以下、適宜図面を参照して、本発明の好ましい実施形態について説明する。
以下の説明においては、複合機10が使用可能に設置された図1の状態を基準として上下方向1を定義し、操作パネル12が設けられている側を前側として前後方向2を定義し、複合機10を前側から見て左右方向3を定義する。
複合機10は、上下方向よりも、左右方向及び前後方向のほうが長い概ね直方体である。複合機10は、下部にプリンタ部14を、上部にスキャナ部16を、前側上部に操作パネル12を備えている。以下、プリンタ部14の詳細について説明する。なお、スキャナ部16及び操作パネル12の詳細についてはその説明を省略する。
[プリンタ部14の構成]
図2に示すように、プリンタ部14は、画像記録部18と、給紙部20と、第1搬送部22と、切換部24と、保持部26と、第2搬送部28とを有する。第1搬送部22は、給紙部20から画像記録部18を経由して切換部24に記録紙を搬送する。切換部24は、記録紙の裏面に画像を記録するために記録紙の搬送方向を切り換える。保持部26は、記録済みの記録紙を保持する。第2搬送部28は、搬送方向が切り換えられた記録紙を再び第1搬送部22に搬送する。以下、各構成について説明する。ここで、第1搬送部22により搬送される記録紙は第1搬送路30上を搬送される。また、第2搬送部により搬送される記録紙は第2搬送路32上を搬送される。
[画像記録部18]
画像記録部18は、プリンタ部14における上部に配置され、記録紙に画像を記録する。画像記録部18は、記録ヘッド34と、記録ヘッド34を支持するキャリッジ36と、記録ヘッド34に対向して記録紙を支持するプラテン38とを有する。
記録ヘッド34は、インク滴を吐出可能であり、インクはインクカートリッジ(不図示)から記録ヘッド34に供給される。
記録ヘッド34が支持されるキャリッジ36は、ガイドレール40、42に沿って左右方向に往復動可能である。キャリッジ36は、駆動源であるCRモータ44(図6参照)に連結される。キャリッジ36は、複数のギアからなる第1伝達機構(不図示)を介して、CRモータ44の回転が伝達されて左右方向に往復動する。キャリッジ36の往復動に伴い、記録ヘッド34はインク滴を吐出する。これにより、記録ヘッド34に対向する記録紙に画像が記録される。
プラテン38は、記録ヘッド34の下方に配置され、前後及び左右に亘って延設される部材である。プラテン38は、記録途中の記録紙をプラテン38の上面で概ね水平に支持する。
[給紙部20]
給紙部20は、記録紙を積載可能な給紙カセット46と、給紙機構48とを有する。給紙機構48により給紙された記録紙は、後述する第1搬送部22により案内され、画像記録部18によって画像が記録される。
給紙カセット46は、プリンタ部14の底部に配置される。給紙カセット46は、記録紙が収容されるメイントレイ50と、メイントレイ50の前方側の上部を覆うカバートレイ52と、カバートレイ52に収容可能でありスライド移動可能なスライドトレイ54とを有する。給紙カセット46は、プリンタ部14の正面に形成された開口56(図1参照)から前後方向に挿抜可能である。
図3に示すように、メイントレイ50は、上面が開放された箱状の部材であり、各種サイズの記録紙が積載可能である。メイントレイ50は、記録紙が載置される底板58と、底板58の左右方向の両端部から立設された側板60、62と、底板58の後方側の端部から立設された傾斜板64とを有する。
底板58は、メイントレイ50の下部に配置された長方形の板状の部材である。底板58の上面は、概ね平坦であり、記録紙が載置可能である。底板58の上面は、前方側よりも後方側のほうが低い位置になるように緩やかに傾斜している。
側板60は底板58の左側の端部、側板62は底板58の右側の端部に、底板58の前端から後端までに亘って立設される板状の部材である。側板60の上端の高さは、対向する側板62の上端の高さと概ね同じである。側板60の左右方向の厚みは、側板62の左右方向の厚みよりも大きい。側板60の上面には後述するスライド駆動部が配置されるため、側板60は剛性を確保するために厚く形成されている
傾斜板64は、底板58の後方側の端部に、底板58の右端から左端までに亘って立設される板状の部材である。傾斜板64は、底板58の端部から後方側の上部に傾斜するように立設している。
カバートレイ52は、メイントレイ50の前方側の上部を覆う部材である。カバートレイ52の前後方向の寸法は、メイントレイ50の前後方向の寸法の3分の2程度の大きさである。また、カバートレイ52の左右方向の寸法は、メイントレイ50の左右方向の寸法と概ね同じである。カバートレイ52の後端部には左右方向に延びる開口66(図2参照)が形成されている。カバートレイ52の内部には開口66から繋がる空間68が形成されており、この空間68にスライドトレイ54が収容される。カバートレイ52は、メイントレイ50から着脱可能である。カバートレイ52は、記録済みの記録紙が保持される保持部26と、後述する第2搬送部28の一部を構成する搬送構成部70とを有する。
保持部26は、カバートレイ52の前方側の上面からなり、その上面で記録済みの記録紙を保持する。保持部26は、記録紙を保持するため概ね平坦に形成されている。保持部26の前後方向の寸法は、メイントレイ50の前後方向の寸法の概ね半分である。
搬送構成部70は、カバートレイ52の後端部の隆起した部分からなり、第2搬送部28の一部を構成する。搬送構成部70は、第2搬送路32上を搬送される記録紙をガイドする下方傾斜ガイド72と、記録紙を搬送する再搬送ローラ74とを有する。
下方傾斜ガイド72は、カバートレイ52の後端に、カバートレイ52の右端から左端までに渡って前方斜め上に傾斜するように立設される。下方傾斜ガイド72は、その上面で第2搬送路32上を搬送される記録紙をガイドする。なお、下方傾斜ガイド72の上面には、貫通孔76が配置されている。
再搬送ローラ74は、下方傾斜ガイド72の貫通孔76から再搬送ローラ74の上部が露出するように配置される。再搬送ローラ74は回転可能に支持されており、再搬送ローラ74の回転軸はカバーガイド52に支持されている。なお、再搬送ローラ74の数及びサイズ及び位置と、下方傾斜ガイド72の貫通孔の数及びサイズ及び位置とは互いに対応している。つまり、下方傾斜ガイド72の貫通孔76は再搬送ローラ74の上部が露出可能に形成されている。
再搬送ローラ74は、駆動源であるASFモータ78(図5参照)に連結される。再搬送ローラ74は、複数のギアからなる第1伝達機構(不図示)を介して、ASFモータ78の正方向への回転により正転して、記録紙をさらに下流側に搬送する。第1伝達機構は遊星ギアなどから構成され、ASFモータ78の正方向への回転のみを再搬送ローラ74に伝達する。再搬送ローラ74は、ASFモータ78が逆方向へ回転するときには回転しないように構成される。
スライドトレイ54は、カバートレイ52内部の空間68に収容され、開口66から出入りすることにより、メイントレイ50の上部で前後方向にスライド移動する板状の部材である。スライドトレイ54の左右方向の寸法は、カバートレイ52内部の空間68の左右方向の寸法よりも僅かに小さく形成されている。これにより、スライドトレイ54は、カバートレイ52内部の空間68内をスライド移動できる。スライドトレイ54の前後方向の寸法は、カバートレイ52の前後方向の寸法と概ね同じである。スライドトレイ54は、メイントレイ50の前端側の上部に位置し、カバートレイ52内部の空間68に収容される前方位置(図3参照)と、メイントレイ50の後端側の上部に位置し、第2搬送部28の一部を構成する後方位置(図4参照)とを有する。スライドトレイ54は、後方位置にあるとき、スライドトレイ54の上面で第2搬送路32上を搬送される記録紙をガイドする。スライドトレイ54の上面は概ね平坦に形成されている。これにより、スライドトレイ54の上面をガイドされる記録紙の搬送を安定して行うことができる。
スライドトレイ54は、凸部80(図4参照)と、第1補助ローラ82と、第2補助ローラ84とを有する。凸部80は、スライドトレイ54の左右方向の両端であって、前後方向の中央付近に配置される突起である。凸部80は、後述する当接アーム142と当接可能である。凸部80の後端は、スライドトレイ54の上面に向かって緩やかに傾斜している。第1補助ローラ82は、スライドトレイ54の後方側に配置され、後述する搬送位置にある給紙ローラ102と当接する。これにより、第1補助ローラ82は、搬送位置にある給紙ローラ102とにより記録紙を挟持して搬送する。スライドトレイ54の後端部は、後方斜め上に緩やかに傾斜している。第2補助ローラ84は、スライドトレイ54の後端部の傾斜している部分に配置されており、記録紙の搬送をより安定して行うための補助的なローラである。スライドトレイ54の後端部の傾斜と第2補助ローラ84とにより、スライドトレイ54の上面を案内された記録紙は、スムーズに後述する湾曲ガイドに案内される。
スライドトレイ54は、図4に示すスライド駆動部86を介して、駆動源であるPFモータ88(図5参照)に連結される。PFモータ88の回転が複数のギアからなる第2伝達機構(不図示)を介してスライド駆動部86に伝達されることにより、スライドトレイ54はスライド移動する。スライド駆動部86は、カバートレイ54に配置される2つのピニオンギア90、92と、スライドトレイ54に配置される2つのラックギア94、96とからなる。2つのピニオンギア90、92は、カバートレイ52の後方の左端部に、回転可能に並設されている。2つのラックギア94、96は、カバートレイ52の左端部に前後方向に延びるように並設されている。左側ラックギア94は、左側ピニオンギア90と噛み合い、右側ラックギア96は右側ピニオンギア92と噛み合うように形成される。左側ラックギア94は後端が欠け歯になっており、右側ラックギア96は前端が欠け歯になっている。
第2伝達機構は、PFモータ88の回転方向により左側ピニオンギア90と右側ピニオンギア92とに連結が切り換わるように構成される。PFモータ88が正方向に回転すると、第2伝達機構は左側ピニオンギア90に連結し、左側ピニオンギア90が矢印98方向に回転する。左側ピニオンギア90の回転が、左側ラックギア94に伝達されることによりスライドトレイ54が前方にスライド移動する。スライドトレイ54の前端がメイントレイ50の前端にまで到達し、スライドトレイ54がカバートレイ52内部の空間68に収容されたとき、左側ピニオンギア90は、左側ラックギア94の後端の欠け歯部分に到達して空転する。これにより、スライドトレイ54の移動は止まり、スライドトレイ54は前方位置(図3に示す位置)に位置する。一方、PFモータ88が逆方向に回転すると、第2伝達機構は右側ピニオンギア92に連結し、右側ピニオンギア92が矢印100方向に回転する。右側ピニオンギア92の回転が、右側ラックギア96に伝達されることによりスライドトレイ54が後方にスライド移動する。スライドトレイ54の後端がメイントレイ50の後端にまで到達したとき、右側ピニオンギア92は、右側ラックギア96の前端の欠け歯部分に到達して空転する。これにより、スライドトレイ54の移動は止まり、スライドトレイ54は後方位置(図4に示す位置)に位置する。
図2に示すように、給紙機構48は、給紙カセット46の上方に配置される。給紙機構48の基本的構成は公知であり、その構成は、例えば特開2005−247542号公報などに示される。以下、簡単に給紙機構48の構成を説明する。給紙機構48は、積載された記録紙を給紙する給紙ローラ102と、給紙ローラ102を支持する第1ローラ支持アーム104とを有する。
給紙ローラ102は、第1ローラ支持アーム104に回転可能に設けられる。給紙ローラ102が、メイントレイ50の底板58に積載された記録紙Pに当接した状態で回転することにより記録紙が搬送される。
第1ローラ支持アーム104は、一方の端側に給紙ローラ102を支持し、他方の端側が軸106により支持される棒状の部材である。第1ローラ支持アーム104は軸106を中心に回動可能に設けられ、自重又はバネ(不図示)の付勢により、給紙ローラ102が下方に移動する向きに力が作用する。軸106は、プリンタ部14のフレーム(不図示)に固定されている。また、第1ローラ支持アーム104には、給紙ローラ102と、給紙ローラ102の駆動源であるASFモータ78(図6参照)とを連結する複数のギアからなる第3伝達機構108が支持される。第3伝達機構108は、ASFモータ78の正方向への回転を給紙ローラ102に伝達し、給紙ローラ102を正転させるように構成される。これにより、給紙ローラ102に当接する記録紙は第1搬送部22に向けて搬送される。一方、第3伝達機構108は、遊星ギアを有し、ASFモータ78の逆方向への回転を給紙ローラ102に伝達しないように構成される。これにより、給紙ローラ102は、ASFモータ78が逆方向へ回転するときには回転しない。
また、第1ローラ支持アーム104は、軸106を中心とした回動により給紙位置(不図示)と搬送位置(図2に示す位置)とに回動する。
第1ローラ支持アーム104の給紙位置において、給紙ローラ102は、第1ローラ支持アーム104の軸106に対して後方斜め下に位置するとともに、給紙カセット46に積載された記録紙Pに当接している。第1ローラ支持アーム104が給紙位置にあるとき、ASFモータ78が正方向へ回転すると、給紙ローラ102が積載された記録紙Pの上で正転する。これにより、積載された記録紙は第1搬送部22に向けて搬送される。なお、第1ローラ支持アーム104が給紙位置にあるときに給紙カセット46が複合機10から抜き取られる際には、第1ローラ支持アーム104は、給紙ローラ102が上方に移動するように軸106を中心に回動する。これにより、給紙ローラ102は、上方へ移動して給紙カセット46の挿抜領域から退避する。
図2に示す第1ローラ支持アーム104の搬送位置において、給紙ローラ102は、第1ローラ支持アーム104の軸106と概ね同じ高さに位置する。第1ローラ支持アーム104の搬送位置では、給紙ローラ102はスライドトレイ54上の第1補助ローラ82に当接している。第1ローラ支持アーム104が搬送位置にあるとき、ASFモータ78が正方向へ回転すると、給紙ローラ102が正転する。これにより、スライドトレイ54上の記録紙は、給紙ローラ102と第1補助ローラ82とにより挟持されて第1搬送部22に向けて搬送される。
第1ローラ支持アーム104の給紙位置及び搬送位置への回動は、スライドトレイ54の前方位置及び後方位置への移動により行われる。スライドトレイ54が前方位置から後方位置へ移動するとき、スライドトレイ54の後端が給紙位置にある第1ローラ支持アーム104に当接し、スライドトレイ54の後方への移動に伴い第1ローラ支持アーム104が押し上げられるように回動する。第1ローラ支持アーム104が回動すると、その延出端部に配置された給紙ローラ102はメイントレイ50に収容された記録紙Pから離間する。スライドトレイ54の後方位置への移動が完了すると、第1ローラ支持アーム104はスライドトレイ54により搬送位置に支持され、給紙ローラ102はスライドトレイ54の第1補助ローラ82に当接する。一方、スライドトレイ54が後方位置から前方位置へ移動すると、スライドトレイ54が第1ローラ支持アーム104と当接しなくなるため、第1ローラ支持アーム104は自重又はバネによる付勢力により搬送位置から給紙位置へ回動する。
なお、給紙カセット46がプリンタ部14から抜き出される際に、第1ローラ支持アーム104が給紙位置にあるときは、第1ローラ支持アーム104は、給紙ローラ102が上方に移動するように軸106を中心に回動する。これにより、給紙ローラ102は上方へ移動して給紙カセット46の挿抜領域から退避する。一方、給紙カセット46がプリンタ部14から抜き出される際に、第1ローラ支持アーム104が搬送位置にあるときは、第1ローラ支持アーム104及び給紙ローラ102は、既に給紙カセット46の挿抜領域から退避した位置にあるため、第1ローラ支持アーム104はほとんど回動しない。
[第1搬送部22]
第1搬送部22は、給紙カセット46の上端付近から、画像記録部18を経由して、後述する切換部24の後方までに亘って配置される。第1搬送部22は、記録紙が画像記録部18を経由した後に切換部24に至るように記録紙を搬送する。第1搬送部22は、記録紙を案内する湾曲ガイド110及び排出ガイド(不図示)と、記録紙を搬送する搬送ローラ対112及び排出ローラ対114とを有する。
湾曲ガイド110は、給紙部20より下流側から画像記録部18より上流側までに亘って延設され、プリンタ部14の内部側を中心とする概ね円弧状の部材である。ここで、上流側及び下流側とは、記録紙が、第1搬送部22を給紙部20から切換部24に向かって搬送されるときの搬送方向において上流側及び下流側である。以下、単に「上流側」及び「下流側」と略称する。給紙ローラ102によって搬送された記録紙は、湾曲ガイド110の内側ガイド面111に案内されて、下方から上方にUターンするように搬送される。
排出ガイドは、画像記録部18より下流側から後述する切換部24より上流側までに亘って延設される部材である。排出ガイド62は、記録済みの記録紙を排出ガイドの上面で概ね水平に支持する。
搬送ローラ対112は湾曲ガイド110の前方、かつ画像記録部18の後方に配置される。搬送ローラ対112は、駆動される搬送ローラ116と、搬送ローラ116に圧接されると共に、搬送ローラ116に従動して回転する第1ピンチローラ118とからなる。湾曲ガイド110により案内された記録紙は、搬送ローラ対112により挟持されて画像記録部18に向けて搬送される。なお、第1ピンチローラ118は、搬送ローラ116の上方に配置されている。
排出ローラ対114は、画像記録部18の前方、かつ排出ガイドの後方に配置される。排出ローラ対114は、駆動される排出ローラ120と、排出ローラ120に圧接されると共に、排出ローラ120に従動して回転する第2ピンチローラ122とからなる。画像記録部18を通過した記録紙は、排出ローラ対114により挟持されて排出ガイドに向けて搬送される。なお、第2ピンチローラ122は、排出ローラ120の下方に配置されている。第2ピンチローラ122は、拍車状のローラにより構成されている。これにより、記録された画像への影響を少なくすることができる。
搬送ローラ116及び排出ローラ120は、駆動源であるPFモータ88(図6参照)に連結される。搬送ローラ116及び排出ローラ120は、第4伝達機構(不図示)を介して、PFモータ88の回転が伝達されて回転する。第4伝達機構は遊星ギアなどを有し、搬送ローラ116及び排出ローラ120が各ローラの配置位置から記録紙をさらに下流側に搬送する方向のみに回転するように構成される。
[切換部24]
切換部24は、第1搬送部22の下流側に配置される。切換部24は、第1搬送部22から搬送された記録紙を、保持部26に排紙するか、もしくは後述の第2搬送部28に案内するかに搬送方向を切り換える。切換部24は、正逆方向に回転して記録紙の搬送方向を切り換えるスイッチバックローラ対124と、開口126とを有する。開口126は、スイッチバックローラ対124の後方に配置される第2搬送部28への進入口である。
スイッチバックローラ対124は、排出ガイドより前方、かつ保持部26より後方に配置される。スイッチバックローラ対124は、駆動されるスイッチバックローラ128と、スイッチバックローラ128に圧接されると共に、スイッチバックローラ128に従動して回転する第3ピンチローラ130とからなる。スイッチバックローラ128は、正逆方向に回転可能である。スイッチバックローラ128の正転により、記録紙は保持部26に向かって搬送される。一方、スイッチバックローラ128の逆転により、記録紙は逆向きに搬送される。なお、第3ピンチローラ130は、スイッチバックローラ128の上方に配置されている。第3ピンチローラ130は、拍車状のローラにより構成されていている。これにより、記録された画像への影響を少なくすることができる。
スイッチバックローラ128は、駆動源であるPFモータ88に連結される。スイッチバックローラ128は、複数のギアからなる第5伝達機構(不図示)を介して、PFモータ88の回転が伝達されて回転する。PFモータ88は、正逆方向に駆動可能であり、スイッチバックローラ128は、PFモータ88の正方向の回転により正転し、逆方向の回転により逆転する。
排出ローラ対120により下流側に搬送される記録紙は、排出ガイドの上面に案内された後、開口126の上部を通過し、スイッチバックローラ対124に至る。スイッチバックローラ対124に至った記録紙は、スイッチバックローラ128の正転によりさらに下流側に搬送される。スイッチバックローラ128の正転により搬送され、後端が、スイッチバックローラ対124の挟持位置よりも下流側に搬送された記録紙は、自重により落下してカバートレイ52の保持部26上に排紙される。ここで、記録紙の後端とは、搬送される記録紙の後端側の縁である。一方、スイッチバックローラ128の正転により搬送された記録紙の後端が、開口126の上方に位置するときにスイッチバックローラ128が逆転すると、スイッチバックローラ対124に挟持された記録紙は逆向きに搬送される。逆向きに搬送される記録紙は、その搬送方向における先端が開口126に進入して第2搬送部28に向かって搬送される。
ここで、スイッチバックローラ128の駆動源であるPFモータ88は、スライドトレイ54の駆動源でもある。スイッチバックローラ128が正転しているとき、スライドトレイ54は前方位置(図3に示す位置)への移動中もしくは前方位置に位置する。一方、スイッチバックローラ128が逆転しているとき、スライドトレイ54は後方位置(図4に示す位置)への移動中もしくは後方位置に位置する。
[第2搬送部28]
第2搬送部28は、スイッチバックローラ対124の後方斜め下から、プラテン38と給紙部20の間を通り、第1搬送部22を構成する湾曲ガイド110の前方までに亘って配置されている。第2搬送部28は、切換部24から搬送された記録紙を湾曲ガイド110に向かって搬送する。第2搬送部28は、記録紙を案内する上方傾斜ガイド132と、下方傾斜ガイド72と、記録紙を搬送する再搬送ローラ74と、再搬送ローラ74とにより記録紙を挟持する第4ピンチローラ134と、後方位置に位置するスライドトレイ54と、第4ピンチローラ134を再搬送ローラ74から接離させる接離機構136とを有する。なお、下方傾斜ガイド72及び再搬送ローラ74は、給紙カセット46の一部である。
上方傾斜ガイド132は、スイッチバックローラ対124の挟持位置の後方から、後方斜め下に延設される部材である。上方傾斜ガイド132は、開口126から進入した記録紙を上方傾斜ガイド132の上面で支持する。上方傾斜ガイド132上を搬送された記録紙は、下方傾斜ガイド72に搬送される。
下方傾斜ガイド72は、カバートレイ52の搬送構成部70に配置されている。下方傾斜ガイド72は、その上面で上方傾斜ガイド132から搬送された記録紙をガイドする。下方傾斜ガイド72の傾斜角度は、上方傾斜ガイド132の傾斜角度と概ね同じである。上方傾斜ガイド132から搬送された記録紙は、下方傾斜ガイド72上を搬送された後、後方位置に位置するスライドトレイ54上に案内される。
再搬送ローラ74は、下方傾斜ガイド72の貫通孔76から再搬送ローラ74の上部が露出するように配置されている。再搬送ローラ74は、駆動源であるASFモータ78に連結される。再搬送ローラ74は、第6伝達機構(不図示)を介して、ASFモータ78の回転が伝達されて回転する。第6伝達機構は遊星ギアなどから構成され、ASFモータ78が正逆転方向のいずれに回転しても再搬送ローラ74が記録紙をスライドトレイ54に向かって搬送する方向のみに回転するように構成される。
第4ピンチローラ134は、再搬送ローラ74に圧接される圧接位置と再搬送ローラ74から離間する離間位置とを有する。記録紙が第2搬送部28により搬送されているとき、第4ピンチローラ134は、再搬送ローラ74に圧接されており、再搬送ローラ74に従動して回転する。再搬送ローラ74と第4ピンチローラ134とにより挟持される記録紙は、スライドトレイ54に向けて搬送される。
後方位置に位置するスライドトレイ54は、下方傾斜ガイド72の下端から湾曲ガイド110の前方までに亘って延びており、スライドトレイ54の上面で下方傾斜ガイド72から搬送された記録紙をガイドする。ここで、記録紙が第2搬送部28に搬送されるときは、スイッチバックローラ128が逆転しているときであるため、スライドトレイ54は後方位置に位置している。スライドトレイ54が後方位置に位置するとき、給紙ローラ102がスライドトレイ54の第1補助ローラ82上に位置している。スライドトレイ54上を搬送される記録紙は、給紙ローラ102と第1補助ローラ82とにより挟持されて、湾曲ガイド110に向けて搬送される。スライドトレイ54上を搬送された記録紙は、第1搬送部24を構成する湾曲ガイド110に到達し、湾曲ガイド110の内側ガイド面111に案内されて下方から上方にUターンするように画像記録部18に向かって搬送される。
次に、第4ピンチローラ134を圧接位置(図2に示す位置)と離間位置とに移動させる図3に示す接離機構136について説明する。接離機構136は、支持軸138と、第2ローラ支持アーム140と、当接アーム142と、押圧アーム144と、スライドトレイ54の凸部80(図4参照)とにより構成される。
支持軸138は、第1ローラ支持アーム104の軸106の前方に配置され、左右方向に延出されている。支持軸138の両端部はプリンタ部14のフレームに回転可能に支持されている。
図6に示すように、第2ローラ支持アーム140は、支持軸138の左右方向の中央に配置され、支持軸138から前方に延出される板状の部材である。第2ローラ支持アーム140は、その延出端部に、第4ピンチローラ134を回転可能に支持している。第2ローラ支持アーム140は、支持軸138に対して相対的に回動可能であり、第4ピンチローラ134が再搬送ローラ74に対して接離するように回動する。
第2ローラ支持アーム140の上面160における中央には、T字状のストッパ部146が立設している。ストッパ部146は、柱部分148と、柱部分148の上部に配置され、左右方向に延びる屋根部分150とを有する。図3に示すようにストッパ部146の柱部分148には、柱部分148よりも全長が長い圧縮バネである第1バネ152が柱部分148の周囲を取り囲むように配置されている。
図2に示すように、第2ローラ支持アーム140の延出端部の中央には、引っ張りバネである1つの第2バネ154の一端が取り付けられている。なお、第2バネ154は複数個設けられていても良い。第2バネ154の他端は、プリンタ部14のフレームに取り付けられている。第2バネ154は、第2ローラ支持アーム140の延出端部を上方に付勢している。つまり、第2バネ154は、第2ローラ支持アーム140を、その延出端部に配置された第4ピンチローラ134が再搬送ローラ74から離間する向きに付勢する。これにより、記録紙が互いに離間した状態の再搬送ローラ74と第4ピンチローラ134との間に到達したとしてもジャムが発生する恐れがない。なお、第2バネ154の付勢力は、第1バネ152の付勢力よりも弱く設定されている。
図7に示すように当接アーム142は、支持軸138の両端部に配置され、支持軸138から後方に延出される棒状の部材である。当接アーム142は、支持軸138に固定されており、支持軸138を中心に回動可能である。当接アーム142は、スライドトレイ54の両端部に配置される凸部80(図4参照)と当接可能な位置に配置され、スライドトレイ54のスライド移動に伴って凸部80と当接することにより回動される。図3に示すようにスライドトレイ54が前方位置にあるとき、当接アーム142はスライドトレイ54とは当接しない。このとき、当接アーム142の延出端部は支持軸138の前方斜め下に位置している。一方、図4に示すようにスライドトレイ54が後方位置にあるとき、当接アーム142はスライドトレイ54の凸部80に当接し、凸部80の上部に乗り上げた状態になる。このとき、当接アーム142の延出端部は支持軸138と概ね水平に位置している。
つまり、スライドトレイ54が前方位置から後方位置へスライド移動すると、当接アーム142は凸部80により押し上げられるように回動し、当接アーム142の延出端部は下方から上方へ移動する。なお、スライドトレイ54が後方位置への移動が完了する直前に、凸部80が当接アーム142に当接し、当接アーム142が凸部80に乗り上げるように形成されている。一方、スライドトレイ54が後方位置から前方位置へスライド移動すると、当接アーム142は凸部80と当接しなくなるため、凸部80による押し上げから解放されることにより回動し、当接アーム142の延出端部は上方から下方へ移動する。
図7に示すように押圧アーム144は、支持軸138の左右方向の中央に配置され、支持軸138から前方に、即ち当接アーム142の延出方向と概ね逆向きに延出される板状の部材である。押圧アーム144は、支持軸138に固定されており、支持軸138を中心に回動可能である。押圧アーム144の延出端部には、前後方向に長い切欠きが形成されている。図3に示すように、押圧アーム144は、切欠きによって、第2ローラ支持アーム140におけるストッパ部146の柱部分148を挟み込むように配置されている。このとき、押圧アーム144はストッパ部146の柱部分148に取り付けられた第1バネ152の上部に配置される。つまり、押圧アーム144は、第1バネ152とストッパ部146の屋根部分150との間に配置されている。押圧アーム144と第2ローラ支持アーム140とは、第1バネ152により互いに離間する向きに付勢されている。なお、押圧アーム144の切欠きの左右方向の寸法は、ストッパ部146の屋根部分150の左右方向の寸法及び第1バネ152の直径よりも小さく形成されている。これにより、押圧アーム144の回動は、ストッパ部146の屋根部分150により、第2ローラ支持アーム140と離れすぎないように規制されている。これにより、押圧アーム144が第2ローラ支持アーム140から離間する向きに回動して第1ローラ支持アーム104と当接してしまうのを防ぐことができる。従って、第1ローラ支持アーム104に支持される給紙ローラ102が、メイントレイ50に収容された記録紙と当接する当接力に影響が及ばない。
図7に示すように、押圧アーム144と当接アーム142とは、支持軸138に固定されているため、押圧アーム144は当接アーム142の回動に連動して回動する。スライドトレイ54の前方位置(図3参照)から後方位置への移動に伴い、図4に示すように当接アーム142がその延出端部が下方から上方へ移動するように回動すると、押圧アーム144は当接アーム142の回動に連動して、押圧アーム144の延出端部が上方から下方へ移動するように回動する。この押圧アーム144の回動により、押圧アーム144と第2ローラ支持アーム140との間に配置された第1バネ152には、第1バネ152を圧縮するように力が働く。第1バネ152に働く力は、第2ローラ支持アーム140に伝達される。ここで、第1バネ152の付勢力は、第2ローラ支持アーム140を上方に付勢する第2バネ154の付勢力よりも大きい。そのため、第2バネ154は伸張し、第2ローラ支持アーム140には第1バネ152を介して押圧アーム144による押圧力が働き、第2ローラ支持アーム140は、その延出端部が上方から下方へ移動するように回動する。この回動により、第2ローラ支持アーム140の延出端部に配置された第4ピンチローラ134は、再搬送ローラ74に圧接される。
一方、スライドトレイ54の後方位置から前方位置への移動に伴い、図3に示すように当接アーム144の延出端部が上方から下方へ移動するように回動すると、押圧アーム144に生じていた押圧力がなくなる。これにより、押圧アーム144はその延出端部が下方から上方に移動するように回動する。この押圧アーム144の回動により第1バネ152に働いていた、第1バネ152を圧縮させる力もなくなる。よって、第2ローラ支持アーム140には、第2バネ154の付勢力だけが働く。これにより、第2ローラ支持アーム140はその延出端部が下方から上方へ移動するように回動し、第4ピンチローラ134は再搬送ローラ74から離間する。
なお、記録紙が第2搬送部28に搬送されるときは、スイッチバックローラ128が逆転しているときである。スイッチバックローラ128が逆転しているとき、スライドトレイ54は後方位置に位置しているため、第4ピンチローラ134は再搬送ローラ74に圧接される圧接位置に位置する。
[両面記録動作]
以下に、プリンタ部14における記録動作について説明する。
複合機10に対して記録の指示が入力されると、複合機10の制御部156(図5参照)により各駆動力源が駆動される。ここで、各駆動力源とは、CRモータ44、ASFモータ78、PFモータ88などである。制御部156は、PFモータ88をASFモータ78よりも所定時間だけ早く正方向への回転を開始させる。PFモータ88が正方向への回転を始めると、スライド駆動部86の左側ピニオンギア90にPFモータ88の回転が伝達され、スライドトレイ54はメイントレイ50上のどの位置にあっても、前方位置へスライド移動する。これにより、記録の指示が入力される前にスライドトレイ54が後方位置に位置していたとしても、スライドトレイ54は前方位置に移動するため、給紙ローラ102による給紙を妨げることがない。
ASFモータ78の正方向への回転により、給紙ローラ102が正転する。これにより、給紙ローラ102はメイントレイ50に収容された記録紙を第1搬送路30に給紙する。
給紙された記録紙は、湾曲ガイド110の内側ガイド面111に沿って下方から上方にUターンするように搬送される。
搬送ローラ対112に到達した記録紙は、搬送ローラ対112により下流側に搬送され、プラテン38の上面に案内される。プラテン38上を搬送される記録紙は、画像記録部18により画像が記録される。なお、搬送ローラ対112による記録紙の搬送が開始されると、ASFモータ78の回転は停止される。
画像が記録された記録紙は、排出ローラ対114により下流側に搬送され、排出ガイドの上面に案内される。排出ガイド上を搬送された記録紙は、開口126の上方を通過してスイッチバックローラ対124に到達する。
ここで、複合機10に入力された指示が片面記録の指示であった場合には、スイッチバックローラ124の正転により、記録紙は保持部26に排紙される。一方、複合機10に入力された指示が両面記録の指示であった場合には、スイッチバックローラ124は所定量正転した後に逆転する。スイッチバックローラ124の逆転により搬送される記録紙は、その搬送方向における先端が開口126に進入することにより、第2搬送部28に案内される。
なお、ここで、スイッチバックローラ124の正転から逆転への切換は、PFモータ88の回転方向の切換によって行われている。よって、PFモータ88が逆方向への回転を始めると、スライド駆動部86の右側ピニオンギア92にPFモータ88の回転が伝達され、スライドトレイ54は、前方位置から後方位置へスライド移動を開始する。
スライドトレイ54が前方位置から後方位置へスライド移動すると、スライドトレイ54は第1ローラ支持アーム104に当接し、第1ローラ支持アーム104を押し上げるように回動させる。これにより、第1ローラ支持アーム104の延出端部に配置された給紙ローラ102は、メイントレイ50に収容された記録紙Pから離間する。さらに、スライドトレイ54が後方にスライド移動し、スライドトレイ54の後方位置への移動が完了する直前に、スライドトレイ54の両端に配置された凸部80が、第4ピンチローラ134を接離させる接離機構136を構成する当接アーム142に当接する。そして、スライドトレイ54が後方位置へのスライド移動を完了するまで後方に移動すると、当接アーム142の延出端部がスライドトレイ54の凸部80に乗り上げるように下方から上方に移動する。当接アーム142がその延出端部が下方から上方に移動するように回動すると、前述したように、押圧アーム144により第2ローラ支持アーム140が上方から下方に押圧される。第2ローラ支持アーム140が押圧されて回動すると、第2ローラ支持アーム140の延出端部に配置された第4ピンチローラ134が再搬送ローラ74に圧接される。また、スライドトレイ54の後方位置への移動が完了したとき、第1ローラ支持アーム104はスライドトレイ54により搬送位置に支持され、給紙ローラ102はスライドトレイ54の第1補助ローラ82に当接している。
つまり、スライドトレイ54の前方位置から後方位置へのスライド移動により、まず給紙ローラ102がメイントレイ50に収容された記録紙Pから離間する。給紙ローラ102がメイントレイ50に収容された記録紙から離間した後に、第4ピンチローラ134が再搬送ローラ74に圧接される。
ここで、PFモータ88の回転方向が正方向から逆方向へ切り換わってから、所定時間経過後にASFモータ78の正方向への回転が開始される。所定時間は、PFモータ88の逆方向への回転開始、即ちスライドトレイ54の後方位置への移動開始から、給紙ローラ102がメイントレイ50に収容された記録紙から離間するまでの時間以上に設定されている。なお、給紙ローラ102がメイントレイ50に収容された記録紙から離間するまでの時間は、メイントレイ50に収容された記録紙の枚数によって異なる。そのため、給紙ローラ102がメイントレイ50に収容された記録紙から離間するまでの時間は、メイントレイに収容される記録紙が最大枚数である場合を基準とする。つまり、スライドトレイ54が後方位置へ移動を開始してから、給紙ローラ102がメイントレイ50に収容された記録紙から離間するまでの時間は、メイントレイに収容される記録紙が最大枚数である場合が一番長い。メイントレイに最大枚数収容されている場合は、給紙ローラ102を支持する第1ローラ支持アーム104の傾斜角度が緩やかであるため、スライドトレイ54が第1ローラ支持アームに当接するのが遅いからである。これにより、ASFモータ78が正方向への回転を開始し、給紙ローラ102及び再搬送ローラ74が回転を開始するとき、給紙ローラ102はメイントレイ50に収容された記録紙から離間しているため、給紙ローラ102により誤って記録紙が給紙される恐れがない。また、ASFモータ78が正方向への回転を開始するとき第4ピンチローラ134は再搬送ローラ74に圧接される前であるため、スイッチバックローラの逆転により第2搬送部28に搬送された記録紙が、第4ピンチローラ134と再搬送ローラ74との挟持位置に到達していたとしても、再搬送ローラ74が停止していないため、紙ジャムが発生する恐れがない。このように形成されているため、PFモータ88の逆方向への回転が開始されてから、即ち、スイッチバックローラ128の逆転が開始されてから、ASFモータ78の正方向への回転を開始させるまでの待機時間を短縮させることができる。
上述のように、スイッチバックローラ128が逆転を開始すると、スライドトレイ54が前方位置から後方位置へ移動する。スライドトレイ54の後方位置への移動に伴い、第2ローラ支持アーム140は搬送位置に移動し、第4ピンチローラ134は再搬送ローラ74に圧接される。これにより、スイッチバックローラ128の逆転により第2搬送部28に搬送された記録紙は、上方傾斜ガイド132の上面に案内された後に、下方傾斜ガイド72に案内される。下方傾斜ガイド72の上面に案内された記録紙は、再搬送ローラ74と第4ピンチローラ134とにより挟持されて、スライドトレイ54に向けて搬送される。なお、ASFモータ78の回転は、第2搬送部28に搬送された記録紙の後端が、給紙ローラ102と第1補助ローラ82との挟持位置を通過した後に停止する。
スライドトレイ54に案内された記録紙は、スライドトレイ54上の第2補助ローラ84と給紙ローラ102とにより挟持されて湾曲ガイド110に向けて搬送される。
湾曲ガイド110に案内された記録紙は、再び、湾曲ガイド110の内側ガイド面111に沿って下方から上方にUターンするように搬送される。湾曲ガイド110により搬送された記録紙は、搬送ローラ対112により搬送され、画像記録部18により画像が記録される。画像が記録された記録紙は、排出ローラ対114により搬送され、排出ガイド上を案内される。排出ガイド上を搬送された記録紙は、開口126の上方を通過した後に、スイッチバックローラ対124により搬送され、保持部26へ排紙される。
本発明の複合機10によれば、記録紙が第2搬送部28に搬送される場合であって、給紙ローラ102の駆動力源と再搬送ローラ74の駆動力源とを同一とした場合に、給紙ローラ102がメイントレイ50に収容された記録紙に当接しているときは、第4ピンチローラ134は再搬送ローラ74に圧接されていないため、第2搬送部28に案内された記録紙が第4ピンチローラ134と再搬送ローラ74とに衝突してジャムしてしまう恐れがない。
本実施形態における画像記録部18が、本発明の記録部の一例である。給紙ローラ102が、給送ローラの一例である。第1搬送部24のうちの画像記録部18より上流側が、主搬送部の一例である。切換部26及び第2搬送部28が、再搬送部の一例である。再搬送ローラ74及び第4ピンチローラ134が、再搬送ローラ対の一例である。ASFモータ78が、第1駆動力源の一例である。第2ローラ支持アーム140が、支持部の一例である。第2バネ154が、第1付勢部の一例である。第1ローラ支持アーム104が、支持アームの一例である。給紙ローラ102がメイントレイ50に収容された記録紙に当接しているときの第1ローラ支持アーム104の回動位置が、支持アームの第1位置の一例である。また、給紙ローラ102がメイントレイ50に収容された記録紙から離間しているときの第1ローラ支持アーム104の回動位置が、支持アームの第2位置の一例である。スライドトレイ54が、第1駆動部の一例である。接離機構136が、第2駆動部の一例である。スイッチバックローラ対124が、正逆転ローラの一例である。PFモータ88が、第2駆動力源の一例である。当接アーム142及び押圧アーム144及び第1バネ152が、押圧部の一例である。第1バネ152が、第2付勢部の一例である。ストッパ部146が、ストッパ部の一例である。
[変形例]
複合機10は、プリンタ部14を備えていればよく、例えばスキャナ部16を備えていなくてもよい。
プリンタ部14は、インクにより画像を記録する画像記録部18を有するインクジェットプリンタであるが、画像を記録できるプリンタであればよい。例えば、プリンタ部は、トナーにより画像を記録する画像記録部を有するレーザープリンタなどであってもよい。
給紙カセット46は、メイントレイ50と、カバートレイ52と、スライドトレイ54とを有するとしたが、この構成に限られない。例えば、給紙カセット46は、記録紙が収容されるメイントレイ50だけを有し、カバートレイ52及びスライドトレイ54は、プリンタ部14に配置されていても良い。
また、カバートレイ52は、保持部26と、第2搬送部28の一部を構成する搬送構成部70とを有するとしたが、この構成に限られない。例えば、搬送構成部70は、プリンタ部14に配置されていても良い。
また、スライドトレイ54はカバートレイ52に収容可能としたが、スライドトレイは収容されなくても良い。また、スライドトレイ54は、凸部80と、第1補助ローラ82と、第2補助ローラ84とを有するとしたが、この構成に限られず、凸部80と、第1補助ローラ82と、第2補助ローラ84とを有していなくても良い。なお、スライドトレイ54が凸部80を有しない場合には、第1ローラ支持アーム104に凸部を設け、第1ローラ支持アーム104の凸部に連動して押圧アーム144が第2ローラ支持アーム140を押圧する構成とする。
給紙機構48の第1ローラ支持アーム104は、搬送位置にあるとき、第1補助ローラ82に当接し、第1補助ローラ82とにより記録紙を挟持して搬送するとしたが、この構成に限られない。第1ローラ支持アーム104が回動したときに、搬送位置よりもさらに上方であり第1補助ローラ82と当接しない位置に第1ローラ支持アーム104を支持する部材を設けて、記録紙を搬送しない構成であっても良い。
第1搬送部24は、湾曲ガイド110と、排出ガイドと、搬送ローラ対112と排出ローラ対114とを備えるとしたが、この構成に限られない。第1搬送部24は、給紙された記録紙を画像記録部に向けて搬送した後に保持部26に向けて搬送できる構成であればよい。例えば、湾曲ガイド110は、円弧状の部材であるとしたが、給紙された記録紙を画像記録部18に向けてガイドできる構成であれば良い。また、記録紙をガイドするガイド部材をさらに有していても良い。搬送ローラ対112は、駆動力が伝達される搬送ローラ116の下方に従動回転する第1ピンチローラ118を有していたが、搬送ローラ116の上方に第1ピンチローラ118を有していても良い。
切換部26は、スイッチバックローラ対124と開口126とを有するとしたが、この構成に限られない。切換部26は、画像が記録された記録紙の搬送方向が切り換えられて、第2搬送部28に搬送できる構成であれば良い。例えば、切換部26は記録紙の搬送方向を切り換えるフラップ部材をさらに有していても良い。また、スイッチバックローラ対124は、駆動力が伝達されるスイッチバックローラ128の上方に従動回転する第3ピンチローラ130を有していたが、スイッチバックローラ128の下方に第3ピンチローラ130を有していても良い。
第2搬送部28はスイッチバックローラ対124の後方斜め下から、プラテン38と給紙部20の間を通り、第1搬送部22を構成する湾曲ガイド110の前方までに亘って配置されるとしたが、この構成に限られない。第2搬送部28は、画像が記録された記録紙を、画像記録部の上流側に搬送できる構成であれば良い。例えば、第2搬送部28を搬送される記録紙のガイド部材である下方傾斜ガイド72及びスライドトレイ54は、給紙カセット46の一部であるとしたが、給紙カセット46とは別の部材により構成しても良い。
接離機構136は、支持軸138と、第2ローラ支持アーム140と、当接アーム142と、押圧アーム144と、スライドトレイ54の凸部80とにより構成されるとしたが、これに限られない。接離機構136は、再搬送ローラ74と第4ピンチローラ134とを接離させる機構であれば良い。例えば、接離機構136は、スライドトレイ54の凸部80により当接アーム142が回動し、当接アーム142の回動に連動して押圧アーム144が第2ローラ支持アーム140を押圧するとしたが、スライドトレイ54のスライド移動に連動して回動する第1ローラ支持アーム104に例えば凸部を設け、凸部に連動して押圧アーム144が第2ローラ支持アーム140を押圧する構成であっても良い。
第2バネ154は、第2ローラ支持アーム140とプリンタ部14のフレームの間に取り付けられた引っ張りバネとしたが、これに限られない。第2バネ154は、第4ピンチローラ134と再搬送ローラ74とを離間する向きに付勢できる構成であれば良い。
スライドトレイ54のスライド移動により第1ローラ支持アーム104が回動するとしたが、この構成には限られない。第1ローラ支持アーム104を回動させるための別の部材を設けても良い。
当接アーム142及び押圧アーム144は、支持軸138に配置され、支持軸138から前方もしくは後方に延出される部材としたが、この構成に限られない。当接アーム142及び押圧アーム144は、第2ローラ支持アーム140を押圧可能な構成であれば良い。
第1バネ152は、第2ローラ支持アーム140のストッパ部146の柱部分148に取り付けられた圧縮バネであるとしたが、この構成に限られない。第1バネ152は、第2ローラ支持アーム140と押圧アーム144とを互いに離間する向きに付勢できる構成であれば良い。
ストッパ部146は、第2ローラ支持アーム140に設けられたT字状の部材であるとしたが、この構成に限られない。ストッパ部は、第2ローラ支持アーム140と押圧アーム144とが一定以上離れ過ぎないように規制する部材であれば良く、例えば、プリンタ部14に上記2つのアーム部材の位置を規制する部材を設けていても良い。
第2ローラ支持アーム140は、その延出端部に第4ピンチローラ134を支持するアーム状の部材であるとしたが、この構成に限られない。第2ローラ支持アーム140は、第4ピンチローラもしくは再搬送ローラ74とを互いに接離可能に支持する構成であれば、第2ローラ支持アーム140がなくても良い。例えば、再搬送ローラ74が移動可能に設けられ、スライドトレイ54の後方位置への移動により、スライドトレイ54に設けられる例えば突起により、再搬送ローラ74が第4ピンチローラ134に圧接されるような構成であっても良い。
また、第4ピンチローラ134が、再搬送ローラ74に対して接離可能に移動するとしたが、再搬送ローラ74が第4ピンチローラ134に対して接離可能に移動する構成としてもよい。
PFモータ88の回転方向が正方向から逆方向へ切り換わってから、ASFモータ78の正方向への回転が開始されるまでの所定時間における、給紙ローラ102がメイントレイ50に収容された記録紙から離間するまでの時間は、メイントレイ50に収容される記録紙が最大枚数である場合を基準としたが、これに限らない。メイントレイ50に収容された記録紙の枚数によって所定時間を変更しても良い。それにより、ASFモータ78の正方向への回転開始までの時間の無駄をさらになくすことができる。