JP2011135089A - 化学機械研磨用水系分散体 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】研磨粒子、両親媒性化合物及び水を含有する水系分散体とする。この両親媒性化合物は、水系分散体と大気との界面に、水の散逸が抑えられる境界膜を形成し、保管時、或いは搬送時における研磨粒子等からなる固形物の発生が防止される。両親媒性化合物としては、脂肪族アルコール類、脂肪酸、ソルビタン脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル、プロピレングリコール脂肪酸エステル及びポリエチレングリコールと脂肪酸とのエステル等を使用することができる。この両親媒性化合物としては、親水親油バランスを表すHLB値が0より大きく6以下である化合物が特に好ましい。
【選択図】なし
Description
この第2発明における境界膜は、第3発明のように、両親媒性化合物からなり、上記水の散逸を抑えるものとして理解される。即ち、第2及び第3発明では、水系分散体と大気との界面に形成される上記「境界膜」によって、保管時の気液界面、或いは搬送時の容器の揺動等により内壁面上部に付着した水系分散体から水が散逸することによる固形物の発生が抑制される。
無機粒子としては、シリカ、アルミナ、セリア、ジルコニア及びチタニア等が挙げられる。この無機粒子としては、ヒュームド法(高温火炎加水分解法)及びナノフェーズテクノロジー社法(金属蒸着酸化法)等の気相法により合成されたものが高純度であって特に好ましい。
熱可塑性樹脂からなる重合体粒子と熱硬化性樹脂からなる重合体粒子とは併用することができる。
有機/無機複合粒子としては、有機粒子が無機粒子により均一に被覆されてなる複合粒子、無機粒子に重合体が付着又は結合してなる複合粒子、或いは無機粒子の表面に重合体からなる皮膜が形成されてなる複合粒子等が挙げられる。また、無機粒子及び有機粒子並びに有機/無機複合粒子は併用することができる。
〔1〕脂肪族アルコール類;炭素数6〜18のモノアルコール類並びに炭素数12〜18のジオール類及び炭素数12〜18のトリオール類等のポリオールを好適に使用することができる。その具体例としては、ヘキサノール(HLB値;約6)、ヘプタノール、オクタノール、デカノール、ドデカノール、テトラデカノール(HLB値;約1)、ヘキサデカノール、オクタデカノール及びオレイルアルコール等が挙げられる。
これらのうち炭素数12〜18のモノアルコール類が好ましく、特にテトラデカノール、ヘキサデカノール、オクタデカノール及びオレイルアルコール等が好ましい。
これらのうち炭素数12〜18の脂肪酸が好ましく、特にステアリン酸、オレイン酸(HLB値;約1)、リノール酸及びリノレン酸等が好ましい。
ソルビタンは工業的には1,4−ソルビタン、1,5−ソルビタン及び1,4−ソルビタンから更に1分子脱水したものなどの混合物として用いられる。ソルビタン脂肪酸エステルは、この混合物と高級脂肪酸とからなるモノ、ジ、トリ及びテトラエステルである。また、ソルビタントリステアレート、ソルビタントリオレエート等のトリエステル及びソルビタンテトラステアレートなどが特に好ましく、通常、これらの各エステルの混合物からなるものを用いることができる。
〔5〕プロピレングリコール脂肪酸エステル;プロピレングリコールと炭素数12〜18の脂肪酸とのエステルを好適に使用することができる。その具体例としては、プロピレングリコールモノステアレート(HLB値;3.4)、プロピレングリコールモノラウレート(HLB値;4.5)等が挙げられる。
これらのうちプロピレングリコールモノステアレートが特に好ましい。
尚、上記〔3〕〜〔6〕のエステルは、炭素数の少ないアルコールと炭素数の多い酸により形成されているが、この他、炭素数の多いアルコールと炭素数の少ない酸により形成されるエステルを使用することもできる。
また、以上の両親媒性化合物は1種のみを用いてもよいし、〔1〕〜〔6〕の各々の化合物のうちから2種以上を、或いは〔1〕〜〔6〕の異なる種類のうちの2種以上を併用することもできる。
両親媒性化合物は水系分散体を攪拌しながら直接添加することもでき、水で予め希釈してから添加することもできる。また、脂肪族アルコール類及び脂肪酸の場合は、一定量の水により、或いはそれに更に乳化剤を配合し、予め乳化させた後、添加することもできる。例えば、両親媒性化合物20〜40部に、水60〜80部及び好ましくはアニオン系又はノニオン系の界面活性剤0.01〜0.1部を配合し、攪拌して乳化させた後、添加することができる。
このHLB値は0より大きく6以下、好ましくは0.1〜6であり、特に0.3〜5、更には0.5〜4であることがより好ましい。HLB値が6を越えると水の散逸を十分に抑えることができる境界膜が形成されず、乾燥による固形物が発生することがあるため好ましくない。
尚、このHLB値は分子構造或いは実験により求められる値であり、HLB値を求めるための式も多数提案されている。例えば、グリフィンにより提唱されている下記の計算式によって算出することができる。
HLB値=20*(親水基の重量%)
(1)研磨粒子を含む水分散体の製造
製造例1[シリカ粒子を含む水分散体の製造]
ヒュームド法シリカ(日本アエロジル株式会社製、商品名「アエロジル#50」)20kgを、攪拌具及び容器の接液部をウレタン樹脂でコーティングした遊星方式の混練機(特殊機化工業株式会社製、型式「TKハイビスディスパーミックス・HDM−3D−20」)中の蒸留水27kgに、ひねりブレードを主回転軸18rpm、副回転軸36rpmで回転させ、混練しながら30分かけて連続的に添加した。その後、更に1時間、全固形分43%の状態で、ひねりブレードの副回転軸を54rpmで回転させる混練操作と、直径80mmのコーレス型高速回転翼の副回転軸を2700rpmで回転させる分散処理を、それぞれ主回転軸を10rpmで回転させながら、同時に実施した。
ヒュームド法シリカに代え、ヒュームド法アルミナ(デグサ社製、商品名「A-luminium Oxide C」)17kgを用いた他は、製造例1と同様にして全固形分30%の水分散体を得た。この水分散体に含まれるアルミナの平均粒子径は0.18μmであった。
実施例1〜3及び比較例1〜2
実施例1〜3では所定量の両親媒性化合物を添加し、表1に示す組成を有する化学機械研磨用水系分散体を調製した。尚、両親媒性化合物の詳細は下記のとおりである。
ソルビタントリオレエート;非イオン性界面活性剤(株式会社花王製、商品名「レオドールSP−O30」)、HLB値;1.8
オレイン酸乳化物;30部のオレイン酸に、70部の水と0.1部のラウリル硫酸アンモニウム(株式会社花王製、商品名「ラテムルAD25」)とを添加し、攪拌して乳化させた乳化物、HLB値;1.4
ヘキサデカノール;HLB値;1.0
尚、比較例2において用いたエチレングリコールは親水性化合物であり、そのHLB値は約10である。
〔1〕乾燥性及び固形物の発生の有無
ガラス板の表面に0.1ミリリットルの水系分散体を滴下し、23℃で完全に乾燥するまでに要する時間を測定した。また、容量2リットルのポリエチレン製の瓶に1.8kgの水系分散体を投入して密閉し、40℃で48時間保持(但し、12、24、36及び48時間経過毎に瓶を1分間振とうさせた。)した後、300メッシュの金網を用いて濾過し、乾燥させ、金網上の固形物の有無を目視で観察した。
(2)で調製した水系分散体を使用し、8インチ配線付きウェハ(SKW Associates社製、商品名「SKW−5」、膜厚;15000Å)を、多孔質ポリウレタン製の研磨パッド(ロデールニッタ社製、商品名「ICl000」)が装着された化学機械研磨装置(ラップマスターSFT社製、型式「LGP−510」)にセットし、加重250g/cm2になるようにして研磨を行った。ウレタンパッド表面には水系分散体を200cc/分の速度で供給しながら、定盤回転数30rpmで3分間回転研磨した。
4探針法による抵抗率測定器(NSP社製、シグマ5型)により測定したシート抵抗に基づき、予め作成した検量線から残留膜厚を求め、下記の式に従って算出した。
研磨速度(Å/分)=(研磨前膜厚−残留膜厚)/研磨時間
研磨後の被研磨面のスクラッチの有無を触針式表面粗さ計(ケーエルエー・テンコール社製、型式「KLA2112」)によって評価した。
尚、〔2〕の研磨試験は、〔1〕の固形物発生の有無の評価の前後において行った。
以上、乾燥時間、固形物の有無、研磨速度及びスクラッチの有無の評価結果を表1に併記する。
Claims (4)
- 研磨粒子、両親媒性化合物及び水を含有することを特徴とする化学機械研磨用水系分散体。
- 研磨粒子及び水を含有する水系分散体であって、該水系分散体と大気との界面に境界膜が形成されることを特徴とする化学機械研磨用水系分散体。
- 上記境界膜が両親媒性化合物からなる請求項2記載の化学機械研磨用水系分散体。
- 上記両親媒性化合物の親水親油バランスを表すHLB値が0より大きく6以下である請求項1又は3記載の化学機械研磨用水系分散体。
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Citations (1)
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JPH1067986A (ja) * | 1996-06-06 | 1998-03-10 | Cabot Corp | フッ化物添加剤を含む化学的・機械的研磨用スラリーとその使用方法 |
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JPH1067986A (ja) * | 1996-06-06 | 1998-03-10 | Cabot Corp | フッ化物添加剤を含む化学的・機械的研磨用スラリーとその使用方法 |
Non-Patent Citations (2)
Title |
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JPN6014007928; 化学大辞典編集委員会: 化学大辞典 7 縮刷版 縮刷版第30刷発行, 19870215, 539,540頁, 共立出版株式会社 |
JPN6014007939; 長倉三郎 外5名編: 岩波理化学辞典 第5版 第5版第3刷発行, 19981225, 1474頁, 株式会社 岩波書店 |
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