JP2010127744A - 変位センサ装置及び転がり軸受装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】軽量・コンパクトで簡素な構造の変位センサ装置及びこれを備えた転がり軸受装置を提供する。
【解決手段】本発明は、検出対象物の変位を非接触で検出する変位センサ装置20であって、検出対象物に対向する複数の平面部23a他が、曲げ部分23eを介して連続したベルト状の立体形状を成すフレキシブルプリント基板23と、フレキシブルプリント基板23を支持し、かつ、その立体形状を維持する支持部21と、平面部23aにおいて導電部を渦巻状に形成して成り、渦巻面が検出対象物と対向するコイルと、変位を検出するために平面部23b等に実装された電子部品とを備えたものである。また、このような変位センサ装置を備えた転がり軸受装置である。
【選択図】図11
【解決手段】本発明は、検出対象物の変位を非接触で検出する変位センサ装置20であって、検出対象物に対向する複数の平面部23a他が、曲げ部分23eを介して連続したベルト状の立体形状を成すフレキシブルプリント基板23と、フレキシブルプリント基板23を支持し、かつ、その立体形状を維持する支持部21と、平面部23aにおいて導電部を渦巻状に形成して成り、渦巻面が検出対象物と対向するコイルと、変位を検出するために平面部23b等に実装された電子部品とを備えたものである。また、このような変位センサ装置を備えた転がり軸受装置である。
【選択図】図11
Description
本発明は、検出対象物の変位を検出する変位センサ装置及びこれを搭載した転がり軸受装置に関する。
近年、自動車の分野において、走行の際の運転制御を行うために、車輪に作用する荷重の情報が必要とされている。かかる情報を得るため、車輪用の転がり軸受装置(ハブユニット)に変位センサ装置が設けられている(例えば、特許文献1参照)。
このような転がり軸受装置においては、車体側の固定軌道輪に転動体を介して、可動軌道輪である内軸が回転自在に支持され、この内軸に車輪が取り付けられる。複数個(一対二組で軸方向へ二列に設けられる。)の変位センサ装置は、内軸の端部の外周に対向して設けられており、車輪に荷重が作用した際に発生する内軸の径方向・軸方向の変位を、インダクタンスの変化として出力する。そして、これらの変位センサ装置に接続された信号処理回路は、インダクタンスの変化に基づいて、変位を示す信号を生成し、当該信号をECU(電子制御ユニット)に提供する。これによってECUは、車輪に作用する荷重を求めることができる。
上記のような従来の変位センサ装置におけるセンサ(検知部)としては、積層鋼板にコイルを巻回したものが使用される。具体的には、リング状に形成された積層鋼板の周方向90度ごとに合計4個のコイルを巻回したものを1セットとして、これが、軸方向に2セット設けられる。すなわち、全体で、積層鋼板2リングと、コイル8個が必要であった。しかしながら、このようなセンサの構造は、体積・重量が大きく、構成部品数も多いので、材料コストが高く、組立工数も多くなる。また、このようなセンサの構造は、転がり軸受装置の軸方向又は径方向に、相応の取付スペースを必要とするが、車種によっては、取付スペースの確保が困難な場合がある。
かかる従来の問題点に鑑み、本発明は、軽量・コンパクトで簡素な構造の変位センサ装置及びこれを備えた転がり軸受装置を提供することを目的とする。
かかる従来の問題点に鑑み、本発明は、軽量・コンパクトで簡素な構造の変位センサ装置及びこれを備えた転がり軸受装置を提供することを目的とする。
本発明は、検出対象物の変位を非接触で検出する変位センサ装置であって、
前記検出対象物に対向する複数の平面部が、曲げ部分を介して連続したベルト状の立体形状を成すフレキシブルプリント基板と、前記フレキシブルプリント基板を支持し、かつ、前記立体形状を維持する支持部と、前記平面部において導電部を渦巻状に形成して成り、渦巻面が前記検出対象物と対向するコイルと、前記変位を検出するために前記平面部上に実装された電子部品とを備えたものである。
前記検出対象物に対向する複数の平面部が、曲げ部分を介して連続したベルト状の立体形状を成すフレキシブルプリント基板と、前記フレキシブルプリント基板を支持し、かつ、前記立体形状を維持する支持部と、前記平面部において導電部を渦巻状に形成して成り、渦巻面が前記検出対象物と対向するコイルと、前記変位を検出するために前記平面部上に実装された電子部品とを備えたものである。
上記のように構成された変位センサ装置においては、フレキシブルプリント基板に渦巻状のコイルや電子部品を設けることにより、センサ部分の柔軟性と薄さとを実現する。また、平面部を設けて、そこにコイルや電子部品を設けることで、曲げによる電子部品の脱落やスルーホールの破損を防止する。組立構造上は、当該基板を支持部によって支持するだけであるので、簡素な構造となる。
また、上記変位センサ装置において、平面部と背中合わせに補強部材が取り付けられ、当該補強部材が支持部の対応箇所に係合するよう構成されていてもよい。
この場合、予め、フレキシブルプリント基板に補強部材を取り付けることができ、例えば、両者をプレスしながら接着固定することが容易になる。すなわち、フレキシブルプリント基板を支持部に直接取り付けるよりも組立が容易である。また、補強部材により平面部の平面性が確保され、かつ、支持部との係合も実現されるので、構成の信頼性も高い。
この場合、予め、フレキシブルプリント基板に補強部材を取り付けることができ、例えば、両者をプレスしながら接着固定することが容易になる。すなわち、フレキシブルプリント基板を支持部に直接取り付けるよりも組立が容易である。また、補強部材により平面部の平面性が確保され、かつ、支持部との係合も実現されるので、構成の信頼性も高い。
また、上記変位センサ装置は、平面部と背中合わせに取り付けられた平板状の補強部材と、補強部材及びフレキシブルプリント基板と係合してこれらを支持する部材であって、支持部の対応箇所に係合するクリップとを備えたものであってもよい。
この場合、補強部材の形状が単純なため、接着固定が容易で、接着固定作業も容易である。また、クリップは、補強部材のみではなく、フレキシブルプリント基板にも係合するので、接着固定にのみ依存せず、機械的な拘束により、フレキシブルプリント基板を支持部に確実に、かつ、正確に取り付けることができる。
この場合、補強部材の形状が単純なため、接着固定が容易で、接着固定作業も容易である。また、クリップは、補強部材のみではなく、フレキシブルプリント基板にも係合するので、接着固定にのみ依存せず、機械的な拘束により、フレキシブルプリント基板を支持部に確実に、かつ、正確に取り付けることができる。
また、上記変位センサ装置において、フレキシブルプリント基板は2層の導体面を有し、コイルは第1層に、コイル及び電子部品への接続用電路が第2層に、それぞれ形成されるものであってもよい。
この場合、複層化により、小さい面積でも多くの回路等を構成することができ、コンパクトな基板を構成することができる。
この場合、複層化により、小さい面積でも多くの回路等を構成することができ、コンパクトな基板を構成することができる。
また、上記変位センサ装置において、フレキシブルプリント基板のスルーホールは、平面部にのみ設けられていることが好ましい。
この場合、スルーホールのある部分で曲げることは無くなるので、曲げによるスルーホールの破損を防止することができる。
この場合、スルーホールのある部分で曲げることは無くなるので、曲げによるスルーホールの破損を防止することができる。
また、上記変位センサ装置において、曲げ部分には、導電体のパターンで形成された接続用電路のみが設けられていることが好ましい。
この場合、接続用電路のみであれば曲げによる破損は生じにくい。
この場合、接続用電路のみであれば曲げによる破損は生じにくい。
また、上記変位センサ装置において、支持部は全体としてリング状であって、軸方向から見た形状は、外周側が円形、内周側が多角形であり、フレキシブルプリント基板は当該内周側に取り付けられるものであってもよい。
この場合、支持部の内周側に、平面を形成することができる。また、支持部の外周側はそのまま、例えば転がり軸受装置における外輪の内周面に嵌合させることができる。
この場合、支持部の内周側に、平面を形成することができる。また、支持部の外周側はそのまま、例えば転がり軸受装置における外輪の内周面に嵌合させることができる。
また、上記変位センサ装置において、支持部の中心軸から多角形の各辺までの距離は少なくとも2種類あり、コイルが設けられる平面部の辺までの距離よりも、電子部品が実装される平面部の辺までの距離の方が長いことが好ましい。
この場合、コイルは検出対象物にできるだけ接近させ、かつ、電子部品に関してはコイルの場合より長めの距離を確保して検出対象物との接触を防止することができる。
この場合、コイルは検出対象物にできるだけ接近させ、かつ、電子部品に関してはコイルの場合より長めの距離を確保して検出対象物との接触を防止することができる。
また、上記変位センサ装置において、支持部に取り付けられたフレキシブルプリント基板は、支持部の中心軸方向に見たとき、3/4周以上であるが1周には至らない開いたリング状であってもよい。
この場合、コイルを90度ごとに配置して、互いに直交する2方向のセンサを構成しつつ、無駄のない最も短いフレキシブルプリント基板とすることができる。
この場合、コイルを90度ごとに配置して、互いに直交する2方向のセンサを構成しつつ、無駄のない最も短いフレキシブルプリント基板とすることができる。
また、上記のいずれかの変位センサ装置を固定輪に取り付けて、回転輪の径方向への変位を検出する転がり軸受装置を提供することができる。
この場合、固定輪と可動輪との間の狭い径方向隙間に、変位センサ装置を設けることができる。
この場合、固定輪と可動輪との間の狭い径方向隙間に、変位センサ装置を設けることができる。
本発明の変位センサ装置によれば、軽量・コンパクトで簡素な構造であって、しかも、実装上の不具合が生じにくい信頼性の高い構造の変位センサ装置を提供することができる。また、このような変位センサ装置を備えた転がり軸受装置を提供することができる。
図1は、本発明の変位センサ装置に使用する平面コイルの原理を説明する図である。この平面コイル1は、(a)に示すように、フレキシブルプリント基板(FPC)2上に、導電部を渦巻状に形成して成るコイル3を設けたものである。このような平面コイル1は、例えば、銅やアルミニウム等の金属箔が貼着されたフレキシブルプリント基板からエッチングを行って、渦巻のパターンを残すことにより製作することができる。なお、コイル3の渦巻中心の端部は、例えばスルーホールで裏面へ導出することができる。コイル3は、渦巻のターン数(渦を巻いている回数)、コイルの断面積、コイルの長さ等に依存するインダクタンスLを有するが、ターン数は2乗で関与するため、最も支配的な要素である。従って、ターン数を確保することによって、所望のインダクタンスを得ることが可能である。
(b)は、平面コイル1を、変位の検出対象物4と近接対向させた状態を示す斜視図である。検出対象物4は金属製(例えば鉄系金属)であり、導電性を有する。コイル3のインダクタンスは、この検出対象物4によって影響を受ける。また、交流信号に対して、コイル3のパターンと検出対象物4との間に、パターン面積や相互間の距離に依存したキャパシタンスが現れる。従って、このような平面コイル1は、等価的に、(c)に示すような並列のLC回路となる。ここで、インダクタンスLやキャパシタンスCの値は、検出対象物4と平面コイル1とのギャップによって変化する。
上記ギャップが増大すると、交流信号に対するインダクタンスL及びキャパシタンスCが共に低下し、逆に、ギャップが減少すると、インダクタンスL及びキャパシタンスCが共に上昇する。従って、ギャップの変化により、LC回路の自己共振周波数f(=1/(2π(L・C)1/2))が変化する。
図2は、LC回路の周波数特性の一例を示すグラフである。周波数特性は、例えば自己共振周波数f1でピークとなる実線の曲線であるが、自己共振周波数が低下してf2になると、周波数特性は破線の曲線となる。この結果、LC回路に一定の発振周波数f0を供給している場合において、LC回路の出力(振幅)は、V1からV2に変化する。このようにして、ギャップの変化を出力の変化として検出することができる。
図2は、LC回路の周波数特性の一例を示すグラフである。周波数特性は、例えば自己共振周波数f1でピークとなる実線の曲線であるが、自己共振周波数が低下してf2になると、周波数特性は破線の曲線となる。この結果、LC回路に一定の発振周波数f0を供給している場合において、LC回路の出力(振幅)は、V1からV2に変化する。このようにして、ギャップの変化を出力の変化として検出することができる。
図3は、コイル3の巻き方の他の例(実用的な例)を示す斜視図である。この例では、フレキシブルプリント基板2の表裏両面に、コイル3が設けられ、スルーホールの導電路5を介して互いに接続されている。なお、図を見易くするために2つのコイル3を互いに上下に引き離して表しているが、実際には、薄いフレキシブルプリント基板2を挟んで背中合わせになっている。なお、フレキシブルプリント基板2を複数枚重ねて、導電体のパターンを設ける層を複層化することも可能である。
2つのコイル3は、同じ方向(例えば上方)から見ると互いに逆の渦巻であるが、電流という視点から見ると、同じ方向に巻いている。すなわち、仮に、上のコイル3の外側の巻端から電流が流れ込むとすると、電流は右巻きに渦の中心へ向かい、下のコイル3に抜けると、今度は、右巻きに渦の外側へ向かい、下のコイル3の外側の巻端に達する。従って、電流は常に右巻きに流れており、右巻きのターン数が累積される。電流が逆に流れるときは、電流は常に左巻きに流れ、左巻きのターン数が累積される。このようにして、厚さ方向には極めて薄い平面コイル1でありながら、コイル3は全体として多くのターン数を確保することができる。従って、所望のインダクタンスを容易に得ることができる。
次に、上記のような平面コイル1を複数個使用した基板形センサの原理的構成について説明する。
図4の(a)は、基板形センサ10の展開図である。この基板形センサ10においては、フレキシブルプリント基板2上に、4個のコイル3(総称符号)が2段に、合計8個設けられている。なお、図ではコイル3を簡略化して同心円のように描いているが、実際は、図1や図3に示したような渦巻である(以下、同様。)。
図4の(a)は、基板形センサ10の展開図である。この基板形センサ10においては、フレキシブルプリント基板2上に、4個のコイル3(総称符号)が2段に、合計8個設けられている。なお、図ではコイル3を簡略化して同心円のように描いているが、実際は、図1や図3に示したような渦巻である(以下、同様。)。
ここで、各コイル個別の符号は、後述の回転体の軸方向をY方向とした場合に、Y方向に直交し、かつ、互いに直交するX方向・Z方向に対応し、数字はY軸上の組番号、+、−はX,Z方向の組を表している。すなわち、変位を検出するためのコイルの組み合わせは、以下のようになる。
X方向変位:(X1+,X1−)、(X2+,X2−)
Z方向変位:(Z1+,Z1−)、(Z2+,Z2−)
各コイル3における2つの巻端(図示せず。)は、フレキシブルプリント基板2の表裏両面の導電路6を経て、端子電極部2aに導出されている。
X方向変位:(X1+,X1−)、(X2+,X2−)
Z方向変位:(Z1+,Z1−)、(Z2+,Z2−)
各コイル3における2つの巻端(図示せず。)は、フレキシブルプリント基板2の表裏両面の導電路6を経て、端子電極部2aに導出されている。
このような基板形センサ10を円筒状に丸めると、(b)に示すようになり、コイルX1+及びX1−、並びに、X2+及びX2−は、それぞれ、X方向に2個1組の存在となる。また、コイルZ1+及びZ1−、並びに、Z2+及びZ2−は、それぞれ、Z方向に2個1組の存在となる。また、上段側及び下段側の各4個のコイルは、周方向の位相90度ごとに配置されている。
図5は、丸めた状態のフレキシブルプリント基板2を支持し、かつ、その円筒形状を維持すべく、円筒状の支持部11の内周面上に取り付ける状態を示す斜視図である。内周面にフレキシブルプリント基板2を固定するには、例えば、耐熱樹脂接着剤を使用することができる。支持部11は、樹脂製であってもよいが、ここでは金属製とする。金属製の場合、機械的強度を容易に確保することができるので、樹脂製に比べて薄肉の支持部とすることができる。このことは、コンパクト化に寄与する。なお、支持部が金属製であっても、高周波信号(100kHz〜500kHz)でLC回路を駆動することにより、変位検出に影響がないことが確認された。
支持部11の内周面に固定されたフレキシブルプリント基板2の内側には、径方向の微小な隙間を確保して、検出対象物としての回転体12が挿入される。この回転体12とは例えば自動車の車軸である。その場合、支持部11は転がり軸受装置の固定輪に取り付けられ、可動輪に回転体(車軸)12が取り付けられている。そして、上記の隙間は、転がり軸受装置によって維持される。
図6の(a)は、支持部11の図示を省略して、フレキシブルプリント基板2の内側に回転体12が挿通されている状態の基板形センサ10を示す斜視図である。(b)は、これを回転体12の軸方向から見た図である。フレキシブルプリント基板2と回転体12の表面との間には径方向へのギャップがあり、このギャップの変化によって、前述のインダクタンスL,キャパシタンスCが変化する。従って、車輪に荷重が作用した際に発生する車軸の径方向の変位を、前述の出力の変化として検出することができる。
図7は、基板形センサ10のコイル3に信号処理回路17を接続した変位センサ装置20の回路構成の一例を示す回路図である。このような信号処理回路17(但し、発振回路13を除く。)は、フレキシブルプリント基板2に実装することが可能である。
各コイルは前述のように等価的にはLC回路であり、発振回路13から抵抗14を介して所定の発振周波数f0の交流信号が供給される。LC回路の出力はインピーダンス変換を行うバッファ回路(電圧フォロワ回路)15を経て、差動増幅回路16に入力される。
各コイルは前述のように等価的にはLC回路であり、発振回路13から抵抗14を介して所定の発振周波数f0の交流信号が供給される。LC回路の出力はインピーダンス変換を行うバッファ回路(電圧フォロワ回路)15を経て、差動増幅回路16に入力される。
差動増幅回路16は、対を成す2つのLC回路からの信号電圧の差をとることで信号の線形化を行い、かつ、増幅を行う。線形化によって、回転体12の径方向への変位を正確に検出することができる。すなわち、軸方向に直交する方向にコイルを2個1組で設け、出力の差をとることで、回転体12の径方向への変位を正確に検出することができる。差動増幅後の信号は、X方向の2出力(X1,X2)と、Z方向の2出力(Z1,Z2)として出力される。これらの4出力に基づいて、ECU(図示せず。)は車輪に作用する荷重を求める。また、同じ方向の2出力に基づいて、モーメント荷重を求めることができる。
以上の変位センサ装置20によれば、コイル3のインダクタンスを、フレキシブルプリント基板2上に形成された渦巻のターン数によって確保することができるので、コイルの厚さ寸法の増大を抑制することができる。
また、コイル3の導電部と回転体12との間にキャパシタンスが現れるので、別途、回路部品としてのコンデンサを用意することなく、LC回路を構成することができる。
また、1つの基板に必要数のコイル3を設けることができ、それによって、僅か1枚のフレキシブルプリント基板2に必要な機能を集約することができる。
また、コイル3の導電部と回転体12との間にキャパシタンスが現れるので、別途、回路部品としてのコンデンサを用意することなく、LC回路を構成することができる。
また、1つの基板に必要数のコイル3を設けることができ、それによって、僅か1枚のフレキシブルプリント基板2に必要な機能を集約することができる。
次に、転がり軸受装置の固定輪と可動輪との間に取り付けられる第1実施形態に係る変位センサ装置について説明する。
図8は、転がり軸受装置の一種であるハブユニットの断面図である。このハブユニット100は車両に取り付けられるものであり、取り付けた状態では、図8における右側が車両のアウター側(車両の外側)であり、左側が車両のインナー側(車両の内側)である。図8において、ハブユニット100の中心軸Cに沿った方向をY方向とし、これに直交する紙面に垂直な方向をX方向とし、Y方向及びX方向の双方に直交する鉛直方向をZ方向とする。従って、このハブユニット100が自動車に取り付けられた状態においてX方向は車輪の前後水平方向となり、Y方向は車輪の左右水平方向(軸方向)となり、Z方向は上下方向となる。
図8は、転がり軸受装置の一種であるハブユニットの断面図である。このハブユニット100は車両に取り付けられるものであり、取り付けた状態では、図8における右側が車両のアウター側(車両の外側)であり、左側が車両のインナー側(車両の内側)である。図8において、ハブユニット100の中心軸Cに沿った方向をY方向とし、これに直交する紙面に垂直な方向をX方向とし、Y方向及びX方向の双方に直交する鉛直方向をZ方向とする。従って、このハブユニット100が自動車に取り付けられた状態においてX方向は車輪の前後水平方向となり、Y方向は車輪の左右水平方向(軸方向)となり、Z方向は上下方向となる。
このハブユニット100は、主たる構造部分として、外輪101、内軸102、内輪部材103、ナット104、及び、転動体105を備えている。外輪101は、筒状部101aと、この筒状部101aの一部の外周面から径方向外方へ伸びたフランジ部101bとを有している。このフランジ部101bは、車体側の固定部材(図示せず。)に固定され、これによってハブユニット100が車体に固定される。内軸102は、外輪101内に挿通される主軸部102aと、車両アウター側にあって径方向外方へ延びるフランジ部102bとを有している。このフランジ部102bが、車輪のホイールやブレーキディスクの取付部となる。なお、主軸部102aは、前述の回転体12(図5,図6)に相当する部分である。
内軸102の車両インナー側には、筒状の内輪部材103が外嵌され、さらに、内軸102の端部に形成された雄ねじ部102dにナット104が螺着されることにより、内輪部材103が内軸102に固定されている。転動体105は、周方向に複数個配置された玉からなる複列の構成となっている。各列の玉は保持器(図示せず。)によって周方向に所定間隔で保持されている。
このハブユニット100において、外輪101は、車体側の固定部材に固定される固定軌道輪である。また、内軸102と内輪部材103とは、外輪101に転動体105を介して回転自在に支持された回転軌道輪である。外輪101、内軸102及び内輪部材103は、互いに同軸(中心軸C)に配置されている。
このハブユニット100において、外輪101は、車体側の固定部材に固定される固定軌道輪である。また、内軸102と内輪部材103とは、外輪101に転動体105を介して回転自在に支持された回転軌道輪である。外輪101、内軸102及び内輪部材103は、互いに同軸(中心軸C)に配置されている。
このように構成されたハブユニット100においては、外輪101の内周面上に取り付けられた変位センサ装置20により、検出対象物である内軸102(主軸部102a)の変位を非接触で検出することができる。この場合、固定輪たる外輪101と、可動輪たる主軸部102aとの間の狭い径方向隙間に、変位センサ装置20を設けることができる。
図9は、変位センサ装置20の正面図である。当該変位センサ装置20は、外輪101の内周面に嵌め込まれることで固定され、主軸部102aを非接触で取り囲んでいる。
図10は、変位センサ装置20の斜視図である。また、図11の(a)は、変位センサ装置20の分解斜視図である。図11の(a)において、変位センサ装置20は、支持部21と、基板部22とによって構成されている。支持部21は、全体としてリング状であり、その軸方向から見た形状は、外周側は外輪101(図8,図9)の内周面に嵌合させるための円形(円筒面)、内周側は、基板部22を支持するための多角形となっている。すなわち、支持部21の内周面は平面の集合体で構成されている。このようにして、支持部21の内周側に、平面を形成することができる。また、支持部21の外周側はそのまま、例えば転がり軸受装置における外輪の内周面に嵌合させることができる。
図10は、変位センサ装置20の斜視図である。また、図11の(a)は、変位センサ装置20の分解斜視図である。図11の(a)において、変位センサ装置20は、支持部21と、基板部22とによって構成されている。支持部21は、全体としてリング状であり、その軸方向から見た形状は、外周側は外輪101(図8,図9)の内周面に嵌合させるための円形(円筒面)、内周側は、基板部22を支持するための多角形となっている。すなわち、支持部21の内周面は平面の集合体で構成されている。このようにして、支持部21の内周側に、平面を形成することができる。また、支持部21の外周側はそのまま、例えば転がり軸受装置における外輪の内周面に嵌合させることができる。
また、支持部21の軸方向端面には基板部22を係合させ、かつ、位置決めするための凹凸が形成されており、凹部に着目すると、周方向の90度ごとにそれぞれ、凹部21aと、凹部21bとが形成されている。これらの凹部21a,21bは、軸方向反対側の端面にも形成されているが、ここでは、図示を省略している。なお、凹部21aが形成されている所の内周面は、1つの平面部21cであり、凹部21bが形成されている所の内周面は、2つの平面部21d又は3つの平面部21eとなっている。
一方、基板部22は、1枚の細長いフレキシブルプリント基板23(ポリイミド製)と、その背面(外周側)に、接着剤によって貼り付けられた複数の補強部材24〜27とによって構成されている。補強部材24〜27は金属板を「コ」の字状に形成したもので、材質としては、例えば、SUS304L等のばね材が使用される。SUS304Lは、加工後も非磁性であり、線膨張係数がポリイミドに近い点において好ましい。背面に補強部材24〜27が貼り付けられた箇所は平面部23a,23b,23c,23dとなり、これら複数の平面部は、曲げ部分23eを介して1本の連続したベルト状の立体形状を成している。平面部23aは、コイルが設けられる部分であり(詳細後述)、検出対象物たる主軸部102a(図8,図9)に対して径方向に対向する。
基板部22の全長は支持部21の内周より短く、当該内周の3/4周以上であるが、1周には満たない。この場合、コイルを90度ごとに配置して、互いに直交する2方向のセンサを構成しつつ、無駄のない最も短いフレキシブルプリント基板とすることができる。
基板部22の全長は支持部21の内周より短く、当該内周の3/4周以上であるが、1周には満たない。この場合、コイルを90度ごとに配置して、互いに直交する2方向のセンサを構成しつつ、無駄のない最も短いフレキシブルプリント基板とすることができる。
上記補強部材24は、支持部21の平面部21c及び凹部21aに密着して取り付けられる。補強部材25は、支持部21の平面部21d及び凹部21bに密着して取り付けられる。また、補強部材26,27はそれぞれ、支持部21の平面部21e及び凹部21bに密着して取り付けられる。このようにして基板部22が支持部21に取り付けられる(図9,図10)。
図9において、支持部21の中心軸から多角形の各辺までの距離は少なくとも2種類あり、この例では、L1,L2,L3の3種類である。コイルが設けられる平面部23aを支持する平面部21cまでの距離L1よりも、電子部品が実装される平面部23b,23c,23dを支持する平面部21d,21eの辺までの距離L2,L3の方が長い。これにより、コイルは検出対象物にできるだけ接近させ、かつ、電子部品に関してはコイルの場合より長めの距離を確保して検出対象物との接触を防止することができる。
図11の(b)は、例えば(a)におけるB−B線断面における、補強部材24等と支持部21との係合状態を示す断面図である。(b)に示すように、凹部21aが形成される箇所での支持部21の上下寸法が、内周側から外周側に向かって小さくなるようにし、補強部材24もそれに合わせた形状とすれば、支持部21に取り付けた後、補強部材24は、支持部21によって安定的に支持され、自然には外れないようにすることができる。他の補強部材25,26,27についても同様である。
図12は、平面に展開した状態での基板部22と、これに搭載されるコイルその他電子部品の回路図との対応関係を示す図である。図において、フレキシブルプリント基板23の中央には、外部との接続のための端子電極部23tが設けられている(図9〜11では省略している。)。フレキシブルプリント基板23は複層化されており、少なくとも表裏の2層に所望の回路パターンを構成することができる。
図12において、フレキシブルプリント基板23の4箇所の平面部23aには、図4の要領で、8個のコイル3(X1+,Z1+,X1−,Z1−,X2+,Z2+,X2−,Z2−)が設けられている。コイル3は、例えば、図の表面側(紙面側)の第1層に設けられている。
図12において、フレキシブルプリント基板23の4箇所の平面部23aには、図4の要領で、8個のコイル3(X1+,Z1+,X1−,Z1−,X2+,Z2+,X2−,Z2−)が設けられている。コイル3は、例えば、図の表面側(紙面側)の第1層に設けられている。
抵抗14及びバッファ回路15(オペアンプ)は、4箇所の平面部23b,23dに設けられている。また、4つの差動増幅回路16(オペアンプ)は、平面部23cに集約して設けられている。これらの電子部品は、絶縁物としてのフレキシブルプリント基板23上に実装されている。実装された電子部品同士や、これらをコイル3と繋ぐ接続用電路は、主として裏面側の第2層に設けられる。コイル3の2つの巻端は、スルーホール(図示せず。)を通って第2層に導出されている。また、その他のスルーホールも含めて、全てのスルーホールは平面部23a,23b,23c,23dのいずれかに設けられている。曲げ部分23eには電子部品やスルーホールは一切設けられず、接続用電路のみが設けられている。なお、第1層、第2層の表面には絶縁コーティングが施される。
このような複層化により、小さい面積でも多くの回路等を構成することができ、コンパクトな基板を構成することができる。また、スルーホールのある部分で曲げることは無くなることにより、曲げによるスルーホールの破損を防止することができる。一方、曲げ部分23eにあるのは接続用電路のみであり、これらのみであれば曲げによる破損は生じにくい。
上記のように構成された変位センサ装置20においては、フレキシブルプリント基板23に渦巻状のコイル3や電子部品を設けることにより、センサ部分の柔軟性と薄さとを実現する。また、平面部23a〜23dを設けて、そこにコイル3や電子部品を設けることで、曲げによる電子部品の脱落やスルーホールの破損を防止する。基本的な組立構造は、補強部材付きのフレキシブルプリント基板2を支持部11によって支持するだけであるので、簡素な構造となる。こうして、軽量・コンパクトで簡素な構造であって、しかも、実装上の不具合が生じにくい信頼性の高い構造の変位センサ装置20を提供することができる。
また、平面部23a〜23eと背中合わせに補強部材24〜27が取り付けられ、当該補強部材が支持部21の対応箇所に係合する構成により、予め、フレキシブルプリント基板23に補強部材24〜27を取り付けることができ、例えば、両者をプレスしながら接着固定することが容易になる。すなわち、フレキシブルプリント基板23を支持部21に直接取り付けるよりも組立が容易である。また、補強部材24〜27により平面部23a〜23eの平面性が確保され、かつ、支持部21との係合も実現されるので、構成の信頼性も高い。
次に、第2実施形態に係る変位センサ装置について説明する。図13の(a)は、第2実施形態に係る変位センサ装置20の支持部21の正面図であり、(b)は支持部21に基板部22を装着した状態の変位センサ装置20の正面図である。第1実施形態の変位センサ装置20(図11)との違いは、支持部21の4つの平面部21dがそれぞれ、2(又は3)面構成でなく、1面構成となっている点である。また、基板部22には、フレキシブルプリント基板23に補強部材24及びクリップ28が設けられている。なお、図13の(b)における真上(12時の位置)を0度として右回りに角度をとるとすると、0度、90度、180度、270度では、フレキシブルプリント基板23と主軸部102aとの隙間が相対的に小さく、逆に、135度、225度、315度では隙間が相対的に大きい。
図14の(b)は、図13の(b)におけるB部の部分拡大図であり、図14の(a)は(b)の平面図(径方向内方から見た図)である。図14において、フレキシブルプリント基板23の、例えばコイル3が設けられている平面部23aの裏側には背中合わせに補強部材24が貼り付けられている。この補強部材24は、平板状であり、幅((a)における図の上下寸法)が、フレキシブルプリント基板23の幅より若干広いことにより、フレキシブルプリント基板23より少しはみ出ている。クリップ28は、補強部材24とは別部材であり、支持部21の凹部21aに係合する一対((b)における手前及び奥)の係合部28a、補強部材24を係合させる一対の凹部28b及び、フレキシブルプリント基板23を押さえる一対の押さえ部28cを有している。
図15は、上記のような構成の基板部22を、支持部21に取り付ける状態を示す斜視図である。フレキシブルプリント基板23と貼り合わせられた補強部材24は、クリップ28に係合して固定され、また、フレキシブルプリント基板23は、クリップ28の押さえ部28aによっても、保持される。そして、この状態でのクリップ28が、支持部21の平面部21c及び凹部21aに密着するよう嵌め込まれ、基板部22は支持部21に係合して支持される。
図16は、平面に展開した状態での基板部22と、これに搭載されるコイルその他電子部品の回路図との対応関係を示す図である。回路図に関しては、第1実施形態(図12)と同様である。コイル以外の電子部品が設けられる平面部23b,23cには、補強部材24及びクリップ28が同様に設けられている。このような基板部22は、クリップ28や補強部材24の無い曲げ部23eのみで曲がり、コイル3、スルーホール(図示せず。)、電子部品が設けられるのは全て平面部23a、23bである。
第2実施形態の変位センサ装置20の構成によれば、第1実施形態と同様な作用効果の他、補強部材24の形状(平板状)が単純なため、フレキシブルプリント基板23との接着固定が容易で、接着固定作業も容易であるという利点がある。また、クリップ28は、補強部材24のみではなく、フレキシブルプリント基板23にも係合するので、接着固定にのみ依存せず、機械的な拘束により、フレキシブルプリント基板23を支持部21に確実に、かつ、正確に取り付けることができる。
なお、上記各実施形態に係る変位センサ装置20は、外輪101の内周面に取り付けられるものとしたが、内周面に限らず、回転体が外周側にある場合には、支持部の外周面に取り付けることも可能である。
2 フレキシブルプリント基板
3 コイル
11 支持部
12 回転体(検出対象物)
14 抵抗
15 バッファ回路
16 差動増幅回路
17 信号処理回路
20 変位センサ装置
21 支持部
23 フレキシブルプリント基板
24〜27 補強部材
28 クリップ
100 ハブユニット(転がり軸受装置)
102a 主軸部(検出対象物)
3 コイル
11 支持部
12 回転体(検出対象物)
14 抵抗
15 バッファ回路
16 差動増幅回路
17 信号処理回路
20 変位センサ装置
21 支持部
23 フレキシブルプリント基板
24〜27 補強部材
28 クリップ
100 ハブユニット(転がり軸受装置)
102a 主軸部(検出対象物)
Claims (10)
- 検出対象物の変位を非接触で検出する変位センサ装置であって、
前記検出対象物に対向する複数の平面部が、曲げ部分を介して連続したベルト状の立体形状を成すフレキシブルプリント基板と、
前記フレキシブルプリント基板を支持し、かつ、前記立体形状を維持する支持部と、
前記平面部において導電部を渦巻状に形成して成り、渦巻面が前記検出対象物と対向するコイルと、
前記変位を検出するために前記平面部上に実装された電子部品と
を備えたことを特徴とする変位センサ装置。 - 前記平面部と背中合わせに補強部材が取り付けられ、当該補強部材が前記支持部の対応箇所に係合する請求項1記載の変位センサ装置。
- 前記平面部と背中合わせに取り付けられた平板状の補強部材と、
前記補強部材及び前記フレキシブルプリント基板と係合してこれらを支持する部材であって、前記支持部の対応箇所に係合するクリップと
を備えた請求項1記載の変位センサ装置。 - 前記フレキシブルプリント基板は2層の導体面を有し、前記コイルは第1層に、前記コイル及び電子部品への接続用電路が第2層に、それぞれ形成される請求項1〜3のいずれか1項に記載の変位センサ装置。
- 前記フレキシブルプリント基板のスルーホールは、前記平面部にのみ設けられている請求項1〜4のいずれか1項に記載の変位センサ装置。
- 前記曲げ部分には、導電体のパターンで形成された接続用電路のみが設けられている請求項1〜5のいずれか1項に記載の変位センサ装置。
- 前記支持部は全体としてリング状であって、軸方向から見た形状は、外周側が円形、内周側が多角形であり、前記フレキシブルプリント基板は当該内周側に取り付けられる請求項1〜6のいずれか1項に記載の変位センサ装置。
- 前記支持部の中心軸から前記多角形の各辺までの距離は少なくとも2種類あり、前記コイルが設けられる平面部の辺までの距離よりも、前記電子部品が実装される平面部の辺までの距離の方が長い請求項7記載の変位センサ装置。
- 前記支持部に取り付けられたフレキシブルプリント基板は、前記支持部の中心軸方向に見たとき、3/4周以上であるが1周には至らない開いたリング状である請求項1〜7のいずれか1項に記載の変位センサ装置。
- 請求項1〜9のいずれか1項に記載の変位センサ装置を固定輪に取り付けて、回転輪の径方向への変位を検出する転がり軸受装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2008302207A JP2010127744A (ja) | 2008-11-27 | 2008-11-27 | 変位センサ装置及び転がり軸受装置 |
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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-
2008
- 2008-11-27 JP JP2008302207A patent/JP2010127744A/ja active Pending
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