JP2011127644A - 転がり軸受 - Google Patents

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Abstract

【課題】ポンプ作用を発生させることできる転がり軸受を提供する。
【解決手段】転がり軸受10は、内輪30と、外輪20と、内輪30と外輪20との間に保持器14に保持されて配置される複数の玉状の転動体12とを備えた深溝玉軸受である。内輪30は一方側の外周面32が軸受外部から軸受内部に向かって拡径するテーパ形状とされ、他方側の外周面34が軸受内部から軸受外部に向かって拡径するテーパ形状とされている。そして、転動体12の内輪側軌道面36は軸対称の形状とされている。外輪20は一方側の内周面22が軸受外部から軸受内部に向かって拡径するテーパ形状とされており、他方側の内周面24が軸受内部から軸受外部に向かって拡径するテーパ形状とされている。そして、転動体12の外輪側軌道面26は軸対称の形状とされている。
【選択図】図1

Description

この発明は転がり軸受に関する。具体的にはポンプ作用を発生させることができる転がり軸受に関する。
オープンタイプのラジアル軸受を回転させると、その軸受のまわりに気流が発生する。そこで、潤滑油の中で軸受を使用した場合、軸受の回転により軸受中を潤滑油がある方向に貫通する挙動が起こることがある。これをポンプ作用と呼ぶ。
ポンプ作用が一般的に発生しやすい軸受の形式として、円すいころ軸受が挙げられる。図4に円すいころ軸受110の軸方向断面を示す。円すいころ軸受110は、図4に示したように、外輪120と内輪130の間に保持器114に保持された複数の円すいころ112が配置された構成とされている。そして、円すいころ軸受110では、円すいころ112の内輪130側の軌道面および外輪120側の軌道面が傾斜しているため、軸受の回転時に、遠心力により潤滑油が外径側に移動し、図4に示した矢印の方向に潤滑油が排出されていく。そして、潤滑油の排出時には軸受の内部が負圧となり、潤滑油が流入しやすくなる。そのために、図4に示した矢印の方向に軸受中を潤滑油が貫通するポンプ作用が発生する。
これに対して、深溝玉軸受では、一般にポンプ作用が小さいが、これは深溝玉軸受と円すいころ軸受の構造の違いによる。図5に一般的な深溝玉軸受である深溝玉軸受210の軸方向断面を示す。深溝玉軸受210は、図5に示したように、外輪220と内輪230の間に保持器214に保持された複数の玉212が配置された構成とされている。そして、玉212の軌道面は軸方向で対称とされており、外輪220の内周面および内輪230の外周面は軸に平行であって、軸受内部が全体として軸方向に対称の形状とされている。そのため、軸受の内部で潤滑油を軸方向の一方の側に移動させる力が生じにくいので、深溝玉軸受ではポンプ作用が小さい。
上述の通り、深溝玉軸受は円すいころ軸受に比べてポンプ作用が小さいが、一方で、深溝玉軸受は円すいころ軸受に比べて一般的に低トルクであるという特徴がある。そこで、潤滑油の貫通が必要とされ低トルクであることが要求されるが、予圧管理を必要としない部位の軸受として、円すいころ軸受に換えて深溝玉軸受を使用することが検討されている。図6に、深溝玉軸受の使用が検討されている部位を模式的に示す。図6に示した軸受配置部位は、軸方向で潤滑油の量が比較的多い潤滑豊富な部位(図6の紙面左側)と潤滑油の乏しい部位(図6の紙面右側)の間に位置している。そして、潤滑油の乏しい部位には潤滑油が必要な部材があるため、ハウジングとシャフトの間で図6の軸受配置部位に配置される軸受には、潤滑油が軸受中を貫通することが求められる。
ここで、ポンプ作用が期待される深溝玉軸受として、特許文献1には、内輪の外周面の軸方向端部の角に転動体の方向に向く斜面を持つ切欠を形成し、切欠の軸方向外方に切欠の斜面にほぼ連続するテーパを持つテーパカラーを配置した深溝玉軸受が記載されている。特許文献1によれば、テーパカラーと内輪の外周面の切欠によるポンプ作用により、潤滑油が軸受の内部に導入される。
そして、特許文献2には、潤滑油が排出される側の内輪の外周面に潤滑油の排出側端部に向かってその経が大きくなるテーパが形成された深溝玉軸受が記載されている。特許文献2によれば、内輪の外周面のテーパにより潤滑油の流れが付勢される。
特開平11−108067号公報 特開平11−201173号公報
しかしながら、特許文献1あるいは特許文献2に記載の深溝玉軸受ではポンプ作用があまり期待できず、結果として、図6の軸受配置部位の右側では、期待するだけの潤滑油量が得られない可能性が高い。
本発明は、上述した問題を解決するために提案するものであり、本発明が解決しようとする課題は、ポンプ作用を発生させることができる転がり軸受を提供することである。
上記課題を解決するため、本発明にかかる転がり軸受は次の手段をとる。
まず、本発明の第1の発明は、内輪と、外輪と、前記内輪と前記外輪との間に配置される転動体と、を備えた転がり軸受であって、
前記内輪の外周面は、軸方向の一方側で軸受外部から軸受内部に向かって径が大きくなるテーパ形状とされ、前記外輪の内周面は、軸方向の他方側で軸受内部から軸受外部に向かって径が大きくなるテーパ形状とされている転がり軸受である。
この第1の発明によれば、内輪または外輪のうちの回転する側の軌道輪に形成されたテーパ形状により、潤滑油を軸受の一方側から他方側に貫通させるポンプ作用が発生する。そして、一方側の内輪の外周面のテーバ形状は潤滑油の軸受内部への流入を促す働きをし、他方側の外輪の内周面のテーパ形状は、潤滑油の軸受外部への流出を促す働きをする。よって、潤滑油は、軸受の軸方向の一方側から他方側へ、内径側から外径側へと向かって流れ、軸受の内部を貫通することができる。
よって、ポンプ作用を発生させることができる転がり軸受を提供することができる。
次に、本発明の第2の発明は、上記第1の発明に係る転がり軸受であって、
前記外輪の内周面は、軸方向の一方側で軸受外部から軸受内部に向かって径が大きくなるテーパ形状とされ、前記内輪の外周面は、軸方向の他方側で軸受内部から軸受外部に向かって径が大きくなるテーパ形状とされていることを特徴とする。
この第2の発明によれば、内輪または外輪のうちの回転する側の軌道輪の軸方向両側に形成されたテーパ形状により、潤滑油を軸受の一方側から他方側に貫通させるポンプ作用がより強く発生する。そして、一方側の外輪の内周面のテーパ形状は、潤滑油が軸受内方かつ径方向外方へ流れるように誘導し、他方側の内輪の外周面のテーパ形状は、潤滑油が軸受外方かつ径方向外方へ流れるように誘導する。よって、より強力なポンプ作用を発生させることができる。
次に、本発明の第3の発明は、上記第2の発明に係る転がり軸受であって、
一方側の内輪の外周面と外輪の内周面のテーパ形状または他方側の内輪の外周面と外輪の内周面のテーパ形状のうちの少なくとも一方の側のテーパ形状は、内輪の外周面と外輪の内周面の間の径方向の間隔が軸方向の一方側から他方側に向かって大きくなることを特徴とする。
この第3の発明によれば、軸方向の一方側または他方側の少なくとも一方で、内輪の外周面と外輪の内周面の間の径方向の間隔が軸方向の一方側から他方側に向かって大きくなるため、軸受の一方側から他方側への潤滑油の流れが円滑となる。
次に、本発明の第4の発明は、上記第2の発明または第3の発明に係る転がり軸受であって、
一方側の端における内輪の外周面と外輪の内周面との間の開口幅よりも、他方側の端における内輪の外周面と外輪の内周面との間の開口幅の方が大きいことを特徴とする。
この第4の発明によれば、軸受の一方側の端の開口幅よりも他方側の端の開口幅の方が大きいので、軸受の一方側から他方側への潤滑油の流れが円滑となる。
次に、本発明の第5の発明は、上記第2の発明ないし第4の発明のいずれかの発明に係る転がり軸受であって、
前記内輪の一方側の外周面のテーパ形状を軸方向に延長した面よりも、前記外輪の他方側の内周面のテーパ形状が、径方向で外側となることを特徴とする。
この第5の発明によれば、内輪の一方側の外周面のテーパ形状に沿って軸受内に流入した潤滑油は、テーパ形状の延長上に流れ、他方側の外輪の内周面に当たることなく、軸受外方に流出していくことができる。よって、軸受の一方側から他方側への潤滑油の流れが円滑となる。
次に、本発明の第6の発明は、上記第2の発明ないし第5の発明のいずれかの発明に係る転がり軸受であって、
前記転動体は玉であることを特徴とする。
この第6の発明によれば、転動体が玉であるため、転動体と内輪および外輪との接触抵抗が小さくなり、トルクを低減させることができる。
上述の本発明の各発明によれば、次の効果が得られる。
まず、上述の第1の発明によれば、内輪または外輪のうちの回転する側の軌道輪に形成されたテーパ形状により、潤滑油を軸受の一方側から他方側に貫通させるポンプ作用が発生する。そして内輪および外輪のテーパ形状は、潤滑油の軸方向の一方側から他方側への流れを円滑にする。よって、ポンプ作用を発生させることができる転がり軸受を提供することができる。
次に上述の第2の発明によれば、内輪または外輪のうちの回転する側の軌道輪の軸方向両側に形成されたテーパ形状により、潤滑油を軸受の一方側から他方側に貫通させるポンプ作用がより強力に発生する。
次に上述の第3の発明によれば、軸方向の一方側または他方側の少なくとも一方で、内輪の外周面と外輪の内周面の間の径方向の間隔が軸方向の一方側から他方側に向かって大きくなるため、軸受の一方側から他方側への潤滑油の流れが円滑となる。
次に上述の第4の発明によれば、軸受の一方側の端の開口幅よりも他方側の端の開口幅の方が大きいので、軸受の一方側から他方側への潤滑油の流れが円滑となる。
次に上述の第5の発明によれば、内輪の一方側の外周面のテーパ形状に沿って軸受内に流入した潤滑油は、テーパ形状の延長上に流れ、他方側の外輪の内周面に当たることなく、軸受外方に流出していくことができるので、軸受の一方側から他方側への潤滑油の流れが円滑となる。
次に上述の第6の発明によれば、転動体が玉であるため、接触抵抗が小さくなり、トルクを低減させることができる。
実施例1における転がり軸受の軸方向断面図である。 実施例2における転がり軸受の軸方向断面図である。 実施例3における転がり軸受の軸方向断面図である。 円すいころ軸受のポンプ作用を説明する図である。 従来技術による深溝玉軸受の軸方向断面図である。 深溝玉軸受を使用したい部位を説明する図である。
以下、本発明を実施するための形態について実施例にしたがって説明する。
[構成]
図1に本発明の実施例1における転がり軸受10の軸方向断面を示す。なお、以下の説明では、軸受の軸方向の両側について、図1で符号のAが付されている側を一方側、図1で符号のBが付されている側を他方側と呼び区別する。
転がり軸受10は、内輪30と、外輪20と、内輪30と外輪20との間に保持器14に保持された状態で配置される複数の玉状の転動体12とを備えた深溝玉軸受である。
内輪30は一方側の外周面32が軸受外部から軸受内部に向かって径が大きくなるテーパ形状とされており、他方側の外周面34が軸受内部から軸受外部に向かって径が大きくなるテーパ形状とされている。そして、転動体12の内輪側軌道面36に隣接する内輪30の外周面はテーパの無い円筒面とされており、内輪側軌道面36は軸対称の形状とされている。
外輪20は一方側の内周面22が軸受外部から軸受内部に向かって径が大きくなるテーパ形状とされており、他方側の内周面24が軸受内部から軸受外部に向かって径が大きくなるテーパ形状とされている。そして、転動体12の外輪側軌道面26に隣接する外輪20の内周面はテーパの無い円筒面とされており、外輪側軌道面26は軸対称の形状とされている。
転がり軸受10は、転動体12の軌道面が軸方向で対称とされているので、転動体12の回転が安定する。
そして、転がり軸受10の一方側の端における内輪30の外周面32と外輪20の内周面22との間の開口幅Aよりも、他方側の端における内輪30の外周面34と外輪20の内周面24との間の開口幅Bの方が大きい。
そして、図1にdで示した内輪30の他方側の外周面34のテーパ形状を形成する円錐面の母線と、図1にcで示した外輪20の他方側の内周面24のテーパ形状を形成する円錐面の母線は、転がり軸受10の中心軸16上の一点で交わっている。すなわち、内輪30の外周面34と外輪20の内周面24は、それぞれ中心軸16上の一点で頂点を共有する円錐面の一部をなしている。よって、転がり軸受10の他方側では、内輪30の外周面34と外輪20の内周面24の間の径方向の距離が軸受内部から軸受外部に向かって大きくなっている。
そして、転がり軸受10の一方側では、内輪30の外周面32と外輪20の内周面22の間の径方向の間隔が軸受外部から軸受内部に向かって大きくなっている。
そして、内輪30の一方側の外周面32のテーパ形状を軸方向に延長した面(断面線を図1にeで示す)よりも、外輪20の他方側の内周面24のテーパ形状が、径方向で外側となっている。
[効果]
実施例1によれば、内輪30または外輪20のうちの回転する側の軌道輪の軸方向両側に形成されたテーパ形状により、遠心力により潤滑油を転がり軸受10の一方側から他方側に貫通させるポンプ作用が発生する。そして、一方側の内輪30の外周面32と外輪20の内周面22のテーパ形状は、潤滑油を軸受内部へ流入させて軸受内方かつ径方向外方へ流れるように誘導する。そして、他方側の内輪30の外周面34と外輪20の内周面24のテーパ形状は、潤滑油が軸受外方かつ径方向外方へ流れて軸受外部に排出されるように誘導する。よって、実施例1によれば、ポンプ作用を発生させることができる転がり軸受を提供することができる。
そして、実施例1によれば、一方側の端における外輪20と内輪30の間の開口幅Aよりも他方側の端における外輪20と内輪30の間の開口幅Bの方が大きい。そして、一方側では、外輪20と内輪30の間の径方向距離が軸受外部から軸受内部に向かって大きくなり、他方側では、外輪20と内輪30の間の径方向距離が軸受内部から軸受外部に向かって大きくなっている。よって、転がり軸受10の一方側から他方側へ潤滑油が円滑に流れることができる。
そして、内輪30の一方側の外周面32を軸方向に延長した面よりも、外輪20の他方側の内周面24が径方向で外側となっているので、内輪30の外周面32沿いに軸受内に流入した潤滑油は、外周面32の延長上に流れ、他方側の外輪20の内周面24に当たることなく、軸受外方に流れていくことができる。
そして、転動体12が玉であるため、転動体12と内輪30および外輪20との接触抵抗が小さくトルクが低い。
[変形例]
実施例1では、内輪30の一方側の外周面32と他方側の外周面34および外輪20の一方側の内周面22と他方側の内周面24の全てをテーパ形状としたが、全てをテーパ形状にする必要はない。少なくとも、内輪30の一方側の外周面32と外輪の他方側の内周面24をテーパ形状とすればよく、内輪30の他方側の外周面34および外輪20の一方側の内周面22は軸平行な面としても、遠心力により潤滑油を転がり軸受10の一方側から他方側に貫通させるポンプ作用が発生する。
そして、実施例1では、内輪30の外周面のテーパ形状と外輪20の内周面のテーパ形状の径方向の間隔が軸方向の一方側から他方側に向かって大きくなる構成としたが、この間隔を軸方向で一定としてもよい。また、内輪30の一方側の外周面32のテーパの傾斜を大きくして、外周面32のテーパ形状を軸方向に延長した面が、外輪20の他方側の内周面24のテーパ形状よりも径方向で外側となってもよい。このような形状としても、遠心力により潤滑油を転がり軸受10の一方側から他方側に貫通させるポンプ作用を発生させることができる。
[構成]
図2に本発明の実施例2における転がり軸受40の軸方向断面を示す。なお、以下の説明では、軸受の軸方向の両側について、図2の紙面左側を一方側、図2の紙面右側を他方側と呼び区別する。
転がり軸受40は、内輪60と、外輪50と、保持器44に保持されて内輪60と外輪50との間に配置される複数の玉状の転動体42とを備えた深溝玉軸受である。保持器44は軸方向の一方側で縮径する傘形を成し、軸方向に傾斜する方向で転動体42を保持する片抱きの保持器である。
内輪60の外周面62は軸方向の一方側から他方側に向かって径が大きくなるテーパ形状とされており、テーパ形状の外周面62上に転動体42の内輪側軌道面64が形成されている。そして、外周面62と内輪側軌道面64の間には円筒部分は無く、内輪側軌道面64は軸方向で非対称の形状とされている。
外輪50の内周面52は軸方向の一方側から他方側に向かって径が大きくなるテーパ形状とされており、テーパ形状の内周面52上に転動体42の外輪側軌道面54が形成されている。そして、内周面52と外輪側軌道面54との間には円筒部分は無く、外輪側軌道面54は軸方向で非対称の形状とされている。
そして、図2にgで示した内輪60の外周面62を形成する円錐面の母線と、図2にfで示した外輪50の内周面52を形成する円錐面の母線は、円すいころ軸受と同様に、転がり軸受40の中心軸46上の一点で交わっている。そのため、転がり軸受40の内輪60の外周面62と外輪50の内周面52との間の径方向の間隔が、軸方向の一方側から他方側に向けて単調に増加する構成となっている。
[効果]
実施例2によれば、内輪60または外輪50のうちの回転する側の軌道輪に形成されたテーパ形状により、遠心力により潤滑油を転がり軸受40の一方側から他方側に貫通させるポンプ作用が発生する。そして、内輪60の外周面62のテーパ形状と外輪50の内周面52のテーパ形状により、潤滑油を軸受内部に流入させ、潤滑油が軸受外方かつ径方向外方へ流れて軸受外部に排出されるように誘導する。よって、実施例2によれば、ポンプ作用を発生させることができる転がり軸受を提供することができる。
そして、実施例2によれば、転がり軸受40の内輪60の外周面62と外輪50の内周面52との間の径方向の間隔が、軸方向の一方側から他方側に向けて単調に増加する構成となっている。そして、保持器44は傘形とされており潤滑油の流れを妨げない。よって、転がり軸受40の一方側から他方側へ潤滑油が円滑に流れることができる。
そして、転動体42が玉であるため、転動体42と内輪60および外輪50との接触抵抗が小さくトルクが低い。
[構成]
図3に本発明の実施例3における転がり軸受70の軸方向断面を示す。なお、以下の説明では、軸受の軸方向の両側について、図3の紙面左側を一方側、図3の紙面右側を他方側と呼び区別する。
転がり軸受70は、内輪90と、外輪80と、内輪90と外輪80との間に保持器74に保持された状態で配置される複数の円筒状の転動体72とを備えた円筒ころ軸受である。
内輪90は一方側の外周面92が軸受外部から軸受内部に向かって径が大きくなるテーパ形状とされており、他方側の外周面94が軸受内部から軸受外部に向かって径が大きくなるテーパ形状とされている。そして、転動体72の内輪側軌道面96に隣接する内輪90の外周面はテーパの無い円筒面とされており、内輪側軌道面96は軸対称の形状とされている。
外輪80は一方側の内周面82が軸受外部から軸受内部に向かって径が大きくなるテーパ形状とされており、他方側の内周面84が軸受内部から軸受外部に向かって径が大きくなるテーパ形状とされている。そして、転動体72の外輪側軌道面86に隣接する外輪80の内周面はテーパの無い円筒面とされており、外輪側軌道面86は軸対称の形状とされている。
[効果]
実施例3によれば、内輪90または外輪80のうちの回転する側の軌道輪の軸方向両側に形成されたテーパ形状により、遠心力により潤滑油を転がり軸受70の一方側から他方側に貫通させるポンプ作用が生ずる。そして、一方側の内輪90の外周面92と外輪80の内周面82のテーパ形状は、潤滑油を軸受内部へ流入させて、潤滑油が軸受内方かつ径方向外方へ流れるように誘導する。そして、他方側の内輪90の外周面94と外輪80の内周面84のテーパ形状は、潤滑油が軸受外方かつ径方向外方へ流れて軸受外部に排出されるように誘導する。よって、実施例3によれば、ポンプ作用を発生させることができる転がり軸受を提供することができる。
その他、本発明に係る転がり軸受はその発明の思想の範囲で、各種の形態で実施できるものである。
10 転がり軸受
12 転動体
14 保持器
16 中心軸
20 外輪
22 内周面
24 内周面
26 外輪側軌道面
30 内輪
32 外周面
34 外周面
36 内輪側軌道面
40 転がり軸受
42 転動体
44 保持器
46 中心軸
50 外輪
52 内周面
54 外輪側軌道面
60 内輪
62 外周面
64 内輪側軌道面
70 転がり軸受
72 転動体
74 保持器
80 外輪
82 内周面
84 内周面
86 外輪側軌道面
90 内輪
92 外周面
94 外周面
96 内輪側軌道面
A 一方側の開口幅
B 他方側の開口幅

Claims (6)

  1. 内輪と、外輪と、前記内輪と前記外輪との間に配置される転動体と、を備えた転がり軸受であって、
    前記内輪の外周面は、軸方向の一方側で軸受外部から軸受内部に向かって径が大きくなるテーパ形状とされ、
    前記外輪の内周面は、軸方向の他方側で軸受内部から軸受外部に向かって径が大きくなるテーパ形状とされている転がり軸受。
  2. 請求項1に記載の転がり軸受であって、
    前記外輪の内周面は、軸方向の一方側で軸受外部から軸受内部に向かって径が大きくなるテーパ形状とされ、
    前記内輪の外周面は、軸方向の他方側で軸受内部から軸受外部に向かって径が大きくなるテーパ形状とされていることを特徴とする転がり軸受。
  3. 請求項2に記載の転がり軸受であって、
    一方側の内輪の外周面と外輪の内周面のテーパ形状または他方側の内輪の外周面と外輪の内周面のテーパ形状のうちの少なくとも一方の側のテーパ形状は、内輪の外周面と外輪の内周面の間の径方向の間隔が軸方向の一方側から他方側に向かって大きくなることを特徴とする転がり軸受。
  4. 請求項2または請求項3に記載の転がり軸受であって、
    一方側の端における内輪の外周面と外輪の内周面との間の開口幅よりも、他方側の端における内輪の外周面と外輪の内周面との間の開口幅の方が大きいことを特徴とする転がり軸受。
  5. 請求項2ないし請求項4に記載の転がり軸受であって、
    前記内輪の一方側の外周面のテーパ形状を軸方向に延長した面よりも、前記外輪の他方側の内周面のテーパ形状が、径方向で外側となることを特徴とする転がり軸受。
  6. 請求項2ないし請求項5に記載の転がり軸受であって、
    前記転動体は玉であることを特徴とする転がり軸受。
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