JP2011132352A - 透明熱可塑性樹脂組成物および樹脂成形品 - Google Patents

透明熱可塑性樹脂組成物および樹脂成形品 Download PDF

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Abstract

【課題】透明性、靱性、表面硬度に優れた透明熱可塑性樹脂組成物を提供する。
【解決手段】芳香族ビニル化合物に由来する構造単位60〜80質量%とシアン化ビニル化合物に由来する構造単位20〜40質量%を含有する共重合体A(但し、これら2つの構造単位の含有量の合計を100質量%とする)と、芳香族ビニル化合物に由来する構造単位1〜53質量%、シアン化ビニル化合物に由来する構造単位1〜42質量%、(メタ)アクリル酸エステル化合物に由来する構造単位45〜85質量%を含有する共重合体B(但し、これら3つの構造単位の合計を100質量%とする)とを含有し、A/Bの割合が10〜90/90〜10(質量比)であり、厚さ2.4mmの樹脂単独成形品について測定した全光線透過率が70%以上であり、Hazeが20%以下である透明熱可塑性樹脂組成物。
【選択図】なし

Description

本発明は、透明熱可塑性樹脂組成物および成形品に関する。
アクリロニトリル・スチレン共重合体(AS樹脂)に代表される、芳香族ビニル系単量体とシアン化ビニル系単量体からなる共重合体は、透明性および靱性に優れており、OA機器分野、電気・電子機器分野などで一般に使用されているが、表面硬度が十分とは言えない。そのため、成形品の組み立てラインへの輸送、製品の市場への郵送などに際して特別の梱包材を使用する、個別に包装する、速度を落とす等、多大な手間とコストが必要となる場合がある。
従来、表面硬度を改良して耐傷付性を付与する手段として、樹脂組成物の一成分として(メタ)アクリレート樹脂を使用する方法が知られている(例えば特許文献1及び2)。そこで、前記の問題を解決するため、上記の教示に倣って共重合成分として(メタ)アクリレートを使用する方法が考えられる。しかしながら、(メタ)アクリレート・アクリロニトリル・スチレン共重合体(MAS樹脂)は、表面硬度に優れるものの、靭性が低いという問題がある。
特開2008−291158号公報 特開2009−67970号公報
本発明は、上記実情に鑑みなされたものであり、その目的は、透明性、靱性、表面硬度に優れた透明熱可塑性樹脂組成物、及びその熱可塑性樹脂成形品を提供することにある。
本発明者らは、上記の目的を達成すべく鋭意検討した結果、AS樹脂とMAS樹脂とで樹脂組成物を調製し、この際、使用する両樹脂のアクリロニトリル(AN)成分の含有量を特定範囲に調節するならば、意外にも、AS樹脂の優れた透明性および靱性を何ら損なうことなく表面硬度を改良し得るとの知見を得、本発明に到達した。
すなわち、本発明の第1の要旨は、芳香族ビニル化合物に由来する構造単位60〜80質量%とシアン化ビニル化合物に由来する構造単位20〜40質量%を含有する共重合体A(但し、これら2つの構造単位の含有量の合計を100質量%とする)と、芳香族ビニル化合物に由来する構造単位1〜53質量%、シアン化ビニル化合物に由来する構造単位1〜42質量%、(メタ)アクリル酸エステル化合物に由来する構造単位45〜85質量%を含有する共重合体B(但し、これら3つの構造単位の合計を100質量%とする)とを含有し、A/Bの割合が10〜90/90〜10(質量比)であり、厚さ2.4mmの樹脂単独成形品について測定した全光線透過率が70%以上であり、Hazeが20%以下であることを特徴とする透明熱可塑性樹脂組成物に存する。
そして、本発明の第2の要旨は、上記の透明熱可塑性樹脂組成物から成ることを特徴とする樹脂成形品に存する。
本発明により、透明性、靱性、表面硬度に優れた透明熱可塑性樹脂組成物、及びその熱可塑性樹脂成形品が提供される。
図1は、本発明の樹脂組成物に一層高度な透明性を付与する観点から決定された、共重合体A中のシアン化ビニル化合物に由来する構造単位の含有量(質量%):AN(A)と共重合体B中のシアン化ビニル化合物に由来する構造単位の含有量(質量%):AN(B)との好ましい関係を示すグラフであり、横軸はAN(A)の質量%、縦軸はAN(B)の質量%を表す。
以下、本発明を詳しく説明する。なお、本明細書において、「(メタ)アクリレート」とは、アクリレート及び/又はメタクリレートを意味する。本発明の透明熱可塑性樹脂組成物を単に「樹脂組成物」と略記する。また、便宜上、共重合体体中の各「単量体に由来する構造単位」を単に「単量体」として表現することがある。
本発明で使用する共重合体Aは、芳香族ビニル化合物とシアン化ビニル化合物を含有する単量体組成物(A)を重合して得られる。
芳香族ビニル化合物としては、スチレン、α−メチルスチレン、o−メチルスチレン、p−メチルスチレン、エチルスチレン、p−t−ブチルスチレン、ビニルナフタレン等が挙げられ、これらは二種以上を併用してもよい。これらの中ではスチレン及びα−メチルスチレンが好ましい。一方、シアン化ビニル化合物としては、アクリロニトリル、メタアクリロニトリル等が挙げられ、これらの中ではアクリロニトリルが好ましい。
共重合体Aの芳香族ビニル化合物に由来する構造単位の含有量は、60〜80質量%、好ましくは67〜80質量%、更に好ましくは73〜79質量%であり、シアン化ビニル化合物に由来する構造体の含有量は、20〜40質量%、好ましくは20〜33質量%、更に好ましくは21〜27質量%である(なお、上記の2種類の構造体の含有量の合計を100質量%とする)。
芳香族ビニル化合物の含有量が60質量%未満(シアン化ビニル化合物の含有量が40質量%超過)の場合は、最終目的物である樹脂組成物の色調および透明性が低下し、芳香族ビニル化合物の含有量が80質量%超過(シアン化ビニル化合物の含有量が20質量%未満)の場合は、樹脂組成物の靭性が低下する。
共重合体Aの重量平均分子量は、通常50,000〜200,000、好ましくは70,000〜180,000である。重量平均分子量が50,000未満の場合は最終目的物である樹脂組成物の靭性が低下し、200,000超過の場合は樹脂組成物の成型性が低下する傾向がある。重量平均分子量は、例えば、溶媒としてテトラヒドロフランを使用したGPC法によって測定することが出来る。
共重合体Aの製造の際、最終目的物である樹脂組成物の透明性を阻害しない範囲で芳香族ビニル化合物およびシアン化ビニル化合物の他に共重合可能な単量体を使用することが出来る。共重合可能な単量体としては、メチルアクリレート、エチルアクリレート、ブチルアクリレート等のアクリル酸エステルや同様な置換体のメタクリル酸エステル以外の単量体であり、例えば、アクリル酸、メタクリル酸などのアクリル酸類;N−フェニルマレイミド、N−メチルマレイミド等のN−置換マレイミド系単量体;グリシジルメタクリレート等のグリシジル基含有単量体などが挙げられる。これらの中では、N−フェニルマレイミド又はグリシジルメタクリレートが好ましい。これらの単量体の使用量は、通常10質量%未満、好ましくは5質量%未満、更に好ましくは3質量%未満である。
本発明で使用する共重合体Bは、芳香族ビニル化合物、シアン化ビニル化合物、(メタ)アクリル酸エステル化合物を含有する単量体組成物(B)を重合して得られる。
単量体組成物(B)における芳香族ビニル化合物およびシアン化ビニル化合物としては、単量体組成物(A)におけるのと同様のものが使用される。一方、(メタ)アクリル酸エステル化合物としては、例えば、メチルアクリレート、エチルアクリレート、プロピルアクリレート、ブチルアクリレート、アミノアクリレート、ヘキシルアクリレート、オクチルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、シクロヘキシルアクリレート、ドデシルアクリレート、オクタデシルアクリレート、フェニルアクリレート、ベンジルアクリレート等のアクリル酸エステル;メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、プロピルメタクリレート、ブチルメタクリレート、アミルメタクリレート、ヘキシルメタクリレート、オクチルメタクリレート、2−エチルヘキシルメタクリレート、シクロヘキシルメタクリレート、ドデシルメタクリレート、オクタデシルメタクリレート、フェニルメタクリレート、ベンジルメタクリレート等のメタクリル酸エステル挙げられる。これらの中ではメチルアクリレート又はメチルメタクリレートが好ましい。
共重合体Bにおける芳香族ビニル化合物に由来する構造単位の含有量は、1〜53質量%、好ましくは5〜46質量%、更に好ましくは10〜33質量%、シアン化ビニル化合物に由来する構造単位の含有は、1〜42質量%、好ましくは1〜31.5質量%、更に好ましくは4〜29.5質量%、特に好ましくは6.5〜19.5質量%、(メタ)アクリル酸エステル化合物に由来する構造単位の含有量は、45〜85質量%、好ましくは50〜80質量%、更に好ましくは60〜70質量%である(なお、上記の3種類の構造単位の含有量の合計を100質量%とする)。
芳香族ビニル化合物の含有量が1質量%未満の場合は、最終目的物である樹脂組成物の色調および透明性が低下し、芳香族ビニル化合物の含有量が53質量%超過の場合は、脂組成物の靭性および透明性が低下する。シアン化ビニル化合物の含有量が1質量%未満の場合は、最終目的物である樹脂組成物の靭性および透明性が低下し、シアン化ビニル化合物の含有量が42質量%超過の場合は、樹脂組成物の色調および透明性が低下する。(メタ)アクリル酸エステル化合物の含有量が45質量%未満の場合は、最終目的物である樹脂組成物の表面硬度および透明性が低下し、(メタ)アクリル酸エステル化合物の含有量が85質量%超過の場合は、樹脂組成物の靭性および透明性が低下する。
共重合体Bの重量平均分子量は、通常40,000〜180,000、好ましくは60,000〜160,000である。重量平均分子量が40,000未満の場合は最終目的物である樹脂組成物の靭性が低下し、180,000超過の場合は成型性が低下する傾向がある。
また、共重合体Bの製造の際、最終目的物である樹脂組成物の透明性を阻害しない範囲で、芳香族ビニル化合物、シアン化ビニル化合物および(メタ)アクリル酸エステル化合物の他に、共重合可能な単量体を共重合することが出来る。共重合可能な単量体としては、単量体組成物(A)における「共重合可能な単量体」の中から適宜選択することが出来る。これらの単量体の使用量は、通常10質量%未満、好ましくは5質量%未満、更に好ましくは3質量%未満である。
本発明において、共重合体Aのシアン化ビニル化合物に由来する構造単位の含有量(AN(A)%)と共重合体Bのシアン化ビニル化合物に由来する構造単位の含有量(AN(B)%)との関係は、最終目的物である樹脂組成物に一層高度な透明性を付与する観点から、以下の式(1)を満足するのが好ましく、以下の式(2)を満足するのが更に好ましく、以下の式(3)を満足するのが特に好ましい。
[数1]
3/2×AN(A)−29 ≦ AN(B) ≦ 3/2×AN(A)−18 (1)
3/2×AN(A)−26 ≦ AN(B) ≦ 3/2×AN(A)−20 (2)
3/2×AN(A)−25 ≦ AN(B) ≦ 3/2×AN(A)−21 (3)
なお、上記の式(1)の範囲は、図1中においてアルファベットa〜dで囲まれた領域として表すことが出来る。
更に、本発明において、共重合体Aの溶解度パラメーター(SP(A))と共重合体Bの溶解度パラメーター(SP(B))との関係は、最終目的物である樹脂組成物に透明性を付与する観点から、以下の式(i)を満足するのが好ましく、以下の式(ii)を満足するのが更に好ましく、以下の式(iii)を満足するのが特に好ましい。
[数2]
|SP(A)−SP(B)|≦ 0.30 (i)
|SP(A)−SP(B)|≦ 0.25 (ii)
|SP(A)−SP(B)|≦ 0.20 (iii)
本発明において共重合体の溶解度パラメーター(SP値)とは、以下の式(I)に従い計算により求めたものである。
[数3]
SP=a×SP+a×SP+a×SP+・・・ (I)
式(I)中、SP1、SP2およびSP3は各重合体の単量体成分に含まれる単量体を単独で重合した際に得られるそれぞれのホモポリマーのSP値を表し、「POLYMER HANDBOOK FORTH EDITION」に記載されている値を引用した値である。また、a、aおよびaは各重合体を形成するのに使用した単量体成分に含まれる単量体のそれぞれの質量分率を表す。なお、ホモポリマーのSP値(cal/cm1/2として上記の文献に記載される値の中の、ポリスチレン:9.1、ポリアクリロニトリル:12.5、ポリメチルメタクリレート:9.3を使用した。
共重合体Aの代表例はAS樹脂であり、共重合体Bの代表例はMAS樹脂であり、何れも、それ自体は製造方法を含め良く知られて樹脂であり、本発明においては、例えば、公知の乳化重合法、溶液重合法、塊状重合法、懸濁重合法に従って上記の各共重合体を容易に得ることが出来る。これらの重合法における単量体組成物(A)及び(B)の組成は、本発明で使用する共重合体A及びBを得ることが出来れば任意に選択することが出来る。また、共重合体の組成分析は、例えば、フーリエ変換赤外分光光度計(FT−IR)、熱分解ガスクロマトグラフィー、NMRなどを使用して行うことが出来る。
本発明の樹脂組成物は、共重合体Aと共重合体Bから調製されるが、表面硬度は共重合体Bの増加に伴い向上する傾向にあり、靱性は共重合体Aの増加に伴い向上の傾向する傾向がある。
本発明の樹脂組成物において、共重合体Bに対する共重合体Bの割合(質量比)、すなわち、A/Bは、10〜90/90〜10、好ましくは20〜80/80〜20、更に好ましくは35〜65/65〜35である。上記の範囲において、表面硬度と靱性がバランスした上で共に良好であり、しかも、優れた透明性が得られる。
本発明の樹脂組成物は、厚さ2.4mmの樹脂単独成形品について測定した全光線透過率が70%以上であり、Hazeが20%以下である。全光線透過率は、好ましくは75%以上であり、更に好ましくは80%以上である。また、Hazeは、好ましくは15%以下、更に好ましくは10%以下である。本発明の樹脂組成物は、上記の特性を有することにより、鮮やかな色や深みのある色への着色も可能となり、意匠性に優れる。なお、「樹脂単独成形品」とは、樹脂以外の成分、例えば、以下に説明する添加剤や着色剤を含まない成形品を意味する。
本発明の樹脂組成物においては、公知の添加剤、例えば、可塑剤、滑剤(例えば、高級脂肪酸およびその金属塩、高級脂肪酸アミド類など)、熱安定化剤、酸化防止剤(例えば、フェノール系、フォスファイト系、チオジブロプロピオン酸エステル型のチオエーテル等)、耐候剤(例えば、ベンゾトリアゾール系、ベンゾフェノン系、サリシレート系、シアノアクリレート系、蓚酸誘導体、ヒンダードアミン系等)、難燃助剤(例えば、三酸化アンチモン、五酸化アンチモン等)、帯電防止剤(例えば、ポリアミドエラストマー、四級アンモニウム塩系、ピリジン誘導体、脂肪族スルホン酸塩、芳香族スルホン酸塩、芳香族スルホン酸塩共重合体、硫酸エステル塩、多価アルコール部分エステル、アルキルジエタノールアミン、アルキルジエタノールアミド、ポリアルキレングリコール誘導体、ベタイン系、イミダゾリン誘導体など)、抗菌剤、抗カビ剤、摺動性改良剤(例えば、低分子量ポリエチレン等の炭化水素系、高級アルコール、多価アルコール、ポリグリコール、ポリグリセロール、高級脂肪酸、高級脂肪酸金属塩、脂肪酸アミド、脂肪酸と脂肪族アルコールとのエステル、脂肪酸と多価アルコールとのフル又は部分エステル、脂肪酸とポリグリコールとのフル又は部分エステル、シリコーン系、フッ素樹脂系など)等をその目的に合わせて任意の割合で配合することが出来る。これらの添加剤は二種以上を併用してもよい。
また、意匠性を付与する目的で、公知の着色剤、例えば、無機顔料、有機系顔料、メタリック顔料、染料を添加することが出来る。
無機顔料としては、例えば、酸化チタン、カーボンブラック、チタンイエロー、酸化鉄系顔料、群青、コバルトブルー、酸化クロム、スピネルグリーン、クロム酸鉛系顔料、酸化亜鉛系顔料、カドミウム系顔料などが挙げられる。
有機顔料としては、例えば、アゾレーキ顔料、ベンズイミダゾロン顔料、ジアリリド顔料、縮合アゾ顔料どのアゾ系顔料、フタロシアニンブルー、フタロシアニングリーン、等のフタロシアニン系顔料、イソインドリノン顔料、キノフタロン顔料、キナクリドン顔料、ペリレン顔料、アントラキノン顔料、ペリノン顔料、ジオキサジンバイオレット等の縮合多環系顔料などが挙げられる。
メタリック顔料としては、例えば、リン片状のアルミのメタリック顔料、ウェルド外観を改良するために使用されている球状のアルミ顔料、パール調メタリック顔料用のマイカ粉、その他ガラス等の無機物の多面体粒子に金属をメッキやスパッタリングで被覆したもの等が含まれる。
染料としては、例えば、ニトロソ染料、ニトロ染料、アゾ染料、スチルベンアゾ染料、ケトイミン染料、トリフェニルメタン染料、キサンテン染料、アクリジン染料、キノリン染料、メチン/ポリメチン染料、チアゾール染料、インダミン/インドフェノール染料、アジン染料、オキサジン染料、チアジン染料、硫化染料、アミノケトン/オキシケトン染料、アントラキノン染料、インジゴイド染料、フタロシアニン染料、ペリレン染料、ペリノン染料などが挙げられる。
上記の着色剤は、二種以上を併用してもよい。例えば黒色に着色したい場合は、赤、緑、黄色などの染料を組み合わせて黒色を発色することにより、より深みのある黒色を発現することが出来る。
着色剤の使用量は特に制限されないが、本発明の効果を高める観点から、無機顔料、有機顔料、カーボンブラックの総量は、通常0.3質量%以下、好ましくは0.1質量%以下、更に好ましくは0.01質量%以下である。
また、有機染料の総量は、通常0.1〜2質量%、好ましくは0.1〜1質量%、更に好ましくは0.2〜0.5質量%である。斯かる条件により、通常の透明樹脂と変わらない様な深みのある色調を発現することが出来る。0.1質量%未満の場合は色調の発現が不足し、2質量%超過の場合は、コスト高となるばかりでなく、成形時にモールドデポジット等で外観不良現象が発生し易い。
なお、ここで言う、無機顔料、有機顔料、有機染料の分類は、ポリオレフィン等衛生協議会発行のポリオレフィン等合成樹脂製食品容器包装等に関する自主基準(第2部ポジティブリスト、2−3色材)第8版に記載されている分類に基づくものであるが、カーボンブラックを含めて使用出来る染顔料の種類を限定するものではない。
本発明の樹脂組成物は、前記の各成分を溶融混合することにより得られる。溶融混合には、ミキシングロール、バンバリーミキサー、加圧ニーダー等のバッチ式混練機;単軸押出機、2軸押出機などの連続式混練機が使用される。また、混練の順序は、特に制限されず、例えば成分の全量を一括して混練する方法などが挙げられる。
本発明の樹脂組成物の成形には、例えば、射出成形、射出圧縮成形、押出成形、ブロー成形、インフレーション成形、真空成形、プレス成形などを採用することが出来る。また、射出成形や射出圧縮成形の場合の金型温度は、特に制限されないが、樹脂注入時の金型キャビティの表面温度として、通常50℃以上、更に好ましくは60℃以上、特に好ましくは70℃以上である。このように金型温度を高くすることにより、曇りが消えて色調の発現に好ましい傾向がある。金型キャビティの表面温度の上限は通常100℃である。
以下に実施例を挙げ、本発明を更に詳細に説明するが、本発明の要旨を超えない限り、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。なお、実施例中において部及び%は、特に断らない限り質量基準である。また、実施例及び比較例中の各種測定は、下記の方法に拠った。
(1)全光線透過率およびHaze:
射出成形機(日本製鋼社製「J−35AD」)を使用し、シリンダー温度:210℃、金型温度:50℃にて、5cm×9cm、厚み2.4mmの平板を射出成形した。この平板を使用し、日本電色工業社製の「NDH2000」により、ASTM D1003に準じて全光線透過率およびHazeを評価した。
(2)表面硬度(耐傷付き性):
上記(1)と同様に平板を作成し、東測精密工業株式会社製の往復動摩擦試験器を使用し、綿帆布かなきん3号、垂直荷重500gで試験片表面を500往復摩擦後、当該表面を目視で観察し、以下の基準で評価した。
○:傷が観察されない。
△:傷が僅かに観察される。
×:傷が明確に観察される。
(3)靱性:
上記(1)において平板5枚を射出成形する際に突き出し時の平板表面を以下の基準で評価した。
○:5枚全てが割れず、ヒビも観察されない。
△:5枚中1〜4枚が割れる、或いはヒビが入った。
×:5枚全部が割れる、或いはヒビが入った。
<共重合体A:AS樹脂の製造>
公知の乳化重合法により、表1に記載の共重合体:A−1〜5を製造した。共重合体の組成分析はフーリエ変換赤外分光光度計(FT−IR)によって行った。以下に、共重合体(A−1)の製造例を示す。
アクリロニトリル24部、スチレン76部、t−ドデシルメルカプタン0.3部、及びジイソプロピルベンゼンハイドロパーオキサイド0.2部を混合して、単量体組成物を調製した。
攪拌装置、原料及び助剤添加装置、温度計、加熱装置などを備えた、容量10Lのガラス製反応器に水150部、乳化剤としてドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム2部を仕込み、攪拌しつつ、窒素気流下で、内温を55℃まで昇温した。55℃に達した時点で、上記単量体組成物及び、24部の水に、エチレンジアミン四酢酸・四ナトリウム・二水塩0.09部、硫酸第一鉄七水和物0.003部、ナトリウムホルムアルデヒドスルホキシレート0.2部、を溶解した水溶液を5時間にわたって連続添加した。
単量体組成物の添加開始時点から1時間後までに内温を67℃に昇温し、その後67℃を保持した。連続添加終了後、ジイソプロピルベンゼンハイドロパーオキサイド0.05部を添加し、更に1時間内温を保持し、重合反応を終了した。この共重合体ラテックスを、塩化カルシウムを用いて凝固し、水洗、乾燥し、粉末状の共重合体(A−1)を得た。
<共重合体B:MAS樹脂の製造>
公知の乳化重合法により、表1に記載の共重合体:B−1〜6を製造した。共重合体の組成分析はフーリエ変換赤外分光光度計(FT−IR)によって行った。以下に、共重合体(B−1)の製造例を示す。
メタクリル酸メチル68部、アクリロニトリル10部、スチレン22部、t−ドデシルメルカプタン0.3部、及びジイソプロピルベンゼンハイドロパーオキサイド0.2部を混合して、単量体組成物を調製した。以降、共重合体(A−1)の製造例と同様に操作して粉末状の共重合体(B−1)を得た。
Figure 2011132352
実施例1:
共重合体(A−1)50質量部、共重合体(B−1)50質量部を混合した後、これをホッパーに投入し、一軸押出機(日本プラコン社製「DMG」、L/D=32、)を使用し、シリンダー設定温度210℃、スクリュー回転数80rpm、混練樹脂の吐出速度18kg/hrの条件で混練して樹脂ペレットを得、各特性の評価を行った。評価結果を表2に示す。
実施例2〜8及び比較例1〜6:
表2に示す組成割合で各成分を配合し、実施例1と同様にして樹脂ペレットを得、評価を行った。評価結果を表2に示す。
Figure 2011132352
表2から次のことが明らかである。
(1)実施例1〜8に示すように、本発明の透明熱可塑性樹脂組成物は、透明性、表面硬度、靭性に優れた成形物を提供することができる。特に、実施例1、2、3、5は、式(2)を満足することにより、実施例4、6に比し、透明性に特に優れる。更に、実施例2は、共重合体Aのシアン化ビニル化合物に由来する構造単位の含有量が最も好ましい21〜27質量%の範囲にあり、しかも、式(3)及び式(iii)を満足することにより、最も透明性に優れる。
(2)これに対し、比較例1〜7は透明性に劣り、共重合体Bが配合されていない比較例8は表面硬度に劣り、共重合体Aが配合されていない比較例9は靭性に劣る。

Claims (4)

  1. 芳香族ビニル化合物に由来する構造単位60〜80質量%とシアン化ビニル化合物に由来する構造単位20〜40質量%を含有する共重合体A(但し、これら2つの構造単位の含有量の合計を100質量%とする)と、芳香族ビニル化合物に由来する構造単位1〜53質量%、シアン化ビニル化合物に由来する構造単位1〜42質量%、(メタ)アクリル酸エステル化合物に由来する構造単位45〜85質量%を含有する共重合体B(但し、これら3つの構造単位の合計を100質量%とする)とを含有し、A/Bの割合が10〜90/90〜10(質量比)であり、厚さ2.4mmの樹脂単独成形品について測定した全光線透過率が70%以上であり、Hazeが20%以下であることを特徴とする透明熱可塑性樹脂組成物。
  2. 共重合体Aのシアン化ビニル化合物に由来する構造単位の含有量(AN(A)%)と共重合体Bのシアン化ビニル化合物に由来する構造単位の含有量(AN(B)%)との関係が以下の式(1)を満足する請求項1に記載の透明熱可塑性樹脂組成物。
    [数1]
    3/2×AN(A)−29 ≦ AN(B) ≦ 3/2×AN(A)−18 (1)
  3. 共重合体Aの溶解度パラメーター(SP(A))と共重合体Bの溶解度パラメーター(SP(B))との関係が以下の式(i)を満足する請求項1又は2に記載の透明熱可塑性樹脂組成物。
    [数2]
    |SP(A)−SP(B)|≦ 0.3 (i)
  4. 請求項1〜3の何れかに記載の透明熱可塑性樹脂組成物から成ることを特徴とする樹脂成形品。
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