JP2011125269A - 魚釣用リールのハンドル - Google Patents

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Abstract

【課題】支軸とカラーとの間でがたつきを少なくしてそれらを滑らかに回転することができ、また、軽量化が図れ、しかも、カラーとハンドルノブとの間であらゆる方向のずれが生じにくく耐久性の面においても優れる魚釣用リールのハンドルを提供する。
【解決手段】魚釣用リールのハンドルアーム11の先端に取り付けられた支軸12と、支軸12の外周側に回転自在に取り付けられた筒状でかつ射出成形に作られたカラー13と、カラーの外周に嵌着された弾性材からなるハンドルノブ14と備える。カラーの軸線方向に区分けされた少なくとも一部の外周に、凹部が周方向に間隔をあけて複数形成されている。
【選択図】図2

Description

本発明は魚釣用リールのハンドルに関するものである。
魚釣用リールのハンドルの一例として、例えば、下記特許文献1には、ハンドルアームの先端に支軸(軸)を取りつけ、支軸の外周側にカラーを回転自在に取り付け、カラーの外周にコルク材からなるハンドルノブを嵌着した構造が開示されている。
また、魚つり用リールのハンドルの他の例として、特許文献2には、ハンドルアームの先端に取り付けた支軸の外周側にカラー(筒状部)を回転自在に取り付け、カラーの外周に長手方向に延びる凸部を周方向に複数形成し、この凸部を利用し回り止めをした状態で、カラーの外周にハンドルノブ(把手部)を嵌着した構造が開示されている。
特開平8―242730号公報 特開2008―5793号公報
特許文献1に記載された魚釣用リールのハンドルにあっては、弾性材(コルク材)からなるハンドルノブを用いているので、支軸に対し滑らかな回転を得るため、支軸とハンドルノブとの間にカラーを配設している。この場合、カラーは軽量化のため、通常、樹脂成形品が用いられるが、このカラーは肉厚の厚いものとならざるを得ない。
というのは、支軸は比較的大きな荷重がかかるため、その荷重に耐えうるよう金属材料で作られる。小型軽量化を要求される支軸にあっては、できるだけ小径にしなければならない。これに対応して、カラーの内径は小径となる。一方、カラーの外径は、弾性材からなるハンドルノブとの滑りを抑えるため、ハンドルノブとの接触面積をできるだけ広くとる必要性から、大径とならざるを得ない。このようにカラーは、内径が小さくかつ外径が大きいため、肉厚の厚いものとならざるを得ないのである。
カラーは、肉厚が厚くなると、それ自体が樹脂の射出成形品であるため、成形後に常温まで下がるのに伴い熱収縮が起こり、外径が小さな値へまた内径が大きな値へそれぞれ大きく変化する。また、カラー成形品間の寸法のばらつきも大きくなる。カラーの外径が小さくなると、ハンドルノブとの嵌合が緩くなり、カラーとハンドルノブとの間で相対回転が生じ易くなる。一方、カラーの内径が大きくなると、支軸との間の隙間が大きくなり、円滑な回転が得られにくくなる。
つまり、特許文献1に記載された魚釣用リールのハンドルにあっては、カラーの肉厚が厚くなるのに起因して、ハンドルノブとの嵌合が緩くなるとともに、支軸に対し円滑な回転が得られにくくなるという課題があった。
また、特許文献2に記載された魚釣用リールのハンドルにあっては、ハンドルノブの開口を塞ぐため、開口にキャップ部材を押し当てその先端をカラーにねじ込むことが行われているが、このとき、ハンドルノブがキャップ部材とともに共回りするのを防ぐために、カラーの外周に長手方向に延びる凸部を周方向に複数形成している。この凸部によって、確かにハンドルノブとカラーとの回転方向の相対的なずれを防止できるものの、回転方向以外の相対的なずれを防止することはできない。特に、カラーの軸線方向へはずれ易く、この場合、カラーの外周面に形成した凸部によって、ハンドルノブの内面が軸線方向に切り裂かれることがあり、ハンドルノブの耐久性が低下するという問題があった。
本発明は、このような背景の下になされたもので、支軸とカラーとの間でがたつきを少なくしてそれらを滑らかに回転することができ、また、軽量化が図れ、しかも、カラーとハンドルノブとの間であらゆる方向のずれが生じにくく耐久性の面においても優れる魚釣用リールのハンドルを提供することを目的としている。
前記課題を解決して、このような目的を達成するために、本発明の魚釣用リールのハンドルは、魚釣用リールのハンドルアームの先端に取り付けられた支軸と、該支軸の外周側に回転自在に取り付けられた筒状でかつ射出成形に作られたカラーと、該カラーの外周に嵌着された弾性材からなるハンドルノブを備える魚釣用リールのハンドルにおいて、前記カラーの軸線方向に区分けされた少なくとも一部の外周に、凹部が周方向に間隔をあけて複数形成されていることを特徴とする。
本発明に係る魚釣用リールのハンドルによれば、カラーの外周に凹部を周方向に間隔をあけて複数形成しているので、凹部同士の間の隔壁がリブとして作用することとなり、強度を確保した上でカラーの肉厚を薄くできる。このため、カラーについて軽量化が図れる。また、肉厚を薄くすることで、成形後の熱収縮によるカラーの変形を抑えることができ、もってカラーの内径及び外径の寸法精度を確保できる。カラーの内径寸法の精度が向上することにより、支軸に対するカラーの回転性能が向上する。つまり、支軸とカラーとの間でがたつきが少なくそれらを滑らかに相対回転することができる。また、カラーの外径寸法の精度が向上することにより、ハンドルノブとカラーの嵌合が安定し、両者間にずれ(滑り)が発生しにくくなる。
また、同時に、弾性材からなるハンドルノブの内面のカラーとの接触部分の一部が、カラーの外周に形成した凹部に張り出して食い込むこととなり、この点においても、カラーの回転方向及び軸線方向双方において、ハンドルノブとカラーとの間にずれ(滑り)が発生しにくくなる。
前記カラーには、前記凹部を周方向に間隔をあけて複数形成された凹部群が、前記カラーの軸線方向に複数列形成されていることが好ましい。
この場合、凹部群が複数列形成されることに伴い、カラーのより軽量化が図れる。また、カラーの軸線方向に沿う他の部位についても肉厚を薄くすることができ、もって、成形後の熱収縮によるカラーの変形をより一層抑えることができる。
周方向に隣接する前記凹部同士の間には板状の隔壁がそれぞれ形成され、該板状の隔壁は前記カラーの中心から放射状に延びるように形成されていることが好ましい。
この場合、板状の隔壁を放射状に延びるように形成しているから、ハンドルノブの内周面に対して周方向へバランスよく接触することとなる。このため、ハンドルを回転操作する際に、ハンドルノブからカラー側へ周方向いずれの方向から回転力が付与される場合であっても、カラーに対して略同じ条件下で回転力を付与することができ、この点においてハンドルノブ及びカラーを支軸に対して滑らかに回転することができる。
前記隔壁と該隔壁の外表面の周方向接線とのなす角度が略直角であることが好ましい。
この場合、弾性材からなるハンドルノブの内面の一部が凹部内に張り出して食い込む際に、隔壁の角部はハンドルノブの内面に対して略直角の角度をもって食い込むこととなり、カラーとハンドルノブとの間の時計方向・反時計方向いずれの回転方向のずれも確実に防止できる。
周方向に隣接する前記凹部同士の間には板状の隔壁がそれぞれ形成され、該板状の隔壁は互いに平行に延びて形成されていることが好ましい。
この場合、隔壁を互い平行に延びて形成しているため、このカラーを射出成形により成形する際、2つ割構造の金型を用いることができ、金型の構成が簡単になる。
前記隔壁と該隔壁の外表面の周方向接線とのなす角度が鈍角であることを有することが好ましい。
この場合、弾性材からなるハンドルノブの内面の一部が凹部内に張り出して食い込む際に、隔壁の角部がハンドルノブの内面に対して鋭角をもって食い込むこととなり、カラーとハンドルノブの回転方向のずれをより確実に防止できる。
前記凹部は開口側からみて多角形状であることが好ましい。
この場合、弾性材からなるハンドルノブの内面の一部が凹部内に張り出して食い込む際に、ハンドルノブの内面の一部が角部を有して凹部に食い込むこととなり、カラーとハンドルノブのずれをより確実に防止できる。
以上説明したように、本発明によれば、支軸とカラーとの間でがたつきが少なくそれらを滑らかに回転させることができ、また軽量化が図れ、しかもカラーとハンドルノブとの間であらゆる方向のずれが生じにくいので、耐久性の面においても優れる。
本発明の第1実施形態の魚釣用リールのハンドルを備えるリールを示す側面図である。 本発明の第1実施形態の魚釣用リールのハンドルを備えるリールを示す一部を断面した正面図である。 本発明の第1実施形態の魚釣用リールのハンドルの要部を示す図1のIII―III線に沿う断面図である。 図3のIV―IV線に沿う断面図である。 本発明の第1実施形態の魚釣用リールのハンドルの要部を示す図4のV−V線に沿う断面図である。 図5のVI―VI線に沿う断面図である。 図4の要部の拡大図である。 図6の要部において異なった角度から見た拡大図である。 本発明の第1実施形態の魚釣用リールのハンドルで用いられるカラーを示すもので、(a)は左側面図、(b)は正面図、(c)は右側面図である。 本発明の第1実施形態の魚釣用リールのハンドルの組立手順を示すもので、(a)〜(e)はそれぞれ正面図である。 本発明の第2実施形態の魚釣用リールのハンドルの要部を示す断面図である。 図11のXII―XII 線に沿う断面図である。 本発明の第2実施形態の魚釣用リールのハンドルの要部を示す図12のXIII−XIII 線に沿う断面図である。 図13のXIV―XIV 線に沿う断面図である。 図12の要部の拡大図である。 図14の要部において異なった角度から見た拡大図である。 本発明の第2実施形態の魚釣用リールのハンドルで用いられるカラーを示すもので、(a)は左側面図、(b)は正面図、(c)は右側面図である。 本発明の第3実施形態の魚釣用リールのハンドルの要部を示す断面図である。 図18のXIX―XIX 線に沿う断面図である。 本発明の第3実施形態の魚釣用リールのハンドルの要部を示す図19のXX―XX線に沿う断面図である。 図20のXXI−XXI線に沿う断面図である。 本発明の第3実施形態の魚釣用リールのハンドルで用いられるカラーを示すもので、(a)は左側面図、(b)は正面図、(c)は右側面図である。 本発明の第4実施形態の魚釣用リールのハンドルで用いられるカラーを示すもので、(a)は左側面図、(b)は正面図、(c)は右側面図である。
<第1実施形態>
本発明の魚釣用リールのハンドルの第1実施形態を図1〜図10に基づいて説明する。
図1は本発明の第1実施形態の魚釣用リールのハンドルを備えるリールを示す側面図、図2は本発明の第1実施形態の魚釣用リールのハンドルを備えるリールを示す一部を断面した正面図である。
図1に示すように、本発明の魚釣用リールのハンドルを備える魚釣用スピニングリール1は、リール本体2と、リール本体2の前方に回転可能に配設されたロータ3と、ロータ3の回転運動と同期して前後動可能に配設されたスプール4とを有する。リール本体2は、側方へ延出する脚部5の端部に設けられた竿取付部5aを介して図示せぬ釣竿に取り付けられる。また、リール本体2にはロータ3を巻き取り駆動するための図示せぬ駆動機構が設けられ、この駆動機構には本発明に係る魚釣用リールのハンドル10が組みつけられる。
図3は本発明の第1実施形態の魚釣用リールのハンドルの要部を示す図1のIII―III線に沿う断面図、図4は図3のIV―IV線に沿う断面図、図5は本発明の第1実施形態の魚釣用リールのハンドルの要部を示す図4のV−V線に沿う断面図、図6は図5のVI―VI線に沿う断面図、図7は図4の要部の拡大図、図8は図6の要部において異なった角度から見た拡大図、図9は本発明の第1実施形態の魚釣用リールのハンドルで用いられるカラーを示すもので、(a)は左側面図、(b)は正面図、(c)は右側面図である。
図2、図3にも示すように、ハンドル10は、駆動機構に組みつけられる図示せぬハンドル軸と、ハンドル軸の先端に取り付けられたハンドルアーム11と、ハンドルアーム11の先端に取り付けられた支軸12と、支軸12の外周側に回転自在に取り付けられた筒状でかつ射出成形に作られたカラー13と、カラー13の外周に嵌着された弾性材からなるハンドルノブ14を備える。
ハンドルアーム11は、ハンドル軸に取り付けられる基部側から他側である先端に向けて漸次径が小さくなるように形成されている。ハンドルアーム11の先端には半球部15が設けられ、この半球部15には貫通孔15aが形成されている。
支軸12は、中間部12aと、中間部の先端側に設けられて中間部12aよりも小径とされた先端小径部12bと、中間部12aの基端側に設けられて中間部12aよりも大径とされた頭部12cとを備える。先端小径部12bが前記貫通孔15aに挿通され、半球部15から外方へ突出した先端部にワッシャ16が嵌合され、このワッシャ16が嵌合された箇所よりもさらに先端側をかしめられることにより、前記支軸12がハンドルアーム11に抜け止めされた状態で取り付けられる。
図9にも示すように、カラー13は、樹脂材を射出成形されることにより作られるものであって、全体が円筒状に形成されていて、その一端(図3において右端)にはつば部13aが形成されている。径方向中央に形成された貫通孔17は、図3において左側の小径部17aと、図3において小径部17aの右側に形成されかつ小径部17aよりも大径とされた大径部17bとからなる。小径部17aの先端側は大径の開口部17aaが設けられ、その端面は前記半球部15に対して相対回転可能な滑り面となっている。カラーの小径部17aには前記支軸12の中間部12aが挿通され、また、大径部17bには支軸12の頭部12cが挿通される。また、頭部12cの中間部12a側は、カラーの小径部17aと大径部17bとの間の段部に係合する。
カラー13の外周には、凹部20が周方向に等間隔をあけて複数形成されて凹部群21が形成されている、凹部群21は、カラー13の軸線方向に沿って複数列形成されている。凹部20は、寸法精度が要求される小径部17aに対応する外周部分にのみ形成されている。大径部17bに対応する外周部分には、リング溝23が、カラー13の軸線方向に間隔をあけて2つ形成されている。
凹部20は開口側からみて長方形状に形成されている。凹部20は、この凹部内側壁の一面がカラー13の軸線方向に沿って延びるとともに凹部内側壁の他面がカラー13の軸線方向に直交する方向に沿って延びて形成されている。つまり、長方形状に形成された凹部20は、長辺側及び短辺側がそれぞれカラー13の軸線方向及び半径方向にそれぞれ延びるように、カラー13の外周に位置決めされて形成されている。
加えて、ここでは、凹部20は、ハンドルノブ14の肉厚が厚い部位に対応する部分に対し、ハンドルノブ14の肉厚が薄い部位に対応する部分の方が数多く形成されている。これは、ハンドルノブ14自体が弾性を有するため、肉厚の厚い部位では厚み方向での変形することが荷重を緩和することとなり、ハンドルノブ14とカラー13間の剪断負荷は小さくなる。これに対し、肉厚の薄い部位では、変形量が少ないため、ハンドルノブ14とカラー13間の剪断負荷は大になるためである。
このようにハンドルノブ14の肉厚が薄い部位に対応する部分では、剪断負荷が大になるのに対応して、凹部20の数を多くしてている。
そして、隣接する凹部同士の間には板状の隔壁25が形成されている。これら板状の隔壁25のうち、周方向に隣接する凹部同士の間の隔壁25a、つまり、カラー13の軸線方向に平行となる隔壁25aは、図4及び図6に示すように、互いに平行となって図4において左右双方の外方へそれぞれ延びるように形成され、また、カラー13の軸線方向に隣接する凹部同士の間の隔壁25bは、図5に示すように、互いに平行となってカラー13の半径方向へ延びるように形成されている。
ここで、図8に示すように、周方向に隣接する凹部同士の間の隔壁25aのうち、カラーの直径部分から側方へずれた位置にある隔壁25a、例えば直径部分にある隔壁から側方へ一段ずれた位置にある隔壁25aaでは、この隔壁25aaと隔壁25aの外表面の周方向接線Laとのなす角度θaが鈍角(例えば111°)になっている。
また、図7に示すように、板状の隔壁25(25a、25b)の厚さtaと凹部20の底部の厚さtbが略同じになるように設定されている。具体的には、板状の隔壁25(25a、25b)の厚さtaと凹部20の底部の厚さtbとの比が0.7〜1.3の範囲になるように設定されている。
また、図9においてZa、Zbにそれぞれ示すように、カラー13の両端部の外径は他の部分の外径に比べて若干大きな値に設定されていて、ハンドルノブ14との嵌着強度が高められるようになっている。
ハンドルノブ14は、操作者の手に握り易いように、一端側が小径とされ、そこから他端側に向かうに従い漸次径が大になるように膨らみ、その後さらに他端側に向かうに従い逆に漸次径が小さくなるように形成されている。そして、このハンドルノブ14は、小径とされた一端側がハンドルアーム11側に対向するように、内側の貫通孔14aを介してカラー13の外周に嵌着され、この状態で前記カラー13の大径部17b内にキャップ27が挿入して固定されることにより、カラー13からの抜け止めがなされている。
なお、ハンドルノブ14は、適宜弾性を有する材料、例えばコルク、エラストマ−、発泡材等から作られる。
次、前記構成の魚釣用リールのハンドルの組立方法について説明する。
図10は前記魚釣用リールのハンドル10の組立手順を示すものである。図10(a)に示すように、まず、ハンドルノブ14の貫通孔14a内に、カラー13をつば部13aとは逆側から圧入して固定する。このとき、必要に応じて接着剤を用いてもよい。接着剤を用いる場合には、ハンドルノブ14の内周面あるいはカラー13の外周面に塗布した接着剤が、圧入時にしごかれて、カラー13の外周上をつば13a側へ移動し、リング溝23内に流れ込む。そして、リング溝23内に流れ込んだ接着剤がそのまま固着すると、この固着した部分がアンカーとして機能するので、ハンドルノブ14がカラー13から抜け出る方向へ移動するのを防止できる。
次いで、図10(b)に示すように、ハンドルノブ14内に嵌着したカラー13のつば部13a側から支軸12を挿入し、この支軸12の頭部12cを、カラーの小径部17aと大径部17bとの間の段部に係合させるとともに、支軸の小径部12bの先端をカラー13から突出させる。この突出させた支軸の先端小径部12bを、さらにハンドルアーム11の半球部15の貫通孔15a内に挿入する(図10(c)参照)。そして、半球部の貫通孔15aから突出させた先端小径部12bにワッシャ16を嵌合させ、このワッシャ16を嵌合させた箇所よりもさらに先端側の先端小径部12bをかしめる(図10(d)参照)。これにより、支軸12をハンドルアーム11に対し抜け止めした状態で取り付ける。
次に、図10(d)に示すように、キャップ27をカラー13の貫通孔の大径部17b内に圧入する。これにより、カラー13の貫通孔17を塞ぐとともに、カラー13の端部を拡径するように変形させてハンドルノブ14との嵌着強度を高める(図10(e)参照)。
なお、キャップ27をカラーの貫通孔17内へ固着させる方法としては、圧入の他、ネジ式、接着剤あるいは、圧入と接着剤を組み合わせたものを用いても良い。
次に、前記構成の魚釣用リールのハンドルの作用について説明する。
操作者が図示せぬハンドル軸を中心にハンドルノブ14を回転させると、ハンドルノブ14とともにカラー13が回転する。このとき、カラー13は支軸12の外周を滑りながら回転する。ハンドルノブ14の回転が、支軸12を介してハンドルアーム11に伝わり、このハンドルアームからさらに図示せぬハンドル軸に伝わる。これにより、リール本体2内の図示せぬ駆動機構を回転作動させることができる。
ここで、前記構成の魚釣用リールのハンドル10によれば、カラー13の外周に凹部20を周方向に間隔をあけて複数形成しているので、凹部同士の間の隔壁25がリブとして作用することとなり、強度を確保した上でカラー13の肉厚を薄くできる。このため、カラー13について軽量化が図れる。また、肉厚を薄くすることで、成形後の熱収縮によるカラー13の変形を抑えることができ、もってカラー13の内径及び外径の寸法精度を確保できる。そして、カラー13の内径寸法の精度が向上することにより、支軸12に対するカラー13の回転性能が向上する。つまり、支軸12とカラー13との間でがたつきが少なくそれらを滑らかに相対回転することができる。また、カラー13の外径寸法の精度が向上することにより、ハンドルノブ14とカラー13の嵌合が安定し、両者間にずれ(滑り)が発生しにくくなる。
また同時に、弾性材からなるハンドルノブ14の内面のカラー13との接触部分の一部が、カラー13の外周に形成した凹部20に張り出して食い込むこととなり、この点においても、カラー13の回転方向及び軸線方向双方において、ハンドルノブ14とカラー13との間にずれ(滑り)が発生しにくくなる。
また、カラー13には、凹部20を周方向に間隔をあけて複数形成された凹部群21が、カラー13の軸線方向に複数列形成されているため、カラー13のより軽量化が図れる。また、カラーにおいては凹部群21が形成された広範囲に亘る部分で肉厚を薄くすることができ、もって、成形後の熱収縮によるカラーの変形をより一層抑えることができる。
また、カラー13は、周方向に隣接する凹部同士の間に形成される板状の隔壁25aが互いに平行に延びて形成されているため、このカラー13を射出成形により成形する際には、2つ割構造の金型を用いることができ、3つ割り以上の複雑な金型を用いる場合に比べて、金型の構成が簡単になる。
また、前記カラー13においては、周方向に隣接する凹部同士の間に形成される板状の隔壁25aとこの隔壁25aの外表面の周方向接線Laとのなす角度θaが鈍角となるので、弾性材からなるハンドルノブ14の内面の一部が凹部20内に張り出して食い込む際に、図8に示すように、隔壁の角部Xがハンドルノブ14の内面に対して鋭角θbをもって食い込むこととなり、カラー13とハンドルノブ14の回転方向のずれをより確実に防止できる。
加えて、この隔壁の角部Xがハンドルノブ14の内面に対して鋭角θbをもって食い込む現象は、カラー13の中心を境に左右対称に見られるので、図8において時計方向及び反時計方向のいずれの回転方向に対してもカラー13とハンドルノブ14のずれを防止できる。
また、凹部20は開口側からみて4角形に形成され、しかも、凹部20は、この凹部の内側壁の一面がカラー13の軸線方向に沿って延びるとともに内側壁の他面がカラー13の軸線方向に直交する方向に沿って延びて形成されており、このため、カラー13とハンドルノブ14との接触部分において、カラー13の軸線方向並びに周方向の相対的なずれ力が、凹部の内側壁の一面あるいは他面にそれぞれ直交して作用することとなり、結果的にハンドルノブ14に対するカラー13の軸線方向並びに周方向のずれを確実に防止できる。
また、隣接する凹部20同士の間には板状の隔壁25がそれぞれ形成され、これら板状の隔壁25の厚さtaと凹部の底部の厚さtbの比を0.7〜1.3の範囲に設定しており、このように板状の隔壁25の厚さtaと凹部の底部の厚さtbとを略同じ値に設定しているので、成形後の熱収縮のときにカラーの周方向及び軸線方向への変形量がほぼ均等になり、変形後の寸法管理が容易になる。
<第2実施形態>
本発明の魚釣用リールのハンドルの第2実施形態を図11〜図17に基づいて説明する。なお、説明の便宜上、第1実施形態で説明した構成要素と同一の構成要素については同一符号を付してその説明を省略する。これは、以下の第3実施形態および第4実施形態についても同様である。
図11は魚釣用リールのハンドルの要部を示す断面図、図12は図11のXII―XII 線に沿う断面図、図13は魚釣用リールのハンドルの要部を示す図12のXIII−XIII 線に沿う断面図、図14は図13のXIV―XIV 線に沿う断面図、図15は図12の要部の拡大図、図16は図14の要部において異なった角度から見た拡大図、図17は魚釣用リールのハンドルで用いられるカラーを示すもので、(a)は左側面図、(b)は正面図、(c)は右側面図である。
この第2実施形態が前述の第1実施形態と異なるところは、カラー30の外周に形成する凹部40の形状である。
すなわち、この第2実施形態においては、カラー30の外周に、凹部40が周方向に等間隔をあけて複数形成されて凹部群41が形成され、凹部群41がカラー30の軸線方向に沿って複数列形成されている。また、凹部40は開口側からみて長方形状に形成されている。さらに凹部40は、この凹部の内側壁の一面がカラー30の軸線方向に沿って延びるとともに凹部の内側壁の他面がカラー30の軸線方向に直交する方向に沿って延びて形成されている。これらの点は前述した第1実施形態と同様である。
この第2実施形態では、カラー30の外周に設けられる凹部40が、開口をカラーの中心軸線から放射方向を向くように形成されている。このため、隣接する凹部40同士の間には板状の隔壁42が形成されており、これら板状の隔壁42のうち、周方向に隣接する凹部同士の間の隔壁42a、つまり、カラー30の軸線方向に平行となる隔壁42aは、図12及び図14に示すように、カラーの中心軸線から放射方向を向くように形成されている。また、カラー30の軸線方向に隣接する凹部同士の間の隔壁42bは、図13に示すように、互いに平行となってカラーの半径方向へ延びるように形成されている。
ここで、図16に示すように、周方向に隣接する凹部同士の間の隔壁42aは、この隔壁40aと隔壁40aの外表面の周方向接線Lbとのなす角度θcが略直角になっている。ここで言う略直角とは、隔壁42aがカラー30の中心から放射状に配置される結果、前述のように隔壁40aと隔壁40aの外表面の周方向接線Lbとのなす角度θcとして表れる角度をいい、具体的には、製作誤差や隔壁40aの厚みも考慮して90°±15°の範囲であることをいう。ちなみに、図16に示す例では角度θcは84°に設定されている。
また、凹部40の深さは、支軸12に外嵌される部分の深さが深く、支軸12に外嵌されない部分の深さが浅くなっている(図13参照)。これは、支軸12に外嵌される部分は内径の寸法精度が高く要求されるため、凹部40の底部の厚さtbを隔壁の厚さtaと同程度に設定したためであり、支軸12に外嵌されない部分はさほど高い寸法精度を要求されないため、強度を優先したためである。
なお、図15に示すように、カラー30の支軸12に外嵌される部分においては、板状の隔壁42(42a、42b)の厚さtaと凹部40の底部の厚さtbが略同じになるよう、それらの比が0.7〜1.3の範囲になるように設定されている点は第1実施形態と同様である。
この第2実施形態の魚釣用リールのハンドルによれば、カラー30の外周において、周方向に隣接する凹部40同士の間に形成される板状の隔壁42aが、カラー30の中心から放射状に延びるように形成されているから、ハンドルノブ14の内周面に対して周方向へバランスよく接触することとなる。このため、ハンドルを回転操作する際に、ハンドルノブ14からカラー30側へ周方向いずれの方向から回転力が付与される場合であっても、カラー30に対して略同じ条件下で回転力を付与することができ、この点でハンドルノブ14及びカラー30を支軸12に対して滑らかに回転することができる。
また、周方向に隣接する凹部40同士の間に形成される板状の隔壁42aとこの隔壁の外表面の周方向接線Lbとのなす角度θcが略直角となるように設定しており、この場合、図16に示すように、弾性材からなるハンドルノブ14の内面の一部が凹部40内に張り出して食い込む際に、隔壁42aの角部はハンドルノブの内面に対して略直角に食い込むこととなり、カラー30とハンドルノブ14との間の時計方向・反時計方向いずれの回転方向のずれも確実に防止できる。
<第3実施形態>
本発明の魚釣用リールのハンドルの第3実施形態を図18〜図12に基づいて説明する。図18は魚釣用リールのハンドルの要部を示す断面図、図19は図18のXIX―XIX 線に沿う断面図、図20は魚釣用リールのハンドルの要部を示す図19のXX―XX線に沿う断面図、21は図20のXXI−XXI線に沿う断面図、図22は魚釣用リールのハンドルで用いられるカラーを示すもので、(a)は左側面図、(b)は正面図、(c)は右側面図である。
この第3実施形態が前述の第1実施形態と異なるところは、カラー50の外周に形成する凹部60の形状である。
すなわち、この第3実施形態においては、カラー50の外周に形成される凹部60の形状は、開口側かみて円形状とされている。なお、この実施形態においても、凹部60が周方向に等間隔をあけて複数形成されることにより凹部群61が形成され、この凹部群61がカラー50の軸線方向に沿って複数列形成されている点は、前述した第1実施形態と同様である。
この第2実施形態では、カラー50の外周に設けられる凹部60が、開口をカラー50の中心軸線から放射方向を向くように形成されている。このため、隣接する凹部60同士の間には隔壁62が形成されており、これら隔壁62のうち、周方向に隣接する凹部同士の間の隔壁62a、つまり、カラー50の軸線方向に平行となる隔壁62aは、図19及び図21に示すように、カラーの中心軸線から放射方向を向くように形成されている。また、カラー50の軸線方向に隣接する凹部60同士の間の隔壁62bは、図20に示すように、互いに平行となってカラー50の半径方向へ延びるように形成されている。
また、凹部60の深さは、支軸12に外嵌される部分の深さが深く、支軸12に外嵌されない部分の深さが浅くなっている。この点は前述の第2実施形態と同様である。
この第3実施形態の魚釣用リールのハンドルによれば、カラー50の外周に形成される凹部60の形状が開口側からみて円形状とされており、この場合、凹部を多角形に形成するのに比べ、カラー50を射出成形にて加工した後、金型から離脱させる際に引っかかりが少なくなるため、良好な離型性が確保できる。
なお、ここでは、カラー50の外周に形成される凹部60の形状を開口側からみて円形状としたが、これに限られることなく、開口側からみて楕円状であっても、あるいは卵状の略楕円状であっても良い。
<第4実施形態>
本発明の魚釣用リールのハンドルの第4実施形態を図23に基づいて説明する。図23は魚釣用リールのハンドルで用いられるカラーを示すもので、(a)は左側面図、(b)は正面図、(c)は右側面図である。
この第4実施形態が前述の第3実施形態と異なるところは、カラー70の外周に形成する凹部60の形状である。
すなわち、この第4実施形態においては、カラー70の外周に形成される凹部80の形状は、開口側かみて正6角形状とされ、かつ、凹部80同士が密となるようにハニカム状とされている。
なお、この実施形態では、凹部80が周方向に等間隔をあけて複数形成されることにより凹部群81が形成され、この凹部群81がカラー70の軸線方向に沿って複数列形成されている点、並びに、支軸12に外嵌される部分の凹部60の深さが深く、支軸12に外嵌されない部分の凹部60の深さが浅くなっているが、これらの点は、前述した第3実施形態と同様である。
この第4実施形態の魚釣用リールのハンドルによれば、カラー70の外周に形成される凹部80の形状が開口側からみて正6角形状とされており、この場合、弾性材からなるハンドルノブ14の内面の一部が凹部80内に張り出して食い込む際に、ハンドルノブ14の内面の一部が角部を有して凹部80に食い込むこととなり、カラー70とハンドルノブ14のずれをより確実に防止できる。
なお、ここでは、カラー70の外周に形成される凹部80の形状を開口側からみて正6角形状としたが、これに限られることなく、開口側からみてカラー70の軸線方向に長い横長の6角形状であってもよく、さらに6角形以外の多角形状であっても良い。
以上、本発明の実施形態について図面を参照して詳述したが、本発明は、この実施形態に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で適宜設計変更可能である。
例えば、前述の実施形態では、スピニングリールを例に挙げて、本発明に係る魚釣用リールのハンドルを説明したが、これに限られることなく、両軸リールであっても、本発明に係る魚釣用リールのハンドルは適用可能である。
また、前述した実施形態では、カラーの外周に、凹部を周方向に等間隔をあけて複数形成してなる凹部群を多数列形成しているが、これに限られることなく、凹部群は1列であってもよい。
また、前述した実施形態では、カラーの外周に凹部を周方向に等間隔をあけて配置しているが、これに限られることなく、互いの間隔を変えて配置しても良い。
また、前述の実施形態では、カラーとして樹脂材の射出成形品からなるものを例に挙げて説明したが、これに限られることなく、カラーは、アルミニウム等の金属材の射出成形品(鋳造成形品)により作成してもよい。
1 魚釣用スピニングリール、
2 リール本体、
5 脚部
10 ハンドル、
11 ハンドルアーム、
12 支軸、
13、30、50,70 カラー、
14 ハンドルノブ
17 貫通孔
20、40,60,80 凹部
21、41,61、81 凹部群
23 リング溝
25、25a、25b、42、42a、42b、62、62a、62b、82、82a、82b 隔壁

Claims (7)

  1. 魚釣用リールのハンドルアームの先端に取り付けられた支軸と、該支軸の外周側に回転自在に取り付けられた筒状でかつ射出成形に作られたカラーと、該カラーの外周に嵌着された弾性材からなるハンドルノブを備える魚釣用リールのハンドルにおいて、
    前記カラーの軸線方向に区分けされた少なくとも一部の外周に、凹部が周方向に間隔をあけて複数形成されていることを特徴とする魚釣用リールのハンドル。
  2. 前記カラーには、前記凹部を周方向に間隔をあけて複数形成された凹部群が、前記カラーの軸線方向に複数列形成されていることを特徴とする請求項1に記載の魚釣用リールのハンドル。
  3. 周方向に隣接する前記凹部同士の間には板状の隔壁がそれぞれ形成され、
    該板状の隔壁は前記カラーの中心から放射状に延びるように形成されていることを特徴とする請求項1または2に記載の魚釣用リールのハンドル。
  4. 前記隔壁と該隔壁の外表面の周方向接線とのなす角度が略直角であることを特徴とする請求項3に記載の魚釣用リールのハンドル。
  5. 周方向に隣接する前記凹部同士の間には板状の隔壁がそれぞれ形成され、
    該板状の隔壁は互いに平行に延びて形成されていることを特徴とする請求項1または2に記載の魚釣用リールのハンドル。
  6. 前記隔壁と該隔壁の外表面の周方向接線とのなす角度が鈍角であることを有することを特徴とする請求項5に記載の魚釣用リールのハンドル。
  7. 前記凹部は開口側からみて多角形状であることを特徴とする請求項1または2に記載の魚釣用リールのハンドル。
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