JP2011132508A - ポリシロキサン変性ポリヒドロキシポリウレタン樹脂、該樹脂の製造方法及び樹脂組成物 - Google Patents
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Abstract
Description
一方、増加の一途をたどる二酸化炭素の排出に起因すると考えられる地球の温暖化現象が、近年、世界的な問題となっており、二酸化炭素の排出量低減は、全世界的に重要な課題となっており、二酸化炭素を製造原料とできる技術は待望されている。さらに、枯渇性石化資源(石油)問題の観点からも、バイオマス、メタンなどの再生可能資源への転換が世界的潮流となっている。
すなわち、本発明は、下記一般式(1)で表せる5員環環状カーボネートポリシロキサン化合物とアミン化合物との反応から誘導されてなることを特徴とするポリシロキサン変性ポリヒドロキシポリウレタン樹脂を提供する。
式中のR1は炭素数1〜12のアルキレン基(該基中にO、S、またはNの各元素による連結及び/又は−(C2H4O)b−による連結を有していてもよい)を表す。式中のR2は、ないか、または、炭素数2〜20のアルキレン基を表し、R2は、脂環族基または芳香族基に連結していてもよい。bは1〜300の数を表わし、aは1〜300の数を表す。]
攪拌機、温度計、ガス導入管及び還流冷却器を備えた反応容器中に、下記式Aで表される2価エポキシ変性ポリシロキサン100部、N−メチルピロリドン100部、ヨウ化ナトリウム1.2部を加え均一に溶解させた。その後、これに、炭酸ガスを、0.5リッター/分の速度でバブリングしながら、80℃で30時間加熱攪拌した。上記で使用した2価エポキシ変性ポリシロキサンは、信越化学工業(株)製のX−22−163(エポキシ当量198g/mol)であり、図1にその赤外吸収スペクトルを示した。
本製造例では、先の製造例1で用いた2価エポキシ変性ポリシロキサンAの代わりに、下記式Bで示される2価エポキシ変性ポリシロキサンB(信越化学工業(株)製、KF−105;エポキシ当量485g/mol)を用いた。そして、これ以外は、製造例1と同様に反応させて、無色透明の液状5員環環状カーボネートポリシロキサン化合物(1−B)99部(収率91%)を得た。得られた生成物(1−B)を、製造例1の場合と同様に、赤外吸収スペクトル、GPC、NMRで確認した。また、得られた5員環環状カーボネートポリシロキサン化合物(1−B)中には、8.3%の二酸化炭素が固定化されていた。
本製造例では、先の製造例1で用いた2価エポキシ変性ポリシロキサンAの代わりに、下記式Cで示される2価エポキシ変性ポリシロキサンC(信越化学工業(株)製、X−22−169AS;エポキシ当量533g/mol)を用いた。そして、これ以外は、製造例1と同様に反応させて、無色透明の液状5員環環状カーボネートポリシロキサン化合物(1−C)71部(収率68%)を得た。得られた生成物は、製造例1の場合と同様に、赤外吸収スペクトル、GPC、NMRで確認した。また、得られた5員環環状カーボネートポリシロキサン化合物(1−C)中には、7.6%の二酸化炭素が固定化されていた。
本比較製造例では、先の製造例1で用いた2価エポキシ変性ポリシロキサンAの代わりに、下記式Dで表される2価エポキシ化合物D(ジャパンエポキシレジン(株)製、エピコート828;エポキシ当量187g/mol)を用いた。そして、これ以外は、製造例1と同様に反応させて、白色粉末の5員環環状カーボネート化合物(1−D)118部(収率95%)を得た。
生成物は赤外吸収スペクトル、GPC、NMRで確認した。得られた5員環環状カーボネート化合物(1−D)中には、19%の二酸化炭素が固定化されていた。
攪拌機、温度計、ガス導入管及び還流冷却器を備えた反応容器を窒素置換し、これに、先の製造例1〜3で得られた5員環環状カーボネートポリシロキサン化合物を加え、更に固形分が35%になるようにN−メチルピロリドンを加え均一に溶解した。次に、表1に記載のアミン化合物を所定当量加え、90℃の温度で10時間攪拌し、アミン化合物が確認できなくなるまで反応させた。
上記で得られた実施例1〜3の3種類のポリシロキサン変性ポリヒドロキシポリウレタン樹脂の性状は、表1に記載の通りである。
攪拌機、温度計、ガス導入管及び還流冷却器を備えた反応容器を窒素置換し、これに、先の比較製造例1で得られた5員環環状カーボネート化合物を加え、更に固形分が35%になるようにN−メチルピロリドンを加え均一に溶解した。次に、ヘキサメチレンジアミンを所定当量加え、90℃の温度で10時間攪拌し、アミン化合物が確認できなくなるまで反応させた。得られたポリシロキサンセグメントを有さないポリヒドロキシポリウレタン樹脂の性状は、表1に記載の通りである。
下記のようにして、ポリエステルとジオールとジアミンとから従来の比較例2のポリウレタン樹脂を合成した。攪拌機、温度計、ガス導入管及び還流冷却器を備えた反応容器を窒素置換し、該容器内に、平均分子量約2,000のポリブチレンアジペート150部と、1,4−ブタンジオール15部とを、200部のメチルエチルケトンと、50部のジメチルホルムアミドからなる混合有機溶剤中に溶解した。その後、60℃でよく攪拌しながら、62部の水添加MDIを、171部のジメチルホルムアミドに溶解したものを徐々に滴下し、滴下終了後、80℃で6時間反応させた。
この溶液は固形分35%で3.2MPa・s(25℃)の粘度を有していた。この溶液から得られたフィルムは、破断強度45MPaで、破断伸度480%を有し、熱軟化温度は110℃であった。
下記のようにして、ジオールとジアミンとから従来の比較例3のポリシロキサン変性ポリウレタン樹脂を合成した。具体的には、下記式(E)で表され、且つ平均分子量が約3,200であるポリジメチルシロキサンジオール150部及び1,4−ブタンジオール10部を、200部のメチルエチルケトンと、50部のジメチルホルムアミドからなる混合有機溶媒を加え、又、40部の水添加MDIを、120部のジメチルホルムアミドに溶解したものを徐々に滴下し、滴下終了後、80℃で6時間反応させた。この溶液は、固形分35%で1.6MPa・s(25℃)の粘度を有し、この溶液から得られたフィルムは破断強度21MPaで破断伸度250%を有し、熱軟化温度は135℃であった。
先に調製した実施例1〜3及び比較例1〜3の各ポリウレタン樹脂溶液(固形分35%)をそれぞれ用い、表2に示したように必要に応じて架橋剤を添加して実施例4〜9及び比較例4〜9の塗料組成物(樹脂組成物)を得た。これらを用い、下記のようにして感熱記録材料を作製し、評価した。具体的には、各樹脂組成物を用い、基材シート表面に耐熱保護層をそれぞれ形成した。
すなわち、乾燥後の厚みが0.2μmになるように上記樹脂溶液を溶剤で希釈して、塗料組成物(樹脂組成物)を得、該組成物を厚み3.5μmのポリエチレンテレフタレートフィルム(東レ製)の表面に、グラビア印刷により塗布し、乾燥機中で乾燥して基材シート表面に耐熱保護層を形成した。さらに、形成した耐熱保護層の反対側の基材フィルム(シート)面に、感熱記録層(転写インキ層)を形成して実施例4〜9及び比較例4〜9の各感熱記録材料を作製した。転写インキ層の形成については後述する。
シリコーン樹脂(KS−841、信越化学工業(株)製)100部と、触媒(PL−7、信越化学工業(株)製)1部とをトルエン1,000部に溶解して、シリコーン樹脂の本比較例の塗料組成物を作製した。そして、上記と同様に基材シート上に塗布し耐熱保護層を形成した。
次に、以上で得た、実施例4〜9及び比較例4〜10の各塗料組成物によって形成された耐熱保護層を有するポリエチレンテレフタレートフィルム面の反対側の面に、転写インキ層を形成し、各感熱記録材料を得た。具体的には、耐熱保護層を有するポリエチレンテレフタレートフィルム面の反対側の面に、下記組成のインキ組成物を100℃に加熱して、ホットメルトによるロールコート法にて塗布厚みが5μmになるように塗布して、転写インキ層を形成した。このようにして実施例及び比較例の各塗料を利用して得た実施品の感熱記録材料を、それぞれ実施例4A〜9A及び比較例4A〜10Aとした。
・パラフィンワックス 10部
・カルナバワックス 10部
・ポリブテン(日本石油製) 1部
・カーボンブラック 2部
以上ようにして得られたフィルム状の各感熱記録材料を用いて、下記の印字条件で印字を行い、感熱記録の実装試験をした。そして、スティッキング性、サーマルヘッド汚染性、基材への接着性、静止摩擦係数、帯電性、環境対応度などを以下の方法でそれぞれ評価し、感熱記録材料の背面に形成した「耐熱保護層」を評価した。表3に、評価結果をまとめて示した。
プリンター:Zebra社100XiIIIPlus
サーマルヘッド:京セラ製 KPA−106−12TA(フラット)
印字エネルギー:25mJ/mm2
印字スピード:100mm/sec
プラテン押圧:350gf/cm
受容紙:キャストコート紙(リンテック社製)
印字パターン:コード巾30mm長さ約40mmの印字条件において、CODE39タテバーコード
スティッキング性は、上記実装試験に感熱記録材料を供した場合の、サーマルヘッドとの間の押圧操作時における「耐熱保護層」のサーマルヘッドからの離脱性を目視で観察し、評価した。評価基準は、最も離脱性の良いものを5とし、最も離脱性の悪いものを1とし、相対的に5段階評価した。
サーマルヘッドの汚れは、感熱記録の実装試験に供した後のサーマルヘッドの汚れの状態を目視で観察して評価した。評価基準は、最も汚れの少ないものを5とし、最も汚れのひどいものを1とし、相対的に5段階評価した。接着性試験は、感熱記録材料の背面に形成されている「耐熱保護層」に対して、10×10個の碁盤目セロハンテープ剥離試験を行って、剥離後の残った個数で評価した。また、静止摩擦係数は、「耐熱保護層」について表面性試験機(新東科学製)を用いて測定し、評価した。
更に、帯電性は、フィルム状の感熱記録材料を、巻物の状態から急激に剥離した時に発生する静電気によるフィルム同士のブロッキング性を目視で観測し、ブロッキングが発生した場合を×、発生しない場合を○として評価した。環境対応度は、「耐熱保護層」の形成材料中における二酸化炭素の固定化の有無で、○×判断した。
先に得た各樹脂をそれぞれ使用し、表4、5に記載した配合の擬革用塗料をそれぞれ作製し、人工皮革及び合成皮革を得た。そして、得られた人工皮革及び合成皮革について評価した。
まず、先に得た実施例1〜3、比較例1〜3の各樹脂の溶液を、厚さ1mmとなるように、ポリスチレン−ポリエステル繊維からなる不織布上に塗布した。これを、25℃のDMF10%の水溶液中に浸漬し、凝固させた。洗浄後、加熱乾燥し、多孔層シートを有する人工皮革を得た。
織布上に接着剤層としてポリウレタン系樹脂溶液(商品名:レザミンUD−602S、大日精化工業(株)製)を、乾燥時の厚さが10μmとなるように塗布及び乾燥して、擬革用基布シートを作成した。一方、実施例1〜3及び比較例1〜3で得た樹脂溶液を用い、これを含む擬革用塗料をそれぞれ調製し、各塗料を離型紙上に塗布及び乾燥させ、約15μmの厚さのフィルムを形成し、これを上記で得た基布シートに貼り合せて各合成皮革を得た。
上記で得た各人工皮革及び合成皮革の各擬革について、下記の方法及び基準で評価した。人工皮革については表4に、合成皮革については表5に、それぞれ評価結果をまとめて示した。
各擬革に触って、その手の感触により、下記の基準で評価した。
○:軟らかい
△:やや硬い
×:硬い
各擬革表面の摩擦係数を表面性試験機(新東科学製)を用いて測定し、評価した。
各合成皮革表面にトルエンをそれぞれ滴下し、常に濡れている状態を保つため溶剤を追加滴下し、1時間後に拭き取って、滴下部分を目視で観察し、下記の基準で評価した。
○:塗布面に滴下痕が全く見られない
△:僅かに滴下痕が認められるが目立たない
×:滴下痕が明らかに認められる
各合成皮革に対して、平面摩耗試験機を用い、6号帆布を荷重1kgfで擦り傷が発生するまでの回数を測定し、下記の基準で評価した。
○:5,000回以上
△:2,000回以上〜5,000回未満
×:2,000回未満
各擬革について、作製に使用した樹脂中における二酸化炭素の固定化の有無によって、○×判断した。
Claims (8)
- 前記5員環環状カーボネートポリシロキサン化合物が、エポキシ変性ポリシロキサン化合物と二酸化炭素とを反応させて得られたものである請求項1に記載のポリシロキサン変性ポリヒドロキシポリウレタン樹脂。
- 原料由来の二酸化炭素を1〜25質量%含有してなる請求項2に記載のポリシロキサン変性ポリヒドロキシポリウレタン樹脂。
- 樹脂の分子中に占めるポリシロキサンセグメントの含有量が、1〜75質量%である請求項1乃至3のいずれか1項に記載のポリシロキサン変性ポリヒドロキシポリウレタン樹脂。
- 請求項1乃至4のいずれか1項に記載のポリシロキサン変性ポリヒドロキシポリウレタン樹脂と、他の樹脂を混合してなることを特徴とするポリシロキサン変性ポリヒドロキシポリウレタン樹脂組成物。
- 請求項1乃至4のいずれか1項に記載のポリシロキサン変性ポリヒドロキシポリウレタン樹脂と、該ポリシロキサン変性ポリヒドロキシポリウレタン樹脂の構造中に存在する水酸基と反応し得る架橋剤を含むことを特徴とするポリシロキサン変性ポリヒドロキシポリウレタン樹脂組成物。
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