JP2011143757A - 車両の駆動力制御装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】車両の駆動力制御装置において、内燃機関において作動する気筒数が変化する際に生ずるショックの軽減を図る。
【解決手段】車両の駆動力制御装置は、複数の気筒(10)を有し、部分気筒運転と全気筒運転とを選択的に行う内燃機関(1)を内燃機関を備えた車両を制御する。気筒の各々について休止状態及び作動状態を切り替える気筒切り替え手段(100)と、回転速度比が可変である変速手段(2)と、車両の慣性力が気筒の数の変化に伴うトルク変化量を補償するように、前記回転速度比を制御する制御手段(100)とを備える。
【選択図】図5

Description

本発明は、例えば自動車等のエンジンである多気筒内燃機関を備える車両の駆動力制御装置の技術分野に関する。
この種の制御装置の一例として、緩加速時やアイドリング時などの低負荷運転時に、一部又は全部の気筒を休止させることにより、燃費効率の向上を図る機能を搭載した内燃機関及びその制御装置がある。このように、一部の気筒を休止させると、内燃機関の総排気量が変化するため、内燃機関の出力トルクが変化する。この出力トルクの変化は、ドライブシャフト等の駆動系を介してドライバにショックとして伝達され、ドライバビリティの悪化を引き起こしてしまう。
例えば特許文献1には、一部の気筒を休止させる際に、ダンパクラッチの締結力を低下させることによって、このようなショックを軽減する技術が開示されている。また、特許文献2には、出力トルクの変化を相殺するように駆動又は回生を行う電動モータを車両に搭載することにより、ドライバビリティを向上させる技術が開示されている。
特開平08−105335号公報 特開平11−350995号公報
特許文献1では、一部の気筒を休止させる際にダンパクラッチの締結力を低下させることで多少なりともショックを軽減できる可能がある。しかしながら、ダンパクラッチを結合する前後における内燃機関の出力トルクに差が存在する限り、当該出力トルクの差に基づいたショックがドライバに伝達されてしまうという技術的問題点がある。また、特許文献2ではドライバビリティの悪化を抑制或いは回避するために電動モータという構成要素を追加的に備える必要があるため、車両の構造や制御が複雑化してしまうという技術的問題点がある。
本発明は、例えば上記の問題点に鑑みなされたものであり、内燃機関において作動する気筒数が変化する際に生ずるショックを軽減可能な車両の駆動力制御装置を提供することを課題とする。
上述した課題を解決するため本発明に係る車両の駆動力制御装置は、複数の気筒を有し、該複数の気筒のうち一部の気筒が燃焼を休止する休止状態とされる部分気筒運転と前記複数の気筒の全ての気筒が燃焼を行う作動状態とされる全気筒運転とを選択的に行うことが可能な内燃機関を制御する内燃機関を備えた車両の制御装置であって、前記複数の気筒の各々について前記休止状態及び前記作動状態を切り替える気筒切り替え手段と、前記内燃機関の出力軸と車軸に連結される出力部材との回転速度比が可変である変速手段と、前記車両の有する慣性力が前記出力部材を介して前記出力軸に伝達される際に、前記気筒切り替え手段によって前記作動状態にある前記気筒の数の変化に伴うトルク変化量を補償するように、前記変速手段の前記回転速度比を制御する制御手段とを備える。
本発明の車両の駆動力制御装置は、部分気筒運転と全気筒運転とを選択的に行うことが可能な内燃機関を制御する。内燃機関が部分気筒運転を行う際には、内燃機関が有する複数の気筒のうち一部の気筒が休止状態とされると共に他部の気筒が作動状態とされる。ここで、本発明に係る「休止状態」とは、気筒が燃焼を休止する状態、即ち、気筒内における燃料の燃焼が休止されている状態を意味し、例えば、気筒において燃料の供給が停止されると共に吸気弁及び排気弁が閉じられており、燃料の燃焼が行われていない状態を意味する。また、本発明に係る「作動状態」とは、気筒が燃焼を行う状態、即ち、気筒内における燃料の燃焼が行われている状態を意味する。内燃機関が全気筒運転を行う際には、内燃機関が有する複数の気筒の全ての気筒が作動状態とされる。
本発明に係る気筒切り替え手段は、複数の気筒の各々について休止状態及び作動状態を切り替える。例えば、気筒切り替え手段は、例えば、可変バルブ機構によってロッカーアームを休止させたり、直押し式のバルブリフターを利用して吸気バルブ及び排気バルブの両方を全閉密着させることで、当該気筒における吸気及び排気を停止させ、燃料供給を停止させることによって各気筒を休止状態に切り替えることができる。
本発明に係る変速手段は、内燃機関の出力軸と車軸に連結される出力部材との回転速度比(以下、適宜「変速比」と呼ぶ)が可変である。例えば変速手段は、摩擦係合式或いは噛合式等各種態様を採り得る複数の係合手段(ブレーキ装置やクラッチ装置を含む)により、出力部材とこれら複数の回転要素との接続状態(即ち、元より接続可能であるか否かによらず少なくとも接続の有無を含み、概念上は、どの程度接続されているかといった定量的状態を含む)を適宜に切り替えること(即ち、これら複数の回転要素のうち出力部材との接離可能に構成された少なくとも一部と出力部材とを適宜に係合及び離間させること等を好適な一形態として含む)等によって変速を行うことができる。変速は、内燃機関の出力軸の回転速度(即ち、機関回転速度)と車軸に直接に又は間接的に連結された出力部材との回転速度比(即ち、変速比)を、理論的に、実質的に又は何らかの現実的な制約の範囲で変化させる。
本発明に係る制御手段は、前記車両の有する慣性力が前記出力部材を介して前記出力軸に伝達される際に、前記気筒切り替え手段によって前記作動状態にある前記気筒の数の変化に伴うトルク変化量を補償するように、前記変速手段の前記回転速度比を制御する。
本発明に係る駆動制御装置を備える車両には、走行中及び停車中にかかわらず慣性力が存在する。例えば、車両が特定の速度で走行している最中では、当該特定の速度で走行し続けようとする慣性力が存在し、車両の速度がゼロの場合(即ち、車両が停止している場合)、車両をその場に留めておこうとする慣性力が存在する。ここで、車軸及び内燃機関の出力軸は共に変速手段に連結されているので、変速手段を介して車両が有する慣性力が内燃機関に伝達される。内燃機関に伝達される慣性力の大きさは、変速手段の変速比に依存する。本発明では、当該変速比を適宜変更することによって、内燃機関に伝達される慣性力の大きさを調整することができる。
内燃機関が全気筒運転から部分気筒運転又は部分気筒運転から全気筒運転に切り替えられた場合、作動状態にある気筒数の変化に伴い、内燃機関の出力トルクも変化する。このような内燃機関の出力トルクの変化は、上述の通り、ドライバビリティの悪化の要因となり得る。ここで、本来車両が有する慣性力は、例えば車速、車重及び車体サイズ等に依存する。また、内燃機関に対して変速手段を介して伝達される慣性力の大きさは、本来車両が有する慣性力と変速手段の変速比とによって決定される。
本発明では、内燃機関に伝達される慣性力の大きさを、内燃機関の出力トルクの変化を軽減又は解消するように、変速手段の回転速度比を制御(即ち、変更)することによって、内燃機関における作動状態にある気筒数が変化する場合に生じるショックを軽減又は解消し、ドライバビリティを向上させることができる。
本発明に係る車両の駆動力制御装置の一の態様では、前記制御手段は、作動状態にある前記気筒の数が減少する場合に、前記変速手段の前記回転速度比を小さくする。
この態様によれば、内燃機関を全気筒運転から部分気筒運転に切り替える場合や、部分気筒運転中において作動状態にある気筒数を減少させる場合など、内燃機関の出力トルクが減少する場合に生ずるショックを軽減又は解消し、ドライバビリティを向上させることができる。この場合、作動状態にある気筒数の減少に伴い(即ち内燃機関の総排気量が実質的に減少することに伴い)、内燃機関の出力トルクが減少する。制御手段は、変速手段の変速比が小さくなるように変速手段を制御することによって、このような内燃機関の出力トルクの減少量を補うことができる。
この場合、前記制御手段は、前記慣性力の大きさが、作動状態にある前記気筒の数の減少に伴うトルクダウン量に等しくなるように、前記変速手段の前記回転速度比を制御するとよい。
この態様では、制御手段は、作動状態にある気筒数の減少に伴って減少した内燃機関の出力トルクの変化量に等しい大きさの慣性力が、内燃機関に伝達されるように変速手段の変速比を制御する。その結果、内燃機関の出力トルクの減少を打ち消すことができるため、ショックを解消し、ドライバビリティをより効果的に向上させることができる。
本発明に係る車両の駆動力制御装置の他の態様では、前記制御手段は、作動状態にある前記気筒の数が増加する場合に、前記変速手段の前記回転速度比を大きくする。
この態様によれば、内燃機関を部分気筒運転から全気筒運転に切り替える場合や、部分気筒運転中において作動状態にある気筒数を増加させる場合など、内燃機関の出力トルクが増加する場合に生ずるショックを軽減又は解消し、ドライバビリティを向上させることができる。この場合、作動状態にある気筒数の増加に伴い(即ち内燃機関の総排気量が実質的に増加することに伴い)、内燃機関の出力トルクが増加する。制御手段は、変速手段の変速比が大きくなるように変速手段を制御することによって、このような内燃機関の出力トルクの増加量を補うことができる。
本発明に係る車両の駆動力制御装置の他の態様では、前記変速手段の前記変速比は、連続的に制御可能である。
この態様によれば、変速手段は、変速比が連続的に可変な無段変速機である。この場合、変速比を連続的に可変であるので、内燃機関に伝達される慣性力の大きさもまた、連続的に可変である。その結果、制御手段が、内燃機関の動作形態の切り替え時に生ずる出力トルクの変化を軽減又は防止するための変速比をより正確に制御(即ち選択)することが可能となる。そのため、より効果的に作動状態にある気筒数が変化する際に生じるショックを解消し、ドライバビリティを向上させることができる。
本発明のこのような作用及び他の利得は次に説明する実施形態から明らかにされる。
本実施形態に係る車両の構成を概念的に表わしてなる概略構成図である。 本実施形態に係る車両の有するエンジンの全体構成を概略的に示す模式図である。 本実施形態に係る車両の有するエンジンの構成を1つの気筒について示す模式図である。 本実施形態に係る車両における動作処理を示すフローチャートである。 本実施形態に係る車両の全気筒運転から部分気筒運転への切り替え時の動作を示すタイムチャートである。
以下、図面を参照して本発明に係る車両の駆動力制御装置の好適な実施形態について説明する。ここでは、本発明に係る車両の駆動力制御装置を備える車両について具体的に説明する。
<実施形態の構成>
始めに、図1を参照して、本実施形態に係る車両の概略構成について説明する。図1は、本実施形態に係る車両の構成を概念的に表わしてなる概略構成図である。
図1において、車両は、エンジン1、無段変速機2、アクセル開度センサ3、車速センサ4、右前輪FR、左前輪FL、ドライブシャフトSFR及びSFL、並びにECU100を備える。
エンジン1は、本発明に係る「内燃機関」の一例たる複数の気筒を有するガソリンエンジンである。エンジン1は、各気筒において空気と燃料との混合気を燃焼させることで、当該エンジン1が搭載された車両の走行用動力を出力する。エンジン1は、ECU100から供給される制御信号によって、その動作が制御される。尚、エンジン1及びECU100の詳細については、後述することとする。
無段変速機2は、本発明に係る「変速手段」の一例であり、エンジン1において発生する動力の変換、結合、及び遮断等を行うことができる。エンジン1において発生する動力は、無段変速機2を介して、車両の駆動輪たる右前輪FR及び左前輪FLを夫々駆動するドライブシャフトSFR及びSFLに伝達されることにより、車両の走行を実現する。
無段変速機2の変速比は、本発明に係る「回転速度比」の一例であり、本発明に係る「制御手段」の一例であるECU100から供給される制御信号によって、搭載車両の走行状態等に応じて連続的に可変である。尚、車両は、無段変速機2に加えて断続機構やブレーキ機構などを含んだ動力伝達機構を備えていてもよい。尚、無段変速機2は、流体により駆動力を伝達する静油圧式であってもよいし、搭載車両がハイブリッド車両の場合は電動機を用いた電力式であってもよい。
アクセル開度センサ3は、ドライバによるアクセルペダル(図不示)の操作量たるアクセル開度を検出可能に構成されたセンサである。車速センサ4は、車速を検出可能に構成されたセンサである。アクセル開度センサ3及び車速センサ4は、夫々、検出したアクセル開度(以下、適宜「アクセル開度Acc」と呼ぶ)及び車速(以下、適宜「車速V」と呼ぶ)に相当する検出信号をECU100に供給する。アクセル開度センサ3及び車速センサ4は、ECU100と電気的に接続されており、検出されたアクセル開度Acc及び車速Vは、ECU100により一定又は不定の周期で参照される構成となっている。
ECU100は、CPU、ROM及びRAM等を備え、車両の各部の動作を制御可能に構成された電子制御ユニットであり、本発明に係る「車両の駆動力制御装置」の一例である。ECU100は、ROMに格納された制御プログラムに従って、後述する各種制御を実行する。尚、ECU100は、本発明に係る各種手段の一例として機能するように構成された一体の電子制御ユニットであり、上記各手段に係る動作は、全てECU100によって実行されるように構成されている。但し、本発明に係る上記手段の物理的、機械的及び電気的な構成はこれに限定されるものではなく、例えばこれら各手段は、複数のECU、各種処理ユニット、各種コントローラ或いはマイコン装置等各種コンピュータシステム等として構成されていてもよい。
次に、本実施形態に係る車両のエンジンの具体的な構成について、図2及び図3を参照して説明する。ここに図2は、本実施形態に係る車両の有するエンジンの全体構成を概略的に示す模式図であり、図3は、本実施形態に係る車両の有するエンジンの構成を1つの気筒について示す模式図である。尚、図中の矢印は信号の入出力を示している。
図2において、エンジン1は、レジプロ型の4サイクルエンジンであり、4つの気筒10(即ち、気筒#1、#2、#3及び#4)が一列に配置された直列4気筒型である。また、エンジン1は、全気筒運転(即ち、4つの気筒10の全ての気筒が作動状態とされる運転)と部分気筒運転(即ち、4つの気筒10のうち一部の気筒(例えば気筒#1及び#2)が作動状態とされると共に他部の気筒(例えば気筒#3及び#4)が休止状態とされる運転)とを選択的に行うことが可能に構成されている。例えばエンジン1の低負荷時などに、エンジン1が部分気筒運転を行うことで、エンジン1における燃料の消費量を低減することができる(即ち、エンジン1の燃費を向上させることができる)。エンジン1は、その全体動作をECU100によって制御され、例えば、低負荷時などに部分気筒運転を行うように制御される。
ECU100は、各気筒10の状態を休止状態(即ち、気筒10内における燃料の燃焼が休止されている状態)と作動状態(即ち、気筒10内における燃料の燃焼が行われている状態)とで切り替えるように、4つの気筒10の各々に制御信号を供給する。即ち、ECU100は、本発明に係る「気筒切り替え手段」の一例であり、各気筒10の燃料噴射装置及び可変動弁機構に制御信号を供給して、各気筒10における燃料噴射量及び燃料噴射時期の制御を行うと共に各気筒10における吸気弁及び排気弁の開閉制御を行う。
図3に示すように、気筒10には、シリンダ10a、吸気管20及び排気管21が形成されている。尚、図2では、4つの気筒のうち1つの気筒のみが示されているが、他の気筒も概ね同様に構成されている。
シリンダ10aは、その内部の燃焼室60で、燃料噴射装置であるインジェクタ50から噴射された燃料と空気とが混合された混合気を点火プラグ40による点火によって燃焼させることが可能に構成されている。この燃焼によってピストン70がシリンダ10a内に沿って往復運動し、この往復運動がコンロッド71を介してクランク軸(図不示)に伝達され、クランク軸が回転する。尚、コンロッド71及び図不示のクランク軸は、本発明に係る「出力軸」の一例を少なくとも部分的に構成する。
インジェクタ50は、燃焼室60に燃料を噴射する。インジェクタ50は、気筒毎に設けられており、燃料噴射量や燃料噴射時期などがECU100から制御信号が供給されることによって制御される。
吸気管20は、吸気弁22の開閉によって燃焼室60との連通状態が制御されている。従って、外部から吸気管20に吸入された空気(吸気)は、吸気弁22を介して燃焼室60に供給される。吸気管20に吸入される空気の流量は、吸気管20中に設けられたスロットルバルブ(図不示)によって調整することが可能である。尚、吸気弁22及び排気弁23は、各気筒10に2つずつ設けられているが、図3では、それぞれ1つのみを示している。
排気管21は、燃焼室60における混合気の燃焼に伴って発生する排気ガスを、排気弁23を介して排気することが可能に構成されている。
吸気弁22及び排気弁23は、可変動弁機構(図示省略)によってそれぞれの動弁特性が変更可能に構成されている。尚、可変動弁機構は、吸気弁及び排気弁の開閉時期を制御できるものであればよく、電磁駆動弁等を用いることができる。
<実施形態の動作>
次に、図4を参照して、本実施形態に係る車両の動作について詳細に説明する。図4は、本実施形態に係る車両における動作処理を示すフローチャートである。ここでは、エンジン1が全気筒運転から部分気筒運転に切り替えられた際に生じるショックを抑制又は解消するための動作処理について説明する。
まず、ECU100は、内燃機関1が全気筒運転を行っているか否かを判断する(ステップS101)。具体的には、ECU100が各気筒10に供給する制御信号(即ち、各気筒の状態を休止状態と作動状態とで切り替えるための制御信号)がオンオフいずれの状態にあるかを識別することによって判断する。
エンジン100が全気筒運転を行っていないと判定された場合、即ち、すでにエンジン100が全気筒運転から部分気筒運転に切り替えられた後である場合(ステップS101:NO)、当該動作処理を行う必要がないとして、処理を終了する。
一方、エンジン100が全気筒運転を行っていると判定された場合には(ステップS101:YES)、ECU100はドライバが搭載車両に対して要求するパワー(以下、適宜ドライバ要求パワーPdと呼ぶ)を算出する(ステップS102)。ECU100は、予めROM等の然るべき記憶手段に、アクセル開度Accをパラメータとする目標アクセル開度マップを保持し、アクセル開度センサ3によって検出された値から適宜該当する目標ドライバ要求パワーPdを選択することにより算出する(この種の選択もまた算出の一態様である)。ここで、アクセル開度センサ3によって検出された値からドライバ要求パワーPdを算出する際には、公知の各種アルゴリズム或いは演算式を用いてもよい。
続いてECU100は、全気筒運転から部分気筒運転への切り替えが必要であるか否かを判断する(ステップS103)。当該判断は、車速センサ4によって検出された車速V及びステップS102で算出されたドライバ要求パワーPdに基づいて行われる。例えば、車速センサ4によって検出された車速V及びステップS102で算出されたドライバ要求パワーPdをパラメータとしたマップ上において、全気筒運転から部分気筒運転への切り替えを行うことにより車両の燃費向上が期待できる領域を特定し、車両の走行状態が当該マップのいずれの領域に位置しているか(即ち、全気筒運転及び部分気筒運転のどちらが燃費向上するか)を判断するとよい。例えば、当該車両が緩加速時やアイドリング時などの低負荷運転時である場合に、全気筒運転から部分気筒運転への切り替えが必要であると判断するとよい。
全気筒運転から部分気筒運転への切り替えが必要でないと判断された場合(ステップS103:NO)、全気筒運転から部分気筒運転への切り替えは行われないので、ECU100は処理を終了する。
一方、全気筒運転から部分気筒運転への切り替えが必要であると判断された場合(ステップS103:YES)、ECU10は当該切り替えに伴って見込まれるエンジン1の出力トルクの変化量(即ち、本実施形態ではトルクダウン量)を算出する(ステップS104)。出力トルクの変化量の算出は、予めROM等の然るべき記憶手段に、全気筒運転から部分気筒運転への切り替え時に休止する気筒数と出力トルクの変化量とをマップとして対応づけて記録しておくことによって、ECU10が当該マップを適宜参照することで読みだすことにより行われる。尚、マップに記録されている休止する気筒数に対応するトルクダウン量は、同条件下で実験的や理論的な手法や、シミュレーション等によって予め把握しておくとよい。
続いてECU100は、ステップS104において算出された出力トルクの変化量を補うために、無段変速機2の変速比を算出する(ステップS105)。ここで、ECU100は、車速センサ4によって検出された車速Vや、予めROM等の然るべき記憶手段に記録されている車両に関する情報(例えば、車両サイズや車重など)に基づいて車両が有する慣性力を把握する。そして、ECU100は、当該慣性力が無段変速機2を介してエンジン1に伝達された場合に、ステップS104において算出された出力トルクの変化量を補うために適した大きさになるように、変速比を選定する。このような変速比の算出は、予めROM等の然るべき記憶手段に、出力トルクの変化量に対応する変速比をマップとして対応づけて記録しておくことによって、ECU10が当該マップを適宜参照することで読みだすことにより行われる。尚、マップに記録されているトルクダウン量に対応する変速比は、同条件下で実験的や理論的な手法や、シミュレーション等によって予め把握しておくとよい。
続いてECU100は、車両に対し全気筒運転から部分気筒運転への切り替えを実行すると共に、無段変速機2の変速比をステップS105において算出された変速比に変更する(ステップS106)。全気筒運転から部分気筒運転への切り替えは、ECU100が休止状態にすべき気筒を選択し、当該気筒が休止するようにエンジン1に対し制御信号を供給することにより実行される。その結果、エンジン1における燃料の消費量を低減することができる。
このようにECU100は、エンジン1及び無段変速機2を制御することによって、全気筒運転から部分気筒運転への切り替えを行うと同時に、無段変速機2の変速比を変更する。
続いて、図5を参照して、エンジン1が全気筒運転から部分気筒運転への切り替えられた際の車両の各部の動作について詳細に説明する。図5は、本実施形態に係る車両の全気筒運転から部分気筒運転への切り替え時の動作を示すタイムチャートである。図5(a)から(e)は、夫々、アクセル開度Acc、作動状態にある気筒数、エンジン1の出力トルク、回転数、及びドライブシャフトSFL及びSFRに加えられるトルクの時間変化を示している。
まず、図5(a)を参照して、アクセル開度Accの時間変化について説明する。ドライバは、時刻t0からアクセルペダルを次第にゆっくり踏み込むことによって、アクセル開度Accを緩やかに増加させる。
次に図5(b)を参照して、エンジン1の有する気筒のうち作動状態にある気筒数の時間変化について説明する。時刻t0の時点では、全気筒運転(即ち、全ての気筒が稼働している状態)にあるが、時刻t1において作動状態にある気筒数を4から1に減少している。これは、時刻t1において、4つの気筒全てを作動状態とする全気筒運転から、1つの気筒のみを作動状態とし残りの気筒を休止状態とする部分気筒運転に切り替えが行われていることを意味している。
続いて図5(c)を参照して、エンジン1の出力トルクの時間変化について説明する。時刻t0からt1までの間では、アクセル開度Accの緩やかな増加に伴って(図5(a)参照)、エンジン1の出力トルクも次第に緩やかに増加する。時刻t1に達すると、一部の気筒が休止するため(即ち、作動状態にある気筒数が減少するため)、エンジン1の出力トルクもまた急激に減少する。つまり、時刻t0からt1までの間では、全ての気筒の稼働によって出力トルクが生み出されていたが、時刻t1において作動状態にある気筒数が減少した分だけ出力トルクが減少している(即ち、エンジン1の排気量が実質的に減少している)。時刻t1を経過し、全気筒運転から部分気筒運転への切り替えが完了すると、アクセル開度の緩やかな増加に伴って(図5(a)参照)、エンジン1の出力トルクも、再び、再び増加する。
続いて図5(d)を参照して、エンジン1の回転数の時間変化について説明する。時刻t0からt1までの間では、アクセル開度Accの緩やかな増加に伴って(図5(a)参照)、エンジン1の回転数も次第に緩やかに増加する。尚、説明の便宜上、時刻t0からt1までの間では無段変速機2において変速比は不変に保たれているとする。
時刻t1に達すると、エンジン1において全気筒運転から部分気筒運転への切り替えが実行されると共に、無段変速機2の変速比が変更される。無段変速機にはエンジン1の出力軸が固定されているため、変速比が変更されることによりエンジン1の回転数もまた変化する。ここで、無段変速機2は連続的に変速比を変更可能であるので、エンジン1の回転数もまた連続的に変化する。本実施形態では、時刻t1においてエンジン1の出力トルクが減少するため、エンジン1の回転数もまた減少する。そして、時刻t1を経過し、全気筒運転から部分気筒運転への切り替えが完了すると、アクセル開度Accの増加に伴って(図5(a)参照)、エンジン1の回転数もまた、再び増加する。
続いて図5(e)を参照して、ドライブシャフトSFL及びSFRに加えられるトルクの時間変化について説明する。尚、本実施形態では説明の便宜上、ドライブシャフトSFL及びSFRに夫々印加されるトルクが互いに等しい、車両が直進している場合を例に説明する。
図5(e)において点線で示したラインは、仮に全気筒運転から部分気筒運転への切り替えの際に変速比を不変に保った場合(即ち、本発明の特長である変速比の変更を実施しなかった場合)におけるドライブシャフトSFL及びSFRに加えられるトルクの時間変化を示している。この場合、図5(e)に示すように、ドライブシャフトSFL及びSFRに加えられるトルクは、全気筒運転から部分気筒運転への切り替えが実行される時刻t1付近において急激に減少する。このような場合であっても車両の慣性力はエンジン1に伝達されるが、無段変速機2の変速比が一定のまま保持されているため、エンジン1の出力トルクの変化がそのままドライブシャフトSFL及びSFRに印加される。そのため、ドライブシャフトSFL及びSFRに加えられるトルクが急激に変化することによって、ドライバにショックが伝達され、ドライバビリティの悪化を引き起こしてしまう。
一方、図5(e)において実線で示したラインは、本実施形態におけるドライブシャフトSFL及びSFRに加えられるトルクの時間変化を示す(即ち、全気筒運転から部分気筒運転への切り替えの際に変速比の変更を実施した場合である)。時刻t1において無段変速機2の変速比は、内燃機関の動作形態の切り替え時に生ずる出力トルクの変化を軽減又は防止するように変更される。その結果、図5(e)に点線で示したラインに比べて、ライブシャフトSFL及びSFRに加えられるトルクの時間変化が緩やかになっている。そのため、ドライバに伝達されるショックは軽減又は解消され、ドライバビリティを向上させることができる。
このように、内燃機関において作動状態にある気筒数を変更する場合において生ずる、内燃機関の出力トルクの変化量を抑制することによって、ドライバビリティを向上することができる。
尚、本実施形態では作動状態にある気筒数を減少する場合について主に説明しているが、作動状態にある気筒数を増加する場合についても、同様に適用可能である。
本発明は、上述した実施例に限られるものではなく、請求の範囲及び明細書全体から読み取れる発明の要旨或いは思想に反しない範囲で適宜変更可能であり、そのような変更を伴う車両の操舵支援装置もまた本発明の技術的範囲に含まれるものである。
本発明は、例えば、例えば自動車等のエンジン等である内燃機関の駆動力制御装置に利用可能である。
1 エンジン、 2 無段変速機、 3 アクセル開度センサ、 4 車速センサ、 10 気筒、 10a シリンダ、 20 吸気管、 21 排気管、 22 吸気弁、 23 排気弁、 40 点火プラグ、 50 インジェクタ、 60 燃焼室、 100 ECU

Claims (5)

  1. 複数の気筒を有し、該複数の気筒のうち一部の気筒が燃焼を休止する休止状態とされる部分気筒運転と前記複数の気筒の全ての気筒が燃焼を行う作動状態とされる全気筒運転とを選択的に行うことが可能な内燃機関を制御する内燃機関を備えた車両の駆動力制御装置であって、
    前記複数の気筒の各々について前記休止状態及び前記作動状態を切り替える気筒切り替え手段と、
    前記内燃機関の出力軸と車軸に連結される出力部材との回転速度比が可変である変速手段と、
    前記車両の有する慣性力が前記出力部材を介して前記出力軸に伝達される際に、前記気筒切り替え手段によって前記作動状態にある前記気筒の数の変化に伴うトルク変化量を補償するように、前記変速手段の前記回転速度比を制御する制御手段と
    を備えることを特徴とする車両の駆動力制御装置。
  2. 前記制御手段は、作動状態にある前記気筒の数が減少する場合に、前記変速手段の前記回転速度比を小さくすることを特徴とする請求項1に記載の車両の駆動力制御装置。
  3. 前記制御手段は、前記慣性力の大きさが、作動状態にある前記気筒の数の減少に伴うトルクダウン量に等しくなるように、前記変速手段の前記回転速度比を制御することを特徴とする請求項2に記載の車両の駆動力制御装置。
  4. 前記制御手段は、作動状態にある前記気筒の数が増加する場合に、前記変速手段の前記回転速度比を大きくすることを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載の車両の駆動力制御装置。
  5. 前記変速手段の前記変速比は、連続的に制御可能であることを特徴とする請求項1から4のいずれか一項に記載の車両の駆動力制御装置。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2013241878A (ja) * 2012-05-21 2013-12-05 Denso Corp 車両駆動システムの制御装置

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