JP2011142352A - ファン騒音低減装置及びファン騒音低減方法 - Google Patents

ファン騒音低減装置及びファン騒音低減方法 Download PDF

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Abstract

【課題】省スペース化を図りつつ効率よくファンで発生する騒音を低減するファン騒音低減装置及びファン騒音低減方法を提供する。
【解決手段】筐体11内に配設されたファン20が生成する吸気風aの吸気経路及び/又は排気風bの排気経路に設けられる騒音特性調整板16Gと、この騒音特性調整板16Gを移動することにより吸気風a及び/又は排気風bの通風抵抗を調整する調整手段27と、発生している騒音を計測する騒音計測手段26と、この騒音計測手段26で計測された騒音に応じて調整手段27を駆動し、騒音特性調整板16Gを騒音が低減されるよう移動させる制御手段28とを設ける。
【選択図】 図10

Description

本発明はファン騒音低減装置及びファン騒音低減方法に係り、特に省スペース化を図りつつ効果的にファン騒音の低減を図りうるファン騒音低減装置及びファン騒音低減方法に関するものである。
例えば,通信機器等の電子装置では、発熱体となる半導体装置を多数搭載した回路基板が筐体(キャビネット)内に多数収納される。また、近年の電子装置の小型化及び高機能化の要求に対応するため、回路基板に対する半導体装置の搭載数は増大し、また回路基板も筐体内に高密度に収納されるようになってきている。
このように回路基板を筐体内に高密度に収納すると、筐体内の温度が上昇するため、一般にこの種の電子装置の内部には冷却ファン(以下、単にファンという)が配設されている。このファンは、筐体に設けられた吸気口から空気を吸気し、この吸入空気を冷却風として回路基板間に流し、これにより昇温した空気を排気風として排気口から筐体外部に排出する構成としている。
また、冷却処理の効率化を図るためには、ファンの出力を大きくしたり、また複数のファンを配置したりすることが有効である。しかしながら、ファンは羽根を回転させて冷却風を生成する構成であるため、ファンの出力を大きくし、またファンの配置数を増大させると、ファンが発生する騒音も増大してしまう。このため、従来では特許文献1に開示されているように、ダクトを用いてファンから発生する騒音の低減を図っていた。
図1は、吸気ダクト6a,排気ダクト6bを用いてファン3から発生する騒音の低減するよう構成した電子装置10Aを示している。ファン3は筐体2(キャビネット)の内部に配設されており、また筐体2の内部には複数のシェルフ7が収納されている。このシェルフ7は、発熱体となる多数の半導体装置が搭載された回路基板となっている。
ファン3が駆動すると、吸気ダクト6aの吸気口4bから吸入風aが吸気ダクト6a内に流入する。この吸入風aは筐体2の底面に設けられた吸気口4aから筐体2内に流入し、シェフ7を冷却する。冷却処理により昇温した吸入風aは、ファン3により付勢されて筐体2の排気口5aから排気ダクト6bに排気され、排気ダクト6bの天井に開口した排気口5bから排出風bとして排出される。排気ダクト6a、排気ダクト6bは、筐体2の背面2aに配設されている。
特開2003−204183号公報
しかしながら、吸気ダクト6a,排気ダクト6bを用いてファン3で発生する騒音を低減する方法では、吸気ダクト6a,排気ダクト6bを筐体2の背面2aの全面に配設する必要があり、吸気ダクト6a,排気ダクト6bの形状は大きくなる。このように形状の大きなダクト6を電子装置1に配設するため、従来のファン3の騒音を低減させる方法では、電子装置1が大型化してしまうという問題点があった。
また、ダクト6を筐体2の背面2aの全面に配設することにより、電子装置1全体としての重量も増大してしまう。更に、大型のダクト6を設けることにより、電子装置1のコストも上昇してしまうという問題点もあった。
本発明は、上述した従来技術の問題を解決する、改良された有用なファン騒音低減装置及びファン騒音低減方法を提供することを総括的な目的とする。
本発明のより詳細な目的は、省スペース化を図りつつ効率よくファンで発生する騒音を低減するファン騒音低減装置及びファン騒音低減方法を提供することにある。
この目的を達成するために、本発明に係るファン騒音低減装置は、
筐体内に配設されたファンが生成する吸気風の吸気経路及び/又は排気風の排気経路に設けられる騒音特性調整板と、
該騒音特性調整板を移動することにより、前記吸気風及び/又は前記排気風の通風抵抗を調整する調整手段と、
発生している騒音を計測する騒音計測手段と、
該騒音計測手段で計測された騒音に応じて前記調整手段を駆動し、前記騒音特性調整板を騒音が低減されるよう移動させる制御手段とを有することを特徴とするものである。
また、上記の目的を達成するために、本発明では、
筐体内に配設されたファンが生成する吸気風の吸気経路及び/又は排気風の排気経路に設けられる騒音特性調整板と、該騒音特性調整板を移動することにより前記吸気風及び/又は前記排気風の通風抵抗を調整する調整手段と、発生している騒音を計測する騒音計測手段とを有するファン騒音低減装置に適用され、前記騒音計測手段で計測された騒音に応じて前記調整手段により前記騒音特性調整板を移動させて騒音を低減させるファン騒音低減方法であって、
前記調整手段により前記騒音特性調整板を移動範囲内で移動させるステップと、
前記騒音特性調整板を移動範囲内で移動させた際の騒音を前記騒音計測手段により計測するステップと、
前記騒音測定が行われた前記騒音特性調整板の位置と、当該位置における前記騒音計測手段により計測された騒音の値とを関係付けた騒音計測データを記憶するステップと、
前記騒音計測データに基づき、最も騒音値の小さい前記騒音特性調整板の位置に、前記騒音特性調整板を移動させるステップとを有することを特徴とするものである。
本発明によれば、吸入空気或いは排気風の経路途中に設置された騒音特性調整板を移動可能とし、調整手段によりこの騒音特性調整板を移動して吸入空気或いは排気風の通風抵抗を調整する構成としたことにより、騒音発生の少ない通風抵抗とすることが可能となり、コンパクトな構成でファンで発生する騒音を有効に低減することができる。
従来の一例であるファンファン騒音低減装置を設けた電子装置の概略構成図である。 本発明の第1実施例であるファン騒音低減装置を設けた電子装置の概略構成を示す斜視図である。 本発明の第1実施例であるファン騒音低減装置を設けた電子装置の概略構成を示す横断面図である。 本発明の第2実施例であるファン騒音低減装置を設けた電子装置の概略構成を示す右側面図である。 第2実施例の変形例であるファン騒音低減装置を設けた電子装置の概略構成を示す斜視図である。 本発明の第3実施例であるファン騒音低減装置を設けた電子装置の排気口近傍を拡大して示す右側面図である。 本発明の第4実施例であるファン騒音低減装置の概略構成を示す斜視図である。 本発明の第4実施例であるファン騒音低減装置の概略構成を示す縦断面図である。 本発明の第6実施例であるファン騒音低減装置を設けた電子装置の筐体を透視した斜視図である。 本発明の第6実施例であるファン騒音低減装置を設けた電子装置の概略構成を示す平面図である。 本発明の第7実施例であるファン騒音低減装置を設けた電子装置の概略構成を示す斜視図である。 本発明の第7実施例であるファン騒音低減装置において制御装置が実施する騒音低減処理を示すフローチャートである。 本発明の第8実施例であるファン騒音低減装置を設けた電子装置の概略構成を示す斜視図である。 本発明に係る騒音低減の原理を説明するための図である。 本発明の効果を説明するための図である(その1)。 本発明の効果を説明するための図である(その2)。 本発明の効果を説明するための図である(その3)。 本発明の効果を説明するための図である(その4)。
以下、本発明の実施形態について図面を参照しつつ説明する。
図2A及び図2Bは、本発明の第1実施例であるファン騒音低減装置を適用した電子装置10Aを示している。図2Aは電子装置10Aの斜視図であり、図2Bは電子装置10Aの横断面図である。
ファン騒音低減装置の説明に先立ち、先ず電子装置10Aの構成について説明する。この電子装置10Aは通信機器として用いられるものであり、発熱体となる半導体装置を多数搭載したシェルフ24(図2A,2Bでは図示せず。尚、図8参照)がキャビネットを構成する筐体11内に多数収納されている。このシェルフ24は、発熱体となる多数の半導体装置が搭載された回路基板となっている。
前記のように電子装置10Aは小型化及び高機能化が望まれており、よって本実施例においてもシェルフ24に搭載される半導体装置の搭載数は増大し、また筐体11内へのシェルフ24の収納密度も高密度化されている。
このため、筐体内の温度が上昇するため、一般にこの種の電子装置の内部には冷却ファン20(以下、単にファンという)が配設されている。このファン20は、筐体11に設けられた吸気口14から吸入空気aを吸気し、この吸入空気aを冷却風としてシェルフ24間に流し、これにより昇温した空気を排出風bとして排気口15から筐体11の外部に排出する構成としとている。
本実施例に係るファン騒音低減装置は、騒音特性制御板16Aと距離調整装置17とにより構成されている。騒音特性制御板16Aは、排気口15と対向するよう配設されている。よって、ファン20により排気口15から排出された排出風bは、この排気口15に当接することとなる。即ち、騒音特性制御板16Aは、排出風bのファン20からの排気経路途中に設けられた構成とされている。尚、本実施例では騒音特性制御板16Aの幅W1は、排気口15の幅W2よりも小さく設定されている。
距離調整装置17(請求項に記載の調整手段に相当する)は、筐体11の側面に配設されている。この距離調整装置17は、騒音特性制御板16Aの両端部に配設されたアーム部30と係合している。そして、距離調整装置17はこのアーム部30を駆動することにより、騒音特性制御板16Aを排気口15に対して近接離間する方向(図中、矢印X1,X2で示す方向)、上下方向(図中、矢印Z1,Z2方向)、及び回転方向(図中、矢印R1,R2方向)に移動する構成とされている。
このように、距離調整装置17を用いて騒音特性制御板16Aを移動させることにより、排気口15から排出される排出風bの通風抵抗を調整することが可能となる。具体的には、騒音特性制御板16Aを矢印X2方向に移動させて排気口15に近接させると排出風bの通風抵抗は増大し、逆に矢印X1方向に移動させて排気口15から離間させると排出風bの通風抵抗は減少する。
また、騒音特性制御板16Aを上下方向(矢印Z1,Z2方向)或いは矢印R1,R2方向に回転させることにより、排気口15の中央位置に騒音特性制御板16Aを位置させた場合と、排気口15の上端部或いは下端部に騒音特性制御板16Aを位置させた場合とでは、排出風bの風抵抗は異なったものとなる。
即ち、排気口15の中央位置に騒音特性制御板16Aを位置させた場合には排出風bの通風抵抗は大きくなり、排気口15の上端部或いは下端部に騒音特性制御板16Aを位置させた場合は排出風bの通風抵抗は小さくなる。このように、距離調整装置17により騒音特性制御板16Aを移動することにより、排出風bの通風抵抗を調整することができる。
続いて、図13を参照し、通風抵抗とファン20で発生する騒音との関係について説明する。図13は、ファン20の制圧−風量特性と、通風抵抗(システムインピーダンス特性ともいう)と、騒音特性との相関系を示した図である。横軸は風量Qを示しており、縦軸は静圧P及び音圧レベルSを示している。
同図中、矢印Aで示す実線の特性はファン20の制圧−風量特性(P−Q特性ともいう)であり、この特性はファン固有のものである。同図に示すように、ファン20は静圧P(ファン20の吸引力に対応する)が小さいとき、換言すると通風抵抗が小さいときに風量Qは多くなり、逆に静圧Pが大きく(通風抵抗が大きく)なると風量Qは少なくなる特性を示す。
また、矢印Bで示す一点鎖線の特性は第1の通風抵抗の特性であり、矢印Cで示す破線の特性は第2の通風抵抗の特性である。ここで、第1の通風抵抗Bと第2の通風抵抗Cとを比較すると、図13では全風量Qの範囲において、(第1の通風抵抗B)>(第2の通風抵抗C)である場合を示している。この通風抵抗の一般的な特性としては、風量Qが少ないほど小さく風量Qが多くなるに従い増大する。
尚、説明の便宜上、図13には二つの通風抵抗の特性のみを示しているが、この通風抵抗は距離調整装置17により騒音特性制御板16Aを移動させることにより、調整することが可能な特性である。
更に、矢印Dで示す二点差線の特性はファン20の音圧レベル特性である。この騒音特性は実測される値であり、音圧レベルSの値が大きいほど騒音は大きくなる。この音圧レベル特性も、各電子装置10Aに固有の特性である。
いま、騒音特性制御板16Aによる通風抵抗が図13に破線で示す第2の通風抵抗Cであったとする。この時、電子装置10Aの騒音特性は、第2の通風抵抗Cの特性線と、ファン20の制圧−風量特性Aの特性線の交わる点(以下、この点を第1の動作点P1という)により定まる。具体的には、第1の動作点P1では、風量Qは0.50m3/min、静圧Pは1.4Pa、音圧レベルS(騒音レベル)は45dB(A)となる。
ここで、距離調整装置17を駆動して騒音特性制御板16Aによる通風抵抗を図13に破線で示す第1の通風抵抗Bに可変した場合を想定する。このように、距離調整装置17を用いて騒音特性制御板16Aを移動することにより、排出風bの通風抵抗を調整することができる。
上記のように、通風抵抗が第2の通風抵抗Cから第1の通風抵抗Bに切り換わることにより、電子装置10Aの騒音特性は、第1の通風抵抗Bの特性線とファン20の制圧−風量特性Aの特性線の交わる点(以下、この点を動作点P2という)により定まることとなる。具体的には、第2の動作点P2では、風量Qは0.40m3/min、静圧Pは2.3Pa、音圧レベルS(騒音レベル)は43dB(A)となる。
このように、調整装置17を用いて騒音特性制御板16Aを移動して排出風bの通風抵抗を調整することにより、音圧レベルS(騒音レベル)をΔS=2dB(A)だけ低減することができた。また、このように音圧レベルSを低減するためには、騒音特性制御板16Aと、これを移動する距離調整装置17のみがあればよいため、コンパクトな構成でファン20で発生する騒音を有効に低減することができる。これにより、電子装置10Aの大型化を及びコスト上昇を伴うことなく、ファン20で発生する騒音を有効に低減することができる。
図14乃至図16は、第1実施例に係るファン騒音低減装置の効果を示す図である。図14は、ファン20への供給電圧を変化させた場合の、それぞれにおけるファン騒音の低減効果を示している。
同図に示す例では、ファン20に対する供給電圧の変化を40.5v、48.0v、57.0vの3種類とした。また、図中白抜きで示す特性は本実施例に係るファン騒音低減装置を設けた場合の音圧レベル[V]を示しており、図中網掛けで示す特性は本実施例に係るファン騒音低減装置を設けていない音圧レベル[V]を示している。同図に示すように、ファン20に対する供給電圧を変化させた場合、いずれの場合においても本実施例に係るファン騒音低減装置を設けたものの方が騒音が低減していることが判る。
また、図15及び図16は、第1実施例に係るファン騒音低減装置を設けた電子装置10Aに対し、発生する騒音を周波数分析した結果を示している。図15は1/3オクターブバンドによる周波数分析結果を示しており、図16はFFTによる周波数分析結果を示している。尚、図15及び図16においてそれぞれ矢印Aで示す実線の特性は本実施例に係るファン騒音低減装置を設けたものの特性であり、それぞれ矢印Bで示す一点鎖線の特性は本実施例に係るファン騒音低減装置を設けていないものの特性である。
各図に示すように、いずれの周波数分析の手法を用いても、本実施例に係るファン騒音低減装置を設けたものの特性Aが、本実施例に係るファン騒音低減装置を設けていないものの特性よりも音圧レベルが低減している。よって、周波数分析の面からも、本実施例の構成の有効性が実証された。
尚、図15及び図16には、ファン20の回転に伴い発生する一次音(約、150Hz)と二次音(約500Hz)及び約1250Hz以上の高周波が騒音特性制御板16Aにより低減されることが現れている。一般に、一次音,二次音は低周波のために対策が困難であり、これを低減するにはダクト6等の大きなスペースを要する消音機が必要となってしまう。しかしながら、本実施例に係るファン騒音低減装置を用いることにより、1250Hz成分は約4dB低減することができた。これにより、騒音の低減及び耳障り感の低減に大きな効果があることが実証された。
次に、本発明の第2乃至第8実施例について説明する。尚、以下に説明する各実施例の説明に用いる図3乃至図12において、第1実施例の説明に用いた図2A,図2Bに示した構成と同一構成については、同一符号を付してその説明を省略するものとする。
図3は、本発明の第2実施例であるファン騒音低減装置を適用した電子装置10Bを示している。本実施例に係るファン騒音低減装置は、2枚の騒音特性制御板16B−1,16B−2と面積調整装置18とにより構成されている。
面積調整装置18は、第1の騒音特性制御板16B−1と、第2の騒音特性制御板16B−2とを独立に矢印Z1,Z2方向に移動可能な構成としている。よって、第1の騒音特性制御板16B−1が面積調整装置18により矢印Z1方向の移動限度まで移動し、これと同時に第2の騒音特性制御板16B−2が面積調整装置18により矢印Z2方向の移動限度まで移動すると、排気口15と対向する第1及び第2の騒音特性制御板16B−1,16B−2の全面積は最大の面積となる(以下、この状態を最大面積状態という)。
これに対し、第1の騒音特性制御板16B−1が矢印Z1方向に移動し、これと同時に第2の騒音特性制御板16B−2が矢印Z2方向に移動し、第1及び第2の騒音特性制御板16B−1,16B−2が正面視で完全に重なり合う状態になると、第1及び第2の騒音特性制御板16B−1,16B−2の全面積は最小の面積となる(以下、この状態を最小面積状態という)。
また、排気口15から排出される排出風bの通風抵抗は、第1及び第2の騒音特性制御板16B−1,16B−2が最大面積の時最大(最大通風抵抗という)となり、最小面積の時に最小(最小通風抵抗という)となる。また、排気口15から排出される排出風bの通風抵抗の値は、面積調整装置18により最大通風抵抗と最小通風抵抗との間で調整することが可能である。
このように本実施例でも排気口15から排出される排出風bの通風抵抗の値を調整できるため、図13で説明したと同様の理由により、ファン20で発生する騒音を有効に低減することができる。また、本実施例に係るファン騒音低減装置も第1及び第2の騒音特性制御板16B−1,16B−2と面積調整装置18とからなる簡単な構成であるため、電子装置10Bの小型化を図ることができる。
尚、排気口15と対向するよう配設する騒音特性制御板は必ずしも排気口15の全体の面積よりも小さくする必要はなく、例えば図4に示す第2実施例の変形例のように、騒音特性制御板16Cの面積が、排気口15の全体の面積よりも広く設定することも可能である。
図5は、本発明の第3実施例であるファン騒音低減装置を適用した電子装置10Dを示している。本実施例に係るファン騒音低減装置は、騒音特性制御板16Dと角度調整装置19とにより構成されている。
騒音特性制御板16Dは、アーム部30に設けられた支軸Oに回転可能に軸承された構成とされている。また、角度調整装置19は、騒音特性制御板16Dを図中矢印T1,T2方向に支軸Oを中心に回転(移動)する構成とされている。
騒音特性制御板16Dが角度調整装置19により矢印T1方向に回転した場合、騒音特性制御板16Dの支軸Oより上部は排気口15に近接し、支軸Oより下部は排気口15から離間する。また、騒音特性制御板16Dが矢印T2方向に回転した場合、騒音特性制御板16Dの支軸Oより上部は排気口15から離間し、支軸Oより下部は排気口15に近接する。
前記のように、騒音特性制御板16Dが排気口15に近接すると排気口15から排出される排出風bの通風抵抗は増大し、逆に離間すると排気口15から排出される排出風bの通風抵抗は減少する。よって、本実施例に係るファン騒音低減装置は、支軸Oの上部と下部とで通風抵抗の増減が逆の特性となり、複雑な通風抵抗の設定も可能となる。
図6及び図7は、本発明の一実施例であるファン騒音低減装置を適用したファン20を示している。本実施例では、フィンガーガード21を騒音特性制御板として使用したことを特徴としている。
フィンガーガード21は、回転する羽根20aに指が当たらないようファン20に装着されるものである。このファン20は、前記のように指が羽根20aに接触しないようにするため、複数の線材を狭い間隔で配置した構成となっている。このため、ファン20は吸入空気或いは排出風に通風抵抗を与え、よって前記した騒音特性制御板と等価の機能を奏することとなる。
本実施例では、この騒音特性制御板として機能するフィンガーガード21とファン20との距離をスペーサ23により設定する構成としている。即ち、フィンガーガード21はネジ22によりファン20に固定されるが、このネジ22にスペーサ23を挿通した上でフィンガーガード21をファン20にネジ止めする。これにより、フィンガーガード21とネジ22の離間距離L(図7に矢印で示す)は、スペーサ23により決められることとなる。
具体的には、スペーサ23の長さを短くしてフィンガーガード21をファン20に近接させると吸入空気或いは排出風の通風抵抗は増大し、逆にスペーサ23を長くしフィンガーガード21をファン20から離間させると吸入空気或いは排出風の通風抵抗は減少する。
このように本実施例でも吸入空気或いは排出風の通風抵抗の値を調整できるため、図13で説明したと同様の理由により、ファン20で発生する騒音を有効に低減することができる。また、ファン20に配設されているフィンガーガード21を利用して騒音低減を図れるため、小型化、部品点数の削減、及びコスト低減を図ることができる。
図8は、本発明の第5実施例であるファン騒音低減装置を適用した電子装置10Eを示している。前記した各実施例に係るファン騒音低減装置は、騒音特性制御板16A,16B−1,16B−2,16C,16Dを筐体11の外部に配設した構成とされていた。これに対して本実施例に係るファン騒音低減装置は、筐体11の内部に騒音特性制御板16F,16Eを配置したことを特徴としている。
ここで、本実施例に係るファン騒音低減装置が適用される電子装置10Eの構成について簡単に説明する。電子装置10Eは、筐体11の底面部に吸気口14が形成されており、ファン20が駆動することにより、吸入空気aはこの吸気口14から筐体11の内部に進入する。
発熱体となる多数の半導体素子が搭載されたシェルフ24は、筐体11内の吸気口14と対向する位置に配設されている。シェルフ24は所定の間隔で並設されており、吸入空気aは冷却風としてシェルフ24の間を流れてファン20に流入する。
この際、吸気口14とファン20との間には、ファン騒音低減装置を構成する騒音特性制御板16E及び制御板調整装置31が設けられている。即ち、騒音特性制御板16Eは、吸気口14と筐体11の内部に配設されたファン20との間における吸気風aの吸気経路途中に配置された構成とされている。
本実施例では、ファン20は8台設けられている。このファン20に吸引された吸入空気aは、ファン20で付勢されて排出風bとして排気口15から排出される。この際、排気口15とファン20との間には、ファン騒音低減装置を構成する騒音特性制御板16F及び制御板調整装置32が設けられている。即ち、騒音特性制御板16Fは、ファン20と筐体11に形成された排気口15との間における排気風bの排気経路途中に配設されている。
また、制御板調整装置31,32は、騒音特性制御板16E,16Fをファン20に対して図中矢印X1,X2方向、Z1,Z2方向、及びT1,T2方向に移動する構成とされている。騒音特性制御板16E,16FをX1,X2方向に移動させた場合には、ファン20と騒音特性制御板16E,16Fとの距離を調整することができる。
また、騒音特性制御板16E,16Fを矢印Z1,Z2方向に移動した場合には、ファン20と騒音特性制御板16E,16Fとの対向面積を調整することができる。更に、騒音特性制御板16E,16Fを矢印T1,T2方向に移動(回転)させた場合には、回転中心の前後でファン20と騒音特性制御板16E,16Fとの対向面積を変化させるよう調整することができる。
このように、制御板調整装置31,32が騒音特性制御板16E,16Fを移動することにより、吸気口14から吸入される吸入空気aの通風抵抗、及び排気口15から排出される排出風bの通風抵抗を調整することが可能となる。
このように本実施例では、吸入空気aの通風抵抗及び排出風bの通風抵抗の双方を調整できるため、図13で説明したと同様の理由により、ファン20で発生する騒音を更に有効に低減することができる。また、本実施例のように騒音特性制御板16E,16Fは必ずしも筐体11の外部に配設する必要はなく、筐体11の内部にも配設可能なものである。よって、本実施例の構成とすることにより、筐体11の外部に突出する構成がなくなり、電子装置10Eの設置スペースに自由度を持たせることができる。
図9は、本発明の第6実施例であるファン騒音低減装置を適用した電子装置10Fを示している。本実施例に係るファン騒音低減装置は、基本的には図2A及び図2Bを用いて説明したファン騒音低減装置と同一構成とされている。即ち、本実施例に係るファン騒音低減装置も騒音特性制御板16Aと距離調整装置17とにより構成されている。
しかしながら、本実施例に係るファン騒音低減装置は、騒音特性制御板16Aの排気口15と対向する面に吸音材25を配設したことを特徴としている。この吸音材25は、騒音特性制御板16Aの排気口15と対向する面の全面に配設してもよく、また部分的に配設することも可能である。このように、騒音特性制御板16Aに吸音材25を配設することにより、特にファン20で発生する騒音の内、高周波成分の騒音を有効に除去することが可能となる。
図17は、本実施例に係るファン騒音低減装置を適用した電子装置10Fで発生する騒音と、吸音材25を設けない電子装置の騒音との1/3オクターブバンドによる周波数分析結果を示している。尚、図中矢印Aで示す実線の特性は吸音材25を設けた本実施例に係るファン騒音低減装置の特性を示しており、矢印Bで示す一点鎖線の特性は吸音材25を設けてないものの特性である。
同図より、吸音材25を設けた場合、特に1kHz以上の高周波成分で騒音が有効に低減していることが判る。このように、吸音材25を設けることにより、ファン20で発生する騒音の内、特に高周波成分を有効に低減することができる。尚、本実施例では前記した第1実施例に係るファン騒音低減装置に吸音材25を配設した構成を例に挙げて説明したが、他の実施例に係るファン騒音低減装置においても騒音特性制御板に吸音材25を配設することにより、同様の騒音低減効果を実現することができる。
図10は、本発明の第7実施例であるファン騒音低減装置を適用した電子装置10Gを示している。本実施例に係るファン騒音低減装置は、騒音特性制御板16G,マイクロホン26(請求項に記載の騒音計測手段に相当する),移動調整装置27,及び制御装置28等により構成されている。
騒音特性制御板16Gは、前記した第1実施例と同様に排気口15と対向するよう配置されている。マイクロホン26は、電子装置10Gで発生するファン20の騒音を計測するために設けられている。このマイクロホン26は制御装置28に接続されており、よってマイクロホン26で計測されたファン20の騒音は制御装置28に送信される。
移動調整装置27はアーム部30と接続されており、このアーム部30を介して騒音特性制御板16Gを移動する装置である。この移動調整装置27を駆動することにより、騒音特性制御板16Gは、排気口15に対して図中矢印X1,X2方向、Z1,Z2方向、及びR1,R2方向に移動する。よって、移動調整装置27を駆動することにより、排気口15から排出される排出風bの通風抵抗を調整することが可能となる。
制御装置28は、マイクロホン26により計測した電子装置10Gの騒音に応じて移動調整装置27を駆動し、騒音特性制御板16Gを騒音が低減される位置に移動させる処理を行う。図11は、制御装置28が実施するファン騒音の低減処理を示している。以下、制御装置28が実施するファン騒音の低減処理について説明する。
図11に示すファン騒音の低減処理が起動すると、制御装置28は初期化処理を実施する(ステップ10。尚、図ではステップをSと略称している)。具体的には、騒音特性制御板16GのX方向の座標H、Z方向の座標I、及び回転方向(R方向)の座標Jをそれぞれゼロとする(H=0,I=0,J=0)。
次に、制御装置28は移動調整装置27を駆動し、騒音特性制御板16Gを座標(H,I,J)へ移動させる(ステップ12)。騒音特性制御板16Gの移動処理が終了すると、制御装置28はマイクロホン26から電子装置10G(ファン20)が発生している騒音の値を入力する(ステップ14)。尚、以下の説明において、ステップ14で計測されるファン騒音の値をマイク入力値Bという。
次に、制御装置28は、予め内蔵された記憶装置に格納されている基準騒音値Aと、ステップ14で入力されたマイク入力値Bとの大きさを比較する8ステップ16)。ここで、基準騒音値Aとは予め設定された値であり、以下説明するステップ18,24等の処理を実施することにより学習が行われる値である(これについては後述する)。
ステップ16において肯定処理が行われると、換言すると今回入力したマイク入力値Bが基準騒音値A以下であると判断されると、処理はステップ18に進み、今回入力さたれマイク入力値Bの値を新たに基準騒音値Aに設定する(A=B)。そして、このステップ18の処理が終了すると、処理はステップ20に進む。
ステップ20では、制御装置28はステップ12でマイク入力値Bが測定されたときの騒音特性制御板16Gの座標(H,I,J)と、マイク入力値Bの値を対応付けて制御装置28内に設けられている記憶装置内に格納する。
一方、ステップ16でマイク入力値Bが基準騒音値Aを超えていると判断された場合には、ステップ18,20をバイパスして処理をステップ22に進める。ステップ22では、座標H,I,Jを所定量(α,β,γ)だけ変化させる。
続くステップ24では、ステップ22で新たに設定される座標に基づき、騒音特性制御板16Gが移動する全範囲においてマイク入力値Bが計測されたかどうかを判断する。そして、騒音特性制御板16Gが移動する全範囲においてマイク入力値Bが計測されていないと判断されると処理は再びステップ12に戻り、以下ステップ24で肯定判断が行われるまで、ステップ12からステップ24の処理を繰り返し実施する。
このステップ24で肯定判断が行われるまで実施されるステップ12からステップ24の処理において、基準騒音値A以下であるマイク入力値Bが入力された場合、ステップ16,18の処理により基準騒音値Aの書き換え処理が実施される。このため、ステップ24で全計測が終了したときの基準騒音値Aの値は、騒音特性制御板16Aを種々の座標に移動させた中で、最もファン騒音が小さくなったときのマイク入力値Bの値が設定されている。
一方、ステップ24で騒音特性制御板16Gが移動する全範囲においてマイク入力値Bの計測が行われたと判断されると、制御装置28は記憶装置から基準騒音値Aと対応する座標(H,I,Jとする)の値を、換言すると騒音の発生が最も小さかったときの座標(H,I,Jとする)の値を読み出す。
そして、制御装置28は移動調整装置27を駆動することにより、騒音特性制御板16Gを基準騒音値Aとなった位置(H,I,J)へ騒音特性制御板16Gを移動させる。これにより、騒音特性制御板16Gはファン騒音を最低としうる位置に位置決めされるため、電子装置10Gで発生するファン騒音を最も低くすることが可能となる。
図12は、本発明の第8実施例であるファン騒音低減装置を示している。本実施例において、図9に示した構成と対応する構成には同一符号を付してその説明を省略する。
本実施例に係るファン騒音低減装置は、前記した第7実施例に係るファン騒音低減装置の構成に、更に温度センサ35を設けたことを特徴とするものである。この温度センサ35は、ファン20により冷却されるシェルフ24(被冷却体)の温度を計測するものである。よって、温度センサ35はシェルフ24に直接配設するか、或いはシェルフ24を収納するシェルフに配設さる。この温度センサ35は28に接続されており、よってシェルフ24の温度は制御装置28に送信される。
このように、被冷却体となるシェルフ24の温度を計測可能な構成とすることにより、シェルフ24の冷却温度を既定冷却温度の範囲内に維持した上で、ファン20が発生する騒音を低減させることができる。これについて、図13を再び用いて説明する。
前記したように、動作点P1を動作点P2となるよう騒音特性制御板を移動させて通風抵抗を変化させることにより、ΔSだけ音圧レベルを低減でき、よってファン20で発生する騒音を低減することが可能となる。しかしながら、動作点P1を動作点P2とすることにより、ファンの風量は0.50m3/minから0.40m3/minに低減する。これは、ファンの騒音は低減できるが、ファンによる冷却効率が低下することを意味する。また、前記ようにシェルフ24にはLSI29等の発熱体が多数搭載されており、よって場合によっては騒音低減よりもシェルフ24の昇温からLSI29を保護することが優先する必要がある場合も生じる。
そこで、本実施例では温度センサ35を設けることにより被冷却体となるシェルフ24の温度を直接計測可能な構成とし、移動調整装置27を駆動することにより騒音の低減は図れるものの、シェルフ24の温度がLSI29の適正な動作を妨げる温度になったときは、移動調整装置27を駆動を中止する構成としている。この構成とすることにより、シェルフ24に搭載されたLSI29等の電子素子の適正動作を保障でき、電子装置の信頼性を高めることができる。
以上、本発明の好ましい実施例について詳述したが、本発明は上記した特定の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲内において、種々の変形・変更が可能なものである。
10A〜10G 電子装置
11 筐体
14 吸気口
15 排気口
16A,16B−1,16B−2,16C〜16G 騒音特性制御板
17 距離調整装置
18 面積調整装置
19 角度調整装置
20 ファン
21 フィンガーガード
24 シェルフ
25 吸音材
26 マイクロホン
27 移動調整装置
28 制御装置
31,32 制御板調整装置
35 温度センサ

Claims (4)

  1. 筐体内に配設されたファンが生成する吸気風の吸気経路及び/又は排気風の排気経路に設けられる騒音特性調整板と、
    該騒音特性調整板を移動することにより、前記吸気風及び/又は前記排気風の通風抵抗を調整する調整手段と、
    発生している騒音を計測する騒音計測手段と、
    該騒音計測手段で計測された騒音に応じて前記調整手段を駆動し、前記騒音特性調整板を騒音が低減されるよう移動させる制御手段と、
    を有することを特徴とするファン騒音低減装置。
  2. 前記騒音計測手段は、マイクロホンであることを特徴とする請求項1記載のファン騒音低減装置。
  3. 前記ファンにより冷却される被冷却体の温度を計測する温度計測手段を設け、
    前記制御手段は、前記被冷却体に対する既定冷却温度範囲内で、前記前記騒音特性調整板を騒音が低減されるよう移動させることを特徴とする請求項1記載のファン騒音低減装置。
  4. 筐体内に配設されたファンが生成する吸気風の吸気経路及び/又は排気風の排気経路に設けられる騒音特性調整板と、該騒音特性調整板を移動することにより前記吸気風及び/又は前記排気風の通風抵抗を調整する調整手段と、発生している騒音を計測する騒音計測手段とを有するファン騒音低減装置に適用され、前記騒音計測手段で計測された騒音に応じて前記調整手段により前記騒音特性調整板を移動させて騒音を低減させるファン騒音低減方法であって、
    前記調整手段により前記騒音特性調整板を移動範囲内で移動させるステップと、
    前記騒音特性調整板を移動範囲内で移動させた際の騒音を前記騒音計測手段により計測するステップと、
    前記騒音測定が行われた前記騒音特性調整板の位置と、当該位置における前記騒音計測手段により計測された騒音の値とを関係付けた騒音計測データを記憶するステップと、
    前記騒音計測データに基づき、最も騒音値の小さい前記騒音特性調整板の位置に、前記騒音特性調整板を移動させるステップと、
    を有することを特徴とするファン騒音低減方法。
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