレイミド系単位、不飽和ジカルボン酸無水物系単位、またはその他のビニル系単位等を含有する重合体が挙げられる。中でも、(A)成分との相溶性の観点よりシェル層は(メタ)アクリル酸エステル系単位を含有する重合体で形成することが好ましい。
(E)成分の製造方法としては、特に限定されるものでなく、公知の重合方法、例えば、原料モノマーと多官能ビニルモノマーを特定比率で含む混合物を懸濁重合、乳化重合等で得られる。
(E)成分の粒径は、特に限定されるものではないが、平均粒径で0.01μm以上、好ましくは0.02μm以上であり、さらに好ましくは0.05μm以上であり、100μm以下、好ましくは50μm以下、さらに好ましくは20μm以下である。平均粒径が0.01μm以上であれば、耐破断性効果を発現するのに十分であるため好ましく、また、100μm以下であれば、最表層を形成する(II)層に添加した場合においても、表面荒れ等による外部ヘイズの増加が少なく、本発明のフィルムに印刷を施し、意匠性を高める場合においても、インキ抜けなどが生じにくく、印刷図柄の外観を損ねるなどの欠点もなく好ましい。
なお、(E)成分の平均粒径は、一般的に動的光散乱法やレーザー回折法により測定することができる。
(E)成分を構成するコア層とシェル層の質量比は、特に限定されるものではないが、(E)成分100質量部に対して、コア層が20質量部以上、好ましくは30質量部以上、さらに好ましくは50質量部以上であり、95質量部以下、好ましくは90質量部以下、さらに好ましくは85質量部以下である。コア層が20質量部以上であれば(II)層に添加した場合の耐破断性効果を保持できるため好ましい。
(E)成分の市販品としては、例えば、「メタブレン」(三菱レイヨン社製)、「カネエース」(カネカ社製)、「パラロイド」(ロームアンドハース社製)、「スタフィロイド」(ガンツ化成社製)または「パラフェイス」(クラレ社製)などが挙げられ、これらは、単独ないし2種以上を組み合わせて用いることができる。
(II)層における(E)成分の含有量は、(II)層を構成する樹脂組成物の質量(100質量%)を基準として、好ましくは3質量%以上、より好ましくは5質量%以上、また、好ましくは30質量%以下、より好ましくは20質量%以下である。(E)成分の含有量が3質量%以上であれば、(II)層の耐破断性を向上し、積層構造を有する本発明のフィルムにおいても、(II)層の耐破断性の向上により積層フィルム全体への破断の伝播を抑制することができ、シュリンクフィルムとしての要求品質に十分な引張破断伸度を得ることができる。また、(E)成分の含有量が30質量%以下であれば、(II)層と前記(I)層との層間における剥離が生じることがないため、印刷工程、製袋工程でのハンドリングが良好となる。
また、(II)層を構成する樹脂には、(A)成分および(E)成分以外にも本発明の効果を損なわない範囲で他の樹脂を混合することも可能となる。
本発明において、フィルムの滑り性付与やブロッキング防止のため、本発明の効果を阻害しない範囲で、(II)層に非相溶性の樹脂をブレンドする手法や、アンチブロッキング剤をさらに添加してもよい。
前記アンチブロッキング剤を例示すると、シリカ、タルク、炭酸カルシウムなどの無機粒子、無機酸化物、炭酸塩や、架橋アクリル系、架橋ポリエステル系、架橋ポリスチレン系、シリコーン系等の各有機粒子などが挙げられる。また、多段階で重合せしめた多層構造を形成した有機粒子も用いることができる。中でも、シリカや有機粒子が好ましく用いられる。
前記アンチブロッキング剤はフィルム表面を荒らすことにより、滑り性や耐ブロッキング性を発現させ、かつ、透明性や、フィルムの光沢を阻害しないよう、適切な添加量、および種類を選択する必要がある。上記アンチブロッキング剤の添加量は、(II)層を構成する樹脂組成物全体の質量を基準(100質量%)として、好ましくは0.01質量%以上、より好ましくは0.015質量%以上、さらに好ましくは0.02質量%以上であり、かつ、好ましくは2質量%以下、より好ましくは1.5質量%以下、さらに好ましくは1質量%以下とする。前記アンチブロッキング剤の添加量が少なすぎる(0.01質量%未満)と、フィルム表面へのアンチブロッキング剤の析出が十分でなく、フィルム表面に凹凸を形成しにくいため、十分な滑り性や耐ブロッキング性を発現できないことがある。また、逆にアンチブロッキング剤が多すぎる(2質量%超)と、フィルム表面の過剰な凹凸が生じやすく、表面荒れによる透明性の阻害や、過剰な滑り性の付与によるフィルムロールの巻きづれなどが生じやすい。
前記アンチブロッキング剤の形状は、特に限定されるものではないが、(II)層内での凝集抑制、均一分散の観点、透過する光の乱反射抑制、およびフィルム表面に形成される凹凸の観点から球状のものが好ましく用いられる。前記アンチブロッキング剤の平均粒径は、好ましくは0.5μm以上、より好ましくは1μm以上であり、かつ、好ましくは10μm以下、より好ましくは8μm以下、さらに好ましくは6μm以下である。前記アンチブロッキング剤の平均粒径が小さすぎる(0.5μm未満)と、アンチブロッキング剤がフィルム表面へ析出しづらく、また、表面に析出したアンチブロッキング剤においても、滑り性や耐ブロッキング性を発現するに十分な凹凸を付与しづらい。一方、前記アンチブロッキング剤の平均粒径が大きすぎる(10μm超)と、本発明のフィルムに印刷を施し、意匠性を高める場合において、インキ抜けなどが生じやすく、印刷図柄の外観を損ねることがある。前記アンチブロッキング剤の粒径の分布は、特に制限されるものではないが、前記粒径の大小による弊害の関係より、粒径分布が狭いものが好ましい。粒径分布が広くなりすぎると、前述した好ましい粒径の範囲を逸脱するものが含まれる可能性がある。
<本発明のフィルムの積層構造>
本発明のフィルムの構成は、前述したとおり、(A)成分、(B)成分、(C)成分および(D)成分を含む樹脂組成物からなる(I)層と、前記の(A)層を主成分とし、(E)成分を含む樹脂組成物からなる(II)層との少なくとも2層を有すれば、層構成は特に限定されるものではない。(I)層を(II)層と積層することにより、熱収縮性フィルムの特性、特に収縮特性の調整を容易に行うことができる。
なお、「(I)層と(II)層との少なくとも2層を有する」とは、(I)層に隣接して(II)層が片面又は両面に積層されている態様のみならず、(I)層と(II)層との間に接着性の改良やバリア性、隠蔽性、断熱性等を付与する目的のため、第3の層を有する場合も含まれる。好ましくは中間層として(I)層、表面層として(II)層を有する2種3層の層構成((II)層/(I)層/(II)層)、又は中間層と表面層との間に接着層を有する3種5層の層構成((II)層/接着層/(I)層/接着層/(II)層)などの層構成が挙げられる。
本発明のフィルムにおいて、最も好適な積層構成は「(II)層/(I)層/(II)層」の2種3層構成である。(A)成分を主成分とする(II)層を表面層とすることによって、表面調整がよりしやすくなるからである。
本発明のフィルムにおいて、各層の積層比は特に制限されないが、本発明のフィルム全体の厚みに対して(I)層の厚さの割合が50%以上、好ましくは60%以上であり、95%以下、好ましくは90%以下である。(I)層が前記範囲内であれば、耐破断性、収縮仕上り性が良好となるからである。また、(II)層の厚さの割合は、剛性および透明性の観点から5%以上、好ましくは10%以上であり、50%以下、好ましくは40%以下である。
本発明のフィルムの総厚みは特に限定されるものではないが、透明性、収縮加工性、原料コスト等の観点からは薄い方が好ましい。具体的には延伸後のフィルムの総厚みが好ましくは80μm以下であり、より好ましくは70μm以下であり、さらに好ましくは50μm以下である。また、フィルムの総厚みの下限は特に限定されないが、フィルムのハンドリング性を考慮すると、20μm以上であることが好ましい。
本発明のフィルムを構成する各層には、上述した成分のほか、本発明の効果を阻害しない範囲内で、成形加工性、生産性および熱収縮性フィルムの諸物性を改良・調整する目的で、フィルムの耳などのトリミングロス等から発生するリサイクル樹脂やシリカ、タルク、カオリン、炭酸カルシウム等の無機粒子、酸化チタン、カーボンブラック等の顔料、難燃剤、耐候性安定剤、耐熱安定剤、帯電防止剤、溶融粘度改良剤、架橋剤、滑剤、核剤、老化防止剤などの添加剤を適宜添加できる。
<本発明のフィルムの製造方法>
本発明のフィルムは、公知の方法によって製造することができる。フィルムの形態としては平面状、チューブ状の何れであってもよいが、生産性(原反フィルムの幅方向に製品として数丁取りが可能)や内面に印刷が可能という点から平面状が好ましい。平面状のフィルムの製造方法としては、例えば、複数の押出機を用いて樹脂を溶融し、Tダイから共押出し、チルドロールで冷却固化し、縦方向にロール延伸をし、横方向にテンター延伸をし、アニールし、冷却し、(印刷が施される場合にはその面にコロナ放電処理をして、)巻取機にて巻き取ることによりフィルムを得る方法が例示できる。また、チューブラー法により製造したフィルムを切り開いて平面状とする方法も適用できる。
延伸倍率はオーバーラップ用等、二方向に収縮させる用途では、好ましくは、縦方向が2倍〜10倍、横方向が2〜10倍、より好ましくは縦方向が3〜6倍、横方向が3〜6倍程度である。一方、熱収縮性ラベル用等、主として一方向に収縮させる用途では、主収縮方向に相当する方向が、好ましくは2〜10倍、より好ましくは4〜8倍、それと直交する方向が、好ましくは1〜2倍、より好ましくは1.01〜1.5倍の、実質的には一軸延伸の範疇にある倍率比を選定することが望ましい。なお、1倍とは、延伸していな場合を指す。
前記範囲内の延伸倍率で延伸した二軸延伸フィルムは、主収縮方向と直交する方向の熱収縮率が大きくなりすぎることはなく、例えば、収縮ラベルとして用いる場合、容器に装着するとき容器の高さ方向にもフィルムが熱収縮する、いわゆる縦引け現象を抑えることができるため好ましい。
延伸温度は、用いる樹脂のガラス転移温度や熱収縮性フィルムに要求される特性によって適宜選択できるが、概ね60℃以上、好ましくは70℃以上であり、上限値を考慮して、100℃以下、好ましくは90℃以下の範囲で制御される。次いで、延伸したフィルムは、必要に応じて、自然収縮率の低減や熱収縮特性の改良等を目的として、50〜120℃程度の温度で熱処理や弛緩処理を行った後、分子配向が緩和しない時間内に速やかに冷却され、熱収縮性フィルムとなる。
また本発明のフィルムは、必要に応じてコロナ処理、印刷、コーティング、蒸着等の表面処理や表面加工、さらには、各種溶剤やヒートシールによる製袋加工やミシン目加工などを施すことができる。
<熱収縮性積層フィルムの物理的・機械的特性>
(熱収縮率、収縮仕上り性)
本発明のフィルムは、80℃温水中に10秒間浸漬した際の主収縮方向の収縮率が20%以上であることが重要であり、好ましくは30%以上、さらに好ましくは40%以上である。
ここで、「熱収縮率」とは、後述するように、縦方向あるいは横方向について、収縮前の原寸に対する収縮量の比率を%値で表したものである。これは、ペットボトルの収縮ラベル用途等の比較的短時間(数秒〜十数秒程度)での収縮加工工程への適応性を判断する指標となる。なお、「主収縮方向」とは、縦方向と横方向のうち延伸方向の大きい方を意味し、例えば、ボトルに装着する場合にはその外周方向に相当する方向である。
現在、ペットボトルのラベル装着用途に工業的に最も多く用いられている収縮加工機としては、収縮加工を行う加熱媒体として水蒸気を用いる蒸気シュリンカーと一般に呼ばれているものである。さらに熱収縮性フィルムは被覆対象物への熱の影響などの点からできるだけ低い温度で十分熱収縮することが必要である。しかしながら、温度依存性が高く、温度によって極端に収縮率が異なるフィルムの場合、蒸気シュリンカー内の温度斑に対して収縮挙動の異なる部位が発生し易いため、収縮斑、皺、アバタなどが発生し収縮仕上がり外観が悪くなる傾向にある。これら工業生産性も含めた観点から、80℃の温水中に10秒間浸漬させたときの主収縮方向の熱収縮率が20%以上であれば、収縮加工時間内に十分に被覆対象物に密着でき、かつ斑、皺、アバタが発生せず良好な収縮仕上がり外観を得ることができるため好ましい。このことより本発明のフィルムは、80℃の温水中に10秒間浸漬させたときの主収縮方向の熱収縮率が20%以上70%以下であることがより好ましい。
なお、前記の熱収縮率の上限は記載されていないが、熱収縮によって、延伸前のフィルムの長さより短くなることはないので、熱収縮率の上限は、延伸前のフィルム長となる収縮率である。
本発明において、熱収縮性積層フィルムの主収縮方向の熱収縮率を80℃の温水中に10秒間浸漬した場合に20%以上とするには、第1の発明に規定される組成を有する積層フィルムとすることが必要であるが、さらに、この値は、延伸温度および延伸倍率により適宜調製することができる。
一方で、主収縮方向と垂直な方向の収縮率を低く抑えることによって、より優れた収縮仕上がり性を得ることができる。本発明のフィルムが熱収縮性ラベルとして用いられる場合、主収縮方向と直交する方向の熱収縮率は、80℃の温水中で10秒間浸漬したときは5%以下であることが好ましく、4%以下であることがより好ましく、3%以下であることがさらに好ましい。
主収縮方向と直交する方向の熱収縮率が5%以下のフィルムであれば、収縮後の主収縮方向と直交する方向の寸法自体が短くなったり、収縮後の印刷柄や文字の歪み等が生じやすかったり、角型ボトルの場合においては縦ひけ等のトラブルが発生し難く、好ましい。なお、この場合の熱収縮率の下限は0%である。上記熱収縮率の値もまた、前記主収縮方向の熱収縮率と同様に調整しうる。
本発明のフィルムは、70℃の温水中で10秒間浸漬したときの主収縮方向の熱収縮率が5%以上、好ましくは7%以上、さらに好ましくは10%以上である。70℃における主収縮方向の熱収縮率の下限を5%とすることにより、蒸気シュリンカーでボトル装着を行う際に、局部的に発生しうる収縮斑を抑え、結果的には皺、アバタ等の形成を抑えることができる。また、低温における極端な収縮を抑え、例えば夏場等の高温環境下において自然収縮率を小さく維持する観点からは、主収縮方向の熱収縮率の上限は50%程度とすることが好ましい。
(透明性)
本発明のフィルムの透明性は、例えば、厚さ40μmのフィルムをJIS K7105にて測定した場合、ヘイズ値は10%以下であることが好ましく、7%以下であることがより好ましく、5%以下であることがさらに好ましい。ヘイズ値が10%以下であれば、フィルムの透明性が得られ、ディスプレー効果を奏することができる。
本発明のフィルムにおいて、熱収縮性積層フィルムの全ヘイズ値を10%以下とするには、本発明に規定される組成を有する積層フィルムとすることが必要であるが、さらに、この値は(I)層のポリ乳酸系樹脂(A)成分とポリオレフィン系樹脂(C)の相溶性を向上させる、また、ポリ乳酸系樹脂(A)成分とポリオレフィン系樹脂(C)の屈折率差を小さくすることより調製することができる。
また、本発明のフィルムは、トリミングロス等により生じる再生原料を(I)層へ添加した場合、厚さ40μmのフィルムをJIS K7105にて測定したときの全ヘイズ値は10%以下、好ましくは8%以下であり、さらに好ましくは6%以下である。
(引張破断伸度)
本発明のフィルムの耐衝撃性は、引張破断伸度により評価され、0℃環境下の引張試験において、特にラベル用途ではフィルムの引き取り(流れ)方向(MD)で伸び率が、好ましくは100%以上、より好ましくは150%以上、さらに好ましくは200%以上ある。0℃環境下での引張破断伸度が100%以上あれば印刷・製袋などの工程時にフィルムが破断するなどの不具合を生じにくくなり、好ましい。また、印刷・製袋などの工程のスピードアップにともなってフィルムに対してかかる張力が増加するような際にも、引張破断伸度が150%以上あれば破断しづらく、好ましい。上限については特に限定されないが、現在の工程スピードを考えた場合、500%ほどあれば十分だと考えられ、伸びを付与しすぎようとするとその反面フィルムの剛性が低下してしまう傾向となる。
(貯蔵弾性率(E’))
また、本発明のフィルムは、振動周波数10Hz、歪み0.1%、昇温速度2℃/分、チャック間2.5cmの条件の下、測定温度が−150℃から150℃の範囲で、フィルム延伸方向と直交する方向について動的粘弾性を測定した際の、20℃における貯蔵弾性率(E’)が好ましくは1,200MPa以上3,000MPa以下、より好ましくは1,200MPa以上2,500MPa以下の範囲である。貯蔵弾性率(E’)が1,200MPa以上であれば、フィルム全体としての腰(常温での剛性)を高くすることができ、フィルムが柔らかくなりすぎて変形しやすくなり、印刷、製袋等の2次加工時にロールテンションによりフィルムが伸びる等の不具合や、フィルムの厚みを薄くした場合に、ペットボトル等の容器に製袋したフィルムをラベリングマシン等で被せる際に、斜めに被ったり、フィルムの腰折れ等の歩留まりが低下したりしやすい等の問題が発生し難いため、好ましい。一方、貯蔵弾性率(E’)が3,000MPa以下であれば、硬くて伸び難いフィルムになり、2次加工時に皺が入りやすくなる、使用時にカサカサした感触を感じさせるといった不具合が起きないため、好ましい。
(耐衝撃性)
本発明のフィルムの耐衝撃性は、ハイドロショットによって評価することができる。23℃環境下の引張試験において、特にラベル用途ではフィルムの耐衝撃値が、好ましくは980N・mm以上、より好ましくは1960N・mm以上である。23℃環境下での引張破断伸度が980N・mm以上あれば印刷・製袋などの工程時に張力が掛かる状況において、フィルムが破断するなどの不具合を生じにくくなる。特に、近年においては印刷・製袋工程の高速化が進んでいるため、耐衝撃性を確保することが重要となっている。そのような場合においても、耐衝撃値が980N・mm以上あれば破断しづらく、好ましい。上限については特に限定されないが、現在の工程スピードを考えた場合、2940N・mmほどあれば十分だと考えられ、耐衝撃値を付与させ過ぎようとすると、その反面フィルムの剛性が低下してしまう傾向となる。
[本発明の成形品、本発明の熱収縮性ラベルおよび本発明の容器]
本発明は、前記熱収縮性積層フィルムを基材として用いた成形品(本発明の成形品)に関し、また本発明は、前記熱収縮性積層フィルムを基材として用いた熱収縮性ラベル(本発明のラベル)に関し、さらに本発明は、前記成形品を用いた、又は前記熱収縮性ラベルを装着した容器(本発明の容器)に関する。
本発明のフィルムは、被包装物によってフラット状から円筒状等に加工し包装に供される。ペットボトル等の円筒状の容器で印刷を要する場合、まずロールに巻き取られた広幅のフラットフィルムの一面に必要な画像を印刷し、そしてこれを必要な幅にカットしつつ印刷面が内側になるように折り畳んでセンターシールして円筒状とすれば良い。この場合、シール部の形状はいわゆる封筒貼りとなる。
前記のセンターシール方法としては、有機溶剤による接着方法、ヒートシールによる方法、接着剤による方法、インパルスシーラーによる方法が考えられる。この中でも、生産性、見栄えの観点から有機溶剤による接着方法が好適に使用される。
本発明のフィルムは、フィルムの熱収縮特性、収縮仕がり性、透明性等に優れているため、その用途が特に制限されるものではないが、必要に応じて印刷層、蒸着層その他機能層を形成することにより、ボトル(ブローボトル)、トレー、弁当箱、総菜容器、乳製品容器等の様々な成形品の基材として用いることができる。そして、得られる成形品は、容器等として使用できる。
また、本発明のフィルムを食品容器(例えば清涼飲料水用又は食品用のPETボトル、ガラス瓶、好ましくはPETボトル)用の熱収縮性ラベルの基材として用いることができる。この場合、複雑な形状(例えば、中心がくびれた円柱、角のある四角柱、五角柱、六角柱など)であっても該形状に密着可能であり、シワやアバタ等のない美麗に装着されたラベルとなる。そして、そのラベルを装置した食品容器は、容器として使用することができる。
なお、前記の成形品および容器は、通常の成形法を用いることにより作製することができる。
本発明のフィルムは、優れた低温収縮性、収縮仕上り性を有するため、高温に加熱すると変形を生じるようなプラスチック成形品に用いられる熱収縮性ラベル素材のほか、熱膨張率や吸水性等が本発明の熱収縮性フィルムとは極めて異なる材質、例えば金属、磁器、ガラス、紙、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテン等のポリオレフィン系樹脂、ポリメタクリル酸エステル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート等のポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂から選ばれる少なくとも1種を構成素材として用いた包装体(容器)の熱収縮性ラベル素材として好適に利用できる。
プラスチック包装体を構成する材質としては、前記の樹脂の他、ポリスチレン、ゴム変性耐衝撃性ポリスチレン(HIPS)、スチレン−ブチルアクリレート共重合体、スチレン−アクリロニトリル共重合体、スチレン−無水マレイン酸共重合体、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体(ABS)、(メタ)アクリル酸−ブタジエン−スチレン共重合体(MBS)、ポリ塩化ビニル系樹脂、フェノール樹脂、ユリア樹脂、メラミン樹脂、エポキシ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、シリコーン樹脂等を挙げることができる。これらのプラスチック包装体は2種以上の樹脂類の混合物でも、積層体であってもよい。
以下に本発明について実施例を用いて説明する。
なお、実施例に示す測定値および評価は次のように行った。実施例では、積層フィルムの引き取り(流れ)方向を「縦」方向(又は、MD)、その直角方向を「横」方向(又は、TD)と記載する。
<測定方法>
(1)熱収縮率
フィルムを縦100mm、横100mmの大きさに切り取り、70℃および80℃の温水バスに10秒間それぞれ浸漬し、TDとMDの両方の収縮量を測定した。熱収縮率は各方向について、収縮前の原寸に対する収縮量の比率を%値で表示した。
(2)ヘイズ値
得られたフィルムの透明性を評価するため、JIS K7105にて全ヘイズ値を測定した。
◎:全ヘイズ値が5%以下の場合
○:全ヘイズ値が5%を超え、かつ、10%以下の場合
×:全ヘイズ値が10%を超える場合
(3)引張破断伸度
得られた熱収縮性フィルムを主収縮方向と直交する方向(縦方向、MD)に110mm、主収縮方向に15mmの大きさに切り出し、JIS K7127に準拠し、引張速度100mm/minで、雰囲気温度23℃におけるフィルムの主収縮方向と直交する方向(縦方向、MD)での引張破断伸度を測定し、10回の測定値の平均値を測定し、下記基準に従い評価した。
◎:引張破断伸度が300%を超える場合
○:引張破断伸度が150%を超え、300%以下である場合
×:引張破断伸度が150%以下である場合
(4)収縮仕上り性
フィルムをMD160mm×TD235mmで切り出し、TDに10mm分重なるように折り、重なった部分をヒートシールし、円筒状とする。次いで、この円筒状のフィルムを500mlの多面体ボトルにボトルの下面までかぶせて仕上り評価用サンプルを作製した。
評価用サンプルは蒸気加熱方式の長さ4m(3ゾーン構成)の収縮トンネル中を回転させずに、トンネル内の各ゾーンの温度を以下の温度条件として5秒間で通過させ、ボトルに収縮したフィルムの腰折れに起因する折れ込みやシワがないか、収縮不足ではないかの確認を行い評価した。評価は各サンプルN=10で行った。
シュリンカー内の温度条件は以下のように設定した。
温度条件:1ゾーン/70〜75℃、2ゾーン/94〜97℃、3 ゾーン/95 〜101℃
蒸気を噴射するトンネル内のノズル位置: 1 ゾーン/ フィルム下部、2 ゾーン前半/ フィルム中央部、2 ゾーン後半/ フィルム全体、3 ゾーン/ フィルム全体
温度調整: ノズルに通じる蒸気配管のバルブ開閉により蒸気量を調整して行う。
フィルム被覆後は下記基準で評価した。
◎:収縮が十分でシワ、アバタ、白化、歪みが全く生じない
○:収縮が十分だが、シワ、アバタ、白化、歪みがごく僅かに生じるが、実用上問題にならない
△:収縮が十分だが、シワ、アバタ、白化、歪みがごく僅かに生じ、用途によっては問題となる
×:収縮が不充分、又はシワ、アバタ、歪みが顕著に生じる
(4)耐衝撃性
ハイドロショット高速衝撃試験器((株)島津製作所製「HTM−1型」)を用いて、縦方向100mm×横方向100mmの大きさに切り出したシートを試料とし、クランプで固定し、温度0℃ でフィルム中央に直径が1/2インチの撃芯を落下速度3m/秒で落として衝撃を与え、試料が破壊するときのエネルギー(N・mm)を、5回の測定値の平均値を測定し、下記基準に従い評価した。
◎:試料が破壊するときのエネルギーが1960N・mmを超える場合
○:試料が破壊するときのエネルギーが980N・mmを超え、1960N・mm以下である場合
×:試料が破壊するときのエネルギーが980N・mm以下である場合
(5)ハンドリング性
フィルムに粘着テープを貼り付け、テープを剥がした後のフィルムの状態を評価した。
○:フィルムに貼り付けたテープを剥がすと、剥がす前の状態を保つ場合
×:フィルムに貼り付けたテープを剥がすと、フィルム内で層間剥離を発生する場合
(6)フィルムの外観
得られたフィルムの外観を、下記の基準で評価した。
○:フィルムに斑がほとんどなく、外観が良い。
×:フィルムの斑が激しく、著しく外観が悪い。
また、各実施例、比較例で使用した原材料は、下記の通りである。
(A)成分(ポリ乳酸系樹脂)
・Nature WorksLLC社製、商品名:NatureWorks4060D、D体/L体量=12/88、「PLA(A1)」と略する。
・Nature WorksLLC社製、商品名:NatureWorks4043D、D体/L体量=4.25/93.75、「PLA(A2)」と略する。
(B)成分((メタ)アクリル系樹脂)
・住友化学社製、商品名:スミペックスMGSS(Tg=108℃、MFR=10g/min)、「PMMA(B1)」と略する。
・住友化学社製、商品名:スミペックスLG35(Tg=90℃、MFR=35g/min)、「PMMA(B2)」と略する。
・クラレ社製、商品名:パラペットHR−1000−L(Tg=120℃、MFR=2g/min)、「PMMA(B3)」と略する。
・クラレ社製、商品名:パラペットSA−FW(Tg=20℃)、「PMMA(B4)」と略する。
(C)成分(ポリオレフィン系樹脂)
・ダウケミカル社製、商品名:バーシファイ2400、ポリプロピレン−エチレンランダム共重合体[ポリプロピレン/エチレン=85/15、10Hz貯蔵弾性率:10MPa(20℃)、3MPa(70℃)]、「PO(C1)」と略する。
・ダウケミカル社製、商品名:バーシファイ2200、ポリプロピレン−エチレンランダム共重合体[ポリプロピレン/エチレン=91/9、10Hz貯蔵弾性率:150MPa(20℃)、20MPa(70℃)]、「PO(C2)」と略する。
(D)成分(相溶化剤)
・日油社製、商品名:モディパーA5200[(エチレン−アクリル酸エチル)−メタクリル酸メチルグラフト共重合体(=70/30)、10Hz貯蔵弾性率:85MPa(20℃)、14MPa(70℃)]、「相溶化剤(D1)」と略する。
(E)成分(コアシェル型ゴム)
・カネカ社製、商品名:カネエースFM−40、コア層:アクリル重合体、シェル層: メタクリル酸メチル重合体、屈折率1.44、「コアシェル型ゴム(E1)」と略する。
・三菱レイヨン社製、商品名:メタブレンS2006、コア層:シリコーン/ アクリル重合体、シェル層: メタクリル酸メチル重合体、屈折率1.44、「コアシェル型ゴム(E2)」と略する。
実施例1〜13、比較例1〜3、並びに参考例1および2
(I)層、および(II)層に用いる樹脂組成物は、各原材料をそれぞれ表1および表2に示す配合にて混合した後、2軸押出機(三菱重工業社製)に投入し、設定温度220℃で溶融混合し、設定温度220℃のストランドダイスより押出した後、水槽にて冷却した樹脂組成物を、ストランドカッターにより切削し、ペレットとした。
次いで、2台の単軸押出機(三菱重工業社製)、および2種3層マルチマニホールド口金により、(II)層/(I)層/(II)層の積層共押出が可能な設備において、(I)層を形成する単軸押出機に、先にペレット化した(I)層用樹脂を導入し、(II)層を形成する単軸押出機に、(II)層用樹脂を導入し、各押出機設定温度220℃で溶融混合後、各層の厚みが、(II)層/(I)層/(II)層=24μm/152μm/24μmとなるよう共押出し、60℃のキャストロールで引き取り、冷却固化させて幅200mm、厚さ200μmの未延伸積層シートを得た。次いで、このシートをフィルムテンター(京都機械社製)を用いて、予熱75℃、延伸75℃、熱処理90℃、予熱1ゾーン、延伸3ゾーン、熱処理2ゾーンにて、横方向に5倍延伸をして、厚さ40μmの熱収縮性フィルムを得た。
また、比較例4については、(II)層を導入せず(I)層のみで押出し、厚さ200μmの未延伸単層シートを得て、上記同様の延伸条件にて厚さ40μmの熱収縮フィルムを得た。
なお、実施例1、実施例13および参考例1については、ハンドリング性についても評価し、また実施例1、実施例13および参考例2については、フィルムの外観についても評価した。
Figure 2011148258
Figure 2011148258
実施例1〜13で得られたフィルムに関しては、収縮仕上り性が良好であり、フィルムのMDの引張破断伸度や耐衝撃性の指標であるハイドロショットについても、熱収縮性フィルムとしての要求品質を満たす良好な値を示した。また、フィルムの外観も良好で、全ヘイズから見られる透明性も良好であった。一方、比較例1で得られた(I)層に(メタ)アクリル系樹脂を含まないフィルムに関しては、透明性、引張強伸度および耐衝撃性については良好なものの、収縮仕上り性が十分でない。また、比較例2で得られた(II)層にコアシェル型ゴムを含まないフィルムに関しては、フィルムの透明性は良好なものの、引張破断伸度および耐衝撃性が低く、熱収縮フィルムの加工工程である印刷工程や製袋工程で求められる耐破断性を得るのに十分でない。また、比較例3で得られた(I)に相溶化剤を含まないフィルムに関しては、引張破断伸度および耐衝撃性が低く、フィルムの透明性を保持するのに困難が生じる。また、比較例4で得られた(II)層を含まないフィルムに関しては、引張破断伸度および耐衝撃性については良好なものの、表面荒れによる全ヘイズが著しく増大し、フィルムの透明性を保持するのに困難が生じる。さらに、参考例1で得られたコアシェル型ゴムの添加量が比較的多いフィルムに関しては、本発明の効果は奏するものの、隣接する最外層との層間剥離が容易に生じていた。さらに、参考例2で得られたポリオレフィン系樹脂の添加量が比較的多いフィルムは、本発明の効果は奏するものの、ポリ乳酸系樹脂とポリオレフィン系樹脂の分散不良に起因すると考えられる、外観不良を起こしていた。また、ポリオレフィン系樹脂の添加量が多いため、隣接する最外層との層間剥離が生じていた。
以上、現時点において、もっとも、実践的であり、かつ、好ましいと思われる実施形態に関連して本発明を説明したが、本発明は、本願明細書中に開示された実施形態に限定されるものではなく、請求の範囲および明細書全体から読み取れる発明の要旨、或いは思想に反しない範囲で適宜変更可能であり、そのような変更を伴う熱収縮性フィルム、該フィルムを用いた成形品および熱収縮性ラベル、並びに、該成形品およびラベルを装着してなる容器もまた本発明の技術的範囲に包含されるものとして理解されなければならない。
本発明の熱収縮性フィルムは、収縮包装、収縮結束包装や収縮ラベル等の用途に好適に用いることができる。

Claims (8)

  1. ポリ乳酸系樹脂(A)、(メタ)アクリル系樹脂(B)、ポリオレフィン系樹脂(C)、およびポリ乳酸系樹脂(A)とポリオレフィン系樹脂(C)との相溶性を向上させる相溶化剤(D)を含む樹脂組成物からなる(I)層と、ポリ乳酸系樹脂(A)を主成分とし、コアシェル型ゴム(E)を含む樹脂組成物からなる(II)層の少なくとも2層を有する積層フィルムであって、前記積層フィルムが、少なくとも一方向に延伸され、かつ80℃の温水中に10秒間浸漬したときの主収縮方向の熱収縮率が20%以上であることを特徴とする熱収縮性積層フィルム。
  2. 前記(I)層を構成する樹脂組成物を100質量%とした場合、前記(I)層に含まれるポリ乳酸系樹脂(A)の含有量が20〜79質量%であり、(メタ)アクリル系樹脂(B)の含有量が10〜35質量%であり、ポリオレフィン系樹脂(C)の含有量が10〜30質量%であり、相溶化剤(D)の含有量が1〜15質量%である、請求項1に記載の熱収縮性積層フィルム。
  3. 前記(I)層に含有される相溶化剤(D)が、幹成分と枝成分からなるグラフト共重合体であり、前記グラフト共重合体の幹成分または枝成分が、エチレン単位、αオレフィン単位、および(メタ)アクリル酸アルキルエステル単位からなる群から選ばれる熱可塑性樹脂セグメントから構成されるグラフト共重合体である、請求項1又は2に記載の熱収縮性積層フィルム。
  4. 前記(II)層に含有されるコアシェル型ゴム(E)のシェル層が(メタ)アクリル酸エステルからなり、コア層がシリコーンゴムまたはアクリル系ゴムからなる、請求項1〜3のいずれかに記載の熱収縮性積層フィルム。
  5. 前記(II)層に含有されるコアシェル型ゴム(E)の含有量が、(II)層を構成する樹脂組成物を100質量%とした場合、3〜20質量%である、請求項1〜4のいずれかに記載の熱収縮性積層フィルム。
  6. 請求項1乃至5のいずれかに記載の熱収縮性積層フィルムを基材として有する成形品。
  7. 請求項1乃至5のいずれかに記載の熱収縮性積層フィルムを基材として有する熱収縮性ラベル。
  8. 請求項6に記載の成形品を用いた、又は請求項7に記載の熱収縮性ラベルを装着した容器。
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