JP2011125867A - レーザ加工方法 - Google Patents

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寛一郎 荻野
Osamu Noda
修 野田
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AMAGASAKI ENGRAVING INDUSTRY CO Ltd
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AMAGASAKI ENGRAVING INDUSTRY CO Ltd
Advanced Materials Processing Institute Kinki Japan AMPI
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Abstract

【課題】熱影響を排除して高精度化・微細化が可能なレーザ加工方法を得る。
【解決手段】成形ロール50に照射ヘッド21から超短パルスレーザを照射して成形ロール50の表面を3次元的に加飾するレーザ加工方法。成形ロール50を所定速度で回転させるとともに、照射ヘッド21をボールねじ15に沿って所定速度で移動させる。超短パルスレーザの出力を一定に保ちつつ所定の深さまで複数回のスキャンを行い、1回のスキャンごとに超短パルスレーザの焦点を深く設定していく。ボールねじ15以外にリニアモータを使用してもよい。
【選択図】図2

Description

本発明は、レーザ加工方法、特に、パルス幅がナノ秒からピコ秒の超短パルスレーザを用いたレーザ加工方法に関する。
乗用車の高級化指向のなかで、内装シートに超リアリティー性の高付加価値を付けることが求められ、壁紙などの家具雑貨業界においても少量多品種の高精細な革絞表皮が求められている。このような要望に応えるには、表面に凹凸形状を加工した成形ロールにビニールレザーシートをプレスすることにより革絞表皮を成形することになる。そこで、毛根や微妙な皺なども表現できる成形ロールが必要となっている。具体的には、シートに対する加工サイズが10μm以下の高精度化・微細化が可能なこと、深さ方向の分解能が10μm以下であることなどである。
この種の成形ロールを得る方法としては、従来、腐食法(エッチング)、刃物彫刻法、レーザ加工法が知られている。エッチング法は化学薬品の腐食作用を応用した表面加工法であるが、マスキングが煩雑であり、加工に長時間を要し、オーバーエッチングの発生によって高精細な加工は無理である、あるいは、廃液処理のコストが増大するなどの問題点を有している。
刃物彫刻法は、ロール母材の表面に刃物で凹凸形状を作製する方法であり、加工サイズは刃物の大きさで決定され、近年では微小な刃物の開発が進んでいるが、100μm程度に留まっている。NC機を用いることによって加工時間の短縮化は可能であるが、加工精度の向上には限界を有している。
レーザ加工法は、通常、波長10.6μmのCO2レーザや波長1.06μmのYAGレーザをレンズで集光してロール母材の表面を加工する方法である。しかし、CO2レーザは集光径が最小で100μmであり、高精細な加工は困難である。また、パルス幅が100ナノ秒程度であるため、熱拡散距離が長く加工エッジ部に熱影響層が発生すること、溶融金属が母材表面に再付着することから高精細微細加工には適用が困難である。一方、YAGレーザは集光径が30μm程度で、パルス幅が数10ナノ秒であることからある程度の微細加工は可能である。しかし、加工エッジ部に溶融金属の再凝固物の付着が顕著であり、微細加工のために熱影響層の発生は無視できない。
そこで、近年では、特許文献1に記載のように、超短パルスレーザを用いて微細加工を施す技術が提案されている。ここでは、超短パルスレーザによる加工深さをパワー制御によっている。しかしながら、パワー制御の場合、パワーの増加に伴って母材に対する前記熱影響が顕著に発生するという問題点を有している。
特開2008−021377号公報
そこで、本発明の目的は、熱影響を排除して高精度化・微細化が可能なレーザ加工方法を提供することにある。
本発明の一形態であるレーザ加工方法は、
被加工物に超短パルスレーザを照射して該被加工物の表面を3次元的に加飾するレーザ加工方法において、
前記超短パルスレーザの出力又はエネルギーを一定に保ちつつ所定の深さまで複数回のスキャンを行い、1回のスキャンごとに前記超短パルスレーザの焦点を深く設定していくこと、
を特徴とする。
前記レーザ加工方法においては、超短パルスレーザを使用するために高精度での微細加工が可能であることは勿論、加工深さをパワー制御によるのではなく、1回のスキャンごとにレーザの焦点を深く設定していくため、パワーの増大に伴う母材に対する熱影響が抑制される。
前記レーザ加工方法においては、所定回数のスキャンを行った後に、超短パルスレーザを出力する照射ヘッドを加工深さ方向に所定量移動させてもよい。より深く加工することが可能である。
また、超短パルスレーザのパルス幅はナノ秒からピコ秒であることが好ましい。加工精度の向上のために、超短パルスレーザのスポット径10μmに対して焦点深度が5〜10μmであること、超短パルスレーザを出力する照射ヘッドの移動精度は少なくとも1μmであること、被加工物の原点精度は少なくとも±1μmであること、が好ましい。
また、レーザ照射ヘッドと同期して移動するレーザ変位計を備えていることが好ましい。レーザ変位計にて被加工物の表面形状を計測してラスタデータの初期表面形状を得、この初期表面形状を平面のラスタデータとして展開し、準備された加工データと合成し、深さ方向の基本ラスタデータとすれば、より精密な加工が可能となる。また、レーザ変位計にて加工跡をスキャンすれば、計測データに基づいた補正加工が可能となり、加工精度が向上する。
本発明によれば、熱影響を排除して高精度で微細な加工が可能である。
本発明に係るレーザ加工方法を原理的に説明するための説明図であり、(A)は平面図、(B)はB−B断面図である。 本発明の第1実施例であるレーザ加工方法を実施するためのレーザ加工装置を示す概略構成図である。 本発明の第2実施例であるレーザ加工方法を実施するためのレーザ加工装置を示し、(A)は正面図、(B)は平面図である。
以下、本発明に係るレーザ加工方法の実施例について添付図面を参照して説明する。
(加工方法の原理的説明、図1参照)
まず、超短パルスレーザによる3次元加工について図1を参照して原理的に説明する。図1(A)は被加工面の加工データを2次元的にマトリクス状に示し、より濃くハッチングが付されている画素ほど加工深さが深くなっている。このような加工データに基づいて、超短パルスレーザの出力又はエネルギーを一定にしてY軸方向にスキャンさせ、かつ、X軸方向に1ピッチずつ移動させ、第1層目から第30層目をレーザ照射によって順次加工する。濃く示されている画素ほど多くの回数のレーザが照射され、深く加工される。
レーザの出力又はエネルギーは一定であるが、1層のスキャンごとにレーザの焦点を深く設定していく。例えば、1回のスキャンごとに深くしていく焦点は1μmである。基本的には、深さ10μm加工するごとにレーザを出力する照射ヘッドをZ軸方向に10μmずつ移動させ、かつ、レーザの焦点を前記同様に1回のスキャンごとに深く設定していき、Z軸方向の移動を30回繰り返すことにより、最大深さ300μmに加工することができる。
画像データは通常ラスター図として準備されるが、それを256階調のグレースケールデータに変換し、30層のベクトルデータに変換する。その際に、レーザ出力の制御をグレースケールデータの濃度に合わせて振り分ける。なお、データの生成には、プラズマが発生しないように2度打ちを防ぐためアルゴリズムを開発することが好ましい。
(第1実施例、図2参照)
本発明の第1実施例を実施するためのレーザ加工装置は、図2に示すように、コラム11,12上に設けた保持部13,14にボールねじ15が螺着されており、該ボールねじ15はその一端に連結されたサーボモータ16によって回転駆動可能である。ボールねじ15には照射ヘッド21を固定した移動体20が螺着されている。また、被加工物である成形ロール50はコラム11,12の間にボールねじ15と同軸上に取り付けられ、サーボモータ25によって減速機26を介して所定の速度で回転駆動される。
即ち、成形ロール50の回転が図1に示すY軸方向の移動に相当し、ボールねじ15の回転による照射ヘッド21の移動がX軸方向の移動に相当する。また、照射ヘッド21は移動体20に対してZ軸方向にも移動可能に設置されている。
超短パルスレーザは、レーザ出力装置31から放射され、ミラー32でZ軸方向に反射された後、照射ヘッド21で必要な焦点に絞られて成形ロール50の表面に向けて照射される。また、ボールねじ15にはモニタリング装置35が取り付けられ、照射ヘッド21と同期してX軸方向に移動する。
サーボモータ16,25はコントローラ40によって制御され、Y軸方向の移動(成形ロール50の回転)、X軸方向の移動(レーザ照射位置の移動)が行われる。コントローラ40に対してはコンピュータ41から前述した30層のベクトルデータが転送され、該データに基づいてサーボモータ16,25の制御値を演算する。また、コントローラ40は照射ヘッド21に対してもZ軸方向の移動を制御する。
コンピュータ41はレーザ出力装置31にもデータを転送し、該データに基づいてレーザの変調(オン、オフ)を制御する。さらに、コンピュータ41はモニタリング装置35からの計測データを入手し、加工が正確に行われたか否かをモニタする。
使用される超短パルスレーザはナノ秒(パルス幅が10-9秒)からピコ秒(パルス幅が10-12秒)である。このような超短パルスレーザを用いて出力又はエネルギーを一定として1回のスキャンごとにレーザの焦点を深く設定していくことで、母材に対する熱影響を排除して高精度で微細な加工が可能になった。
ボールねじ15による照射ヘッド21のX軸方向への移動ピッチは10μmであり、30層に分けたデータに基づいて1層ずつ加工する。1層の加工を終了すると、X軸方向の原点に戻り、次層の加工を開始する。スキャンを一方向にのみ限定することで、減速機26のバックラッシュ誤差を防ぐことができる。
前述のように、1回のスキャンごとに焦点を1μmずつ深く設定していき、深さ10μmピッチで照射ヘッド21をZ軸方向に移動させ、同様に焦点の変化を繰り返し、Z軸方向の移動を30回行うことで、最大300μmの深さを加工する。精度を上げるためには、照射ヘッド21のZ軸方向の移動は1μmの分解能を持つことが好ましい。
超短パルスレーザはスポット径が小さいため、通常であれば焦点深度は5μmまでとなるが長焦点とすること(スポット径10μmに対して10μmの焦点深度を確保すること)が好ましい。長焦点とすることにより、レーザ照射の深さ精度、位置精度が多少ずれても好ましい加工結果を得ることができる。
レーザの放射位置(照射ヘッド21)のX軸方向の移動精度は1μm以下であることが好ましい。この点に関しては、ボールねじ15に代えて、リニアモータをリニアエンコーダを用いて制御する機構を採用することにより、±0.0005mmを確保することができる。同一画素(成形ロールの同一位置)に対して繰り返してレーザを照射するために、成形ロール50のスキャン開始位置の原点精度は±1μm以下であることが好ましい。また、本実施例では、成形ロール50の芯ぶれ、芯ずれを防止するために、成形ロール50の軸を保持するのにコレットチャック24を用いている。
モニタリング装置はレーザ変位計を用いており、該レーザ変位計にて加工跡をスキャンして加工がデータどおりに行われたか否かをコンピュータがモニタしている。モニタリング装置による計測データと画像データの差分値に基づいて補正加工データを作成し、補正加工を施すことで加工精度が向上する。
また、レーザ変位計を用いて予め被加工物である成形ロール50の表面形状を計測してラスタデータの初期表面形状を得、この初期表面形状を平面のラスタデータとして展開し、準備された加工データと合成し、深さ方向の基本ラスタデータとするようにしてもよい。
(第2実施例、図3参照)
本発明の第2実施例を実施するためのレーザ加工装置は、図3に示すように、平板60を加工するためのもので、レーザ出力装置31、照射ヘッド21及びレーザ変位計35を含む移動体20はX軸リニアスケール65に搭載され、このX軸リニアスケール65はY軸リニアスケール66に搭載されている。なお、X軸リニアスケール65やY軸リニアスケール66はこの種の位置制御手段として周知のものである。また、レーザの照射ヘッド21はZ軸方向に前記第1実施例と同様に10μmピッチで移動可能である。
本第2実施例は、被加工物が平板60に変更され、かつ、位置制御手段としてリニアスケール65,66を採用している点で前記第1実施例とは異なっているが、その加工方法や作用効果は基本的には第1実施例と同様である。
(他の実施例)
なお、本発明に係るレーザ加工方法は前記実施例に限定するものではなく、その要旨の範囲内で種々に変更できる。
特に、被加工物としては、前述したロール形状以外に平面形状や曲面形状などであってもよく、また、レーザで加工できる種々の材質を被加工物として選択することができる。また、前記実施例に示した各種数値はあくまで例示であることは勿論である。
以上のように、本発明は、超短パルスレーザを用いた加工方法に有用であり、特に、熱影響を排除して高精度で微細な加工が可能である点で優れている。
15…ボールねじ
16…サーボモータ
21…レーザ照射ヘッド
25…サーボモータ
31…レーザ出力装置
35…モニタリング装置
40…コントローラ
41…コンピュータ
50…成形ロール(被加工物)
60…平板(被加工物)
65…X軸リニアスケール
66…Y軸リニアスケール

Claims (9)

  1. 被加工物に超短パルスレーザを照射して該被加工物の表面を3次元的に加飾するレーザ加工方法において、
    前記超短パルスレーザの出力又はエネルギーを一定に保ちつつ所定の深さまで複数回のスキャンを行い、1回のスキャンごとに前記超短パルスレーザの焦点を深く設定していくこと、
    を特徴とするレーザ加工方法。
  2. 所定回数のスキャンを行った後に、超短パルスレーザを出力する照射ヘッドを加工深さ方向に所定量移動させること、を特徴とする請求項1に記載のレーザ加工方法。
  3. 前記超短パルスレーザのパルス幅はナノ秒からピコ秒であること、を特徴とする請求項1又は請求項2に記載のレーザ加工方法。
  4. 前記超短パルスレーザのスポット径10μmに対して焦点深度が5〜10μmであること、を特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれかに記載のレーザ加工方法。
  5. 前記超短パルスレーザを出力する照射ヘッドの移動精度は少なくとも1μmであること、を特徴とする請求項1ないし請求項4のいずれかに記載のレーザ加工方法。
  6. 前記被加工物の原点精度は少なくとも±1μmであること、を特徴とする請求項1ないし請求項5のいずれかに記載のレーザ加工方法。
  7. 超短パルスレーザを出力する照射ヘッドと同期して移動するレーザ変位計を備えたこと、を特徴とする請求項1ないし請求項6のいずれかに記載のレーザ加工方法。
  8. 前記レーザ変位計にて被加工物の表面形状を計測してラスタデータの初期表面形状を得、この初期表面形状を平面のラスタデータとして展開し、準備された加工データと合成し、深さ方向の基本ラスタデータとすること、を特徴とする請求項7に記載のレーザ加工方法。
  9. 前記レーザ変位計にて加工跡をスキャンすること、を特徴とする請求項7又は請求項8に記載のレーザ加工方法。
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