JP2011129564A - 光電変換半導体膜を形成する塗布膜及びその製造方法、光電変換半導体膜、光電変換素子、及び太陽電池 - Google Patents

光電変換半導体膜を形成する塗布膜及びその製造方法、光電変換半導体膜、光電変換素子、及び太陽電池 Download PDF

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Abstract

【課題】低コストで光電変換効率及び面内組成均一性の良好な光電変換半導体膜を製造可能とする
【解決手段】基板11上に塗布され、焼結されることにより光電変換半導体膜31を形成する塗布膜30は、有機物302と平均粒径が100nm以下の複数の無機微粒子301とを含み、無機微粒子301が、銅及び/又は銀と、インジウム,ガリウム,亜鉛,及び錫からなる群より選ばれる少なくとも1つの元素と、硫黄,セレン及びテルルからなる群より選ばれる少なくとも1つの元素とを含むIb−IIIB−VIB化合物又はIb−IIB−IVB−VIB化合物からなる。有機物302の無機微粒子301に対する重量比は0.01以上0.1以下である。
【選択図】図1

Description

本発明は、太陽電池等の用途に好適な光導変換半導体膜を形成する塗布膜及びその製造方法、これを用いた光電変換素子及び太陽電池に関するものである。
下部電極(裏面電極)と光吸収により電流を発生する光電変換半導体層と上部電極との積層構造を有する光電変換素子が、太陽電池等の用途に使用されている。
従来、太陽電池においては、バルクの単結晶Si又は多結晶Si、あるいは薄膜のアモルファスSiを用いたSi系太陽電池が主流であったが、Siに依存しない化合物半導体系太陽電池の研究開発がなされている。化合物半導体系太陽電池としては、GaAs系等のバルク系と、Ib族元素とIIIb族元素とVIb族元素とからなるCIS(Cu−In−Se)系あるいはCIGS(Cu−In−Ga−Se)系等の薄膜系とが知られている。CIS系あるいはCIGS系は、光吸収率が高く、高エネルギー変換効率であることが報告されている。
CIGS層の製造方法としては、三段階法あるいはセレン化法等が知られている。しかしながら、いずれも真空成膜であるため、高コストで、大きな設備投資が必要である。
非真空系プロセスのCIGS層の製造方法としては、CIGSの構成元素を含む球状粒子を含む塗布液を基板上に塗布成膜し、その後焼結する方法が提案されている。例えば、特許文献1には、Cu,In,Ga,及びSeを含有し、少なくともCu2Seナノ粒子及び(In,Ga)2Se3ナノ粒子を含有するインクを基板上に塗布した後、Seガス又は硫黄ガス雰囲気下で高温熱処理(例えば500℃〜600℃)を実施して光電変換半導体膜を形成する方法が記載されている。
また、特許文献2には、広い基板面積全体に一様に緻密膜を成膜可能であり、且つ、階段状のバンドギャップを有する光電変換半導体膜を得る方法として、Ib族元素とIIIa族元素と、任意でVIa属元素の粒子が分散された塗布液を基板上に塗布した後、適切な雰囲気中で熱処理して反応させることによりCIGS光電変換半導体膜を形成する方法が開示されている。
特開2009-76842号公報 特表2008-537540号公報
特許文献1では、高温での熱処理が必要であり、更に、少なくとも2種類の組成の異なる微粒子を含む塗布液を用いて成膜しているため、膜面内の組成分布を均一化することが難しい。また、特許文献2では、分散剤の含有量(比率)が高いため、優れた光電変換効率を得ることが難しい。
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、面内組成の均一性が良好であり、優れた光電変換効率を有する光電変換半導体膜を得ることができる塗布膜、及び、その製造方法を提供することを目的とするものである。
本発明の光電変換半導体膜を形成する塗布膜は、基板上に塗布され、焼結されることにより光電変換半導体膜を形成する塗布膜であって、
有機物と平均粒径が100nm以下の複数の無機微粒子とを含み、
該無機微粒子が、銅及び/又は銀と、
インジウム,ガリウム,亜鉛,及び錫からなる群より選ばれる少なくとも1つの元素と、
硫黄,セレン及びテルルからなる群より選ばれる少なくとも1つの元素とを含むIb−IIIB−VIB化合物又はIb−IIB−IVB−VIB化合物からなり(不可避不純物を含んでもよい)、
前記有機物の前記無機微粒子に対する重量比が0.01以上0.1以下であることを特徴とするものである。
ここで、「塗布膜に含まれる有機物」とは、焼結直前の状態において、塗布膜に含まれている有機物を意味する。本発明では、焼結時の気泡混入などを抑制し、且つ、膜厚方向の組成制御を容易にするために、塗布液を基板上に湿式塗布後乾燥させる工程を繰り返して塗布膜を成膜する。かかる成膜方法により得られる塗布膜は、塗布液中に含まれる有機溶媒等の揮発性の高い有機成分が良好に除去されており、更に、膜厚方向の組成制御が良好になされたものとなる。従って、「塗布膜に含まれる有機物」には、乾燥工程の温度、圧力条件下において揮発する成分を含まないものとする。乾燥工程の温度は、用いる有機溶媒の沸点によって変化するが、例えば、室温以上300℃以下程度と考えられる。
また、本明細書において、「平均粒径」とは、「複数の無機微粒子の平均等価円相当径」とする。「複数の無機微粒子の平均等価円相当径」は、透過型電子顕微鏡(TEM)にて評価するものとする。評価には、例えば、日立走査透過電子顕微鏡 HD−2700などを用いることができる。「平均等価円相当径」は、塗布膜を形成する際に用いる塗布液を、電子顕微鏡観察用メッシュに滴下し、乾燥させた後、カーボン蒸着を施したものを透過型電子顕微鏡にて観察された写真から粒子300個の投影面積径を求め、その結果を平均することで得るものとする。「等価円相当直径の変動係数(分散度)」は、このTEMによる粒径評価から統計的に求めるものとする。本発明の光電変換半導体膜を形成する塗布膜に含まれる複数の無機微粒子の粒径と、塗布液中の粒径とは略同一であるため、かかる方法により求められた粒径を、光電変換半導体膜を形成する塗布膜に含まれる複数の無機微粒子の粒径としてそのまま適用することができる。
本発明の塗布膜において、前記無機微粒子は、CuInS,CuInSe、Cu(In,Ga)S,Cu(In,Ga)Se,及びCuZnSnSからなる群より選ばれる少なくとも1種のカルコパイライト化合物半導体を主成分とすることが好ましい。ここで「主成分」とは、含量80モル%以上の成分とする。
本発明の塗布膜において、前記無機微粒子の平均粒径の変動係数は、40%以下であることが好ましい。
本発明の光電変換半導体膜の製造方法は、基板上に、上記本発明の塗布膜における前記無機微粒子と前記有機物及び有機溶媒を含む塗布液を塗布する工程と、
前記有機溶媒を除去して前記塗布膜を成膜する工程と、
前記無機微粒子の焼結温度以上の加熱温度にて前記塗布膜を焼結する工程とを有することを特徴とするものである。
本発明の光電変換半導体膜の製造方法において、前記加熱温度は、400℃以下であることが好ましい。
本発明の光電変換半導体膜や、上記本発明の光電変換半導体膜の製造方法により製造されたものであって、該半導体膜の面内組成分布が、該半導体膜における任意の1000μm四方の領域内において、各元素基準で各々変動係数が40%以下であることを特徴とするものである。
本発明の光電変換素子は、上記本発明の光電変換半導体膜と、該半導体膜に照射された光を吸収することにより該半導体膜中に発生した電流を取り出す電極とを備えたことを特徴とするものである。
本発明の光電変換素子は、太陽電池として好適に用いることができる。
本発明の塗布膜は、焼結前の塗布膜中のCIGS粒子の凝集率及び光電変換効率に影響を及ぼす塗布膜中の分散剤等の有機物の含有量が最適化されている。従って、本発明によれば、面内組成の均一性が良好であり、且つ、優れた光電変換効率を有する光電変換半導体膜を提供することができる。
本発明に係る一実施形態の塗布膜の構成を模式的に示す概略断面図。 (a)〜(f)は本発明に係る一実施形態の光電変換半導体膜の成膜方法を示す概略断面図。 I−III−VI化合物半導体における格子定数とバンドギャップとの関係を示す図 (a)は本発明に係る一実施形態の光電変換素子の短手方向の模式断面図、(b)は本発明に係る一実施形態の光電変換素子の長手方向の模式断面図
「光電変換半導体膜」
既に述べたように、従来、塗布法により製造された光電変換半導体膜は、高温での熱処理が必要であり、また、優れた光電変換効率を有し、且つ、膜面内の組成の均一性を高くすることが難しい。膜面内の組成の均一性を高くするためには、無機微粒子同士の凝集を抑制し、分散性の良好な状態の塗布膜を成膜する必要がある。無機微粒子の分散性を良好にするためには、分散剤や錯化剤等を添加する必要があるが、その添加量が多くなると光電変換半導体膜の光電変換効率を低下させてしまうため、膜面内組成の均一性と高い光電変換効率を両立させることは困難とされていた。
本発明者は、塗布法により、面内組成の均一性が良好であり、優れた光電変換効率を有する光電変換半導体膜を得るための条件について鋭意検討を行った結果、塗布膜における無機微粒子の平均粒径、及び、無機微粒子と分散剤,錯化剤等の有機物(揮発成分を含まない)との重量比を好適化することにより、高い膜面内組成の均一性と、良好な光電変換効率を両立することに成功した。
すなわち、図1に示されるように、塗布膜30は、分散剤,錯化剤等の有機物302と、平均粒径が100nm以下の複数の無機微粒子301とを含んでおり、有機物302の複数の無機微粒子302に対する重量比が0.01以上0.1以下であることを特徴としている。図1は、塗布膜30の内部構造を模式的に表した図である。視認しやすくするために各部の縮尺は適宜変更して示してある。
無機微粒子301は、銅及び/又は銀と、インジウム,ガリウム,亜鉛,及び錫からなる群より選ばれる少なくとも1つの元素と、硫黄,セレン及びテルルからなる群より選ばれる少なくとも1つの元素とを含むIb−IIIB−VIB化合物又はIb−IIB−IVB−VIB化合物からなる(不可避不純物を含んでもよい)。本明細書における元素の族の記載は、短周期型周期表に基づくものである。本明細書において、Ib族元素とIIIb族元素とVIb族元素とからなる化合物半導体は、「I−III−VI族半導体」と略記している箇所がある。かかる無機微粒子としては、
CuAlS,CuGaS,CuInS
CuAlSe,CuGaSe,CuInSe(CIS),
AgAlS,AgGaS,AgInS
AgAlSe,AgGaSe,AgInSe
AgAlTe,AgGaTe,AgInTe
Cu(In1−xGa)Se(CIGS),Cu(In1−xAl)Se,Cu(In1−xGa)(S,Se)
Ag(In1−xGa)Se,及びAg(In1−xGa)(S,Se)
CuZnSnSが挙げられ、CuInS、CuInSe(CIS)、Cu(In,Ga)S、Cu(In,Ga)Se(CIGS)、CuZnSnSが特に好ましい。CIS及びCIGS等は、光吸収率が高く、高エネルギー変換効率が報告されている。また、光照射等による効率の劣化が少なく、耐久性に優れている。
無機微粒子301がCIGS粒子である場合、層中のGa濃度及びCu濃度は特に制限されない。粒子中の全III族元素含有量に対するGa含有量のモル比は0.05〜0.6が好ましく、0.2〜0.5がより好ましい。粒子中の全III族元素含有量に対するCu含有量のモル比は0.7〜1.0が好ましく、0.8〜0.98がより好ましい。
無機微粒子301には、所望の半導体導電型を得るための不純物が含まれる。不純物は隣接する層からの拡散、及び/又は積極的なドープによって、半導体粒子中に含有させることができる。
無機微粒子301は、I−III−VI族半導体以外の1種又は2種以上の半導体を含んでいてもよい。I−III−VI族半導体以外の半導体としては、Si等のIVb族元素からなる半導体(IV族半導体)、GaAs等のIIIb族元素及びVb族元素からなる半導体(III−V族半導体)、及びCdTe等のIIb族元素及びVIb族元素からなる半導体(II−VI族半導体)等が挙げられる。
無機微粒子301には、特性に支障のない限りにおいて、半導体、所望の導電型とするための不純物以外の任意成分が含まれていても構わない。
複数の無機微粒子301は、すべて同一組成粒子により構成されてもよいし、組成の異なる複数種類の粒子により構成されてもよい。
図2は、主なI−III−VI化合物半導体における格子定数とバンドギャップとの関係を示す図である。この図から組成比を変えることにより様々な禁制帯幅(バンドギャップ)を得ることができることが分かる。半導体粒子11は、所望の禁制帯幅を有するように、Ib族元素とIIIb族元素とVIb族元素の組成を変化させればよい。上記の化合物半導体(S)であれば、厚み方向の濃度を変化させる元素としては、Cu,Ag,Al,Ga,In,S,Se,及びTeからなる群から選択された少なくとも1種の元素であり、Ag,Ga,Al,及びSからなる群から選択された少なくとも1種の元素が好ましい。例えば、CIGSの場合、Gaの濃度を変えることで、1.04〜1.68eVの範囲でポテンシャルを調整できる。
複数の無機微粒子301の平均粒径は、パッキング率や均一性の点から小さい方が好ましいが、あまり小さすぎるとより凝集しやすくなるため、分散剤等の量を多くする必要があるとされていた。一方、既に述べたように、分散剤等は、光電変換効率を低下させる要因となるためできるだけ少ない方が好ましい。本発明者は、分散剤や錯化剤等の無機微粒子301の凝集を抑制する有機物302の量の複数の無機微粒子302に対する重量比を0.01以上0.1以下とすることにより、複数の無機微粒子301の平均粒径を100nm以下の粒径において、無機微粒子301の凝集を抑制し、且つ、良好な光電変換効率を達成することを見出している(後記実施例を参照)。なお、後記実施例には無機微粒子301の平均粒径が15nmまでのデータが記載されているが、本発明者は、平均粒径数nmの無機微粒子301を作製し、かかる無機微粒子301においても凝集せずに、良好な分散性を有していることを確認している。分散性が良好な塗布液を調製することができれば、パッキング率や均一性から鑑みて、実施例に記載のデータから、より小さい平均粒径を有する複数の無機微粒子301を備えた構成においても、良好な光電変換効率を達成しうると推察される。
複数の無機微粒子301の平均粒径の変動係数は特に制限されないが、変動係数は小さい方が膜面内の組成の均一性が高いため好ましい。本発明者は、塗布膜30において、平均粒径の変動係数が40%以下とすることにより、更に無機微粒子301の凝集を抑制できることを見出した。従って、本発明者は、無機微粒子301の平均粒径の変動係数を40%以下とすることにより、分散剤や錯化剤の少ない、即ち、より高い光電変換効率と膜面内組成の均一性を実現することに成功した(後記実施例参照)。
有機物302は、塗布膜30において無機微粒子301の凝集を抑制する分散剤,錯化剤等を含んでいる。後記するように、本実施形態の塗布膜30は、基板11上に、無機微粒子301と有機物302とが有機溶媒303中に分散された塗布液300を塗布した後、有機溶媒303が揮発する温度T1(例えば200℃程度)で乾燥させる工程を、所望の厚みとなるまで繰り返して成膜される。従って、有機物302は、温度T1において揮発しない有機成分となる。
無機微粒子301の粒子の形状は特に制限されないが、パッキング率が高いことから等方性の粒子であることが好ましい。例えば、無機微粒子301に最長径と最短径の比は1.5以下であることが好ましい。
塗布膜30の膜厚は特に制限されないが、焼結後の光電変換半導体膜31の膜厚が好適な厚みとなる厚みとすることが好ましい。光電変換半導体膜31の膜厚は、0.05〜3.0μmであることが好ましく、0.1〜2.5μmであることがより好ましく、0.3〜2.0μmであることが特に好ましい。
以下に、光電変換半導体膜31の製造方法について説明する。
光電変換半導体膜31は、基板11表面に、平均粒径が100nm以下の複数の無機微粒子301と有機物302及び有機溶媒303を含み、有機物302の複数の無機微粒子302に対する重量比が0.01以上0.1以下となる配合比の塗布液300を塗布する工程と、
有機溶媒303を除去して塗布膜30を成膜する工程と、
無機微粒子301の焼結温度以上の加熱温度にて塗布膜30を焼結する工程とを有している。
<塗布液の調製>
まず、IB−IIIB−VIB化合物又はIB−IIB−IVB−VIB化合物からなる無機微粒子301と有機溶媒303を含む塗布液300を調製する。塗布液300の調整方法は、平均粒径が100nm以下の複数の無機微粒子301が凝集せずに分散され、有機物302の複数の無機微粒子301に対する重量比が0.01以上0.1以下となる範囲であれば特に制限されない。
無機微粒子301(金属−カルコゲン粒子)は、気相法、液相法、あるいはその他の化合物半導体の粒子形成法により製造することができる。粒子の合着防止や量産性に優れることを考慮すると、液相法が好ましい。液相法としては、高分子存在法、高沸点溶媒法、正常ミセル法、及び逆ミセル法等が挙げられ、金属とカルコゲンとをそれぞれ又はいずれかを有機金属塩または錯体の形で溶媒に溶解した溶液中で反応させる方法が好ましい(例えば、J. Am. Chem. Soc.130, 16770-16777, 2008.に記載されている方法。後記実施例を参照)。
ここで用いる溶媒としては、脂肪族炭化水素系溶媒,芳香族炭化水素系溶媒,アルコール系溶媒,エステル系溶媒,ケトン系溶媒等が挙げられる。この方法では、複分解反応あるいは還元反応を利用して反応させる。pHなどの反応条件を調整することで、所望の形状と大きさの粒子を製造できる(後記実施例を参照。)。
有機金属塩としては、有機酸塩,樹脂酸塩,金属アルコキシド,有機金属錯体としては、金属アセチルアセトン錯体等を用いることができる。例えば、オクチル酸銅とそのインジウム塩や,ナフテン酸銅とそのインジウム塩,ビスアセチルアセトン銅とトリアセチルアセトンインジウム等の組み合わせが挙げられる。
カルコゲンの塩または錯体としては、アルカリ金属塩、及びアルカリ土類金属塩等が挙げられる。他にもカルコゲンの供給源としては、チオアセトアミドやチオール類等を用いてもよい。また、金属アセチルアセトン錯体を用いる場合は、カルコゲンとして、カルコゲン単体を用いることができる。
有機金属錯体やカルコゲン錯体を形成する場合、錯化剤としては、カルコパイライト構造の化合物を構成する複数の種類の元素に配位するものであればよく、オレイルアミンやオクチルアミン,ドデシルアミン,ヘキサデシルアミン,トリブチルアミン,オクタデシルジメチルアミン等のアミン系化合物、ステアリン酸,オレイン酸,ラウリル酸等のカルボン酸系化合物、ドデカンチオール,オクタンチオール等のチオール系化合物を用いることができる。これらの錯化剤は、生成した無機微粒子301の表面に配位して無機微粒子の凝集を防ぐ分散剤としても機能する。
錯体を形成しない場合は、生成した無機微粒子301の凝集を抑制するために分散剤を添加することが好ましく、吸着基含有低分子分散剤を用いることが好ましい。吸着基含有低分子分散剤としては、アルコール系溶媒や水に溶解するものが用いられる。低分子分散剤の分子量は300以下が好ましく、200以下がより好ましい。吸着基としては、−SH、−CN、−NH2、−SO2OH、及び−COOH等が好ましいが、これらに限定されるものではない。さらに、これらの基を複数もつことも好ましい。また、上記の基の水素原子をアルカリ金属原子等で置換した塩も分散剤として用いられる。分散剤としては、R−SH、R−NH、R−COOH、HS−R'−(SOH)、HS−R'−NH、及びHS−R'−(COOH)で表される化合物等が好ましい。
上記式中、Rは脂肪族基、芳香族基または複素環基(複素環中の水素原子を一個取り去った基)であり、R'はRの水素原子がさらに置換した基である。R'としてはアルキレン基、アリーレン基、複素環連結基(複素環中の水素原子を二個取り去った基)が好ましい。脂肪族基としてはアルキル基(炭素数2〜20、好ましくは、炭素数2〜16の直鎖または分岐のアルキル基で、置換基を有していてもよい。)が好ましい。芳香族基としては、置換または無置換のフェニル基、ナフチル基が好ましい。複素環基及び複素環連結基の複素環としては、アゾール、ジアゾール、チアジアゾール、トリアゾール、テトラゾールなどが好ましい。nは1〜3が好ましい。吸着基含有低分子分散剤の例としては、メルカプトプロパンスルホン酸、メルカプトコハク酸、オクタンチオール、デカンチオール、チオフェノール、チオクレゾール、メルカプトベンズイミダゾール、メルカプトベンゾトリアゾール、5−アミノ−2−メルカプトチアジアゾール、2−メルカプト−3−フェニルイミダゾール、1−ジチアゾリルブチルカルボン酸などが挙げられる。分散剤の添加量は、生成する粒子の0.5〜5倍モルが好ましく、さらに、1〜3倍モルが好ましい。
反応温度としては、0〜200℃の範囲が好ましく、より好ましくは0〜100℃の範囲である。添加する塩または錯塩のモル比は、目的とする組成比の比率が用いられる。吸着基含有低分子分散剤は、反応前の溶液中に添加する以外に、反応中または反応後に追加添加してもよい。
反応は、攪拌された反応容器で行うことができ、磁力回転する密閉型小空間攪拌装置を用いることもできる。磁力回転する密閉型小空間攪拌装置としては、特開平10−43570号公報に記載された装置(A)が挙げられる。磁力回転する密閉型小空間攪拌装置を使用後、更に高剪断力を有する攪拌装置を用いることが好ましい。高剪断力を有する攪拌装置とは、攪拌羽根が基本的にタービン型あるいはパドル型の構造を有し、さらに、その羽根の端あるいは羽根と接する位置に鋭い刃を付けた構造であり、それをモーターで回転させる攪拌装置である。具体例として、ディゾルバー(特殊機化工業製)、オムニミキサー(ヤマト科学製)、ホモジナイザー(SMT製)などの装置が用いられる。
反応液から粒子を精製するため、一般に良く知られているデカンテーション法、遠心分離法、限外濾過(UF)法を用いることで、副生成物や過剰の分散剤などの不要物を除去することができる。洗浄液としては、アルコール、水またはアルコール/水混合液を用い、凝集や乾固を起こさないように数回繰り返し、最終的に精製された無機微粒子301及び有機物302を含む塗布液300を得る。
金属−カルコゲン粒子の形成方法に関しては、金属の塩または錯体とカルコゲンの塩または錯体とを逆ミセル中に含有させ、混合することで反応させることもできる。さらに、この反応時に還元剤を逆ミセル中に含有させることもできる。具体的には、特開2003-239006号公報、特開2004-52042号公報などに記載の方法が参考にできる。
また、特表2007-537866号公報に記載のように分子クラスターを経由して粒子形成を行う方法も用いることができる。
その他、特表2002-501003号公報、米国特許出願公開第2005/0183767A1号明細書、国際公開第WO2006/009124号パンフレット、Materials Transaction,Vol.49,No.3(2008)435、Thin Solid Films,Vol.480(2005)526、Thin Solid Films,Vol.480(2005)46、Thin Solid Films,Vol.515(2007)4036、Journal of Electronic Materials,Vol.27(1998)433などに記載の粒子形成方法を用いることもできる。
<塗布工程>
次に、基板上に、上記で調製した塗布液300を塗布する。塗布液300を塗布する方法としては特に制限されない。塗布工程に先立ち、基板は充分に乾燥させておくことが好ましい。
塗布方法としては、ウェブコーティング法、スプレーコーティング法、スピンコーティング法、ドクターブレードコーティング法、スクリーン印刷法、インクジェット法などを用いることができる。特に、ウェブコーティング法、スクリーン印刷法、インクジェット法に関しては、可撓性基板(フレキシブル基板)へのRoll to Roll製造が可能であり、好ましい。
<有機溶媒の除去工程>
上記塗布工程後に有機溶媒303を除去する工程を実施する。有機溶媒303を除去する工程は、有機溶媒303が揮発する温度T1にて実施する。温度T1としては、室温以上、250℃以下の工程であることが好ましい。水及び有機溶媒等の液体の分散媒は、常圧加熱乾燥、減圧乾燥、及び減圧加熱乾燥等によって除去できる。水及び有機溶媒等の液体の分散媒は、250℃以下の温度で充分に除去可能である。
固体の分散媒は、溶媒溶解、及び常圧加熱等によって除去できる。多くの有機物は250℃以下で分解されるため、固体の分散媒についても250℃以下の温度で充分に除去可能である。
<焼結工程>
上記塗布工程及び有機溶媒の除去工程を、塗布膜30が所望の厚みとなるまで繰り返し、塗布膜30を得る。塗布膜30は、無機微粒子301の焼結温度以上の加熱温度にて焼結することにより、光電変換半導体膜31を得ることができる。
塗布膜30の焼結温度は特に制限されないが、塗布膜30は、有機物の含有率が低いこと、および粒子サイズの分布が狭いので、400℃以下の比較的低温にて焼結することが可能である。従って、500℃を超えるような高温プロセスの設備が不要となり、低コストに製造することができる。また、フレキシブル基板等の耐熱性の高くない基板を用いることも可能となる。例えば、実施例に記載のように、塗布膜30は350℃の焼結温度で焼結することができるので、樹脂基板の中でも耐熱性の高いポリイミドフィルム(400℃程度までの耐熱性)であれば用いることができる。
また、焼結工程を高温で行う場合は、Se及びS等は気化により失われやすいため、かかる元素を含む光電変換半導体膜を形成する場合、SeやS元素の存在下で焼結を行う等の処置を施すことが好ましい。
以上のようにして、光電変換半導体膜31は成膜される。
上記した特許文献1及び2には、CI(G)S系の光電変換半導体膜において、光電変換効率の具体的な値の記載はされていないが、その他非真空成膜によるCI(G)S系光電変換半導体膜において報告されている光電変換効率は6%を超えるものはなく、真空成膜のCIGS層の光電変換効率の半分以下であり、実用的なレベルではない。後記実施例において示されるように、本実施形態の光電変換半導体膜31は、非真空プロセス、且つ、400℃以下の低温プロセスにより、CI(G)S系において光電変換効率6〜10%、CuZnSnS系においても2〜3%という高い達成している。
更に、いずれの実施例においても、塗布膜30における無機微粒子301の平均粒径の変動係数を40%以下とすることにより、光電変換半導体膜31の各元素基準の組成の変動係数が、膜面内の任意の1000μm四方の領域内において40%以下を実現し、面内組成の均一性の向上に成功している。
従って、本実施形態によれば、面内組成の均一性が良好であり、且つ、優れた光電変換効率を有する光電変換半導体膜31を提供することができる。
「光電変換素子(太陽電池)」
図面を参照して、本発明に係る一実施形態の光電変換素子の構造について説明する。図4(a)は光電変換素子の短手方向の模式断面図、図4(b)は光電変換素子の長手方向の模式断面図である。視認しやすくするため、図中、各構成要素の縮尺等は実際のものとは適宜異ならせてある。
基板11上に光吸収により電流を発生する光電変換半導体膜31と、光電変換半導体層31の光吸収面となる表面31sに接して形成された第2の電極(上部電極)22と、光電変換半導体層31の裏面31rに接して形成された第1の電極(下部電極)21とを備えたものであり、光電変換半導体膜31に光が照射されることにより光電変換半導体膜31に生じる電流を第1及び第2の電極21,22によって取り出すものである。光電変換半導体膜31は、上記実施形態の塗布膜30を焼結して得られたものである。
光電変換素子1には、短手方向断面視において、下部電極21のみを貫通する第1の開溝部51、光電変換層31とバッファ層41とを貫通する第2の開溝部52、及び上部電極22のみを貫通する第3の開溝部53が形成されており、長手方向断面視において、光電変換層31とバッファ層41と上部電極22とを貫通する第4の開溝部54が形成されている。
上記構成では、第1〜第4の開溝部51〜54によって素子が多数のセルCに分離された構造が得られる。また、第2の開溝部52内に上部電極22が充填されることで、あるセルCの上部電極22が隣接するセルCの下部電極21に直列接続した構造が得られる。
基板10としては特に制限なく、例えばガラス基板や、陽極酸化アルミニウム基板、また樹脂基板等の可撓性基板等を用いることができる。
第1の電極21及び第2の電極22はいずれも導電性材料からなる。光入射側の第2の電極22は透光性を有する必要がある。
第1の電極21の主成分としては特に制限されず、導電性が良好であることから金属であることが好ましい。好ましい金属としては、Mo,Cr,W,及びこれらの組み合わせが挙げられ、Moが特に好ましい。第1の電極21の厚みは特に制限されず、0.3〜1.0μmが好ましい。
第2の電極22の主成分としては特に制限されず、ZnO,ITO(インジウム錫酸化物),SnO,及びこれらの組み合わせが好ましい。かかる材料は、光透過性が高く、低抵抗であり好ましい。第2電極22は、これらの材料に所望の導電型となりうるドーパントが添加されたものである。ドーパントとしては、例えばGa,Al,B等の元素が挙げられる。
第2の電極22の厚みは特に制限されず、0.6〜1.0μmが好ましい。
第2の電極22及び/又は第1の電極21は、単層構造でもよいし、2層構造等の積層構造でもよい。第2の電極22は、バッファ層41側からi型の導電型を有するi層と、n型の導電型を有するn層(導電型は全体の層構成によってはp型)とが積層された2層構造であることが好ましい)。
第1の電極21及び第2の電極22の成膜方法は特に制限されず、電子ビーム蒸着法やスパッタリング法等の気相成膜法が挙げられる。
バッファ層41の主成分としては特に制限されず、CdS,ZnS,ZnO,ZnMgO,ZnS(O,OH) 及びこれらの組み合わせが好ましい。これらの化合物を含むバッファ層20は、例えば特開2002−343987号公報に記載されるように、光電変換半導体膜31とキャリアの再結合のない接合界面を形成することができる。
バッファ層41の厚みは特に制限されず、0.03〜0.1μmが好ましい。好ましい層構成の組み合わせとしては例えば、Mo電極/CdSバッファ層/CIGS光電変換層/ZnO電極が挙げられる。バッファ層の成膜方法は特に制限されないが、化学析出法(CBD法)等により成膜すればよい。
光電変換半導体膜31は、上記光電変換半導体膜の製造方法により製造されたものである。光電変換半導体膜31の膜厚は特に制限されず、小型軽量化の点では薄い方が好ましい。従って、光電変換効率を考慮すると、既に述べたように、光電変換半導体膜31の膜厚は、0.05〜3.0μmであることが好ましく、0.1〜2.5μmであることがより好ましく、0.3〜2.0μmであることが特に好ましい。
光電変換半導体膜31、バッファ層41、第1の電極21、及び第2の電極22の導電型は特に制限されない。通常、光電変換半導体膜31はp型、バッファ層41はn型(n−CdS等)、第2の電極21はn型(n−ZnO層等)あるいは既に記載したように、i型とn型との積層構造(i−ZnO層とn−ZnO層との積層等)とされる。かかる導電型では、光電変換半導体膜31と第2の電極22との間に、pn接合、あるいはpin接合が形成されると考えられる。また、光電変換層30の上にCdSからなるバッファ層40を設けると、Cdが拡散して、光電変換層30の表層にn層が形成され、光電変換層30内にpn接合が形成されると考えられる。光電変換層30内のn層の下層にi層を設けて光電変換層30内にpin接合を形成してもよいと考えられる。
(その他の構成)
ソーダライムガラス基板を用いた光電変換素子においては、基板中のアルカリ金属元素(Na元素)がCIGS層等の光電変換層に拡散し、エネルギー変換効率が高くなることが報告されている。本実施形態においても、アルカリ金属をCIGS層等の光電変換層に拡散させることは好ましい。
アルカリ金属元素の拡散方法としては、Mo下部電極上に蒸着法またはスパッタリング法によってアルカリ金属元素を含有する層を形成する方法(特開平8−222750号公報等)、Mo下部電極上に浸漬法によりNaS等からなるアルカリ層を形成する方法(WO03/069684号パンフレット等)、Mo下部電極上に、In、Cu及びGa金属元素を含有成分としたプリカーサを形成した後このプリカーサに対して例えばモリブデン酸ナトリウムを含有した水溶液を付着させる方法等が挙げられる。絶縁性基板上にケイ酸ナトリウム等の層を形成して、アルカリ金属元素を供給する層としてもよい。Mo電極の上または下にポリモリブデン酸ナトリウムやポリタングステン酸ナトリウム等のポリ酸層を形成して、アルカリ金属元素を供給する層としてもよい。下部電極20の内部に、NaS,NaSe,NaCl,NaF,及びモリブデン酸ナトリウム塩等の1種又は2種以上のアルカリ金属化合物を含む層を設ける構成としてもよい。
光電変換素子1は必要に応じて、上記で説明した以外の任意の層を備えることができる。例えば、基板として陽極酸化基板を用いた場合は、基板11と下部電極21との間、及び/又は下部電極21と光電変換半導体膜31との間に、必要に応じて、層同士の密着性を高めるための密着層(緩衝層)を設けることができる。また、必要に応じて、陽極酸化基板11と下部電極20との間に、アルカリイオンの拡散を抑制するアルカリバリア層を設けることができる。アルカリバリア層については、特開平8−222750号公報を参照されたい。
本実施形態の光電変換素子1は、以上のように構成されている。本実施形態の光電変換素子1は本発明の光電変換半導体層30を備えたものであるので、低コストに製造することができ、面内組成の均一性が良好であり、且つ、優れた光電変換効率を得ることが可能な素子である。
光電変換素子1は、太陽電池等に好ましく使用することができる。光電変換素子1に対して必要に応じて、カバーガラス、保護フィルム等を取り付けて、太陽電池とすることができる。
(設計変更)
本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内において、適宜設計変更可能である。
本発明に係る実施例及び比較例について説明する。
(実施例1)
J.Am.Chem.Soc.130号、16770-16777頁(2008年)文献記載の方法を参考にCuInS粒子分散液を作成した。
アセチルアセトン銅1mmolとアセチルアセトンインジウム1mmolをジクロロベンゼン、オレイン酸、オレイルアミン中に溶解して溶液Aを調製した。単体の硫黄をジクロロベンゼン、オレイン酸、オレイルアミン中に溶解して溶液Bを調整した。110℃に保温し、Arバブリングした溶液B中に溶液Aを添加した後、温度を200℃に昇温し、2時間反応させた。
反応後、エタノールを過剰に添加して、遠心分離を行い、上澄みを捨てた後トルエンで再分散した。この工程を数回繰り返し、最終的にトルエンで分散したCuInS粒子分散物(塗布液)を得た。得られた塗布液中の有機物の存在量は、熱分析装置にて測定した。
ジクロロベンゼン、オレイン酸、オレイルアミンの量、および反応温度を調整して、有機物量及び平均粒径及び変動係数の異なるCuInS粒子を含んだ種々の塗布液を作製した。
次に、スパッタ法により表面にMo電極を付与したガラス基板上に、得られた塗布液を、乾燥膜厚0.1μmとなるように塗布し、200℃で加熱乾燥する工程を15回繰り返して本発明の塗布膜を成膜した。
得られた塗布膜を、350℃,400℃,520℃の乾燥機中にて焼結させ、光電変換半導体膜を得た。
得られた光電変換半導体膜の膜面内の組成の変動係数を測定した。光電変換半導体膜の1000μm四方の任意の領域において、微小部蛍光X線装置(μ―XRF)にてスポット径50μmで、各元素の組成分布を測定した。
次に、光電変換半導体膜上に化学析出法(CBD法)にてCdSバッファ層を成膜した後、ZnO透明電極をMO−CVD法により付与して太陽電池セルを作製した。
得られた太陽電池セルに、キセノン光源にAM(エアマス)1.5フィルターを使用したソーラーシュミレーターにより100mW/m2の強度の光を照射して電流−電圧特性を測定し、光電変換効率を測定した。
表1に、塗布液中(塗布膜中)の有機物量(無機微粒子重量に対する有機物の重量比、CuInS粒子の平均粒径及び変動係数、焼結温度、光電変換膜の面内組成分布、光電変換効率を纏めて示す。ここで、面内組成分布は、各元素において全測定点の平均値に対する変動係数で示してある。
(実施例2)
溶液Aとして、アセチルアセトン銅1mmolとアセチルアセトン亜鉛0.5mmol、アセチルアセトン錫0.5mmolをジクロロベンゼン、オレイン酸、オレイルアミン中に溶解したものとした以外は実施例1と同様にして、有機物量及び平均粒径及び変動係数の異なるCuZnSnS粒子を含んだ種々の塗布液を作製した。
実施例1と同様にして種々の塗布膜、光電変換半導体膜、太陽電池セルを作製し、実施例と同様の評価を実施した。その結果を表2に示す。
(実施例3)
溶液Aとして、アセチルアセトン銅1mmolとアセチルアセトンインジウム0.5mmol、アセチルアセトンガリウム0.5mmolをジクロロベンゼン、オレイン酸、オレイルアミン中に溶解したものとし、溶液Bとして単体のセレンをジクロロベンゼン、オレイン酸、オレイルアミン中に溶解したものとした以外は実施例1と同様にして、有機物量及び平均粒径及び変動係数の異なるCuInGaSe2粒子を含んだ種々の塗布液を作製した。
実施例1と同様にして種々の塗布膜、光電変換半導体膜、太陽電池セルを作製し、それぞれについて評価を実施した。その結果を表3に示す。
(比較例1)
アセチルアセトン銅とアセチルアセトンインジウムを別々にジクロロベンゼン、オレイン酸、オレイルアミン中に溶解して溶液A1,A2を調製し、それぞれに溶液Bとして単体の硫黄をジクロロベンゼン、オレイン酸、オレイルアミン中に溶解したものとを実施例1と同様に反応させてCuS液及びIn液を調製した。
これらの溶液を1:1で混合させて塗布液とし、実施例1と同様にして種々の塗布膜、光電変換半導体膜、太陽電池セルを作製し、それぞれについて評価を実施した。その結果を表4に示す。
(比較例2)
アセチルアセトン銅と、アセチルアセトン亜鉛0.5mmol,アセチルアセトン錫0.5mmolム混合物を別々にジクロロベンゼン、オレイン酸、オレイルアミン中に溶解して溶液A1,A2を調製し、それぞれに溶液Bとして単体の硫黄をジクロロベンゼン、オレイン酸、オレイルアミン中に溶解したものとを実施例1と同様に反応させてCuS液及びZnSn液を調製した(x+y=2)。
これらの溶液を1:1で混合させて塗布液とし、実施例1と同様にして種々の塗布膜、光電変換半導体膜、太陽電池セルを作製し、それぞれについて評価を実施した。その結果を表4に示す。
(比較例3)
アセチルアセトン銅と、アセチルアセトンインジウム0.5mmol,アセチルアセトンガリウム0.5mmol混合物を別々にジクロロベンゼン、オレイン酸、オレイルアミン中に溶解して溶液A1,A2を調製し、それぞれに溶液Bとして単体のセレンをジクロロベンゼン、オレイン酸、オレイルアミン中に溶解したものとを実施例1と同様に反応させてCuS液及びInGaSe液を調製した(x+y=2)。
これらの溶液を1:1で混合させて塗布液とし、実施例1と同様にして種々の塗布膜、光電変換半導体膜、太陽電池セルを作製し、それぞれについて評価を実施した。その結果を表4に示す。
(評価)
表1〜表3に示されるように、CuInS,CuInGaSe,CuZnSnSのいずれの無機微粒子においても、塗布膜(塗布液)中の平均粒径が100nm以下であり、塗布膜中の有機物の無機微粒子に対する重量比が0.01以上0.1以下において、良好な膜面内組成の均一性(各元素変動係数35%以内)を有し、且つ、6%〜10%の良好な光電変換効率を達成できることが確認された。
表4に示す比較例1〜3は、特許文献1のように組成の異なる2種の無機微粒子を用いて光電変換半導体膜を成膜した例である。比較例1〜3いずれにも、異なる組成の微粒子を用いることにより膜面内組成の変動係数が大きく、良好な均一性のものが得られないことも確認され、本発明の有用性が示された。
本発明の光電変換素子は、太陽電池、及び赤外センサ等の用途に好ましく適用できる。
1 光電変換素子(太陽電池)
11 基板
21 第1の電極
22 第2の電極
30 塗布膜
301 無機微粒子
302 有機物
31 光電変換半導体膜
41 バッファ層

Claims (8)

  1. 基板上に塗布され、焼結されることにより光電変換半導体膜を形成する塗布膜であって、
    有機物と平均粒径が100nm以下の複数の無機微粒子とを含み、
    該無機微粒子が、銅及び/又は銀と、
    インジウム,ガリウム,亜鉛,及び錫からなる群より選ばれる少なくとも1つの元素と、
    硫黄,セレン及びテルルからなる群より選ばれる少なくとも1つの元素とを含むIb−IIIB−VIB化合物又はIb−IIB−IVB−VIB化合物からなり(不可避不純物を含んでもよい)、
    前記有機物の前記無機微粒子に対する重量比が0.01以上0.1以下であることを特徴とする塗布膜。
  2. 前記無機微粒子が、CuInS,CuInSe、Cu(In,Ga)S,Cu(In,Ga)Se,及びCuZnSnSからなる群より選ばれる少なくとも1種のカルコパイライト化合物半導体を主成分とすることを特徴とする請求項1に記載の塗布膜。
  3. 前記無機微粒子の平均粒径の変動係数が40%以下であることを特徴とする請求項1又は2に記載の塗布膜。
  4. 基板上に、請求項1〜3のいずれかに記載の塗布膜における前記無機微粒子と前記有機物及び有機溶媒を含む塗布液を塗布する工程と、
    前記有機溶媒を除去して前記塗布膜を成膜する工程と、
    前記無機微粒子の焼結温度以上の加熱温度にて前記塗布膜を焼結する工程とを有することを特徴とする光電変換半導体膜の製造方法。
  5. 前記加熱温度が、400℃以下であることを特徴とする請求項4に記載の光電変換半導体膜の製造方法。
  6. 請求項4又は5に記載の製造方法により製造された光電変換半導体膜であって、
    該半導体膜の面内組成分布が、該半導体膜における任意の1000μm四方の領域内において、各元素基準で各々変動係数が40%以下であることを特徴とする光電変換半導体膜。
  7. 請求項6に記載の光電変換半導体膜と、該半導体膜に照射された光を吸収することにより該半導体膜中に発生した電流を取り出す電極とを備えたことを特徴とする光電変換素子。
  8. 請求項7に記載の光電変換素子を備えたことを特徴とする太陽電池。
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