JP2011136627A - 車両制御システム - Google Patents
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Abstract
【課題】ドライバの覚醒度が低い場合であっても、車両挙動制御装置本来の性能を十分に発揮させることができる車両制御システムを提供すること。
【解決手段】車両の挙動を制御する車両挙動制御装置を備えた車両制御システムSにおいて、障害物が接近したときに当該障害物との接触を回避するために前記車両挙動制御装置を制御する障害物回避制御手段と、前記障害物との接触を回避した後に前記車両の挙動を安定化させるために前記車両挙動制御装置を制御する車両安定化制御手段と、ドライバの覚醒度を判定する覚醒レベル判定部32と、を備え、前記障害物回避制御手段は、前記覚醒レベル判定部32により判定された覚醒度が低いときほど前記車両挙動制御装置の制御量を増大させ、前記車両安定化制御手段は、前記覚醒レベル判定部32により判定された覚醒度が低いときほど前記車両挙動制御装置の制御量を減少させる。
【選択図】図1
【解決手段】車両の挙動を制御する車両挙動制御装置を備えた車両制御システムSにおいて、障害物が接近したときに当該障害物との接触を回避するために前記車両挙動制御装置を制御する障害物回避制御手段と、前記障害物との接触を回避した後に前記車両の挙動を安定化させるために前記車両挙動制御装置を制御する車両安定化制御手段と、ドライバの覚醒度を判定する覚醒レベル判定部32と、を備え、前記障害物回避制御手段は、前記覚醒レベル判定部32により判定された覚醒度が低いときほど前記車両挙動制御装置の制御量を増大させ、前記車両安定化制御手段は、前記覚醒レベル判定部32により判定された覚醒度が低いときほど前記車両挙動制御装置の制御量を減少させる。
【選択図】図1
Description
本発明は、車両の挙動を制御する車両挙動制御装置を備えた車両制御システムに関する。
通常、自動車には、障害物回避性能や走行安定性能の向上などを目的として、車両の挙動を制御する各種の車両挙動制御装置が搭載されている。例えば、ドライバの手動操舵力を補助するアシスト力を制御する電動パワーステアリング制御装置(特許文献1参照)や、各車輪の制動力を個別に制御する制動力制御装置(特許文献2参照)や、左右の後輪のトー角を個別に制御する後輪トー角制御装置(特許文献3参照)や、左右の車輪間での駆動力の配分を制御する左右駆動力配分制御装置(特許文献4参照)などの車両挙動制御装置が知られている。
また、例えば、レーダーにより障害物の接近が検知されたときに、ドライバが行う回避操作を支援する技術が知られている(特許文献5参照)。この技術では、障害物を回避するためのステアリング操作をドライバが実行したと判定されたときに、電動パワーステアリング制御装置における電動モータのアシスト力を増大させ、ステアリングホイールを回動操作する際の操舵反力が小さくなるように制御する。これにより、障害物を回避する方向へのステアリング操作を円滑かつ迅速に行うことができる。
ところで、障害物の接近が検知されたときに、ドライバがうっかりしていたときやぼんやりしていたとき、あるいはよそ見をしていたときなどドライバの覚醒度が低い場合には、ドライバによる回避操作量に不足が生じる。しかしながら、従来の車両挙動制御装置では、ドライバの覚醒度に応じた制御は行われていないため、かかる不足分を適切に補うことができず、各車両挙動制御装置が本来有する優れた障害物回避性能が十分に発揮されてはいなかった。
また、障害物を回避した後、車両を元の走行状態に戻すときに、ドライバの覚醒度が低い場合には、ドライバによる適切な復帰操作が期待できない。その結果、車両挙動制御装置によるアシストにより、却って車両の挙動に乱れが生じる場合があり、各車両挙動制御装置が本来有する優れた走行安定性能が十分に発揮されてはいなかった。
本発明は上記に鑑みてなされたものであり、その目的は、ドライバの覚醒度が低い場合であっても、車両挙動制御装置本来の性能を十分に発揮させることができる車両制御システムを提供することにある。
上記目的を達成するため本発明は、車両の挙動を制御する車両挙動制御装置(例えば、後述の操舵回避EPS、MA−EPS、VSA、RTC、およびSH−AWDの各コントローラ1〜5)を備えた車両制御システム(例えば、後述の車両制御システムS)において、障害物の接近を検知したときに当該障害物との接触を回避するために前記車両挙動制御装置を制御する障害物回避制御手段(例えば、後述の制御部30、障害物接近判定部31、制御ゲイン算出部33)と、前記障害物との接触を回避した後に前記車両の挙動を安定化させるために前記車両挙動制御装置を制御する車両安定化制御手段(例えば、後述の制御部30、障害物回避判定部34、制御ゲイン算出部33)と、ドライバの覚醒度を判定する覚醒度判定手段(例えば、後述の覚醒レベル判定部32)と、を備え、前記障害物回避制御手段は、前記覚醒度判定手段により判定された覚醒度が低いときほど前記車両挙動制御装置の制御量を増大させ、前記車両安定化制御手段は、前記覚醒度判定手段により判定された覚醒度が低いときほど前記車両挙動制御装置の制御量を減少させることを特徴とする。
本発明に係る車両制御システムによれば、障害物の接近が検知され、当該障害物との接触を回避するために車両挙動制御装置を制御するに際して、ドライバの覚醒度が低い場合には、その制御量を増大させた。即ち、従来の車両挙動制御装置では、ドライバの覚醒度に応じた制御は行われておらず、ドライバによる回避操作量に不足が生じた場合にかかる不足分を適切に補うことができなかったところ、本発明ではその不足分を補うことができるように車両挙動制御装置の制御量を増大させた。これにより、本発明によれば、ドライバの覚醒度が低い場合であっても、車両挙動制御装置が本来有する優れた障害物回避性能を発揮させることができる。
また、本発明に係る車両制御システムによれば、障害物を回避した後、車両の挙動を安定化させるために車両挙動制御装置を制御するに際して、ドライバの覚醒度が低い場合には、その制御量を減少させた。即ち、ドライバの覚醒度が低い場合には、障害物を回避した後のドライバによる適切な復帰操作が期待できない結果、車両挙動制御装置によるアシストにより、却って車両の挙動に乱れを生じさせてしまう場合があったところ、本発明では車両の挙動に乱れを生じさせないように車両挙動制御装置の制御量を減少させた。これにより、本発明によれば、ドライバの覚醒度が低い場合であっても、車両挙動制御装置が本来有する優れた走行安定性能を発揮させることができる。
本発明によれば、ドライバの覚醒度が低い場合であっても、車両挙動制御装置本来の性能を十分に発揮させることができる車両制御システムを提供できる。
以下、本発明の実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。
本発明の一実施形態に係る車両制御システムSの構成を図1に示す。本実施形態に係る車両制御システムSは、4輪自動車に適用されるものであり、車両挙動制御装置としての操舵回避EPS(操舵回避電動パワーステアリング)、MA−EPS(Motion Adaptive−電動パワーステアリング)、VSA(Vehicle Stability Assist)、RTC(Rear Toe Control)、およびSH−AWD(Super Handling All−Wheel−Drive)の各コントローラ1〜5と、制御部30と、を備える。
操舵回避EPSコントローラ1およびMA−EPSコントローラ2は、車速センサ11、舵角センサ12、操舵トルクセンサ13、およびヨーレートセンサ14により検出される車速、操舵角(前輪舵角)、操舵トルク、およびヨーレートなどに基づいて、ドライバの手動操舵力を補助するアシスト力を発生するEPSアクチュエータ6を制御する。具体的には、ステアリングホイールから左右の前輪のナックルに至る操舵機構上に設けられた電動モータを制御するものであり、これにより、アシスト力を制御して走行安定性を向上させる。
特に、操舵回避EPSコントローラ1は、障害物を回避するときに、ステアリングホイールを回動操作する際の操舵反力が小さくなるようにアクチュエータ6のアシスト力を制御することにより、障害物を回避する方向へのステアリング操作をアシストする。
また、MA−EPSコントローラ2は、コーナリング時や滑り易い路面状況で車両の挙動に乱れが生じたときに、車両の挙動を安定化させる方向へステアリング操作する際の操舵反力が小さくなるようにアクチュエータ6のアシスト力を制御することにより、車両の挙動を安定化させるステアリング操作をアシストする。
また、MA−EPSコントローラ2は、コーナリング時や滑り易い路面状況で車両の挙動に乱れが生じたときに、車両の挙動を安定化させる方向へステアリング操作する際の操舵反力が小さくなるようにアクチュエータ6のアシスト力を制御することにより、車両の挙動を安定化させるステアリング操作をアシストする。
VSAコントローラ3は、車速センサ11、舵角センサ12、ヨーレートセンサ14、および横加速度センサ15により検出される車速、操舵角、ヨーレート、および横加速度などに基づいて、車輪の制動力を発生するVSAアクチュエータ7を制御する。具体的には、前後左右の車輪ごとのブレーキシリンダにブレーキ液圧を供給する液圧ユニットを制御するものであり、これにより、各車輪の制動力を個別に制御して走行安定性を向上させる。
RTCコントローラ4は、車速センサ11、舵角センサ12、ヨーレートセンサ14、および横加速度センサ15により検出される車速、操舵角、ヨーレート、および横加速度などに基づいて、後輪の操舵力を発生するRTCアクチュエータ8を制御する。具体的には、左右の後輪のサスペンションに設けられて押し引き動作により後輪を転舵させる直動アクチュエータなどを制御するものであり、これにより、左右の後輪のトー角を個別に制御して旋回性能や走行安定性を向上させる。
SH−AWDコントローラ5は、車速センサ11、舵角センサ12、ヨーレートセンサ14、および横加速度センサ15により検出される車速、操舵角、ヨーレート、および横加速度などに基づいて、左右駆動力配分ユニットを駆動するSH−AWDアクチュエータ9を制御する。具体的には、左右駆動力配分ユニット内の電磁クラッチなどを制御するものであり、これにより、左右の車輪間での駆動力の配分を変更して旋回性能を向上させる。
操舵回避EPS、MA−EPS、VSA、RTC、およびSH−AWDの各コントローラ1〜5は、それぞれ、制御値算出部20〜24を備える。これら制御値算出部20〜24にて、各アクチュエータ6〜9の制御値(制御目標値)が算出される。
また、各コントローラ1〜5は、それぞれ、制御値算出部20〜24で算出されて出力された各制御値に対して、後述する制御ゲイン算出部33にて算出された制御ゲインを乗じる乗算器25〜29を備える。各アクチュエータ6〜9は、制御ゲインが乗じられた各制御値に基づいて制御される。
また、各コントローラ1〜5は、それぞれ、制御値算出部20〜24で算出されて出力された各制御値に対して、後述する制御ゲイン算出部33にて算出された制御ゲインを乗じる乗算器25〜29を備える。各アクチュエータ6〜9は、制御ゲインが乗じられた各制御値に基づいて制御される。
制御部30は、障害物接近判定部31と、覚醒レベル判定部32と、制御ゲイン算出部33と、障害物回避判定部34と、を備える。また、制御部30は、図示しない車両安定化終了判定部を備える。
制御部30では、障害物が接近したときに障害物を回避するための障害物回避制御と、障害物を回避した後に車両の挙動を安定化させるための車両安定化制御と、が実行される。これら障害物回避制御と車両安定化制御については、後段で詳述する。
なお、制御部30には、車速センサ11、舵角センサ12、操舵トルクセンサ13、ヨーレートセンサ14、横加速度センサ15、レーダー16、心拍数・体温・血圧センサ17、視線検知カメラ18、車線検知カメラ19などの各センサが車載ネットワークを介して接続されている。
制御部30では、障害物が接近したときに障害物を回避するための障害物回避制御と、障害物を回避した後に車両の挙動を安定化させるための車両安定化制御と、が実行される。これら障害物回避制御と車両安定化制御については、後段で詳述する。
なお、制御部30には、車速センサ11、舵角センサ12、操舵トルクセンサ13、ヨーレートセンサ14、横加速度センサ15、レーダー16、心拍数・体温・血圧センサ17、視線検知カメラ18、車線検知カメラ19などの各センサが車載ネットワークを介して接続されている。
障害物接近判定部31は、車両のフロント部分に搭載されたミリ波レーダーなどのレーダー16により、障害物が接近しているか否かを判定する。具体的には、レーダー16により検知された障害物と車両との距離が所定の距離内であったときに、障害物が接近していると判定する。所定の距離としては、車両が障害物を十分に回避可能な距離に適宜設定される。
覚醒レベル判定部32は、ドライバの覚醒レベルを判定する。覚醒レベル判定部32は、ドライバのうっかり・ぼんやりレベルと、ドライバのよそ見レベルとに基づいて、ドライバの覚醒レベルを判定する。
例えば、後述するように、うっかり・ぼんやりレベルを3段階で判定し、よそ見レベルを2段階で判定し、これらの判定結果を合計して、覚醒レベルを5段階で判定する。ここで、うっかり・ぼんやりレベルとよそ見レベルとの合計が高いほど、覚醒レベルが低いと判定する。
例えば、後述するように、うっかり・ぼんやりレベルを3段階で判定し、よそ見レベルを2段階で判定し、これらの判定結果を合計して、覚醒レベルを5段階で判定する。ここで、うっかり・ぼんやりレベルとよそ見レベルとの合計が高いほど、覚醒レベルが低いと判定する。
うっかり・ぼんやりレベル判定では、ドライバの心拍数、体温、血圧、まばたきの回数、目をつぶる時間、車両のふらつき、に基づいて、ドライバのうっかり・ぼんやりレベルを判定する。より具体的には、ドライバの心拍数が低いか否か、体温が平熱より高いか否か、血圧が平常時より低いか否か、まばたきの回数が平常時より多いか否か、目をつぶる時間が平常時より長いか否か、車両のふらつきが大きいか否か、でうっかり・ぼんやりレベルを判定する。
なお、ドライバの心拍数、体温、血圧は、心拍数・体温・血圧センサ17により検知し、ドライバのまばたきの回数や目をつぶる時間は、車内に搭載された視線検知カメラ18により検知し、車両のふらつきは、車外に搭載された車線検知カメラ19により検知する。
なお、ドライバの心拍数、体温、血圧は、心拍数・体温・血圧センサ17により検知し、ドライバのまばたきの回数や目をつぶる時間は、車内に搭載された視線検知カメラ18により検知し、車両のふらつきは、車外に搭載された車線検知カメラ19により検知する。
よそ見レベル判定では、視線検知カメラ18により、ドライバがよそ見をしているか否かを判定する。例えば、よそ見レベルを、ドライバが前を向いている場合と、よそ見している場合との2段階で判定する。
なお、ドライバがよそ見しているか否かは、視線検知カメラ18により、ドライバの視線方向のみならず、頭部が向いている方向も検知して判定する。
なお、ドライバがよそ見しているか否かは、視線検知カメラ18により、ドライバの視線方向のみならず、頭部が向いている方向も検知して判定する。
制御ゲイン算出部33は、覚醒レベル判定部32で判定されたドライバの覚醒レベルに基づいて、操舵回避EPS、MA−EPS、VSA、RTC、およびSH−AWDの各コントローラ1〜5ごとに、制御ゲインを算出する。ここで算出された制御ゲインは、各コントローラ1〜5に向けて出力される。
制御ゲイン算出部33は、図示しない回避制御ゲイン算出部と、図示しない安定化制御ゲイン算出部とから構成される。
回避制御ゲイン算出部では、後述する障害物回避制御で用いる制御ゲイン(以下、「回避制御ゲインKA」という)を算出する。また、安定化制御ゲイン算出部では、後述する車両安定化制御で用いる制御ゲイン(以下、「安定化制御ゲインKB」という)を算出する。
回避制御ゲイン算出部では、後述する障害物回避制御で用いる制御ゲイン(以下、「回避制御ゲインKA」という)を算出する。また、安定化制御ゲイン算出部では、後述する車両安定化制御で用いる制御ゲイン(以下、「安定化制御ゲインKB」という)を算出する。
回避制御ゲイン算出部では、覚醒レベル判定部32で判定されたドライバの覚醒レベルが低いときほど、回避制御ゲインKAを大きく設定する。具体的には、図2(A)に示す回避制御ゲインKA算出関数を用いて、回避制御ゲインKAを算出する。図2(A)に示すように、ドライバの覚醒レベルが低いときほど回避制御ゲインKAが大きくなるようにして、回避制御ゲインKA算出関数が設定される。
なお、この回避制御ゲインKA算出関数は、コントローラ1〜5ごとに設定されており、コントローラ1〜5ごとに、ドライバの覚醒レベルに応じた回避制御ゲインKAが算出される。
なお、この回避制御ゲインKA算出関数は、コントローラ1〜5ごとに設定されており、コントローラ1〜5ごとに、ドライバの覚醒レベルに応じた回避制御ゲインKAが算出される。
安定化制御ゲイン算出部では、覚醒レベル判定部32で判定されたドライバの覚醒レベルが低いときほど、安定化制御ゲインKBを小さく設定する。具体的には、図2(B)に示す安定化制御ゲインKB算出関数を用いて、安定化制御ゲインKBを算出する。図2(B)に示すように、ドライバの覚醒レベルが低いときほど安定化制御ゲインKBが小さくなるようにして、安定化制御ゲインKB算出関数が設定される。
なお、この安定化制御ゲインKB算出関数は、コントローラ1〜5ごとに設定されており、コントローラ1〜5ごとに、ドライバの覚醒レベルに応じた安定化制御ゲインKBが算出される。
なお、この安定化制御ゲインKB算出関数は、コントローラ1〜5ごとに設定されており、コントローラ1〜5ごとに、ドライバの覚醒レベルに応じた安定化制御ゲインKBが算出される。
障害物回避判定部34は、車両が障害物を回避したか否かを判定する。具体的には、車両のフロント部分に搭載されたレーダー16からの情報に基づいて、障害物を回避したか否かを判定する。
車両安定化終了判定部は、障害物を回避した車両が元の走行状態に戻る際に、車両の挙動の安定化が終了したか否かを判定するものである。具体的には、車両安定化終了判定部では、舵角センサ12およびヨーレートセンサ14により検出される操舵角およびヨーレートが、それぞれ、所定時間の間、予め設定された閾値の範囲内にある場合に、車両の挙動の安定化が終了したと判定する。
次に、図3を参照して、制御部30で実行される障害物回避制御と車両安定化制御について説明する。
図3は、車両100が、進路上に存在する障害物(路上駐車中の車両)110をレーダーにより検知して回避するときの状況を示す図である。図3に示すように、障害物回避制御は、障害物接近判定部31により障害物110が接近していると判定されたときに、障害物110との接触を回避するために各車両挙動制御装置を制御するものである。この障害物回避制御では、覚醒レベル判定部32により判定された覚醒レベルが低いときほど、各車両挙動制御装置の制御量を増大させる。具体的には、図2(A)に示した回避制御ゲインKA算出関数を用いて、覚醒レベル判定部32で判定された覚醒レベルに応じた回避制御ゲインKAを算出し、これを各コントローラ1〜5で算出された制御値に乗じて各アクチュエータ6〜9を制御する。
図3は、車両100が、進路上に存在する障害物(路上駐車中の車両)110をレーダーにより検知して回避するときの状況を示す図である。図3に示すように、障害物回避制御は、障害物接近判定部31により障害物110が接近していると判定されたときに、障害物110との接触を回避するために各車両挙動制御装置を制御するものである。この障害物回避制御では、覚醒レベル判定部32により判定された覚醒レベルが低いときほど、各車両挙動制御装置の制御量を増大させる。具体的には、図2(A)に示した回避制御ゲインKA算出関数を用いて、覚醒レベル判定部32で判定された覚醒レベルに応じた回避制御ゲインKAを算出し、これを各コントローラ1〜5で算出された制御値に乗じて各アクチュエータ6〜9を制御する。
また、車両安定化制御は、障害物回避判定部34により障害物を回避したと判定されたときに、車両100の挙動を安定化させるために各車両挙動制御装置を制御するものである。即ち、図3に示すように、障害物110を回避した後、元の走行状態に戻る際に、車両100の挙動を安定化させるための制御である。この車両安定化制御では、覚醒レベル判定部32により判定された覚醒レベルが低いときほど、各車両挙動制御装置の制御量を減少させる。具体的には、図2(B)に示した安定化制御ゲインKB算出関数を用いて、覚醒レベル判定部32で判定された覚醒レベルに応じた安定化制御ゲインKBを算出し、これを各コントローラ1〜5で算出された制御値に乗じて各アクチュエータ6〜9を制御する。
次に、制御部で実行される処理の手順について説明する。
図4は、制御部で実行される処理の手順を示すフローチャートである。図4に示すように、制御部では、ドライバの覚醒レベルに応じた制御ゲインを算出する処理が実行される。この処理は、車両走行中に所定の周期で繰り返し実行される。
図4は、制御部で実行される処理の手順を示すフローチャートである。図4に示すように、制御部では、ドライバの覚醒レベルに応じた制御ゲインを算出する処理が実行される。この処理は、車両走行中に所定の周期で繰り返し実行される。
ステップS1では、ドライバの覚醒レベルを判定する。判定後はステップS2に進む。
本ステップでは、上述したように、うっかり・ぼんやりレベルを3段階で判定し、よそ見レベルを2段階で判定し、これらの判定結果から、ドライバの覚醒レベルを5段階で判定する。
本ステップでは、上述したように、うっかり・ぼんやりレベルを3段階で判定し、よそ見レベルを2段階で判定し、これらの判定結果から、ドライバの覚醒レベルを5段階で判定する。
ステップS2では、障害物が接近しているか否かを判定する。判定後はステップS3に進む。
具体的には、レーダーにより障害物が検知された場合において、検知された障害物と車両との距離が所定の距離内であったときに、障害物が接近していると判定する。このとき、障害物が接近していると判定されたときには、接近フラグを「1」に設定し、障害物が接近していないと判定されたときには、接近フラグを「0」に設定する。
具体的には、レーダーにより障害物が検知された場合において、検知された障害物と車両との距離が所定の距離内であったときに、障害物が接近していると判定する。このとき、障害物が接近していると判定されたときには、接近フラグを「1」に設定し、障害物が接近していないと判定されたときには、接近フラグを「0」に設定する。
ステップS3では、操舵回避EPS、MA−EPS、VSA、RTC、およびSH−AWDといった各車両挙動制御装置(以下、「デバイス」ともいう)の制御ゲインを算出する。具体的には、図5に示す制御ゲイン算出処理の手順に従って、障害物回避制御に使用される回避制御ゲインKA、または車両安定化制御に使用される安定化制御ゲインKBを算出する。
図5に移って、ステップS51では、ステップS1で判定されたドライバの覚醒レベルが最も高いレベルであるMAXでないかを判別する。この判別がYES、即ち覚醒レベルがMAXでないときには、ステップS52に進む。この判別がNO、即ち覚醒レベルがMAXであるときには、ステップS58に進み、各デバイスの制御ゲインを「1」に設定して通常制御とした後、ステップS59に進んで回避制御フラグを「0」に設定して制御ゲイン算出処理を終了する。
ステップS52では、接近フラグが「1」であるか否かを判別する。この判別がYESの場合、即ち障害物が接近している場合には、ステップS53の回避制御ゲインの算出処理に進む。この判別がNOの場合、即ち障害物が接近していない場合(障害物を回避した直後など)には、ステップS55に進む。
ステップS53では、回避制御ゲインの算出処理を実行する。具体的には、デバイスごとに予め設定された図2(A)に示したような回避制御ゲインKA算出関数を用いて、ステップS1で判定されたドライバの覚醒レベルに応じた回避制御ゲインKAを算出する。これにより、障害物を回避する際には、ドライバの覚醒レベルが低いときほど制御量を増大させて、各デバイスを制御することができる。
回避制御ゲインの算出処理を実行後は、ステップS54に進み、障害物を回避したことを示す回避制御フラグを「1」に設定して制御ゲイン算出処理を終了する。なお、回避制御フラグは、障害物を回避したと判定されたときに「1」に設定する。
回避制御ゲインの算出処理を実行後は、ステップS54に進み、障害物を回避したことを示す回避制御フラグを「1」に設定して制御ゲイン算出処理を終了する。なお、回避制御フラグは、障害物を回避したと判定されたときに「1」に設定する。
ステップS55では、回避制御フラグが「1」であるか否かを判別する。この判別がYESの場合、即ち障害物を回避した場合には、ステップS56に進んで車両安定化制御を実行する。一方、この判別がNOの場合、即ち障害物を回避していない、かつ障害物が接近してもいない場合には、ステップS58に進み、各デバイスの制御ゲインを「1」に設定して通常制御とした後、ステップS59に進んで回避制御フラグを「0」に設定して制御ゲイン算出処理を終了する。
ステップS56では、安定化制御ゲインの算出処理を実行する。実行後は、ステップS57に進む。
本ステップでは、具体的には、デバイスごとに予め設定された図2(B)に示したような安定化制御ゲインKB算出関数を用いて、ステップS1で判定されたドライバの覚醒レベルに応じた安定化制御ゲインKBを算出する。これにより、障害物を回避した後にもとの走行状態に戻る際には、ドライバの覚醒レベルが低いときほど制御量を減少させて、各デバイスを制御することができる。
本ステップでは、具体的には、デバイスごとに予め設定された図2(B)に示したような安定化制御ゲインKB算出関数を用いて、ステップS1で判定されたドライバの覚醒レベルに応じた安定化制御ゲインKBを算出する。これにより、障害物を回避した後にもとの走行状態に戻る際には、ドライバの覚醒レベルが低いときほど制御量を減少させて、各デバイスを制御することができる。
ステップS57では、車両の挙動の安定化が終了しているか否かを判別する。この判別がNOの場合には、今回の処理を終了する。YESの場合には、ステップS58に進み、各デバイスの制御ゲインを「1」に設定して通常制御とした後、ステップS59に進んで回避制御フラグを「0」に設定して今回の処理を終了する。
本ステップでは、具体的には、舵角センサおよびヨーレートセンサにより検出される操舵角およびヨーレートが、それぞれ、所定時間の間、予め設定された閾値の範囲内にある場合に、車両の挙動の安定化が終了したと判定する。
本ステップでは、具体的には、舵角センサおよびヨーレートセンサにより検出される操舵角およびヨーレートが、それぞれ、所定時間の間、予め設定された閾値の範囲内にある場合に、車両の挙動の安定化が終了したと判定する。
以上、詳述した本実施形態に係る車両制御システムSによれば、障害物の接近が検知され、当該障害物との接触を回避するために操舵回避EPS、MA−EPS、VSA、RTC、およびSH−AWDといった各車両挙動制御装置の制御を実行するに際して、ドライバの覚醒度が低い場合には、その制御量を増大させた。即ち、従来の車両挙動制御装置では、ドライバの覚醒度に応じた制御は行われておらず、ドライバによる回避操作量に不足が生じた場合にかかる不足分を適切に補うことができなかったところ、本実施形態によればその不足分を補うことができるように各車両挙動制御装置の制御量を増大させた。これにより、本実施形態によれば、ドライバの覚醒度が低い場合であっても、車両挙動制御装置が本来有する優れた障害物回避性能を発揮させることができる。
また、本実施形態に係る車両制御システムSによれば、障害物を回避した後、車両の挙動を安定化させるために上記の各車両挙動制御装置の制御を実行するに際して、ドライバの覚醒度が低い場合には、その制御量を減少させた。即ち、ドライバの覚醒度が低い場合には、障害物を回避した後のドライバによる適切な復帰操作が期待できない結果、車両挙動制御装置によるアシストにより、却って車両の挙動に乱れを生じさせてしまう場合があったところ、本実施形態によれば車両の挙動に乱れを生じさせないように各車両挙動制御装置の制御量を減少させた。これにより、本実施形態によれば、ドライバの覚醒度が低い場合であっても、各車両挙動制御装置が本来有する優れた走行安定性能を発揮させることができる。
本実施形態では、図4のステップS1の実行に係る手段が覚醒度判定手段に相当し、図4のステップS2〜3および図5のステップS52〜S53の実行に係る手段が障害物回避制御手段に相当し、図4のステップS2〜3および図5のステップS55〜S56の実行に係る手段が車両安定化制御手段に相当する。
なお、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲での変形、改良などは本発明に含まれる。
例えば、上記実施形態では、覚醒レベル判定部32でドライバの覚醒レベルを判定するにあたり、ドライバの心拍数、体温、血圧、まばたきの回数、目をつぶる時間、車両のふらつき、に基づいて、ドライバのうっかり・ぼんやりレベルを判定したが、これに限定されない。特開2009−247753号公報に記載の方法により、ドライバの視線および皮膚電位からドライバのうっかり・ぼんやりレベルを判定してもよい。
また、上記実施形態では、制御値算出部20〜24から出力される制御値に対して、制御ゲインを乗じる乗算器26〜29を設け、乗算により制御値を補正する構成としたが、これに限定されない。例えば、加減算により制御量を変更する構成としてもよい。
また、上記実施形態では、ミリ波レーダーなどのレーダー16により、車両の進路上の障害物の接近を判定するようにしたが、これに限定されない。例えば、車両の前方を撮影するカメラによる撮影画像の画像処理により取得した障害物情報や、GPSによるカーナビゲーション装置から提供される障害物情報に基づいて障害物の接近を判定する構成としてもよい。さらには、これらの手法を適宜組み合わせて構成してもよい。
また、上記実施形態では、車両挙動制御装置としての操舵回避EPS、MA−EPS、VSA、RTC、およびSH−AWDの各コントローラ1〜5の全てで、ドライバの覚醒レベルに応じた制御量の変更を行う構成としたが、これに限定されない。これらの一部のみで制御量の変更を行う構成としてもよく、上記以外の車両挙動制御装置で制御量の変更を行う構成としてもよい。
1…操舵回避EPSコントローラ(車両挙動制御装置)
2…MA−EPSコントローラ(車両挙動制御装置)
3…VSAコントローラ(車両挙動制御装置)
4…RTCコントローラ(車両挙動制御装置)
5…SH−AWDコントローラ(車両挙動制御装置)
30…制御部(障害物回避制御手段、車両安定化制御手段、覚醒度判定手段)
31…障害物接近判定部(障害物回避制御手段)
32…覚醒レベル判定部(覚醒度判定手段)
33…制御ゲイン算出部(障害物回避制御手段、車両安定化制御手段)
34…障害物回避判定部(車両安定化制御手段)
2…MA−EPSコントローラ(車両挙動制御装置)
3…VSAコントローラ(車両挙動制御装置)
4…RTCコントローラ(車両挙動制御装置)
5…SH−AWDコントローラ(車両挙動制御装置)
30…制御部(障害物回避制御手段、車両安定化制御手段、覚醒度判定手段)
31…障害物接近判定部(障害物回避制御手段)
32…覚醒レベル判定部(覚醒度判定手段)
33…制御ゲイン算出部(障害物回避制御手段、車両安定化制御手段)
34…障害物回避判定部(車両安定化制御手段)
Claims (1)
- 車両の挙動を制御する車両挙動制御装置を備えた車両制御システムにおいて、
障害物が接近したときに当該障害物との接触を回避するために前記車両挙動制御装置を制御する障害物回避制御手段と、
前記障害物との接触を回避した後に前記車両の挙動を安定化させるために前記車両挙動制御装置を制御する車両安定化制御手段と、
ドライバの覚醒度を判定する覚醒度判定手段と、を備え、
前記障害物回避制御手段は、前記覚醒度判定手段により判定された覚醒度が低いときほど前記車両挙動制御装置の制御量を増大させ、
前記車両安定化制御手段は、前記覚醒度判定手段により判定された覚醒度が低いときほど前記車両挙動制御装置の制御量を減少させることを特徴とする車両制御システム。
Priority Applications (1)
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JP2009297296A JP2011136627A (ja) | 2009-12-28 | 2009-12-28 | 車両制御システム |
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