JP2011132065A - 多孔質石英ガラス体の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】複数のガス供給ノズルが同心円状に配置された多重管バーナーの中央ノズルから、金属ドーパント前駆体、および、SiO2前駆体と、を供給し、該多重管バーナーの酸水素火炎中で加水分解してガラス微粒子を生成し、生成したガラス微粒子を基材に堆積、成長させて多孔質石英ガラス体を製造する方法であって、前記多重管バーナーは、前記基材のガラス微粒子堆積面に相当する位置における火炎温度の最高点T1(℃)が該多重管バーナーの中心軸の延長線上にはなく、前記基材のガラス微粒子堆積面に相当する位置において、該火炎温度の最高点T1(℃)となる部位(基端)と該多重管バーナーの中心軸の延長線(先端)とを結ぶ仮想線を引いた場合に、該仮想線の先端方向の延長線上における火炎温度の最高点をT2(℃)とするとき、T1−T2≧30℃であり、前記基材の回転軸と、前記多重管バーナーの中心軸と、が一致しないように前記多重管バーナーを配置し、製造される多孔質石英ガラス体におけるドーパント濃度分布に応じて、前記回転軸からの前記T1となる部位までの距離と、前記回転軸からの前記T2となる部位までの距離と、の大小関係を調整することを特徴とする多孔質石英ガラス体の製造方法。
【選択図】なし
Description
なお、本明細書において、EUV(Extreme Ultra Violet)光とは、軟X線領域または真空紫外域の波長帯の光を指し、具体的には波長が0.2〜100nm程度の光を指す。
このようなドーパント濃度分布の増加は、大型の多孔質石英ガラス体、具体的には質量が0.5kg以上の多孔質石英ガラス体を製造する場合に特に問題である。
なお、本明細書において、多孔質TiO2−SiO2ガラス体におけるTiO2の濃度分布(ΔTiO2)と言った場合、該ガラス体の成長方向に対して垂直方向の面全体におけるTiO2の濃度分布を指す。
本発明は、複数のガス供給ノズルが同心円状に配置された多重管バーナーの中央ノズルから、金属ドーパント前駆体、および、SiO2前駆体と、を供給し、該多重管バーナーの酸水素火炎中で加水分解してガラス微粒子を生成し、生成したガラス微粒子を基材に堆積、成長させて多孔質石英ガラス体を製造する方法であって、
前記多重管バーナーは、前記基材のガラス微粒子堆積面に相当する位置における火炎温度の最高点T1(℃)が該多重管バーナーの中心軸の延長線上にはなく、
前記基材のガラス微粒子堆積面に相当する位置において、該火炎温度の最高点T1(℃)となる部位(基端)と該多重管バーナーの中心軸の延長線(先端)とを結ぶ仮想線を引いた場合に、該仮想線の先端方向の延長線上における火炎温度の最高点をT2(℃)とするとき、T1−T2≧30℃であり、前記基材の回転軸と、前記多重管バーナーの中心軸と、が一致しないように前記多重管バーナーを配置し、製造される多孔質石英ガラス体におけるドーパント濃度分布に応じて、前記回転軸からの前記T1となる部位までの距離と、前記回転軸からの前記T2となる部位までの距離と、の大小関係を調整することを特徴とする多孔質石英ガラス体の製造方法を提供する。
ここで、製造される多孔質石英ガラス体における金属ドーパントの濃度分布(ΔTiO2)が、0.09wt%以下であることが好ましい。
また、前記T1−T2が580℃以下であることが好ましい。
本発明の多孔質石英ガラス体の製造方法は、大型の多孔質石英ガラス体、具体的には、質量が0.5kg以上の多孔質石英ガラス体の製造に好適である。
図1は、多重管バーナーの一例を示した斜視図である。図1に示す多重管バーナー10は、その中心部に中央ノズル11を有し、該中央ノズル11に対し同心円状に、第2の外周ノズル13、および、外周ノズル12が配置された三重管構造の多重管バーナーである。
スート法により多重管バーナーを用いて多孔質石英ガラス体を製造する場合、ガラス形成原料、および、酸水素火炎を形成するための燃焼ガスが多重管バーナーから供給される。
多重管バーナーからのガス(ガラス形成原料、燃焼ガス等)の供給方法の一例を以下に示す。但し、多重管バーナーからのガスの供給方法はこれに限定されるものではない。
酸水素火炎を形成するための燃焼ガスである酸素および水素は、両者を同一のノズル(この場合、中央ノズル11)から供給すると、該中央ノズル11から逆火が発生したり、該中央ノズル11の直近で燃焼反応が起こり、該中央ノズル11を損傷するおそれがある。このため、酸素および水素のうち一方(例えば、酸素)を中央ノズル11から供給し、他方(例えば、水素)を多重管バーナー10の外周ノズル12から供給する。
また、上記した中央ノズルからの逆火等の防止の観点から、中央ノズル11と外周ノズル12との間にある第2の外周ノズル13から、不燃性のガスをシールガスとして供給する。
四重管以上の構造の多重管バーナーを使用する場合も、上記と同様の考え方でガスを供給する。すなわち、ガラス形成原料となる金属ドーパント前駆体およびSiO2前駆体を多重管バーナーの中央ノズルから供給する。
上記した中央ノズルからの逆火等の防止の観点から、酸水素火炎を形成するための燃焼ガスである酸素および水素のうち一方(例えば、酸素)を多重管バーナーの中央ノズルから供給し、他方(例えば、水素)を該中央ノズルに対して外周ノズルとなるノズルから供給する。但し、上記した中央ノズルからの逆火等の防止の観点から、中央ノズルと隣接する外周ノズルからは不燃性のガスをシールガスとして供給する。
なお、多重管バーナーから供給されるガスの具体例およびその供給量については後述する。
図2は、この手順を示した模式図であり、多重管バーナーと、多孔質石英ガラス体と、の位置関係が示されている。図2において、回転する基材30上にはガラス微粒子が堆積して多孔質石英ガラス体40を形成している。多重管バーナー10の酸水素火炎20の先端は該ガラス微粒子の堆積面(図面上は多孔質石英ガラス体40の表面)に接している。ここで、多重管バーナー10は、回転する基材30に対して偏心させて配置されており、基材30の回転軸(図中、破線で示す)と、多重管バーナー10の中心軸(図中、破線で示す)と、は一致しない位置にある。多重管バーナー10を基材30に対して偏心させて配置させた結果、多重管バーナー10の酸水素火炎20は、基材30の回転軸に対してやや斜め方向から吹き付けることとなる。
基材30に対して多重管バーナー10を偏心させて配置する理由は、基材30の回転軸の鉛直方向下方からバーナーの火炎を吹き付けると、多孔質石英ガラス体が成長してその質量が増加してくると、該多孔質石英ガラス体外周部の低嵩密度の部分が自重に耐えきれずに崩落したり、クラックが入るなど、多孔質石英ガラス体の強度に問題を生じるためであり、また、多孔質石英ガラス体表面でのガラス微粒子の付着が不均一となり、多孔質石英ガラス体の外径が成長方向で乱れるという問題が生じるからである。
図3は、多孔質TiO2−SiO2ガラス体のガラス形成原料であるTiCl4(TiO2前駆体)およびSiCl4(SiO2前駆体)について、これらの加水分解速度を、加水分解を実施する温度との関係でプロットしたグラフである。図3から明らかなように、TiCl4およびSiCl4の加水分解速度を比較した場合、TiCl4>SiCl4の関係となり、両者の加水分解速度の差は、加水分解を実施する温度が低い場合は大きく、加水分解を実施する温度が高くなるほど小さくなる。つまり、TiCl4の加水分解速度との差という観点で見た場合、SiCl4の加水分解速度は、温度が低い場合には低く、温度が高くなるほど高くなる。この前提に基づいて、多重管バーナーからの火炎温度の高低と、製造される多孔質TiO2−SiO2ガラス体でのTiO2の濃度分布と、の関係について述べる。
一方、加水分解反応速度が金属ドーパント前駆体<SiO2前駆体の関係となる場合には、上記とは逆の現象が起こると考えられる。
上述したように、多孔質石英ガラス体(多孔質TiO2−SiO2ガラス体)の中心部のTiO2濃度が高くなる場合は、ガラス微粒子の堆積面の中心部にSiO2前駆体(SiCl4)の加水分解反応が十分進行していない粒子、つまりTiO2濃度が高い粒子が堆積するのが原因である。したがって、堆積面の中心部に堆積する粒子については、加水分解温度を高くしてSiO2前駆体の加水分解反応をより進行させることにより、TiO2濃度を低くすればよい。これに対して、多孔質石英ガラス体(多孔質TiO2−SiO2ガラス体)の外周部のTiO2濃度が低くなるのは、堆積面の外周部にSiO2前駆体(SiCl4)の加水分解反応が十分進行した粒子、つまり、TiO2濃度が低い粒子が堆積するのが原因である。したがって、堆積面の外周部に堆積する粒子については、加水分解温度を低くしてSiO2前駆体の加水分解反応の進行を遅くすることにより、TiO2濃度を高くすればよい。このような考えにしたがって、製造される多孔質石英ガラス体(多孔質TiO2−SiO2ガラス体)での、中心部のTiO2濃度が高く、外周部のTiO2濃度が低いTiO2の濃度分布を軽減することができる。
図4は、多重管バーナーにおける酸水素火炎の通常の温度分布(実線)と、該バーナーの中心軸に対して非対称な温度分布(破線)の一例を示した模式図である。実線で示すように、酸水素火炎の通常の温度分布では、バーナーの中心軸に相当する位置の火炎の温度が、バーナーの径方向外側の位置に比べて火炎の温度が低くなっており、温度分布の全体形状がバーナーの中心軸に対して対称な略M字形状をなしている。略M字形状における2つの極大値m1,m2が火炎温度の最高点T1となる部位である。
これに対して、本発明の多孔質石英ガラス体の製造方法に用いる多重管バーナーでは、破線で示すように、略M字形状における2つの極大値のうち一方(m1´)の温度が、通常の温度分布における極大値m1の温度よりも高く、他方(m2´)が通常の温度分布における極大値m2の温度よりも低く、温度分布の全体形状がバーナーの中心軸に対して非対称な形状になっている。ここで、極大値m1´が火炎温度の最高点T1となる部位である。一方、極大値m2´は、極大値m1´を基端とし、多重管バーナーの中心軸の延長線を先端とする仮想線を引いた場合に、該仮想線の先端方向の延長線上における火炎温度の最高点をT2となる部位である。
また、多重管バーナーの寸法、多重管バーナーからのガス供給量、多重管バーナーと基材との位置関係といった製造条件が同一である場合、製造される多孔質石英ガラス体におけるドーパント濃度分布は同一の傾向となるので、予め製造された多孔質石英ガラス体におけるドーパント濃度分布の測定結果に基づいて、次に多孔質石英ガラス体を製造する際に、回転軸からのT1となる部位までの距離と、回転軸からのT2となる部位までの距離と、の大小関係を調整することによっても、製造される多孔質石英ガラス体におけるドーパント濃度分布を軽減することができる。
なお、上記では、多孔質TiO2−SiO2ガラス体を製造する場合について、製造される多孔質石英ガラス体におけるドーパント濃度分布を軽減する手順を示したが、他の金属ドーパントを含む多孔質石英ガラス体の場合も、加水分解反応速度が金属ドーパント前駆体>SiO2前駆体の関係となる場合には、上記と同様の手順を実施することで、多孔質石英ガラス体におけるドーパント濃度分布を軽減することができると考えられる。
一方、加水分解反応速度が金属ドーパント前駆体<SiO2前駆体の関係となる場合には、上記とは逆の手順を実施することで、多孔質石英ガラス体におけるドーパント濃度分布を軽減することができると考えられる。
T1−T2≧35℃であることが好ましい。
一方、T1−T2の上限は特に限定されないが、多孔質TiO2−SiO2ガラス体を製造する場合、後述する理由から、T1−T2≦580℃であることが好ましい。
ここで、図5に示す多重管バーナー10では、外周ノズル12の一部を覆う遮蔽物14が設けられているが、遮蔽物を設ける位置はこれに限定されず、酸水素火炎の燃焼ガスである酸素および水素のうち一方が供給されるノズルから広く選択することができる。例えば、図5に示す多重管バーナー10の中央ノズル11の一部を覆う遮蔽物を設けてもよい。また、四重管以上の構造の多重管バーナーを使用する場合、酸水素火炎の燃焼ガスである酸素および水素のうち一方が供給される複数の外周ノズルのいずれかの一部、または、このような外周ノズルの全ての一部に遮蔽物を設けてもよい。なお、後述する実施例では、11重管構造の多重管バーナーを使用し、第1外周ノズルに遮蔽物を設けた。
但し、図4に示すように、バーナーの中心軸に対して略対称となる位置に温度T1となる部位、および、温度T2となる部位が存在する非対称な火炎温度分布とするためには、ノズルの端面のうち、半分を覆う遮蔽物が設けられていることが好ましい。
図6は、多重管バーナーの遮蔽物と、多孔質石英ガラス体と、の位置関係を説明するための模式図であり、図2の多重管バーナー10および多孔質石英ガラス体40を下方から見た図に相当する。ここで、多重管バーナー10のうち、遮蔽物が設けられている部分を太線で示している。
図6に示すように、多重管バーナー10の中心軸を原点とし、該原点と多孔質石英ガラス体40の中心軸(基材30の回転軸)を通る直線をX軸とする。ここで、多孔質石英ガラス体40の中心軸はX軸の正方向に位置する。該原点を通り該X軸に直交する直線をY軸とする。そして、Y軸(正方向)と、多重管バーナー10に設けられた遮蔽物の中心と、がなす角度をθとする。
図7に示すように、遮蔽物が設けられていない多重管バーナーを用いた比較例(比較例1,2)では、直線の傾きが小さく、−0.09≦ΔTiO2(wt%)≦0.09の領域を該直線が通過しない(したがって、ΔTiO2が0.09wt%以下のTiO2−SiO2ガラス体を製造することができない)のに対して、遮蔽物が設けられた多重管バーナーを用いた実施例(実施例1,2)では、直線の傾きが大きくなり、−0.09≦ΔTiO2(wt%)≦0.09の領域を該直線が通過する(したがって、ΔTiO2が0.09wt%以下のTiO2−SiO2ガラス体を製造することができる)。この結果は、多重管バーナーの遮蔽物と、多孔質石英ガラス体と、の位置を調節することにより、ΔTiO2が0.09wt%以下のTiO2−SiO2ガラス体を製造できることを示している。
例えば、θを10°刻みに調整する場合、sinθが最も変化するのはθ=−5°〜5°の範囲であり、Δsinθ=sin5°−sin(−5°)=0.1743である。図7に示す直線において、ΔTiO2がこの範囲内で0.18wt%以上変化すると、−0.09≦ΔTiO2(wt%)≦0.09の領域を直線が通過する範囲がきわめて狭くなり、ΔTiO2が0.09wt%以下の多孔質TiO2−SiO2ガラス体を製造できるプロセスウインドがきわめて狭くなるので好ましくない。図7に示す直線の傾きとして見た場合、0.18/0.1743=1.032702よりも小さいことが好ましい。その結果を図8に当てはめると、ΔTiO2が0.09wt%以下の多孔質TiO2−SiO2ガラス体を製造するには、T1−T2が580℃以下であることが好ましいことになる。
以下、本明細書において、金属ドーパント前駆体については、TiO2前駆体の具体例および供給量等について記載する。
TiO2前駆体の具体例としては、TiCl4、TiBr4などのハロゲン化チタン化合物、またRnTi(OR)4-n(ここでRは炭素数1〜4のアルキル基、nは0〜3の整数。なお、Rは同一でも異なっていてもよい。)で示されるアルコキシチタン等が例示される。
一方、SiO2前駆体の具体例としては、SiCl4、SiHCl3、SiH2Cl2、SiH3Clなどの塩化物、SiF4、SiHF3、SiH2F2などのフッ化物、SiBr4、SiHBr3などの臭化物、SiI4などのヨウ化物といったハロゲン化ケイ素化合物、またRnSi(OR)4-n(ここでRは炭素数1〜4のアルキル基、nは0〜3の整数。なお、Rは同一でも異なっていてもよい。)で示されるアルコキシシラン等が例示される。
多重管バーナー10から供給される全てのガスの供給量に占めるSiO2前駆体の割合は0.4〜2.5mol%であることが好ましく、好ましくは1〜2mol%である。
上述したように、TiO2前駆体およびSiO2前駆体は、多重管バーナー10から供給される全てのガスの供給量に占める割合が低いため、これらのガスを単独で供給した場合、十分な流速を得ることができなくなるおそれがある。このため、TiO2前駆体およびSiO2前駆体は、窒素、アルゴン等の不燃性のキャリアガスと混合した状態で供給してもよい。
酸素および水素のうち、安全上の理由から、水素は完全に酸水素火炎中で消費させる必要があるため、水素に対する酸素の割合(酸素/水素)は、0.5以上である必要がある。合成の安定性から考えると0.5〜0.8となるように供給することがさらに好ましい。
多重管バーナー10から供給される全てのガスの供給量に占める酸素および水素の割合は、両者の合計で70〜97mol%であることが好ましく、より好ましくは75〜90mol%であり、さらに好ましくは80〜85mol%である。
シールガスとして供給する不燃性のガスとしては、例えば、ヘリウム、ネオン、アルゴン等の希ガスを用いることができる。また、フッ化水素、塩化水素または臭化水素等のハロゲン化水素を用いることができる。また、窒素、二酸化炭素、水蒸気等を用いることができる。また、上記のガスの混合ガスをシールガスとして用いることもできる。
上記のガスの中でも、アルゴン、窒素および二酸化炭素がコスト面から好ましい。
酸水素火炎を形成するための燃焼ガスの供給量、すなわり、酸素および水素の合計供給量に対するシールガスの供給量の割合(シールガスの供給量/酸素および水素の合計供給量)は、25%以下であることが好ましく、20%以下であることがより好ましく、15%以下であることがさらに好ましい。
TiO2前駆体およびSiO2前駆体を窒素、アルゴン等の不燃性のキャリアガスと混合した状態で供給する場合、不燃性のキャリアガスの供給量を上記のシールガスの供給量に含めたうえで、燃焼ガスの供給量に対するシールガスの供給量の割合が上記を満たすようにする。
図9に示す11重管バーナー10´を用いて多孔質TiO2−SiO2ガラス体を製造した。11重管バーナー10´において、第1外周ノズル12aの端面のうち、半分を覆う遮蔽物14が設けられている。
11重管バーナー10´の個々のノズルから供給したガス種は以下の通りである。
中央ノズル11:TiCl4(TiO2前駆体)、SiCl4(SiO2前駆体)、水素、窒素
第1外周ノズル12a:水素
第2外周ノズル12b:窒素
第3外周ノズル12c:酸素
第4外周ノズル12d:酸素
第5外周ノズル12e:窒素
第6外周ノズル12f:水素
第7外周ノズル12g:窒素
第8外周ノズル12h:水素
第9外周ノズル12i:窒素
第10外周ノズル12j:酸素
TiCl4:0.1 mol%
SiCl4:2.0mol%
水素:46.2mol%
酸素:36.1mol%
窒素:15.6mol%
多重管バーナーの酸水素火炎について、B熱電対(0.5mm)の測温部分(先端)をガラス微粒子堆積面に相当する位置において、等間隔に移動させ、当該位置における温度分布を測定したところ、図4で破線で示すような、バーナー中心軸に対して非対称な温度分布であり、T1−T2は127℃であった。
実施例1と同様に、遮蔽物が設けられた11重管バーナーを用いて多孔質TiO2−SiO2ガラス体を製造した。実施例1と同様の手順でガラス微粒子堆積面に相当する位置における酸水素火炎の温度分布を測定したところ、図4で破線で示すような、バーナーの中心軸に対して非対称な温度分布であり、T1−T2が40℃であった。多重管バーナー10から供給する個々のガスの種類およびその割合等の条件は実施例1と同様である。多重管バーナー10(10´)を周方向に回転させて図6に示す角度θを変えることにより、sinθ=−1,1となる条件で多孔質TiO2−SiO2ガラス体を製造した。
得られた多孔質TiO2−SiO2ガラス体を透明ガラス化した後、ガラス体の中心を通る線上のTiO2濃度をXRFにて測定した。その際のΔTiO2(wt%)の結果を表2に示す。
遮蔽物が設けられていない11重管バーナーを用いて多孔質TiO2−SiO2ガラス体を製造した。実施例1と同様の手順でガラス微粒子堆積面に相当する位置における酸水素火炎の温度分布を測定したところ、図4で破線で示すような、バーナーの中心軸に対して非対称な温度分布であった。但し、T1−T2は24℃であった。
多重管バーナー10から供給する個々のガスの種類およびその割合等の条件は実施例1と同様である。多重管バーナー10(10´)を周方向に回転させて図6に示す角度θを変えつつ、多孔質TiO2−SiO2ガラス体を3回製造した。なお、ここで言う角度θは、実施例1,2とは違い任意の角度である。得られた多孔質TiO2−SiO2ガラス体を透明ガラス化した後、ガラス体の中心を通る線上のTiO2濃度をXRFにて測定した。その際のΔTiO2(wt%)の結果を表3に示す。なお、表中のsinθは、得られたΔTiO2を図7のグラフにプロットする際に、プロットを外挿入して得られる直線が右上がりの直線となるように設定した値である。
比較例1と同様に、遮蔽物が設けられていない11重管バーナーを用いて多孔質TiO2−SiO2ガラス体を製造した。実施例1と同様の手順でガラス微粒子堆積面に相当する位置における酸水素火炎の温度分布を測定したところ、図4で実線で示すような、バーナーの中心軸に対して対称な温度分布であり、T1−T2は0℃であった。個々のガスの種類およびその割合等の条件は実施例1と同様である。多重管バーナー10´を周方向に回転させて図6に示す角度θを変えつつ、多孔質TiO2−SiO2ガラス体を3回製造した。なお、ここで言う角度θは、実施例1,2とは違い任意の角度である。得られた多孔質TiO2−SiO2ガラス体を透明ガラス化した後、ガラス体の中心を通る線上のTiO2濃度をXRFにて測定した。その際のΔTiO2(wt%)の結果を表4に示す。なお、表中のsinθは、得られたΔTiO2を図7のグラフにプロットする際に、プロットを外挿入して得られる直線が右上がりの直線となるように設定した値である。
11:中央ノズル
12:外周ノズル
12a:外周ノズル
12b:外周ノズル
12c:外周ノズル
12d:外周ノズル
12e:外周ノズル
12f:外周ノズル
12g:外周ノズル
12h:外周ノズル
12i:外周ノズル
12j:外周ノズル
13:第2の外周ノズル
14:遮蔽物
20:酸水素火炎
30:基材
40:多孔質TiO2−SiO2ガラス体
Claims (4)
- 複数のガス供給ノズルが同心円状に配置された多重管バーナーの中央ノズルから、金属ドーパント前駆体、および、SiO2前駆体と、を供給し、該多重管バーナーの酸水素火炎中で加水分解してガラス微粒子を生成し、生成したガラス微粒子を基材に堆積、成長させて多孔質石英ガラス体を製造する方法であって、
前記多重管バーナーは、前記基材のガラス微粒子堆積面に相当する位置における火炎温度の最高点T1(℃)が該多重管バーナーの中心軸の延長線上にはなく、
前記基材のガラス微粒子堆積面に相当する位置において、該火炎温度の最高点T1(℃)となる部位(基端)と該多重管バーナーの中心軸の延長線(先端)とを結ぶ仮想線を引いた場合に、該仮想線の先端方向の延長線上における火炎温度の最高点をT2(℃)とするとき、T1−T2≧30℃であり、
前記基材の回転軸と、前記多重管バーナーの中心軸と、が一致しないように前記多重管バーナーを配置し、製造される多孔質石英ガラス体におけるドーパント濃度分布に応じて、前記回転軸からの前記T1となる部位までの距離と、前記回転軸からの前記T2となる部位までの距離と、の大小関係を調整することを特徴とする多孔質石英ガラス体の製造方法。 - 前記金属ドーパントが、TiO2である請求項1に記載の多孔質石英ガラス体の製造方法。
- 製造される多孔質石英ガラス体における金属ドーパントの濃度分布が、0.09wt%以下である請求項2に記載の多孔質石英ガラス体の製造方法。
- 前記T1−T2が580℃以下である請求項2または3に記載の多孔質石英ガラス体の製造方法。
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JP2004323256A (ja) * | 2003-04-22 | 2004-11-18 | Sumitomo Electric Ind Ltd | バーナ及び多孔質体の製造方法 |
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-
2009
- 2009-12-24 JP JP2009292723A patent/JP2011132065A/ja active Pending
Patent Citations (5)
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