JP2011137261A - 多層抄き板紙 - Google Patents

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Abstract

【課題】高い圧縮強度、破裂強度及び層間強度を発揮しつつ、緩衝性及び滑り防止性に優れる多層抄き板紙の提供。
【解決手段】天然繊維を主原料とし、少なくとも表層3、熱発泡粒子を含有する中間層2及び裏層4を備える多層抄き板紙1であって、中間層2への上記熱発泡粒子の凝集塊の存在により表層3及び裏層4の外面に凸部5を有しており、この凸部5の平均高さが40μm以上100μm以下であり、熱発泡粒子の凝集塊が予め水溶液中に分散させた熱発泡粒子に、カチオン性凝結剤とカチオン性凝集剤とをその順で添加して形成されることを特徴とする多層抄き板紙1である。上記表層の坪量が25g/m以上80g/m以下であり、中間層の坪量が25g/m以上80g/m以下であるとよい。また、上記中間層における天然繊維が広葉樹クラフトパルプを70質量%以上含有するとよい。
【選択図】図1

Description

本発明は、高い圧縮強度、破裂強度及び層間強度を発揮しつつ、緩衝性に優れる多層抄き板紙に関するものである。
食品や家電製品等の商品を梱包して輸送する場合、梱包内での商品の衝撃等を緩和させるため、一般的に、発泡スチロールや板紙が使用されている。中でも、板紙は、燃焼カロリーが低い、有害物質の発生が少ない等の理由から、梱包商品の保護材として広く使用されており、特に、発泡板紙が好適に使用されている。
この発泡板紙は、熱により発泡する熱発泡粒子を含有するものであり、この熱発泡粒子が発泡することで、発泡板紙は、緩衝性等を発揮することができる。このような発泡板紙としては、例えば、紙用パルプを主材とした製紙用原料に、発泡性マイクロカプセルを配合して抄紙した水分50〜60重量%の紙匹に、主として発泡性マイクロカプセルとゴムラテックス及び/又は合成樹脂エマルジョンからなる含浸液を湿式含浸法により製紙用原料に対して5〜40重量%含浸し、次いで加熱することによって発泡性マイクロカプセルを発泡させることを特徴とする低密度紙の製造方法が開示されている(特開平8−226097号公報)。この製造方法により製造される低密度紙は、断熱材やクッション材、鞄等の芯材等に好適に使用できるとされている。
しかしながら、上記従来の発泡板紙は、(a)発泡した発泡性マイクロカプセルが繊維間の結合を阻害することで圧縮強度や破裂強度が低下する、(b)層間強度(剥離強度)が低く、紙の層間剥離による剥がれが発生し易い等の不都合を有する。
つまり、上記(a)及び(b)の不都合を全て解消し、良好な圧縮強度、破裂強度及び層間強度を発揮しつつ、かつ、緩衝性に優れる発泡板紙は、現在提供されていない。
特開平8−226097号公報
本発明は、これらの不都合に鑑みてなされたものであり、高い圧縮強度、破裂強度及び層間強度を発揮することができると共に、優れた緩衝性をも発揮することができる多層抄き板紙の提供を目的とするものである。
上記課題を解決するためになされた発明は、
天然繊維を主原料とし、少なくとも表層、熱発泡粒子を含有する中間層及び裏層を備える多層抄き板紙であって、
上記中間層への上記熱発泡粒子の凝集塊の存在により、表層及び裏層のうち少なくとも表層の外面に凸部を有しており、
この凸部の平均高さが40μm以上100μm以下であり、
上記熱発泡粒子の凝集塊が、予め水溶液中に分散させた上記熱発泡粒子に、カチオン性凝結剤とカチオン性凝集剤とを添加して形成されることを特徴とする。
当該多層抄き板紙は、少なくとも表層、中間層及び裏層を備える多層構造を有し、この中間層に熱発泡粒子の凝集塊が存在することで、抄紙工程のドライヤーパートにおける加熱下において熱発泡粒子が膨張し、その結果、当該多層抄き板紙の表層及び裏層のうち少なくとも表層の外面には凸部が複数かつランダムに形成されるため、高い緩衝性を発揮する。例えば当該多層抄き板紙の外面が商品と接触する場合において、外面に複数かつランダムに存在する上記凸部が商品からの物理的衝撃をバランス良く分散・吸収し、商品の摩耗や破損を効果的に防止又は低減することができる。また、上記凸部の平均高さが上記範囲であることで、上記凸部が発揮する上述の衝撃の分散・吸収効果を最大限に発揮することができる。さらに、かかる熱発泡粒子の凝集塊が、予め水溶液中に分散させた上記熱発泡粒子に、カチオン性凝結剤とカチオン性凝集剤とを添加して形成されるものであることで、当該多層抄き板紙外面における上記凸部の形成を一層確実かつ効率的にすることができる。
上記表層の坪量としては、25g/m以上80g/m以下が好ましい。上記表層の坪量を上記範囲とすることで、当該多層抄き板紙は、中間層の剥離を効果的に防止しつつ高い緩衝性を発揮すると共に、中間層における熱発泡粒子の膨張により外面に上記凸部を効率よく形成させることができる。また、上記中間層の坪量としては、25g/m以上80g/m以下が好ましい。上記中間層の坪量を上記範囲とすることで、当該多層抄き板紙は、熱発泡粒子の膨張を阻害することなく、また、高い圧縮強度及び破裂強度を維持しつつ軽量性を発揮することができ、さらには高い緩衝性をも発揮することができる。
上記中間層における天然繊維は、広葉樹クラフトパルプを70質量%以上含有するとよい。このように、上記中間層を構成する天然パルプが広葉樹クラフトパルプを70質量%以上含有することで、中間層を構成する繊維間隔が密になり、その結果、当該多層抄き板紙の緩衝性を向上させ、さらには当該多層抄き板紙の外面に上記凸部を容易に形成することができるようになる。
上記中間層における熱発泡粒子の天然繊維に対する含有量としては、固形分換算で1質量%以上15質量%以下が好ましい。上記中間層における発泡粒子の天然繊維に対する含有量を上記範囲とすることで、中間層における発泡がより均一なものとなり、多層抄き板紙の軽量性、緩衝性を向上させることができる。
ここで、「カチオン性凝結剤」とは、平均分子量が例えば100万〜300万のように低分子量であるものを意味する。「カチオン性凝集剤」とは、平均分子量が例えば800万〜1200万のように高分子量であるものを意味する。「坪量」は、JIS−P8124(坪量測定方法)に準拠した値を意味する。
以上説明したように、本発明の多層抄き板紙は、高い圧縮強度、破裂強度及び層間強度をバランス良く発揮することができると共に、優れた緩衝性をも発揮することができることから、例えば商品梱包の場面で、梱包された商品の破損や傷付けを防止するための保護シートへの用途が可能となる。
本発明の一実施形態に係る多層抄き板紙を示す模式的断面図である。 図1の多層抄き板紙とは異なる実施形態に係る多層抄き板紙を示す模式的断面図である。
以下、適宜図面を参照しつつ本発明の実施の形態を詳細する。
(多層抄き板紙)
図1の多層抄き板紙1は、中間層2、表層3及び裏層4を備えている。この表層3の外面には、複数の凸部5がランダムに存在する。
(中間層)
中間層2は、表層3及び裏層4に挟着される層状の構造体である。この中間層2は、天然繊維を主原料とするものであり、また、副原料として熱可塑性合成繊維及び/又は非熱可塑性化学繊維を含有することができる。以下、中間層2の構成要素を順に詳説する。
(天然繊維)
中間層2の主原料として天然繊維を採用することで、多層抄き板紙1に対して圧縮強度及び破裂強度と緩衝性とをバランス良く付与すると共に、産業廃棄物の減量を達成することもできる。
上記天然繊維の種類としては、特に限定されず、例えば古紙パルプ、化学パルプ、機械パルプ、サイザル麻、マニラ麻、サトウキビ、コットン、シルク、竹、ケナフ等が挙げられる。中でも、後述する通り、広葉樹クラフトパルプが好ましい。
古紙パルプとしては、例えば段ボール古紙、茶古紙、クラフト封筒古紙、雑誌古紙、新聞古紙、チラシ古紙、オフィス古紙、上白古紙、ケント古紙、構造古紙、地券古紙等から製造される離解古紙パルプ、離解・脱墨古紙パルプ、脱墨・漂白古紙パルプ等が挙げられる。
化学パルプとしては、例えば広葉樹晒クラフトパルプ(LBKP)、針葉樹晒クラフトパルプ(NBKP)、広葉樹未晒クラフトパルプ(LUKP)、針葉樹未晒クラフトパルプ(NUKP)、広葉樹半晒クラフトパルプ(LSBKP)、針葉樹半晒クラフトパルプ(NSBKP)、広葉樹亜硫酸パルプ、針葉樹亜硫酸パルプ等が挙げられる。
機械パルプとしては、例えばストーングランドパルプ(SGP)、加圧ストーングランドパルプ(PGW)、リファイナーグランドパルプ(RGP)、ケミグランドパルプ(CGP)、サーモグランドパルプ(TGP)、グランドパルプ(GP)、サーモメカニカルパルプ(TMP)、ケミサーモメカニカルパルプ(CTMP)、リファイナーメカニカルパルプ(RMP)等が挙げられる。
中間層2における上記天然繊維の含有量は、65質量%以上が好ましく、100質量%がより好ましい。このように天然繊維の含有量を上記範囲とすることにより、多層抄き板紙1の軽量性を向上させつつ、良好な圧縮強度及び破裂強度を確実に発揮させることができる。なお、この天然繊維の含有量が65質量%未満であると、コスト高となり経済的でないため好ましくない。
上記中間層2を構成する天然繊維が広葉樹クラフトパルプを70質量%以上含有することが好ましく、100質量%含有することがより好ましい。このように、中間層2を構成する天然繊維が広葉樹クラフトパルプを70質量%以上含有することで、中間層2を構成する繊維間隔が密になり、多層抄き板紙1の緩衝性を向上させると共に、表層3の外面に凸部5を形成し易くさせることができる。
なお、かかる中間層2が古紙パルプ100質量%から構成される場合であっても、後述する熱発泡粒子の膨張に影響を与えることなく、多層抄き板紙1の層間強度を維持することができる。
(熱可塑性合成繊維)
中間層2は、副原料として熱可塑性合成繊維を含有することができる。この熱可塑性合成繊維は、多層抄き板紙1の抄紙工程におけるドライヤーパートにおいて溶融しつつ天然繊維間に浸透し、その後冷却して固化することから、多層抄き板紙1に対して高い圧縮強度及び破裂強度を付与すると共に、層間強度を向上させることができる。
上記熱可塑性合成繊維の種類としては、特に限定されないが、例えばポリエチレン、ポリプロピレン、共重合ポリプロピレンなどのポリオレフィン系繊維;ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリプロピレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、共重合ポリエステルなどのポリエステル系繊維;ナイロン−4、ナイロン−6、ナイロン−46、ナイロン−66、共重合ナイロンなどのポリアミド系繊維;ポリ乳酸、ポリブチレンサクシネート、ポリエチレンサクシネートなどの生分解性繊維等が挙げられる。中でも、後述する熱発泡粒子との接着性や天然繊維との良好な接着性を発揮しつつ、熱発泡粒子の膨張に影響を与え難いポリエチレンテレフタレートを採用することが好ましい。
中間層2における熱可塑性合成繊維の含有量の上限としては、15質量%が好ましく、10質量%がより好ましい。また、熱可塑性合成繊維の含有量の下限としては、2質量%が好ましく、4質量%がより好ましい。このように熱可塑性合成繊維の含有量を上記範囲とすることで、抄紙工程におけるドライヤーパートの加熱下で溶融した熱可塑性合成繊維が天然繊維の繊維間へ効率よく浸透し、多層抄き板紙1に対して、良好な圧縮強度及び破裂強度を付与しつつ、層間強度を効果的に向上させることができる。なお、この熱可塑性合成繊維の含有量が上記上限を超えると、天然繊維配合量が減少し、多層抄き板紙1の緩衝性が低下する可能性があるため好ましくない。また、この熱可塑性合成繊維の含有量が上記下限未満であると、中間層2の天然繊維同士の接着効果が低下し、その結果、多層抄き板紙1が破裂しやすくなり、また層間強度が低下するため好ましくない。
(非熱可塑性化学繊維)
中間層2は、副原料として非熱可塑性化学繊維を含有することができる。この非熱可塑性化学繊維は、熱可塑性樹脂に似た特性を有するが、融点が熱分解温度以下の温度で存在しない化学繊維であり、多層抄き板紙1の抄紙工程のドライヤーパートにおける加熱下でも溶融せず、天然繊維の繊維間の水素結合を部分的に阻害するものである。その結果、非熱可塑性化学繊維を含有することで、多層抄き板紙1に対して高い圧縮強度及び破裂強度を付与すると共に、中間層2の天然繊維の繊維間に連続した空隙を形成させ、その結果、多層抄き板紙1の軽量化を実現しつつ、良好な緩衝性を付与することができる。
上記非熱可塑性化学繊維の種類としては、特に限定されないが、例えばビニロン繊維、アクリル繊維、アラミド繊維、再生セルロース繊維(レーヨン繊維など)等が挙げられる。中でも、繊維方向と垂直な断面の形状が略円形であるビニロン繊維が、多層抄き板紙1に対して高い緩衝性を付与しつつ、後述する熱発泡粒子の中間層2からの脱落を防止又は低減することができるため好ましい。
中間層2における非熱可塑性化学繊維の含有量の上限としては20質量%が好ましく、15質量%がより好ましい。また、非熱可塑性化学繊維の含有量の下限としては、2質量%が好ましく、8質量%がより好ましい。このように非熱可塑性化学繊維の含有量を上記範囲とすることで、多層抄き板紙1は、中間層2からの熱発泡粒子の脱落を発生させることなく良好な緩衝性を発揮することができる。なお、かかる非熱可塑性化学繊維の含有量が上記上限を超えると、天然繊維配合量が減少し、多層抄き板紙1の緩衝性が低下する可能性があるため好ましくない。また、非熱可塑性化学繊維の含有量が上記下限未満であると、天然繊維の繊維長が非熱可塑性化学繊維に比べて短いため、繊維同士の絡みが少なくなり、多層抄き板紙1の圧縮強度及び破裂強度が低下する傾向があるため好ましくない。
(熱発泡粒子)
中間層2は、熱発泡粒子(図示せず)を含有する。この熱発泡粒子は、熱可塑性の重合体から形成される微小なカプセルに発泡剤を封入したものである。かかる熱発泡粒子は、多層抄き板紙1の抄紙工程のドライヤーパートにおける加熱下において、熱発泡粒子に封入されている発泡剤が気化することで蒸気圧が上昇し、熱可塑性の重合体から形成される微小なカプセルが膨張する。このように、熱発泡粒子がドライヤーパートの加熱下で膨張することで、この膨張した熱発泡粒子が中間層2の天然繊維を押し上げて繊維間隔を拡張させ、次いで、中間層2に挟着する表層3及び裏層4を構成する繊維をも間接的に押し上げ、その結果、表層3の外面に、後述する凸部5を形成させる。
上記熱発泡粒子を構成する熱可塑性の重合体の種類としては、特に限定されず、例えば塩化ビニリデン系共重合体、アクリロニトリル系共重合体、アクリル系共重合体等が挙げられる。中でも、熱可塑性重合体の熱安定性の観点から、ニトリル系単量体と(メタ)アクリル酸エステル系単量体を主成分としたアクリル系共重合体を用いることが特に好ましい。
上記発泡剤の種類としては、特に限定されないが、熱発泡粒子を構成する熱可塑性重合体の軟化温度以下の温度の沸点を有する液体を用いるとよく、例えばプロパン、シクロプロパン、ブタン、シクロブタン、イソブタン、ペンタン、ネオペンタン、シクロペンタン、イソペンタン、ヘキサン、シクロヘキサン、2−メチルペンタン、2,2−ジメチルブタン、ヘプタン、シクロヘプタン、オクタン、シクロオクタン、メチルヘプタン類、トリメチルペンタン類、ハイドロフルオロエーテル類が挙げられる。なお、これらの発泡剤を1種又は2種以上併用して用いることもできる。
上記熱発泡粒子の発泡開始温度は、一般的に抄紙工程のドライヤーパートの温度が130℃程度であることから、90℃以上140℃以下であることが好ましい。この熱発泡粒子の発泡開始温度が上記下限未満であると、ドライヤーパートにおける乾燥により熱発泡粒子を発泡させた場合、発泡し膨張した粒子が再び収縮し、表層3の外面に凸部5を形成することが困難となるため好ましくない。
上記熱発泡粒子の粒子径としては、5μm以上20μm以下が好ましい。この熱発泡粒子の粒子径を上記範囲とすることで、表層3の外面に凸部5を効果的かつランダムに形成させると共に、中間層2からの熱発泡粒子の脱落をより一層防止又は低減することができる。なお、この熱発泡粒子の粒子径が上記下限未満であると、中間層2の厚みを十分に確保することができず、多層抄き板紙1の緩衝性が低下する傾向があるため好ましくない。また、この熱発泡粒子の粒子径が上記上限を超えると、膨張した熱発泡粒子のサイズが過度に大きくなり、中間層2の繊維間隔を押し広げ、中間層2から熱発泡粒子が脱落しやすくなるため好ましくない。
なお、中間層2の素材として熱可塑性合成繊維を含有させる場合、上記熱発泡粒子の発泡開始温度は、熱可塑性合成繊維の融点以下であるとよい。具体的には、抄紙工程のドライヤーパートにおいて加熱温度を徐々に上昇させると、熱可塑性合成繊維より先に熱発泡粒子が膨張を開始し、次いで、熱可塑性合成繊維が融解を開始する。その結果、熱発泡粒子の膨張開始より先に熱可塑性合成繊維が融解することを防ぎ、融解した熱可塑性合成繊維による熱発泡粒子の膨張阻害を効果的に防止することができる。
中間層2における熱発泡粒子の天然繊維に対する含有量の上限としては、固形分換算で15質量%が好ましく、7質量%がより好ましい。また、この熱発泡粒子の含有量の下限としては、固形分換算で1質量%が好ましく、2.1質量%がより好ましい。このように熱発泡粒子の含有量を上記範囲とすることで、中間層2における発泡をより均一なものとすることができ、その結果、多層抄き板紙1の軽量性及び緩衝性を向上させることができる。なお、この熱発泡粒子の含有量が上記下限未満であると、熱発泡粒子の凝集塊が発泡した状態であっても熱発泡粒子間の距離が遠くなり、その結果、多層抄き板紙1の緩衝性が低下するため好ましくない。また、この熱発泡粒子の含有量が上記上限を超えると、中間層2の繊維素材同士の絡みが少なくなり強度が低下すると共に、熱発泡粒子が中間層2から脱落する可能性があるため好ましくない。また、中間層2の素材として上述の熱可塑性合成繊維及び/又は非熱可塑性化学繊維を含有させた場合でも、この熱発泡粒子の含有量が上記上限を超えると、多層抄き板紙1の層間強度が著しく低下し、層間剥離が発生し易くなるため好ましくない。
中間層2への熱発泡粒子の凝集塊の存在により、表層3の外面には凸部5が形成される。具体的には、上記熱発泡粒子が凝集塊を形成し、この凝集塊が中間層2において存在することで、表層3の外面に複数の凸部5がランダムに形成される。
(凝結剤及び凝集剤)
上記熱発泡粒子の凝集塊は、予め水溶液中に分散させた上記熱発泡粒子に、カチオン性凝結剤とカチオン性凝集剤とを添加して形成される。上記熱発泡粒子は、イオン性がアニオン性であることから、中間層2内部に保持され難い傾向を有するが、このようなカチオン性凝結剤及びカチオン性凝集剤を用いて、予め熱発泡粒子を凝集させた熱発泡粒子懸濁液を原料スラリーに混合することで、多層抄き板紙1に凸部5を形成させ易くなると共に凸部5の均一分布性を向上させることができる。また、この熱発泡粒子懸濁液を原料スラリーに混合することにより、熱発泡粒子の中間層2内部において保持され易くなり、その結果、中間層2からの熱発泡粒子の脱落を効果的かつ確実に防止又は低減することができる。
上記カチオン性凝結剤の種類としては、特に限定されず、例えばポリジアリルジメチルアンモニウムクロライド(pDADMAC)又はその誘導体、ジアリルジメチルアンモニウムクロライドと他のモノマーの共重合体、ポリアクリルアミド、ポリアミン、ポリエチレンイミン、2−(メタクリロイルオキシ)エチルトリメチルアンモニウムクロリド重合物、変性ポリエチレンイミン等が挙げられる。これらのカチオン性凝結剤は、1種又は2種以上併用して使用することができる。中でも、AC7304(星光PMC社)を使用することが好ましい。
上記カチオン性凝集剤の種類としては、特に限定されず、例えば水溶性アニリン樹脂塩酸塩、ポリエチレンイミン、ポリアミン、キトサン、ポリジアリルジメチルアンモニウムクロライド、ヘキサメチレンジアミン−エピクロロヒドリン系樹脂等が挙げられる。これらのカチオン性凝集剤は、1種又は2種以上併用して使用することができる。中でも、ハーマイドRB−33(ハリマ化成社)を使用することが好ましい。
上記カチオン性凝結剤の平均分子量の上限としては、300万が好ましく、250万がより好ましい。また、このカチオン性凝結剤の平均分子量の下限としては、100万が好ましく、120万がより好ましい。このように、上記カチオン性凝結剤の平均分子量を上記範囲とすることで、中間層2の熱発泡粒子を凝結させ、比較的小さな凝集塊を形成させることができる。
上記カチオン性凝集剤の平均分子量の上限としては、1200万が好ましく、1000万がより好ましい。また、このカチオン性凝集剤の平均分子量の下限としては、800万が好ましく、850万がより好ましい。このように、上記カチオン性凝集剤の平均分子量を上記範囲とすることで、中間層2の熱発泡粒子を凝集させ、比較的大きな凝集塊を形成させることができる。
上記カチオン性凝結剤及びカチオン性凝集剤の添加の順序については、特に限定されないが、特に、予め水溶液中に分散させた上記熱発泡粒子に、分子量が比較的小さいカチオン性凝結剤と、分子量が比較的大きいカチオン性凝集剤とをその順で添加することで、中間層2において、先に小さな凝集塊を形成させ、次いで大きな凝集塊を形成させることとなり、表層3の外面に凸部5をより一層確実かつ効率的に形成させることができる。
なお、上記カチオン性凝結剤及びカチオン性凝集剤の平均分子量が上記下限未満であると、熱発泡粒子の凝集・凝結効果が十分に発現されない傾向があるため好ましくない。また、上記カチオン性凝結剤及びカチオン性凝集剤の平均分子量が上記上限を超えると、熱発泡粒子の凝集・凝結効果が十分に発現されないことに加えて、コスト高になるため好ましくない。
中間層2において、上記天然繊維に対するカチオン性凝結剤及びカチオン性凝集剤の合計含有量の上限としては、固形分換算で2質量%が好ましく、1質量%がより好ましい。また、この含有量の下限としては、固形分換算で0.1質量%が好ましく、0.2質量%がより好ましい。このように中間層2を構成する天然繊維に対するカチオン性凝結剤及びカチオン性凝集剤の合計含有量を上記範囲とすることで、熱発泡粒子をより一層効果的に凝結・凝集させることができる。なお、このカチオン性凝結剤及びカチオン性凝集剤の合計含有量が上記下限未満であると、中間層2における熱発泡粒子が脱落し易くなるため好ましくない。また、かかるカチオン性凝結剤及びカチオン性凝集剤の合計含有量が上記上限を超えると、中間層2における熱発泡粒子の凝結・凝集効果が過度に高くなり、表層3の外面に形成される凸部5の硬度が増し、その結果、多層抄き板紙1を商品梱包の緩衝材として用いた場合、商品を傷付ける可能性が高くなるため好ましくない。
中間層2において、上記カチオン性凝結剤及びカチオン性凝集剤に加えて、無機系化合物を含有させるとよい。このように、中間層2において無機系化合物を含有させることにより、中間層2における熱発泡粒子の凝結・凝集効果をさらに向上させることができる。この無機系化合物の種類としては、特に限定されず、例えば硫酸バンド(硫酸アルミニウム)、スメクタイト、ポリ塩化アルミニウム(PAC)等が挙げられる。中でも、上述のカチオン性凝結剤及びカチオン性凝集剤による熱発泡粒子の凝結・凝集効果をより一層向上させるために、硫酸バンドが好ましい。
上記硫酸バンドを無機系化合物として含有させる場合、硫酸バンドの天然繊維に対する含有量の上限としては、固形分換算で0.5質量%が好ましく、0.3質量%がより好ましい。また、この硫酸バンドの含有量の下限としては、固形分換算として0.01質量%が好ましく、0.05質量%がより好ましい。このように硫酸バンドの天然パルプに対する含有量を上記範囲とすることで、上述のカチオン性凝結剤及びカチオン性凝集剤による熱発泡粒子の凝結・凝集効果の向上を確実なものとすることができる。なお、この硫酸バンドの含有量が上記下限未満であると、表層3の外面に凸部5が形成され難くなり、多層抄き板紙1の緩衝性が低下する傾向があるため好ましくない。また、この硫酸バンドの含有量が上記上限を超えると、中間層2の熱発泡粒子の凝結・凝集効果が高くなり、表層3の外面に形成される凸部5が過度に大きくなり、多層抄き板紙1の層間強度が低下する傾向があるため好ましくない。
(その他の任意成分)
中間層2には、上記天然繊維の他に、本発明の目的効果を損なわない範囲で、任意成分を適宜使用することができる。この任意成分としては、例えば軽質炭酸カルシウム、重質炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、炭酸バリウム、水酸化アルミニウム、水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム、水酸化亜鉛、クレー、焼成カオリン、デラミカオリン、二酸化チタン、酸化亜鉛、酸化珪素、非晶質シリカ、尿素−ホルマリン樹脂、ポリスチレン樹脂、フェノール樹脂、微小中空粒子などの填料;アルキルケテンダイマー系サイズ剤、アルケニル無水コハク酸系サイズ剤、中性ロジンサイズ剤などのサイズ剤;ポリアクリルアミド系高分子、ポリビニルアルコール系高分子、カチオン化澱粉、メラミン/ホルマリン樹脂、尿素/ホルマリン樹脂、などの紙力増強剤;アクリルアミド/アミノメチルアクリルアミドの共重合物の塩、カチオン化澱粉、ポリエチレンイミン、ポリエチレンオキサイド、アクリルアミド/アクリル酸ナトリウム共重合物などの歩留り向上剤;紙粉脱落防止剤;湿潤紙力材;紙厚向上剤;嵩高剤;着色剤;染料などを、その種類及び含有量を適宜調整して添加することができる。
中間層2の坪量の上限としては、80g/mが好ましく、70g/mがより好ましい。また、この中間層2の坪量の下限としては、25g/mが好ましく、30g/mがより好ましい。このように中間層2の坪量を上記範囲とすることで、多層抄き板紙1は、高い圧縮強度及び破裂強度を維持しつつ、軽量性を発揮することができ、さらには高い緩衝性をも発揮することができる。なお、かかる中間層2の坪量が上記下限未満であると、熱発泡粒子を含有させても、中間層2自体の厚さが薄いことから、多層抄き板紙1に対し、十分な緩衝性を付与することができないため好ましくない。また、この中間層2の坪量が上記上限を超えると、多層抄き板紙1の全体の坪量はほぼ決まっており、中間層2以外の層である表層3及び裏層4の坪量が必然的に少なくなることから、例えば収容物を保護、保管する段ボールケースとして必要な強度を確保することが難しくなるため好ましくない。
中間層2の天然繊維のフリーネスの上限としては、480ccが好ましく、440ccがより好ましい。また、この中間層2の天然繊維のフリーネスの下限としては、280ccが好ましく、300ccがより好ましい。このように中間層2の天然繊維のフリーネスを上記範囲とすることにより、中間層2からの熱発泡粒子の脱落を効果的に防止又は軽減することができ、さらには多層抄き板紙1を商品梱包の保護材として使用する場合においても、良好な圧縮強度及び破裂強度を発揮することができる。なお、この中間層2の天然繊維のフリーネスが上記下限未満であると、表層3の外面に凸部5が形成され難くなるため好ましくない。また、この中間層2の天然繊維のフリーネスが上記上限を超えると、抄紙性が悪く、操業性が低下する可能性があるため好ましくない。なお、かかるフリーネスは、JIS−P8220に準拠して標準離解機にて天然パルプを離解処理した後、JIS−P8121に準拠してカナダ標準濾水度試験機にて濾水度を測定した値である。
(表層及び裏層)
表層3は、図1に示す通り、中間層2に積層する構造体である。この表層3は、上述の中間層2の場合と同様に天然繊維を主原料とし、副原料として上述の熱可塑性合成繊維及び/又は非熱可塑性化学繊維を含有することもできるが、熱可塑性合成繊維を表層3に含有させると、かかる繊維が抄紙工程のドライヤーパートにおいて溶融し、ドライヤーロールや用具等に付着する不都合が生じる場合がある。なお、表層3には、上述の任意成分を含有させることもできる。
表層3の坪量の上限としては、80g/mが好ましく、70g/mがより好ましい。また、この中間層2の坪量の下限としては、25g/mが好ましく、30g/mがより好ましい。このように表層3の坪量を上記範囲とすることで、多層抄き板紙1は、高い緩衝性を発揮しつつ、中間層2の熱発泡粒子の膨張により表層3外面に凸部5を効率よく形成させることができる。なお、この表層3の坪量が上記下限未満であると、熱発泡粒子を含有させても、表層3の厚さが過度に薄くなり、表層3が中間層2から剥離し易くなるため好ましくない。また、この表層3の坪量が上記上限を超えると、表層3の剛度が高くなる一方で厚みが過度に大きくなり、その結果、表層3外面における凸部5の形成が抑制される可能性があるため好ましくない。
表層3の天然繊維のフリーネスの上限としては、480ccが好ましく、440ccがより好ましい。また、表層3の天然繊維のフリーネスの下限としては、280ccが好ましく、300ccがより好ましい。このように表層3の天然繊維のフリーネスを上記範囲とすることで、多層抄き板紙1の圧縮強度及び破裂強度の低下を抑制することができる。なお、この表層3の天然繊維のフリーネスが上記下限未満であると、表層3の外面に凸部5が形成され難くなるため好ましくない。また、この表層3の天然繊維のフリーネスが上記上限を超えると、多層抄き板紙1の層間強度が低下する傾向があるため好ましくない。なお、かかるフリーネスは、JIS−P8220に準拠して標準離解機にて天然繊維を離解処理した後、JIS−P8121に準拠してカナダ標準濾水度試験機にて濾水度を測定した値である。
裏層4は、図1に示す通り、中間層2に積層する構造体である。この裏層4は、上述の中間層2の場合と同様に天然繊維を主原料とし、副原料として上述の熱可塑性合成繊維及び/又は非熱可塑性化学繊維を含有することができ、さらには上述の任意成分を含有させることもできる。
裏層4の坪量の上限としては、175g/mであることが好ましく、150g/mであることがより好ましい。また、この裏層4の坪量の下限としては、60g/mであることが好ましく、75g/mであることがより好ましい。このように裏層4の坪量を上記範囲とすることで、多層抄き板紙1に対して良好な圧縮強度及び破裂強度を付与しつつ、中間層2に含有される熱発泡粒子が多層抄き板紙1から漏出することを確実に防止することができる。かかる裏層4の坪量が上記下限未満であると、多層抄き板紙1の圧縮強度及び破裂強度が著しく低下するため好ましくない。また、この裏層4の坪量が上記上限を超えると、裏層4の強度は高くなるものの厚みが過度に大きくなるため好ましくない。
裏層4の天然繊維のフリーネスの上限としては、480ccが好ましく、440ccがより好ましい。また、裏層4の天然繊維のフリーネスの下限としては、280ccが好ましく、300ccがより好ましい。このように裏層4の天然繊維のフリーネスを上記範囲とすることで、多層抄き板紙1の圧縮強度及び破裂強度の低下や中間層2からの熱発泡粒子の脱落を抑制することができる。なお、この裏層4の天然繊維のフリーネスが上記下限未満であると、多層抄き板紙1の強度が低下する傾向があるため好ましくない。また、この裏層4の天然繊維のフリーネスが上記上限を超えると、中間層2から熱発泡粒子が脱落し易くなり、さらに多層抄き板紙1の層間強度が低下する傾向があるため好ましくない。なお、かかるフリーネスは、JIS−P8220に準拠して標準離解機にて天然繊維を離解処理した後、JIS−P8121に準拠してカナダ標準濾水度試験機にて濾水度を測定した値である。
凸部5は、表層3の外面に形成される凸状領域である。この凸部5は、上述の通り、中間層2に含有される熱発泡粒子が凝集塊を形成し、次いで膨張することで形成され、表層3及び裏層4の外面に複数かつランダムに存在する。このように、凸部5は、表層3の外面に複数かつランダムに形成されることで、多層抄き板紙1は、高い緩衝性を発揮することができる。具体的には、例えば多層抄き板紙1を商品梱包の保護材として使用し、表層3の外面が商品と接触する場合において、表層3の外面に複数かつランダムに存在する凸部5が商品からの物理的衝撃をバランス良く分散・吸収し、その結果、梱包商品の摩耗や破損を効果的に防止又は低減することができる。
凸部5の平均高さの上限としては、100μmが好ましく、90μmがより好ましく、80μmが特に好ましい。また、この凸部5の平均高さの下限としては、40μmが好ましく、50μmがより好ましく、60μmが特に好ましい。このように凸部5の平均高さを上記範囲とすることで、凸部5が発揮する上述の衝撃の分散・吸収効果を最大限に発揮することができる。なお、この凸部5の平均高さが上記下限未満であると、多層抄き板紙1の緩衝性が十分発揮できない傾向があるため好ましくない。また、この凸部5の平均高さが上記上限を超えると、凸部5が外部からの衝撃力に対して破損し易くなるため好ましくない。なお、この凸部5の平均高さは、JIS−P8118(紙及び板紙−厚さ及び密度の試験方法)に準拠した値である。
このように、上述した中間層2、表層3及び裏層4から形成される多層抄き板紙1の全体の密度の上限としては、0.6g/cmであることが好ましく、0.45g/cmであることがより好ましい。また、この多層抄き板紙1全体の密度の下限としては、0.25g/cmであることが好ましく、0.35g/cmであることがより好ましい。このように多層抄き板紙1全体の密度を上記範囲とすることで、多層抄き板紙1は、軽量性と、圧縮強度及び破裂強度とをバランス良く発揮することができる。なお、この多層抄き板紙1全体の密度が上記下限未満であると、多層抄き板紙1の層間強度が低下し、中間層2から表層3及び裏層4が剥離し易くなるため好ましくない。また、この多層抄き板紙1全体の密度が上記上限を超えると、多層抄き板紙1の緩衝性が低下するなるため好ましくない。なお、かかる密度は、JIS−P8118(厚さ及び密度の試験方法)に準拠した値である。
多層抄き板紙1のJ.TAPPI−No.18−2に基づく層間強度としては、88mJ以上であることが好ましい。この多層抄き板紙1の層間強度が88mJ以上であることで、中間層2から表層3や裏層4が剥離することを確実に防止することができると共に、中間層2からの熱発泡粒子の脱落を効果的に防止又は低減することができる。なお、この中間層2の層間強度が88mJ未満であると、上述の剥離防止効果及び熱発泡粒子の脱落防止効果を十分発揮することができないため好ましくない。なお、この層間強度は、J.TAPPI−No.18−2に規定するインターナルボンドテスタ法に準拠して測定した値である。
また、多層抄き板紙1の緩衝性としては、下記測定方法で測定した値が0.4以上0.5以下であることが好ましく、0.41以上0.45以下であることがより好ましい。この多層抄き板紙1の緩衝性を上記範囲とすることで、多層抄き板紙1は、優れた緩衝性を発揮しつつ、商品梱包に用いた場合の型入り防止効果及び傷入り防止効果をも発揮することができる。
上記緩衝性の測定方法は、以下(i)から(iv)の通りである。
(i)被衝突物体として、表面が平坦で頑丈な試験台を用い、多層抄き板紙1の表層3が表面になるように固定する。
(ii)衝突物体として鉄球(パチンコ玉:直径11mm、5.5g)を約30cmの高さから表層3に対して垂直に落下させる。
(iii)鉄球落下時の跳ね返りをビデオ撮影し、落下方向にセットした物差しにより跳ね返りの高さをmm単位で測定する。
(iv)鉄球の落下の高さ、跳ね返りの高さの測定値を用い、下記数式(1)により反発係数を算出する
e=√(h/ho) ・・・(1)
(e:反発係数、ho:落下の高さ、h:跳ね返りの高さ)
(0≦e≦1)
かかる反発係数を緩衝性の指標とし、反発係数が大きいほど緩衝性が高いと判断する。
(多層抄き板紙の製造方法)
多層抄き板紙1の製造方法としては、一般的に製紙用途で使用される方法を用いることができる。具体的には、上記天然繊維、熱可塑性合成繊維、非熱可塑性化学繊維等を含む原料スラリーに対し、予め水溶液中に分散させた熱発泡粒子にカチオン性凝結剤とカチオン性凝集剤とをその順に添加した熱発泡粒子懸濁液を添加したものをワイヤーパート、プレスパート、ドライヤーパート、リールパートを経て抄紙し、これを巻き取ることで製造することができる。このドライヤーパートでは、上述の通り、熱発泡粒子の発泡開始温度が熱可塑性合成繊維の融点以下となるよう調整して乾燥を行う。
図2の多層抄き板紙11は、表層3、中間層12及び裏層13を備える。この多層抄き板紙11の層構造及び表層3は、上記図1の多層抄き板紙1と同様である。この多層抄き板紙11は、多層抄き板紙1とは異なり、裏層13の外面にも凸部14を有する。このように、多層抄き板紙11は、表層3及び裏層13の外面にそれぞれ凸部5及び凸部14を有することで、緩衝性をより一層向上させることができる。なお、中間層12、裏層13の形成素材や密度等の品質は、上記図1の多層抄き板紙1と同様である。また、凸部14の平均高さ等についても、上記図1の多層抄き板紙1と同様である。
なお、本発明の多層抄き板紙は、上記実施形態に限定されるものではない。例えば、本発明の多層抄き板紙を、表層、2層の中間層及び裏層の4層とすることや、かかる中間層の総数を増加させることで5層以上の紙層を有する多層抄き板紙とすることもできる。このように中間層の総数を増加させることにより、本発明の多層抄き板紙は、より一層高い緩衝性を発揮することができる。
以下、実施例に基づき本発明を詳述するが、この実施例の記載に基づいて本発明が限定的に解釈されるものではない。
[実施例1〜30]
(多層抄き板紙の製造)
多層抄き板紙の中間層を構成する繊維素材として、天然繊維であるLBKP、熱可塑性合成繊維であるポリエチレンテレフタレート(PET)繊維(クラレ社、ソフィットN720)、非熱可塑性化学繊維であるビニロン(クラレ社、VPB303)を表1に示す含有量で混合することで中間層の原料スラリーを調整した。一方、水溶液中に、表1に示す含有量(天然繊維を基準とする)の熱発泡粒子(松本油脂製薬、マツモトマイクロスフェア−F48)、カチオン性凝結剤(星光PMC社、AC7304)とカチオン性凝集剤(ハリマ化成社、ハーマイドRB−33)を表1に示す順及び含有量にて添加して得られる熱発泡粒子懸濁液を調整した。この熱発泡粒子懸濁液を、中間層の原料スラリーに混合した。
また、表層を構成する原料スラリーとしては、天然繊維であるLBKPを100質量%として調整し、裏層を構成する原料スラリーとしては、段ボール古紙を100質量%として調整した。
次に、上記熱発泡粒子懸濁液を添加した中間層の原料スラリー、表層の原料スラリー及び裏層の原料スラリーを、ワイヤーパート、プレスパート、ドライヤーパート、カレンダーパートを経て中間層、表層及び裏層の3層構造の多層抄き板紙を得た。かかるドライヤーパートにおける乾燥温度は、90℃に調整した。なお、ワイヤーパートではKフォーマを、プレスパートではオープンドローを有するストレートスルー型を、ドライヤーパートではダブルデッキドライヤーを用いて抄紙した。カレンダーパートでは、マルチニップカレンダーを用いて平坦化処理を行った。このような抄紙処理及び平坦化処理を調整することで、凸部の平均高さ、坪量を表1のように変化させた。なお、凸部の平均高さは、表層の凸部の平均高さを測定した。
[実施例31]
天然繊維をNBKPとし、表1の配合量に基づき原料スラリーを調整した以外は、実施例1〜30と同様である。
[実施例32]
天然繊維をNBKP(表1中では「NB」と表示)及びLBKP(表1中では「LB」と表示)とし、さらにNBKPとLBKPとの配合比を50:50とし、表1の配合量に基づき原料スラリーを調整した以外は、実施例1〜30と同様である。
[実施例33]
天然繊維を段ボール古紙とし、表1の配合量に基づき原料スラリーを調整した以外は、実施例1〜30と同様である。
[実施例34]
天然繊維を上白古紙とし、表1の配合量に基づき原料スラリーを調整した以外は、実施例1〜30と同様である。
[実施例35]
熱可塑性合成繊維をポリエステル(ユニチカ社の「メルティ」)とし、表1の配合量に基づき原料スラリーを調整した以外は、実施例1〜30と同様である。
[実施例36]
非熱可塑性化学繊維をアクリル(東洋紡社の「ビィパル」)とし、表1の配合量に基づき原料スラリーを調整した以外は、実施例1〜30と同様である。
[実施例37]
熱発泡粒子懸濁液の調整において、カチオン性凝集剤、カチオン性凝結剤の順とした以外は、実施例1〜30と同様にして製造した。
[比較例1]
熱発泡粒子、カチオン性凝結剤、カチオン性凝集剤を添加しない以外は、実施例1〜30と同様にして製造した。
[比較例2]
カチオン性凝結剤、カチオン性凝集剤を添加しない以外は、実施例1〜30と同様にして製造した。
[比較例3]
熱発泡粒子の含有量を表1のように設定した以外は、実施例1〜30と同様にして製造した。
[比較例4]
熱発泡粒子懸濁液の調整において、表1のようにカチオン性凝結剤、カチオン性凝結剤の順とした以外は、実施例1〜30と同様にして製造した。
[比較例5]
熱発泡粒子懸濁液の調整において、表1のようにカチオン性凝集剤、カチオン性凝集剤の順とした以外は、実施例1〜30と同様にして製造した。
(凸部の平均高さの測定)
実施例及び比較例の凸部(表層)の平均高さは、JIS−P8118(紙及び板紙−厚さ及び密度の試験方法)に準拠して測定した。その結果を表1に示した。
(圧縮強さの測定)
実施例及び比較例の圧縮強さは、JIS−P8126(紙及び板紙−圧縮強さ試験方法−リングクラッシュ法)に準拠して測定した。その結果を表2に示した。
(破裂強さの測定)
実施例及び比較例の破裂強さは、JIS−P8131(板紙−破裂強さ試験方法)に準拠して測定した。その結果を表2に示した。
(層間強度の測定)
実施例及び比較例の層間強度は、上述の通り、J.TAPPI−No.18−2に準拠して測定した。その結果を表2に示した。
(緩衝性)
実施例及び比較例の緩衝性は、上述の式(1)より測定した。かかる結果を表2に示した。
Figure 2011137261
Figure 2011137261
(評価)
表2に示す通り、実施例1〜37は、比較例1〜5と比較して、同程度の圧縮強さ、破裂強さ及び層間強度を発揮しつつ、優れた緩衝性を発揮することが示唆された。
以上のように、本発明の多層抄き板紙は、公知の繊維素材や熱発泡粒子等を用いて製造されるものであり、資材調達及び加工の容易性に優れ、低コスト化や大量生産を実現することができ、広く好適に使用され得る。
1 多層抄き板紙
2 中間層
3 表層
4 裏層
5 凸部
11 多層抄き板紙
12 中間層
13 裏層
14 凸部

Claims (4)

  1. 天然繊維を主原料とし、少なくとも表層、熱発泡粒子を含有する中間層及び裏層を備える多層抄き板紙であって、
    上記中間層への上記熱発泡粒子の凝集塊の存在により、表層及び裏層のうち少なくとも表層の外面に凸部を有しており、
    この凸部の平均高さが40μm以上100μm以下であり、
    上記熱発泡粒子の凝集塊が、予め水溶液中に分散させた上記熱発泡粒子に、カチオン性凝結剤とカチオン性凝集剤とを添加して形成されることを特徴とする多層抄き板紙。
  2. 上記表層の坪量が25g/m以上80g/m以下であり、
    上記中間層の坪量が25g/m以上80g/m以下である請求項1に記載の多層抄き板紙。
  3. 上記中間層における天然繊維が広葉樹クラフトパルプを70質量%以上含有する請求項1又は請求項2に記載の多層抄き板紙。
  4. 上記中間層における熱発泡粒子の天然繊維に対する含有量が、固形分換算で1質量%以上15質量%以下である請求項1、請求項2又は請求項3に記載の多層抄き板紙。

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