JP2011129688A - 電子部品及び端子電極 - Google Patents

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Abstract

【課題】ハンダとの密着性に優れ、薄型化することが可能な電子部品を提供すること。
【解決手段】セラミック素体10と、該セラミック素体10上に端子電極20とを備える電子部品100であって、端子電極20は、セラミック素体10側から、セラミック素体10に接しニッケル及びガラスを含む下地層と、該下地層に接しスズを含む表面層と、を有する電子部品100。
【選択図】図1

Description

本発明は、電子部品及びそれに備えられる端子電極に関する。
フェライトコアや積層型電子部品に設けられる端子電極は、低融点である銀や銅からなる下地層を形成し、当該下地層上に複数のめっき層を設けることによって作製される。このような端子電極は、各種情報機器用の基板に、ハンダを用いて実装されるため、良好なハンダ付け性を有することが求められる。このため、端子電極の表面には、通常スズめっき層が設けられる。
このスズめっき層やハンダに含まれる元素が、電子部品を実装する際にフェライトコアや積層型電子部品のセラミック素体部分に拡散するのを防止するために、スズめっき層と下地層の間には、拡散防止層が設けられる。この拡散防止層としては、例えばニッケルめっき層が用いられる。このように、端子電極は、通常、3層以上で構成される積層構造を有している。例えば、特許文献1では、フェライトコアに設けられる端子電極を、銀、銀合金又は銅からなる金属層の上に、Ni,Sn,Sn−Pb等のめっき皮膜を形成して端子電極を製造することが提案されている。
近年、電子機器は一層の小型化が求められており、それに伴ってフェライトコアや積層型電子部品等の電子部品も薄型にすることが求められている。また、電子機器の高機能化及び高品質化も進んでおり、電子部品の性能の向上に対する要求も益々高くなっている。このため、電子部品は、セラミック等の素材の有する特性を十分に活用することが求められる。
特開平10−172832号公報
電子機器における端子電極の薄型化を図るためには、例えば、下地層を拡散防止層にすることによって、2層構造とすることが考えられる。しかしながら、元素の拡散防止機能を有する金属成分は通常高融点であるため、そのような金属を焼成して下地層を作製すると、熱によってセラミック素体の性能が低下してしまうことが懸念される。また、スズめっき層を有しない構造とした場合、ハンダのぬれ性が低下し、ハンダとの良好な密着性が損なわれてしまうことが懸念される。
一方、拡散防止層を形成せずに、端子電極を下地層とスズめっき層のみの構造とした場合は、スズめっき層やハンダに含まれる金属元素がセラミック素体へ拡散してしまい、セラミック素体の性能低下を抑制することが困難となる。
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、ハンダとの密着性に優れ、薄型化することが可能な端子電極及び電子部品を提供することを目的とする。
上記目的を達成するため、本発明は、セラミック素体と、該セラミック素体上に端子電極とを備える電子部品であって、端子電極は、セラミック素体側から、セラミック素体に接しニッケル及びガラスを含む下地層と、該下地層に接しスズを含む表面層と、を有する電子部品を提供する。
本発明の電子部品は、端子電極における下地層が拡散防止機能を有するニッケルを含んでいるため、実装のためにハンダづけする際に、ハンダや表面層からセラミック素体への元素の拡散を十分に抑制することができる。また、端子電極の表面層がスズを含有しているため、ハンダとの密着性にも優れる。さらに、本発明の電子部品は、端子電極を下地層と表面層の2層構造にすることが可能であるため、十分に薄くすることができる。
また、本発明では、電子部品用のセラミック素体上に設けられる端子電極であって、セラミック素体側から、セラミック素体に接しニッケル及びガラスを含む下地層と、該下地層に接しスズを含む表面層と、を備える端子電極を提供する。
本発明の端子電極は、下地層が拡散防止機能を有するニッケルを含んでいるため、実装のためにハンダづけする際に、ハンダや表面層からセラミック素体への元素の拡散を十分に抑制することができる。また、下地層がニッケルとともにガラスを含んでいるため、低温で焼成して形成しても、セラミック素体との密着性に優れる。このため、焼成温度を低減することによって、セラミック素体の性能を十分に維持することができる。また、表面層がスズを含有しているため、ハンダとの密着性にも優れる。さらに、本発明の端子電極は、下地層と表面層の2層構造にすることが可能であるため、十分に薄くすることができる。
本発明によれば、ハンダとの密着性に優れ、薄型化することが可能な端子電極及び電子部品を提供することができる。
本発明の電子部品の好適な一実施形態であるセラミックコアの斜視図である。 本発明の電子部品の好適な一実施形態であるセラミックコアの模式断面図である。 本発明の電子部品の好適な一実施形態であるコイル部品の模式断面図である。 本発明の電子部品の好適な一実施形態である積層セラミックコンデンサの斜視図である。 本発明の電子部品の好適な一実施形態である積層セラミックコンデンサの模式断面図である。
以下、場合により図面を参照して、本発明の好適な実施形態について説明する。なお、各図面において、同一又は同等の要素には同一の符号を付与し、重複する説明を省略する。
<第1実施形態>
図1は、本実施形態のセラミックコアの斜視図である。セラミックコア100は、図1に示すようにドラム形状を有している。
図2は、図1のセラミックコアのII−II線における模式断面図である。セラミックコア100は、図1及び図2に示すように、巻芯部12と、当該巻芯部12の軸方向の両端に形成された一対の鍔部14とを有するドラム形状のセラミック素体10と、該セラミック素体10の一方の鍔部14上に設けられる一対の端子電極20とを備える。
図1及び図2に示すように、セラミック素体10の巻芯部12及び鍔部14は、ともに円柱形状を有しており、巻芯部12と鍔部14とは、一体的に形成されている。一対の端子電極20は、それぞれセラミック素体10の鍔部14における周側面16の一部と端面18の一部を覆うように設けられている。端子電極20は、セラミック素体10側から、下地層22と表面層24とが積層された積層構造を有している。下地層22は、セラミック素体10及び表面層24と接触している。
下地層22は、ニッケルとガラスとを含んでおり、ニッケルの含有率は、ニッケルとガラスとの合計を基準として、好ましくは60〜95質量%、より好ましくは70〜95質量%、さらに好ましくは80〜93質量%である。ニッケルの含有率が高くなり過ぎると、下地層22の焼成温度が高くなる傾向、及び下地層22とセラミック素体10との優れた密着性が損なわれる傾向にある。一方、ニッケルの含有率が低くなり過ぎると、下地層22の拡散防止機能が損なわれる傾向にある。
ニッケルは、金属単体として含まれていてもよく、ニッケルを含む合金(以下、「ニッケル合金」という)として含まれていてもよい。ニッケル合金としては、Niと、Pd,Pt,Co,Fe,Cr,Ti,W,Mo及びNbから選ばれる少なくとも一種の金属元素との合金が挙げられる。このような合金を用いても、ハンダや表面層24からセラミック素体10への金属元素の拡散を、十分に抑制することができる。また、ニッケル合金を用いることによって、下地層22の焼成温度、焼成時の収縮挙動、及び焼成時の線膨張係数等を調整することができる。
ガラスは、通常の市販のガラス粉末を焼成して得られるものであり、軟化温度が好ましくは700℃以下、より好ましくは600℃以下である。軟化温度の低いガラス粉末を用いることによって、下地層22を形成する際の焼成温度を低くすることが可能となり、ニッケル又はニッケル合金の酸化やセラミック素体10の性能低下を十分に抑制することができる。ガラス粉末は、後述する表面処理工程におけるブラスト性を良好にする観点から、アルカリ金属酸化物を含むガラスからなるものであることが好ましい。
下地層22の厚みは、好ましくは0.5〜20μm、より好ましくは2〜10μm、さらに好ましくは3〜8μmである。下地層22の厚みが小さくなり過ぎると、表面層24からの元素拡散を十分に抑制することが困難になる傾向にある。一方、下地層22の厚みが大きくなり過ぎると、端子電極20の厚みが大きくなり、セラミックコア100が大型化する傾向にある。
表面層24はスズを含む層であり、スズの含有率は、好ましくは80質量%以上であり、より好ましくは90質量%以上である。このように表面層24は、スズを主成分とする層であるため、端子電極20はハンダとの密着性に優れており、また、良好なハンダぬれ性を有する。なお、表面層24に含まれるスズは、スズ単体であってもよく、スズとスズとは異なる金属との合金(以下、「スズ合金」という)であってもよい。ハンダとの密着性及びハンダぬれ性を一層向上する観点から、表面層24はスズ皮膜又はスズ合金皮膜からなる層であることが好ましい。
スズ合金としては、Snと、Pt,Au,Pd,Ag及びCuから選ばれる少なくとも一種の金属元素との合金が挙げられる。このようなスズ合金を用いることによって、ハンダのぬれ性、及びハンダとの密着性を一層向上させることができる。同様の観点から、スズ合金のうち、ハンダ用金属と同様の組成を有する成分がより好ましく、Sn−3.5Ag−0.5Cuが特に好ましい。
表面層24の厚みは、好ましくは0.2〜20μm、より好ましくは1〜10μm、さらに好ましくは2〜6μmである。表面層24の厚みが小さくなり過ぎると、ハンダぬれ性やハンダとの優れた密着性が損なわれる傾向にある。一方、表面層24の厚みが大きくなり過ぎると、端子電極20の厚みが大きくなり、セラミックコア100が大型化する傾向にある。
端子電極20は、セラミック素体10側から、ニッケル及びガラスを含む下地層22と、スズを含む表面層24とが順次積層された構造を有していることから、ハンダや表面層24からセラミック素体10への元素拡散を十分に抑制することができ、セラミック素体10の性能低下を十分に抑制することができる。また、ハンダぬれ性、並びにハンダ及びセラミック素体10との密着性にも優れる。
端子電極20は、セラミックコア用のセラミック素体10上に、セラミック素体10に接触するように下地層22が設けられ、当該下地層22に接触するように表面層24が形成されることによって、構成されている。このように端子電極20は2層構造を有しているため、厚みを十分に薄くすることができる。端子電極20の厚みT1は、好ましくは0.7〜40μm、より好ましくは3〜20μm、さらに好ましくは5〜15μmである。
次に、端子電極20の製造方法の一例を説明する。この製造方法は、セラミックコア100用のセラミック素体10を作製する準備工程と、ニッケルとガラスとを含むペーストを、セラミック素体10の上に塗布する塗布工程と、セラミック素体10の上のペーストを焼成して下地層22を形成する焼成工程と、下地層22の表面をブラストする表面処理工程と、下地層22の上に、スズを含む表面層24を形成して、下地層22が表面層24によって被覆された端子電極20を得る製膜工程と、を有する。この製造方法は、電子部品の一種である、セラミック素体10と該セラミック素体10の上に端子電極20とを備えるセラミックコア100の製造方法でもある。以下、適宜図面を参照しつつ各工程の詳細について説明する。
準備工程では、セラミックコア用のセラミック素体10を作製する。このセラミック素体10は、公知の方法で作製することができる。例えば、セラミックコア100がフェライトコアである場合、Ni−Cu−Zn系、Ni−Zn系、又はMn−Zn系のフェライト粉末、バインダ及び添加物を配合して混合し、必要に応じて加熱して造粒する。得られた造粒粉をプレス成形して成形体を作製し、所定の温度に加熱して脱脂した後、焼成してフェライトコア用のセラミック素体10を作製することができる。焼成温度は、例えば1000〜1200℃、焼成時間は、例えば1〜3時間に設定することができる。なお、セラミックコア100が非磁性体コアである場合は、例えばアルミナ等の粉末を用いて公知の方法でセラミック素体10を作製することができる。
塗布工程では、セラミック素体10の上に、ニッケル粉末又はニッケル合金粉末とガラス粉末とを含むペーストを塗布する。ここで用いるペーストは、上述の粉末の他に、バインダ及び溶剤を配合して調製することができる。バインダとしては、アクリル、ブチラール、又はポリビニルアルコール等の樹脂を用いることができる。溶剤としては、エタノール、キシレン、ブチルカルビトール又はターピネオール等を用いることができる。
ニッケルは、表1に示すとおり、拡散防止機能を有すると考えられる金属の中で、最も融点が低いため、ガラス粉末を用いることとの相乗作用によって、下地層22形成時の焼成温度を十分に低減することができる。このように、ニッケル粉末又はニッケル合金粉末を用いることによって、金属元素の拡散や熱によるセラミック素体10の性能低下を十分に抑制することができる。また、ニッケルは比較的低い電気抵抗率を有するため、端子電極の導電性の向上にも寄与する。
Figure 2011129688
ペーストの調製に用いるガラス粉末に特に制限はないが、軟化温度が好ましくは700℃以下、より好ましくは600℃以下のものが好ましい。このように軟化温度の低いガラス粉末を用いることによって、焼成温度を低くすることが可能となり、ニッケルの酸化やセラミック素体10の性能低下を十分に抑制することができる。
本製造方法は、塗布工程と焼成工程の間に、セラミック素体の上に塗布したペーストを加熱して脱脂する脱脂工程を有することが好ましい。脱脂工程では、ペーストに含まれるバインダを大気中で燃焼することによって除去する。脱脂工程における加熱温度は、バインダの種類によって異なり、例えば300〜500℃であることが好ましい。
焼成工程では、セラミック素体10の上のペーストを焼成して下地層22を形成する。焼成時の雰囲気は、必要に応じて例えば窒素ガスやアルゴンガス等の不活性ガス雰囲気とし、焼成温度は、ペーストに含まれるガラス粉末の軟化温度以上とする。具体的には、焼成温度は、好ましくは500〜700℃、より好ましくは550〜650℃とする。焼成時間は、好ましくは0.1〜10時間、より好ましくは0.5〜5時間とする。このような焼成条件で焼成することによって、熱や元素拡散によるセラミック素体10の性能低下を抑制しつつ、密着性に優れる下地層22を形成することができる。焼成温度が高過ぎると、セラミック素体10と下地層22との界面付近における残留応力が大きくなり、セラミック素体10のクラックの発生、または密着性の低下が生じ易くなる傾向にある。一方、焼成温度が低過ぎると、下地層22の焼結が十分に進行せず、下地層22とセラミック素体10との密着性が損なわれる傾向にある。
表面処理工程では、下地層22の表面をブラストする。本実施形態の製造方法では、ガラス粉末とニッケル粉末等とを含むペーストを焼成して下地層22を形成しているため、焼成条件に応じて、下地層22の表面にガラスが析出するガラス浮きが発生して、下地層22と表面層24との優れた密着性が損なわれる場合がある。そこで、表面処理工程によって、下地層22の表面に存在するガラスをブラストすれば、下地層22と表面層24との密着性を向上することができる。下地層22の表面全体を基準として、ガラスによって被覆される面積は、密着性及び電気導通性の向上の観点から、好ましくは10%以下である。ブラストの方法は特に制限されず、例えば金属粒子を下地層22の表面に衝突させることによって、下地層22の表面にあるガラスを排除することができる。
上述のブラストによって、下地層22の表面を粗化することができる。これによって、下地層22と表面層24との密着性を向上することができる。下地層22の表面粗さは、好ましくはRa(中心線平均粗さ)で0.3〜5μmである。Raが0.3μm以下であると、下地層22と皮膜24との密着性向上の効果が不十分となる傾向にある。一方、Raが5μm以上であると、下地電極層の23の連続性が損なわれ易くなる傾向にある。
下地層22の構造は、皮膜24側の表面のガラス被覆面積が全表面の10%以下であり、且つ表面粗さがRaで0.3〜5μmであることが好ましい。ブラストの条件を適切に設定することにより、容易に上述の構造を有する下地層22を形成することができる。下地層22とセラミック素体10との界面における密着性を向上させる観点から、下地層22は、電気導通性を損なわない範囲でガラス成分の含有量を多くすることが好ましい。すなわち、下地層22と表面層24との界面よりも下地層22とセラミック素体10との界面の方がガラス被覆面積の割合が高い方が好ましい。
製膜工程では、下地層22の上に、表面層24を形成する。表面層24を形成する方法は特に限定されず、湿式めっき等の湿式製膜法であってもよく、乾式製膜法であってもよい。これらの方法のうち、セラミック素体10の腐食を抑制する観点から、乾式製膜法を用いることが好ましい。乾式製膜法としては、蒸着、イオンプレーティング、スパッタリング、CVD、プラズマCVD、溶射、又はコールドスプレーが挙げられる。このような乾式製膜によって表面層24を形成する場合、セラミック素体10にめっき液等を付着させる必要がない。したがって、めっき液等の侵入に伴うセラミック素体10の性能低下を防止することができる。
上述の乾式製膜法は、通常の条件によって行うことができる。なお、下地層22が形成されていないセラミック素体10の表面に表面層24が形成されることを防止するために、蒸着、イオンプレーティング及びスパッタリングの場合は、セラミック素体10の表面をマスキングする必要がある。一方、溶射及びコールドスプレーの場合は、適切な条件を選定することによって、マスキングをしなくても下地層22の上のみに表面層24を形成することができる。このため、工程簡略化の観点から、溶射及びコールドスプレーによって製膜することが好ましい。また、上述の表面処理工程と製膜工程とを同時に行うことができる点で、コールドスプレーが最も好ましい。つまり、コールドスプレーによれば、スズ粒子やスズ合金粒子の粒径、ノズルからの噴出速度、下地層22に衝突する際の速度(衝突速度)及びワーキングディスタンス(噴出口から下地層22までの距離)を調整することによって、下地層22の表面に析出したガラスを排除しながら、下地層22の表面上に粒子を付着及び堆積させて、表面層24を形成することができる。コールドスプレーは、通常のコールドスプレー装置を用いて行うことができる。
コールドスプレーによって下地層22の表面上に表面層24を形成する場合、吹き付ける粒子の種類、粒子の粒径、下地層22の材質等に応じて、コールドスプレー用のノズルの寸法や、粒子の噴出速度、ワーキングディスタンスなどを、適宜調整することが好ましい。粒子の粒径は、好ましくは1〜30μm、より好ましくは1〜20μm、さらに好ましくは2〜10μm、最も好ましくは2〜5μmである。粒子の粒径が1μm未満であると、粒子を加速すること及びその噴出速度の安定性を確保することが困難になる傾向にある。一方、粒子の粒径が30μmを超えると、表面層24の薄膜化が困難になる傾向にある。
コールドスプレーに用いる粒子の粒径は、小さいほど付着効率が高くなり、下地層22との密着性が向上する傾向にある。薄くて密着性の良好な金属層からなる表面層24を形成する観点からは、できるだけ小さい粒径の粒子を用いた方が好ましい。また表面層24の厚さは、コールドスプレーに用いる粒子の平均粒径の0.5倍以上であることが好ましく、1倍以上であることがより好ましい。表面層24の厚さが粒子の平均粒径の0.5倍未満であると、表面層24の連続性の確保が困難になる傾向にある。
粒径1〜30μmのスズ粒子又はスズ合金粒子を用いる場合、粒子の噴出速度は好ましくは50〜1000m/秒、衝突速度は好ましくは100〜800m/秒、より好ましくは360〜800m/秒である。衝突速度が大き過ぎると、下地層22が削られる場合があり、衝突速度が小さ過ぎると粒子の塑性変形が十分に進行せず、表面層24の緻密さ及び均一性が損なわれる傾向にある。また、スズ粒子又はスズ合金粒子のコールドスプレーによる供給量は、好ましくは1〜10g/分である。該供給量が1g/分未満であると、表面層24の均一性が損なわれる傾向にあり、該供給量が10g/分を超えるとコールドスプレーのフィーダー等が閉塞する可能性がある。
コールドスプレーによってスズ皮膜又はスズ合金皮膜を形成する場合、セラミックス素体上におけるスズ又はスズ合金の堆積速度を、金属上におけるスズ又はスズ合金の堆積速度よりも大幅に小さくすることができる。このため、コールドスプレーの条件を調整すれば、マスクレスでスズ皮膜又はスズ合金皮膜を下地層22上のみに形成することができる。
コールドスプレーのキャリアガスとしては、不活性であり且つガス密度が小さいものが好ましい。これは、ガス密度が小さい方が体積膨張が大きく、容易に粒子を加速できるためである。具体的には、ヘリウムガス、ネオンガス、アルゴンガス、窒素ガス又はこれらの混合ガスが挙げられる。
コールドスプレーによれば、常温でも表面層24が形成可能であるため、溶射法に比べて表面層24中の残留応力を十分に小さくすることができる。また、セラミック素体10の熱による性能低下を十分に抑制することができ、また、湿式めっきのようにめっき液を付着させる必要がないため、セラミック素体10の性能低下を十分に抑制することができる。さらに、下地層22の導電性の有無にかかわらず、緻密な表面層24を効率よく形成することができる。なお、下地層22をセラミック素体10が熱によって性能低下しない程度に加熱してコールドスプレーを行えば、表面層24と下地層22との密着性及び粒子の付着確率を向上させることができる。
上述の工程によって、セラミック素体10と、該セラミック素体10の一方の鍔部14の表面上に設けられた端子電極20と、からなるセラミックコア100を得ることができる。この端子電極20は、ニッケルとガラスとを含む下地層22と、スズを含む表面層とが積層された構造を有しているため、セラミック素体10との密着性、ハンダぬれ性及びハンダとの密着性に優れている。
端子電極20は、下地層22を1000℃以下の低温で焼成して形成しても、セラミック素体10との密着性に十分優れている。このように低温で焼成することができるため、セラミック素体10が有する性能を十分に維持することができる。すなわち、本実施形態の端子電極20は、セラミック素体の性能低下を十分に抑制し、セラミックコアの信頼性を十分に向上することができる。
図3は、第1実施形態の電子部品の変形例であるコイル部品の模式断面図である。コイル部品150は、上述の製造方法によって得られたセラミックコア100の巻芯部12に導電性材料からなる巻線50を巻回し、当該巻線の先端及び後端を、それぞれハンダ52で端子電極20に接続することによって製造することができる。コイル部品は、上記第1実施形態のセラミックコア100と同様の端子電極20を備える。コイル部品150は、例えばチョークコイル、トランス、又はコモンモードチョークコイルであってもよい。
<第2実施形態>
図4は、本発明の電子部品の別の実施形態を示す積層セラミックコンデンサの斜視図である。図4に示す積層セラミックコンデンサ200は、略直方体形状を有しており、例えば、長手方向(横)の長さが2.0mm程度、幅方向の長さ及び奥行き方向の長さが1.2mm程度である。
積層型電子部品の一種である積層セラミックコンデンサ200は、略直方体形状のチップ素体1と、チップ素体1の両端部にそれぞれ形成された一対の端子電極20と、を備えている。チップ素体1は、互いに対向する端面11a及び端面11b(以下、纏めて「端面11」という。)と、端面11に垂直で互いに対向する側面13a及び13b(以下、纏めて「側面13」という。)と、端面11に垂直で互いに対向する側面15a及び側面15b(以下、纏めて「側面15」という。)とを有する。側面13と側面15とは互いに垂直である。
チップ素体1は、端面11と側面13aとの間の稜部R3、端面11と側面13bとの間の稜部R4、端面11と側面15aとの間の稜部R5、端面11と側面15bとの間の稜部R6を有している。稜部R3〜R6は、チップ素体1が研磨されてR形状を成している部分である。このようなR形状を有することによって、チップ素体1の稜部R3〜R6における破損の発生を抑制することができる。チップ素体1における稜部の曲率半径は、例えば、積層セラミックコンデンサ200の幅方向の長さの3〜15%とすることができる。
端子電極20は、チップ素体1における端面11、稜部R3、稜部R4、稜部R5及び稜部R6を覆うとともに、側面13,15の端面11側の一部を一体的に覆うように設けられている。すなわち、端子電極20は、チップ素体1の頂部42を覆うように設けられている。
図5は、図4の積層セラミックコンデンサ200のV−V線における断面図である。すなわち、図5は、図4に示す積層セラミックコンデンサ200を、側面13に垂直で側面15に平行な面で切断した場合の断面構造を示す図である。
端子電極20は、端面11、稜部R3〜R6及び頂部42の上において、チップ素体1側から順に下地層となる下地電極層23、及び表面層24がこの順で積層された積層構造を有する。
チップ素体1は、セラミック素体である複数の誘電体層7と複数の内部電極9とが交互に積層されて構成されている。この積層方向は、端子電極20が設けられている一対の端面11の対向方向に垂直であり、一対の側面13の対向方向に平行である。なお、説明の都合上、図5では、誘電体層7及び内部電極9の積層数を図面上で容易に視認できる程度の数としているが、所望の電気特性に応じて、誘電体層7及び内部電極9の積層数を適宜変更してもよい。積層数は、例えば、誘電体層7及び内部電極9を、それぞれ数十層としてもよく、100〜500層程度としてもよい。また、誘電体層7は、互いの間の境界が視認できない程度に一体化されていてもよい。
内部電極9aは、一方の端面11a側の端子電極20と電気的に接続されており、他方の端面11b側の端子電極20とは電気的に絶縁されている。また、内部電極9bは、他方の端面11b側の端子電極20と電気的に接続されており、一方の端面11a側の端子電極20とは電気的に絶縁されている。内部電極9a及び内部電極9bは、誘電体層7を挟んで交互に積層されている。本実施形態の積層セラミックコンデンサ200は、端面11a側の端子電極20と内部電極9bとの絶縁信頼性、及び端面11b側の端子電極20と内部電極9aとの絶縁信頼性に優れている。
端子電極20は、第1実施形態と同様の構造及び厚みを有している。すなわち、端子電極20は、チップ素体1側から、下地層である下地電極層23及び表面層24が順次積層された積層構造を有している。下地電極層23は、チップ素体1及び表面層24と接触している。
下地電極層23は、ニッケルとガラスとを含んでおり、ニッケルの含有率は、ニッケルとガラスとの合計を基準として、好ましくは60〜95質量%、より好ましくは70〜95質量%、さらに好ましくは80〜93質量%である。ニッケルの含有率が高くなり過ぎると、下地電極層23の焼成温度が高くなる傾向にある。一方、ニッケルの含有率が低くなり過ぎると、下地電極層23の導電性及び拡散防止機能が損なわれる傾向にある。
ニッケルは、第1実施形態と同様に、金属単体として含まれていてもよく、ニッケルを含む合金(以下、「ニッケル合金」という)として含まれていてもよい。ガラスは、第1実施形態と同様に、通常の市販のガラス粉末を焼成して得られるものであり、軟化温度が好ましくは700℃以下、より好ましくは600℃以下のものである。このように軟化温度の低いガラス粉末を用いることによって、下地電極層23を形成する際の焼成温度を低くすることが可能となり、ニッケル又はニッケル合金の酸化やチップ素体1の性能低下を十分に抑制することができる。
下地電極層23の厚みは、好ましくは0.5〜20μm、より好ましくは2〜10μm、さらに好ましくは3〜8μmである。下地電極層23の厚みが小さくなり過ぎると、表面層24からの元素拡散を十分に抑制することが困難になる傾向にある。一方、下地電極層23の厚みが大きくなり過ぎると、端子電極20の厚みが大きくなり、積層セラミックコンデンサ200が大型化する傾向にある。
表面層24はスズを含む層であり、スズの含有率は、好ましくは80質量%以上であり、より好ましくは90質量%以上である。このように表面層24は、スズを主成分とする層であるため、端子電極20はハンダとの密着性に優れており、また、良好なハンダぬれ性を有する。
表面層24の厚みは、好ましくは0.2〜20μm、より好ましくは1〜10μm、さらに好ましくは2〜6μmである。表面層24の厚みが小さくなり過ぎると、ハンダぬれ性やハンダとの優れた密着性が損なわれる傾向にある。一方、表面層24の厚みが大きくなり過ぎると、端子電極20の厚みが大きくなり、積層セラミックコンデンサ200が大型化する傾向にある。
端子電極20は、セラミック素体である誘電体層7側から、ニッケル及びガラスを含む下地電極層23と、スズを含む表面層24とが順次積層された構造を有していることから、ハンダや表面層24から誘電体層7への元素拡散を十分に抑制することができ、積層セラミックコンデンサ200の性能低下を十分に抑制することができる。また、ハンダぬれ性、並びにハンダ及びチップ素体1との密着性にも優れる。
端子電極20は、積層セラミックコンデンサ用のセラミック素体である誘電体層7上に、誘電体層7に接触するように下地電極層23が設けられ、当該下地電極層23に接触するように表面層24が形成されることによって、構成されている。このように端子電極20は2層構造を有しているため、厚みを十分に薄くすることができる。
次に、本実施形態の積層セラミックコンデンサ200の製造方法の一例を説明する。この製造方法は、チップ素体1を作製する準備工程と、ニッケル粉末とガラス粉末とを含むペーストを、チップ素体1の端面11及び側面13,15の一部の上に塗布する塗布工程と、チップ素体1の端面11及び側面13,15の一部の上に塗布されたペーストを焼成して下地電極層23を形成する焼成工程と、下地電極層23の表面をブラストする表面処理工程と、下地電極層23の上に、スズを含む表面層24を形成して、下地電極層23が表面層24によって被覆された端子電極20を得る製膜工程と、を有する。すなわち、本実施形態の製造方法は、積層セラミックコンデンサ200の製造方法でもある。以下、適宜図面を参照しつつ各工程の詳細について説明する。
準備工程では、チップ素体1を以下に述べるような通常の方法で作製する。まず、誘電体層7となるセラミックグリーンシートを形成する。セラミックグリーンシートは、ドクターブレード法等を用いてセラミックスラリーをPETフィルム上に、塗布後、乾燥させて形成することができる。セラミックスラリーは、例えば、チタン酸バリウムを主成分とする誘電体材料に溶剤、及び可塑剤等を加え、混合することによって得ることができる。形成したセラミックグリーンシートに、内部電極9となる電極パターンをスクリーン印刷し、乾燥させる。電極パターンのスクリーン印刷には、Cu粉末又はNi粉末にバインダや溶剤等を混合した電極ペーストを用いることができる。
このようにして複数の電極パターン付グリーンシート形成し、積層する。続いて、電極パターン付グリーンシートの積層体を積層方向と垂直に切断して直方体形状の積層チップを形成し、加熱処理を行って脱バインダを行う。加熱処理は、180〜400℃で0.5〜30時間行うことが好ましい。加熱処理して得られた積層チップを800〜1400℃で0.5〜8.0時間焼成し、バレル研磨して面取りを行い、直方体形状の稜部をR状にする。これによって、チップ素体1を得ることができる。
塗布工程では、ニッケル粉末又はニッケル合金粉末とガラス粉末とを含むペーストを、チップ素体1の端面11上と、側面13,15の端面11側の一部の上に塗布する。ペーストは、第1実施形態と同様のものを用いることができる。
焼成工程では、チップ素体1の端面11及び側面13,15の上に塗布されたペーストを焼成して下地電極層23を形成する。この場合、下地電極層23は内部電極9と端子電極20の電気的導通を確保する機能を有する。焼成温度は、ペーストに含まれるガラス成分の軟化温度以上であり、且つペーストに含まれる金属成分が十分に焼結して下地電極層23の電気抵抗を小さくすることが可能な温度にする必要がある。焼成時の雰囲気は、第1実施形態と同様とすることができる。これによって、熱や元素拡散によるチップ素体1における誘電体層7の性能低下を抑制しつつ、密着性及び内部電極9との電気導通性に優れる下地電極層23を形成することができる。
表面処理工程では、第1実施形態と同様にして、下地電極層23の表面をブラストして、下地電極層23の表面に析出したガラスを除去する。製膜工程では、第1実施形態と同様にして、下地電極層23の上に、スズを含む表面層24を形成する。
上述の工程によって、チップ素体1と、該チップ素体1の端面11及び側面13,15の一部の上に設けられた端子電極20と、からなる積層セラミックコンデンサ200を得ることができる。
以上、本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に何ら限定されるものではない。上記各実施形態では、電子部品としてセラミックコア、コイル部品及び積層セラミックコンデンサを挙げたが、本発明は、上述の電子部品に限定されるものではなく、例えば、セラミック焼結体の素体を含むバリスタ、サーミスタ(PTC,NTC)、インダクタ又はこれらの複合部品等であってもよい。また、これらの電子部品は単層であってもよく、上述の第2実施形態のように積層型の電子部品であってもよい。製造する電子部品に応じて、セラミック素体として磁性体や誘電体を適宜用いることができる。
実施例及び比較例を参照して本発明の内容をより詳細に説明するが、本発明は下記の実施例に限定されるものではない。
[実施例1]
<端子電極の形成>
図1に示すようなNi−Cu−Zn系フェライトからなるドラム型のセラミック素体を準備した。また、これとは別に、市販のニッケル粉末(平均粒径:1μm)と、市販のガラス粉末(平均粒径:1μm、軟化温度:550℃)とを混合して、ガラス粉末に対するニッケル粉末の質量比が9.0である混合粉末を得た。これにバインダ(ポリビニルアルコール)及び溶剤を加えてペーストを調製した。
上述のセラミック素体の所定部分に、上述の通り調製したペーストを塗布し、大気中、600℃で焼成して、セラミック素体の表面上に厚みが5μmである下地層を形成した。
下地層が形成されていないセラミック素体の表面に、カプトンテープ製のマスキングを施し、セラミック素体の表面上に形成された下地層に、コールドスプレーによってスズ粒子を衝突させて、下地層の上に、平均膜厚5μmのスズ皮膜からなる表面層を形成した。コールドスプレーは、寺岡製作所製の#650(商品名)を用いて、以下の条件で行った。
・キャリアガス:Heガス
・ガス圧力:0.5MPa
・スズ粒子の平均粒径:20μm
・スズ粒子の供給量:2g/分
・スズ粒子の噴出速度:400m/秒
・ワーク温度:室温(約20℃)
・スキャン速度(500mm/秒)
以上の工程によって、セラミック素体の上に、下地層及び表面層が順次積層された積層構造を有する端子電極を形成し、図1に示すようなフェライトコアを得た。そして、同様の製造を繰り返し行って、端子電極が形成されたフェライトコアを20個作製した。
<評価>
(ハンダぬれ性の評価)
端子電極が形成されたフェライトコア20個を、鉛フリーハンダ(千住金属工業製、商品名:エコソルダーM705,組成:Sn−3.5Ag−0.5Cu)を用いて、電極を有するプリント基板上に実装して評価用サンプルを作製した。この評価用サンプルを用いて、ハンダぬれ性を目視により以下の基準で評価した。
A:ハンダぬれ性がよく、フェライトコアの端子電極とプリント基板の電極との間に滑らかなフィレットを形成することができた。
B:ハンダぬれ性が悪く、フェライトコアの端子電極とプリント基板の電極との間に滑らかなフィレットを形成することができなかった。
その結果、20個全てのサンプルの評価が「A」であり、実施例1のフェライトコアにおける端子電極は、ハンダぬれ性に優れることが確認された。
(端子電極の密着性の評価)
上述のハンダぬれ性の評価を行った後、プリント基板上に実装したフェライトコアに横方向(プリント基板とフェライトコアの対向方向に垂直な方向)の力を加える横押試験を行って、破壊が生じた際の破壊箇所を以下の基準で評価した。
A:フェライトコア自体が破壊した。
B:ハンダと端子電極の間、又は、端子電極がセラミック素体から剥離した。
評価が「A」のフェライトコアは、ハンダと端子電極及びセラミック素体と端子電極との密着力が大きい。一方、評価が「B」のフェライトコアは、ハンダと端子電極又はセラミック素体と端子電極との密着力が、評価「A」のものより小さい。評価の結果、20個全てのサンプルが評価「A」であり、実施例1のフェライトコアの端子電極は、密着性に優れることが確認された。
[比較例1]
ガラス粉末を含まず且つニッケル粉末を含むペーストを用いて、実施例1と同様にしてセラミック素体に下地層を形成したこと以外は、実施例1と同様にしてセラミック素体の表面上に厚みが5μmである下地層を形成した。そして、下地層が形成されていないセラミック素体の表面に、カプトンテープ製のマスキングを施した。その後、実施例1と同様にして、セラミック素体の表面上に形成された下地層に、コールドスプレーによって、スズ粒子を衝突させたところ、下地層がセラミック素体から剥離した。このため、セラミック素体上に端子電極を形成することができなかった。
[比較例2]
下地層を形成しなかったこと以外は、実施例1と同様にして端子電極を形成した。コールドスプレーによるフェライトコアへのスズ粒子の付着割合(コールドスプレーで供給したスズ粒子全量に対する割合)は、5質量%であり、十分な厚みを有する端子電極を形成することができなかった。また、コールドスプレーによって、セラミック素体の一部が100μm以上エッチングされていた。
[比較例3]
コールドスプレー法によってスズ皮膜を形成したことに代えて、湿式めっき(バレルめっき)法によって下地層の上にニッケルめっき皮膜及びスズめっき皮膜を順次形成し、セラミック素体の上に、下地層と、該下地層を被覆するめっき皮膜とからなる端子電極を形成した。めっき処理を施した下地層の表面の面積全体を基準として、めっき皮膜が形成された下地層の面積の割合は、10%以下であり、均一なめっき皮膜を形成することができなかった。これは、下地層のガラス浮きによって生じた下地層表面におけるガラスの影響であると考えられる。
[実施例2]
コールドスプレー法で用いる金属粒子として、スズ粒子に代えて、Sn−3.5Ag−0.5Cuの組成を有する合金粒子を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、セラミック素体の上に、下地層と、該下地層を被覆する合金皮膜(表面層)とからなる端子電極を形成し、フェライトコアを得た。そして、実施例1と同様にして評価を行った。その結果、ハンダぬれ性及び信頼性の評価は、ともに20個全てのサンプルが「A」であった。
[実施例3]
<端子電極の形成>
所定の寸法(縦1mm×横0.5mm×厚さ0.5mm)を有し、内部電極であるニッケル電極層とセラミック素体の層とが交互に積層されたチップ素体の両端部に、実施例1で用いたニッケル粉末とガラス粉末とを含有するペーストを塗布し、大気中、600℃で焼成して、厚みが5μmであるニッケルとガラスとを含有する下地電極層を形成した。
この下地電極層の上に、実施例1と同様にして、コールドスプレー法によって、厚み4μmのスズ皮膜からなる表面層を形成し、チップ素体の両端部に、下地電極層及び表面層が順次積層された積層構造を有する端子電極を形成し、積層型セラミックコンデンサを得た。なお、コールドスプレーは、マスキングをせずに行ったため、下地電極層が形成されていないチップ素体表面にもスズ粒子が衝突したが、チップ素体の表面にスズ粒子は付着しなかった。
<評価>
(ハンダぬれ性の評価)
積層型セラミックコンデンサ20個を、鉛フリーハンダ(千住金属工業製、商品名:エコソルダーM705,組成:Sn−3.5Ag−0.5Cu)を用いて、電極を有するプリント基板上に実装して評価用サンプルを作製した。実装後、ハンダぬれ性を目視によって以下の基準で評価した。
A:ハンダぬれ性がよく、積層型セラミックコンデンサの端子電極とプリント基板の電極との間に滑らかなフィレットを形成することができた。
B:ハンダぬれ性が悪く、積層型セラミックコンデンサの端子電極とプリント基板の電極との間に滑らかなフィレットを形成することができなかった。
その結果、20個全てのサンプルの評価が「A」であり、実施例3の積層型セラミックコンデンサの端子電極は、ハンダぬれ性に優れることが確認された。
(IR特性の評価)
同様の手順で、積層型セラミックコンデンサを1000個作製し、絶縁不良の発生率を評価した。具体的には、内部電極間の抵抗が1×10Ω以下のものを不良品と判定した。その結果、1000個の積層型セラミックコンデンサのうち、不良品は0個であった。実施例3の積層型セラミックコンデンサは、優れた信頼性を有することが確認された。
1…チップ素体、7…誘電体層、9,9a,9b…内部電極、10…セラミック素体、11,11a,11b…端面、12…巻芯部、13,15…側面、14…鍔部、16…周側面、18…端面、20…端子電極、22…下地層、23…下地電極層、24…皮膜、42…頂部、50…巻線、52…ハンダ、100…フェライトコア、150…コイル部品、200…積層セラミックコンデンサ。

Claims (2)

  1. セラミック素体と、該セラミック素体上に端子電極とを備える電子部品であって、
    前記端子電極は、
    前記セラミック素体側から、前記セラミック素体に接しニッケル及びガラスを含む下地層と、該下地層に接しスズを含む表面層と、を有する電子部品。
  2. 電子部品用のセラミック素体上に設けられる端子電極であって、
    前記セラミック素体側から、前記セラミック素体に接しニッケル及びガラスを含む下地層と、該下地層に接しスズを含む表面層と、を備える端子電極。
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