JP2011124289A - 金属酸化物半導体粒子分散組成物 - Google Patents

金属酸化物半導体粒子分散組成物 Download PDF

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Abstract

【課題】金属酸化物半導体粒子の分散性を改善することによって所望の性能を有する金属酸化物半導体薄膜を安定して形成することが可能な金属酸化物半導体粒子分散組成物を提供する。更に、該金属酸化物半導体粒子分散組成物を用いた薄膜トランジスタを提供する。
【解決手段】金属酸化物半導体粒子、溶媒及び分散剤を含有する金属酸化物半導体粒子分散組成物であって、前記金属酸化物半導体粒子は、Zn、Ga、In、Sn、Al、Sb、Cd及びFeからなる群より選択される少なくとも1種の金属の酸化物を含有し、かつ、平均粒子径が1〜100nmであり、前記分散剤は、アニオン性極性基を有する有機化合物である金属酸化物半導体粒子分散組成物。
【選択図】なし

Description

本発明は、金属酸化物半導体粒子の分散性を改善することによって所望の性能を有する金属酸化物半導体薄膜を安定して形成することが可能な金属酸化物半導体粒子分散組成物に関する。更に、本発明は、該金属酸化物半導体粒子分散組成物を用いた薄膜トランジスタに関する。
従来、金属酸化物の微細化技術の進歩とともに多くの金属酸化物が製造され、透明電極、帯電防止剤等の種々の用途に用いられている。例えば、酸化スズにインジウムをドープしたITOは、プラズマディスプレイパネル、液晶ディスプレイパネル等を製造するための透明電極材料として注目されている。
従来、これらの金属酸化物を用いて金属酸化物半導体薄膜を形成する方法としては、例えば、特許文献1に記載のように、真空蒸着やスパッタリングが用いられていた。より具体的には、透明電極を形成する場合、真空蒸着により金属酸化物を基材表面へ付着させ、光反応性材料を用いて現像したり、マスキングを施したりすることによって、電極パターンを形成する方法が用いられていた。
しかし、真空蒸着等の物理的方法は、真空化に要する時間がかかり、また、装置を厳密に制御する必要があった。また、特殊な加熱装置やイオン発生加速装置等が必要となり、大型の製品を作製する場合には、複雑で大型の製造装置を要していた。従って、大規模な製造施設を要することなく、量産性に優れた生産効率の良い代替方法が望まれていた。
そこで、量産性に優れた代替方法として、例えば、特許文献2には、平均粒子サイズが50nm以下の金属酸化物ナノ粒子を含有するナノ粒子分散液を用いて、半導体薄膜層を形成する方法が開示されている。
この方法は、低コストで簡便に半導体薄膜層を製造することができるが、金属酸化物ナノ粒子は二次凝集を起こしやすく非常に不安定で、均一な膜厚を有し、所望の性能を有する半導体薄膜層を安定して得ることが難しいという問題があった。
国際公開2005/088726号パンフレット 特開2007−42690号公報
本発明は、金属酸化物半導体粒子の分散性を改善することによって所望の性能を有する金属酸化物半導体薄膜を安定して形成することが可能な金属酸化物半導体粒子分散組成物を提供することを目的とする。更に、本発明は、該金属酸化物半導体粒子分散組成物を用いた薄膜トランジスタを提供することを目的とする。
本発明は、金属酸化物半導体粒子、溶媒及び分散剤を含有する金属酸化物半導体粒子分散組成物であって、上記金属酸化物半導体粒子は、Zn、Ga、In、Sn、Al、Sb、Cd及びFeからなる群より選択される少なくとも1種の金属の酸化物を含有し、かつ、平均粒子径が1〜100nmであり、上記分散剤は、アニオン性極性基を有する有機金属化合物である金属酸化物半導体粒子分散組成物である。
以下に本発明を詳述する。
本発明者らは、鋭意検討した結果、所定の金属を含有し、かつ、平均粒子径が1〜100nmの金属酸化物半導体粒子にアニオン性極性基を有する有機金属化合物を加えて分散させた金属酸化物半導体粒子分散組成物は、金属酸化物半導体粒子が高い分散性を有することによって、真空蒸着法等の物理的方法以外の方法にも応用することができ、更に、真空蒸着等による場合と同等の平滑性、緻密性等を有する金属酸化物半導体薄膜を簡便に製造できることを見出し、本発明を完成させるに至った。
本発明の金属酸化物半導体粒子分散組成物は、金属酸化物半導体粒子を含有する。
上記金属酸化物半導体粒子は、平均粒子径が1〜100nmである。平均粒子径が1nm未満の粒子は製造が困難であり、平均粒子径が100nmを超えると、得られる金属酸化物半導体粒子分散組成物を用いて印刷しても、所望の膜厚、平滑性等を有する金属酸化物半導体薄膜を製造することが難しい。上記平均粒子径の好ましい下限が1nm、好ましい上限が50nmである。
本発明において、金属酸化物半導体粒子は、Zn、Ga、In、Sn、Al、Sb、Cd及びFeからなる群より選択される少なくとも1種の金属の酸化物を含有するものである。具体的には例えば、酸化亜鉛、酸化ガリウム、酸化インジウム、酸化スズ、酸化アルミニウム、酸化鉄及びこれらに他の金属をドープした金属酸化物からなる群より選択される少なくとも1種を含有することが好ましい。特に、酸化インジウム−酸化ガリウム−酸化亜鉛(IGZO)、酸化インジウム−酸化亜鉛(IZO)、酸化亜鉛−酸化スズ(ZTO)が好ましい。
また、酸化インジウム−酸化スズ−酸化亜鉛(ITZO)、酸化インジウム−酸化スズ(ITO)、酸化ガリウム−酸化亜鉛(GZO)等を用いてもよい。
上記金属酸化物半導体粒子は、結晶性粒子であることが好ましい。上記結晶性粒子とは、アモルファス粒子とは異なり、粒子を構成する金属が規則性を有していることを意味する。上記結晶性粒子である場合の構造は特に限定されず、例えば、単結晶、複数の結晶組成が相分離した混晶、相分離の観察されない混合結晶の何れでもよい。
本発明の金属酸化物半導体粒子分散組成物において、上記金属酸化物半導体粒子の含有量の好ましい下限は0.1重量%、好ましい上限は70重量%である。上記金属酸化物半導体粒子の含有量が0.1重量%未満であると、得られる金属酸化物半導体粒子分散組成物を用いて製膜した場合に、均一な金属酸化物半導体薄膜を製造できないことがある。上記金属酸化物半導体粒子の含有量が70重量%を超えると、得られる金属酸化物半導体粒子分散組成物において、上記金属酸化物半導体粒子の分散安定性が充分に得られないことがある。
上記金属酸化物半導体粒子を製造する方法としては特に限定されないが、噴霧火炎熱分解法を用いて製造することが好ましい。
上記噴霧火炎熱分解法とは、原料溶液をノズルや超音波によって噴霧して微小液滴とし、火炎による高熱によって該微小液滴の溶媒を蒸発させて熱分解により目的の粒子粉末を得る方法である。
具体的には例えば、Zn、Ga、In、Sn、Al、Sb、Cd及びFeからなる群より選択される少なくとも1種の金属の化合物を含有する溶液又は懸濁液を微細な液滴とした後、上記液滴を500℃以上の高温で加熱して、金属化合物を熱分解することにより、1〜100nmの平均粒子径を有し、極めて真球に近い形状で、凝集のない粒度の揃った金属酸化物半導体粒子を得ることができる。なお、生成される金属酸化物半導体粒子の粒子径は噴霧条件等のプロセス制御により容易にコントロールできる。加熱温度は、組成にもよるが、800℃以上が好ましい。
本発明では、上記金属酸化物半導体粒子に加えて、Zn、Ga、In、Sn、Al、Sb、Cd及びFeからなる群より選択される少なくとも1種の金属の塩を加えてもよく、Zn、Ga、In、Sn、Al、Sb、Cd及びFeからなる群より選択される少なくとも1種の金属の有機金属化合物を加えてもよい。
上記金属の塩や有機金属化合物を加えることで、成膜後の粒界の制御が可能となる。
また、更に、Zn、Ga、In、Sn、Al、Sb、Cd及びFeからなる群より選択される少なくとも1種の金属からなる粒子を加えてもよい。
上記金属の塩としては、例えば、上述した金属の塩化物、オキシ塩化物、硝酸塩、炭酸塩、硫酸塩、アンモニウム塩、ホウ酸塩、ケイ酸塩、リン酸塩、水酸化物、過酸化物等が挙げられる。
また、上記金属の有機金属化合物としては、例えば、上述した金属のカルボン酸、ジカルボン酸、オリゴカルボン酸、ポリカルボン酸の塩化合物、上述した金属の酢酸、ギ酸、プロピオン酸、オクチル酸、ステアリン酸、シュウ酸、クエン酸、乳酸等の塩化合物、メチル基、エチル基等の置換基を有するアルキル金属、アセチルアセトネート、テトラメチルアセトアセトネート、エチレンジアミン、ビピリジン等が配位結合した金属錯体等が挙げられる。
本発明の金属酸化物半導体粒子分散組成物は、溶媒を含有する。
上記溶媒は水であってもよく、有機溶剤であってもよいが、有機溶剤が好ましい。
上記有機溶剤としては、例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロピルアルコール、ブタノール、ヘキサノール、ヘプタノール、オクタノール、デカノール、シクロヘキサノール、テルピネオール等のアルコール類、エチレングリコール、プロピレングリコール等のグリコール類、アセトン、エチルケトン、メチルエチルケトン、ジエチルケトン等のケトン類、酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸ベンジル等のエステル類、メトキシエタノール、エトキシエタノール等のエーテルアルコール類、ジオキサン、テトラヒドロフラン等のエーテル類、N,N−ジメチルホルムアミド等の酸アミド類、ベンゼン、トルエン、キシレン、トリメチルベンゼン、ドデシルベンゼン等の芳香族炭化水素類、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、ノナン、デカン、ウンデカン、ドデカン、トリデカン、テトラデカン、ペンタデカン、ヘキサデカン、オクタデカン、ノナデカン、エイコサン、トリメチルペンタン等の長鎖アルカン、シクロヘキサン、シクロヘプタン、シクロオクタン、デカリン等の環状アルカン等が挙げられる。
本発明の金属酸化物半導体粒子分散組成物は、アニオン性極性基を有する有機化合物を含有する。上記アニオン性極性基を有する有機化合物を含有することで、金属酸化物半導体粒子の分散性を大幅に改善することができる。
上記アニオン性極性基としては、カルボキシル基、リン酸基、水酸基、アミド基等の官能基のほか、上記官能基のエステルや塩等も用いることができる。
上記アニオン性極性基を有する有機化合物としては、具体的には例えば、オクチル酸メチル、ステアリン酸、ラウリン酸、オレイン酸、リノール酸、リノレイン酸、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ジペンタエリスリトールペンタアクリレート、EO(エチレンオキサイド)変性リン酸トリアクリレート、ECH変性グリセロールトリアクリレート等が挙げられる。また、上記アニオン性極性基を有する有機化合物は高分子であってもよ
い。
また、上記アニオン性極性基を有する有機化合物として、アニオン性極性基を有する有機金属化合物を用いることができる。上記アニオン性極性基を有する有機金属化合物としては、シランカップリング剤、チタネートカップリング剤等が挙げられる。
上記シランカップリング剤としては、例えば、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)3−アミノプロピルメチルジエトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリス(2−メトキシエトキシ)シラン、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン等が挙げられる。
上記チタネートカップリング剤としては、例えば、味の素社より市販されている、製品名プレンアクトKR−TTS、KR−46B、KR−55、KR−41B、KR−38S、KR−138S、KR−238S、338X、KR−44、KR−9SA、KR−ET等が挙げられ、更に、テトラメトキシチタン、テトラエトキシチタン、テトライソプロポキシチタン、テトラn−プロポキシチタン、テトラn−ブトキシチタン、テトラsec−ブトキシチタン、テトラtert−ブトキシチタン等の金属アルコキシドも使用することができる。
上記アニオン性極性基を有する有機化合物としては、特に有機カルボン酸、カップリング剤を用いることが好ましい。また、カップリング剤、及び、ステアリン酸、ラウリン酸、オレイン酸、リノール酸、リノレイン酸の中から1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いることが好ましく、特に優れた分散性が得られる。
本発明では、金属酸化物半導体粒子の表面の少なくとも一部が、上記アニオン性極性基を有する有機化合物により被覆されていることが好ましい。これにより、金属酸化物半導体粒子の溶媒中での分散性が更に高められる。
上記アニオン性極性基を有する有機化合物により被覆する方法としては、例えば、金属酸化物半導体粒子を上記アニオン性極性基を有する有機化合物で表面処理する方法等が挙げられる。上記アニオン性極性基は金属酸化物半導体粒子との親和性が大きいので、好適に金属酸化物半導体粒子を被覆することができる。
上記金属酸化物半導体粒子を上記アニオン性極性基を有する有機化合物で表面処理する方法としては、例えば、上記アニオン性極性基を有する有機化合物を有機溶剤中に溶解させておき、この溶液中に、金属酸化物半導体粒子を分散させた後に有機溶剤を完全に蒸発除去する方法等を用いることができる。
本発明の金属酸化物半導体粒子分散組成物において、上記アニオン性極性基を有する有機化合物の含有量の好ましい下限は金属酸化物半導体粒子重量に対して0.01重量%、好ましい上限は30重量%である。上記アニオン性極性基を有する有機化合物の含有量が上記範囲を外れると、上記金属酸化物半導体粒子を良好に分散することができないことがある。上記アニオン性極性基を有する有機化合物の含有量のより好ましい下限は金属酸化物半導体粒子重量に対して1重量%、より好ましい上限は20重量%である。
本発明の金属酸化物半導体粒子分散組成物は、更にバインダー樹脂を含有することが好ましい。上記バインダー樹脂を添加することにより、グラビア印刷等に更に適したものとすることができる。
上記バインダー樹脂は特に限定されないが、例えば、セルロース樹脂、(メタ)アクリル樹脂、ポリエーテル樹脂、ポリアセタール樹脂、ポリビニルアセタール樹脂が好ましい。なかでも、セルロース樹脂が特に好ましい。
上記セルロース樹脂は特に限定されないが、例えば、エチルセルロース、カルボキシメチルセルロースが好ましい。
上記ポリエーテル樹脂は特に限定されず、例えば、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール等が挙げられる。
上記ポリアセタール樹脂は特に限定されないが、上記ポリエーテル樹脂と同様にエチレン、プロピレン、テトラメチレン等のユニットを有するポリアセタール樹脂が好ましい。
上記(メタ)アクリル樹脂として、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、tert−ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、n−ステアリル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリルモノマーの単独重合体、及び、これらの(メタ)アクリルモノマーとポリオキシアルキレン構造を有する(メタ)アクリルモノマーとの共重合体が挙げられる。上記ポリオキシアルキレン構造として、例えば、ポリプロピレンオキシド、ポリメチルエチレンオキシド、ポリエチルエチレンオキシド、ポリトリメチレンオキシド、ポリテトラメチレンオキシドが挙げられる。なお、本明細書中、(メタ)アクリレートとは、アクリレート及び/又はメタクリレートを意味する。
上記ポリビニルアセタール樹脂は、アルデヒドによりポリビニルアルコールをアセタール化することで得られるポリビニルアセタール樹脂であることが好ましい。
上記ポリビニルアルコールは、蟻酸ビニル、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、ピバリン酸ビニル等のビニルエステルの重合体をケン化することで得られるポリビニルアルコールであることが好ましい。上記ビニルエステルは、経済的にみると、酢酸ビニルであることがより好ましい。
本発明の金属酸化物半導体粒子分散組成物において、上記バインダー樹脂の含有量の好ましい下限は0.1重量%、好ましい上限は20重量%である。上記バインダー樹脂の含有量が0.1重量%未満であると、バインダー樹脂の添加による増粘効果が充分に得られないことがある。上記バインダー樹脂の含有量が20重量%を超えると、成膜後の性能が低下することがある。
本発明の金属酸化物半導体粒子分散組成物を製造する方法は特に限定されず、例えば、金属酸化物半導体粒子、溶媒及び分散剤に、必要に応じて、バインダー樹脂及び種々の添加剤を添加し、3本ロールミル等を用いて更に分散処理を行う方法が挙げられる。また、上記金属酸化物半導体粒子、溶媒及び分散剤を、ビーズミル、ボールミル、ブレンダーミル、3本ロールミル等の混合機を用いて混合した後、更に上記バインダー樹脂を添加して上記混合機により混合してもよい。
本発明の金属酸化物半導体粒子分散組成物を所定の印刷工程を用いて印刷した後,乾燥等の工程を行うことで、金属酸化物半導体薄膜を形成することができる。このような金属酸化物半導体薄膜を用いた薄膜トランジスタもまた本発明の1つである。
本発明の金属酸化物半導体粒子分散組成物の用途としては特に限定されないが、例えば、プラズマディスプレイパネル、液晶ディスプレイパネル、太陽電池等の透明電極として形成される金属酸化物半導体薄膜を製造するための材料として用いることができる。
本発明の金属酸化物半導体粒子分散組成物を印刷(塗工)する方法としては、例えば、スピンコート法、スプレー法、浸漬法、ロールコート法、スクリーン印刷法、コンタクトプリント法、スリットコート法、インクジェット法(インクジェット印刷法)等が挙げられる。上記印刷は、所望の膜厚を得ることができれば、一度塗りでもよく、重ね塗りでもよい。
本発明の金属酸化物半導体粒子分散組成物を基板上に塗工した後、溶媒乾燥又は焼結することで金属酸化物半導体薄膜を形成することができる。
上記溶媒乾燥又は焼結する方法としては、例えば、赤外線加熱、マイクロ波加熱、高周波加熱など既知の活性光線やエネルギー線による処理が挙げられる。また、必要に応じて、不活性雰囲気で上記処理を行ってもよい。
本発明によれば、金属酸化物半導体粒子の分散性を改善することによって所望の性能を有する金属酸化物半導体薄膜を安定して形成することが可能な金属酸化物半導体粒子分散組成物を提供することができる。更に、本発明によれば、該金属酸化物半導体粒子分散組成物を用いた薄膜トランジスタを提供することができる。
(TFT評価)で作製するTFTを模式的に示す断面図である。
以下に実施例を掲げて本発明を更に詳しく説明するが、本発明はこれら実施例のみに限定されない。
(実施例1)
(金属酸化物半導体粒子の製造)
エタノールに、インジウム、ガリウム、亜鉛の含有量がそれぞれ0.07mol/Lとなるように硝酸インジウム、硝酸ガリウム、硝酸亜鉛を添加し、3Lの噴霧溶液を調製した。
次いで、得られた噴霧溶液を、二流体ノズルを用いて1000℃の火炎中に噴霧、熱分解させた。ノズルエア流量は25m/min、キャリアエア流量は20m/min、原液噴霧量は1.6kg/hとした。生成した粉体はバグフィルターで回収した。
なお、得られた粉体のBET比表面積をマイクロメトリックス フローソーブ2300を用いて測定したところ、43m/gであった。また、RINT−1000(リガク社製)を用いてXRD測定を行ったところ、酸化インジウム−酸化ガリウム−酸化亜鉛(IGZO)を含有することが確認できた。
(金属酸化物半導体粒子分散組成物の製造)
得られた金属酸化物半導体粒子14gに、イソプロパノール35g、オクチル酸メチル2gを添加し、混合した後、ビーズミルで分散処理を行った。更に、エチルセルロース1.5gを添加することにより、金属酸化物半導体粒子分散組成物を得た
(実施例2)
(金属酸化物半導体粒子の製造)
蒸留水に、インジウム、ガリウム、亜鉛の含有量がそれぞれ0.04mol/Lとなるように硝酸インジウム、硝酸ガリウム、硝酸亜鉛を添加し、500mLの混合溶液を調製した。
次いで、得られた混合溶液に、0.4mol/Lのアンモニア水を滴下し、沈殿を生成さ
せた。これを水洗し、200mLのオートクレーブを使用して180℃、2気圧で1時間処理することにより、粒子を得た。
なお、得られた粒子のBET比表面積をマイクロメトリックス フローソーブ2300を用いて測定したところ、32m/gであった。また、RINT−1000(リガク社製)を用いてXRD測定を行ったところ、酸化インジウム−酸化ガリウム−酸化亜鉛(IGZO)を含有することが確認できた。
(金属酸化物半導体粒子分散組成物の製造)
得られた金属酸化物半導体粒子12gに、イソプロパノール35g、オクチル酸メチル1.8gを添加し、混合した後、ビーズミルで分散処理を行った。更に、エチルセルロース
1.0gを添加することにより、金属酸化物半導体粒子分散組成物を得た。
(比較例1)
実施例1の(金属酸化物半導体粒子分散組成物の製造)において、オクチル酸メチルを添加しなかった以外は実施例1と同様にして金属酸化物半導体粒子分散組成物を作製した。しかしながら、得られた金属酸化物半導体粒子分散組成物は、金属酸化物半導体粒子が凝集し沈降していた。
<評価>
実施例及び比較例で得られた金属酸化物半導体粒子分散組成物について、以下の評価を行った。結果を表に示す。
(貯蔵安定性)
金属酸化物半導体粒子分散組成物を23℃の恒温室に2週間静置した後、状態を目視により確認し、以下のように評価した。
○ 層分離も金属酸化物半導体粒子の沈降も見られなかった
△ 透明な溶液が浸み出しているが、再分散することが可能であった
× 二層に分離し、金属酸化物半導体粒子が沈降していた
(TFT評価)
ガラス基板にゲート電極、ゲート絶縁膜、ソース電極、ドレイン電極を設置した評価用基板を作製した後、実施例で得られた金属酸化物半導体粒子分散組成物をゲート絶縁膜、ソース電極、ドレイン電極上に、ディスペンサーを用いて塗布し、100℃で5分間熱処理することにより、図1に示すような薄膜トランジスタ(TFT)を作製した。
得られた薄膜トランジスタについて、ドレイン電圧を10Vとしゲート電圧を−10Vから+20Vまで増印した時のドレイン電流の測定を行ったその飽和値からon/off比は何れも5桁以上であった。
(分散性)
得られた薄膜トランジスタの金属酸化物半導体粒子膜のSEM写真(5000倍)において、視野(24μm×20μm)中に凝集による凹凸ないしは空孔の存在の有無を全5視野で確認した。
凹凸又は空孔が確認されなかった場合を○、確認された場合を×とした。
Figure 2011124289
本発明によれば、金属酸化物半導体粒子の分散性を改善することによって所望の性能を有する金属酸化物半導体薄膜を安定して形成することが可能な金属酸化物半導体粒子分散組成物を提供することができる。更に、本発明によれば、該金属酸化物半導体粒子分散組成物を用いた薄膜トランジスタを提供することができる。

Claims (8)

  1. 金属酸化物半導体粒子、溶媒及び分散剤を含有する金属酸化物半導体粒子分散組成物であって、
    前記金属酸化物半導体粒子は、Zn、Ga、In、Sn、Al、Sb、Cd及びFeからなる群より選択される少なくとも1種の金属の酸化物を含有し、かつ、平均粒子径が1〜100nmであり、
    前記分散剤は、アニオン性極性基を有する有機化合物である
    ことを特徴とする金属酸化物半導体粒子分散組成物。
  2. 金属酸化物半導体粒子は、結晶性粒子であることを特徴とする請求項1記載の金属酸化物半導体粒子分散組成物。
  3. 金属酸化物半導体粒子は、噴霧火炎熱分解法を用いて作製されたものであることを特徴とする請求項1又は2記載の金属酸化物半導体粒子分散組成物。
  4. 更に、Zn、Ga、In、Sn、Al、Sb、Cd及びFeからなる群より選択される少なくとも1種の金属の塩を含有することを特徴とする請求項1、2又は3記載の金属酸化物半導体粒子分散組成物。
  5. 更に、Zn、Ga、In、Sn、Al、Sb、Cd及びFeからなる群より選択される少なくとも1種の金属の有機金属化合物を含有することを特徴とする請求項1、2、3又は4記載の金属酸化物半導体粒子分散組成物。
  6. 更に、Zn、Ga、In、Sn、Al、Sb、Cd及びFeからなる群より選択される少なくとも1種の金属からなる粒子を含有することを特徴とする請求項1、2、3、4又は5記載の金属酸化物半導体粒子分散組成物。
  7. 更に、バインダー樹脂を含有することを特徴とする請求項1、2、3、4、5又は6記載の金属酸化物半導体粒子分散組成物。
  8. 請求項1、2、3、4、5、6又は7記載の金属酸化物半導体粒子分散組成物を用いて得られる金属酸化物半導体薄膜を有することを特徴とする薄膜トランジスタ。
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