JP2011137748A - 変位センサ装置及び転がり軸受装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】渦巻状に形成された導電部の渦巻面を検出対象物と対向させるコイル3をフレキシブルプリント基板に設け、当該コイルを有する基板部位を、複数枚互いに重ね合わせて複合コイル基板部22wとする。そして、信号処理回路17は、重ね合わせられた複数のコイル3を、電流の巻き方向が同一になるように直列接続した2つのコイルのインダクタンス、及び、検出対象物との間に現れるキャパシタンスに基づく出力信号を抽出する。
【選択図】図15
Description
一方、フレキシブルプリント基板と呼ばれる柔軟で薄い基板の平面上に、渦巻状のコイルを構成し、インダクタとしたものが提案されている(例えば、特許文献1,2参照。)。このような平面コイルの構造は、積層鋼板にコイルを巻く構造に比べて、軽量・コンパクト化に大きく寄与するものと期待される。
この場合、一対のコイル基板部は支持部の内周面上で重ね合わせられるので、コイルの位置が安定し、検出の精度を安定させることができる。また、コイル基板部を支持部の軸方向両側から重ね合わせることになるので、重ね合わせた状態で接着等により固定すれば、フレキシブルプリント基板全体を支持部に確実に装着することができる。なお、回路基板部は支持部の外周側に配置されるので、回路の他、電子部品の実装が可能である。
この場合、コイル基板部は支持部の内周面上で折り返して(2つ折りにして)重ね合わせられるので、コイルの位置が安定し、検出の精度を安定させることができる。また、片袖状のコイル基板部を折って重ねることで容易に、渦巻の位置を合わせて重ね合わせることができる。なお、回路基板部は支持部の外周側に配置されるので、回路の他、電子部品の実装が可能である。
このような転がり軸受装置は、基板の幅を大きくすることなくコイルのインダクタンスを一挙に増大させた変位センサ装置によって、回転体の変位を検出することができる。
図1は、本発明の変位センサ装置に使用する平面コイルの原理を説明する図である。この平面コイル1は、(a)に示すように、フレキシブルプリント基板(FPC)2上に、導電部を渦巻状に形成して成るコイル3を設けたものである。このような平面コイル1は、例えばポリイミド製の基板に銅やアルミニウム等の金属箔が貼着されたフレキシブルプリント基板からエッチングを行って、渦巻のパターンを残すことにより製作することができる。なお、コイル3の渦巻中心の端部は、例えばスルーホールで裏面へ導出することができる。コイル3は、渦巻のターン数(渦を巻いている回数)、コイルの断面積、コイルの長さ等に依存するインダクタンスLを有するが、ターン数は2乗で関与するため、最も支配的な要素である。従って、ターン数を確保することによって、所望のインダクタンスを得ることが可能である。
図2は、LC回路の周波数特性の一例を示すグラフである。周波数特性は、例えば自己共振周波数f1でピークとなる実線の曲線であるが、自己共振周波数が低下してf2になると、周波数特性は破線の曲線となる。この結果、LC回路に一定の発振周波数f0を供給している場合において、LC回路の出力(振幅)は、V1からV2に変化する。このようにして、ギャップの変化を出力の変化として検出することができる。
次に、上記のような平面コイル1を複数個使用した基板形センサの原理的構成について説明する。
図4の(a)は、基板形センサ10の展開図である。この基板形センサ10においては、フレキシブルプリント基板2上に、4個のコイル3(総称符号)が2段に、合計8個設けられている。なお、図ではコイル3を簡略化して同心円のように描いているが、実際は、図1や図3に示したような渦巻である(以下、同様。)。
X方向変位:(X1+,X1−)、(X2+,X2−)
Z方向変位:(Z1+,Z1−)、(Z2+,Z2−)
各コイル3における2つの巻端(図示せず。)は、フレキシブルプリント基板2の表裏両面の導電路6を経て、端子電極部2aに導出されている。
各コイルは前述のように等価的にはLC回路であり、発振回路13から抵抗14を介して所定の発振周波数f0の交流信号が供給される。LC回路の出力はインピーダンス変換を行うバッファ回路(電圧フォロワ回路)15を経て、差動増幅回路16に入力される。
なお、コイル3の導電部と回転体12との間にはキャパシタンスが現れるので、別途、回路部品としてのコンデンサを用意することなく、LC回路を構成することができる。
次に、転がり軸受装置の固定輪と回転輪との間に取り付けられる変位センサ装置について説明する。
図8は、転がり軸受装置の一種であるハブユニットの断面図である。このハブユニット100は車両に取り付けられるものであり、取り付けた状態では、図8における右側が車両のアウター側(車両の外側)であり、左側が車両のインナー側(車両の内側)である。図8において、ハブユニット100の中心軸Cに沿った方向をY方向とし、これに直交する紙面に垂直な方向をX方向とし、Y方向及びX方向の双方に直交する鉛直方向をZ方向とする。従って、このハブユニット100が自動車に取り付けられた状態においてX方向は車輪の前後水平方向となり、Y方向は車輪の左右水平方向(軸方向)となり、Z方向は上下方向となる。
このハブユニット100において、外輪101は、車体側の固定部材に固定される固定輪である。また、内軸102と内輪部材103とは、外輪101に転動体105を介して回転自在に支持された回転輪である。外輪101、内軸102及び内輪部材103は、互いに同軸(中心軸C)に配置されている。
図9〜14は、第1実施形態に係る変位センサ装置20を示す図であり、このうち、図9はフレキシブルプリント基板22の展開図であり、図10はフレキシブルプリント基板22に搭載されるコイルその他のセンサ回路要素の回路図である。
まず、図9において、フレキシブルプリント基板22は、コイル3以外のセンサ回路要素を含む横長のベルト状の回路基板部22eと、この回路基板部22eの上下辺の各4箇所から紙面の上方及び下方へ、いわば両袖状に延伸して形成された合計8片のコイル基板部22dと、長手方向の一端部(図の右端)から少し幅を狭くして延伸するように形成された引出し部22cとを一体に有するものである。各コイル基板部22dには、一対のコイル3が設けられている。なお、前述のように、コイル3は、基板の表裏や、多層基板の場合には層間にも設けることができるが、ここでは簡素な例として、図9の紙面の表面側にのみ設けられているものとする。
図16は、第2実施形態に係る変位センサ装置20における、フレキシブルプリント基板22の展開図である。
図16において、フレキシブルプリント基板22は、コイル3以外のセンサ回路要素を含む横長のベルト状の回路基板部22eと、この回路基板部22eの上辺の各4箇所から紙面の上方へ、いわば片袖状に延伸して形成された合計4片のコイル基板部22dと、長手方向の一端部(図の右端)から少し幅を狭くして延伸するように形成された引出し部22cとを一体に有するものである。各コイル基板部22dには、一対2組(4個)のコイル3が設けられている。回路基板部22eの領域a1〜a4は、第1実施形態(図9)と同様である。すなわち、図9との違いは、コイル基板部22dを両袖状ではなく、片袖状にして一対2組のコイル3を並べた点であり、その他の構成は、第1実施形態の変位センサ装置20と同様である。
この場合も、第1実施形態と同様に、コイル基板部22dは支持部21の内周面(の溝21k)上で折り返して(2つ折りにして)重ね合わせられるので、コイル3の位置が安定し、検出の精度を安定させることができる。また、片袖状のコイル基板部22dを折って重ねることで容易に、渦巻の位置を合わせて重ね合わせることができる。回路基板部22eは支持部21の外周側に配置されるので、回路の他、電子部品の実装が可能である。
なお、図16に示すフレキシブルプリント基板22の場合、支持部21のスリット21jは、片方の鍔状部21hにのみ形成すれば足りるが、製造上は、装着の向きを問わない点で両方の鍔状部21hにスリット21jを形成しておく方が便利である。
なお、上記各実施形態では、支持部21の外周側に回路基板部22eが装着される構成を示したが、図5に示したように、支持部の内周側にフレキシブルプリント基板全体を装着することも可能である。以下、その場合のフレキシブルプリント基板及び支持部の構成について簡単に説明する。
なお、上記各実施形態における変位センサ装置20は、転がり軸受装置のみならず、スピンドル装置にも適用でき、その他、検出対象となる物体(特に回転体)の変位を検出する装置として広く使用可能である。
また、このような変位センサ装置は、回転体以外の検出対象物にも適用可能である。例えば、軸方向へ移動する直動軸部材の径方向への微小な変位を検出する場合に、適用可能である。このような場合の支持部は、必ずしもリング状でなくてもよく、直動軸部材の外形状に合わせた枠状であってもよい。
また、上記各実施形態におけるコイル基板部22dの重ね枚数は2であるが、必要により、3枚以上を重ねることも可能である。
Claims (4)
- 検出対象物の変位を非接触で検出する変位センサ装置であって、
折り曲げが可能なフレキシブルプリント基板に、渦巻状に形成された導電部の渦巻面を前記検出対象物と対向させるコイルを有し、当該コイルを有する基板部位を、複数枚互いに重ね合わせて成る複合コイル基板部と、
前記フレキシブルプリント基板を沿わせて支持する支持部と、
重ね合わせられた複数のコイルを、電流の巻き方向が同一になるように直列接続した全コイルのインダクタンス、及び、前記検出対象物との間に現れるキャパシタンスに基づく出力信号を抽出する信号処理回路と
を備えたことを特徴とする変位センサ装置。 - 前記支持部は、全体としてリング状若しくは枠状の形状であり、
前記フレキシブルプリント基板は、前記支持部の外周側に装着されるベルト状の回路基板部と、当該回路基板部の長手方向と直交する両方向に両袖状に突出して形成され、前記コイルが設けられた一対のコイル基板部とを有し、
各コイル基板部を前記支持部の内周側に折り返して互いに重ねることにより前記複合コイル基板部を形成する請求項1記載の変位センサ装置。 - 前記支持部は、全体としてリング状若しくは枠状の形状であり、
前記フレキシブルプリント基板は、前記支持部の外周側に装着されるベルト状の回路基板部と、当該回路基板部の長手方向と直交する一方向に片袖状に突出して形成され、前記コイルが2組設けられたコイル基板部とを有し、
前記コイル基板部を前記支持部の内周側で折り返して2組を互いに重ねることにより前記複合コイル基板部を形成する請求項1記載の変位センサ装置。 - 請求項1〜3のいずれか1項に記載の変位センサ装置を固定輪側に取り付けて、前記検出対象物としての回転体の変位を検出する転がり軸受装置。
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