JP2011145621A - 定着用部材、定着装置、及び画像形成装置 - Google Patents

定着用部材、定着装置、及び画像形成装置 Download PDF

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Abstract

【課題】基材上に形成された弾性層の端部への応力集中を抑制することができる定着用部材を得る。
【解決手段】定着装置100は、定着ロール102と加圧ロール104とを含んで構成されている。加圧ロール104は、回転される芯金116と、芯金116上に形成された弾性層118と、弾性層118上に形成され弾性層118に比べて弾性率の高い表面層120と、を有し、弾性層118は、軸方向の長さが表面層120側よりも芯金116側で長くなるように傾斜した傾斜端面124を有し該傾斜端面124が露出している。ここで、定着ロール102に加圧ロール104が圧接されたとき、加圧ロール104は、傾斜端面124の面積が、端面が軸方向に対して直角な方向に形成された場合の面積よりも大きくなるため、弾性層118の端部への応力集中を抑制することができる
【選択図】図3

Description

本発明は、定着用部材、定着装置、及び画像形成装置に関する。
特許文献1は、芯金上に形成された弾性層と、弾性層上に形成された表面絶縁層とを有する定着装置用の加圧ロールが記載されている。この加圧ロールは、芯金の軸方向で表面絶縁層の長さが弾性層の長さよりも長くなっている。
特許文献2は、芯金上に形成された弾性層と、弾性層上に形成された離型層とを有する定着ロールが記載されている。この定着ロールの芯金は、両端部に軸方向外側へ向けて徐々に縮径する肩部が形成されており、弾性層の端部が芯金の肩部まで延在している。さらに、離型層の両端部は、弾性層の端部を覆って芯金の肩部まで延在している。
特開平5−6120号公報 特開2005−70272号公報
本発明は、基材上に形成された弾性層の端部への応力集中を抑制することができる定着用部材を得ることを目的とする。
本発明の請求項1に係る定着用部材は、加圧状態で使用される定着用部材であって、回転される基材と、前記基材の外周に形成された弾性層と、前記弾性層の外周に形成され前記弾性層に比べて弾性率の高い表面層と、を有し、前記弾性層の軸方向の端面は、軸方向の長さが前記表面層側よりも前記基材側で長くなるように傾斜されると共に軸方向に露出された傾斜部を有する。
本発明の請求項2に係る定着用部材は、前記表面層は前記弾性層より軸方向に張り出し、且つ前記表面層の端部が前記弾性層の端面と離れて配置されている。
本発明の請求項3に係る定着装置は、記録媒体上の現像剤を加熱する加熱手段と、加熱される現像剤を加圧する加圧手段と、を有する定着装置であって、請求項1又は請求項2に記載の定着用部材が、前記加熱手段及び前記加圧手段の少なくとも一方に設けられている。
本発明の請求項4に係る画像形成装置は、請求項3に記載の定着装置と、前記定着装置に搬送される記録媒体に現像剤で画像を形成する画像形成手段と、を有する。
請求項1の発明は、軸方向の長さが表面層側よりも基材側で長くなるように弾性層の端面が傾斜を有さないものに比べて、基材上に形成された弾性層の端部への応力集中を抑制することができる。
請求項2の発明は、表面層が弾性層より軸方向に張り出さず、且つ表面層の端部が弾性層の端面と離れて配置されていないものに比べて、弾性層が表面層よりも径方向外側に突出する変形を抑制することができる。
請求項3の発明は、軸方向の長さが表面層側よりも基材側で長くなるように弾性層の端面が傾斜を有さない定着用部材を有する構成に比べて、長期間使用することができる。
請求項4の発明は、軸方向の長さが表面層側よりも基材側で長くなるように弾性層の端面が傾斜を有さない定着用部材を有する構成に比べて、長期間使用することができる。
本発明の実施形態に係る画像形成装置の全体図である。 本発明の実施形態に係る定着装置の構成図である。 (a)本発明の実施形態に係る加圧ロールの断面図である。(b)本発明の実施形態に係る加圧ロールの部分断面図である。 (a)、(b)比較例の加圧ロールの変形状態を示す断面図である。 (a)、(b)本発明の実施形態に係る加圧ロールの変形状態を示す断面図である。 (a)本発明の他の実施例に係る加圧ロールの部分断面図である。(b)本発明の他の実施例に係る加圧ロールの部分断面図である。(c)本発明の他の実施例に係る加圧ロールの部分断面図である。
本発明の実施形態に係る定着用部材、定着装置、及び画像形成装置の一例について説明する。
図1には、画像形成装置10が示されている。画像形成装置10は、画像形成装置10の本体を構成する筐体12内に、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、及び ブラック(K)の各トナー(現像剤)に対応した光ビーム16を出射する光走査装置14Y、14M、14C、14Kが固定されている。また、光走査装置14Kに隣接する位置(図の左側)に、画像形成装置10の各部の動作を制御する制御部70が設けられている。なお、以後の説明では、Y、M、C、Kを区別する必要がある場合は、数字の後にY、M、C、Kのいずれかの英字を付して説明し、同様の構成でY、M、C、Kを区別する必要がない場合は、Y、M、C、Kの記載を省略する。
光走査装置14は、光源から出射された光ビームを図示しない回転多面鏡(ポリゴンミラー)で走査するとともに、反射ミラーを含む複数の光学部品で反射して、各トナーに対応した光ビーム16を出射する構成となっている。また、光走査装置14の下方側には、各光走査装置14と対応して各感光体18が設けられている。
感光体18は、図示しないモータ及びギアからなる駆動手段によって、矢印A方向(図の時計回り方向)に回転するようになっており、光走査装置14から出射された光ビーム16がそれぞれ対応する感光体18に導かれるようになっている。ここで、感光体18の表面(外周面)と対向する部位で回転方向(矢印A方向)の上流側には、感光体18の表面を帯電する帯電器20が設けられている。
また、感光体18の回転方向で帯電器20よりも下流側には、帯電器20による帯電及び光走査装置14による露光で形成された感光体18上の静電潜像を各トナーで現像する現像器22が設けられている。そして、感光体18の回転方向で現像器22よりも下流側には、現像器22で現像されたトナー像が一次転写される中間転写ベルト28が配置されている。中間転写ベルト28は、一例として、ポリイミドあるいはポリアミドといった樹脂にカーボンブラック等の帯電防止剤を適当量含有させたフィルム状の無端ベルトで構成されている。
さらに、感光体18と中間転写ベルト28とが対向する位置で中間転写ベルト28の内側には、感光体18上に形成されたトナー像を中間転写ベルト28に転写する一次転写ロール24が配置されている。この一次転写ロール24によって、感光体18から中間転写ベルト28に一次転写を行う一次転写部25が構成されている。
一次転写ロール24は、図示しないシャフトと、シャフトの周囲に固着された弾性層としてのスポンジ層とを有している。シャフトは、一例として、鉄、SUSといった金属で構成された円柱棒であり、スポンジ層は、一例として、カーボンブラック(導電剤)を配合したゴムで形成されている。
また、一次転写ロール24は、中間転写ベルト28を挟んで感光体18に接触されており、図示しない電圧印加手段によって、各トナーの帯電極性と逆極性の電圧が印加されるようになっている。これにより、感光体18Y、18M、18C、18K上のトナー像が中間転写ベルト28に順次、静電吸引され、中間転写ベルト28上において重畳されたトナー像が形成されるようになっている。なお、感光体18の回転方向で一次転写ロール24よりも下流側には、感光体18上の一次転写後の残留トナーを除去するクリーナ26が設けられている。
一方、中間転写ベルト28の内側には、モータ(図示省略)により駆動され中間転写ベルト28を移動させる駆動ロール30と、各感光体18Y、18M、18C、18Kの配置方向に沿って略直線状に延び、中間転写ベルト28を支持する支持ロール32とが設けられている。この構成により、中間転写ベルト28は、矢印B方向に循環移動されるようになっている。
また、中間転写ベルト28の内側には、中間転写ベルト28に対して張力を付与すると共に中間転写ベルト28の蛇行を防止する補助ロール34が設けられている。さらに、中間転写ベルト28の移動方向下流側には、中間転写ベルト28上のトナー像を記録用紙P上に転写する二次転写部42が設けられている。
二次転写部42は、中間転写ベルト28のトナー像保持面側に配置される二次転写ロール38と、中間転写ベルト28の裏面側に配置された支持ロール36とによって構成されている。二次転写ロール38は、一次転写ロール24と同様の層構成及び材質となっている。また、二次転写ロール38は、支持ロール36とで中間転写ベルト28を挟むように支持ロール36に向けて接触配置されている。
支持ロール36は、二次転写ロール38の対向電極を形成しており、支持ロール36と接触配置された金属製の給電ロール40を介して二次転写バイアスが印加されるようになっている。ここで、二次転写ロール38は、接地されるとともに支持ロール36との間に二次転写バイアスが印加されることにより、二次転写部42に搬送される記録用紙P上に中間転写ベルト28上のトナー像を二次転写するようになっている。
中間転写ベルト28の移動方向における二次転写部42よりも下流側には、二次転写後の中間転写ベルト28上の残留トナーや紙粉を除去する中間転写ベルトクリーナ46が、中間転写ベルト28に対して接離自在に設けられている。中間転写ベルトクリーナ46における中間転写ベルト28の内側には、支持ロール44が設けられている。そして、中間転写ベルト28の移動方向における一次転写ロール24Yよりも上流側で且つ中間転写ベルト28の内側の位置には、各トナーによる画像形成のタイミングを合わせるための基準信号を発生する位置センサ48が設けられている。
位置センサ48は、中間転写ベルト28の裏側に設けられた検出用マーク(図示省略)からの反射光を検知して基準信号を発生するようになっている。この基準信号に基づいて、前述の制御部70が画像形成装置10の各部を動作させ、画像形成を開始するようになっている。また、一次転写ロール24Kの下流側で中間転写ベルト28の外側には、画質調整を行うための画像濃度センサ43が設けられている。
一方、画像形成装置10の下方側には、記録用紙Pを収納する用紙収納部50が設けられている。用紙収納部50の一方端(記録用紙Pの送り出し側)には、記録用紙Pを設定されたタイミングで送り出して搬送する送出ロール52が設けられている。送出ロール52の上方には、モータ及びギアを含む駆動手段(図示省略)で回転駆動され、送出ロール52によって送り出された記録用紙Pを二次転写部42に搬送する複数の搬送ロール54、56が設けられている。また、記録用紙Pの搬送方向における搬送ロール56の下流側には、記録用紙Pを二次転写部42へ送り込む搬送部58が設けられている。
二次転写部42における記録用紙Pの送出方向には、トナー像の二次転写が終了した記録用紙Pを後述する定着装置100へ搬送する搬送ベルト60が設けられている。搬送ベルト60は、支持ロール57、駆動ロール59、及び図示しないモータ及びギアを有する駆動手段によって、循環移動可能に設けられている。定着装置100の入口側には、記録用紙Pを定着装置100に案内するガイド62が設けられている。また、定着装置100の出口側には、画像形成装置10の筐体12に固定された用紙集積部64が設けられている。
次に、定着装置100について説明する。
図2に示すように、定着装置100は、記録用紙Pが進入する開口部106Aと、記録用紙Pが排出される開口部106Bと、が形成された筐体106を有している。そして、筐体106の内部上方には、矢印D方向(図の反時計回り方向)へ回転可能に支持された定着ロール102が設けられており、筐体106の内部下方には、矢印E方向(図の時計回り方向)へ回転可能に支持された定着用部材の一例としての加圧ロール104が設けられている。定着ロール102と加圧ロール104は、軸方向が揃えられ外周面が接触して接触部N(ニップ部)を形成している。
定着ロール102は、内側から外側に向けて芯金108、弾性層110、及び表面層112がこの順で積層され一体となった構成となっており、一例として、芯金108がアルミニウム製で円筒状の部材、弾性層110がシリコーンゴム製、表面層112がフッ素樹脂製となっている。また、芯金108の内側には、制御部70(図1参照)により通電され発熱するハロゲンヒータ114が設けられている。さらに、接触部Nの記録用紙Pの排出側で且つ定着ロール102の外周面に近い場所には、定着ロール102の外周面から記録用紙Pを引き離すための板状の分離部材122が設けられている。
一方、加圧ロール104は、内側から外側に向けて基材の一例としての芯金116、弾性層118、及び表面層120がこの順で積層され一体となった構成となっている。
芯金116は、一例として、アルミニウム製で円筒状の部材で構成されている。なお芯金116の他の例として、鉄、SUSなどの金属を用いてもよい。また、非金属材料を用いてもよく、例えば、ポリフェニレンサルファイド、ポリイミド、ポリエステル、ポリアミド、液晶ポリマーなどの耐熱性を有する樹脂や、それらの樹脂にガラスファイバーなどを添加し強化した材料を用いてもよい。
弾性層118は、芯金116上に形成されると共に芯金116に接着されており、デュロメータ硬さA10以上でA50以下(JIS K6253)のシリコーンゴム、フッ素ゴムなどの材料、その他にJIS K6262に定められた圧縮永久歪み性能が小さい材料、JIS K6255に定められた反撥弾性率が大きい材料が用いられ、一例として、シリコーンゴムを用いている。
表面層120は、弾性層118上に形成されると共に弾性層118に接着されており、一例として、カーボンを含有するフッ素樹脂で形成されている。また、表面層120は、弾性層118に比べて10倍以上弾性率が高くなっている。なお、表面層120に含まれるカーボンとしては、ケッチェンブラック、アセチレンブラックなどのカーボンブラックが好ましい。表面層120には、更に他の導電剤を含有していてもよい。他の導電剤の一例としては、アルミニウムやニッケルなどの金属、酸化錫などの酸化金属化合物、チタン酸カリウムなどがある。なお、表面層120の体積抵抗値としては、4logΩcm以上10logΩcm以下であることが好ましく、4logΩcm以上7logΩcm以下であることがより好ましい。この範囲内にあると、表面層120の導電性が確保でき、帯電による問題が発生しにくく、加圧ロール104の耐久性が良好となる。体積抵抗値は、二重リング電極法を用いて測定する。
ここで、弾性層118の厚みは、一例として10mm以上15mm以下で設定され、ここでは10mmとなっている。さらに、表面層120の厚みは、一例として50μm以上150μm以下で設定されここでは100μmとなっている。なお、弾性層118の厚みが10mm以上となっているのは、画像形成装置10の高速化対応で各トナーに与える熱量を短時間で確保するために接触部Nの幅を大きくする必要があり、弾性層118の変形量を大きくすることが必要なためである。また、接触部Nを形成するために、弾性層118は、一例として、径方向に10%から20%変形される。
図3(a)には、加圧ロール104の軸方向(矢印X方向)の断面が示されている。ここで、二点鎖線で表示した定着ロール102の軸方向の長さ(弾性層110(図2参照)の軸方向長さ)をL1とし、加圧ロール104の軸方向の長さ(芯金116、弾性層118、及び表面層120の3層が積層した部分の軸方向の長さ)をL2とすると、L1>L2となっている。
図3(b)には、図3(a)の加圧ロール104の一端部の断面領域Gの拡大図が示されている。弾性層118の両端部には、軸方向の長さが表面層120側よりも芯金116側で長くなるように傾斜した傾斜部及び端面の一例としての傾斜端面124が形成されており、芯金116の外周面116Aに対する方向の傾斜角がθ(0°<θ<90°)となっている。そして、傾斜端面124は露出している。
また、表面層120の端部は、弾性層118との密着部位において弾性層118よりも軸方向に長さL3で張り出して張出部120Aとなっており、張出部120Aは、弾性層118の傾斜端面124と離間配置されている。なお、張出部120Aの長さL3は、1mm以上10mm以下であることが好ましい。これは、張出部120Aの長さL3が1mmよりも小さい場合は、弾性層118と定着ロール102とが接触しやすく、また、10mmよりも大きい場合は、張出部120Aが弾性層118の裏打ちを伴わないので、張出部120A自体で姿勢(形状)を維持できない可能性があるためである。
次に、本発明の実施形態の作用について説明する。
まず、画像形成装置10の画像形成工程について説明する。
図示しない画像読取装置やパーソナルコンピュータから出力された画像データが、図示しない画像処理装置によって画像処理を施される。画像処理が施された画像データは、Y、M、C、Kの4色の色材階調データに変換され、光走査装置14Y、14M、14C、14Kにそれぞれ出力される。
光走査装置14Y、14M、14C、14Kでは、入力された色材階調データに応じて光ビーム16Y、16M、16C、16Kを各感光体18Y、18M、18C、18Kに照射する。感光体18Y、18M、18C、18Kは、予め帯電器20Y、20M、20C、20Kによって表面が帯電されており、光ビーム16Y、16M、16C、16Kによって表面が露光され静電潜像が形成される。形成された静電潜像は、現像器22Y、22M、22C、22Kによって、Y、M、C、Kの各色のトナー像として現像される。
続いて、感光体18Y、18M、18C、18K上に形成されたトナー像は、一次転写部25において中間転写ベルト28上に転写される。この転写は、一次転写ロール24Y、24M、24C、24Kにより中間転写ベルト28に対しトナーの帯電極性(一例としてマイナス極性)と逆極性の電圧(一次転写バイアス)が付加され、トナー像を中間転写ベルト28の表面に順次重ね合わせることで行われる。そして、トナー像は、中間転写ベルト28によって二次転写部42に搬送される。
一方、トナー像が二次転写部42に搬送されるタイミングに合わせて送出ロール52が回転し、用紙収納部50から設定された大きさの記録用紙Pが送出される。そして、送出ロール52により送り出された記録用紙Pは、搬送ロール54、56により搬送され、搬送部58を経て二次転写部42に到達する。この二次転写部42に到達する前に記録用紙Pは一旦停止され、トナー像が保持された中間転写ベルト28の移動タイミングに合わせて位置合せロール(図示省略)が回転することで、記録用紙Pの位置とトナー像の位置との位置合せが行われる。
二次転写部42では、中間転写ベルト28を介して、二次転写ロール38が支持ロール36に押圧されている。ここで、トナー像の搬送に合わせて搬送された記録用紙Pは、中間転写ベルト28と二次転写ロール38との間に挟み込まれる。また、このとき、給電ロール40から支持ロール36へ二次転写バイアスが印加され転写電界が形成される。そして、中間転写ベルト28上に保持された未定着のトナー像は、二次転写ロール38と支持ロール36とによって押圧され、記録用紙P上に一括して静電転写される。
続いて、トナー像が転写された記録用紙Pは、中間転写ベルト28から剥離された状態で搬送ベルト60へと搬送され、さらに定着装置100まで搬送される。そして、定着装置100に搬送された記録用紙P上の未定着のトナー像は、定着装置100の接触部Nにおいて加熱及び押圧によって記録用紙P上に定着される。定着後の記録用紙Pは、矢印C方向に排出され、用紙集積部64に集積される。なお、記録用紙Pへの転写が終了した後、中間転写ベルト28上に残った残留トナーは、中間転写ベルト28の回転移動に伴って中間転写ベルトクリーナ46まで搬送され、中間転写ベルト28上から除去される。このようにして、画像形成装置10の画像形成が行われる。
次に、加圧ロール104の作用について説明する。
まず、本実施形態との比較例である定着装置200に設けられた加圧ロール204の作用について説明する。なお、本実施形態の定着装置100と同様の構成の部材には、同じ符号を付与して説明を省略する。
図4(a)には、比較例である定着装置200の加圧ロール204の一端部の断面が示されている。定着装置200は、定着ロール102と、加圧ロール204とを有しており、加圧ロール204は、芯金116と、弾性層118(図2参照)と同じ材質、厚さの弾性層208と、表面層120(図2参照)と同じ材質の表面層210とを有している。
弾性層208及び表面層210は、端部が軸方向に対して直角な方向に切断されて軸方向位置が同じ位置である端面208A、210Aが形成されている。ここで、弾性層208と表面層210の軸方向長さは同じであり、端面208A、210Aと芯金116の外周面116Aとで形成される角度は、いずれも90°となっている。また、加圧ロール204が定着ロール102に押圧されていない状態では、芯金116の外周面116Aから表面層210の外周面までの軸方向に対して直角な方向の距離がH1となっている。
図4(b)に示すように、比較例の定着装置200では、定着ロール102と加圧ロール204とが圧接され加圧ロール204の軸方向と交差する方向に押圧力Fが作用すると、弾性層208が潰れて、芯金116の外周面116Aから表面層210の外周面までの距離がH2(<H1)となる。
ここで、潰れた弾性層208はゴムで体積が変化しないので、潰された分の体積が接触部N(図2参照)の前後方向(記録用紙Pの搬送方向である矢印C方向)にはみ出ようとする。しかし、表面層210の弾性率は弾性層208よりも高いため、はみ出ようとした弾性層208の一部は表面層210で拘束され、弾性層208は、軸方向の両端部で自身の変形を逃がそうとする。そして、弾性層208の端部では、芯金116側と接触している部位、及び表面層210と接触している部位がそれぞれ接着力により拘束(変形が規制)されるため、弾性層208の端面208Aは、断面円弧状に膨れて曲面208Bとなる。このとき、元の端面208Aは鉛直面であり、軸方向に広がりを持つ面ではないので、弾性層208には、軸方向に大きな応力が作用することになる。
弾性層208が軸方向に膨れた状態で定着装置200が長期間使用されると、弾性層208は、応力が集中した部位で破断することになる。ここでは、弾性層208と芯金116とが接着されていることから、特に、芯金116に接している部分(図の符号212の部位)が最初に破断することになる。
また、加圧ロール204では、表面層210と弾性層208の端面208A、210Aが揃えられており、弾性層208が膨らんで曲面208Bが形成されても表面層210はほとんど膨らまないため、曲面208Bの一部表面が定着ロール102の外周面と接触する可能性がある。このとき、弾性層208は摩擦に対して弱いため、さらに破断する可能性が高くなる。
なお、比較例の加圧ロール204において、単に表面層210の端部を弾性層208の端面より軸方向外側へ張り出しても、弾性層208が軸方向に広がりを持つ面ではないので、弾性層208の軸方向に大きな応力が作用することを抑制することはできない。
一方、図5(a)に示すように、本実施形態の定着装置100において、加圧ロール104が定着ロール102に押圧されていない状態では、芯金116の外周面116Aから表面層120の外周面までの軸方向に対して直角な方向距離がH1となっている。なお、傾斜端面124の傾斜角度がθ(図3(b)参照)であるため、弾性層118、208を軸方向に見たとき、本実施形態の傾斜端面124の方が、比較例の端面208A(図4(a)参照)よりも表面積が大きくなっている。
図5(b)に示すように、本実施形態の定着装置100では、定着ロール102と加圧ロール104とが圧接され加圧ロール104の軸方向と交差する方向に押圧力Fが作用すると、弾性層118が潰れて、芯金116の外周面116Aから表面層210の外周面までの距離がH2(<H1)となる。
押圧力Fにより潰れた弾性層118は、ゴムで構成されており、体積が変化しないので、潰された部分の体積が接触部N(図2参照)の前後方向(記録用紙Pの搬送方向である矢印C方向)にはみ出ようとする。しかし、表面層120の弾性率は弾性層118よりも高いため、はみ出ようとした弾性層118の一部は表面層120で拘束され、弾性層118は、軸方向の両端部で自身の変形を逃がそうとする。そして、弾性層118の端部では、芯金116側と接触している部位、及び表面層120と接触している部位がそれぞれ接着力により拘束されるため、弾性層118の傾斜端面124は、断面円弧状に膨れて曲面126となる。
ここで、弾性層118の元の傾斜端面124は、軸方向にも広がりを持っており、また、比較例よりも表面積が大きいので、弾性層118の軸方向端部は、比較例の弾性層208(図4(b)参照)の軸方向端部に比べて変形の自由度が大きくなっている。このため、弾性層118は、芯金116及び表面層120で一部が拘束されても変形が容易であり、部分的に大きな応力が集中しにくくなる。
また、加圧ロール104では、表面層120の端部に張出部120Aが形成されているため、弾性層118が膨らんで曲面126が形成されても、張出部120Aが曲面126を覆うことになる。これにより、曲面126の一部表面が定着ロール102の外周面と接触せず、弾性層118が保護される。さらに、張出部120Aは傾斜端面124と離れて配置されているので、張出部120Aが傾斜端面124の変形を規制することはなく、弾性層118内部に応力が集中しにくくなる。なお、張出部120Aは、縮径していても(図3(b)において内側(芯金116側)に折れ曲がっていても)、傾斜端面124と接着さえしていなければ、弾性層118が表面層120よりも径方向外側に突出する変形を抑制する。ここで、張出部120Aが傾斜端面124と離れて配置されている状態とは、張出部120Aと傾斜端面124が接着せず接触している状態までを含んでいる。
なお、本発明は上記の実施形態に限定されない。
図6(a)に示すように、変形後の弾性層118が対向する定着ロールの外周面と接触しない限り、加圧ロール104の表面層120(図3(b)参照)に代えて、表面層120の張出部120Aを除いた表面層128を有する加圧ロール130を用いてもよい。
また、図6(b)に示すように、加圧ロール104の弾性層118(図3(b)参照)に代えて、軸方向の端面が、表面層120側から傾斜した傾斜部の一例としての傾斜端面132Aと、傾斜端面132Aと連続して芯金116まで延びる鉛直端面132Bと、で構成される加圧ロール140を用いてもよい。
さらに、図6(c)に示すように、加圧ロール104の弾性層118(図3(b)参照)に代えて、軸方向の端面が、表面層120側から軸方向に対して直角な方向に延びる鉛直端面134Aと、鉛直端面134Aと連続して芯金116まで傾斜した傾斜部の一例としての傾斜端面134Bと、で構成される加圧ロール150を用いてもよい。ここで、図6(a)、(b)、(c)に破線で示された部分が、各弾性層118、132、134の変形状態を表している。
また、傾斜端面124、張出部120Aの構成は、加圧ロール104に代えて定着ロール102に設けてもよく、定着ロール102及び加圧ロール104の両方に設けてもよい。同様に、傾斜端面124、張出部120Aの構成は、加圧ロール104に代えて加圧ベルトや定着ベルトに設けてもよく、加圧ベルト及び定着ベルトの両方に設けてもよい。さらに、定着ロール102の軸方向の長さが、加圧ロール104の表面層120の軸方向の長さよりも短いものであってもよい。
10 画像形成装置
14 光走査装置(画像形成手段)
18 感光体(画像形成手段)
22 現像器(画像形成手段)
42 二次転写部(画像形成手段)
100 定着装置
102 定着ロール(加熱手段)
104 加圧ロール(定着用部材、加圧手段)
114 ハロゲンヒータ(加熱手段)
116 芯金(基材)
118 弾性層
120 表面層
120A 張出部(表面層の端部)
124 傾斜端面(傾斜部、端面)
132A 傾斜端面(傾斜部)
134B 傾斜端面(傾斜部)
P 記録用紙(記録媒体)

Claims (4)

  1. 加圧状態で使用される定着用部材であって、
    回転される基材と、
    前記基材の外周に形成された弾性層と、
    前記弾性層の外周に形成され前記弾性層に比べて弾性率の高い表面層と、を有し、
    前記弾性層の軸方向の端面は、軸方向の長さが前記表面層側よりも前記基材側で長くなるように傾斜されると共に軸方向に露出された傾斜部を有する定着用部材。
  2. 前記表面層は前記弾性層より軸方向に張り出し、且つ前記表面層の端部が前記弾性層の端面と離れて配置されている請求項1に記載の定着用部材。
  3. 記録媒体上の現像剤を加熱する加熱手段と、加熱される現像剤を加圧する加圧手段と、を有する定着装置であって、
    請求項1又は請求項2に記載の定着用部材が、前記加熱手段及び前記加圧手段の少なくとも一方に設けられた定着装置。
  4. 請求項3に記載の定着装置と、
    前記定着装置に搬送される記録媒体に現像剤で画像を形成する画像形成手段と、
    を有する画像形成装置。
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