JP2011143693A - 真空断熱材用積層体および真空断熱材 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】断熱芯材を積層体からなる外包材で封入し、外包材で封入された内部を脱気して真空状態としてなる真空断熱材に用いられる真空断熱材用積層体100である。少なくともガスバリア性フィルム2と、最内層に積層された熱接着性樹脂フィルム3とを含み、かつ、熱接着性樹脂フィルム3が、バインダ樹脂と化学的水分吸着性物質とからなる吸湿層5と、熱接着層6とを含む多層積層体である。
【選択図】 図1
Description
少なくともガスバリア性フィルムと、最内層に積層された熱接着性樹脂フィルムとを含み、かつ、該熱接着性樹脂フィルムが、バインダ樹脂と化学的水分吸着性物質とからなる吸湿層と、熱接着層とを含む多層積層体であることを特徴とするものである。
本発明の真空断熱材用積層体は、断熱芯材を積層体からなる外包材で封入し、外包材で封入された内部を脱気して真空状態としてなる真空断熱材に用いられるものである。図1に、本発明の真空断熱材用積層体の一構成例を示す模式的断面図を示す。
<実施例1>
<熱接着性樹脂フィルム3の作製>
ラミネート層4および熱接着層6の材料としては、メタロセン触媒を用いた重合反応により得られた高密度ポリエチレン樹脂(M−HDPE)(旭化成ケミカルズ(株)製,クレオレックスK4125)100質量部を用いた。また、バインダ樹脂としてのメタロセン触媒を用いた重合反応により得られた直鎖状低密度ポリエチレン樹脂(M−LLDPE)(宇部丸善ポリエチレン(株)製,ユメリット1540F,MFR=4.0(190℃,2.16kg))40質量部と、水分吸着性物質としての酸化カルシウム(CaO)60質量部とを混合して、単軸押出機を用いて溶融混練し、造粒装置を用いて吸湿層5形成用の樹脂ペレットを作製した。
基材7として、厚さ12μmの両面コロナ処理された二軸延伸ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムを使用して、これをプラズマ化学気相成長装置内に装着し、装置のチャンバー内を減圧した。一方、蒸着層の原料としての、有機珪素化合物であるヘキサメチルジシロキサン(HMDSO)を原料揮発供給装置において揮発させ、ガス供給装置から供給された酸素ガスおよび不活性ガスであるヘリウム、アルゴンと混合して原料ガスとした。製膜室で使用する原料ガスの混合比としては、HMDSO:O2:He:Ar=1.2:0.5:0.5:0.5(単位;slm、1分間あたりの量をリッターで示したもの)とした。上記原料ガスを製膜室に導入して、上記厚さ12μmのPETフィルムをライン速度200m/分で搬送しながら、製膜出力15kWの電力を印加し、蒸着チャンバー内の真空度5Paにて、厚さ12μmのPETフィルムの一方のコロナ処理面上に、膜厚300Åの炭素含有酸化珪素からなる第1層の蒸着層8を形成した。次いで、マグネトロンスパッタリング装置を使用し、アルゴンガス600sccmを導入して、出力20kWでプラズマ処理を行って、上記第1層の蒸着層8上に、不活性ガスによるプラズマ処理面を形成して、巻取った。
蒸着チャンバー内の真空度;2×10−4 mbar ,
巻き取りチャンバー内の真空度;2×10−2 mbar ,
電子ビーム電力;25kw ,
フィルムの搬送速度;600m/分
外層1としての厚さ15μmの二軸延伸ナイロンフィルム(ON)と、上記で作製した厚さ12μmのガスバリア性フィルム2と、厚さ400Åのアルミニウムからなる蒸着層が形成された厚さ12μmのエチレン−ビニルアルコール共重合体フィルム(EVOH)と、上記で作製した厚さ50μmの熱接着性樹脂フィルム3と、をこの順に積層して、ポリエステル−イソシアネート系接着剤を用いて、ドライラミネーション法により各層をラミネートし、実施例1の真空断熱材用積層体を作製した。この真空断熱材用積層体の層構成は、ON15μm/ガスバリア性フィルム(第2層酸化アルミニウム蒸着層/第1層炭素含有酸化珪素蒸着層/PET12μm)/アルミ蒸着EVOH12μm/熱接着性樹脂フィルム(ラミネート層(10μm)/吸湿層(30μm)/熱接着層(10μm))であった。
上記で得られた真空断熱材用積層体を矩形状に切取り、一対として熱接着性樹脂フィルム3の面を対向させて、周縁をヒートシールし、一端に開口部を有する外包材を製袋した。断熱芯材としてシリカ粉末の成形体を、外包材の開口部より内部に入れて、外包材内部を脱気することにより真空度3Paの真空状態にし、開口部をヒートシールして、図3に示すような、300mm×400mm×10mmの直方体の真空断熱材を作製した。
吸湿層5に用いる水分吸着性物質を、酸化バリウム(BaO)60質量部とした以外は実施例1と同様にして、実施例2の真空断熱材用積層体を作製した。この真空断熱材用積層体の層構成は、ON15μm/ガスバリア性フィルム(第2層酸化アルミニウム蒸着層/第1層炭素含有酸化珪素蒸着層/PET12μm)/アルミ蒸着EVOH12μm/熱接着性樹脂フィルム(ラミネート層(10μm)/吸湿層(30μm)/熱接着層(10μm))であった。この真空断熱材用積層体を用いた以外は実施例1と同様にして、真空断熱材を作製した。
吸湿層5に用いる水分吸着性物質を、硫酸カルシウム(CaSO4)60質量部とした以外は実施例1と同様にして、実施例3の真空断熱材用積層体を作製した。この真空断熱材用積層体の層構成は、ON15μm/ガスバリア性フィルム(第2層酸化アルミニウム蒸着層/第1層炭素含有酸化珪素蒸着層/PET12μm)/アルミ蒸着EVOH12μm/熱接着性樹脂フィルム(ラミネート層(10μm)/吸湿層(30μm)/熱接着層(10μm))であった。この真空断熱材用積層体を用いた以外は実施例1と同様にして、真空断熱材を作製した。
吸湿層5に用いる水分吸着性物質を、塩化カルシウム(CaCl2)60質量部とした以外は実施例1と同様にして、実施例4の真空断熱材用積層体を作製した。この真空断熱材用積層体の層構成は、ON15μm/ガスバリア性フィルム(第2層酸化アルミニウム蒸着層/第1層炭素含有酸化珪素蒸着層/PET12μm)/アルミ蒸着EVOH12μm/熱接着性樹脂フィルム(ラミネート層(10μm)/吸湿層(30μm)/熱接着層(10μm))であった。この真空断熱材用積層体を用いた以外は実施例1と同様にして、真空断熱材を作製した。
ラミネート層4および熱接着層6に用いる材料として、メタロセン触媒を用いた重合反応により得られた直鎖状低密度ポリエチレン樹脂(M−LLDPE)(宇部丸善ポリエチレン(株)製,ユメリット1520F,MFR=2.0(190℃,2.16kg))100質量部を用いた以外は実施例1と同様にして、実施例5の真空断熱材用積層体を作製した。この真空断熱材用積層体の層構成は、ON15μm/ガスバリア性フィルム(第2層酸化アルミニウム蒸着層/第1層炭素含有酸化珪素蒸着層/PET12μm)/アルミ蒸着EVOH12μm/熱接着性樹脂フィルム(ラミネート層(10μm)/吸湿層(30μm)/熱接着層(10μm))であった。この真空断熱材用積層体を用いた以外は実施例1と同様にして、真空断熱材を作製した。
吸湿層5に用いるバインダ樹脂と水分吸着性物質との重量比率を、バインダ樹脂100質量部に対し水分吸着性物質0質量部とした以外は実施例1と同様にして、比較例1の真空断熱材用積層体を作製した。この真空断熱材用積層体の層構成は、ON15μm/ガスバリア性フィルム(第2層酸化アルミニウム蒸着層/第1層炭素含有酸化珪素蒸着層/PET12μm)/アルミ蒸着EVOH12μm/熱接着性樹脂フィルム(ラミネート層(10μm)/吸湿層(30μm)/熱接着層(10μm))であった。この真空断熱材用積層体を用いた以外は実施例1と同様にして、真空断熱材を作製した。
吸湿層5に用いるバインダ樹脂と水分吸着性物質との重量比率を、バインダ樹脂0質量部に対し水分吸着性物質100質量部とした以外は実施例1と同様にして、熱接着性樹脂フィルム3を形成しようとしたところ、吸湿層5が製膜できず、結果として真空断熱材用積層体は作製できなかった。
吸湿層5に用いる水分吸着性物質を、シリカゲル60質量部とした以外は実施例1と同様にして、比較例3の真空断熱材用積層体を作製した。この真空断熱材用積層体の層構成は、ON15μm/ガスバリア性フィルム(第2層酸化アルミニウム蒸着層/第1層炭素含有酸化珪素蒸着層/PET12μm)/アルミ蒸着EVOH12μm/熱接着性樹脂フィルム(ラミネート層(10μm)/吸湿層(30μm)/熱接着層(10μm))であった。この真空断熱材用積層体を用いた以外は実施例1と同様にして、真空断熱材を作製した。
吸湿層5に用いる水分吸着性物質を、ゼオライト60質量部とした以外は実施例1と同様にして、比較例4の真空断熱材用積層体を作製した。この真空断熱材用積層体の層構成は、ON15μm/ガスバリア性フィルム(第2層酸化アルミニウム蒸着層/第1層炭素含有酸化珪素蒸着層/PET12μm)/アルミ蒸着EVOH12μm/熱接着性樹脂フィルム(ラミネート層(10μm)/吸湿層(30μm)/熱接着層(10μm))であった。この真空断熱材用積層体を用いた以外は実施例1と同様にして、真空断熱材を作製した。
上記実施例1〜5および比較例1〜4において作製した真空断熱材用積層体について、下記に従い、酸素透過度および水蒸気透過度を測定した。また、上記実施例1〜5および比較例1〜4において作製した真空断熱材について、下記に従い、熱伝導率を測定した。その測定結果を、下記表3中に併せて示す。
上記実施例1〜5および比較例1〜4において作製した真空断熱材用積層体について、JIS−K7126Bに基づき、温度23℃、湿度90%RHの条件で、酸素透過度を測定した。測定装置としては、米国モコン(MOCON)社製の測定機(機種名オクストラン(OXTRAN))を用いた。
(2)水蒸気透過度の測定
上記実施例1〜5および比較例1〜4において作製した真空断熱材用積層体について、温度40℃、湿度90%RHの条件で、米国モコン(MOCON)社製の測定機(機種名パ−マトラン(PERMATRAN))を用いて、水蒸気透過度を測定した。
(3)熱伝導率の測定
上記実施例1〜5および比較例1〜4において作製した真空断熱材について、作製直後、および、温度40℃、湿度90%RHにて30日間放置後の熱伝導率を、測定環境温度20℃の条件で測定した。 測定機としては、英弘精機製の熱伝導率測定機を用いた。
2 ガスバリア性フィルム
3 熱接着性樹脂フィルム
4 ラミネート層
5 吸湿層
6 熱接着層
7 基材
8,9 蒸着層
21 断熱芯材
22 熱接着部
100 真空断熱材用積層体
200 真空断熱材
Claims (9)
- 断熱芯材を積層体からなる外包材で封入し、該外包材で封入された内部を脱気して真空状態としてなる真空断熱材に用いられる真空断熱材用積層体において、
少なくともガスバリア性フィルムと、最内層に積層された熱接着性樹脂フィルムとを含み、かつ、該熱接着性樹脂フィルムが、バインダ樹脂と化学的水分吸着性物質とからなる吸湿層と、熱接着層とを含む多層積層体であることを特徴とする真空断熱材用積層体。 - 前記吸湿層のバインダ樹脂が、メタロセン触媒を用いた重合反応により得られ、温度190℃、荷重2.16kgの条件で測定したMFRが2.5〜10g/10minであるポリオレフィン樹脂である請求項1記載の真空断熱材用積層体。
- 前記吸湿層の化学的水分吸着性物質が、アルカリ金属酸化物、アルカリ土類金属酸化物、硫酸塩、金属ハロゲン化物、過塩素酸、有機物からなる群から選択される少なくとも1種からなる水分吸着性物質である請求項1または2記載の真空断熱材用積層体。
- 前記吸湿層におけるバインダ樹脂と化学的水分吸着性物質との重量比率が、バインダ樹脂20〜60質量部に対し、化学的水分吸着性物質80〜40質量部である請求項1〜3のうちいずれか一項記載の真空断熱材用積層体。
- 前記吸湿層の厚みが25〜100μmである請求項1〜4のうちいずれか一項記載の真空断熱材用積層体。
- 前記熱接着層が、メタロセン触媒を用いた重合反応により得られるポリオレフィン樹脂からなる請求項1〜5のうちいずれか一項記載の真空断熱材用積層体。
- 前記吸湿層および前記熱接着層が、押出成形により共押出されて積層されている請求項1〜6のうちいずれか一項記載の真空断熱材用積層体。
- 前記ガスバリア性フィルムが、プラスチックフィルム上に、プラズマ化学気相成長法で形成された炭素含有酸化珪素からなる蒸着層を1層以上積層して形成されている請求項1〜7のうちいずれか一項記載の真空断熱材用積層体。
- 請求項1〜8のうちいずれか一項記載の真空断熱材用積層体を用いた外包材内に、断熱芯材が封入され、該外包材内部が脱気されて真空状態とされてなることを特徴とする真空断熱材。
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