JP2011147997A - スリット帯板の蛇行防止装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】スリット帯板S1,S2をピンチロールにて通板させるスリット帯板の蛇行防止装置であって、前記ピンチロールは、前記スリット帯板の下面を支える下ロール12と、前記スリット帯板の上面に当接して外側片圧下または内向きスキュー角により前記スリット帯板をライン中央側へ寄せるため、板幅方向に分割された上ロール11とを有し、前記下ロールと、前記分割された上ロールとで、あるいは、前記下ロールと、前記分割された上ロール分割端近傍のライン中央部側に備えたセンターロール2とで、前記スリット帯板のライン中央側エッジ近傍を挟持し、該挟持により拘束された前記スリット帯板のライン中央側エッジをガイドするセンターガイド1を設けた。
【選択図】図1
Description
本発明は、特に、張力が低下する帯板の先端や尾端で効果を発揮する。張力が低下するような場合の例としては、鋼帯の熱間圧延ラインにおいて、仕上圧延機から巻取機までの搬送テーブルローラ上で、鋼帯の先端が巻取機に到達する前や、鋼帯の尾端が仕上圧延機を通過した後などの場合や、鋼帯の冷間圧延ラインや連続処理ラインにおいて、コイルの巻取り終了直前で鋼帯をシヤー切断する場合などが挙げられる。本発明が適用される帯板としては、鋼帯等の金属帯や、シート状のプラスチックフィルムが該当する。
比較的狭幅の帯板が要求される場合、リコイリングラインの巻取機の入側にスリッタを配置し、広幅に圧延された帯板を板幅方向に分割し、それぞれコイル状に巻き取っている。このようなスリットラインに関わる背景技術として、以下のようなものがある。
(1)セパレータディスクによるもの(特許文献1)
これは、送給される帯板Sを、サイドトリマで板幅端部を切り揃え、スリッタで板幅中央部を切断して2条のスリット材S1,S2に分割し、セパレータディスクでスリット隙間を確保しつつ、スリット材S1,S2を、デフレクタロールを介して1台の巻取機で巻き取る装置である。
(2)ガイド手段によるもの
熱延ラインでは、仕上圧延機から巻取機までの搬送テーブルローラ上で、鋼帯の尾端が仕上圧延機を通過した後、張力が無くなることで鋼帯の尾端が波打ったり、板幅方向に蛇行したりといった通板不安定現象がみられるので、これを抑制するために、サイドガイド等のガイド手段が使用されている。同様に、一般の通板ラインでも、ライン中心位置に帯板の尾端を保持するために、サイドガイド等のガイド手段で強制的に拘束する方法が採られる。
(3)EPC(エッジポジションコントロール;Edge Position Control)装置によるもの(特許文献1)
これは、2条のスリット材S1,S2を2台の巻取機で個別に巻き取ることとし、巻取り直前のスリット材S1,S2の板幅端部(エッジ部)の位置をエッジセンサによりそれぞれ検出し、エッジ部の移動量によって各々の巻取機の巻取り軸をそれぞれ板幅方向に移動してスリット隙間を調整することにより、ラインの高速化を可能とするものである。
(4)傾斜ロールによるもの(特許文献1)
これは、巻取機を1台とし、スリット隙間検出器の検出値が所望値となるように、2条のスリット材S1,S2にそれぞれ当接させた左右の傾斜ロールのスキュー角を左右同一角度としながら変更することにより、スリット隙間を調整・保持し、エッジが揃った良好な巻き姿を得ようとするものである。
(5)片圧下調整可能なピンチロールによるもの(特許文献2)
これは、スリッタとテンションリール(巻取機)の間に、複数条のスリット材の個々について片圧下調整可能なピンチロールを設置し、その片圧下調整によりスリット材をライン中心から離す方向に矯正するものである。これによれば、各スリット材のライン中央側を片圧下(部分圧下)するとスリット隙間が広がる方向に回転モーメントが作用する。
・上流から下流に至る間での時間差に起因して、制御目標と実際との幅方向の位置ズレが生じる。
・制御が必要な分だけシステムが複雑になる。
・定常時の巻取りは安定したとしても、巻取り後はコイル最外周部になる、シヤー切断後のスリット材尾端においては、スリット材の張力が無くなって挙動が不安定になるため、既存のEPC装置や傾斜ロールが使えない場合がある。
・切断後の尾端にかかるような低張力の場合、上流の板エッジを検出してEPCを行っても、テンションリール軸の板幅方向シフトにより、スリット材の尾端自体も一緒に同じ板幅方向へシフトしてしまうことがあるので、板エッジを次々追いかける形になってリールの幅方向移動限界まで発散して巻取りが不安定になる。
・前記片圧下によるスリット隙間制御も、ピンチロールの持つ不安定要素が作用するので、容易な制御とはなり難い。
[1]
搬送ライン内で1条の全幅の帯板を2条にスリットしてなるスリット帯板をピンチロールにて通板させるスリット帯板の蛇行防止装置であって、
前記ピンチロールは、前記スリット帯板の下面を支える下ロールと、
前記スリット帯板の上面に当接して外側片圧下または内向きスキュー角により前記スリット帯板をライン中央側へ寄せるため、板幅方向に分割された上ロールとを有し、
前記下ロールと、前記分割された上ロールとで、あるいは、前記下ロールと、前記分割された上ロール分割端近傍のライン中央部側に備えたセンターロールとで、前記スリット帯板のライン中央側エッジ近傍を挟持し、
該挟持により拘束された前記スリット帯板のライン中央側エッジをガイドするセンターガイドを設けた
ことを特徴とするスリット帯板の蛇行防止装置。
なお、ここで、外側片圧下とは、板幅方向のライン外側に加える圧下(部分圧下や偏圧下など)を指す。
前項[1]において、
前記センターガイドは進退自在とされてなり、
前記スリット帯板を通板させる時には前記下ロールとの接触位置まで下降して前記スリット帯板のライン中央側エッジをガイドし、
前記全幅の帯板をスリットせずに通板させる時には前記全幅の帯板の上面へ退避する
ことを特徴とするスリット帯板の蛇行防止装置。
前項[2]において、
前記センターガイドとして、
角棒状のガイドバーまたは円盤状のガイドディスクを用いたことを特徴とするスリット帯板の蛇行防止装置。
前項[2]において、
前記センターガイドとして、
前記分割された上ロールのロール径よりも大きい外径を有する円盤状の大径ガイドディスクまたは該大径ガイドディスクと前記センターロールとを一体化した段付きディスクロールを用いた
ことを特徴とするスリット帯板の蛇行防止装置。
前項[2]において、
前記センターガイドとして、
リングを上下動自在に遊嵌させてなるガイドリングを用いた
ことを特徴とするスリット帯板の蛇行防止装置。
前項[1]〜[5]のいずれか1項において、
前記センターガイドを設けたピンチロール中の下ロールに、
前記センターガイドの出入が可能なガイド受溝部を設けた
ことを特徴とするスリット帯板の蛇行防止装置。
スリット材(スリット帯板、略して板)の蛇行は制御(フィードバック制御)せず、スリット材を機構的(機械的)にライン中央側に寄せるようにする。スリット材を各々ライン中央側に寄せる機構的(機械的)方法は、ピンチロールの上ロールを板幅方向に分割し、該分割した各ロールを外側圧下幅が内側圧下幅よりも広くなる段付きロールとすること(すなわち外側片圧下)による方法、あるいは、前記分割した各ロールを帯板搬送方向から内向きに傾斜させること(すなわち内向きスキュー角)による方法とする。外側片圧下によれば、ピンチロールと帯板との摩擦力は、外側圧下部分の摩擦力が、内側圧下部分の摩擦力よりも大きくなり、そのためスリット材をライン中央側に回転させようとするモーメントが生じて、スリット材が機構的(機械的)にライン中央側に寄る。また、内向きスキュー角によれば、スリット材にライン内側を向くロール周速成分が伝達されるため、スリット材が機構的(機械的)にライン中央に寄る(すなわちセンタリングされる)。
一方、ライン中央側に寄せられたスリット材は、ライン中央部で位置を安定させ、重なりを防止する必要があるため、帯板のセンターガイドを設ける。センターガイドを設ける位置は、ピンチロールのニップ内および/またはニップ近傍内とする。ここに、ニップ近傍とは、ロール軸直交面内でロール中心から板面への視線が垂線に対して±30°以内の角度になる板面内の範囲を指す。つまり、ニップ近傍とは、図14に示すように、スリット帯板S1,S2の進行方向に対してロール中心を基準に±30°以内の角度となる板面内の上流側と下流側の範囲である。スリット材がセンターガイドへ寄せられてセンターガイドから反力を受けても板が変形しないように、上下ロールで挟持したニップ内および/またはニップ近傍内に位置し、板剛性が非常に高い状態となっている板エッジを拘束するセンターガイドを設けたところに、本発明の特長はある。
図1(a)に示した形態の装置を作成し、帯板をセンターガイドの両側に通板させ、その際、ピンチロール圧下を加え、帯板の蛇行挙動をピンチロールの出側(巻取部)の帯板両側に設置した蛇行計で測定した。その結果の1例を図5に示す。同図の蛇行計出力チャートによれば、ピンチロール(PR)圧下により、出側(巻取部)の通板が安定することが明らかである。また、ピンチロール圧下によりセンタリングされていることが分る。
前記ピンチロールの上ロールが内向きスキュー角の場合、下ロールとスキューさせた上ロールとの圧下点を下ロール軸線上のライン中央側にすることで、前記の中央当接部と同様にスリット帯板のライン中央側エッジを挟持することができる。
図6は、センターガイドとして、角棒状のガイドバー13を用いた例である。本例のガイドバー13は進退自在式(本発明[3]の中のガイドバーに対応する)としたが、場合によっては固定式としてもよい。なお、図6において、(a)は外側片圧下による場合でピンチロールとは独立したセンターロール無しの形態、(b)は内向きスキュー角による場合でピンチロールとは独立したセンターロール無しの形態、(c)は外側片圧下による場合でセンターロール有りの形態、(d)は内向きスキュー角による場合でセンターロール有りの形態を示している。
図9は、センターガイドとして、リングを上下動自在に遊嵌させてなるガイドリング17を用いた進退自在式の(本発明[5]に対応する)例である。ガイドリング17を遊嵌させる、リング支持用の軸は、分割された上ロール11の一方と他方との間の隙間に適宜設けることができる。なお、図9において、(a)は外側片圧下による場合でピンチロールとは独立したセンターロール無しの形態、(b)は内向きスキュー角による場合でピンチロールとは独立したセンターロール無しの形態、(c)は外側片圧下による場合でセンターロール有りの形態、(d)は内向きスキュー角による場合でセンターロール有りの形態を示している。
なお、第1デフレクタピンチロール21への本発明適用のみでも十分な蛇行防止効果が得られるが、実施例1のように第2デフレクタピンチロール22へも本発明を適用すると、その効果はさらに大きくなる。
2 センターロール
10 搬送ロール
11 分割された上ロール
11A 分割されていない上ロール
12 下ロール
12U ガイド受溝部
13 ガイドバー
14 ガイドディスク
15 大径ガイドディスク
16 段付きディスクロール
17 ガイドリング
20 シヤー
21 第1デフレクタピンチロール
22 第2デフレクタピンチロール
31 第1テンションリール
32 第2テンションリール
S 帯板(全幅の帯板または通常(スリットしない)材)
S1,S2 スリット帯板
SG サイドガイド
Claims (6)
- 搬送ライン内で1条の全幅の帯板を2条にスリットしてなるスリット帯板をピンチロールにて通板させるスリット帯板の蛇行防止装置であって、
前記ピンチロールは、前記スリット帯板の下面を支える下ロールと、
前記スリット帯板の上面に当接して外側片圧下または内向きスキュー角により前記スリット帯板をライン中央側へ寄せるため、板幅方向に分割された上ロールとを有し、
前記下ロールと、前記分割された上ロールとで、あるいは、前記下ロールと、前記分割された上ロール分割端近傍のライン中央部側に備えたセンターロールとで、前記スリット帯板のライン中央側エッジ近傍を挟持し、
該挟持により拘束された前記スリット帯板のライン中央側エッジをガイドするセンターガイドを設けた
ことを特徴とするスリット帯板の蛇行防止装置。 - 請求項1において、
前記センターガイドは進退自在とされてなり、
前記スリット帯板を通板させる時には前記下ロールとの接触位置まで下降して前記スリット帯板のライン中央側エッジをガイドし、
前記全幅の帯板をスリットせずに通板させる時には前記全幅の帯板の上面へ退避する
ことを特徴とするスリット帯板の蛇行防止装置。 - 請求項2において、
前記センターガイドとして、
角棒状のガイドバーまたは円盤状のガイドディスクを用いたことを特徴とするスリット帯板の蛇行防止装置。 - 請求項2において
前記センターガイドとして、
前記分割された上ロールのロール径よりも大きい外径を有する円盤状の大径ガイドディスクまたは該大径ガイドディスクと前記センターロールとを一体化した段付きディスクロールを用いた
ことを特徴とするスリット帯板の蛇行防止装置。 - 請求項2において、
前記センターガイドとして、
リングを上下動自在に遊嵌させてなるガイドリングを用いた
ことを特徴とするスリット帯板の蛇行防止装置。 - 請求項1〜5のいずれか1項において、
前記センターガイドを設けたピンチロール中の下ロールに、
前記センターガイドの出入が可能なガイド受溝部を設けた
ことを特徴とするスリット帯板の蛇行防止装置。
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