JP2011126984A - ポリプロピレン樹脂組成物および該組成物を成形してなる成形体。 - Google Patents

ポリプロピレン樹脂組成物および該組成物を成形してなる成形体。 Download PDF

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Abstract

【課題】 タルクを含有した複合材に見られる傷つき時の白化現象の発生を抑制するとともに、剛性を向上させることができるプロピレン系組成物を提供する。
【解決手段】
成分(A);メルトフローレート(230℃、2.16kg荷重)が3〜300g/10分であり、且つ全体のエチレン含量が2〜25重量%あるプロピレン・エチレンブロック共重合体:52〜92重量%
成分(B);メルトフローレート(230℃、2.16kg荷重)が1〜30g/10分で且つブテン含量が10〜50重量%のプロピレン−ブテンランダム共重合体:3〜23重量%
成分(C);メルトフローレート(230℃、2.16kg荷重)が0.1〜20g/10分のエチレン−α−オレフィン共重合体を5〜25重量%
成分(D);タルク:5〜40重量部
からなるポリプロピレン系樹脂組成物。
【選択図】 なし

Description

本発明は、タルクを含有してなるポリプロピレン系複合材の外傷などによる表面外観の問題が解決されるとともに、剛性などの物性も改良されたポリプロピレン系樹脂組成物およびその成形品に関する。
従来、工業部品分野における各種成形品として、例えば自動車のバンパー、インストルメントパネル、ピラー等、あるいは家電の掃除機、テレビ等の部品にプロピレンブロック共重合体及びタルクやゴムを複合強化したポリプロピレン系樹脂組成物が、その優れた成形性、機械的強度、リサイクル性や経済性等の特徴を活かして広範囲に使用されてきた。近年、これらの用途において、高機能化や製品の大型化、薄肉化、形状の多様化、複雑化に対応するため射出成形性の改良や機械物性の改善が行われている。
さらに、最近は、質感の向上、生産工程の自動化、高速化や溶剤規制等による無塗装化の浸透などに伴いポリプロピレン系樹脂の傷つき白化が問題点としてクローズアップされてきた。
このような問題を解決するために、様々な検討が実施され、その解決する手法が提案されている。たとえば特許文献1においては、ポリプロピレン樹脂タルク複合材に高密度ポリエチレン樹脂を併用することによって耐傷つき性を向上させた組成物が提案されている。特許文献2においては、特定のポリプロピレン樹脂にメタロセン触媒によって重合されたエラストマー、高密度ポリエチレン、タルクからなる組成物が提案されている。特許文献3においては、ポリプロピレン系樹脂に特定のエチレン系エラストマー、タルク、滑剤を併用する組成物が提案されている。
しかしながら、これらの技術は剛性と耐衝撃性のバランスを向上させるためエチレン含量が高くポリプロピレンに非相溶なゴム成分をポリプロピレン母材に微分散させることを基本としているが、タルクを含有するポリプロピレン複合材が有するタルクを起点とする材料破壊による傷つき白化の本質的解決にはいたっておらず、未だ、製品の更なる薄肉化の要求を満たすためにより高剛性で且つ耐傷つき性の良い材料系が求められているのが現状である。
本発明は、前記のような、タルクを含有してなるポリプロピレン系複合材が抱える傷つき時に白化を起こして傷が目立つ現象を解決しつつ、剛性の向上をも発現する材料を提供することを目的とする。
本発明者らは、これらの問題を解決するために様々な検討をおこなった結果、特定のポリプロピレン系樹脂に特定のプロピレン/ブテンランダム共重合体を特定量相溶化させることがポリプロピレン系樹脂の剛性低下を最小限に抑えつつ、ポリプロピレン樹脂に分散する無機フィラーやエラストマー成分を起点とする成形品内部に発生する高い応力集中を効率よく緩和させ、例えば異物による擦れになどにより局所的に発生する大変形に対しても破壊が誘起され難くする役割を果たすことを見出し、耐傷つき性にすぐれ、曲げ剛性が補強されたタルク含有複合材料を提供する技術を完成させたものである。
本発明の特徴点を順次列挙すれば以下のようになる。
即ち、本発明の第一の発明によれば、下記の成分(A)〜(D)からなることを特徴とするポリプロピレン系樹脂組成物が提供される。
成分(A)結晶性プロピレン重合体成分を重合した後、該結晶性プロピレン系重合体成分の存在下に、エチレン含量が20重量%以上のプロピレン・エチレン共重合体成分を重合して得られるプロピレン・エチレンブロック共重合体であって、メルトフローレート(230℃、2.16kg荷重)が3〜300g/10分であり、且つ全体のエチレン含量が2〜25重量%あるプロピレン・エチレンブロック共重合体:52〜92重量%
成分(B);メルトフローレート(230℃、2.16kg荷重)が1〜30g/10分で且つブテン含量が10〜50重量%のプロピレン-ブテンランダム共重合体:3〜23重量%
成分(C);メルトフローレート(230℃、2.16kg荷重)が0.1〜20g/10分のエチレン−α−オレフィン共重合体を5〜25重量%
成分(D);タルク:5〜40重量部
ただし、成分(D)の量は成分(A)と(B)と(C)の合計100重量部に対しての値である。
また、本発明の第二の発明によれば、第一の発明において、成分(D)のタルクがレーザー法による粒度分布測定における平均粒径が10μm以下のものであるポリプロピレン系樹脂組成物が提供される。
また、本発明の第三の発明によれば、第一乃至第二の発明において、成分(B)のプロピレン・ブテンランダム共重合体がメタロセン触媒を用いて重合されたものであることを特徴とするポリプロピレン系樹脂組成物が提供される。
また、本発明の第四の発明によれば、第一乃至第三のいずれかの発明のポリプロピレン系樹脂組成物を成形してなる自動車用内装材料が提供される。
また、本発明の第五の発明によれば、第一乃至第四のいずれかの発明のポリプロピレン系樹脂組成物を成形してなる自動車インストルメントパネル用材料が提供される。
本発明は、プロピレン・エチレンブロック共重合体に対してプロピレン・ブテンランダム共重合体をブレンドすることにより、タルクを添加した場合に発生する内部応力を緩和することができるとともに、さらに、タルクを含むポリプロピレン系複合材料の接触または衝突などの外傷による表面損傷によって即または経時的に発生する白化現象による表面美的外観の喪失および意匠性の低下を抑制することができるとともに、特に剛性の向上をも含む、剛性、耐損傷性、塗装、加工性、耐外傷性、および塗装不良に関する問題点において、内部および外部からの発生する問題点を克服した全体的にバランスのとれた性能を有するポリプロピレン系樹脂組成物であるという作用効果を奏する。また、このポリプロピレン系組成物は、自動車用の内装、外装用材料として適した性能を備えている。
以下、本発明を詳細に説明する。
成分(A):プロピレン・エチレンブロック共重合体
本発明で用いられる成分(A)は、結晶性プロピレン重合体成分を製造し、引き続き該結晶性プロピレン重合体成分の存在下にプロピレンとエチレンとを共重合させてプロピレン・エチレン共重合体成分を製造して得られるプロピレン・エチレンブロック共重合体である。
ここで、前段で製造される結晶性プロピレン重合体成分とは、プロピレンを主体とし結晶性を損なわない範囲でプロピレン以外のモノマー少量共重合させたものでも良く、具体的にはプロピレンの単独重合体であるか、エチレン含量が1重量%以下のプロピレン系共重合体である。
結晶性プロピレン重合体のメルトフローレート(MFR)は、1〜500g/10分であり、好ましくは10〜300g/10分、より好ましくは20〜200g/10分である。 上記プロピレン・エチレンブロック共重合体のプロピレン単独重合体部分のMFRが前記範囲未満であると流動性が不十分となり、また、MFRが前記範囲を超えると耐衝撃性が劣る。
成分(A)中、後段で製造されるプロピレン・エチレン共重合体成分のエチレン含量は、通常20重量%以上であり、30〜90重量%が好ましく、40〜80重量%が更に好ましい。後段成分のGPCにより測定をした重量平均分子量(Mw)は通常200000〜1500000であり、好ましくは 300000〜1000000 である。
また、成分(A)の全体としてのエチレン含量は、後述する成分(B)(ポリプロピレン・エチレンランダム共重合体)との共存下においても、剛性・耐衝撃性のバランスを高度に維持するために、通常2〜25重量%であり、好ましくは3〜22重量%、より好ましくは5〜20重量%である。
エチレン含量が25重量%を超える場合は剛性の悪化を招き、また2重量%より低い場合には、成分(A)を構成するポリプロピレン・エチレン共重合体が成形品中で分散状態を維持できず、その結果として耐衝撃性の悪化を招く傾向にある。
成分(A)中の結晶性プロピレン重合体とプロピレン・エチレン共重合体との割合は、用途にもよるが、結晶性プロピレン重合体成分を通常60〜95重量%、好ましくは70〜90重量%、エチレン・プロピレン共重合成分を通常5〜40重量%、好ましくは10〜30重量%含有する。
また、成分(A)の全体としての、メルトフローレート(MFR:230℃、2.16kg荷重)は、成形性を考慮すると、通常3〜300g/10分、好ましくは8〜250g/10分、より好ましくは10〜200g/10分、最も好ましくは20〜100g/10分のものが用いられる。
MFRが前記範囲未満であると、流動性が不足し、薄肉成形品を成形する際に大きな型締め力のある成形機を必要とするか、或いは、成形温度を高くする必要性が生じるので、生産性に悪影響を及ぼす。逆に、プロピレン・エチレンブロック共重合体のMFRが前記範囲を超える場合、耐衝撃性等の特性が劣る。
上記プロピレン・エチレンブロック共重合体のMFRは、重合時に調整したもの、或いは重合時にジアシルパーオキサイド、ジアルキルパーオキサイド等の有機過酸化物で調整したものであってもよい。
ここで、MFRは、ASTMD1238に準拠して測定する値である。
本発明で用いられる成分(A)のプロピレン・エチレンブロック共重合体は、チーグラー系触媒、メタロセン系触媒等のオレフィン重合触媒を用いてスラリー重合、気相重合あるいは液相塊状重合により製造されるもので、重合方式としてはバッチ重合、連続重合どちらの方式も採用することができる。
チーグラーナッタ触媒としては、高立体規則性触媒が用いられ、チーグラーナッタ触媒の製造例としては、四塩化チタンを有機アルミニウム化合物で還元し、更に各種の電子供与体及び電子受容体で処理して得られた三塩化チタン組成物と有機アルミニウム化合物及び芳香族カルボン酸エステルを組み合わせる方法(特開昭56−100806号、特開昭56−120712号、特開昭58−104907号の各公報参照)、及び、ハロゲン化マグネシウムに四塩化チタンと各種の電子供与体を接触させる担持型触媒の方法(特開昭57−63310号、特開昭63−43915号、特開昭63−83116号の各公報参照)等の方法を例示することができる。
メタロセン触媒としては、インデン、アズレン、フルオレン等の縮合環系共役5員環が周期律表第4族元素に配位した化合物が好ましく用いられる。
このようなプロピレン・エチレンブロック共重合体(成分(A))は、効果を損なわない範囲で、二種以上の結晶性プロピレン重合体成分や二種以上のプロピレン・エチレンランダム共重合体成分から構成されていてもよい。
成分(B):プロピレン・ブテンランダム共重合体
成分(B)はプロピレン・ブテンランダム共重合体であり、上記成分(A)の結晶性プロピレン系重合体成分に相溶することで柔軟性を改良し、成形された製品中に分散する無機フィラーやエラストマー成分を起点とする成形品内部に発生する高い応力集中を効率よく緩和させ、例えば異物による擦れになどにより局所的に発生する大変形に対しても破壊が誘起され難くする役割を果たすことで、成分(A)のみ使用する従来のタルク含有ポリプロピレン系樹脂に比較し剛性、耐熱性、耐傷つき性のバランスを大きく改良できる。 耐傷つき性は材料用途に応じ種々の様態で評価されるが本質的には材料表面が異物と擦れる時に発生する摩擦力に対する変形抵抗が大きいものほど良くなる物性である。 従来から、滑剤等の添加剤によって表面の摩擦係数を低減することで種々の物性バランスを維持し耐傷つき性を改良する手法が提案されているが、一方でブリードアウト等による成形品の外観の悪化や塗装不良を起こしやすくなるなど欠点がある。
本発明者らは、これらの問題を解決するために様々な検討をおこなった結果、特定の構造を有するプロピレン/ブテンランダム共重合体を特定量配合することが、各種プロピレン系樹脂の成形品、特に自動車用内装材用として要求される基本的物性を保持しつつ耐傷つき性を大きく改良できることを見出した。
本発明に用いられるプロピレン・ブテンランダム共重合体(成分(B))はブテン含有量が10〜50重量%であれば特に限定されないが、メルトフローレート(MFR:230℃、2.16kg荷重)が1〜30g/10分、好ましくは5〜20g/10分、より好ましくは 5〜15g/10分 が用いられる。
成分(B)のブテン含有量が前記範囲未満であると、耐傷つき性の改良効果が見られず、逆にブテン含有量が前記範囲を超える場合、剛性や耐熱性の悪化を招く。
したがって、ブテン含有量が10〜50重量%であれば特に限定されない広範囲のものが使用できるが、例えば、8重量%、5重量%、3重量%というような10重量%未満になると本発明の目的を達成するに支障となるし、同様に70重量%、80重量%というような、いわゆる50重量%を超える範囲になると支障になる。したがって、ブテン含有量が、例えば、15重量%、24重量%、41重量%、45重量%、というような、いわゆる10〜50重量%というような範囲の含有量にあれば適性な実施範囲である。
また、成分(B)のMFRが前記範囲未満であると、複合材としての流動性が不足し、薄肉成形品を成形する際に大きな型締め力のある成形機を必要とするか、或いは、成形温度を高くする必要性が生じるので、生産性に悪影響を及ぼす。 逆に、MFRが前記範囲を超える場合、耐衝撃性等の特性が劣る。
本発明に用いられる成分(B)であるプロピレン・ブテンランダム共重合体は、各種公知の触媒、例えば、チーグラー・ナッタ触媒、メタロセン触媒を使用した製造が可能である。一般にチーグラー・ナッタ触媒では活性点の不均一性から製造されるプロピレン・ブテンランダム共重合体中のブテン組成分布が広くなりやすく剛性低下の懸念があり、好ましくはメタロセン触媒を使用して得られるプロピレン・ブテンランダム共重合体の使用が好ましい。
ここでいうメタロセン触媒とは、(i)シクロペンタジエニル骨格を有する配位子を含む周期表第4族の遷移金属化合物(いわゆるメタロセン化合物)と、(ii)アルミニウムオキシ化合物、上記遷移金属化合物と反応してカチオンに変換することが可能なイオン性化合物またはルイス酸、固体酸微粒子、およびイオン交換性層状珪酸塩から成る化合物群の中から選ばれる少なくとも一種の助触媒と、必要により、(iii)有機アルミニウム化合物とからなる触媒であり、本発明のプロピレン・ブテンランダム共重合体の製造が可能である公知の触媒は、いずれも使用できる。
メタロセン化合物は、プロピレンの立体規則性重合が可能な架橋型のメタロセン化合物であり、好ましくはプロピレンのアイソ規則性重合が可能なメタロセン化合物であり、例えば、特開平2−131488号公報、特開平2−76887号公報、特開平4−211694号公報、特開平4−300887号公報、特開平5−43616号公報、特開平6−100578号公報、特開平5−209013号公報、特開平6−239914号公報、特開平11−240909号公報、特開平6−184179号公報、特表2003−533550号公報等が挙げられる。
更に、具体的には、ジメチルシリレンビス[1−(2−メチル−4−フェニルインデニル)]ジルコニウムジクロリド、ジメチルシリレンビス[1−(2−エチル−4−フェニルインデニル)]ジルコニウムジクロリド、ジメチルシリレンビス[1−(2−メチル−4−(1−ナフチル)−インデニル)]ジルコニウムジクロリド、ジメチルシリレンビス[1−(2−メチル−4,5−ベンゾインデニル)]ジルコニウムジクロリド、ジメチルシリレン[1−(2−メチル−4−(4−t−ブチルフェニル)インデニル)][1−(2−i−プロピル−4−(4−t−ブチルフェニル)インデニル)]ジルコニウムジクロリド、ジメチルシリレンビス[1−(2−メチル−4−フェニル−4H−アズレニル)]ジルコニウムジクロリド、ジメチルシリレンビス[1−(2−エチル−4−(4−クロロフェニル)−4H−アズレニル)]ジルコニウムジクロリド、ジメチルシリレンビス[1−(2−エチル−4−(2−フルオロビフェニリル)−4H−アズレニル)]ジルコニウムジクロリド、ジメチルゲルミレンビス[1−(2−エチル−4−(4−クロロフェニル)−4H−アズレニル)]ジルコニウムジクロリド、ジメチルゲルミレンビス[1−(2−エチル−4−フェニルインデニル)]ジルコニウムジクロリドなどのジルコニウム化合物が例示できる。上記において、ジルコニウムをハフニウムに置き換えた化合物も同様に使用できる。
また、2種以上の錯体を使用することもできる。また、クロリドは他のハロゲン化合物、メチル、ベンジル等の炭化水素基、ジメチルアミド、ジエチルアミド等のアミド基、メトキシ基、フェノキシ基等のアルコキシド基、ヒドリド基等に置き換えることが出来る。
これらの内、2位と4位に置換基を有し、珪素あるいはゲルミル基で架橋したビスインデニル基あるいはアズレニル基を配位子とするメタロセン化合物が好ましい。
助触媒については、アルミニウムオキシ化合物としてメチルアルミノキサン、イソブチルアルミノキサン等が、上記遷移金属化合物と反応してカチオンに変換することが可能なイオン性化合物としては、N,N−ジメチルアニリニウムテトラキスペンタフルオロフェニルボレート、トリフェニルカルビルテトラキスペンタフルオロフェニルボレート等が、ルイス酸としてはトリスペンタフェニルボレートが、固体酸微粒子としてはアルミナ、シリカ−アルミナ等が、さらにイオン交換性層状珪酸塩としては2:1型構造を有する珪酸塩、例えば、化学処理をしてもよいモンモリロナイト、ベントナイト、雲母等が挙げられる。これら化合物が溶媒等に可溶である場合、多孔質の微粒子状無機あるいは有機担体に担持して使用することが可能であり、好ましい。上記助触媒の中で、好ましくはイオン交換性層状珪酸塩である。
有機アルミニウム化合物としては、トリエチルアルミニウム、トリイソプロピルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウム等のトリアルキルアルミニウム、ジアルキルアルミニウムハライド、アルキルアルミニウムセスキハライド、アルキルアルミニウムジハライド、アルキルアルミニウムハイドライド、有機アルミニウムアルコキサイド等が挙げられる。
重合法としては、上記触媒の存在下に、不活性溶媒を用いたスラリー法、溶液法、実質的に溶媒を用いない気相法や、あるいは重合モノマーを溶媒とするバルク重合法等が挙げられる。所望のブテン含量、メルトフローレートに制御するためには、例えば、重合温度、コモノマー量、水素添加量を調節することが出来る。
成分(C):エチレン−α−オレフィン共重合体
本発明のポリプロピレン系樹脂組成物においては、特に耐衝撃性を改良する目的で、エチレン−α−オレフィン共重合体系を配合できる。 本発明において用いられる、上記成分(E)のエチレン−α−オレフィン共重合体は、炭素数3〜8のα−オレフィンを、10〜50重量%、好ましくは15〜48重量%、特に好ましくは20〜48重量%含有するものである。α−オレフィンの含有量が上記範囲よりも少ない場合は、成分Aとの相溶性が悪化し混合成形品の衝撃強度が不足する、また多い場合、逆に成分A中に均一に相溶化するため剛性の低下を招く。α−オレフィンとしては、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、4−メチル−1−ペンテン、1−ヘキセン、1−ヘプテン、1−オクテンなどを挙げる事ができる。なかでも、プロピレン、1−ブテン、1−ヘキセン、1−オクテンが好ましい。この共重合体は、ジエンとの3元共重合体であっても良く、この場合は、ジエンを1〜10重量%、好ましくは2〜8重量%、特に好ましくは3〜6重量%含有する。ジエンとの3元共重合体の場合は、共重合するジエンとしては、エチリデンノルボルネン、ジシクロペンタジエン、1,4−ヘキサジエン等を挙げることが出来る。
具体的な成分(C)であるエチレン−α−オレフィン共重合体の例は、エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−1−ブテン共重合体、エチレン−1−ペンテン共重合体、エチレン−4−メチル−1−ペンテン共重合体、エチレン−1−ヘキセン共重合体、エチレン−1−ヘプテン共重合体、エチレン−1−オクテン共重合体、エチレン−プロピレン−1−ペンテン共重合体、エチレン−プロピレン−ジエン共重合体、例えば、エチレン−プロピレン−ブタジエン共重合体、エチレン−プロピレン−シクロペンタジエン共重合体のような、α−オレフインの各種又は外の共単量体を10〜50重量%を任意に組み合わせた、二元または三元の各種共重合体が挙げられる。
上記エチレン−α−オレフィン共重合体は、各モノマーを触媒の存在下重合することにより製造される。触媒としては、ハロゲン化チタンのようなチタン化合物、アルキルアルミニウムーマグネシウム錯体、のような有機アルミニウムーマグネシウム錯体、アルキルアルミニウム、又はアルキルアルミニウムクロリド等のいわゆるチーグラー型触媒、WO−91/04257号公報等に記載のメタロセン化合物触媒を使用することができる。重合法としては、気相流動床、溶液法、スラリー法等の製造プロセスを適用して重合することができる。市販品を例示すれば、ジェイエスアール社製EDシリーズ、三井化学社製タフマーPシリーズ及びタフマーAシリーズ、デュポンダウ社製エンゲージEGシリーズ、などを挙げることができ、これらはいずれも本発明において使用することができる。本発明のポリプロピレン系樹脂組成物で用いるエチレン−α−オレフィン共重合体のMFR(230℃、2.16kg荷重で測定)は、0.1〜40g/10分が好ましく、より好ましくは0.2〜20g/20分である。 MFRが0.1g/分未満であると、成形性や塗装性に劣り、MFRが40g/10分を超えると、耐衝撃性に劣る。
(D):タルク
成分(D)は、タルクであり、剛性や耐熱性の改良に用いる。
本発明に用いるタルクの平均粒径は、レーザー法で測定される平均粒系が10μm以下、好ましくは1〜8μmの範囲のものである。粒径が10μm以上であると耐白化特性が悪化するばかりでなく、曲げ剛性の向上効果も劣るので好ましくない。
該平均粒径は、レーザー回折法(例えば堀場製作所製LA920W)や、液層沈降方式光透過法(例えば、島津製作所製CP型等)によって測定した粒度累積分布曲線から読みとった累積量50重量%の粒径値より求めることができる。本発明の値は、前者の方法にて測定を行った平均粒径値である。
これらタルクは、天然に産出されたものを機械的に微粉砕化することにより得られたものを更に精密に分級することによって得られる。また、得られたタルクの表面を化学変性したものを用いても良い。
具体的には、シランカップリング剤、チタネートカップリング剤、ステアリン酸のような飽和脂肪酸、オレイン酸のような不飽和脂肪酸、油脂、ワックス、界面活性剤、マライン酸変性ポリプロピレンなどでタルク表面を処理することが推奨される。
機械的に粉砕する方法としては、ジョークラシャ−、ハンマークラシャ−、ロールクラシャー等の粉砕機で粗粉砕した後、チューブミル等のミルを用いながら粉砕分級する方法があげられる。
成分(E):付加的成分
本発明のポリプロピレン系樹脂組成物中には、上記成分(A)〜成分(D)成分以外に、さらに、本発明の効果を著しく損なわない範囲で、他の付加的成分(任意成分)を添加することができる。この様な付加的成分(任意成分)としては、脂肪酸アミド,マレイン酸変性ポリオレフィン、フェノール系及びリン系、ヒドロキシアミン系、ラクトン系の酸化防止剤、ヒンダードアミン系、ベンゾフェノン系、ベンゾトリアゾール系の耐候劣化防止剤、ステアリン酸の金属塩に代表される分散剤、キナクリドン、ペリレン、フタロシアニン、酸化チタン、カーボンブラック等の着色物質を例示できる。
本発明のプロピレン系樹脂組成物の特性を変えない範囲で、他の樹脂、エラストマーをブレンドすることもできる。例えば、低密度、中密度、高密度、LLDのようなポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテン、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−(メタ)アクリレート共重合体、エチレン−ビニルアルコール共重合体、エチレン−アクリル酸共重合体、エチレン−マレイン酸共重合体、天然ゴム、石油樹脂、クロマン−インデン樹脂、テルペン樹脂、ポリブタジエン、アクリルゴムなどの、各種天然樹脂、合成樹脂、天然または合成のゴム、エラストマーなどを0.1〜40重量部適宜添加することもできる。特に、エチレン−マレイン酸共重合体のような極性基を有する樹脂の併用は、樹脂とタルクのような無機フィラーのバインダー効果も期待できる、エラストマー、ゴムの併用は、低温衝撃強度の改良にも期待できる。
同様に、本発明のタルクはポリプロピレン系樹脂の結晶配向に寄与するために弾性率、補強効果の向上において最も適している、そのタルクの効能を下げない範囲で、増量も兼ね、若干のシリカ、炭酸カルシュウム、クレー、マイカ、などの無機フィラーを適宜併用することもできる。また、チタン酸カリウム、塩基性硫酸マグネシウム、硼酸アルミニウム、ガラス繊維などの繊維状の補強効果のあるフィラーを必要により0.1〜30重量部を併用することにより、成形品の補強効果を相乗的に調整することも可能である。成形品の潤滑性のためには、黒鉛、ポリ四弗化エチレン粉などを併用することも可能である。軽量の為にはマイクロバルーン、発泡粒子、中空粒子、多孔粒子のような軽量粒子を充填併用すれば、軽量、断熱の為に省エネにも若干寄与することもありうる。
配合量比
本発明のポリプロピレン系樹脂組成物中に配合される成分(A)〜(D)の配合比率は、次に示す通りである。
成分(A);プロピレン・エチレンブロック共重合体
成分(A)の配合量は、成分(A)と成分(B)と成分(C)との合計の52〜92重量%であり、好ましくは60〜92重量%である。配合量が52重量%未満では、剛性、耐衝撃性が不十分である。
成分(A)の配合量は、例えば、48重量%、36重量%、30重量%というような52重量%未満になると本発明の目的を達成するに支障となるし、同様に95重量%、98重量%というような、いわゆる92重量%を超える範囲になると支障になる。したがって、成分(A)の配合量は、具体的に例えば、58重量%、61重量%、74重量%、88重量%というような、いわゆる52〜92重量%というような含有量の範囲にあれば、適性に実施できるポリマーブレンド量である。
成分(B);プロピレン・ブテンランダム共重合体
成分(B)の配合量は、成分(A)と成分(B)と成分(C)の合計の3〜23重量%、好ましくは5〜20重量%である。配合量が3重量%未満では耐傷つき性の改良効果が不十分であり、23重量%を超えると剛性、耐衝撃性に悪影響を及ぼす。
したがって、成分(B)の配合量は、例えば、2重量%というような3重量%未満になると本発明の目的を達成するにおいて支障となるし、同様に25重量%、34重量%というような、いわゆる23重量%を超える範囲になると同様に支障になる。したがって、成分(B)の配合量は、具体的に例えば、5重量%、11重量%、18重量%、21重量%というような、いわゆる3〜23重量%というような含有量の範囲にあれば、適性に実施することができるポリマーブレンド量である。
成分(C); エチレン−α−オレフィン共重合体
エチレン−α−オレフィン共重合体の配合量は、成分(A)と成分(B)と成分(C)の合計の5〜25重量%が好ましい。 配合量が5重量%未満では、耐衝撃が不十分であり、25重量%より高いと剛性、耐熱性が不十分である。
詳細には、成分(C)の配合量は、例えば、3重量%というような5重量%未満になると本発明の目的を達成するにおいて支障となるし、同様に28重量%、38重量%というような、いわゆる25重量%を越える範囲になると同様に支障になる。したがって、成分(C)の配合量は、具体的に例えば、8重量%、12重量%、18重量%、23重量%というような、いわゆる5〜25重量%というような含有量の範囲にあれば、適性に実施することができる最適なポリマーブレンド量である。
成分(D);タルク
タルクの配合量は、成分(A)と成分(B)と成分(C)の合計100重量部に対し、5〜40重量部が好ましい。 耐傷つき性はタルク比率が低いほど良好であるが、目的とする機械物性を得るためにタルクを配合する。上記タルクが40重量%を超えると、耐衝撃性及び耐傷つき性が不十分となる。
詳細には、成分(D)のタルクの配合量は、例えば、3重量部というような5重量部未満になると本発明の目的を適正に達成するにおいて支障となるし、同様に45重量部%、65重量部というような、いわゆる40重量部を越える範囲になるとポリマーの性質が喪失するために支障となる。したがって、成分(D)の配合量は、例えば、10重量部、20重量部、30重量部、40重量部というような、いわゆる5〜40重量%という含有量の範囲にあれば適性に実施することができる最適なフィラーの添加量である。
ポリプロピレン系樹脂組成物の製造
本発明のポリプロピレン系樹脂組成物の製造は、上記の各構成成分を、上記の割合で、混合又は、一軸押出機、二軸押出機等の押出機、バンバリーミキサー、ロール、ブラベンダープラストグラフ、ニーダー等通常の混練機を用いて、設定温度180℃〜250℃にて混練することにより製造できる。これらの混練機の中でも、押出機、特に二軸押出機を用いて製造することが好ましい。
ポリプロピレン系樹脂組成物の成形加工
本発明のポリプロピレン系樹脂組成物は、所望の成型品に加工される。成形加工法は、特に限定されるものではなく、目的に応じて各種の成形方法で成形できる。例えば、射出成形法、押出成形法など適用できるが、ドアパネル、インストルパネル等の大型射出成形法に適用した場合、射出成形法及び射出圧縮成形法が好ましい。
本発明を以下実施例により更に具体的に説明する。
成分(A):プロピレン・エチレンブロック共重合体の製造
(i)固体触媒成分の製造 窒素置換した内容積50リットルの撹拌機付槽に脱水及び脱酸素したn−ヘプタン20リットルを導入し、次いで、塩化マグネシウム10モルとテトラブトキシチタン20モルとを導入して95℃で2時間反応させた後、温度を40℃に下げ、メチルヒドロポリシロキサン(粘度20センチストークス)12リットルを導入して更に3時間反応させた後、反応液を取り出し、生成した固体成分をn−ヘプタンで洗浄した。
引き続いて、前記撹拌機付槽を用いて該槽に脱水及び脱酸素したn−ヘプタン5リットルを導入し、次いで、上記で合成した固体成分をマグネシウム原子換算で3モル導入した。ついで、n−ヘプタン2.5リットルに、四塩化珪素5モルを混合して30℃、30分間かけて導入して、温度を70℃に上げ、3時間反応させた後、反応液を取り出し、生成した固体成分をn−ヘプタンで洗浄した。
さらに、引き続いて、前記撹拌機付槽を用いて該槽に脱水及び脱酸素したn−ヘプタン2.5リットルを導入し、フタル酸クロライド0.3モルを混合して90℃、30分間で導入し、95℃で1時間反応させた。反応終了後、n−ヘプタンで洗浄した。次いで、室温下四塩化チタン2リットルを追加し、100℃に昇温した後2時間反応した。反応終了後、n−ヘプタンで洗浄した。さらに、四塩化珪素0.6リットル、n−ヘプタン8リットルを導入し90℃で1時間反応し、n−ヘプタンで十分洗浄し、固体成分を得た。この固体成分中にはチタンが1.30重量%含まれていた。
次に、窒素置換した前記撹拌機付槽にn−ヘプタン8リットル、上記で得た固体成分を400gと、t−ブチル−メチル−ジメトキシシラン0.27モル、ビニルトリメチルシラン0.27モルを導入し、30℃で1時間接触させた。次いで15℃に冷却し、n−ヘプタンに希釈したトリエチルアルミニウム1.5モルを15℃条件下30分かけて導入、導入後30℃に昇温し、2時間反応させ、反応液を取り出し、n−ヘプタンで洗浄して固体触媒成分390gを得た。
得られた固体触媒成分中には、チタンが1.22重量%含まれていた。
更に、n−ヘプタンを6リットル、n−ヘプタンに希釈したトリイソブチルアルミニウム1モルを15℃条件下30分かけて導入し、次いでプロピレンを、20℃を超えないように制御しつつ約0.4kg/時間で1時間導入して、予備重合した。
その結果、固体1g当たり0.9gのプロピレンが重合したポリプロピレン含有の固体触媒成分が得られた。
(ii)プロピレン系ブロック共重合体の製造
[前段重合工程:結晶性プロピレン重合体成分の製造]
内容積230リットルの流動床式反応器を2個連結してなる連続反応装置を用いて重合を行った。
先ず第1反応器で、重合温度75℃、プロピレン分圧18kg/cm(絶対圧)、分子量制御剤としての水素を、水素/プロピレンのモル比で0.060となるように、連続的に供給するとともに、トリエチルアルミニウムを5.25g/hrで、固体触媒成分として、上記の触媒をポリマー重合速度が20kg/hrになるように供給し、結晶性プロピレン重合体成分を製造した。
第1反応器で重合したパウダー(結晶性プロピレン重合体成分)は、反応器内のパウダー保有量を60kgとなるように連続的に抜き出し、第2反応器に連続的に移送した。
[後段重合工程:プロピレン・エチレンランダム共重合体成分の製造]
続いて、第2反応器内が、重合温度80℃、圧力2.0MPaになるように、プロピレンとエチレンをエチレン/プロピレンのモル比で0.40となるように連続的に供給し、更に、分子量制御剤としての水素を、水素/(プロピレン+エチレン)のモル比で0.0135となるように連続的に供給すると共に、活性水素化合物としてエチルアルコールを、トリエチルアルミニウムに対して1.4倍モルになるように供給し、プロピレン・エチレンランダム共重合体成分を製造した。
第2反応器で重合が終了したパウダー(結晶性プロピレン重合体成分とプロピレン・エチレンランダム共重合体成分とからなるプロピレン系ブロック共重合体)は、反応器内のパウダー保有量を40kgとなるように、連続的にベッセルに抜き出した。水分を含んだ窒素ガスを供給して反応を停止させ、プロピレン系ブロック共重合体を得た。 得られたプロピレン・エチレンブロック共重合体はMFR=50g/10分、エチレン含量は 8.0wt% であった。
成分(A)として上記製造例により製造したプロピレン・エチレンブロック共重合体、成分(B)として三井化学社製プロピレン−ブテン共重合体(タフマーXM7070、MFR7.0g/10分、ブテン含量25.0 wt%)、成分(C)として三井化学社製エチレン−1−ブテン共重合体(タフマーA4050S MFR
6.4g/10分)、成分(D)として日本タルク社製タルク(ミクロエースC31 平均粒径5.2μm)を使用し、以下実施例を具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例によって限定されるものではない。
上記 成分(A)、成分(B)、成分(C)、成分(D)を表1に示す組成で配合し、成分(A)〜成分(D)混合物100重量部に対し成分(E)として酸化防止剤であるテトラキス[メチレン−3−(3’5’−ジ−t−ブチル−4’−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタン(チバスペシャリティケミカルズ社製、商品名:イルガノックス1010)0.05重量部、及びトリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)フォスファイト(チバスペシャリティケミカルズ社製、商品名:イルガホス168)0.05重量部、二軸混練機(日本製鋼社製:TEX30α)にて210℃の設定温度で混練造粒することによりポリプロピレン系樹脂組成物を得た。
得られたポリプロピレン系樹脂組成物を下記の条件の下、東芝機械社製EC20P射出成型機を用いて成形し、物性評価用の試験片(曲げ弾性率、曲げ降伏応力、引張り破断点歪、シャルピー衝撃強度、耐傷つき性)を得た。 メルトフローレート(MFR)はASTM−D1238に準拠し、2.16kg荷重にて230℃の温度で測定した。
<成型>
規格番号:JIS K−7152(ISO 294−1)参考
成型機:東芝機械社製EC20P射出成型機
成型機設定温度:(ホッパ下から)80、210、210、200、200℃
金型温度:40℃
射出速度:52mm/s(スクリュの速度)
保持圧力:30MPa
保圧時間:8秒
金型形状:平板(厚さ4mm、幅10mm、長さ80mm)2丁取り
平板(厚さ2mm、幅40mm、長さ80mm)
<物性測定法>
・曲げ特性試験
規格番号:JIS K−7171(ISO 178)準拠
試験機:東洋精機社製 ベンドグラフII
試験片の形状:厚さ4mm、幅10mm、長さ80mm
試験室:室温23℃、湿度50%に調節された恒温室
試験片の数:n=5
支点間距離:64mm
試験速度:2.0mm/min
評価項目:曲げ弾性率、最大曲げ応力
・シャルピー衝撃試験
規格番号:JIS K−7111(ISO 179/1eA)準拠
試験機:東洋精機社製 全自動シャルピー衝撃試験機
試験片の形状:シングルノッチ付き試験片、厚さ4mm、幅10mm、長さ80mm
ノッチ形状:タイプAノッチ(ノッチ半径0.25mm)
試験片の作成方法:射出成型試験片(成型については成型項を参照)にノッチを切削(ISO 2818準拠)
試験室:室温23℃、湿度50%に調節された恒温室
試験片の数:n=5
試験温度:23℃
評価項目:吸収エネルギ
・引張り特性
規格番号:JIS K−7162(ISO527−1)準拠
試験機:ストログラフAPII(東洋精機製)
試験片の形状:JIS K7162−5A形
試験片の作製方法:厚さ2mm、幅40mm、長さ80mm の平板を上記形状に打ち抜き
試験室:室温23℃、湿度50%に調節された恒温室
試験片の数:5
試験速度:1.0mm/min
評価項目:引張り破断歪
・耐傷つき特性
上記成形条件で得られた、厚さ2mm、幅40mm、長さ80mmの平板を引っ掻き試験機(HEIDON社 トライボギアTYPE18L)により室温にて耐傷つき性評価を実施した。
先端にR加工(先端R:0.1(mm))を施した円錐型のサファイア製引き掻き針の先端を平板状の試験片に垂直に接触させ固定荷重(80gf)をかける。 平板状の試験片を積載した移動台を一定の速度(600/min)で移動することにより、試験片表面に接触した引き掻き針を直線状に滑らせ、試験片表面に引掻き傷をつける。共焦点レーザー顕微鏡(キーエンス社 VK9500)を用い、形成された傷底の表面形状を計測し、JIS B0601−1994に従って傷底の表面粗さ(Ra)を計算し、耐傷付き性の判断指標とした。 Raが小さいと出来た傷の溝の中の凹凸が少なく、光の乱反射が少なくなり、傷は目立ちにくくなり、逆にRaが大きいと、凹凸が多く光が乱反射し、傷が目立ちやすくなるため、 耐傷付き性の判断指標としてのRaの数値が小さい方が傷付き性に優れることを意味する。
以上の条件で評価した結果を 表2に示す。
本発明の組成物を使用することで、タルクを含有した複合材に見られる傷つき時の白化現象をおさえつつ、剛性の向上を両立することができる。 該組成物を成形した成形品は、インストルパネル、ドアパネル、コンソールボックスをはじめとする自動車内装用部品等好適である。とりわけ、塗装を施すことが少ない軽自動車用インストルパルや、RV社のインストルパネルに好適である。
しかし、自動車外装の特に、剛性、耐熱性、耐衝撃性の要求される、バンパー、ラジエータグリル、スポイラー、サイドガーニッシュ、ランプ類などにも使用できるので、従来のPP/EPR/タルクという、いわゆるスーパーオレフインの代替品にも適用できるその種の用途を除外するものではない。
特開昭59−108049号公報 特開平10−7851号公報 特開平2002−60560号公報

Claims (5)

  1. 下記の成分(A)〜(D)からなることを特徴とするポリプロピレン系樹脂組成物。
    成分(A);結晶性プロピレン重合体成分を重合した後、該結晶性プロピレン系重合体成分の存在下に、エチレン含量が20重量%以上のプロピレン・エチレン共重合体成分を重合して得られるプロピレン・エチレンブロック共重合体であって、メルトフローレート(230℃、2.16kg荷重)が3〜300g/10分であり、且つ全体のエチレン含量が2〜25重量%あるプロピレン・エチレンブロック共重合体:52〜92重量%
    成分(B);メルトフローレート(230℃、2.16kg荷重)が1〜30g/10分で且つブテン含量が10〜50重量%のプロピレン−ブテンランダム共重合体:3〜23重量%
    成分(C);メルトフローレート(230℃、2.16kg荷重)が0.1〜20g/10分のエチレン−α−オレフィン共重合体を5〜25重量%
    成分(D);タルク:5〜40重量部
    ただし、成分(D)の量は成分(A)と(B)と(C)の合計100重量部に対しての値である。
  2. 成分(D)のタルクがレーザー法による粒度分布測定における平均粒径が10μm以下のものであることを特徴とする請求項1に記載のポリプロピレン系樹脂組成物。
  3. 成分(B)のプロピレン−ブテンランダム共重合体がメタロセン触媒を用いて重合されたものであることを特徴とする請求項1または2に記載のポリプロピレン系樹脂組成物。
  4. 請求項1乃至3のいずれかに記載のポリプロピレン系樹脂組成物を成形してなる自動車用内装材料。
  5. 請求項1乃至4のいずれかに記載のポリプロピレン系樹脂組成物を成形してなる自動車インストルメントパネル用材料。
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