JP2011127144A - フッ素ガス生成装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】フッ素ガスの粗精製の過程で電解槽を停止させる必要がなく、かつ簡便な構造にてフッ素ガスを粗精製すること。
【解決手段】陽極7にて生成されたフッ素ガスが導かれる第1気室11aと、陰極8にて生成された水素ガスが導かれる第2気室12aとが区画された電解槽1と、電解槽1の溶融塩から気化して主生ガスに混入したフッ化水素ガスを凝縮させてフッ素ガスを粗精製する粗精製装置50とを備え、粗精製装置50は、主生ガスの通過中に凝縮したフッ化水素を貯留可能なフッ化水素貯留槽51と、フッ化水素貯留槽51をフッ化水素の融点を超える温度で冷却する冷却装置52とを備え、フッ化水素貯留槽51は、主生ガスが通過する気相部を有する凝縮槽54と、フッ化水素液中にキャリアガスが供給されることによってフッ化水素が外部へ排出される排出槽55とを備え、凝縮槽54と排出槽55の液相部は連通し、かつ気相部54a,55aは分離されてなる。
【選択図】図1

Description

本発明は、フッ素ガス生成装置に関するものである。
従来のフッ素ガス生成装置として、電解槽を使用し、電気分解によってフッ素ガスを生成する装置が知られている。
特許文献1には、フッ化水素を含む溶融塩中でフッ化水素を電気分解する電解槽を備え、陽極側の第1気相部分にフッ素ガスを主成分とするプロダクトガスを発生させると共に、陰極側の第2気相部分に水素ガスを主成分とする副生ガスを発生させるフッ素ガス生成装置が開示されている。
この種のフッ素ガス生成装置では、電解槽の陽極から発生するフッ素ガスに溶融塩から気化したフッ化水素ガスが混入する。そのため、陽極から発生するガスからフッ化水素を分離してフッ素ガスを精製する必要がある。
フッ素ガスの粗精製として、フッ化水素の融点(−84℃)以下の−80℃程度に設定した凝縮器にフッ素ガスを通過させてフッ化水素を凝縮させる方法が知られている。
特開2004−43885号公報
しかしながら、凝縮したフッ化水素は所定量溜まった後は取り除く必要があり、取り除くには電解槽を停止させなければならない。
また、電解槽を停止させないようにするためには、凝縮器を2系統用意し、バッチ方式で切り換えていずれか一方を使用するように制御しなければならないため、装置が複雑となる。
本発明は、上記の問題点に鑑みてなされたものであり、フッ素ガスの粗精製の過程で電解槽を停止させる必要がなく、かつ簡便な構造にてフッ素ガスを粗精製することができるフッ素ガス生成装置を提供することを目的とする。
本発明は、溶融塩中のフッ化水素を電気分解することによって、フッ素ガスを生成するフッ素ガス生成装置であって、溶融塩が貯留され、溶融塩に浸漬された陽極にて生成されたフッ素ガスを主成分とする主生ガスが導かれる第1気室と、溶融塩に浸漬された陰極にて生成された水素ガスを主成分とする副生ガスが導かれる第2気室とが溶融塩液面上に分離して区画された電解槽と、前記電解槽の溶融塩から気化して前記陽極から生成された主生ガスに混入したフッ化水素ガスを凝縮させてフッ素ガスを粗精製する粗精製装置と、を備え、前記粗精製装置は、主生ガスが通過すると共に、通過中に凝縮したフッ化水素を貯留可能なフッ化水素貯留槽と、前記フッ化水素貯留槽をフッ化水素の融点を超える温度で冷却することによって、主生ガスに混入したフッ化水素ガスを凝縮させる冷却装置と、を備え、前記フッ化水素貯留槽は、フッ化水素液面上に主生ガスが通過する気相部を有する凝縮槽と、フッ化水素液中にキャリアガスが供給されることによって、フッ化水素が外部へ排出される排出槽と、を備え、前記凝縮槽と前記排出槽の液相部は連通し、かつ、前記凝縮槽と前記排出槽の気相部は分離されてなることを特徴とする。
本発明によれば、フッ化水素の排出は気相部が凝縮槽の気相部と分離された排出槽のフッ化水素液中にキャリアガスを供給することによって連続的に行われる。このように、フッ素ガスの粗精製の過程で凝縮されたフッ化水素は連続的に排出されるため、フッ素ガスの粗精製の過程で電解槽を停止させる必要がなく、かつ簡便な構造にてフッ素ガスを粗精製することができる。
本発明の実施の形態に係るフッ素ガス生成装置を示す系統図である。 本発明の実施の形態に係るフッ素ガス生成装置の他の形態を示す系統図である。 本発明の実施の形態に係るフッ素ガス生成装置の他の形態を示す系統図である。
以下、図面を参照して、本発明の実施の形態について説明する。
図1を参照して、本発明の実施の形態に係るフッ素ガス生成装置100について説明する。
フッ素ガス生成装置100は、電気分解によってフッ素ガスを生成し、生成されたフッ素ガスを外部装置4へと供給するものである。外部装置4としては、例えば半導体製造装置であり、その場合、フッ素ガスは、例えば半導体の製造工程においてクリーニングガスとして使用される。
フッ素ガス生成装置100は、電気分解によってフッ素ガスを生成する電解槽1と、電解槽1から生成したフッ素ガスを外部装置4へと供給するフッ素ガス供給系統2と、フッ素ガスの生成に伴って生成された副生ガスを処理する副生ガス処理系統3とを備える。
まず、電解槽1について説明する。
電解槽1には、フッ化水素(HF)を含む溶融塩が貯留される。本実施の形態では、溶融塩として、フッ化水素とフッ化カリウム(KF)の混合物(KF・2HF)が用いられる。
電解槽1の内部は、溶融塩中に浸漬された区画壁6によって陽極室11と陰極室12とに区画される。陽極室11及び陰極室12の溶融塩中には、それぞれ陽極7及び陰極8が浸漬される。陽極7と陰極8の間に電源9から電流が供給されることによって、陽極7ではフッ素ガス(F2)を主成分とする主生ガスが生成され、陰極8では水素ガス(H2)を主成分とする副生ガスが生成される。陽極7には炭素電極が用いられ、陰極8には軟鉄、モネル、又はニッケルが用いられる。
電解槽1内の溶融塩液面上には、陽極7にて生成されたフッ素ガスが導かれる第1気室11aと、陰極8にて生成された水素ガスが導かれる第2気室12aとが互いのガスが行き来不能に区画壁6によって区画される。このように、第1気室11aと第2気室12aは、フッ素ガスと水素ガスとの混触による反応を防ぐため、区画壁6によって完全に分離される。これに対して、陽極室11と陰極室12の溶融塩は、区画壁6によって分離されず区画壁6の下方を通じて連通している。
KF・2HFの融点は71.7℃であるため、溶融塩の温度は91〜93℃に調節される。電解槽1の陽極7及び陰極8から生成したフッ素ガス及び水素ガスのそれぞれには、溶融塩からフッ化水素が蒸気圧分だけ気化して混入する。このように、陽極7にて生成され第1気室11aに導かれるフッ素ガス及び陰極8にて生成され第2気室12aに導かれる水素ガスのそれぞれには、フッ化水素ガスが含まれている。
次に、フッ素ガス供給系統2について説明する。
第1気室11aには、フッ素ガスを外部装置4へと供給するための第1メイン通路15が接続される。
第1メイン通路15には、第1気室11aからフッ素ガスを導出して搬送する第1ポンプ17が設けられる。第1ポンプ17には、ベローズポンプやダイアフラムポンプ等の容積型ポンプが用いられる。
第1メイン通路15における第1ポンプ17の上流には、フッ素ガスに混入したフッ化水素ガスを捕集してフッ素ガスを精製する精製装置16が設けられる。精製装置16としては、フッ素ガスに混入したフッ化水素ガスが凝固する一方、フッ素ガスは通過するように、フッ素の沸点以上かつフッ化水素の融点以下の温度でフッ素ガスを冷却する装置、又は、フッ素ガスに混入したフッ化水素ガスをフッ化ナトリウム(NaF)等の吸着剤に吸着させる装置が用いられる。
また、第1メイン通路15における精製装置16の上流には、フッ素ガスに混入したフッ化水素ガスを凝縮させてフッ素ガスを粗精製する粗精製装置50が設けられる。このように、粗精製装置50は、精製装置16による本精製の前段階としてフッ素ガスを粗精製する装置である。粗精製装置50については、後に詳述する。
次に、副生ガス処理系統3について説明する。
第2気室12aには、水素ガスを外部へと排出するための第2メイン通路30が接続される。
第2メイン通路30には、第2気室12aから水素ガスを導出して搬送する第2ポンプ31が設けられる。
第2メイン通路30における第2ポンプ31の下流には除害部34が設けられ、第2ポンプ31にて搬送された水素ガスは除害部34にて無害化されて放出される。
フッ素ガス生成装置100は、電解槽1の溶融塩中にフッ素ガスの原料であるフッ化水素を供給して補充するための原料供給系統5も備える。以下では、原料供給系統5について説明する。
電解槽1は、電解槽1に補充するためのフッ化水素が貯留されたフッ化水素供給源40と原料供給通路41を介して接続される。フッ化水素供給源40に貯留されたフッ化水素は、原料供給通路41を通じて電解槽1の溶融塩中に供給される。
また、原料供給通路41には、キャリアガス供給源45から供給されるキャリアガスを原料供給通路41内に導くキャリアガス供給通路46が接続される。キャリアガスは、フッ化水素を溶融塩中に導くためのガスであり、不活性ガスである窒素ガスが用いられる。窒素ガスは、フッ化水素と共に陰極室12の溶融塩中に供給され、溶融塩中にはほとんど溶けず、第2気室12aから第2メイン通路30を通じて排出される。
次に、粗精製装置50について説明する。
粗精製装置50は、フッ素ガスが通過すると共に、フッ素ガスの通過中に凝縮したフッ化水素を貯留可能なフッ化水素貯留槽51と、フッ化水素貯留槽51をフッ化水素の融点(−84℃)を超える温度で冷却することによって、フッ素ガスに混入したフッ化水素ガスを凝縮させる冷却装置52とを備える。
フッ化水素貯留槽51は、フッ化水素液面上にフッ素ガスが通過する気相部54aを有する凝縮槽54と、フッ化水素液中にキャリアガスが供給されることによって、フッ化水素が外部へ排出される排出槽55とを備える。
凝縮槽54は、フッ素ガスが気相部54aを通過する際に凝縮されたフッ化水素が滴下して貯留される構造となっている。
排出槽55は、連通路56を通じて凝縮槽54と連通している。凝縮槽54と排出槽55は互いの底面が同一平面となるように並んで配置され、連通路56は互いの底面に沿って形成される。したがって、凝縮槽54の気相部54aを通過する際に凝縮されたフッ化水素は、連通路56を通じて排出槽55に流入する。このように、凝縮槽54にて凝縮されたフッ化水素は、連通路56を通じて凝縮槽54と排出槽55の間を行き来可能であり、凝縮槽54と排出槽55の液相部は連通しているため同一液面レベルとなる。
連通路56がフッ化水素で満たされた状態では、凝縮槽54の気相部54aと排出槽55の気相部55aとは、連通路56に満たされたフッ化水素によって液シールされた状態となる。つまり、凝縮槽54の気相部54aと排出槽55の気相部55aとは、分離された状態となり独立した空間を構成する。このため、凝縮槽54の気相部54aに流入したフッ素ガスは、排出槽55の気相部55aに流入することはなく気相部54aを通過する。
冷却装置52は、フッ化水素貯留槽51を部分的に収容する冷却槽58と、冷却槽58に冷媒入口管59a及び冷媒出口管59bを通じて冷媒を給排する給排系統59と、冷媒の供給量を制御することによってフッ化水素貯留槽51の温度を制御する制御装置(図示せず)とを備える。
フッ化水素貯留槽51の温度は、フッ化水素が凝固しないようにフッ化水素の融点(−84℃)を超える温度に制御される。また、電解槽1中の溶融塩(KF・2HF)の温度は91〜93℃であり、92℃におけるKF・2HFの蒸気圧は43.5torrである。蒸気圧が43.5torrにおけるフッ化水素の飽和温度は−47℃である。このため、フッ化水素は−47℃より高い温度では液化しないため、フッ化水素貯留槽51の温度は−47℃以下に制御される。つまり、フッ化水素貯留槽51の温度は、フッ素ガスに混入したフッ化水素ガスを凝縮させ、かつ凝縮して貯留されたフッ化水素を液体状態に保つため、冷却装置52によってフッ化水素の融点を超え、−47℃以下に制御される。
冷却槽58の冷媒としては、使用温度にて凝固しないものであれば、フロン系、エタノール系、メタノール系、シリコン系、又はトリクロロエチレン等、何を用いてもよい。
凝縮槽54の気相部54aでのフッ化水素ガスの凝縮効率を上げるため、気相部54aにラシヒリング等の金属充填材を充填するようにしてもよい。気相部54aに金属充填材を充填することによって、金属充填材も冷媒によって冷却される。このため、気相部54aをフッ素ガスが通過する際、フッ素ガスは金属充填材に接触することによっても冷却されるため、フッ素ガス中のフッ化水素ガスを効率良く凝縮させることができる。
また、気相部54aをシェルアンドチューブ式の構成にしてもよい。つまり、気相部54aを複数のチューブにて構成し、そのチューブを冷却槽58の冷媒によって冷却するようにしてもよい。このように構成することによって、限られたスペースにて伝熱面積を大きくすることができるため、フッ化水素を効率良く凝縮させることができる。
排出槽55には、フッ化水素液中にキャリアガスを供給するためのキャリアガス供給通路76が設けられる。キャリアガスは、排出槽55に貯留されたフッ化水素を外部へ排出するためのガスであり、不活性ガスである窒素ガスが用いられる。また、排出槽55の気相部55aには、フッ化水素を排出するための排出通路60が接続される。
キャリアガス供給通路76は、上流端がキャリアガス供給源75に接続され、下流端の供給口76aが排出槽55のフッ化水素液中に挿入される。キャリアガス供給通路76を通じて排出槽55のフッ化水素液中に供給された窒素ガスは、蒸気圧分のフッ化水素を含んだ状態で、排出通路60を通じて排出槽55から排出され、排出通路60の下流端に設けられた除害部61にて無害化されて放出される。このように、排出槽55に貯留されたフッ化水素は、フッ化水素液中にキャリアガスが供給されることによって、そのキャリアガスに同伴されて排出される。つまり、排出槽55のフッ化水素液中にキャリアガスが連続して供給されることによって、フッ化水素は連続的に排出される。
キャリアガス供給通路76は、供給口76aから供給されるキャリアガスが連通路56内に流入しないように、供給口76aが連通路56よりも上方に位置するように配置される。これにより、供給口76aから供給されるキャリアガスは、連通路56よりも上方に供給され、連通路56内に流入することはない。よって、キャリアガスが凝縮槽54に流入してフッ素ガスに混入することはない。
次に、粗精製装置50の動作について説明する。
電解槽1の陽極7にて生成されたフッ素ガスは粗精製装置50に流入する。粗精製装置50のフッ化水素貯留槽51の温度は、冷却装置52によってフッ化水素の融点を超え、−47℃以下に制御されているため、フッ素ガスが凝縮槽54の気相部54aを通過する際、フッ素ガス中のフッ化水素ガスは凝縮して凝縮槽54に貯留される。このように、凝縮槽54ではフッ素ガスの粗精製が行われる。凝縮槽54を通過したフッ素ガスは、下流に設けられた精製装置16に流入して本精製される。粗精製装置50は、精製装置16の前段階としてフッ素ガスを粗精製するものであり、本精製を行う精製装置16の負荷を低減する機能を有する。
凝縮槽54にて凝縮されたフッ化水素は、連通路56を通じて排出槽55に流入するため、凝縮槽54と排出槽55の液相部の液面レベルは同一の状態を保って上昇する。そして、連通路56がフッ化水素で満たされることによって、凝縮槽54の気相部54aと排出槽55の気相部55aとは分離された状態となる。なお、気相部54aと気相部55aが分離されるまでの間、フッ素ガスが排出槽55を通じて外部へと排出されないように、排出通路60に設けられたバルブ(図示せず)が閉弁される。
気相部54aと気相部55aがフッ化水素にて分離された後、排出槽55のフッ化水素液中にキャリアガス供給通路76を通じて窒素ガスを供給し、排出槽55のフッ化水素を排出通路60を通じて排出する。
このように、凝縮槽54ではフッ化水素の凝縮が連続的に行われ、かつ排出槽55ではフッ化水素の排出が連続的に行われる。
以上の実施の形態によれば、以下に示す作用効果を奏する。
粗精製装置50では、凝縮槽54にてフッ化水素の凝縮が連続的に行われ、同時に排出槽55にてフッ化水素の排出が連続的に行われる。このように、フッ素ガスの粗精製の過程で凝縮されたフッ化水素は連続的に排出されるため、粗精製装置50ではフッ化水素を取り除く作業を行う必要がなく、フッ素ガスの粗精製の過程で電解槽1を停止させる必要がない。また、フッ化水素の排出は、気相部55aが凝縮槽54の気相部54aと分離された排出槽55のフッ化水素液中にキャリアガスを供給するだけで行うことができるため、簡便な構造にてフッ素ガスを粗精製することができる。
また、粗精製装置50にてフッ化水素の凝縮と排出が連続して行われるため、下流に設けられる精製装置16の負荷を低減することができ、結果として、精製装置16の再生サイクルが長くなると共に、精製装置16のメンテナンスの頻度も少なくなる。
以下に、本実施の形態の他の形態について説明する。
(1)上記実施の形態では、排出槽55から排出されたフッ化水素は、排出通路60の下流端に設けられた除害部61にて無害化されて放出される。しかし、これに代わり、図2に示すように、排出通路60の下流端を電解槽1に接続し、排出槽55から排出されたフッ化水素を電解槽1に回収するようにしてもよい。この場合、キャリアガスである窒素ガスも電解槽1に導かれることになるため、フッ化水素は電解槽1の陰極室12に回収するのが望ましい。電解槽1に回収されたフッ化水素は、フッ素ガスを生成するために再利用されるため、フッ素ガスの粗精製の過程で凝縮されたフッ化水素を有効に利用することが可能となる。なお、排出槽55から排出されたフッ化水素をフッ化水素供給源40に回収するようにしてもよい。
(2)上記実施の形態は、キャリアガスとして不活性ガスである窒素ガスを用いるものである。これに代わり、キャリアガスとしてフッ素ガス(主生ガス)又は水素ガス(副生ガス)を用いるようにしてもよい。つまり、キャリアガスとして、フッ素ガス、水素ガス、及び不活性ガスのいずれかが用いられる。
キャリアガスとしてフッ素ガスを用いる場合には、第1ポンプ17の下流にフッ素ガスを貯留するバッファタンクを設け、そのバッファタンクに貯留されたフッ素ガスをキャリアガスとして用いるようにすればよい。この場合、排出通路60の下流端は電解槽1の陽極室11に接続され、排出槽55から排出されたフッ化水素は電解槽1の陽極室11に回収される。
キャリアガスとして水素ガスを用いる場合には、第2ポンプ31の下流に水素ガスを貯留するバッファタンクを設け、そのバッファタンクに貯留された水素ガスをキャリアガスとして用いるようにすればよい。この場合、排出通路60の下流端は電解槽1の陰極室12に接続され、排出槽55から排出されたフッ化水素は電解槽1の陰極室12に回収される。
(3)上記実施の形態では、凝縮槽54の気相部54aと排出槽55の気相部55aとは、連通路56に満たされたフッ化水素液にて分離されるものである。これに代わり、図3に示すように、気相部54aと気相部55aとをフッ化水素液中に浸漬された区画壁70によって分離するようにしてもよい。この場合、キャリアガス供給通路76は、供給口76aから供給されるキャリアガスが凝縮槽54に流入してフッ素ガスに混入しないように、供給口76aが区画壁70の下端部よりも上方に位置するように配置される。
本発明は上記の実施の形態に限定されずに、その技術的な思想の範囲内において種々の変更がなしうることは明白である。
本発明は、フッ素ガスを生成する装置に適用することができる。
100 フッ素ガス生成装置
1 電解槽
2 フッ素ガス供給系統
3 副生ガス処理系統
4 外部装置
5 原料供給系統
7 陽極
8 陰極
11a 第1気室
12a 第2気室
15 第1メイン通路
16 精製装置
50 粗精製装置
51 フッ化水素貯留槽
52 冷却装置
54 凝縮槽
54a 気相部
55 排出槽
55a 気相部
56 連通路
58 冷却槽
59 給排系統
60 排出通路
70 区画壁
75 キャリアガス供給源
76 キャリアガス供給通路
76a 供給口

Claims (6)

  1. 溶融塩中のフッ化水素を電気分解することによって、フッ素ガスを生成するフッ素ガス生成装置であって、
    溶融塩が貯留され、溶融塩に浸漬された陽極にて生成されたフッ素ガスを主成分とする主生ガスが導かれる第1気室と、溶融塩に浸漬された陰極にて生成された水素ガスを主成分とする副生ガスが導かれる第2気室とが溶融塩液面上に分離して区画された電解槽と、
    前記電解槽の溶融塩から気化して前記陽極から生成された主生ガスに混入したフッ化水素ガスを凝縮させてフッ素ガスを粗精製する粗精製装置と、を備え、
    前記粗精製装置は、
    主生ガスが通過すると共に、通過中に凝縮したフッ化水素を貯留可能なフッ化水素貯留槽と、
    前記フッ化水素貯留槽をフッ化水素の融点を超える温度で冷却することによって、主生ガスに混入したフッ化水素ガスを凝縮させる冷却装置と、を備え、
    前記フッ化水素貯留槽は、
    フッ化水素液面上に主生ガスが通過する気相部を有する凝縮槽と、
    フッ化水素液中にキャリアガスが供給されることによって、フッ化水素が外部へ排出される排出槽と、を備え、
    前記凝縮槽と前記排出槽の液相部は連通し、かつ、前記凝縮槽と前記排出槽の気相部は分離されてなることを特徴とするフッ素ガス生成装置。
  2. 前記フッ化水素貯留槽は、前記凝縮槽と前記排出槽を連通する連通路を備え、
    前記凝縮槽と前記排出槽の気相部とは、前記連通路に満たされたフッ化水素液によって分離されることを特徴とする請求項1に記載のフッ素ガス生成装置。
  3. 前記キャリアガスは、前記連通路がフッ化水素で満たされた状態で、前記連通路よりも上方に供給されることを特徴とする請求項2に記載のフッ素ガス生成装置。
  4. 前記凝縮槽と前記排出槽の気相部とは、フッ化水素液中に浸漬された区画壁によって分離されることを特徴とする請求項1に記載のフッ素ガス生成装置。
  5. 前記排出槽から排出されたフッ化水素は、前記電解槽又は前記電解槽に補充するためのフッ化水素が貯留されたフッ化水素供給源に回収されることを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか1項に記載のフッ素ガス生成装置。
  6. 前記キャリアガスとして、主成ガス、副生ガス、及び不活性ガスのいずれかが用いられることを特徴とする請求項1から請求項5のいずれか1項に記載のフッ素ガス生成装置。
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