JP2011144104A - 熔融石英ガラス部材 - Google Patents
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Abstract
【課題】
半導体製造用部材、液晶製造用部材、MEMS製造用部材として好適に利用可能な、腐蝕環境で用いる熔融石英ガラス部材を提供する。
【解決手段】
熔融石英ガラス部材に対して、以下の腐蝕曝露試験を行った際、腐食の深さ比(A+B)/Aの値が115%以上となる局部腐蝕部が存在しない熔融石英ガラス。
腐蝕曝露試験:(1)20mm×20mm×2mm厚の熔融石英ガラスサンプルを調整し、その表面に光学鏡面を形成した後、7mm×7mm部分をマスクする。(2)反応性イオンエッチング装置を用い、CF4ガス、O2ガス及びArを同時に流しながら、装置内圧力を14Paとして、マスクを施したガラス表面全体を、300Wで4時間エッチングする。(3)ガラス表面からマスクを取り除き、マスク部と腐蝕を受けた非マスク部との段差量(A)を測定する。(4)非マスク部表面に存在する凹部(局部腐蝕部)につき、非マスク部表面からの深さ(B)を測定する。
【選択図】 なし
半導体製造用部材、液晶製造用部材、MEMS製造用部材として好適に利用可能な、腐蝕環境で用いる熔融石英ガラス部材を提供する。
【解決手段】
熔融石英ガラス部材に対して、以下の腐蝕曝露試験を行った際、腐食の深さ比(A+B)/Aの値が115%以上となる局部腐蝕部が存在しない熔融石英ガラス。
腐蝕曝露試験:(1)20mm×20mm×2mm厚の熔融石英ガラスサンプルを調整し、その表面に光学鏡面を形成した後、7mm×7mm部分をマスクする。(2)反応性イオンエッチング装置を用い、CF4ガス、O2ガス及びArを同時に流しながら、装置内圧力を14Paとして、マスクを施したガラス表面全体を、300Wで4時間エッチングする。(3)ガラス表面からマスクを取り除き、マスク部と腐蝕を受けた非マスク部との段差量(A)を測定する。(4)非マスク部表面に存在する凹部(局部腐蝕部)につき、非マスク部表面からの深さ(B)を測定する。
【選択図】 なし
Description
本発明は、半導体製造用部材、液晶製造用部材、MEMS(Micro Electro Mechanical System)製造用部材等として腐蝕環境でも好適に利用可能な、パーティクル発生とスリップ発生の危険性が低い熔融石英ガラス部材、それを安価に製造する方法及びそれを用いた装置に関する。
半導体製造装置、液晶製造装置、MEMS製造装置等においては、石英ガラスを用いた部材が多用されている。その理由は多数あるが、最も重要な理由は石英ガラスが極めて高純度でありながら比較的安価であり、また高温耐性に優れる点が挙げられる。
半導体製造、液晶製造、MEMS製造においては、その製造工程で石英ガラス部材等の装置内壁に堆積物が付着することが多い。この付着物はパーティクルの原因となるため、これらの石英ガラス部材は定期的に洗浄する必要がある。ところが、洗浄に用いられる溶液やガスの多くは、石英ガラスに対して腐食性を有しているため、石英ガラス部材は洗浄過程において腐蝕環境下に曝されることとなり、その結果、石英ガラス部材は徐々に減肉・消耗することが知られている(例えば、特許文献1及び2参照)。
また、半導体製造、液晶製造、MEMS製造においては、その製造工程で様々なプラズマを用いることが多いが、フッ素系ガスや塩素系ガスを用いたプラズマもまた、石英ガラス部材を腐蝕させる腐蝕環境であることが知られている(例えば、特許文献3参照)。これら減肉・腐蝕現象は石英ガラス部材の寿命を左右するため重要な解決課題であるものの、回避困難な問題であることから、改善を望まれつつも半ば容認されている現象と言える。
ところが近年、この減肉・消耗現象が新たな問題を招くようになってきた。それは、石英ガラス部材が局部的かつ大量に腐蝕され(以下、局部腐蝕と略す)、石英ガラス部材表面に窪みを形成することである。このような表面凹凸は洗浄作業を困難とし、パーティクル増加要因となるため、望ましくない現象であることが知られている(例えば、特許文献4参照)。
一方、シリコンウエーハの高温熱処理工程では、しばしスリップと呼ばれる線状の欠陥が発生し問題となることがある。スリップとは、規則正しく配列したシリコン原子が高温のために転移し生じる結晶欠陥の一種であり、シリコンウエーハと石英ガラス製ボートとの接触箇所を起点に生じることが知られている(例えば、特許文献5参照)。そのため、石英ガラス製ウエーハボートの表面に局部腐蝕のような表面凹凸が存在した場合、これがスリップを生じさせる原因となり得るため望ましくない。
このように、石英ガラス製部材表面の凹凸発生は回避すべき問題であり、窪みが発生した石英ガラス部材は使用しないことが望ましいが、これは石英ガラス部材の寿命が著しく短くなることを意味しており、有効な対策とは言い難い。それにも関わらず、石英ガラス表面の凹凸発生原因である局部腐蝕の原因はこれまで明らかにされておらず、その結果、その対策をとることができずにいた。
本発明は、熔融石英ガラス表面に腐蝕起因の窪みが発生することで生じる様々な技術的問題を回避することにより、腐蝕環境で好適に使用可能な熔融石英ガラス部材を提供することを目的とする。
かかる課題を解決するため、本発明者らが鋭意検討を行った結果、石英ガラス部材の付着物に起因し発生するパーティクルやスリップを低減させるためには、石英ガラス部材表面に生じる局部腐蝕の発生数とその程度を減少させうる素材が有効であり、また、この局部腐蝕の原因が、狭い範囲に偏析した極微量の周期律表第III族元素と第IV族元素にあることを見出し、本発明を完成するに至った。
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明は、熔融石英ガラス部材に対して、以下の腐蝕曝露試験を行った際、腐食の深さ比(A+B)/Aの値が115%以上となる局部腐蝕部が存在しない熔融石英ガラスに関するものである。
腐蝕曝露試験:
(1)20mm×20mm×2mm厚の熔融石英ガラスサンプルを調整し、20mm×20mmの面に光学鏡面を形成した後、その表面の7mm×7mm部分をマスクする。
(2)反応性イオンエッチング装置を用い、CF4エッチングガスを30sccm、O2ガスを3sccm及びArガスを120sccm同時に流しながら、装置チャンバー内圧力を14Paとして、マスクを施した熔融石英ガラス表面全体を、300Wで4時間エッチングする。
(3)熔融石英ガラス表面からマスクを取り除き、マスク部と腐蝕を受けた非マスク部との段差量(A)を測定する。
(4)非マスク部表面に存在する凹部(局部腐蝕部)につき、非マスク部表面からの深さ(B)を測定する。
腐蝕曝露試験:
(1)20mm×20mm×2mm厚の熔融石英ガラスサンプルを調整し、20mm×20mmの面に光学鏡面を形成した後、その表面の7mm×7mm部分をマスクする。
(2)反応性イオンエッチング装置を用い、CF4エッチングガスを30sccm、O2ガスを3sccm及びArガスを120sccm同時に流しながら、装置チャンバー内圧力を14Paとして、マスクを施した熔融石英ガラス表面全体を、300Wで4時間エッチングする。
(3)熔融石英ガラス表面からマスクを取り除き、マスク部と腐蝕を受けた非マスク部との段差量(A)を測定する。
(4)非マスク部表面に存在する凹部(局部腐蝕部)につき、非マスク部表面からの深さ(B)を測定する。
局部腐蝕部は、周辺の正常な石英ガラスに比べて腐蝕環境下での腐蝕が著しいことから凹形状となるが、その程度が軽ければパーティクル発生原因やスリップの原因となる危険性は問題にならない程度に小さいことがわかった。具体的には腐蝕環境下に曝される石英ガラス表面に、腐食の深さ比(A+B)/Aの値が115%以上である局部腐蝕部が存在しなければ、パーティクル発生の危険性やスリップ発生の危険性は少ないことが分かった。
また、腐食の深さ比(A+B)/Aの値が115%以上となる局部腐蝕部が存在せず、なおかつ腐食の深さ比(A+B)/Aの値が102%以上115%未満となる局部腐蝕部が500個/cm2未満であればパーティクル発生の危険性やスリップ発生の危険性はさらに少なく、20個/cm2未満であればパーティクル発生の危険性やスリップ発生の危険性は事実上無視できることもわかった。
ここで、本発明で行う腐蝕曝露試験について図1、2を用いて説明する。
まず、計測対象とする20mm×20mm×2mm(高さ)の石英ガラスサンプル1を用意する。石英ガラスサンプル1は測定精度向上のため、表面を光学研磨する。この石英ガラスサンプル1表面の一部を7mm×7mmのカプトンテープ2でマスクした後(図1)、石英ガラスサンプル1を反応性イオンエッチング装置でCF4エッチングガスを30sccm、O2ガスを3sccm及びArガスを120sccm同時に流しながら、装置チャンバー内圧力を14Paとして、300Wで4時間エッチングする。その後、石英ガラスサンプル1を回収し、カプトンテープ2を剥がす(図2)。
マスク部3はエッチングを受けていないため、マスク部3と非マスク部4には段差が生じるので、このマスク部と非マスク部との段差量6(Aに相当)を測定する。次に、非マスク部4から、特異的に腐蝕を受けている凹部(局部腐蝕部5)を金属顕微鏡やレーザー顕微鏡などにより探し出し、非マスク部表面からの深さ7(Bに相当)をレーザー顕微鏡等により計測する。この計測値とマスク部と非マスク部との段差量6(A)の和が、局部腐蝕部の段差量8(A+B)となる。局部腐蝕部の段差量8(A+B)をマスク部と非マスク部との段差量6(A)で除すれば、腐蝕の深さ比(A+B)/Aの値を計算することができる。
また、本発明者らは局部腐蝕の原因が、周期律表第III族元素に属するY、La、Ce、Pr、Nd、Gd、Tb、Dy等の希土類元素、および周期律表第IV族に属するZr等の偏析にあることも明らかにしている。以下、この偏析領域を「異種元素偏析箇所」と略して説明する。天然シリカ粉末を用いた熔融石英ガラス中には、これらの元素が100μmφ未満の狭い領域に偏析しており、この異種元素偏析箇所の腐蝕速度が速いことが局部腐蝕の原因であることを我々は確認している。
これら異種元素の偏析が局部腐蝕を生じさせる原因としては、イオン半径の違いが考えられる。通常、周期律表第III族、IV族元素はイオン半径が大きいため、シリカ・ネットワークに組み込まれることがなく、SiO4ピラミッド間の空隙に存在することとなる。この時、周期律表第III族、IV族元素は、周辺のSiO4ピラミッド構造を歪ませるため、化学的結合が弱い状態となり、腐蝕環境に対する耐性が低下し、その結果、局部腐蝕を生じるものと推測している。
また、周期律表第III族、IV族元素は、石英ガラス中の拡散速度が小さいため、石英ガラス製造時の高温状態においても偏析が解消されにくいと言う特徴を有している。
なお、イオン半径が大きい元素としては、周期律表第III族、IV族元素の他に、周期律表第I族、第II族元素も知られており、これらの元素も局部腐蝕の原因となる可能性がある。
なお、局部腐蝕を生じさせる周期律表第III族、IV族元素の偏析は、天然シリカ粉末原料に由来するものである。このことは、合成シリカ粉末を熔融してなる石英ガラスでは局部腐蝕が生じず、天然シリカ粉末を熔融してなる石英ガラスでのみ局部腐蝕が生じることから確認した。
ここで、以後の不純物濃度に関する説明を容易にするため、「バルク濃度」と「局部濃度」について定義する。まず、「バルク濃度」とは数g以上の石英ガラスをまとめて溶解し、純度分析を行った際の不純物濃度とする。これは最も一般的に使われる濃度のことであり、分析対象物のどこを分析しても同じ値が得られることが期待されるため、製品の分析表などにも使用される値である。
これに対して「局部濃度」は我々が独自に定義する濃度である。ここでは「局部濃度」を、異種元素偏析箇所のみを測定した不純物濃度とする。例えば、物質A100gに対して、物質B50gが混合している場合、物質Bのバルク濃度は33%となる。しかし、局所的に物質A:物質B=0.6g:0.4gのような偏析箇所がある場合、その偏析箇所の物質Bの「局部濃度」は40%となる。
表面分析装置に分類される装置の多くは微小領域を測定するため、上述の定義に従えば、多くの表面分析装置で得られる定量値は局部濃度となる。例えば、代表的な表面分析装置であるEPMA法(Electron Probe Micro Analysis)では、測定領域が平面方向でサブミクロンから10ミクロン、深さ方向で1ミクロンから5ミクロン程度であることが多く、この微小な測定範囲における濃度が、すなわち局部濃度となる。
我々は、表面分析装置を用いて局部濃度を測定するにあたり、EPMA、またはDynamic−SIMS(Secondary Ion Mass Spectrometry)を用いた。これらの装置を用いた理由は、100ミクロン未満の微小領域の定量分析が行えるためである。
なお、Dynamic−SIMSの分析範囲は、平面方向が50ミクロン角、深さ方向は1ミクロン未満であるが、測定対象とした異種元素偏析箇所の大きさは時として50ミクロン角を下回るものであった。このことは、Dynamic−SIMSを持ってしても異種元素偏析箇所の局部濃度を正確に測定することはできないことを意味する。本来であれば、仮に異種元素偏析箇所の大きさが30ミクロンであった場合、Dynamic−SIMSの分析範囲を30ミクロン角以下に設定し、測定すべきであるが、現在のDyamic−SIMSの性能では、そこまで測定範囲を絞ることができない。そこで我々は、測定範囲を50ミクロン角に設定し、その結果得られた値をもって局部濃度とした。
なお、EPMAの場合は、分析範囲を1ミクロン程度まで狭く絞れるため、異種元素偏析箇所のみの分析が可能である。そこで、EPMAを用いた場合の局部濃度測定は、分析範囲が最小となるよう絞って測定した値を用いた。
以上の定義に基づき、前述の異種元素偏析箇所を調べたところ、異種元素偏析箇所における周期律表第III族、IV族元素の各元素における局部濃度の和が2000ppm未満で、かつ、周期律表第III族、IV族元素のバルク濃度の和が1500ppb未満であれば、局部腐蝕が生じる危険は少なく、またその程度も小さいことを突き止めた。更に望ましくは、周期律表第III族元素の各元素における局部濃度の和が200ppm未満で、かつバルク濃度の和が700ppb未満であれば、局部腐蝕が生じる危険は極めて少なく、またその程度もより小さいことが判明している。また、更に望ましくは、周期律表第III族元素の各元素における局部濃度の和が100ppm未満で、かつバルク濃度の和が100ppb未満であれば、局部腐蝕が生じる危険は極めて少なく、またその程度も極めて小さいことが判明している。
このような石英ガラスを製造するためには、周期律表第III族、IV族元素のバルク濃度を十分に管理した原料シリカ粉末を用いることが重要であり、また、原料シリカ粉末中に周期律表第III族元素を主成分とする異物が極力存在しない原料シリカ粉末を精製、選定することが重要である。後者は必ずしも容易ではないが、前者を遵守することだけでも高い効果が上げられる。実質的には、天然シリカ原料の原料産地を厳選し、かつ粉末精製を十全に行うことが有効である。
具体的には、周期律表第III族とIV族元素のバルク濃度の総量が1500ppb未満であるシリカ粉末を主原料として用いることが好ましく、周期律表第III族元素のバルク濃度の総量は700ppb未満であることがより好ましく、周期律表第III族元素のバルク濃度の総量は100ppb未満であることがさらに好ましい。
更に、合成シリカ粉末を用いることは前述の手法以上に極めて有効な手段となり得る。これは合成シリカ粉末が本質的に天然シリカ粉末よりも高純度であり、かつ合成シリカ粉末には周期律表第III族、IV族元素を主成分とする異物が実質皆無のためである。
本発明に用いられる熔融石英ガラスを製造する際の熔融加熱源としては、酸水素火炎を用いる方法、抵抗加熱を用いる方法、プラズマを用いる方法などが挙げられる。また、熔融方法としては、カーボン容器内にシリカ粉末を充填後に熔融させる、いわゆるモールド熔融法や、また、シリカ粉末を耐熱台座上に熔融、堆積させ、耐熱壁面に接触させることなく棒状に堆積させる、いわゆるコラム法や、また、シリカ粉末を升状の耐熱容器内に落下させつつ熔融させ、耐熱容器内に充填する、いわゆるスラブ法や、また、スラブ法に使用する升状の耐熱容器の底面に開口部を設け、そこから熔融した石英ガラスを流動・落下させ、棒材や管材などを製造する、いわゆる引き下げ法などが挙げられる。また同様に、熔融石英ガラスを得た後に、これを電気炉などで加熱し変形させる、いわゆる熱間加工を行うことも何ら問題ない。
なお我々は、原料シリカ粉末中に存在する周期律表第III族、IV族元素を主成分とする異物が、前述した石英ガラスの熔融工程で伸展、希釈されることも確認している。石英ガラスは前述の熔融や熱間加工中に流動、変形するが、その際、石英ガラス中の異物も同様に流動、変形する。これに伴い周期律表第III族、IV族元素を主成分とする異物は、周囲の石英ガラスと混合され、希釈されることとなる。そのため、変形や流動が著しい製法を採れば、異種元素偏析箇所の局部濃度を低下させることとなり、ひいては局部腐蝕の程度を低下させることができ、望ましい効果を得ることができる。その反面、引き延ばされた異物は引き延ばされていない異物に比べ、任意表面における出現確率が高いため、局部腐蝕部の数を増大させることに繋がる。つまり、石英ガラスの製法に依存して、局部腐蝕の程度、個数(あるいは密度)は複雑に変化することとなる。腐蝕環境用の熔融石英ガラス製造においては、以上のことを十分考慮し、また更に、製造する腐蝕環境用部材の形状や使用箇所を熟考し、製法を決定する。
なお、腐蝕環境とは、例えばCF4、C4F8、F2、HF等のフッ素系ガスの他、Cl2、HCl、HBr等のハロゲンガス及びそのプラズマや、またはHF溶液やその他の酸との混合溶液を用いた石英ガラスを腐蝕する環境のことを言い、このような腐蝕環境を必要とする装置としては、例えばCVD装置、ドライクリーニング装置、プラズマエッチング装置等が挙げられる。また、このような腐蝕環境で用いられる石英ガラス製部材としてはウエーハ保持具、反応管、フランジ、ガス導入管等が挙げられる。
また、腐蝕環境用部材において局部腐蝕が生じる部位は、あくまで腐蝕性雰囲気や腐食性溶液に接する部分であるので、腐蝕環境用部材全てを本発明の石英ガラス素材で製造する必要はなく、腐蝕環境に接する部分にのみ本発明の石英ガラス素材を使用すれば、その他の部分を通常の石英ガラスを用いて腐蝕環境用部材を作製しても十分な効果が得られる。
本発明は、半導体製造用部材、液晶製造用部材、MEMS製造用部材等として用いることで、腐蝕環境でもパーティクル発生やスリップを大幅に低減可能になる。
以下、各評価方法を説明した後、実施例を示し、本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれら実施例になんら限定されるものではない。
<石英ガラスサンプルの準備>
石英ガラスサンプルのサイズは20mm×20mm×2mm(高さ)とし、20mm×20mmの面には、その後の計測を正確なものとするため、光学研磨を施した。曝露試験直前、石英ガラスサンプル表面に7mm×7mm×140μm(厚さ)のカプトンテープを用いてマスクを施した。
石英ガラスサンプルのサイズは20mm×20mm×2mm(高さ)とし、20mm×20mmの面には、その後の計測を正確なものとするため、光学研磨を施した。曝露試験直前、石英ガラスサンプル表面に7mm×7mm×140μm(厚さ)のカプトンテープを用いてマスクを施した。
<異種元素偏析箇所の周期律表第III元素とIV族元素の濃度測定>
後の分析時に異種元素偏析箇所の判別が容易になるよう、あらかじめ石英ガラスサンプル表面の異種元素偏析箇所を微分干渉顕微鏡により見つけ、適時ダイヤペンや超硬針などでマーキングを行い、マーキングと異種元素偏析箇所の両方が写るように写真撮影を行った。微分干渉顕微鏡による異種元素偏析箇所の発見が容易でない場合、後述する腐蝕環境への曝露試験をあらかじめ極短い時間行い、僅かに異常腐蝕を生じさせてから微分干渉顕微鏡などで確認した。ここで目安となる曝露時間は、曝露条件によって異なるため一意に記すことはできないが、正常な石英ガラスが1μm程度腐蝕する時間に設定すれば、微分干渉顕微鏡での発見は大幅に容易となった。
後の分析時に異種元素偏析箇所の判別が容易になるよう、あらかじめ石英ガラスサンプル表面の異種元素偏析箇所を微分干渉顕微鏡により見つけ、適時ダイヤペンや超硬針などでマーキングを行い、マーキングと異種元素偏析箇所の両方が写るように写真撮影を行った。微分干渉顕微鏡による異種元素偏析箇所の発見が容易でない場合、後述する腐蝕環境への曝露試験をあらかじめ極短い時間行い、僅かに異常腐蝕を生じさせてから微分干渉顕微鏡などで確認した。ここで目安となる曝露時間は、曝露条件によって異なるため一意に記すことはできないが、正常な石英ガラスが1μm程度腐蝕する時間に設定すれば、微分干渉顕微鏡での発見は大幅に容易となった。
次に、導電性を付与するため石英ガラスサンプル表面にカーボン蒸着を行い、EPMA(島津製作所製、商品名「EPMA1610」)にて測定を実施した。照射電流量は200nA、加速電圧は15kVとし、定量分析は装置付属のソフトウェアを用い、半定量分析を実施した。また、異種元素偏析箇所の特定は、前述の写真を基に行った。
EPMAでの測定で検出できない低濃度の元素は、Dynamic−SIMS(FEI社製、商品名「SIMS4550」)にて測定を実施した。一次イオンは5keVのO2 +を50ミクロンの範囲に照射し、正の二次イオンを測定後、スタンダードとのピーク強度比から周期律表第III族元素とIV族元素の濃度を求めた。
<腐蝕環境への曝露試験>
反応性イオンエッチング装置(ANELVA社製、商品名「DEM−451」)を用いて石英ガラスサンプルのプラズマ・エッチングを行った。エッチング時にはCF4ガスを30sccm、O2ガスを3sccm、Arガスを120sccm同時に流し、チャンバー内を14Paとし、300Wで4時間のエッチングを行った。カプトンテープは曝露試験後に剥離した。
反応性イオンエッチング装置(ANELVA社製、商品名「DEM−451」)を用いて石英ガラスサンプルのプラズマ・エッチングを行った。エッチング時にはCF4ガスを30sccm、O2ガスを3sccm、Arガスを120sccm同時に流し、チャンバー内を14Paとし、300Wで4時間のエッチングを行った。カプトンテープは曝露試験後に剥離した。
<マスク部と非マスク部との段差量(A)及び局部腐蝕部の非マスク部表面からの深さ(B)の測定>
前述の通り、マスク部と非マスク部との段差量(A)及び局部腐蝕部の非マスク部表面からの深さ(B)を測定した。具体的には、マスク部と非マスク部との段差量(A)は、カプトンテープによるマスク面と非マスク面の境界に生じた段差を、表面粗さ計(Sloan社製、商品名「DEKTAK3030」)を用いて3箇所以上測定し、その平均値をマスク部と非マスク部との段差量(A)とした。なお、測定場所は2mm以上離れた場所を選んだ。次に、局部腐蝕部の非マスク部表面からの深さ(B)は、局部腐蝕部が小さく表面粗さ計で測定することが困難なため、走査型レーザー顕微鏡(キーエンス社製、商品名「VK−9500/VK−9510」)を用いて表面形状を3次元で測定し、求めた。
前述の通り、マスク部と非マスク部との段差量(A)及び局部腐蝕部の非マスク部表面からの深さ(B)を測定した。具体的には、マスク部と非マスク部との段差量(A)は、カプトンテープによるマスク面と非マスク面の境界に生じた段差を、表面粗さ計(Sloan社製、商品名「DEKTAK3030」)を用いて3箇所以上測定し、その平均値をマスク部と非マスク部との段差量(A)とした。なお、測定場所は2mm以上離れた場所を選んだ。次に、局部腐蝕部の非マスク部表面からの深さ(B)は、局部腐蝕部が小さく表面粗さ計で測定することが困難なため、走査型レーザー顕微鏡(キーエンス社製、商品名「VK−9500/VK−9510」)を用いて表面形状を3次元で測定し、求めた。
<局部腐蝕部の個数密度の計測>
局部腐蝕部の個数密度の計測は、前述したレーザー顕微鏡を用いて以下の手順で行った。まず、レーザー顕微鏡の観察倍率を、視野面積が1mm2以上となるよう設定し、腐蝕環境に曝露した石英ガラスサンプル表面を観察した。視野内に存在する全ての窪みの深さを計測し、腐食の深さ比(A+B)/Aの値が102%以上115%未満の局部腐蝕部の数を計測した。ただし、深さの計測に際しては、局部腐蝕部のサイズに適した観察倍率に一時的に変更した。この計測を、無作為に選んだ視野3点以上に対し行い、その平均値から局部腐蝕部の個数密度を計算し、求めた。
局部腐蝕部の個数密度の計測は、前述したレーザー顕微鏡を用いて以下の手順で行った。まず、レーザー顕微鏡の観察倍率を、視野面積が1mm2以上となるよう設定し、腐蝕環境に曝露した石英ガラスサンプル表面を観察した。視野内に存在する全ての窪みの深さを計測し、腐食の深さ比(A+B)/Aの値が102%以上115%未満の局部腐蝕部の数を計測した。ただし、深さの計測に際しては、局部腐蝕部のサイズに適した観察倍率に一時的に変更した。この計測を、無作為に選んだ視野3点以上に対し行い、その平均値から局部腐蝕部の個数密度を計算し、求めた。
実施例1
周期律表第III族元素のバルク濃度の総量が570ppb、周期律表第IV族元素の総量が1300ppbである天然珪砂粉末をカーボンモールド内に充填し、これを真空排気しつつ減圧下で抵抗加熱により加熱し、モールド熔融を行った。原料シリカ粉末とカーボンモールドの境界には高純度フェルトを巻き、また敷いた。熔融の際は、常温〜1700℃まで5℃/分で昇温し、1700℃で60分保持して原料粉末を充分に焼結させた。ここにおいて、窒素ガスを0.2MPaまで導入した。更に、この窒素雰囲気下、1700℃〜1850℃まで5℃/分で昇温し、1850℃で30分保持して焼結体を熔融した。加熱終了後も窒素雰囲気下で急冷し、原料をガラス化し、石英ガラスを得た。この石英ガラスの周期律表第III族元素のバルク濃度の総量は610ppb、周期律表第IV族元素のバルク濃度の総量は1300ppbであったであった。
周期律表第III族元素のバルク濃度の総量が570ppb、周期律表第IV族元素の総量が1300ppbである天然珪砂粉末をカーボンモールド内に充填し、これを真空排気しつつ減圧下で抵抗加熱により加熱し、モールド熔融を行った。原料シリカ粉末とカーボンモールドの境界には高純度フェルトを巻き、また敷いた。熔融の際は、常温〜1700℃まで5℃/分で昇温し、1700℃で60分保持して原料粉末を充分に焼結させた。ここにおいて、窒素ガスを0.2MPaまで導入した。更に、この窒素雰囲気下、1700℃〜1850℃まで5℃/分で昇温し、1850℃で30分保持して焼結体を熔融した。加熱終了後も窒素雰囲気下で急冷し、原料をガラス化し、石英ガラスを得た。この石英ガラスの周期律表第III族元素のバルク濃度の総量は610ppb、周期律表第IV族元素のバルク濃度の総量は1300ppbであったであった。
次に、製造した石英ガラスから石英ガラスサンプルを作製した。サンプル表面中最大の異種元素偏析箇所の周期律表第III族元素の各元素における局部濃度の総量を測定したところ190ppmであり、一方、周期律表第IV族元素は検出されなかった。
この石英ガラスサンプルに対し、曝露試験を行った後、腐蝕速度の評価を行ったところ、マスク部と非マスク部との段差量(A)は19.5μm、局部腐蝕部の非マスク部表面からの深さ(B)は最大のもので2.0μmであり、腐食の深さ比(A+B)/Aの値は110.3%と僅かであった。また、腐食の深さ比(A+B)/Aの値が102%以上115%未満の局部腐蝕部は1cm2当たり640個と、やや多いものの、許容範囲内であった。
実施例2
周期律表第III族元素の総量が200ppb、周期律表第IV族元素の総量が850ppbである天然珪砂粉末を、回転する炉の上部中央から落下させながら酸水素火炎バーナーで熔融させつつ、スラブ炉方式の耐火煉瓦を組み上げて構築した升状の炉の底部中央部に堆積させ、炉の外周方向に熔融した石英ガラスを伸展させ、550mm×550mm×250mm(高さ)の石英ガラスを製造した。この石英ガラスの周期律表第III族元素のバルク濃度の総量は230ppb、周期律表第IV族元素のバルク濃度の総量は890ppbであったであった。
周期律表第III族元素の総量が200ppb、周期律表第IV族元素の総量が850ppbである天然珪砂粉末を、回転する炉の上部中央から落下させながら酸水素火炎バーナーで熔融させつつ、スラブ炉方式の耐火煉瓦を組み上げて構築した升状の炉の底部中央部に堆積させ、炉の外周方向に熔融した石英ガラスを伸展させ、550mm×550mm×250mm(高さ)の石英ガラスを製造した。この石英ガラスの周期律表第III族元素のバルク濃度の総量は230ppb、周期律表第IV族元素のバルク濃度の総量は890ppbであったであった。
次に、製造した石英ガラスから、石英ガラスサンプルを作製した。サンプル表面中最大の異種元素偏析箇所の周期律表第III族元素の各元素における局部濃度の総量を測定したところ、70ppmであり、一方、周期律表第IV族元素は検出されなかった。
この石英ガラスサンプルに対し、曝露試験を行った後、腐蝕速度の評価を行ったところ、マスク部と非マスク部との段差量(A)は19.9μm、局部腐蝕部の非マスク部表面からの深さ(B)は最大のもので1.4μmであり、腐食の深さ比(A+B)/Aの値は107.2%と僅かであった。また、腐食の深さ比(A+B)/Aの値が102%以上115%未満の局部腐蝕部は1cm2当たり410個と、比較的少なく、良好であった。
実施例3
実施例2と同様の方法で、400mm×400mm×220mm(高さ)の石英ガラスを製造した。ここでは、合成シリカ粉末と天然珪砂粉末を1:1の配合で十分に混合し、周期律表第III族元素の総量を80ppb、周期律表第IV族元素の総量が550ppbとしたシリカ粉末をシリカ原料として用いた。得られた石英ガラスの周期律表第III族元素のバルク濃度の総量は90ppb、周期律表第IV族元素のバルク濃度の総量は600ppbであったであった。
実施例2と同様の方法で、400mm×400mm×220mm(高さ)の石英ガラスを製造した。ここでは、合成シリカ粉末と天然珪砂粉末を1:1の配合で十分に混合し、周期律表第III族元素の総量を80ppb、周期律表第IV族元素の総量が550ppbとしたシリカ粉末をシリカ原料として用いた。得られた石英ガラスの周期律表第III族元素のバルク濃度の総量は90ppb、周期律表第IV族元素のバルク濃度の総量は600ppbであったであった。
次に、製造した石英ガラスから、石英ガラスサンプルを作製した。サンプル表面中最大の異種元素偏析箇所の周期律表第III族元素の各元素における局部濃度の総量を測定したところ、80ppmであり、一方、周期律表第IV族元素は検出されなかった。
この石英ガラスサンプルに対し、曝露試験を行った後、腐蝕速度の評価を行ったところ、マスク部と非マスク部との段差量(A)は19.1μm、局部腐蝕部の非マスク部表面からの深さ(B)は最大のもので1.1μmであり、腐食の深さ比(A+B)/Aの値は105.6%と僅かであった。
また、(A+B)/Aの値が102%以上115%未満の局部腐蝕部は1cm2当たり110個と少なく、良好であった。
実施例4
実施例2と同様の方法で、400mm×400mm×220mm(高さ)の石英ガラスを製造した。ここでは、周期律表第III族元素と周期律表第IV族元素の総量がそれぞれ10ppb未満である合成シリカ粉末をシリカ原料として用いた。得られた石英ガラスの周期律表第III族元素のバルク濃度の総量と周期律表第IV族元素のバルク濃度の総量は共に10ppb未満であった。
実施例2と同様の方法で、400mm×400mm×220mm(高さ)の石英ガラスを製造した。ここでは、周期律表第III族元素と周期律表第IV族元素の総量がそれぞれ10ppb未満である合成シリカ粉末をシリカ原料として用いた。得られた石英ガラスの周期律表第III族元素のバルク濃度の総量と周期律表第IV族元素のバルク濃度の総量は共に10ppb未満であった。
次に、製造した石英ガラスから、石英ガラスサンプルを作製した。サンプル表面には、異種元素偏析箇所が全く認められなかった。
この石英ガラスサンプルに対し、曝露試験を行った後、腐蝕速度の評価を行ったが、局部腐蝕部は全く認められなく、極めて良好であった。
比較例1
周期律表第III族元素の総量が800ppb、周期律表第IV族元素の総量が200ppbである天然珪砂粉末をカーボンモールド内に充填し、実施例1の方法で石英ガラスを作製した。この石英ガラスの周期律表第III族元素のバルク濃度の総量は830ppb、周期律表第IV族元素のバルク濃度の総量は230ppbであったであった。
周期律表第III族元素の総量が800ppb、周期律表第IV族元素の総量が200ppbである天然珪砂粉末をカーボンモールド内に充填し、実施例1の方法で石英ガラスを作製した。この石英ガラスの周期律表第III族元素のバルク濃度の総量は830ppb、周期律表第IV族元素のバルク濃度の総量は230ppbであったであった。
次に、製造した石英ガラスから石英ガラスサンプルを作製した。サンプル表面中最大の異種元素偏析箇所の周期律表第III族元素の各元素における局部濃度の総量を測定したところ、260ppmであり、一方、周期律表第IV族元素は検出されなかった。
この石英ガラスサンプルに対し、曝露試験を行った後、腐蝕速度の評価を行ったところ、マスク部と非マスク部との段差量(A)は19.0μm、局部腐蝕部の非マスク部表面からの深さ(B)は最大のもので6.8μmであり、腐食の深さ比(A+B)/Aの値は135.7%と著しく大きなものであった。また、(A+B)/Aの値が102%以上115%未満の局部腐蝕部は1cm2当たり1200個と、極めて多数であった。
比較例2
実施例2と同様の方法で、400mm×400mm×220mm(高さ)の石英ガラスを製造した。ここでは、周期律表第III族元素の総量が1350ppb、周期律表第IV族元素の総量が700ppbである天然珪砂粉末をシリカ原料として用いた。得られた石英ガラスの周期律表第III族元素のバルク濃度の総量は1400ppb、周期律表第IV族元素のバルク濃度の総量は720ppbであったであった。
実施例2と同様の方法で、400mm×400mm×220mm(高さ)の石英ガラスを製造した。ここでは、周期律表第III族元素の総量が1350ppb、周期律表第IV族元素の総量が700ppbである天然珪砂粉末をシリカ原料として用いた。得られた石英ガラスの周期律表第III族元素のバルク濃度の総量は1400ppb、周期律表第IV族元素のバルク濃度の総量は720ppbであったであった。
次に、製造した石英ガラスから、石英ガラスサンプルを作製した。サンプル表面中最大の異種元素偏析箇所の周期律表第III族元素の各元素における局部濃度の総量を測定したところ、320ppmであり、一方、周期律表第IV族元素は検出されなかった。
この石英ガラスサンプルに対し、曝露試験を行った後、腐蝕速度の評価を行ったところ、マスク部と非マスク部との段差量(A)は19.4μm、局部腐蝕部の非マスク部表面からの深さ(B)は最大のもので6.2μmであり、腐食の深さ比(A+B)/Aの値は132.0%と著しく大きなものであった。また、腐食の深さ比(A+B)/Aの値が102%以上115%未満の局部腐蝕部は1cm2当たり1830個と、極めて多数であった。
比較例3
実施例2と同様の方法で、400mm×400mm×220mm(高さ)の石英ガラスを製造した。ここでは、周期律表第III族元素の総量が230ppb、周期律表第IV族元素の総量が1700ppbである天然珪砂粉末をシリカ原料として用いた。得られた石英ガラスの周期律表第III族元素のバルク濃度の総量は230ppb、周期律表第IV族元素のバルク濃度の総量は1830ppbであった。
実施例2と同様の方法で、400mm×400mm×220mm(高さ)の石英ガラスを製造した。ここでは、周期律表第III族元素の総量が230ppb、周期律表第IV族元素の総量が1700ppbである天然珪砂粉末をシリカ原料として用いた。得られた石英ガラスの周期律表第III族元素のバルク濃度の総量は230ppb、周期律表第IV族元素のバルク濃度の総量は1830ppbであった。
次に、製造した石英ガラスから、石英ガラスサンプルを作製した。サンプル表面中最大の異種元素偏析箇所の周期律表第III族元素の各元素における局部濃度の総量を測定したところ150ppm、周期律表第IV族元素の各元素における局部濃度の総量は3000ppmであった。
この石英ガラスサンプルに対し、曝露試験を行った後、腐蝕速度の評価を行ったところ、マスク部と非マスク部との段差量(A)は19.4μm、局部腐蝕部の非マスク部表面からの深さ(B)は最大のもので4.2μmであり、腐食の深さ比(A+B)/Aの値は121.5%と大きなものであった。また、腐食の深さ比(A+B)/Aの値が102%以上115%未満の局部腐蝕部は1cm2当たり1350個と、極めて多数であった。
半導体製造用部材、液晶製造用部材、MEMS製造用部材等として腐蝕環境でも好適に利用可能な、パーティクル発生とスリップ発生の危険性が低い熔融石英ガラス部材を製造することができる。
1.石英ガラスサンプル
2.カプトンテープ
3.マスク部
4.非マスク部
5.局部腐蝕部
6.マスク部と非マスク部との段差量(A)
7.非マスク部表面からの深さ(B)
8.局部腐蝕部の段差量(A+B)
9.腐食の深さ比(A+B)/Aの値が102%以上115%未満の局部腐蝕部。図中に白丸で図示。
10.腐食の深さ比(A+B)/Aの値が115%を超えた局部腐蝕部。図中に黒丸で図示。
2.カプトンテープ
3.マスク部
4.非マスク部
5.局部腐蝕部
6.マスク部と非マスク部との段差量(A)
7.非マスク部表面からの深さ(B)
8.局部腐蝕部の段差量(A+B)
9.腐食の深さ比(A+B)/Aの値が102%以上115%未満の局部腐蝕部。図中に白丸で図示。
10.腐食の深さ比(A+B)/Aの値が115%を超えた局部腐蝕部。図中に黒丸で図示。
Claims (13)
- 熔融石英ガラス部材に対して、以下の腐蝕曝露試験を行った際、腐食の深さ比(A+B)/Aの値が115%以上となる局部腐蝕部が存在しない熔融石英ガラス部材。
腐蝕曝露試験:
(1)20mm×20mm×2mm厚の熔融石英ガラスサンプルを調整し、20mm×20mmの面に光学鏡面を形成した後、その表面の7mm×7mm部分をマスクする。
(2)反応性イオンエッチング装置を用い、CF4エッチングガスを30sccm、O2ガスを3sccm及びArガスを120sccm同時に流しながら、装置チャンバー内圧力を14Paとして、マスクを施した熔融石英ガラス表面全体を、300Wで4時間エッチングする。
(3)熔融石英ガラス表面からマスクを取り除き、マスク部と腐蝕を受けた非マスク部との段差量(A)を測定する。
(4)非マスク部表面に存在する凹部(局部腐蝕部)につき、非マスク部表面からの深さ(B)を測定する。 - (A+B)/Aの値が102%以上115%未満である局部腐蝕部の非マスク部における個数が、500個/cm2未満であることを特徴とする、請求項1に記載の熔融石英ガラス部材。
- (A+B)/Aの値が102%以上115%未満である局部腐蝕部の非マスク部における個数が、20個/cm2未満であることを特徴とする、請求項1に記載の熔融石英ガラス部材。
- 熔融石英ガラス部材における周期律表第III族とIV族元素のバルク濃度の総量が1500ppb未満で、かつ局部腐蝕が生じる部位に偏在する、周期律表第III族、IV族元素の各元素における局部濃度の総和が2000ppm未満であることを特徴とする請求項1から請求項3に記載の熔融石英ガラス部材。
- 熔融石英ガラス部材における周期律表第III族元素のバルク濃度の総量が700ppb未満で、かつ局部腐蝕が生じる部位に偏在する、周期律表第III族元素の各元素における局部濃度の総和が200ppm未満であることを特徴とする請求項4に記載の熔融石英ガラス部材。
- 熔融石英ガラス部材における周期律表第III族元素のバルク濃度の総量が100ppb未満で、かつ局部腐蝕が生じる部位に偏在する、周期律表第III族元素の各元素における局部濃度の総和が100ppm未満であることを特徴とする請求項4に記載の熔融石英ガラス部材。
- 周期律表第III族とIV族元素のバルク濃度の総量が1500ppb未満であるシリカ粉末を主原料として用いることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の熔融石英ガラス部材に用いられる熔融石英ガラスの製造方法。
- 周期律表第III族元素のバルク濃度の総量が700ppb未満であるシリカ粉末を主原料として用いることを特徴とする請求項7に記載の熔融石英ガラス部材に用いられる熔融石英ガラスの製造方法。
- 周期律表第III族元素のバルク濃度の総量が100ppb未満であるシリカ粉末を主原料として用いることを特徴とする請求項7に記載の熔融石英ガラス部材に用いられる熔融石英ガラスの製造方法。
- シリカ粉末として、合成シリカ粉末を用いることを特徴とする、請求項7〜9のいずれかに記載の熔融石英ガラスの製造方法。
- 請求項1〜6のいずれかに記載の熔融石英ガラス部材を用いてなる半導体製造装置。
- 請求項1〜6のいずれかに記載の熔融石英ガラス部材を用いてなる成膜装置。
- 請求項1〜6のいずれかに記載の熔融石英ガラス部材を用いてなるドライクリーニング装置。
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JPH0826758A (ja) * | 1994-07-13 | 1996-01-30 | Shin Etsu Chem Co Ltd | 合成石英ガラス部材の製造方法 |
JP2006008452A (ja) * | 2004-05-25 | 2006-01-12 | Tohos Sgm Kk | 高純度石英ガラスの製造方法 |
-
2010
- 2010-12-15 JP JP2010279633A patent/JP2011144104A/ja active Pending
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