JP6124545B2 - 紙容器用原紙 - Google Patents
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Description
内容物が飲料や水や油などの液体を含有する食品の場合は、紙容器に耐水性、耐油性などが必要とされるため、紙基材の表裏にポリエチレンなどの熱可塑性樹脂を積層した積層シートを紙容器用原紙として用い、成形加工する方法が一般的である。この場合、熱可塑性樹脂をシーラーとして用いて熱溶融させて貼り合わせて封止される。
これらの紙容器は包装用容器でもあって、商品名の他、意匠性、内容物名などが印刷表示されている。
紙容器は、保存性、耐久性、耐水性、印刷性能などが求められる。基材としての強度は紙素材に依存するところが大きく、保形性は屈曲された容器構造に依存するところが大きい。保存性は、密閉性能やガスバリア性を出すために、接着や積層構造に工夫が成されている。耐水性は、内容物が液体の場合は容器そのものの基本性能であり、水滴から保護のために外表面にも耐水性が求められる。容器は商品表示されるので、印刷性も求められる。
しかし、特許文献1では、原紙が2枚以上重ね合わされた折加工部においては内部破壊が発生しないことから表層の負荷を分散する事ができず、クラックが発生してしまう。また、特許文献2および特許文献3では、罫線を変更するために新たに加工機を設計する必要があり、コストが掛かる。
加えて、近年では紙容器に求められる品質として、印刷の美麗性が重要視される傾向にあり、特許文献1および特許文献2に示される原紙の上に熱可塑性樹脂を介して印刷が施される紙容器では、印刷の滲みが発生しやすく美麗性に劣るといった問題がある。
(1)端部同士を重ね合わせて接合された接合部位を折り曲げて容器が形成される、紙基材上に塗工層を有する紙容器用原紙であって、
該塗工層は、塗工層の全固形分に対し、伸度が1500%以上である合成樹脂を5重量%以上50重量%未満の範囲で含有することを特徴とする紙容器用原紙。
(2)前記塗工層に印刷が施されていることを特徴とする(1)記載の紙容器用原紙。
(3)伸度が1500%以上である合成樹脂が、スチレン−ブタジエン系ラテックスを主成分とする合成樹脂であることを特徴とする(1)又は(2)記載の紙容器用原紙。
(4)伸度が1500%以上である合成樹脂が、エチレン−酢酸ビニル系ラテックスを主成分とする合成樹脂であることを特徴とする(1)又は(2)記載の紙容器用原紙。
(5)塗工層は、複数層から成ることを特徴とする(1)〜(4)のいずれかに記載の紙容器用原紙。
(6)塗工層が複数層に設けられた内の最表層において、該層の全固形分に対し、伸度が1500%以上である合成樹脂を5重量%以上50重量%未満の範囲で含有させたことを特徴とする(5)記載の紙容器用原紙。
(7)塗工層より外表面側に熱可塑性樹脂層を形成したことを特徴とする(1)〜(6)のいずれかに記載された紙容器用原紙。
(8)容器内面に相当する内表面に熱可塑性樹脂層を形成したことを特徴とする(1)〜(7)のいずれかに記載された紙容器用原紙。
塗工層として、該塗工層の全固形分に対し、伸度が1500%以上である合成樹脂を5重量%以上50重量%未満で含有する塗工層を設けることにより、その上に設けられる印刷、及びさらにその上に設けられる紙容器の表面樹脂層に発生するひび割れなどの障害を防止できる。合成樹脂として、スチレン−ブタジエン系ラテックス、エチレン−酢酸ビニル系ラテックスが適している。
折り曲げ耐性の優れた強度の紙基材と組み合わせて用いることにより、落下衝撃などに強く、印刷性に優れた紙容器を実現できる。多層抄き手段を用いて外層と内層が形成された複数層からなる多層構造紙基材を採用することにより、成形加工での折り曲げ工程で折り部の内層が先に破壊され、折り部の最表層に圧縮、引張などの応力が集中することを緩和できる紙基材の特性と、本発明で採用する樹脂層の特性が協働して、樹脂層の破壊を抑制することができ、さらに、内容物を充填した後、外部から落下等の衝撃が加えられたことによって生じる、樹脂層の破壊を抑制することができる。
本発明は、紙を基材として、容器の表面側になる面に塗工層を設け、塗工層の上に印刷を施した紙容器用原紙である。容器の内面側は、ポリエチレンなどの熱可塑性樹脂層を耐水性層として設けることができる。表面側(塗工層表面あるいは塗工層に施した印刷面)にさらに熱可塑性樹脂層を設けることができる。内面側の熱可塑性樹脂層は、収容する液体などに対する耐水性層の他、折り曲げ加工して端部同士を接合する際のヒートシールとしての機能することもできる。外表面側の熱可塑性樹脂層は、結露などに対する耐水性、印刷の保護の他、折り曲げ加工による端部接着機能を必要する場合がある。
ブリックタイプ紙容器11は、紙容器用原紙を折り曲げて、側面と上下の開口を熱融着して四角のレンガ状の立方体に成形した容器である。左右の側面12、背面13、正面14、上面15、下面16の六面から構成されている。紙容器用原紙の側辺部は重ね合わされて接合された熱融着部18となっている。また、上下の端辺部も重ね合わされて接合されて熱融着部19となっている。上面部から側面部に折り曲げられて折り耳部17が、側面12に接合されている。熱融着部18は、背面から上面あるいは下面へ屈曲角部で重ねられた状態で折り曲げられる。また、熱融着部19は、上面から側面へ屈曲角部で重ねられた状態で折り曲げられる。
この重ね折り部30、31では、紙容器用原紙は、分厚い状態で折り曲げられるので、表面側に引っ張り応力が集中し、ひび割れなどの障害が発生し易い。
紙基材層の容器の内面側は、充填される液体に接触するので耐水性を発揮するポリエチレンなどの熱可塑性樹脂層が設けられ、外表面側には印刷を施すことができる伸度が1500%以上である合成樹脂を含有する塗工層が設けられる。この塗工層の上に商品に適した印刷が設けられ、さらに、熱可塑性樹脂層が設けられ、外表面の保護を高めることができる。
紙基材の構成としては、曲げや落下衝撃に強い多層抄きにより製造された紙基材が適している。例えば、多層抄きにより製造された多層構成の紙基材である。この多層抄きされた多層の紙基材の最も外側に位置する外層中の全原料パルプ中の針葉樹クラフトパルプ配合率が40重量%以上であり、かつ、外層以外の紙層である内層中の全原料パルプ中の針葉樹クラフトパルプ配合率が30重量%以下である条件を満たすものとしている。なお、内層が複数設けられる場合は、複数ある内層それぞれが前述する条件を満たす。原料パルプとして、針葉樹漂白クラフトパルプ及び広葉樹漂白クラフトパルプが衛生面や変色防止の観点から主として用いられる。しかし、技術的には、これらのパルプに制限される必要はない。
さらに、紙容器用原紙を構成する層構造としては、ガスバリア性を高めるために樹脂層を複数形成することや、アルミ箔層を形成することがある。これらの層構成は、従来用いられている技術を適用することができる。
紙容器用原紙1は、容器内面を形成する面を内表面2とし、容器の外面側を外表面3とする。紙基材Aに塗工層B、印刷C、熱可塑性樹脂層Dの順に外表面3側に形成する。また、内表面2側には紙基材Aに熱可塑性樹脂層Eを形成する。紙基材Aは多層抄きされており、内層A1の上下に外層A2、A3が設けられた三層となっている。塗工層Bは、多層に構成することも可能であって、図示の例ではトップ層B1、アンダー層B2の2層に形成されている。
このほか、公知のアルミ箔層や上下の熱可塑性樹脂層を複数設けることも可能であるが、表示は省略する。
塗工層は、一般的に凹凸のある紙基材表面を平滑にし、印刷適性を向上させる。塗工層は、顔料とバインダーが主である。
<塗工層について>
塗工層は紙基材の外側の表面に1層以上設けられる。
該塗工層に主成分として、該塗工層の全固形分に対し、伸度が1500%以上である合成樹脂を5重量%以上50重量%未満で含有する。塗工層を複数設けた場合は、少なくとも1層の塗工層の全固形分に対し、伸度が1500%以上である合成樹脂を5重量%以上50重量%未満で含有する。
合成樹脂の伸度が1500%以下では、塗工層に折り曲げ加工時に表層に掛かる負荷を分散するための必要な柔軟性が付与できず、紙容器の表面樹脂層や印刷にひび、割れ(クラック)が発生するため不適切である。また、伸度が1500%以上である合成樹脂の割合が5重量%未満では、塗工層に柔軟性を付与できず、紙容器の表面樹脂層や印刷にひび、割れ(クラック)が発生するため不適切である。合成樹脂の割合が50重量%以上であると、クラックの発生は抑制されるが、印刷適性が悪化する。
例えば、スチレン−ブタジエン系ラテックス(SBR)、エチレン−酢酸ビニル系ラテックス、ニトリル−ブタジエン系ラテックス(NBR)、酢酸ビニルに示される樹脂を伸度1500%以上に調整して使用することができる。
ニトリル−ブタジエン系ラテックス(NBR)は、耐クラック性は十分に発揮できるが、変色が発生する可能性がある。また、酢酸ビニルやエチレン−酢酸ビニル系ラテックスは、変色の問題はないが、内容物に合成樹脂の臭気が移る問題が発生する可能性がある。最適な樹脂は、スチレン−ブタジエン系ラテックス(SBR)である。
伸度の測定は、幅15mm、長さ20mmのラテックス単体のフィルムを作成し、テンシロンにて引張試験(試験速度1000mm/分)を行った際の伸びを「百分率」であらわす。
なお、合成樹脂の伸度は、合成樹脂単体のフィルムをテンシロンにて引張試験を行うことにより測定した。測定に使用する合成樹脂単体のフィルムは、厚みが約150μmとなるようPETフィルム(厚さ40μm)上にマイヤーバーを用いて手塗りした後、105℃にて加熱乾燥し、PETフィルムから剥した後、幅15mm、長さ20mmに切り出した。切り出したフィルムは、テンシロンにて引張試験(試験速度1000mm/分)を行い、元のフィルム長さ(20mm)に対する破断時のフィルム長さの比を「百分率」であらわしたものを伸度とした。
伸度(%)=破断時のフィルム長さ(mm)/元のフィルム長さ(mm)×100
また、塗工層には顔料が一般的に含有される。塗工層に顔料を含有すると、印刷適性が向上する。塗工層に用いられる顔料としては炭酸カルシウムやカオリン・クレー、タルク、二酸化チタン、硫酸バリウム、合成シリカ、プラスチックピグメントなどがあり、これらの顔料のうち、一種類を選択して使用することも、また二種類以上を混合して使用することもできる。
塗工層に用いられるバインダー(接着剤)は、顔料などの固形分を接着する機能をもち、水溶性高分子接着剤、合成エマルジョン系接着剤等が、単独又は混合して用いられる。
本発明では、伸度が1500%以上である合成樹脂を全固形分の5重量%以上50重量%未満で含有させる。
複数の塗工層を設ける場合は、少なくとも1つの層に該塗工層の全固形分に対して、伸度が1500%以上である合成樹脂を5重量%以上50重量%未満で含有する塗工層を形成されていれば十分である。
バインダー(接着剤)としては特に制限はなく、公知のバインダー(接着剤)から適宣選択することができる。水溶性高分子接着剤、合成エマルジョン系接着剤等、水に溶解または分散可能なものが好ましい。
水溶性高分子接着剤としては、デンプンまたはその変性物、ポリビニルアルコール及びその変性物、カゼインなどを挙げることができる。また、合成エマルジョン系接着剤としては、アクリル樹脂系エマルジョン、酢酸ビニル樹脂系エマルジョン、スチレン−ブタジエン系ラテックス、ウレタン樹脂系エマルジョンなど、既知のものが使用できる。
伸度が1500%以上である合成樹脂の例としては、前述したスチレン−ブタジエン系ラテックス(SBR)、エチレン−酢酸ビニル系ラテックス、ニトリル−ブタジエン系ラテックス(NBR)、酢酸ビニル樹脂系エマルジョンに示される合成樹脂を伸度1500%以上に調整して使用することができる。
塗工層に施す印刷は、オフセット印刷、グラビア印刷、フレキソ印刷、インクジェット印刷、レーザービーム印刷など公知の方法を用いることができる。
紙基材の内表面側には耐水性の熱可塑性樹脂層を設けることができる。外表面側には前記伸度が1500%以上である合成樹脂を含有する塗工層(印刷を施した塗工層を含む)の上に熱可塑性樹脂層を形成することができる。
紙基材の表面、特に内表面側には、熱可塑性樹脂層の密着を向上する目的でアンカーコート層を設けたり、コロナ放電処理を施すことができる。工程が簡略化されることから、紙基材の表面に直接コロナ放電処理を施すことが好ましい。
なお、本発明では、紙容器用原紙の表面について、容器の内面側を形成する表面を内表面、容器の外側を形成する表面を外表面という。また、特に、内外面を区別する必要が無い場合は単に「表面」とする場合がある。
熱可塑性樹脂層の形成方法には、押し出しラミネート法、共押し出しラミネート法、ドライラミネート法、ウェットラミネート法などがある。熱可塑性樹脂層と紙基材との高い接着性を得るために、押し出しラミネート法、共押し出しラミネート法が好ましい。また、Tダイ共押し出し法と併用し多層フィルムを形成することも好ましい。
熱可塑性樹脂層の樹脂としては、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレン(PE)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)等を用いることができる。積層シートにおける熱可塑性樹脂層の厚さは、目的に応じて適宜設定できるが、例えば、3〜100μm、好ましくは10〜50μmである。
<紙基材のパルプについて>
本発明の紙基材は、通常に箱形紙容器に用いられているものを使用することが可能であるが、特に適した紙基材について以下に詳述する。
木材パルプとサイズ剤、乾燥紙力増強剤などを主体とした製紙原料を、多層抄きすることにより製造されるものであって、多層抄きとすることにより、高い耐断面浸透性を有すると共に、単層抄きより抄造速度を速く出来るなど生産性が良好となる。
多層抄きとは、各種の抄造装置によって低坪量のシートを調製し、これを数段重ねてプレスし、乾燥する抄紙方法であり、各単層の調製方法は特に限定されるものではない。長網抄造、ツインワイヤー抄造、円網抄造など、各種抄造装置が適宜使用可能であるが、生産性が良好であるため、長網抄造及びツインワイヤー抄造が好ましい。
なお、紙容器を食品包装用に用いる場合は、衛生上の観点から針葉樹漂白クラフトパルプ(NBKP)や広葉樹漂白クラフトパルプ(LBKP)等の漂白パルプを用いることが好ましい。
本発明の多層抄き紙基材は、その上に積層されるポリエチレン(PE)などの熱可塑性樹脂に対して、成形加工時に破壊を抑制する特性を備えている。また、内容物を充填した後、外部から落下等の実用範囲の衝撃が加えられても、樹脂層が破壊されにくい特性を備えている。
なお、外層中の全原料パルプ中のNKP配合率を、好ましくは50重量%以上、より好ましくは75重量%以上、さらに好ましくは90重量%以上とすることで、成形加工時の折り曲げによる樹脂層の破壊及び衝撃が加えられたことによる樹脂層の破壊を効果的に抑制する。
本発明に使用する多層抄き紙基材においては、繊維強度の強いNKPを多く配合することで、上記加工適性を得ることは容易となるが、紙基材の表面の平滑性が低下し、紙基材上に熱可塑性樹脂を積層した後、表面へ印刷を行う際に、特にベタ部の均一性が低下して印刷された画像の鮮明性が低下する。そのため、意匠性に富んだ高精細な画像の印刷には不向きである。外層中の全原料パルプ中のNKP配合率を40重量%以上、かつ、内層中の全原料パルプ中のNKP配合率を30重量%以下とすることで、上記加工適性を得ると共に、高精細の画像の印刷に好適な、良好な印刷適性を有することを可能とする。
これは、NKPより柔らかく平滑性の得られやすいLKPを内層に多く配合することで、多層抄きにおいて各単層を重ね合わせ、プレスする際に、内層中のLKPがクッション作用を持ち外層中のNKPの平滑性の低さを緩和する。これにより紙基材表面の平滑性が低下することを抑制し、紙基材上に熱可塑性樹脂を積層した後の印刷適性が良好となるものと考えられる。なお、内層が複数設けられる場合は、複数ある内層それぞれが前述する条件を満たす必要がある。さらに、紙基材中の全原料パルプ中のNKP配合率を50重量%以下とすることで、良好な印刷適性を得ることがより容易となり好ましい。
また、前述した原料パルプ中のNKPのカナダ標準濾水度(CSF)は、450ml以上600ml以下、かつLKPのCSFは400ml以上550ml以下であることが好ましい。原料パルプの叩解を進めCSFを低くすると、繊維間結合が高くなり、紙容器用の紙基材として必要な紙力が得られやすい。しかし、NKPのCSFが450ml未満、あるいはLKPのCSFが400ml未満であると、繊維間結合が高くなりすぎ、成形加工での折り曲げ工程で、圧縮、引張などの応力が折り部の最表層に集中して、樹脂層が破壊され易くなるため、逆に加工適性は低下する。また、NKPのCSFが600mlを超える、あるいはLKPのCSFが550mlを超えると、繊維間結合が低くなりすぎ、外部から落下等の衝撃が加えられると、樹脂層が破壊されやすくなる。さらに、紙層構造が粗くなるため、耐断面浸透性が低下する傾向が見られる。
また、本発明の多層抄き紙基材においては、折り曲げ応力集中により発生する歪みを脆弱な内層で吸収して、熱可塑性樹脂層に顕在化しないようにするため、内層はできるだけ強度が低い方が好ましいが、製造するうえで、ある程度の強度は必要となる。このため、内層には内添乾燥紙力増強剤として、分子量が600万未満、好ましくは分子量が10万〜400万であるポリアクリルアミドを、内層中の全原料パルプ100質量部(絶乾パルプ質量)に対し0.2質量部以下含有することが好ましい。ポリアクリルアミドの例としては、アニオン性、カチオン性、及び部分カチオン性変性による両性化したものなどが挙げられる。内添乾燥紙力増強剤として、分子量が600万未満のポリアクリルアミドを配合することにより、繊維間結合が高くなり、紙容器用の紙基材として必要な紙力が得られやすい。しかし、繊維間結合が高すぎると、成形加工での折り曲げ工程で、圧縮、引張などの応力が折り部の最表層に集中して、樹脂層が破壊され易くなるため、逆に加工適性は低下する。
内添乾燥紙力増強剤として、カチオン化澱粉、両性澱粉、酸化澱粉などの澱粉系を用いた場合でも、繊維間結合を適度に調整する事により、ポリアクリルアミドと同様の効果が得られるが、適度に調整することが容易であるポリアクリルアミドを含有させることが好ましい。
本発明の内添サイズ剤は特に限定されるものではなく、ロジン、アルキルケテンダイマー(AKD)、アルケニルコハク酸(ASA)等の各種内添サイズ剤が使用できるが、内容物(水溶液)が酸性(pHが低い)の場合、ロジンサイズではサイズ性が低下し、耐断面浸透性が劣るため、酸性水溶液に対しても高度なサイズ性が期待できるアルキルケテンダイマーを使用することが好ましい。アルキルケテンダイマーの配合量は、全原料パルプ100重量部(絶乾パルプ重量)に対し0.15重量部以上0.80重量部未満含有することが好ましい。アルキルケテンダイマーを0.15重量部以上含有することにより、前述の耐断面浸透性は良好となる。アルキルケテンダイマーの添加量が多くなるほど耐断面浸透性は良好となるが、0.80重量部以上添加しても耐断面浸透性の向上は頭打ちであり、経済的に無意味である。また、内添サイズ剤は、紙基材を構成する紙層のいずれの層にも含有できるが、全ての紙層に含有されることが好ましい。
さらに、カチオン化澱粉、両性澱粉、酸化澱粉などの澱粉、及び/または硫酸バンドを添加すると、アルキルケテンダイマーのパルプへの定着を向上させる効果があり、耐断面浸透性が良好となるので好ましい。
また、本発明の多層抄き紙基材は、坪量が170g/m2以上350g/m2未満であることが好ましい。紙基材は、その用途上紙力と剛度が必要であり、坪量は170g/m2以上であることが好ましい。坪量を大きくすると紙力が高くなり、外部から落下等の衝撃が加えられても、樹脂層が破壊されにくくなる。一方、坪量を大きくすると成形加工での折り曲げ工程で紙基材の厚さの分だけ折り部外側の半径が大きくなるため、樹脂層に加わる応力が大きくなり、折り曲げにより樹脂層が破壊されやすくなる。紙基材として、坪量は350g/m2未満であることが好ましい。200ml容器では、約200g/m2の坪量が適している。
紙基材の坪量はJIS P 8124「紙及び板紙―坪量測定方法」、密度はJIS P 8118「紙及び板紙―厚さ及び密度の試験方法」に準じて測定する。
また、本発明の多層抄き紙基材は、ポリアミドエピクロロヒドリン系樹脂に代表される湿潤紙力増強剤を含有することが好ましい。湿潤紙力増強剤を含有することにより、液体の浸透に際して、パルプ間の繊維間結合が切断されることにより膨潤が起こり、細孔径が拡大する現象、即ち吸水による紙基材の膨潤を抑えることが容易となるので好ましい。更に、ポリアミドエピクロロヒドリン系樹脂はアルキルケテンダイマーのパルプへの定着を向上させる効果もあるため好ましい。湿潤紙力増強剤の含有量は、紙基材中の全原料パルプ100重量部(絶乾パルプ重量)に対し0.1重量部以上0.5重量部以下の範囲であることが好ましい。湿潤紙力増強剤は、紙基材を構成する紙層のいずれの層にも含有できるが、全ての紙層に含有されることが好ましい。
また、カチオン化澱粉、両性澱粉、酸化澱粉などの澱粉、ポリビニルアルコール、ポリアクリルアミド、いわゆる表面サイズ剤(スチレン・アクリル系樹脂、スチレン・マレイン酸系樹脂、スチレン・メタクリル酸系樹脂、オレフィン系樹脂、エステル系樹脂など)などにより、表面サイズ処理を行うこともできる。表面サイズ剤の塗布方法としては特に限定されるものではないが、サイズプレス、ゲートロールコーター、プレメタリングサイズプレス、カレンダーサイズプレスなどが挙げられる。
基材となる紙容器用原紙の塗工層上(外表面側)に、グラビア輪転印刷機で単色ベタ印刷を施した後、容器成形用の折罫線加工を施した。次いで、紙容器用原紙の裏面(内表面側)に、押出しラミネート法にて熱可塑性樹脂(低密度ポリエチレン、密度0.92g/cm3、融点107℃)を厚さ80μmとなるように積層した。次いで、紙容器用原紙の前記印刷上に押出しラミネート法にて熱可塑性樹脂(低密度ポリエチレン、密度0.92g/cm3、融点107℃)を厚さ15μmとなるように積層し、ロール状に巻き取り、紙容器用積層シートを得た。
得られた紙容器用積層シートについて、充填機(機名・型番:UP−FUJI MA60、四国化工機社製、SLIM200ml設定)を使用して、図1に示すブリックタイプの紙容器を連続的に100個作製した。作製した紙容器の端部同士が重ね合わされた部位のうち、折加工が施された部位(図1の「熱融着されて二重になった部分」)について、容器表面の樹脂層の割れ(クラック)の長さを計測し、割れの長さが2mm以上の個数を測定した。実施例、比較例について評価結果を表2、3に示す。
塗工層の割れに伴いその上の樹脂層にも割れが生ずることが別途確認されているので、「樹脂層の割れ」の状態を観察することによって、塗工層の評価をすることが可能である。
◎:2mm以上の割れが全く発生しない。
○:2mm以上の割れが発生した個数が、紙容器100個中1個以上10個以下。
△:2mm以上の割れが発生した個数が、紙容器100個中11個以上20個以下。
×:2mm以上の割れが発生した個数が、紙容器100個中21個以上。
基材となる紙容器用原紙の両面に、押出しラミネート法にて熱可塑性樹脂(低密度ポリエチレン、密度0.92g/cm3、融点107℃)をそれぞれ厚さ30μmとなるように積層し、紙容器用積層シートを得た。得られた紙容器用積層シートを用いて作製したゲーブルトップタイプの紙容器を図3に示す。
ゲーブルトップタイプ容器21の例を図3に示す。ゲーブルトップタイプの容器は、紙容器用原紙を折り曲げて、側辺部を重ねて接着し、上部に傾斜を付けて屋根型に折り曲げて上辺部接着し、下面部は平面に形成する。例えば、側面22の一側辺から上面傾斜にかけて、紙容器用原紙が二重に重ねられた熱融着部23が形成される。熱融着部23は、側面から上面にかけて折り曲げられた重ね折り部24が存在し、外折り状態では引っ張り応力が生じ、内折り状態では圧縮応力が生じて、ひびやしわが発生しやすい。
この紙容器を、以下のような試験方法にて、実用上十分な強度の有無を判定した。
100cmの高さからコンクリート表面上へ紙容器の底面側から繰り返し落下試験を行い、内容物である水の漏れが目視で観察された時点で試験を終了し、その時点の落下回数を落下強度とした。紙容器10個に対し落下試験を行い、落下強度が平均4回以上であれば、実用上十分な強度を有する。実施例、比較例について評価結果を表2、3に示す。
◎:落下強度が平均8回以上
○:落下強度が平均4回以上8回未満
△:落下強度が平均2回以上4回未満
×:落下回数が平均2回未満
基材となる紙容器用原紙の両面に、押出しラミネート法にて熱可塑性樹脂(低密度ポリエチレン、密度0.92g/cm3、融点107℃)をそれぞれ厚さ30μmとなるように積層し、紙容器用積層シートを得た。得られた紙容器用積層シートを1辺10.0cmの正方形に切断して試験片とした。得られた試験片について、コート紙用に汎用されているオフセット印刷用インキ(東洋インキ(株)製 ハイエコー紅)を用い、RI型印刷機((株)明製作所製 RI−3)にてインキ盛り量0.5mlで印刷を行った。印刷処理後、印刷部のベタにおけるムラの発生具合(ベタムラ)を目視で観察し、以下の基準に従って評価した。実施例、比較例について評価結果を表2、3に示す。
◎:ベタムラがなく、均一にインキが印刷されている。
○:ベタムラがわずかに見受けられるが、高精細な画像の印刷に支障がない程度。
△:ベタムラが見受けられ、高精細な画像の印刷には適さない。
×:ベタムラが全面的に認められ、紙容器用原紙としての使用に適さない。
(外層用紙料スラリーA)
カナダ標準濾水度(CSF)500mlの針葉樹漂白クラフトパルプ(NBKP)と、CSF450mlの広葉樹漂白クラフトパルプ(LBKP)を40/60の重量比で配合して、原料パルプとした。原料パルプスラリーに、乾燥紙力増強剤として分子量250万のポリアクリルアミドを全原料パルプ100重量部(絶乾パルプ重量)に対し0.3重量部、内添サイズ剤としてアルキルケテンダイマーを全原料パルプ100重量部(絶乾パルプ重量)に対し0.5重量部、湿潤紙力増強剤としてポリアミドエピクロロヒドリン系樹脂を全原料パルプ100重量部(絶乾パルプ重量)に対し0.1重量部添加した後、水酸化ナトリウムでpH7.5に調整して外層用紙料スラリーAとした。
(内層用紙料スラリーa)
CSF500mlのNBKPと、CSF550mlのLBKPを15/85の重量比で配合して、原料パルプとした。原料パルプスラリーに、乾燥紙力増強剤として分子量250万のポリアクリルアミドを全原料パルプ100重量部(絶乾パルプ重量)に対し0.1重量部、内添サイズ剤としてアルキルケテンダイマーを全原料パルプ100重量部(絶乾パルプ重量)に対し0.5重量部、湿潤紙力増強剤としてポリアミドエピクロロヒドリン系樹脂を全原料パルプ100重量部(絶乾パルプ重量)に対し0.1重量部添加した後、水酸化ナトリウムでpH7.5に調整して内層用紙料スラリーaとした。
紙基材試験例で得られた紙基材を使用し、塗工層の構成を表1に示す構成を採用して、試験を行った。
下記割合からなる配合物を混合して塗工液を調製した。具体的な塗工液の調製を、塗工液1を例に取り、説明する。他の例もこれに準ずる。
微粒カオリン(KaMin社製 ハイドラグロス)およびエンジニアードカオリン(イメリス社製 CapimDG)に分散剤として対顔料でポリアクリル酸ソーダ0.5部を添加して、セリエミキサーで分散し、それぞれ固形分濃度が70%の顔料スラリーを調製した。
該顔料スラリーおよび重質炭酸カルシウムスラリー(ファイマテック社製 FMT-90 固形分濃度75%)を微粒カオリン60部、エンジニアード20部、重質炭酸カルシウム20部となるように混合し、接着剤(バインダー)としてラテックス単体のフィルム伸度が2820%であるスチレン・ブタジエン系共重合ラテックス(日本ゼオン社製 PNT8110)20部、酸化澱粉(敷島スターチ製 マーメイドM210)2部、水を加えて濃度63%の塗工液を得た。
微粒カオリン(KaMin社製:ハイドラグロス) 60.0部
エンジニアードカオリン(イメリス社製:CapimDG) 20.0部
ポリアクリル酸ソーダ 0.5部
重質炭酸カルシウム(ファイマテック社製:FMT−90) 20.0部
スチレン・ブタジエン系共重合ラテックス
(日本ゼオン社製:PNT8110、伸度2820%) 20.0部
酸化デンプン(敷島スターチ社製:マーメイドM210) 2.0部
水 71.7部
微粒カオリン(KaMin社製:ハイドラグロス) 60.0部
エンジニアードカオリン(イメリス社製:CapimDG) 20.0部
ポリアクリル酸ソーダ 0.5部
重質炭酸カルシウム(ファイマテック社製:FMT−90) 20.0部
スチレン・ブタジエン系共重合ラテックス
(日本ゼオン社製:LX421、伸度1970%) 20.0部
酸化デンプン(敷島スターチ社製:マーメイドM210) 2.0部
水 71.7部
微粒カオリン(KaMin社製:ハイドラグロス) 60.0部
エンジニアードカオリン(イメリス社製:CapimDG) 20.0部
ポリアクリル酸ソーダ 0.5部
重質炭酸カルシウム(ファイマテック社製:FMT−90) 20.0部
スチレン・ブタジエン系共重合ラテックス
(JSR社製:NP200C、伸度1510%) 5.0部
酸化デンプン(敷島スターチ社製:マーメイドM210) 2.0部
水 62.8部
微粒カオリン(KaMin社製:ハイドラグロス) 60.0部
エンジニアードカオリン(イメリス社製:CapimDG) 20.0部
ポリアクリル酸ソーダ 0.5部
重質炭酸カルシウム(ファイマテック社製:FMT−90) 20.0部
スチレン・ブタジエン系共重合ラテックス
(JSR社製:NP200C、伸度1510%) 7.0部
酸化デンプン(敷島スターチ社製:マーメイドM210) 2.0部
水 64.0部
微粒カオリン(KaMin社製:ハイドラグロス) 60.0部
エンジニアードカオリン(イメリス社製:CapimDG) 20.0部
ポリアクリル酸ソーダ 0.5部
重質炭酸カルシウム(ファイマテック社製:FMT−90) 20.0部
スチレン・ブタジエン系共重合ラテックス
(JSR社製:NP200C、伸度1510%) 20.0部
酸化デンプン(敷島スターチ社製:マーメイドM210) 2.0部
水 71.7部
微粒カオリン(KaMin社製:ハイドラグロス) 60.0部
エンジニアードカオリン(イメリス社製:CapimDG) 20.0部
ポリアクリル酸ソーダ 0.5部
重質炭酸カルシウム(ファイマテック社製:FMT−90) 20.0部
スチレン・ブタジエン系共重合ラテックス
(JSR社製:NP200C、伸度1510%) 30.0部
酸化デンプン(敷島スターチ社製:マーメイドM210) 2.0部
水 77.5部
微粒カオリン(KaMin社製:ハイドラグロス) 60.0部
エンジニアードカオリン(イメリス社製:CapimDG) 20.0部
ポリアクリル酸ソーダ 0.5部
重質炭酸カルシウム(ファイマテック社製:FMT−90) 20.0部
スチレン・ブタジエン系共重合ラテックス
(JSR社製:NP200C、伸度1510%) 100.0部
酸化デンプン(敷島スターチ社製:マーメイドM210) 2.0部
水 118.6部
微粒カオリン(KaMin社製:ハイドラグロス) 60.0部
エンジニアードカオリン(イメリス社製:CapimDG) 20.0部
ポリアクリル酸ソーダ 0.5部
重質炭酸カルシウム(ファイマテック社製:FMT−90) 20.0部
スチレン・ブタジエン系共重合ラテックス
(日本ゼオン社製:PNT7852、伸度1110%) 20.0部
酸化デンプン(敷島スターチ社製:マーメイドM210) 2.0部
水 71.7部
微粒カオリン(KaMin社製:ハイドラグロス) 60.0部
エンジニアードカオリン(イメリス社製:CapimDG) 20.0部
ポリアクリル酸ソーダ 0.5部
重質炭酸カルシウム(ファイマテック社製:FMT−90) 20.0部
スチレン・ブタジエン系共重合ラテックス
(日本ゼオン社製:PNT7850、伸度750%) 20.0部
酸化デンプン(敷島スターチ社製:マーメイドM210) 2.0部
水 71.7部
微粒カオリン(KaMin社製:ハイドラグロス) 60.0部
エンジニアードカオリン(イメリス社製:CapimDG) 20.0部
ポリアクリル酸ソーダ 0.5部
重質炭酸カルシウム(ファイマテック社製:FMT−90) 20.0部
エチレン・酢酸ビニル
(住友ケムテックス社製:900HL、伸度5000%) 20.0部
酸化デンプン(敷島スターチ社製:マーメイドM210) 2.0部
水 71.7部
微粒カオリン(KaMin社製:ハイドラグロス) 60.0部
エンジニアードカオリン(イメリス社製:CapimDG) 20.0部
ポリアクリル酸ソーダ 0.5部
重質炭酸カルシウム(ファイマテック社製:FMT−90) 20.0部
エチレン・酢酸ビニル
(住友ケムテックス社製:755、伸度2510%) 20.0部
酸化デンプン(敷島スターチ社製:マーメイドM210) 2.0部
水 71.7部
微粒カオリン(KaMin社製:ハイドラグロス) 60.0部
エンジニアードカオリン(イメリス社製:CapimDG) 20.0部
ポリアクリル酸ソーダ 0.5部
重質炭酸カルシウム(ファイマテック社製:FMT−90) 20.0部
エチレン・酢酸ビニル
(住友ケムテックス社製:400HQ、伸度1160%) 20.0部
酸化デンプン(敷島スターチ社製:マーメイドM210) 2.0部
水 71.7部
微粒カオリン(KaMin社製:ハイドラグロス) 60.0部
エンジニアードカオリン(イメリス社製:CapimDG) 20.0部
ポリアクリル酸ソーダ 0.5部
重質炭酸カルシウム(ファイマテック社製:FMT−90) 20.0部
スチレン・ブタジエン系共重合ラテックス
(JSR社製:NP200C、伸度1510%) 120.0部
酸化デンプン(敷島スターチ社製:マーメイドM210) 2.0部
水 130.4部
紙基材の片面に、塗工液1を、乾燥後で塗工量15.0g/m2となるようにブレード法で塗工した後、乾燥を行ない、ソフトニップカレンダーを用いて線圧60kN/mの条件で処理して、紙容器用原紙を作製した。
塗工液1に代えて塗工液2を用いた以外は、実施例1と同様にして紙容器用原紙を作製した。
塗工液1に代えて塗工液3を用いた以外は、実施例1と同様にして紙容器用原紙を作製した。
塗工液1に代えて塗工液4を用いた以外は、実施例1と同様にして紙容器用原紙を作製した。
塗工液1に代えて塗工液5を用いた以外は、実施例1と同様にして紙容器用原紙を作製した。
塗工液1に代えて塗工液6を用いた以外は、実施例1と同様にして紙容器用原紙を作製した。
塗工液1に代えて塗工液7を用いた以外は、実施例1と同様にして紙容器用原紙を作製した。
塗工液1に代えて塗工液8を用いた以外は、実施例1と同様にして紙容器用原紙を作製した。
塗工液1に代えて塗工液9を用いた以外は、実施例1と同様にして紙容器用原紙を作製した。
塗工液1に代えて塗工液10を用いた以外は、実施例1と同様にして紙容器用原紙を作製した。
塗工液1に代えて塗工液11を用いた以外は、実施例1と同様にして紙容器用原紙を作製した。
塗工液1に代えて塗工液12を用いた以外は、実施例1と同様にして紙容器用原紙を作製した。
塗工液1に代えて塗工液13を用いた以外は、実施例1と同様にして紙容器用原紙を作製した。
紙基材の片面に、塗工液9を、乾燥後で塗工量7.0g/m2となるようにブレード法で塗工した後、乾燥を行ない、次いで、塗工層上に塗工液1を、乾燥後で塗工量8.0g/m2となるようにブレード法で塗工した後、乾燥を行ない、ソフトニップカレンダーを用いて線圧60kN/mの条件で処理して、紙容器用原紙を作製した。
塗工液1に代えて塗工液4を用いた以外は、実施例9と同様にして紙容器用原紙を作製した。
塗工液1に代えて塗工液5を用いた以外は、実施例9と同様にして紙容器用原紙を作製した。
塗工液1に代えて塗工液10を用いた以外は、実施例9と同様にして紙容器用原紙を作製した。
塗工液1に代えて塗工液11を用いた以外は、実施例9と同様にして紙容器用原紙を作製した。
紙基材の片面に、塗工液1を、乾燥後で塗工量7.0g/m2となるようにブレード法で塗工した後、乾燥を行ない、次いで、塗工層上に塗工液9を、乾燥後で塗工量8.0g/m2となるようにブレード法で塗工した後、乾燥を行ない、ソフトニップカレンダーを用いて線圧60kN/mの条件で処理して、紙容器用原紙を作製した。
塗工液1に代えて塗工液4を用いた以外は、実施例13と同様にして紙容器用原紙を作製した。
塗工液1に代えて塗工液5を用いた以外は、実施例13と同様にして紙容器用原紙を作製した。
塗工液1に代えて塗工液10を用いた以外は、実施例13と同様にして紙容器用原紙を作製した。
塗工液1に代えて塗工液11を用いた以外は、実施例13と同様にして紙容器用原紙を作製した。
紙基材の片面に、塗工液1を、乾燥後で塗工量7.0g/m2となるようにブレード法で塗工した後、乾燥を行ない、次いで、塗工層上に塗工液1を、乾燥後で塗工量8.0g/m2となるようにブレード法で塗工した後、乾燥を行ない、ソフトニップカレンダーを用いて線圧60kN/mの条件で処理して、紙容器用原紙を作製した。
紙基材の片面に、塗工液5を、乾燥後で塗工量7.0g/m2となるようにブレード法で塗工した後、乾燥を行ない、次いで、塗工層上に塗工液5を、乾燥後で塗工量8.0g/m2となるようにブレード法で塗工した後、乾燥を行ない、ソフトニップカレンダーを用いて線圧60kN/mの条件で処理して、紙容器用原紙を作製した。
一方、比較例1〜4、比較例6〜7では、成形加工で折り曲げによりクラックが発生して加工適性が劣る。もしくは、加工適性は良好であるが印刷適性が劣り(比較例5)、比較例1〜7はいずれも紙容器用原紙として十分な性能を有しなかった。
これらの試験結果から、伸度が1500%以上である合成樹脂を含む塗工層が、折り曲げによるクラック発生が抑制されると共に、良好な印刷適性を有することが明らかである。そして、その含有量は、5重量%以上50重量%未満が適切であることが確認された。
伸度が1500%以上である合成樹脂として、少なくとも、スチレン−ブタジエン系ラテックス、エチレン−酢酸ビニル系ラテックスが有効であることが確認された。
塗工層を多層に形成した場合には、上下どちらかの層に伸度が1500%以上である合成樹脂を含むとクラック耐性が確保できることが確認できた。そして、塗工層を多層に形成した実施例9と実施例13のデータから、トップ層に伸度の高い合成樹脂を配合した方がクラック耐性が良いことが示された。同様の例は実施例11と実施例15の比較データからも読み取ることができる。
落下試験をした結果は、いずれも樹脂層の破壊が発生しなかった。
なお、本実施例で用いた多層抄き紙基材は、前述したように、成形加工での折り曲げ工程で折り部の内層が先に破壊され、折り部の最表層に圧縮、引張などの応力が集中することが緩和される。多層抄き紙基材は、樹脂層の破壊を抑制する素材であり、表裏層に配合されたNKPによって内容物を充填した後、外部から落下等の衝撃が加えられたことによって生じる、樹脂層の破壊抑制に適した素材である。
2:内表面
3:外表面
11:ブリックタイプ紙容器
12:側面
13:背面
14:正面
15:上面
16:下面
17:折り耳部
18、19:熱融着部
21:ゲーブルトップタイプ容器
22:側面
23:熱融着部
24:重ね折り部
30、31:重ね折り部
A:紙基材
A1:内層
A2、A3:外層
B:塗工層
B1:トップ層
B2:アンダー層
C:印刷
D、E:熱可塑性樹脂層
Claims (8)
- 端部同士を重ね合わせて接合された接合部位を折り曲げて容器が形成される、紙基材上に塗工層を有する紙容器用原紙であって、該塗工層は、塗工層の全固形分に対し、伸度が1500%以上である合成樹脂を5重量%以上50重量%未満の範囲で含有し、顔料を49.4重量%以上91.3重量%以下の範囲で含有することを特徴とする紙容器用原紙。
- 前記塗工層に印刷が施されていることを特徴とする請求項1記載の紙容器用原紙。
- 伸度が1500%以上である合成樹脂が、スチレン−ブタジエン系ラテックスを主成分とする合成樹脂であることを特徴とする請求項1又は2記載の紙容器用原紙。
- 伸度が1500%以上である合成樹脂が、エチレン−酢酸ビニル系ラテックスを主成分とする合成樹脂であることを特徴とする請求項1又は2記載の紙容器用原紙。
- 塗工層は、複数層から成ることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の紙容器用原紙。
- 塗工層が複数層に設けられた内の最表層において、該層の全固形分に対し、伸度が1500%以上である合成樹脂を5重量%以上50重量%未満の範囲で含有させたことを特徴とする請求項5記載の紙容器用原紙。
- 塗工層より外表面側に熱可塑性樹脂層を形成したことを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載された紙容器用原紙。
- 容器内面に相当する内表面に熱可塑性樹脂層を形成したことを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載された紙容器用原紙。
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