JP2008008466A - 円すいころ軸受 - Google Patents

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Abstract

【課題】軸受内の潤滑オイルの流れを適正化すると共に、軸受内への潤滑オイルの流入量を低減することにより、軸受内に流入した潤滑オイルの攪拌抵抗を小さくして、軸受の低トルク化を図ることができる円すいころ軸受を提供する。
【解決手段】円すいころ軸受10(20,30)は、内輪12(22,23)の小径側端部の小つば部15bに傾斜面16(26)を設ける。
【選択図】図1

Description

本発明は、円すいころ軸受に関し、特に、自動車の最終減速装置部分等に配置され、その装置の内部に収容される潤滑オイルを利用して潤滑を行う円すいころ軸受に関する。
円すいころ軸受は、コンパクトで、大きなラジアル荷重及びアキシアル荷重を支持することができ、しかも、高速回転で使用することができるため広く使用されている。ところで、オイル潤滑環境で用いられる円すいころ軸受では、軸受回転に伴うポンプ作用によって内輪の小径側端部からオイルが軸受内部に流入して大径側より排出されるが、その際に、各部品の間の抵抗の他に、流入オイルの攪拌による抵抗が働き、軸受トルクが増大してしまう。
そして、円すいころ軸受の軸受トルクの増大を抑制して低トルク化を図る技術として、従来、図6に示す円すいころ軸受100が提案されている(例えば、特許文献1参照)。この円すいころ軸受100は、外輪101と内輪102との間に複数の円すいころ103が略円すい筒状の保持器104を介して周方向に転動可能に配設される。保持器104の小径側端部は径方向内方に折り曲げられており、この折り曲げ部105の先端部と内輪102の外周面との間にはラビリンスシール部106が形成される。そして、このラビリンスシール部106により、軸受へのオイル流入量を低減して、攪拌抵抗を減らし、軸受のトルク増大を抑制している。
また、円すいころ軸受内の空間断面積をオイルが排出される側に向かって大きくすることで、軸受に流入するオイル量より排出されるオイル量を多くし、これにより、軸受内部に滞留するオイル量を少なくし、流入オイルの攪拌抵抗を小さくして、軸受のトルク増大を抑制する円すいころ軸受が提案されている(例えば、特許文献2参照)。
特開2005−69421号公報 特開2004−76766号公報
しかしながら、上記特許文献1に記載の円すいころ軸受100においては、保持器104の小径側端部に形成した折り曲げ部105の先端部の軸方向の長さ寸法が保持器肉厚寸法に相当するため、内輪102の外周面との間で十分なラビリンスシール部106の長さを確保することができない。このため、ラビリンスシール部106のシール効果が十分ではなく、軸受へのオイル流入量を低減して、流入オイルの攪拌抵抗を小さくするには限界がある。
また、上記特許文献2に記載の円すいころ軸受においては、軸受のオイルが流入する側及びオイルが排出される側の空間断面積の寸法管理が煩瑣で、内外輪の加工に手間がかかってしまう。
本発明は、このような不都合を解消するためになされたものであり、その目的は、軸受内の潤滑オイルの流れを適正化すると共に、軸受内への潤滑オイルの流入量を低減することにより、軸受内に流入した潤滑オイルの攪拌抵抗を小さくして、軸受の低トルク化を図ることができる円すいころ軸受を提供することにある。
本発明の上記目的は、下記の構成により達成される。
(1) 内周面に外輪軌道面を有する外輪と、外周面に内輪軌道面を有する内輪と、外輪軌道面と内輪軌道面との間に略円すい筒状の保持器を介して円周方向に転動可能に配設される複数の円すいころと、を備える円すいころ軸受であって、内輪の小径側端部に傾斜面を設けることを特徴とする円すいころ軸受。
(2) 傾斜面は、内輪の小径側端部の外周面に形成され、軸方向外側に向かって拡径する面であることを特徴とする(1)に記載の円すいころ軸受。
(3) 傾斜面は、内輪の小径側端部の軸方向端面に形成され、軸方向外側に向かって拡径する面であることを特徴とする(1)又は(2)に記載の円すいころ軸受。
(4) 保持器の小径側端部には、径方向内方に延びる折り曲げ部が形成され、折り曲げ部が、軸方向内方に傾斜することを特徴とする(3)に記載の円すいころ軸受。
本発明の円すいころ軸受によれば、内輪の小径側端部に傾斜面を設けるため、軸受内の潤滑オイルの流れを適正化することができると共に、軸受内への潤滑オイルの流入量を低減することができる。これにより、軸受内に流入した潤滑オイルの攪拌抵抗を小さくすることができるので、軸受の低トルク化を図ることができる。
以下、本発明に係る円すいころ軸受の各実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。
(第1実施形態)
まず、図1を参照して、本発明に係る円すいころ軸受の第1実施形態について説明する。
図1は本発明に係る円すいころ軸受の第1実施形態を説明するための要部断面図である。
本実施形態の円すいころ軸受10は、図1に示すように、内周面に外輪軌道面11aを有する外輪11と、外周面に内輪軌道面12aを有する内輪12と、外輪軌道面11aと内輪軌道面12aとの間に保持器14を介して円周方向に転動可能に配設される複数の円すいころ13と、を備える。
内輪12には、大径側端部に円すいころ13の大径側端面を案内する大つば部15aが形成され、小径側端部に円すいころ13の軸方向移動を規制すると共に、円すいころ13の小径側端面を案内する小つば部15bが形成される。そして、本実施形態では、内輪12の小つば部15bの外周面に、軸受中心から軸方向外側に向かって拡径する傾斜面16が形成される。
保持器14は、略円すい筒状に形成されるもので、その小径側端部には、径方向内方に延びる折り曲げ部17が形成されており、この折り曲げ部17の径方向内端部と内輪12の小つば部15bの傾斜面16との間にラビリンスシール部18を形成している。
このように構成された円すいころ軸受10では、軸受10内を潤滑した潤滑オイルは、回転する内輪12の遠心力により傾斜面16に沿って軸方向外側に移動し、軸受10外に吹き飛ばされ、軸受10外の潤滑オイルは、軸受10内から吹き飛ばされる潤滑オイル、及び保持器14の折り曲げ部17と傾斜面16との間に形成されるラビリンスシール部18により軸受10内に流入することを規制される。これにより、軸受10内の潤滑オイルの流れを適正化すると共に、軸受10内への潤滑オイルの流入量を低減している。
以上説明したように、本実施形態の円すいころ軸受10によれば、内輪12の小径側端部の小つば部15bの外周面に傾斜面16を形成するため、軸受10内の潤滑オイルの流れを適正化することができると共に、軸受10内への潤滑オイルの流入量を低減することができる。これにより、軸受10内に流入した潤滑オイルの攪拌抵抗を小さくすることができるので、軸受10の低トルク化を図ることができる。
(第2実施形態)
次に、図2及び図3を参照して、本発明に係る円すいころ軸受の第2実施形態について説明する。なお、第1実施形態と同一又は同等部分については、図面に同一符号を付してその説明を省略或いは簡略化する。
図2は本発明に係る円すいころ軸受の第2実施形態を説明するための要部断面図、図3は第2実施形態の保持器の変形例を説明するための要部断面図である。
本実施形態の円すいころ軸受20は、図2に示すように、内周面に外輪軌道面11aを有する外輪11と、外周面に内輪軌道面12aを有する内輪22と、外輪軌道面11aと内輪軌道面12aとの間に保持器14を介して円周方向に転動可能に配設される複数の円すいころ13と、を備える。
内輪22には、大径側端部に円すいころ13の大径側端面を案内する大つば部15aが形成され、小径側端部に円すいころ13の軸方向移動を規制すると共に、円すいころ13の小径側端面を案内する小つば部15bが形成される。そして、本実施形態では、内輪22の小つば部15bの軸方向端面に、軸受中心から軸方向外側に向かって拡径する傾斜面26が形成される。
保持器14は、略円すい筒状に形成されるもので、その小径側端部には、径方向内方に延びる折り曲げ部17が形成されており、この折り曲げ部17の径方向内端部と内輪22の小つば部15bの外周面との間にラビリンスシール部28を形成している。なお、折り曲げ部17は、本実施形態では、径方向内方にのみ延びるように形成しているが、図3に示すように、径方向内方、且つ軸方向内方に延ばし傾斜するように形成してもよい。
このように構成された円すいころ軸受20では、軸受20外の潤滑オイルが内輪22の傾斜面26に沿って径方向外側に向かって流れるため、保持器14の折り曲げ部17の径方向内端部と小つば部15bの外周面との間付近の圧力が減少して、内輪22側からの潤滑オイルの流入量が減少する。これにより、軸受20内の潤滑オイルの流れを適正化すると共に、軸受20内への潤滑オイルの流入量を低減している。
以上説明したように、本実施形態の円すいころ軸受20によれば、内輪22の小径側端部の小つば部15bの軸方向端面に傾斜面26を形成するため、軸受20内の潤滑オイルの流れを適正化することができると共に、軸受20内への潤滑オイルの流入量を低減することができる。これにより、軸受20内に流入した潤滑オイルの攪拌抵抗を小さくすることができるので、軸受20の低トルク化を図ることができる。
その他の構成及び作用効果については、上記第1実施形態と同様である。
(第3実施形態)
次に、図4及び図5を参照して、本発明に係る円すいころ軸受の第3実施形態について説明する。なお、第1及び第2実施形態と同一又は同等部分については、図面に同一符号を付してその説明を省略或いは簡略化する。
図4は本発明に係る円すいころ軸受の第3実施形態を説明するための要部断面図、図5は第3実施形態の保持器の変形例を説明するための要部断面図である。
本実施形態の円すいころ軸受30は、図4に示すように、内周面に外輪軌道面11aを有する外輪11と、外周面に内輪軌道面12aを有する内輪32と、外輪軌道面11aと内輪軌道面12aとの間に保持器14を介して円周方向に転動可能に配設される複数の円すいころ13と、を備える。
内輪32には、大径側端部に円すいころ13の大径側端面を案内する大つば部15aが形成され、小径側端部に円すいころ13の軸方向移動を規制すると共に、円すいころ13の小径側端面を案内する小つば部15bが形成される。そして、本実施形態では、内輪32の小つば部15bの外周面に傾斜面16が形成され、内輪32の小つば部15bの軸方向端面に傾斜面26が形成される。
保持器14は、略円すい筒状に形成されるもので、その小径側端部には、径方向内方に延びる折り曲げ部17が形成されており、この折り曲げ部17の径方向内端部と内輪32の小つば部15bの傾斜面16との間にラビリンスシール部18を形成している。なお、折り曲げ部17は、本実施形態では、径方向内方にのみ延びるように形成しているが、図5に示すように、径方向内方、且つ軸方向内方に延ばし傾斜するように形成してもよい。
このように構成された円すいころ軸受30では、軸受30内を潤滑した潤滑オイルは、回転する内輪32の遠心力により傾斜面16に沿って軸方向外側に移動し、軸受30外に吹き飛ばされ、軸受30外の潤滑オイルは、軸受30内から吹き飛ばされる潤滑オイル、及び保持器14の折り曲げ部17と傾斜面16との間に形成されるラビリンスシール部18により軸受30内に流入することを規制される。また、軸受30外の潤滑オイルが内輪32の傾斜面26に沿って径方向外側に向かって流れるため、保持器14の折り曲げ部17の径方向内端部と小つば部15bの傾斜面16との間付近の圧力が減少して、内輪32側からの潤滑オイルの流入量が減少する。これらにより、軸受30内の潤滑オイルの流れを適正化すると共に、軸受30内への潤滑オイルの流入量を低減している。
以上説明したように、本実施形態の円すいころ軸受30によれば、内輪32の小径側端部の小つば部15bの外周面に傾斜面16を形成すると共に、小つば部15bの軸方向端面に傾斜面26を形成するため、軸受30内の潤滑オイルの流れを適正化することができると共に、軸受30内への潤滑オイルの流入量を低減することができる。これにより、軸受30内に流入した潤滑オイルの攪拌抵抗を小さくすることができるので、軸受30の低トルク化を図ることができる。
その他の構成及び作用効果については、上記第1及び第2実施形態と同様である。
本発明に係る円すいころ軸受の第1実施形態を説明するための要部断面図である。 本発明に係る円すいころ軸受の第2実施形態を説明するための要部断面図である。 第2実施形態の保持器の変形例を説明するための要部断面図である。 本発明に係る円すいころ軸受の第3実施形態を説明するための要部断面図である。 第3実施形態の保持器の変形例を説明するための要部断面図である。 従来の円すいころ軸受を説明するための要部断面図である。
符号の説明
10,20,30 円すいころ軸受
11 外輪
11a 外輪軌道面
12,22,32 内輪
12a 内輪軌道面
13 円すいころ
14 保持器
15a 大つば部
15b 小つば部
16,26 傾斜面
17 折り曲げ部
18,28 ラビリンスシール部

Claims (4)

  1. 内周面に外輪軌道面を有する外輪と、外周面に内輪軌道面を有する内輪と、前記外輪軌道面と前記内輪軌道面との間に略円すい筒状の保持器を介して円周方向に転動可能に配設される複数の円すいころと、を備える円すいころ軸受であって、
    前記内輪の小径側端部に傾斜面を設けることを特徴とする円すいころ軸受。
  2. 前記傾斜面は、前記内輪の小径側端部の外周面に形成され、
    軸方向外側に向かって拡径する面であることを特徴とする請求項1に記載の円すいころ軸受。
  3. 前記傾斜面は、前記内輪の小径側端部の軸方向端面に形成され、
    軸方向外側に向かって拡径する面であることを特徴とする請求項1又は2に記載の円すいころ軸受。
  4. 前記保持器の小径側端部には、径方向内方に延びる折り曲げ部が形成され、
    前記折り曲げ部が、軸方向内方に傾斜することを特徴とする請求項3に記載の円すいころ軸受。
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