JP2011131585A - エンボス加工装置及びそれを用いた熱可塑性樹脂フィルムの製造方法 - Google Patents

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哲治 花田
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Abstract

【課題】 熱可塑性樹脂フィルムにエンボス加工を施す際に、加熱する突起付きローラの軸受の温度を使用温度範囲内に押さえ、均一なエンボス加工による突起部の高さが得られる生産性の高いエンボス加工装置を用いる工程を有する熱可塑性樹脂フィルムの製造方法を提供する。
【解決手段】 熱可塑性樹脂フィルムの側縁部に搬送方向に沿った突起部のエンボス模様をフィルムに帯状に形成するエンボス加工装置において、突起付きローラの軸受温度を300℃以下とするために、エアーを吹き付ける冷却装置とエンボス痕均一調整機構として自動調芯軸受けであることを特徴とするエンボス加工装置を用いる工程を有することを特徴とする、熱可塑性樹脂フィルムの製造方法である。
【選択図】図1

Description

本発明は熱可塑性樹脂フィルムの製造における、フィルムの巻取り方法に関する。
熱可塑性樹脂を原料とする種々のフィルム成形品が知られている。中でも、ポリエステルフィルム、とりわけポリエチレンテレフタレートフィルムは、機械的特性、電気的特性、耐薬品性、寸法安定性などの点で優れているため、磁気テープ用、コンデンサ用、包装材料用、製版用、電気絶縁材料用、飲料缶ラミネート用、写真フィルム用、光学用等多様な分野で基材として使用されている。熱可塑性樹脂原料は、たとえば溶融押出法により口金から吐出され、ドラムなどにより冷却固化される。その後適当な温度、延伸倍率にて二軸延伸され、巻取機でロール状に巻き取られる。
この巻取の際には、巻き込まれる空気の量により、中間製品として巻き取られたロール状のフィルムの端面がずれたり、フィルムにしわなどが生じ、巻姿欠点となることがある。従来から、これらの対策として、多数の突起を持った突起付きローラとローラでフィルムを圧接させることにより、フィルム側縁部にエンボス加工し、フィルムに突起を形成して巻き取る方法が知られている(例えば、特許文献1、特許文献2)。またこの後工程では、顧客の必要な幅、長さに巻き取る工程、すなわちスリット工程があるが、この工程でも同様にフィルム側縁部にエンボス加工し、フィルムに突起を形成して巻き取る方法が知られている。
特開2002−18944号公報 特開平9−124199号公報
前述の方法により、適度な巻取り条件にてフィルムを巻き取った場合には、ロール上に巻き込まれた空気を適度に排除でき、フィルムのしわ防止などには効果があった。しかしながら、フィルムにエンボス加工を施す場合に、突起部の高さを任意の高さに加工するためには、突起付きローラを加熱するか、もしくは突起付きローラと金属ローラ間の圧着力を高くしてフィルムを挟む、又は両方を併用してエンボス加工をする必要があった。この場合、突起付きローラをフィルムの融点以上に加熱する場合があり、加熱されたローラの熱伝達により、突起付きローラの軸受が高温となり回転不良となる問題があった。またそのような軸受を使用した場合、軸や軸受転動体等の摩耗、封入グリスが流出し、フィルムへの異物混入欠点の原因になっていた。また、軸受部に摩耗によるガタつきが発生することにより、エンボス加工による突起部の高さが不均一となる問題が発生し、生産性を悪化させていた。
本発明は、かかる課題を解決するために、次のような手段を採用するものである。すなわち、以下である。
1) 熱可塑性樹脂フィルムの表面に、金属ローラと突起付きローラを圧接することにより、エンボス加工を施すためのエンボス加工装置であって、
該エンボス加工装置は、突起付きローラ表面を加熱するための加熱機構を有し、
該エンボス加工装置は、該突起付きローラの軸受部に対して、エアーを吹き付ける冷却装置を有することを特徴とする、エンボス加工装置。
2) 前記金属ローラの軸受が、自動調芯軸受であることを特徴とする、前記1)に記載のエンボス加工装置。
3) 前記突起付きローラ表面の温度が、(熱可塑性樹脂フィルムの融点温度(Tm)+5)℃〜(Tm+60)℃であり、
前記エアーの温度が15℃〜35℃、風量が20L/分以上であることを特徴とする、前記1)または2)に記載のエンボス加工装置。
4) 前記1)乃至3)に記載のエンボス加工装置を用いる工程を有することを特徴とする、熱可塑性樹脂フィルムの製造方法。
本発明のエンボス加工装置及びそれを用いた熱可塑性樹脂フィルムの製造方法によれば、エンボス加工中に発生する加熱された突起付きローラの軸受への温度負荷が軽減されるため、(I)突起付きローラの軸受の寿命が延長され、該軸受の回転不良による、フィルムへの異物混入が無くなる効果、及び(II)エンボス加工による突起部の高さが均一化される効果、を有する。本発明のエンボス加工装置を用いた熱可塑性樹脂フィルムの製造方法によれば、これらの効果により高品位のフィルムを提供することが可能になり、さらに生産性を向上させることができる。
本発明の熱可塑性樹脂フィルムのエンボス加工装置の一例を示す。 図1の突起付きローラ2及び金属ローラ3の断面図である。
以下、実施例に基づき本発明を説明する。
本発明における熱可塑性樹脂フィルムは、特に限定されないが、代表的な例を挙げれば、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレン−2、6−ナフタレート、ナイロン−6、ポリフェニリンサルファイドなどである。以下、熱可塑性樹脂フィルムを単にフィルムと表現する場合がある。
従来フィルムにエンボス加工を施す場合は、ローラ外周に突起を付けた突起付きローラ表面をフィルムの融点以上に加熱し、該突起付きローラと金属ローラとの間でフィルムを圧接し、突起付きローラの突起をフィルム面に転写する方法が一般的であった。しかし、上記したように、この方法では突起付きローラ表面を加熱した熱が突起付きローラの軸受に熱伝達し、軸受の回転不良が発生し、フイルムへの異物混入欠点の原因になる。また、軸受部に摩耗によるガタつきが発生することにより、エンボス加工による突起部の高さが不均一となる不良が発生し、生産性に問題があった。
本願発明者らは、従来のエンボス加工方法において、突起付きローラの軸受が加熱による熱伝達により回転不良となり、エンボス加工による突起部の高さが不均一となる原因を検討した結果、エンボスによる突起部の高さを高くするために突起付きローラを高温、高圧でフィルムに突起を形成させていることが起因となっていることを見いだした。
つまり、熱可塑性樹脂フィルムは一般に熱伝導性が悪いので、高速で搬送しているフィルムに突起付きローラを用いて、常温からフィルムが軟化するTg以上にフィルムの温度を短時間で上昇させてエンボス加工を施すためには、突起付きローラ表面を高温にした状態でのエンボス加工が必要である。また、加熱した突起付きローラ表面の軸受を調査した結果、軸受の内輪にテンパーカラーが確認され、軸受の温度が突起付きローラの加熱温度以上の高温となっていることがわかった。このことから、高温に加熱された突起付きローラ表面の熱が、この軸受に伝達し、それにより軸受の温度が上昇する。さらに突起付きローラと金属ローラを高圧で圧接し、回転させているため、突起付きローラの軸受の内部発熱により、突起付きローラの軸受の温度は使用上限温度である300℃を超えることを見いだした。
そこで本願発明者らは、突起付きローラの加熱温度を低下させることなく、突起付きローラの軸受の温度上昇を抑え、エンボスによる突起部の高さと均一性を満足できる方法を鋭意検討した結果、突起付きローラの軸受部に対して、エアーを吹き付けて温度上昇を抑えることができる冷却装置を設けたエンボス加工装置及びそれを用いたフィルムの製造方法とすることで、エンボスによる突起部の高さと均一性を両立できることを発見した。つまり本発明のエンボス加工装置は、熱可塑性樹脂フィルムの表面に、金属ローラと突起付きローラを圧接することにより、エンボス加工を施すためのエンボス加工装置であって、該エンボス加工装置は、突起付きローラ表面を加熱するための加熱機構を有し、該エンボス加工装置は、該突起付きローラの軸受部に対して、エアーを吹き付ける冷却装置を有することを特徴とする、エンボス加工装置である。この装置によれば、熱可塑性樹脂フィルムの側縁部に、搬送方向に沿ったエンボスを帯状に形成する際に、加熱機構により加熱された突起付きローラ表面を特定温度とした状態(例えば300℃以下)で、該ローラの軸受の温度が該特定温度(例えば300℃)を越えることを防止し、さらに後述するグリス温度が特定温度を超えることを防止できるため、突起付きローラの軸受の長寿命化が可能となる。
本発明の突起付きローラ表面の温度は、フィルムの厚み、フィルムの搬送速度など、諸条件によって変化するが、例えば、フィルム厚みが10μm〜500μm、フィルムの搬送速度が50m/分〜120m/分であれば、(熱可塑性樹脂フィルムの融点温度(Tm)+5)℃〜(Tm+60)℃が好ましく、さらに好ましくは、突起付きローラ表面の温度は(Tm+10)℃〜(Tm+50)℃である。突起付きローラ表面の温度が、(熱可塑性樹脂フィルムの融点温度(Tm)+5)℃未満では、フィルムに十分な熱量が伝達されずフィルムが軟化される前にエンボス加圧されてしまうため、十分な突起高さが得られない場合がある。突起付きローラ表面の温度が、(Tm+60)℃を超えた場合には、上述したローラの軸受の温度とグリス温度が特定温度を越えやすいため、軸受の長寿命化が阻害されることがあり、またフィルムが溶融し始めてしまう懸念がある。
本発明の熱可塑性樹脂フィルムの融点(Tm)とは、エンボス加工前の熱可塑性樹脂フィルム5mgを、示差走査熱量計(セイコー電子工業製RDC220)を用いて、25℃から20℃/分の昇温速度で300℃まで昇温し、測定を行った際の融解現象で発現する吸熱ピーク温度をいう。なお、熱可塑性樹脂フィルムが、異なる樹脂成分を配合させたフィルムである場合、熱可塑性樹脂フィルムの融解に伴う吸熱ピークが複数現れる場合があるが、その場合は、最も高温側に現われる吸熱ピーク温度を本発明の熱可塑性樹脂フィルムの融点とする。
さらに本発明のエンボス加工装置及びそれを用いたフィルムの製造方法のより好ましい態様は、金属ローラの軸受が、自動調芯軸受である態様である。金属ローラの軸受が、自動調芯軸受である態様のエンボス加工装置では、自動調芯軸受の内輪が挿入され、固定された中心軸に対し、自動調芯軸受の外輪は円弧状に傾くことにより角度を変えることが可能となっている。金属ローラは回転とともに、突起付きローラとの平行度が平行となるように自動調芯軸受の外輪が傾き、角度が変化することにより、突起付きローラとの平行度を自己修正する。結果としてエンボスによる突起部の高さと均一性を両立することができる。
図1は、本発明のエンボス加工方法を実現する、熱可塑性樹脂フィルムのエンボス加工装置の1例を示す。図1において1はフィルム、2は突起付きローラ、3は金属ローラ、4は突起付きローラ表面を加熱するための加熱機構、5は上流側搬送ロール、6は下流側搬送ロールである。上流側搬送ロール5で搬送されたフィルム1は突起付きローラ表面を加熱するための加熱機構4により任意の温度に加熱された突起付きローラ2と金属ローラ3とに圧接され、それにより突起が形成されて、搬送ロール6により搬送される。なお、エンボス加工を施すためには、突起付きローラ2と金属ローラ3とでフィルムを圧接する必要があるため、突起付きローラと金属ローラは、フィルムの異なる側の表面に設けられていることが重要である。
突起付きローラと金属ローラとの接圧の好ましい範囲は、500〜3000Nであり、好ましくは800〜1800Nであり、さらに好ましくは、1000〜1200Nである。突起付きローラと金属ローラとの接圧が500N未満では、加圧が低いためにエンボス突起の高さを十分に得ることができず、3000Nを超えると機械的強度が必要となり、装置が大型化する必要性が生じる。又、機械的強度が不足した場合、磨耗によるガタつきが発生し、エンボス加工による突起部の高さが不均一となる傾向が顕著となる。
突起付きローラの突起部の面積の好ましい比率は、突起付きローラがフィルムに接する面積に対して10〜30%であり、好ましくは15〜25%である。突起付きローラの突起部の面積が、突起付きローラがフィルムに接する面積に対して10%未満では、形成するエンボス突起の1面積にかかる圧力が大きくなるためにエンボスが形成されやすくなるが、フィルムをロール状とした場合に端部がズレたり、フィルムにしわが生じ、巻姿欠点となる傾向がある。逆に、突起付きローラの突起部の面積が、突起付きローラがフィルムに接する面積に対して30%を超えると、形成するエンボス突起の1面積にかかる接圧が分散され小さくなりすぎるため、変形されにくくなりやすい。
図2は突起付きローラ2、金属ローラ3の断面図の1例を示す。図2において突起付きローラ2と金属ローラ3との間にはフィルム1が圧接されている。なお図2は、フィルムの幅方向の断面である。突起付きローラ2の両端の中空軸7には、軸受8が挿入されている。この部分を総称し、軸受部と呼ぶ。つまり本発明における軸受部とは、中空軸と軸受とを合わせた総称である。
さらに中空軸7の空洞部分に向け冷却装置9が設けられており、該冷却装置9は突起付きローラの軸受部(空洞内)にエアーを吹き付けるために設けられる。
本発明のエンボス加工装置では、突起付きローラの軸受部に対して、エアーを吹き付ける冷却装置を有することが重要である。この冷却装置が、突起付きローラの軸受部に対してエアーを吹き付けることによって、該突起付きローラの軸受の温度が、選定した軸受に使用しているグリスの耐熱使用温度の上限以下の温度、例えば、ダイキン社製 商品名 デムナム(商標登録)L200の場合:300℃以下、例えば、共同油脂社製 E5の場合:180℃以下等に冷却されていることが好ましい態様である。
なお、突起付きローラの軸受部に対して冷却装置から吹き付けるエアーの温度は、低いほど冷却効果が高くなるため好ましいが、突起付きローラの軸受の温度が該軸受に使用しているグリスの耐熱使用温度の上限以下になりさえすれば、常温の25℃程度でも構わない。突起付きローラの軸受部に対して、冷却装置が吹き付けるエアーの温度は、15℃〜35℃が好ましく、さらに好ましくは、20℃〜30℃である。15℃未満では、突起付きローラの温度と軸受の温度差が大きくなり軸受付近で結露現象が発生しやすくなる。突起付きローラの軸受部に対して、冷却装置が吹き付けるエアーの温度が35℃を超えると、冷却効果が小さくなり、軸受に使用しているグリスの耐熱使用温度の上限を超えてしまう場合がある。この場合、軸受に使用しているグリスが溶け出し、駆動する度に軸と軸受が磨れ鉄粉異物を発生させ、フィルムに該異物が付着する結果となるからである。
なお、冷却装置から吹き出すエアーはエアーフィルターやミストセパレーターにより、コンタミや水分を取り除いていることが異物を抑制する観点から好ましい態様である。また、冷却装置のエアー吹き出し風量を調整するため、エアー吹き出し口の上流側には減圧弁を設置することが好ましい態様である。
本発明の冷却装置が突起付きローラの軸受部に対して吹き付けるエアーの好ましい風量は、20L/分以上である。なお、冷却装置が突起付きローラの軸受部に対して吹き付けるエアーの風量の上限は特に限定されないが、100L/分であれば十分に冷却される。
また、本発明のエンボス加工装置は、金属ローラの軸受が自動調芯軸受である態様が好ましい。図2は、金属ローラ3の軸受の内部に自動調芯軸受10が取り付けられている態様を示すが、内輪11が軸12に固定され、外輪13が回転する軸受において、固定された内輪の外側で回転する転動体14のさらに外側に位置する外輪13と転動体14との接触面である外輪軌道面の中心が軸受の中心と一致した点を持つ球面で、内輪11は二列の軌道溝を持つ構造になっており、外輪13は内輪11、転動体14に対してある程度自由に傾いて回転することができる。金属ローラの軸受として自動調芯軸受を用いることにより、金属ローラは回転とともに、突起付きローラとの平行度が平行となるように自動調芯軸受の外輪が傾き、角度を変化させることができる。そのため、エンボスによる突起部の高さと均一性を両立することができる。
なお、本発明で用いる自動調芯軸受の転動体には、玉、コロのどちらの形状を用いても構わない。
なお、本発明でいうTgとはガラス転移温度のことであり、非晶質固体材料にガラス転移が起きる温度のことである。また、本発明でいう融点とは固体が融解し、液体化する温度のことである。
さらに、本発明でいうテンパーカラーとは金属が温度上昇により、表面に発生する変色現象のことであり、金属の材質と温度により、色調が変化する。
フィルム中におけるエンボス加工を施す位置は、生産性が高く、巻姿欠点に効果が大きい熱可塑性樹脂フィルムの側縁部に、搬送方向に沿ったエンボスを帯状に形成するのが好ましい。より好ましくはフィルムの側縁部の両側にエンボスを形成する態様である。
なお、突起付きローラとしては、突起が機械加工により形成された金属製のローラを使用することができるが、本発明のより好ましい態様としては、突起付きローラの表面の突起高さが1〜250μmであり、さらに好ましくは突起高さのバラつきが±2%以内である。突起付きローラの突起高さは、熱可塑性樹脂フィルムの目的・用途によって種々変更可能であるが、突起をフィルム幅方向の両端部に形成するための突起付きローラにおいては、突起高さとそのバラつきを上記範囲に制御することで、得られるフィルムのエンボス模様の突起部の高さを1〜250μmとすることができるため、本発明の効果が顕著に優れることとなり好ましい。なお、フィルムの突起部の高さは、マイクロメーターを用いて得られる値である。また、突起をフィルム幅方向の両端部に形成するための突起付きローラにおいて、突起高さとそのバラつきを上記範囲に制御することで、得られるフィルムをロール状にした際のロール状フィルムの幅方向両端部の高さの差(エンボス模様を幅方向両端に形成したロール状フィルムの両端突起部の高さの差)を0〜100μmとすることができるので、本発明の効果が顕著に優れることとなり好ましい。なお、ロール状フィルムの幅方向両端部の高さの差は、ダイヤルゲージを用いて得られる値である。
また、本発明に用いられる熱可塑性樹脂フィルムの厚みは特に限定されないが、一般に薄物と言われる4μm以上であり、さらに、一般に厚物と言われる500μm以下であることが、本発明の効果の点で好ましい。
本発明のエンボス加工装置における加熱機構は、突起付きローラ表面を十分に加熱できさえすれば特に限定されず、例えばラジエーションヒーターや熱風などの方式を採用することも可能であるが、温度制御が容易な誘導加熱方式であることが特に好ましい。
なお、加熱機構により熱せられる突起付きローラ表面の温度は、熱可塑性樹脂フィルムに対しエンボスによって求める突起部の高さを得るという観点から、突起付きローラの軸受に使用しているグリスの耐熱使用温度の上限以下の温度であれば、特に限定されないが、より好ましくは、該グリスの耐熱使用温度の上限以下であり、かつ熱可塑性樹脂フィルムのTg以上、(熱可塑性樹脂フィルムの融点温度(Tm)+60)℃以下の温度が好ましい。
突起付きローラの突起形状、突起高さ、突起部の面積比率などは、特に限定されないが、本発明のエンボス加工装置を用いて製造されるフィルムの用途により決定される。
本発明のフィルムの製造方法は、その製造工程のいずれかにおいて前述のエンボス加工装置を用いた工程を有することが重要である。好ましくは、本発明のエンボス加工装置を用いる工程の位置が、二軸延伸後などの巻取機により巻き取られる直前の工程、又は、スリット工程の巻き取られる直前の工程、である態様である。
以下、本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
(実施例1)
スリット工程内に設置された、図1に示すフィルム幅方向の両端部付近を加工するためのエンボス加工装置において、突起付きローラ軸受にNTN製6205ZZ−C4、封入グリス:ダイキン社製 商品名デムナム(登録商標)L200を使用し、ポリエチレンテレフタレートのフィルム(融点:255℃)を用いて、フィルム厚み188μm、フィルムのスリット幅:1200mm、フィルム巻き長さ100m×3回、フィルムの搬送速度60m/分、突起付きローラと金属ローラとの接圧1800N、突起付きローラの突起部の面積比率19.8%、エンボス加工位置:フィルム両端部より2mm、エンボス加工幅:11mm、加熱機構:誘導加熱方式、突起付きローラの表面温度300℃、突起付きローラの軸受部に対する冷却装置の吹き付けエアーの温度:25℃、風量:36L/分とした。
この時のロール状に巻き取られたフィルム表面の幅方向の中央部を0点基準として、両端部に形成された突起部の高さをダイヤルゲージで測定した結果、左端部:510μm、右端部:530μm、両端差:20μmであり、均一な突起部の高さが得られた。エンボス加工装置使用中の突起付きローラの軸受の温度は253℃であった。尚、軸受の温度はサーモグラフィーにて測定した。また、エンボス加工装置の使用時間が100時間経過後の突起付きローラの軸受の内輪を目視にて観察した結果、温度上昇によるテンパーカラーは無かった。
(実施例2)
スリット工程内に設置された、図1に示すフィルム幅方向の両端部付近を加工するためのエンボス加工装置において、突起付きローラ軸受にNTN製6205ZZ−C4、封入グリス:ダイキン社製 商品名デムナム(登録商標)L200を使用し、ポリエチレンテレフタレートのフィルム(融点:255℃)を用いて、フィルム厚み38μm、フィルムのスリット幅:1200mm、フィルム巻き長さ100m×3回、フィルムの搬送速度100m/分、突起付きローラと金属ローラとの接圧1000N、突起付きローラの突起部の面積比率19.8%、エンボス加工位置:フィルム両端部より2mm、エンボス加工幅:11mm、加熱機構:誘導加熱方式、突起付きローラの表面温度270℃、突起付きローラの軸受部に対する冷却装置の吹き付けエアーの温度:25℃、風量:50L/分とした。
この時のロール状に巻き取られたフィルム表面の中央部を0点基準として、両端部に形成された突起部の高さをダイヤルゲージで測定した結果、左端部:810μm、右端部:790μm、両端差:20μmであり、均一な突起部の高さが得られた。エンボス加工装置使用中の突起付きローラの軸受の温度は228℃であった。尚、軸受の温度はサーモグラフィーにて測定した。また、エンボス加工装置の使用時間が100時間経過後の突起付きローラの軸受の内輪を目視にて観察した結果、温度上昇によるテンパーカラーは無かった。
(実施例3)
実施例1に用いたポリエチレンテレフタレートのフィルムに代えて、ポリエチレンー2、6−ナフタレートフィルム(融点:265℃)を用いたこと以外は同様にエンボス加工を行った。
実施例1と同様に測定した結果、この時のロール状に巻き取られたフィルムの両端部に形成された突起部の高さは、左端部:470μm、右端部:510μm、両端差:40μmであり、均一な突起部の高さが得られた。エンボス加工装置使用中の突起付きローラの軸受の温度は250℃であった。また、突起付きローラの軸受の内輪に、温度上昇によるテンパーカラーは無かった。
(実施例4)
実施例1のエアー温度を15℃にする以外は、同様にしてエンボス加工を行った。
実施例1と同様に測定した結果、この時のロール状に巻き取られたフィルムの両端部に形成された突起部の高さは、左端部:515μm、右端部:535μm、両端差:20μmであり、均一な突起部の高さが得られた。エンボス加工装置使用中の突起付きローラの軸受の温度は240℃であった。また、突起付きローラの軸受の内輪に、温度上昇によるテンパーカラーは無かった。
(実施例5)
実施例1のエアー温度を35℃にする以外は、同様にしてエンボス加工を行った。
実施例1と同様に測定した結果、この時のロール状に巻き取られたフィルムの両端部に形成された突起部の高さは、左端部:510μm、右端部:525μm、両端差:15μmであり、均一な突起部の高さが得られた。エンボス加工装置使用中の突起付きローラの軸受の温度は270℃であった。また、突起付きローラの軸受の内輪に、温度上昇によるテンパーカラーは無かった。
(実施例6)
実施例1の突起付きローラの表面の温度を260℃、突起付きローラの軸受部に対する冷却装置の吹き付けエアー温度を20℃、エアー風量を20L/分とする以外は、同様にして、エンボス加工を行った。
実施例1と同様に測定した結果、この時のロール状に巻き取られたフィルムの両端部に形成された突起部の高さは、左端部:400μm、右端部:420μm、両端差:20μmであり、均一な突起部の高さが得られた。エンボス加工装置使用中の突起付きローラの軸受の温度は230℃であった。また、突起付きローラの軸受の内輪に、温度上昇によるテンパーカラーは無かった。
(実施例7)
実施例1の突起付きローラの表面の温度を315℃、突起付きローラの軸受部に対する冷却装置の吹き付けエアー温度を35℃、エアー風量を20L/分とする以外は、同様にして、エンボス加工を行った。
実施例1と同様に測定した結果、この時のロール状に巻き取られたフィルムの両端部に形成された突起部の高さは、左端部:600μm、右端部:625μm、両端差:25μmであり、均一な突起部の高さが得られた。エンボス加工装置使用中の突起付きローラの軸受の温度は285℃であった。また、突起付きローラの軸受の内輪に、温度上昇によるテンパーカラーは無かった。 (比較例1)
スリット工程内に設置された、図1に示すフィルム幅方向の両端部付近を加工するためのエンボス加工装置において、突起付きローラ軸受にNTN製6205ZZ−C4、封入グリス:ダイキン社製 商品名デムナム(登録商標)L200を使用し、突起付きローラ2の軸受部に対する冷却装置がなく、金属ローラ3に自動調芯軸受を用いない装置において、ポリエチレンテレフタレートのフィルム(融点:255℃)を用いて、フィルム厚み188μm、フィルムのスリット幅:1200mm、フィルム巻き長さ100m×3回、フィルムの搬送速度60m/分、突起付きローラと金属ローラとの接圧1800N、突起付きローラの突起部の面積比率は19.8%、エンボス加工位置:フィルム両端部より2mm、エンボス加工幅:11mm、加熱機構:誘導加熱方式、突起付きローラの表面温度300℃で使用した。
この時のロール状に巻き取られたフィルム表面の中央部を0点基準として、両端部に形成された突起部の高さをダイヤルゲージで測定した結果、左端部:870μm、右端部:420μm、両端差:450μmであり、突起部の高さに差がみられた。エンボス加工装置使用中の突起付きローラの軸受の温度は356℃であった。尚、軸受温度はサーモグラフィーにて測定した。また、エンボス加工装置の使用時間が100時間経過後の突起付きローラの軸受の内輪を目視にて観察した結果、温度上昇によるテンパーカラーにより、内輪が濃青色に変色し、軸受がわずかに回転不良となっていた。
(比較例2)
スリット工程内に設置された、図1に示すフィルム幅方向の両端部付近を加工するためのエンボス加工装置において、突起付きローラ軸受にNTN製6205ZZ−C4、封入グリス:ダイキン社製 商品名デムナム(登録商標)L200を使用し、突起付きローラ2の軸受部に対する冷却装置がなく、金属ローラ3に自動調芯軸受を用いない装置において、ポリエチレンテレフタレートのフィルム(融点:255℃)を用いて、フィルム厚み38μm、フィルムのスリット幅:1200mm、フィルム巻き長さ100m×3回、フィルムの搬送速度100m/分、突起付きローラと金属ローラとの接圧1000N、突起付きローラの突起部の面積比率は19.8%、エンボス加工位置:フィルム両端部より2mm、エンボス加工幅:11mm、加熱機構:誘導加熱方式、突起付きローラ表面温度270℃で使用した。
この時のロール状に巻き取られたフィルム表面の中央部を0点基準として、両端部に形成された突起部の高さをダイヤルゲージで測定した結果、左端部:760μm、右端部:390μm、両端差:370μmであり、突起部の高さに差がみられた。エンボス加工装置使用中の突起付きローラの軸受の温度は332℃であった。尚、軸受の温度はサーモグラフィーにて測定した。また、エンボス加工装置の使用時間が100時間経過後の突起付きローラの軸受の内輪を目視にて観察した結果、温度上昇によるテンパーカラーにより、内輪が薄青色に変色していた。
以上詳述したように、本発明は、熱可塑性樹脂フィルムの側縁部に、搬送方向に沿ったエンボスを帯状に形成するためのエンボス加工装置及びそれを用いたフィルムの製造方法に係わるものであり、本発明により、熱可塑性樹脂フィルムにエンボス加工を施す際に、加熱する突起付きローラの軸受の温度を使用温度範囲内に押さえ、軸受の長寿命化が可能となり、安定してエンボス加工を行うことが可能となる。また、コンパクトな設備構成でも均一なエンボス加工による突起部の高さが得られるため、スペースの無い場所への設置や設備の小型化を図る場合に有用である。
1 フィルム
2 突起付きローラ
3 金属ローラ
4 加熱機構
5 上流側搬送ロール
6 下流側搬送ロール
7 中空軸
8 軸受
9 冷却装置のエアー吹出口
10 自動調芯軸受
11 内輪
12 軸
13 外輪
14 転動体

Claims (4)

  1. 熱可塑性樹脂フィルムの表面に、金属ローラと突起付きローラを圧接することにより、エンボス加工を施すためのエンボス加工装置であって、
    該エンボス加工装置は、突起付きローラ表面を加熱するための加熱機構を有し、
    該エンボス加工装置は、該突起付きローラの軸受部に対して、エアーを吹き付ける冷却装置を有することを特徴とする、エンボス加工装置。
  2. 前記金属ローラの軸受が、自動調芯軸受であることを特徴とする、請求項1に記載のエンボス加工装置。
  3. 前記突起付きローラ表面の温度が、(熱可塑性樹脂フィルムの融点温度(Tm)+5)℃〜(Tm+60)℃であり、
    前記エアーの温度が15℃〜35℃、風量が20L/分以上であることを特徴とする請求項1または2に記載のエンボス加工装置。
  4. 請求項1〜3のいずれかに記載のエンボス加工装置を用いる工程を有することを特徴とする、熱可塑性樹脂フィルムの製造方法。
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