JP2011140901A - 可変速揚水発電プラントの発電システム制御装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】発電システム制御装置に第1の微分器5と第2の微分器6とで構成される微分回路が備えられ、ガイドベーン開度指令値Gの変化に応じて第1の微分器5が微分、出力し、この出力を受信する第2の微分器6は前記出力を微分して微分回路の出力とし、この出力にガイドベーン開度指令値Gを加えてガイドベーン制御指令値Hとし、この指令値Hからガイドベーン実開度に減算したガイドベーン制御信号Lと回転速度制御信号Fとを第2の加算器8で加算してサーボ制御系信号Sを生成し、負荷急変時の発電機回転速度の過度変動を抑制する。
【選択図】図1
Description
図10に公知の可変速揚水発電プラント50の上部貯水池51、上部サージタンク52、ポンプ水車および発電電動機53、下部サージタンク54、下部貯水池55の配置を示す。この可変速揚水発電プラント50の発電運転時には、ポンプ水車および発電電動機53は水車および発電機として動作し、上部貯水池51から下部貯水池55に導水管内を水が流れることにより、ポンプ水車53の入力となるエネルギが与えられ、このポンプ水車入力は発電電動機53に伝えられて出力電力に変換される。ポンプ水車の入力−発電電動機の出力がポンプ水車および発電電動機53の加減速エネルギになる。つまり、上記入力−出力の差が正の場合には加速エネルギとなり、ポンプ水車および発電電動機53は加速されて回転速度が増加する。一方、入力−出力の差が負の場合には減速されて回転速度は減少する。
しかし、発電電動機53の出力を増加させる場合、ガイドベーンを開くと有効落差が減少するため、ポンプ水車流量の変化率と有効落差の変化率により、ポンプ水車入力を増加させるつもりがかえって減少させるという現象、つまり反転現象が起こる可能性がある。
また、発電電動機53の出力を減少させる場合、ガイドベーンを閉じると有効落差が増加するため、ポンプ水車流量の変化率と有効落差の変化率により、ポンプ水車入力を減少させるつもりがかえって増加させるという反転現象が起こる可能性がある。
特許第3783838号公報に、回転数最適関数、ガイドベーン開度最適関数、回転数制御器、微分器、加算器を備え、例えば出力電力増の電力指令値の場合、ガイドベーン開度最適関数はガイドベーンを開く方向のガイドベーン開度指令値を出力し、また回転数最適関数は回転数を増加させるような回転数指令値を出力する。
回転数制御は、回転数指令値からポンプ水車の実回転数を差し引いた回転数偏差をもとに回転数制御信号を出力する。上記ガイドベーン開度指令値を微分器によって微分し、ガイドベーン開度指令値に加算器で加算することによって反転現象を防止抑制することが示されている。
またさらに、上部貯水池からの同一の導水管に並設された2台の可変速揚水発電電動機が設けられているプラントの場合、2台の発電電動機の出力を同時に変化させようとすると、1台の発電電動機設置の場合よりも流量の変化が大きくなるので、上記特許文献1に示された技術では、可変速幅を逸脱してしまう可能性があり、このような状態発生時に対応するために、可変速揚水発電電動機の発電運転での目標回転速度を高くすることで、可変速幅を逸脱しないような対策がとられている。
以下、この発明の実施の形態1を図に基づいて説明する。
図1は、この実施の形態1による発電システム制御装置100のブロック図である。以下、構成の動作について説明する。図1において、可変速発電電動機の出力を指令する電力指令値Aは、回転速度最適関数1およびポンプ水車のガイドベーン開度最適関数2に入力される。またポンプ水車の有効落差Cも前記回転速度最適関数1およびガイドベーン開度最適関数2に入力される。前記回転速度最適関数1は、電力指令値Aおよびポンプ水車の有効落差Cに基づいて最適な回転速度指令値Dを出力する。減算器3は最適な回転速度指令値Dとポンプ水車の実回転速度Bとの差を演算し、回転速度偏差Eを出力し、この出力を入力する回転速度制御器4は回転速度制御信号Fを生成する。一方、電力指令値Aおよびポンプ水車の有効落差Cを入力するガイドベーン開度最適関数2は、最適なガイドベーン開度指令値Gを出力する。前記最適なガイドベーン開度指令値Gを入力する第1の微分器5は、前記ガイドベーン開度指令値Gの変化に応じて微分値dG1を出力する。
第2の微分器6は前記第1の微分器5の出力するdG1の微分値dG2を出力する。第1の加算器7は前記ガイドベーン開度指令値Gと、前記第2の微分器6の出力dG2とを加算してガイドベーン制御指令値Hを生成する。ここで前記第1の微分器5と第2の微分器6とで微分回路を構成する。第2の減算器11は前記ガイドベーン制御指令値Hからガイドベーン実開度Kを減算して、ガイドベーン制御信号Lを生成する。第2の加算器8は前記回転速度制御信号Fとガイドベーン制御信号Lとを加算してサーボ制御系信号Sを生成しサーボ制御系に出力する。ポンプ水車のガイドベーンは前記サーボ制御系信号Sによって開閉制御され、その結果、発電電動機の出力が調整される。
図2(e)は、前記第2の微分器6の出力であって微分回路の出力に相当する微分出力dG2と、前述したガイドベーン開度指令値Gとを加算することで、制御目標値として大きくなったガイドベーン制御指令値Hが作成され、このガイドベーン制御指令値Hからガイドベーン実開度Kを減算したガイドベーン制御信号Lは、従来技術として一般によく知られている先行制御より大きな制御偏差を電力指令値Aの変化開始時に持つことになる。このガイドベーン制御信号Lに前述した回転速度制御信号Fを加算したサーボ制御系信号Sによって、ポンプ水車のガイドベーンが開閉制御され、それによって可変速発電電動機の回転速度が制御されることを示している。
上記大きな制御偏差を持つガイドベーン制御信号Lによってガイドベーンが従来に比較してより速い速度で開かれるので水量が増加し、回転速度の低下を抑制できる。つまり、従来例では可変速幅±4%を逸脱した+6〜7%の変動幅であったものが、この実施の形態1では+3%に収まって変動幅を少なくしている。
この図2(e)に関して、(I)電力指令値増の場合について、以下詳しく説明する。
従来は可変速発電電動機1台の負荷増(増レートとして、一般的な0〜100%/60秒)の場合、前述した従来例である特許文献1の技術を適用することで、可変速幅内の運転となるよう制御されていた。
しかし、最近のニーズである同一導水管に2台の可変速発電電動機53が設置されて2台同時に負荷増させるケースや、あるいは増レートを速くする例えば0〜100%/40秒とするケースには、先の特許文献1の技術では可変速幅を逸脱してしまい、図2(e)に示すように6〜7%まで回転速度が低下することが判明した。このように可変速幅を逸脱する場合、可変速幅内に回転速度が戻るまで、発電電動機が運転を継続できるように励磁容量にマージンが必要である。
しかし、この実施の形態1による第1の微分器5の出力dG1を第2の微分器6が微分してdG2を出力し、この微分回路の出力dG2を用いたことで制御目標値として大きくなったガイドベーン制御信号Lに回転制御信号Fとを加算したサーボ制御系信号Sで回転制御制御を行う構成を採用しているので、回転速度の低下が+3%に収まる。つまり前述の如く急な出力変化時や流量変化時等においても可変速幅±4%の範囲内で回転速度の低下を抑制可能となり、可変速発電電動機の励磁容量のマージンを少なくさせる励磁装置の小型化がはかれる。
すなわち、図2(a1)において電力指令値AがPbからPaに減少すると、図2(b1)に示すようにガイドベーン開度指令値GをGVbからGVaに減少させる。第1の微分器5は図2(c1)に示すようにGVb−GVaの変化に応じた微分値dG1を出力する。図2(d1)に示すように第2の微分器6は前記dG1の微分値dG2を出力する。図2(e1)は前記dG2とガイドベーン開度指令値Gとを加算したガイドベーン制御指令値Hからガイドベーン実開度Kを減算したガイドベーン制御信号Lと、前記回転速度制御信号Fとを加算したサーボ制御系信号Sによってガイドベーンが開閉制御され、可変速発電電動機の回転速度を減少させることを示している。
次に、図2(e1)について詳述する。
負荷減の場合、可変速発電電動機を負荷一定で運転中は、前述した負荷増の場合と同じくすべりがプラスで可変速幅を逸脱しない範囲で効率の良い回転速度で運転されている。図2(e1)に示すように負荷減(電力指令値減)においては、過度的に回転速度が上昇するが、回転速度はすべりがプラス状態で運転されているので、従来例である特許文献1の技術でも、可変速幅を逸脱するまでには裕度があるが、逸脱する場合もまれに存在する。
しかしながら、前述の如くこの実施の形態1の微分回路の出力dG2を用いたガイドベーン制御信号で制御を行う構成であるので、同一導水管に可変速発電電動機が2台設置され同時に負荷減させるケースや、減レートを速くするケースには、この図2(e1)に示すように可変速幅±4%の範囲内に回転速度の上昇が従来に比較してより抑制される効果がある。
次に、実施の形態2を図3、図4に基づいて説明する。
図3に示すようにこの実施の形態2は、前述した実施の形態1の図1の第2の微分器6に接続され信号Jを出力する可変リミッタ9と、この可変リミッタ9の可変範囲を制御する励磁制御手段10とを追加して設けたものであり、それ以外は実施の形態1と同様であるので説明を省略する。なおここで、第1の微分器5、第2の微分器6および可変リミッタ9によって微分回路が構成される。この可変リミッタ9を設けるのは、例えば前述した実施の形態1の図2(d)において、電力指令値Aの増指令終了時に第2の微分器6の出力dG2が負となることによってガイドベーン開度が変動し、回転速度が変化することを改善するためである。
勿論、この場合における回転速度の変化は前記実施の形態1の図2(e)、図2(e1)で説明したように、可変速幅内での変化であって、前記実施の形態1の作用、効果を損なうものではない。すなわちこの実施の形態2は前記実施の形態1をさらに改善したものである。図3に示す可変リミッタ9は第2の微分器6の出力dG2を制御するものであり、励磁制御手段10によって可変範囲が設定される。この実施の形態2では、可変リミッタ9の可変範囲を例えばガイドベーン開度指令値Gの変化が正の場合は、上限を第2の微分器6の出力dG2に制限を加えない値とし、下限を零または零に近い値とする。一方ガイドベーン開度指令値Gの変化が零または零に近い値の場合には、上・下限を零または零に近い値とする。また、ガイドベーン開度指令値Gの変化が負の場合には、上限を零または零に近い値とする。このことにより電力指令値Aの変化、つまり負荷調整中以外の不要な回転速度変動を抑制した制御装置100が提供できる。なお電力指令値Aが一定もしくは変化速度が遅いために、第2の微分器6の出力dG2が零または小さい場合には、励磁制御手段10は可変リミッタ9の上・下限を零または零に近い値となるよう制御、設定する。
図4に示すように、(I)電力指令値増の場合、(II)電力指令値減の場合共に、図4(a)、図4(a1)〜図4(d)、図4(d1)までは前述した図2と同様であるので説明を省略する。実施の形態1と同様にまず(I)電力指令値増の場合について説明する。図4(e)において、可変リミッタ9はガイドベーン開度指令値Gの変化が零または零に近い値の時刻t1〜t2の間T1は、可変リミッタ9の上・下限を零または零に近い値に設定されており、その間の出力はない。ガイドベーン開度指令値Gの変化が正の時刻t2〜t3の間T2は、可変リミッタ9の下限を零または零に近い値に設定し、上限は制限されてないので図4(e)の負方向の出力が無くなる。そして、ガイドベーン開度指令値Gの変化が零または零に近い値のt3以降T1は、可変リミッタ9の上・下限を零または零に近い値に設定されているので可変リミッタ9の出力はない。このように励磁制御手段10によって可変リミッタ9は可変範囲の上・下限が設定されて、ガイドベーン開度指令値Gの変化に従って信号Jを出力することにより回転速度の低下を+3%とすることができる。すなわち、図4(f)に示すように可変速幅±4%の範囲内に回転速度の低下を抑制することができるとともに、第2の微分器6の出力dG2の負の出力が無くなるのでガイドベーン開度の変動を抑制し、回転速度の変動を改善できる。
但し、図4(e1)が図4(e)と逆方向となる理由はガイドベーン開度指令値Gが負の時刻t2〜t3の間T2は、前述したように可変リミッタ9の上限を零または零に近い値としているからである。そして、図4(f1)に示すように、電力指令値減の場合であっても、可変速幅±4%の範囲内に回転速度の上昇を抑制することができ、かつdG2の正の出力が無くなるので、ガイドベーン開度の変動を抑制し、回転速度が変化することが改善される。
次に実施の形態3を図5、図6に基づいて説明する。
前記実施の形態2では、図3に示したようにガイドベーン開度指令値Gを第1、第2の微分器5、6と可変リミッタ9とで構成される微分回路の出力Jを用いて電力指令値Aの変化終了時の回転速度変動を抑制する制御装置100について述べたが、この実施の形態3は実施の形態2の図3で示したガイドベーン開度最適関数2に接続されている微分回路の第1、第2の微分器および可変リミッタに替わって、図5に示すように電力指令値Aに接続される第1、第2の微分器5a、6a、可変リミッタ9aよりなる微分回路の構成を採用したものであり、以下に説明する事項以外は実施の形態2と同様であるので説明を省略する。
図6(a)において、電力指令値AがPaからPbに増加すると、図6(b)でガイドベーン開度指令値GをGVaからGVbに増加させる。図6(c)で第1の微分器5aはその時刻における電力指令値Aの変化分に応じた出力dA1を出力する。第2の微分器6aは図6(d)に示すように前記第1の微分器5aの出力dA1の微分値dA2を出力する。図6(e)において、可変リミッタ9aは励磁制御手段10によって求められた電力指令値の変化分、すなわちその時刻における電力指令値Aと1周期前、またはそれ以前の過去の周期の電力指令値Aとの差から零または零に近い値の時刻t1〜t2の間T1は、上・下限を零または零に近い値に設定されているので可変リミッタ9aの出力はない。電力指令値Aの差が正の時刻t2〜t3の間T2は、下限を零または零に近い値に設定されているので、可変リミッタ9aの出力Kは正方向のみとなる。そして電力指令値Aの変化が零または零に近い値の時刻t3以降T1は、上・下限を零または零に近い値に設定されているので、可変リミッタ9aの出力はない。このように励磁制御手段10によって、その時刻における電力指令値Aと1周期前の電力指令値Aの差を求めるとともに、その差に応じて電力指令値の変化に対応した上・下限のリミットを設定し、その時刻における電力指令値Aの変化に応じて第1、第2の微分器5a、6aで微分し、かつ可変リミッタ9aによって前記第2の微分器6aの出力を制御しているので、図6(f)に示すように可変速幅±4%の範囲内に回転速度の低下を抑制することができるとともに、第2の微分器6の出力dA2の負の出力が無くなるので、ガイドベーン開度の変動を抑制し回転速度が変化することが改善される。
但し、図6(e1)が図6(e)と逆となる理由は、電力指令値Aが負の時刻t2〜t3の間T2は、前述したように可変リミッタ9の上限を零または零に近い値としているからである。そして図6(f1)に示すように電力指令値減の場合であっても、可変速幅±4%の範囲内に回転速度の上昇を抑制することができるとともに、第2の微分器6の出力dA2の正の出力が無くなるので、ガイドベーン開度の変動を抑制し回転速度が変化することが改善される。
次に実施の形態4を図7、図8に基づいて説明する。
この実施の形態4は、前述した実施の形態2の図3の微分回路構成と、実施の形態3の図5の微分回路構成の双方を備えた制御装置100としたもので、図7にその構成を示す。この実施の形態4は、図7から判るようにガイドベーン開度指令値Gを第1の微分器5と第2の微分器6の第1の可変リミッタ9によって構成される第1の微分回路において、前記第2の微分器6の出力dG2を第1の可変リミッタ9によって制御された出力Jと、電力指令値Aの変化分を第3の微分器5aと、第4の微分器6aと第2の可変リミッタ9aで構成される第2の微分回路において、前記第4の微分器6aの出力dA2を第2の可変リミッタ9aによって制御された出力Mとが、つまり前記出力JとMとが第1の加算器7で加算される構成である。
それ以外は前述した実施の形態2ならびに実施の形態3と同様であるので、説明を省略する。
図8(a)〜図8(e)および図8(a1)〜図8(e1)は前述した実施の形態2の図4(a)〜図4(e)および図4(a1)〜図4(e1)と同様の動作であり、図8(f)〜図8(h)および図8(f1)〜図8(h1)は実施の形態3の図6(c)〜図6(e)および図6(c1)〜図6(e1)と同様の動作であるので、説明を省略する。
(I)電力指令値増の場合について説明すると、図8(i)に示すようにガイドベーン開度指令値Gの変化に応じた微分値dG1を第1の可変リミッタ9によって制御した出力Jと、電力指令値Aの変化に応じた微分値dA2を第2の可変リミッタ9aによって制御した出力Mとを加算したガイドベーン開度指令値Hとしているので、リミッタの出力和が増大し、この信号Hからガイドベーン実開度Kを減算したガイドベーン制御信号Lと、前述した回転速度制御信号Fとを加算したサーボ制御系信号Sでもって、ガイドベーンが制御されるので、ガイドベーンの追従性が高まり、電力指令値の急激な変化に対しても、図8(j)に示すように回転速度の低下を前述した実施の形態2よりさらに改善する効果がある。
そして、図8(i1)に示すように第1のリミッタ出力Jと第2のリミッタ出力Mとを加算しているのでリミッタ出力和が増大し、ガイドベーン追従性が高まり、電力指令値の急激な変化に対しても、図8(j1)に示すように回転速度の上昇を前述した実施の形態2よりさらに改善する効果がある。
次に実施の形態5について説明する。
この実施の形態5の構成は前記実施の形態4で示した図7と同一の構成である。しかしながら、実施の形態4で示した第1の微分回路を構成する第1、第2の微分器5、6と第2の微分回路を構成する第3、第4の微分器5a、6aによる微分制御方式は同等のものであった。この実施の形態5では第1の微分回路の第2の微分器6と、第2の微分回路の第4の微分器6aの制御方式を異なる方式を採用している。
つまり、図7に示すガイドベーン開度指令値Gの微分を行う第1の微分回路の第2の微分器6は、回路ゲインを大きくすることによる微分出力Jを鋭く、すなわち微分出力を高くしたものであり、電力指令値Aの変化分を微分する第2の微分回路の第4の微分器6aの回路時定数を大きくして微分出力Mを長く、すなわち微分出力を長くしたものである。これによりガイドベーン制御量を増大させることが可能となり、回転速度の低下や上昇をより抑制することができる。
なお、以下の説明は(I)電力指令値Aが増の場合について述べる。図9(a)で電力指令値AがPaからPbに増加すると、図9(b)でガイドベーン開度指令値GをGVaからGVbに増加させる。図9(c)で第1の微分回路の第1の微分器5はdG1を出力し、図9(d)で第2の微分器6は微分効果を高くした出力dG2を出力する。図9(e)で第1の可変リミッタ9は電力指令値Aが正の時刻t2〜t3の間(T2の間)のみ正のリミッタ出力Jを出力する。この図9(e)から判るように前述した実施の形態4より鋭い形状の正のリミッタ出力Jが出力されている。
一方、図9(f)で第2の微分回路の第3の微分器5aは微力値dA1を出力し、図9(g)で第4の微分器6aは微分効果を長くした出力dA2を出力する。図9(h)で第2の可変リミッタ9aは電力指令値Aの差が正の時刻t2〜t3の間(T2の間)のみ正のリミッタ出力Mを出力する。この図9(h)から判るように前述した実施の形態4より長い形状の正のリミッタ出力Mが出力されている。図9(i)で上記リミッタ出力JとMが加算されて、ガイドベーン開度指令値Hとし微分効果の高くかつ長くガイドベーン制御量を増大させたものが得られる。この図9(i)の信号Hからガイドベーン実開度Kを減算したガイドベーン制御信号Lと回転速度制御信号Fとを加算したサーボ制御系信号Sでもってガイドベーンが制御されるので、電力指令値の変化が大きく、かつ長時間継続する場合においても、図9(j)に示すように可変速幅内における回転速度の低下をより改善することができる。
そして図9(i1)に示すように、第1のリミッタ負の出力Jと第2のリミッタ負の出力Mとを加算しているので、負のリミッタ出力和が高く、かつ長くなり、ガイドベーン制御量を増大させたものが得られ、図9(j1)に示すように可変速幅内における回転速度の上昇をより改善することができる。
4 回転速度制御器、5 第1の微分器、5a 第3の微分器、6 第2の微分器、
6a 第4の微分器、7 第1の加算器、8 第2の加算器、
9 可変リミッタ(第1の可変リミッタ)、9a 第2の可変リミッタ、
10 励磁制御手段、11 第2の減算器、100 発電システム制御装置、
A 電力指令値、B ポンプ水車の実回転速度、C ポンプ水車の有効落差、
D 回転速度指令値、F 回転速度制御信号、G ガイドベーン開度指令値、
H ガイドベーン制御指令値、K ガイドベーン実開度、
dA1,dA2,dG1,dG2 微分器出力、L ガイドベーン制御信号、
J,M リミッタ出力。
Claims (6)
- 電力指令値およびポンプ水車の有効落差に基づいて、回転速度指令値を演算する回転速度最適関数と、前記回転速度指令値とポンプ水車の実回転速度との差を演算して回転速度偏差を出力する第1の減算器と、前記回転速度偏差に基づいて回転速度制御信号を生成する回転速度制御器と、前記電力指令値およびポンプ水車の有効落差に基づいてガイドベーン開度指令値を演算するガイドベーン最適関数と、微分回路と、前記微分回路の出力と前記ガイドベーン開度指令値とを加算してガイドベーン制御指令値を生成する第1の加算器と、前記ガイドベーン制御指令値からガイドベーン実開度を減算してガイドベーン制御信号を生成する第2の減算器と、前記回転速度制御信号と前記ガイドベーン制御信号とを加算してサーボ制御系信号を生成する第2の加算器とを備えた可変速揚水発電プラントの発電システム制御装置であって、前記微分回路には、第1の微分器と第2の微分器とが設けられており、前記第1の微分器は、前記ガイドベーン開度指令値の変化に応じてこのガイドベーン開度指令値を微分、出力し、前記第1の微分器の出力を受信する前記第2の微分器は、前記出力を微分して前記微分回路の出力とすることを特徴とする可変速揚水発電プラントの発電システム制御装置。
- 電力指令値およびポンプ水車の有効落差に基づいて、回転速度指令値を演算する回転速度最適関数と、前記回転速度指令値とポンプ水車の実回転速度との差を演算して回転速度偏差を出力する第1の減算器と、前記回転速度偏差に基づいて回転速度制御信号を生成する回転速度制御器と、前記電力指令値およびポンプ水車の有効落差に基づいてガイドベーン開度指令値を演算するガイドベーン最適関数と、微分回路と、前記微分回路の出力と前記ガイドベーン開度指令値とを加算してガイドベーン制御指令値を生成する第1の加算器と、前記ガイドベーン制御指令値からガイドベーン実開度を減算してガイドベーン制御信号を生成する第2の減算器と、前記回転速度制御信号と前記ガイドベーン制御信号とを加算してサーボ制御系信号を生成する第2の加算器とを備えた可変速揚水発電プラントの発電システム制御装置であって、前記微分回路には、第1の微分器と第2の微分器および可変リミッタが設けられており、前記可変リミッタの可変範囲は、励磁制御手段によってその時刻における電力指令値と、過去の電力指令値との差に基づいて制御されるものであり、前記第1の微分器は、前記その時刻における電力指令値の変化に応じてこの電力指令値を微分、出力し、前記第1の微分器の出力を受信する前記第2の微分器は、前記出力を微分、出力し、前記第2の微分器の出力値を受信する前記可変リミッタは、前記出力値を制御して前記微分回路の出力とすることを特徴とする可変速揚水発電プラントの発電システム制御装置。
- 電力指令値およびポンプ水車の有効落差に基づいて、回転速度指令値を演算する回転速度最適関数と、前記回転速度指令値とポンプ水車の実回転速度との差を演算して回転速度偏差を出力する第1の減算器と、前記回転速度偏差に基づいて回転速度制御信号を生成する回転速度制御器と、前記電力指令値およびポンプ水車の有効落差に基づいてガイドベーン開度指令値を演算するガイドベーン最適関数と、第1の微分回路および第2の微分回路と、前記第1の微分回路と第2の微分回路の出力と前記ガイドベーン開度指令値とを加算してガイドベーン制御指令値を生成する第1の加算器と、前記ガイドベーン制御指令値からガイドベーン実開度を減算してガイドベーン制御信号を生成する第2の減算器と、前記回転速度制御信号と前記ガイドベーン制御信号とを加算してサーボ制御系信号を生成する第2の加算器とを備えた可変速揚水発電プラントの発電システム制御装置であって、前記第1の微分回路には、第1の微分器と第2の微分器および第1の可変リミッタが設けられており、前記第1の可変リミッタは励磁制御手段によって可変範囲が制御されるものであり、前記第1の微分器は、前記ガイドベーン開度指令値の変化に応じてこのガイドベーン開度指令値を微分、出力し、前記第1の微分器の出力を受信する前記第2の微分器は、前記出力を微分、出力し、前記第2の微分器の出力値を受信する前記第1の可変リミッタは、前記出力値を制御して前記第1の微分回路の出力とするものであり、前記第2の微分回路には、第3の微分器と第4の微分器および第2の可変リミッタが設けられており、前記第2の可変リミッタの可変範囲は、励磁制御手段によってその時刻における電力指令値と、過去の電力指令値との差に基づいて制御されるものであり、前記第3の微分器は、前記その時刻における電力指令値の変化に応じてこの電力指令値を微分、出力し、前記第3の微分器の出力を受信する前記第4の微分器は、前記出力を微分、出力し、前記第4の微分器の出力値を受信する前記第2の可変リミッタは、前記出力値を制御して前記第2の微分回路の出力とすることを特徴とする可変速揚水発電プラントの発電システム制御装置。
- 前記微分回路には、前記第1の微分器と前記第2の微分器および可変リミッタが設けられており、前記可変リミッタは励磁制御手段によって可変範囲が制御されるものであり、前記第1の微分器は、前記ガイドベーン開度指令値の変化に応じてこのガイドベーン開度指令値を微分、出力し、前記第1の微分器の出力を受信する前記第2の微分器は、前記出力を微分、出力し、前記第2の微分器の出力値を受信する前記可変リミッタは、前記出力値を制御して前記微分回路の出力とすることを特徴とする請求項1に記載の可変速揚水発電プラントの発電システム制御装置。
- 前記第1の微分回路の第2の微分器は、回路ゲインを大きくして微分出力値を高めるとともに、前記第2の微分回路の第4の微分器は、回路時定数を大きくして微分出力値を長くすることを特徴とする請求項3に記載の可変速揚水発電プラントの発電システム制御装置。
- 前記第1の微分回路の第2の微分器は、回路時定数を大きくして微分出力値を長くするとともに、前記第2の微分回路の第4の微分器は、回路ゲインを大きくして微分出力値を高めることを特徴とする請求項3に記載の可変速揚水発電プラントの発電システム制御装置。
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