JP2011124008A - 二次電池、二次電池用電解液、環状炭酸エステル化合物、電動工具、電気自動車および電力貯蔵システム - Google Patents

二次電池、二次電池用電解液、環状炭酸エステル化合物、電動工具、電気自動車および電力貯蔵システム Download PDF

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Abstract

【課題】サイクル特性および保存特性を向上させることが可能な二次電池を提供する。
【解決手段】正極21および負極22と共に電解液を備え、正極21と負極22との間に設けられたセパレータ23に電解液が含浸されている。電解液の非水溶媒は、1,2−シクロペンタンジオールサイクリックカーボネートおよびその誘導体のうちの少なくとも1種を含んでいる。電解液の化学的安定性が向上するため、充放電時において電解液の分解反応が抑制される。
【選択図】図1

Description

本発明は、環状のカーボネート構造を有する環状炭酸エステル化合物、それを用いた二次電池用電解液および二次電池、ならびにそれを用いた電動工具、電気自動車および電力貯蔵システムに関する。
近年、携帯用端末などに代表される小型の電子機器が広く普及しており、そのさらなる小型化、軽量化および長寿命化が強く求められている。これに伴い、電源として、電池、特に小型かつ軽量で高エネルギー密度を得ることが可能な二次電池の開発が進められている。このような二次電池は、最近では、上記した小型の電子機器に限らず、自動車などに代表される大型の電子機器への適用も検討されている。
中でも、充放電反応としてリチウムの反応を利用する二次電池は、大いに期待されている。鉛電池およびニッケルカドミウム電池よりも高いエネルギー密度が得られるからである。このリチウム二次電池には、リチウムイオンの吸蔵放出を利用するリチウムイオン二次電池と、リチウム金属の析出溶解を利用するリチウム金属二次電池とがある。
二次電池は、正極および負極と共に、電解液を備えている。正極は、正極集電体の上に正極活物質層を有しており、負極は、負極集電体の上に負極活物質層を有している。電解液は、有機溶媒などの非水溶媒に電解質塩などが溶解されたものである。
充放電反応の媒介として機能する電解液の非水溶媒については、二次電池の性能に大きな影響を及ぼすことから、さまざまな検討がなされている。具体的には、高温環境下におけるサイクル特性および保存特性などを向上させるために、1,2−シクロヘキサンジオールサイクリックカーボネート、1,2−シクロヘキサンジオールサイクリックサルファイトまたはそれらの誘導体が用いられている(例えば、特許文献1参照。)。高電圧放電条件下における安全性などを向上させるために、β位置に水素を持たないアルキル基(炭酸メチルネオペンチルなどの)を有する鎖状炭酸エステルが用いられている(例えば、特許文献2参照。)。高温環境下における放置特性を向上させるために、1,3,2−ジオキサチオラン−2,2−ジオキシド、1,3−プロパンジオールサイクリックスルフェートまたはそれらの誘導体が用いられている(例えば、特許文献3参照。)。放電容量および初回充放電効率などを向上させるために、エチレンサルファイトあるいはエリスリタンサルファイトなどのサルファイト構造を含む化合物が用いられている(例えば、特許文献4〜7参照。)。高分子化合物を含むゲル電解質の保存安定性を向上させるために、ジカルボン酸無水物、あるいはスルホン酸とカルボン酸との無水物が用いられている(例えば、特許文献8参照。)。
国際公開第2007/020876号パンフレット 特許第3294400号明細書 特開2004−185931号公報 特開2002−270230号公報 特開2002−025611号公報 特開2000−188127号公報 特開平09−120837号公報 特開2002−033017号広報
近年、電子機器は益々高性能化および多機能化しており、その消費電力は増大する傾向にあるため、二次電池の充放電は頻繁に繰り返され、そのサイクル特性および保存特性は低下しやすい状況にある。このため、二次電池のサイクル特性および保存特性について、より一層の向上が望まれている。この場合には、特に、電子機器の使用環境が広がる傾向にあるため、低温環境下におけるサイクル特性を向上させることが重要である。
本発明はかかる問題点に鑑みてなされたもので、その目的は、サイクル特性および保存特性を向上させることが可能な環状炭酸エステル化合物、それを用いた二次電池用電解液および二次電池、ならびにそれを用いた電動工具、電気自動車および電力貯蔵システムを提供することにある。
本発明の環状炭酸エステル化合物は、式(1)で表される化合物である。また、本発明の二次電池用電解液は、非水溶媒および電解質塩を含み、その非水溶媒が上記した環状炭酸エステル化合物を含むものである。また、本発明の二次電池は、正極および負極と非水溶媒および電解質塩を含む電解液とを備え、その非水溶媒が上記した環状炭酸エステル化合物を含むものである。さらに、本発明の電動工具、電気自動車および電力貯蔵システムは、二次電池を搭載し、その二次電池が上記した本発明の二次電池と同様の構成を有するものである。
Figure 2011124008
(R1〜R8は、水素基あるいはハロゲン基、または、炭素数=1〜12のアルキル基、炭素数=2〜12のアルケニル基、炭素数=2〜12のアルキニル基、炭素数=6〜18のアリール基、炭素数=1〜12のアルコキシ基、あるいはそれらがハロゲン化された基である。ただし、R1〜R8は互いに結合して環構造を形成してもよい。)
本発明の環状炭酸エステル化合物によれば、式(1)に示した構造を有しているので、非水溶媒として電解液に用いられた場合に、その電解液の化学的安定性が向上する。よって、本発明の環状炭酸エステル化合物を用いた二次電池用電解液あるいは二次電池によれば、充放電時において電解液の分解反応が抑制されるため、サイクル特性および保存特性を向上させることができる。また、本発明の二次電池を用いた電動工具、電気自動車および電力貯蔵システムによれば、上記したサイクル特性などの特性向上を図ることができる。
本発明の一実施形態の環状炭酸エステル化合物を用いた円筒型二次電池の構成を表す断面図である。 図1に示した巻回電極体の構成を表す断面図である。 負極の構成を模式的に表す断面図である。 負極の他の構成を模式的に表す断面図である。 負極の断面構造を表すSEM写真およびその模式図である。 負極の他の断面構造を表すSEM写真およびその模式図である。 本発明の一実施形態の環状炭酸エステル化合物緒を用いたラミネートフィルム型二次電池の構成を表す分解斜視図である。 図7に示した巻回電極体のVIII−VIII線に沿った断面図である。 XPSによるSnCoC含有材料の分析結果を表す図である。
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。なお、説明する順序は、下記の通りである。

1.環状炭酸エステル化合物
2.二次電池用電解液および二次電池
2−1.リチウムイオン二次電池(円筒型)
2−2.リチウムイオン二次電池(ラミネートフィルム型)
2−3.リチウム金属二次電池(円筒型,ラミネートフィルム型)
3.二次電池の用途
<1.環状炭酸エステル化合物>
本発明の一実施形態の環状炭酸エステル化合物は、例えば二次電池などの電気化学デバイスに非水溶媒として用いられるものであり、式(1)で表される構造を有している。この環状炭酸エステル化合物は、エチレンカーボネート骨格とシクロペンタン骨格とを併せて有する化合物であり、1,2−シクロペンタンジオールサイクリックカーボネートあるいはその誘導体である。非水溶媒として用いられる環状炭酸エステル化合物の種類は、1種類でもよいし、2種類以上でもよい。なお、ここでの「誘導体」とは、1,2−シクロペンタンジオールサイクリックカーボネート中に構成元素として含まれる水素原子のうちの1または2以上が他の原子あるいは原子団に置き換わった他の化合物のことをいう。
Figure 2011124008
(R1〜R8は、水素基あるいはハロゲン基、または、炭素数=1〜12のアルキル基、炭素数=2〜12のアルケニル基、炭素数=2〜12のアルキニル基、炭素数=6〜18のアリール基、炭素数=1〜12のアルコキシ基、あるいはそれらがハロゲン化された基である。ただし、R1〜R8は互いに結合して環構造を形成してもよい。)
環状炭酸エステル化合物が式(1)に示した構造を有しているのは、その構造を有していない場合と比較して、電解液などの化学的安定性を向上させることができるからである。これにより、環状炭酸エステル化合物が二次電池の電解液に用いられた場合には、サイクル特性および保存特性を向上させることができる。
詳細には、エチレンカーボネート骨格とシクロペンタン骨格とを併せて有していると、それらの骨格に含まれる炭素原子に導入された基(R1〜R8)の種類に依存せずに、充放電時における電解液の分解が抑制される。さらに、低温環境下おいては、電解液の分解が抑制されるうえに、高いイオン伝導性が確保される。このため、サイクル特性および保存特性を向上させることができると共に、特に、低温サイクル特性を向上させることができる。
なお、式(1)に示した構造式は、式(1−A)および式(1−B)で表される異性体を含んで表している。すなわち、環状炭酸エステル化合物は、式(1−A)に示したシス型(シス体)あるいは式(1−B)に示したトランス型(トランス体)のうちのいずれか一方でもよいし、シス体とトランス体との混合物でもよい。中でも、環状炭酸エステル化合物は、シス体であることが好ましい。電解液などの化学的安定性の向上により寄与するからである。混合物である場合には、上記した理由により、トランス体よりもシス体を多く含んでいることが好ましい。この場合には、シス体とトランス体との割合(シス体/トランス体)は、モル比で50/50以上100/0未満であることがより好ましく、特に、55/45以上95/5以下であることが好ましい。より高い効果を発揮できるからである。
Figure 2011124008
(R1〜R8は、それぞれ式(1)中のR1〜R8と同様である。)
R1〜R8は、同じ基でもよいし、異なる基でもよい。この場合には、異なる種類の基でもよいし、同じ種類の基でありながら異なる基でもよい。異なる種類の基である場合とは、例えば、R1がアルキル基、R2がハロゲン化アルキル基の場合などである。一方、同じ種類の基でありながら異なる基である場合とは、R1およびR2がいずれもハロゲン化アルキル基であるが、R1がフッ素化アルキル基、R2が塩素化アルキル基の場合などである。
ハロゲンされた基について、そのハロゲンの種類は特に限定されないが、中でも、フッ素が好ましい。塩素などである場合よりも、電解液の化学的安定性がより向上するからである。
アルキル基の種類は、その炭素数が1〜12であれば、特に限定されず、その構造は、直鎖状でもよいし、分岐状でもよい。炭素数が上記の範囲内であれば、電解液の非水溶媒として用いた場合に環状炭酸エステル化合物が電解質塩を良好に溶解および電離させ、他の非水溶媒と共に用いても、十分な相溶性が確保されるからである。中でも、アルキル基の炭素数は、2以下であることが好ましい。環状炭酸エステル化合物の溶解性、電離性および相溶性がより向上するうえに、電解液の化学的安定性がさらに向上するからである。これらのことはアルコキシ基の構造および好ましい炭素数についても同様である。
アルケニル基およびアルキニル基の種類は、その炭素数が2〜12であれば、特に限定されず、その構造は、直鎖状でもよいし、分岐状でもよい。アルケニル基およびアルキニル基の炭素数が2〜12であるのは、上記したアルキル基の炭素数と同様の理由からである。中でも、アルケニル基およびアルキニル基の炭素数は、上記したアルキル基等の炭素数と同様の理由により、2以下であることが好ましい。
アリール基は、その炭素数が6〜18であれば、特に限定されない。例えば、フェニル基、ベンジル基、トリル基、キシリル基、ナフチル基、フェナンスレン基あるいはアントラセン基などでもよい。アリール基の炭素数が6〜18であるのは、上記したアルキル基等の炭素数と同様の理由からである。中でもフェニル基が好ましい。環状炭酸エステル化合物の溶解性、電離性および相溶性がより向上するうえに、電解液の化学的安定性がさらに向上するからである。
ハロゲン化されたアルキル基は、アルキル基のうちの少なくとも一部の水素がハロゲンにより置換された基であり、この「ハロゲン化された基」の意味するところは、ハロゲン化されたアルケニル基、ハロゲン化されたアルキニル基、ハロゲン化されたアリール基およびハロゲン化されたアルコキシ基についても同様である。ハロゲン化されたアルキル基等の炭素数が上記した式(1)中に記した範囲であるのは、上記したアルキル基等と同様の理由からであり、それらのハロゲン化された基の好ましい炭素数も上記したアルキル基等と同様である。また、ハロゲン化された基におけるハロゲンの種類は、特に限定されないが、上記したハロゲン基の種類と同様の理由により、フッ素であることが好ましい。
R1〜R8は互いに結合して環構造を形成してもよく、その場合の環構造は、例えば芳香族環、複素環あるいは脂環式でもよく、特に限定されない。
R1〜R8は、中でも、それらのうちの少なくとも1つがハロゲン基、ハロゲン化されたアルキル基、ハロゲン化されたアルケニル基、ハロゲン化されたアルキニル基、ハロゲン化されたアリール基あるいはハロゲン化されたアルコキシ基であることが好ましく、特に、ハロゲン基であることが好ましい。電解液の化学的安定性がより向上するからである。
環状炭酸エステル化合物の具体例としては、式(1−1)〜式(1−26)で表される化合物が挙げられる。電解液などの化学的安定性を十分に向上させることができるからである。中でも、式(1−1)、式(1−6)あるいは式(1−9)に示した化合物が好ましい。容易に入手できると共に、多種の非水溶媒などと安定して混合できるからである。
Figure 2011124008
Figure 2011124008
もちろん、環状炭酸エステル化合物の具体例は、式(1)に示した構造を有していれば、式(1−1)〜式(1−26)に示した化合物に限られない。
この環状炭酸エステル化合物によれば、式(1)に示した構造を有しているので、その構造を有していない場合と比較して、二次電池などの電気化学デバイスに用いられた場合に、その電解液の化学的安定性が向上する。式(1)に示した構造を有していない場合とは、例えば、エチレンカーボネート(炭酸エチレン)である場合あるいは式(13)で表される構造を有している場合などである。よって、電極反応時における電解液の分解反応が抑制され、さらに低温環境下においては高いイオン伝導性が確保されるため、電気化学デバイスの性能向上に寄与することができる。より具体的には、環状炭酸エステル化合物が二次電池の電解液に用いられた場合には、サイクル特性および保存特性を向上させることができると共に、特に低温サイクル特性を向上させることができる。
Figure 2011124008
<2.二次電池用電解液および二次電池>
次に、上記した環状炭酸エステル化合物の適用例について説明する。ここで、電気化学デバイスの一例としてリチウム二次電池を挙げると、環状炭酸エステル化合物は、以下のようにしてリチウム二次電池用電解液(以下、単に「電解液」という。)およびリチウム二次電池に用いられる。
<2−1.リチウムイオン二次電池(円筒型)>
図1および図2はリチウムイオン二次電池(円筒型)の断面構成を表しており、図2では図1に示した巻回電極体20の一部を拡大している。このリチウムイオン二次電池では、負極の容量がリチウムイオンの吸蔵放出により表される。
[二次電池の全体構成]
この二次電池は、主に、ほぼ中空円柱状の電池缶11の内部に、巻回電極体20および一対の絶縁板12,13が収納されたものである。この巻回電極体20は、セパレータ23を介して正極21と負極22とが積層および巻回された巻回積層体である。
電池缶11は、一端部が閉鎖されると共に他端部が開放された中空構造を有していると共に、鉄(Fe)、アルミニウム(Al)あるいはそれらの合金などにより形成されている。なお、電池缶11が鉄製である場合には、例えば、電池缶11の表面にニッケル(Ni)などが鍍金されていてもよい。一対の絶縁板12,13は、巻回電極体20を上下から挟み、その巻回周面に対して垂直に延在するように配置されている。
電池缶11の開放端部には、電池蓋14、安全弁機構15および熱感抵抗素子(Positive Temperature Coefficient:PTC素子)16がガスケット17を介してかしめられており、その電池缶11の内部は密閉されている。電池蓋14は、例えば、電池缶11と同様の材料により形成されている。安全弁機構15および熱感抵抗素子16は電池蓋14の内側に設けられており、その安全弁機構15は熱感抵抗素子16を介して電池蓋14と電気的に接続されている。この安全弁機構15では、内部短絡、あるいは外部からの加熱などに起因して内圧が一定以上となった場合に、ディスク板15Aが反転して電池蓋14と巻回電極体20との間の電気的接続を切断するようになっている。熱感抵抗素子16は、温度上昇に応じて抵抗増大により、大電流に起因する異常な発熱を防止するものである。ガスケット17は、例えば、絶縁材料により形成されており、その表面には、アスファルトが塗布されていてもよい。
巻回電極体20の中心には、例えば、センターピン24が挿入されていてもよい。正極21には、アルミニウムなどの導電性材料により形成された正極リード25が接続されていると共に、負極22には、ニッケルなどの導電性材料により形成された負極リード26が接続されている。正極リード25は、安全弁機構15に溶接などされ、電池蓋14と電気的に接続されていると共に、負極リード26は、電池缶11に溶接などされ、それと電気的に接続されている。
[正極]
正極21は、例えば、正極集電体21Aの両面に正極活物質層21Bが設けられたものである。ただし、正極活物質層21Bは、正極集電体21Aの片面だけに設けられていてもよい。
正極集電体21Aは、例えば、アルミニウム、ニッケルあるいはステンレスなどの導電性材料により形成されている。
正極活物質層21Bは、正極活物質として、リチウムイオンを吸蔵放出可能な正極材料のいずれか1種類あるいは2種類以上を含んでおり、必要に応じて、正極結着剤あるいは正極導電剤などの他の材料を含んでいてもよい。
正極材料としては、リチウム含有化合物が好ましい。高いエネルギー密度が得られるからである。このリチウム含有化合物としては、例えば、リチウム(Li)と遷移金属元素とを構成元素として含む複合酸化物、あるいはリチウムと遷移金属元素とを構成元素として含むリン酸化合物などが挙げられる。中でも、遷移金属元素としてコバルト(Co)、ニッケル、マンガン(Mn)および鉄のうちの少なくとも1種を含む化合物が好ましい。より高い電圧が得られるからである。その化学式は、例えば、Lix M1O2 あるいはLiy M2PO4 で表される。式中、M1およびM2は、1種類以上の遷移金属元素を表す。また、xおよびyの値は、充放電状態に応じて異なり、通常、0.05≦x≦1.10、0.05≦y≦1.10である。
リチウムと遷移金属元素とを含む複合酸化物としては、例えば、リチウムコバルト複合酸化物(Lix CoO2 )、リチウムニッケル複合酸化物(Lix NiO2 )、あるいは式(14)で表されるリチウムニッケル系複合酸化物などが挙げられる。また、リチウムと遷移金属元素とを含むリン酸化合物としては、例えば、リチウム鉄リン酸化合物(LiFePO4 )あるいはリチウム鉄マンガンリン酸化合物(LiFe1-u Mnu PO4 (u<1))などが挙げられる。高い電池容量が得られると共に、優れたサイクル特性も得られるからである。
LiNi1-x x 2 …(14)
(Mはコバルト、マンガン、鉄、アルミニウム、バナジウム(V)、スズ、マグネシウム(Mg)、チタン(Ti)、ストロンチウム(Sr)、カルシウム(Ca)、ジルコニウム(Zr)、モリブデン(Mo)、テクネチウム(Tc)、ルテニウム(Ru)、タンタル(Ta)、タングステン(W)、レニウム(Re)、イッテルビウム(Y)、銅(Cu)、亜鉛(Zn)、バリウム(Ba)、ホウ素(B)、クロム(Cr)、ケイ素、ガリウム(Ga)、リン(P)、アンチモン(Sb)およびニオブ(Nb)のうちの少なくとも1種である。xは0.005<x<0.5である。)
この他、正極材料としては、例えば、酸化物、二硫化物、カルコゲン化物あるいは導電性高分子などが挙げられる。酸化物は、例えば、酸化チタン、酸化バナジウムあるいは二酸化マンガンなどである。二硫化物は、例えば、二硫化チタンあるいは硫化モリブデンなどである。カルコゲン化物は、例えば、セレン化ニオブなどである。導電性高分子は、例えば、硫黄、ポリアニリンあるいはポリチオフェンなどである。
もちろん、正極材料は、上記以外の材料でもよい。また、上記した一連の正極材料は、任意の組み合わせで2種以上混合されてもよい。
正極結着剤としては、例えば、スチレンブタジエン系ゴム、フッ素系ゴムあるいはエチレンプロピレンジエンなどの合成ゴムや、ポリフッ化ビニリデンなどの高分子材料が挙げられる。これらは単独でもよいし、複数種が混合されてもよい。
正極導電剤としては、例えば、黒鉛、カーボンブラック、アセチレンブラックあるいはケチェンブラックなどの炭素材料が挙げられる。これらは単独でもよいし、複数種が混合されてもよい。なお、正極導電剤は、導電性を有する材料であれば、金属材料あるいは導電性高分子などでもよい。
[負極]
負極22は、例えば、負極集電体22Aの両面に負極活物質層22Bが設けられたものである。ただし、負極活物質層22Bは、負極集電体22Aの片面だけに設けられていてもよい。
負極集電体22Aは、例えば、銅、ニッケルあるいはステンレスなどの導電性材料により形成されている。この負極集電体22Aの表面は、粗面化されていることが好ましい。いわゆるアンカー効果により、負極集電体22Aに対する負極活物質層22Bの密着性が向上するからである。この場合には、少なくとも負極活物質層22Bと対向する領域において、負極集電体22Aの表面が粗面化されていればよい。粗面化の方法としては、例えば、電解処理により微粒子を形成する方法などが挙げられる。この電解処理とは、電解槽中において電解法により負極集電体22Aの表面に微粒子を形成して凹凸を設ける方法である。電解法により作製された銅箔は、一般に電解銅箔と呼ばれている。
負極活物質層22Bは、負極活物質として、リチウムイオンを吸蔵放出可能な負極材料のいずれか1種類あるいは2種類以上を含んでおり、必要に応じて、負極結着剤あるいは負極導電剤などの他の材料を含んでいてもよい。なお、負極結着剤および負極導電剤に関する詳細は、例えば、それぞれ正極結着剤および正極導電剤と同様である。この負極活物質層22Bでは、例えば、充放電時においてリチウム金属が意図せずに析出することを防止するために、負極材料の充電可能な容量が正極21の放電容量よりも大きくなっていることが好ましい。
負極材料としては、例えば、炭素材料が挙げられる。リチウムイオンの吸蔵放出時における結晶構造の変化が非常に少ないため、高いエネルギー密度および優れたサイクル特性が得られると共に、負極導電剤としても機能するからである。この炭素材料は、例えば、易黒鉛化性炭素、(002)面の面間隔が0.37nm以上の難黒鉛化性炭素、あるいは(002)面の面間隔が0.34nm以下の黒鉛などである。より具体的には、熱分解炭素類、コークス類、ガラス状炭素繊維、有機高分子化合物焼成体、活性炭あるいはカーボンブラック類などがある。このうち、コークス類には、ピッチコークス、ニードルコークスあるいは石油コークスなどが含まれる。有機高分子化合物焼成体とは、フェノール樹脂やフラン樹脂などを適当な温度で焼成して炭素化したものをいう。なお、炭素材料の形状は、繊維状、球状、粒状あるいは鱗片状のいずれでもよい。
また、負極材料としては、例えば、金属元素および半金属元素のうちの少なくとも1種を構成元素として含む材料(金属系材料)が挙げられる。高いエネルギー密度が得られるからである。この金属系材料は、金属元素あるいは半金属元素の単体、合金あるいは化合物でもよいし、それらの2種以上でもよいし、それらの1種類あるいは2種類以上の相を少なくとも一部に有するものでもよい。なお、本発明における合金には、2種類以上の金属元素からなるものに加えて、1種類以上の金属元素と1種類以上の半金属元素とを含むものも含まれる。また、「合金」は、非金属元素を含んでいてもよい。その組織には、固溶体、共晶(共融混合物)、金属間化合物、あるいはそれらの2種類以上が共存するものがある。
上記した金属元素あるいは半金属元素は、例えば、リチウムと合金を形成することが可能な金属元素あるいは半金属元素であり、具体的には、以下の元素のうちの少なくとも1種である。マグネシウム、ホウ素、アルミニウム、ガリウム、インジウム(In)、ケイ素、ゲルマニウム(Ge)、スズあるいは鉛(Pb)である。ビスマス(Bi)、カドミウム(Cd)、銀(Ag)、亜鉛、ハフニウム(Hf)、ジルコニウム、イットリウム、パラジウム(Pd)あるいは白金(Pt)である。中でも、ケイ素およびスズのうちの少なくとも一方が好ましい。リチウムイオンを吸蔵放出する能力が優れているため、高いエネルギー密度が得られるからである。
ケイ素およびスズのうちの少なくとも一方を含む材料は、例えば、ケイ素あるいはスズの単体、合金あるいは化合物でもよいし、それらの2種類以上でもよいし、それらの1種類あるいは2種類以上の相を少なくとも一部に有するものでもよい。
ケイ素の合金としては、例えば、ケイ素以外の構成元素として、以下の元素のうちの少なくとも1種を含むものなどが挙げられる。スズ、ニッケル、銅、鉄、コバルト、マンガン、亜鉛、インジウム、銀、チタン、ゲルマニウム、ビスマス、アンチモンあるいはクロムである。ケイ素の化合物としては、例えば、ケイ素以外の構成元素として、酸素あるいは炭素を含むものが挙げられる。なお、ケイ素の化合物は、例えば、ケイ素以外の構成元素として、ケイ素の合金について説明した元素のいずれか1種類あるいは2種類以上を含んでいてもよい。
ケイ素の合金あるいは化合物の一例としては、以下のものなどが挙げられる。SiB4 、SiB6 、Mg2 Si、Ni2 Si、TiSi2 、MoSi2 、CoSi2 、NiSi2 、CaSi2 、CrSi2 、Cu5 SiあるいはFeSi2 である。MnSi2 、NbSi2 、TaSi2 、VSi2 、WSi2 、ZnSi2 、SiC、Si3 4 、Si2 2 O、SiOv (0<v≦2)あるいはLiSiOである。
スズの合金としては、例えば、スズ以外の構成元素として、以下の元素のうちの少なくとも1種を含むものなどが挙げられる。ケイ素、ニッケル、銅、鉄、コバルト、マンガン、亜鉛、インジウム、銀、チタン、ゲルマニウム、ビスマス、アンチモンあるいはクロムである。スズの化合物としては、例えば、酸素あるいは炭素を含むものなどが挙げられる。なお、スズの化合物は、例えば、スズ以外の構成元素として、スズの合金について説明した元素のいずれか1種類あるいは2種類以上を含んでいてもよい。スズの合金あるいは化合物の一例としては、SnOw (0<w≦2)、SnSiO3 、LiSnOあるいはMg2 Snなどが挙げられる。
特に、ケイ素を含む材料(ケイ素含有材料)としては、例えば、ケイ素の単体が好ましい。高い電池容量および優れたサイクル特性などが得られるからである。なお、「単体」とは、あくまで一般的な意味合いでの単体(微量の不純物を含んでいてもよい)であり、必ずしも純度100%を意味しているわけではない。
また、スズを含む材料(スズ含有材料)としては、例えば、スズを第1の構成元素とし、それに加えて第2および第3の構成元素を含むものが好ましい。第2の構成元素は、例えば、以下の元素のうちの少なくとも1種である。コバルト、鉄、マグネシウム、チタン、バナジウム、クロム、マンガン、ニッケル、銅、亜鉛、ガリウムあるいはジルコニウムである。ニオブ、モリブデン、銀、インジウム、セリウム(Ce)、ハフニウム、タンタル、タングステン、ビスマスあるいはケイ素である。第3の構成元素は、例えば、ホウ素、炭素、アルミニウムおよびリンのうちの少なくとも1種である。第2および第3の構成元素を有することにより、高い電池容量および優れたサイクル特性などが得られるからである。
中でも、スズ、コバルトおよび炭素を含む材料(SnCoC含有材料)が好ましい。このSnCoC含有材料の組成としては、例えば、炭素の含有量が9.9質量%〜29.7質量%、スズおよびコバルトの含有量の割合(Co/(Sn+Co))が20質量%〜70質量%である。このような組成範囲において、高いエネルギー密度が得られるからである。
このSnCoC含有材料は、スズ、コバルトおよび炭素を含む相を有しており、その相は、低結晶性あるいは非晶質であることが好ましい。この相は、リチウムと反応可能な反応相であり、その反応相の存在により優れた特性が得られるようになっている。この相のX線回折により得られる回折ピークの半値幅は、特定X線としてCuKα線を用いると共に、挿引速度を1°/minとした場合において、回折角2θで1.0°以上であることが好ましい。リチウムイオンがより円滑に吸蔵および放出されると共に、電解液などとの反応性が低減するからである。なお、SnCoC含有材料は、低結晶性あるいは非晶質の相に加えて、各構成元素の単体あるいは一部を含む相を含んでいる場合もある。
X線回折により得られた回折ピークがリチウムと反応可能な反応相に対応するものであるか否かは、リチウムとの電気化学的反応の前後におけるX線回折チャートを比較すれば、容易に判断することができる。例えば、リチウムとの電気化学的反応の前後において回折ピークの位置が変化すれば、リチウムと反応可能な反応相に対応するものである。この場合には、例えば、低結晶性あるいは非晶質の反応相の回折ピークが2θ=20°〜50°の間に見られる。このような反応相は、上記した構成元素を含んでおり、主に、炭素の存在に起因して低結晶化あるいは非晶質化しているものと考えられる。
SnCoC含有材料では、構成元素である炭素の少なくとも一部が他の構成元素である金属元素あるいは半金属元素と結合していることが好ましい。スズなどの凝集あるいは結晶化が抑制されるからである。元素の結合状態については、例えば、X線光電子分光法(X-ray Photoelectron Spectroscopy;XPS)により確認できる。市販の装置では、例えば、軟X線としてAl−Kα線あるいはMg−Kα線などが用いられる。炭素の少なくとも一部が金属元素あるいは半金属元素などと結合している場合には、炭素の1s軌道(C1s)の合成波のピークは284.5eVよりも低い領域に現れる。なお、金原子の4f軌道(Au4f)のピークが84.0eVに得られるようにエネルギー較正されているものとする。この際、通常、物質表面には表面汚染炭素が存在しているため、表面汚染炭素のC1sのピークを284.8eVとし、それをエネルギー基準とする。XPS測定では、C1sのピークの波形が表面汚染炭素のピークとSnCoC含有材料中の炭素のピークとを含んだ形で得られるため、例えば、市販のソフトウエアを用いて解析し、両者のピークを分離する。波形の解析では、最低束縛エネルギー側に存在する主ピークの位置をエネルギー基準(284.8eV)とする。
なお、SnCoC含有材料は、必要に応じて、さらに他の構成元素を含んでいてもよい。このような他の構成元素としては、ケイ素、鉄、ニッケル、クロム、インジウム、ニオブ、ゲルマニウム、チタン、モリブデン、アルミニウム、リン、ガリウムおよびビスマスのうちの少なくとも1種が挙げられる。
このSnCoC含有材料の他、スズ、コバルト、鉄および炭素を含む材料(SnCoFeC含有材料)も好ましい。このSnCoFeC含有材料の組成は、任意に設定可能である。例えば、鉄の含有量を少なめに設定する場合の組成は、以下の通りである。炭素の含有量は9.9質量%〜29.7質量%、鉄の含有量は0.3質量%〜5.9質量%、スズおよびコバルトの含有量の割合(Co/(Sn+Co))は30質量%〜70質量%である。また、例えば、鉄の含有量を多めに設定する場合の組成は、以下の通りである。炭素の含有量は11.9質量%〜29.7質量%である。また、スズ、コバルトおよび鉄の含有量の割合((Co+Fe)/(Sn+Co+Fe))は26.4質量%〜48.5質量%、コバルトおよび鉄の含有量の割合(Co/(Co+Fe))は9.9質量%〜79.5質量%である。このような組成範囲において、高いエネルギー密度が得られるからである。このSnCoFeC含有材料の物性等(半値幅など)は、上記したSnCoC含有材料と同様である。
また、他の負極材料としては、例えば、金属酸化物あるいは高分子化合物が挙げられる。金属酸化物は、例えば、酸化鉄、酸化ルテニウムあるいは酸化モリブデンなどである。高分子化合物は、例えば、ポリアセチレン、ポリアニリンあるいはポリピロールなどである。
もちろん、負極材料は、上記以外のものでもよい。また、一連の負極活物質は、任意の組み合わせで2種類以上混合されてもよい。
負極活物質層22Bは、例えば、塗布法、気相法、液相法、溶射法あるいは焼成法(焼結法)、またはそれらの2種以上の方法により形成されている。塗布法とは、例えば、粒子状の負極活物質を結着剤などと混合したのち、溶剤に分散させて塗布する方法である。気相法の一例としては、物理堆積法あるいは化学堆積法などが挙げられる。具体的には、真空蒸着法、スパッタ法、イオンプレーティング法、レーザーアブレーション法、熱化学気相成長(chemical vapor deposition :CVD)法あるいはプラズマ化学気相成長法などである。液相法の一例としては、電解鍍金法あるいは無電解鍍金法などが挙げられる。溶射法とは、負極活物質を溶融状態あるいは半溶融状態で噴き付ける方法である。焼成法とは、例えば、塗布法と同様の手順で塗布したのち、結着剤などの融点よりも高い温度で熱処理する方法である。焼成法については、公知の手法を用いることができる。一例としては、例えば、雰囲気焼成法、反応焼成法あるいはホットプレス焼成法などが挙げられる。
負極活物質は、例えば、複数の粒子状である。この場合には、負極活物質層22Bは、複数の粒子状の負極活物質(以下、単に「負極活物質粒子」という。)を含んでおり、その負極活物質粒子は、例えば、気相法などにより形成されている。ただし、負極活物質粒子は、気相法以外の方法により形成されていてもよい。
負極活物質粒子が気相法などの堆積法により形成される場合には、その負極活物質粒子は、単一の堆積工程により形成された単層構造を有していてもよいし、複数回の堆積工程により形成された多層構造を有していてもよい。ただし、堆積時に高熱を伴う蒸着法などを用いる場合には、負極活物質粒子は多層構造を有していることが好ましい。負極材料の堆積工程が複数回に分割して行われる(負極材料が順次薄く形成して堆積される)ため、その堆積工程を1回で行う場合よりも、負極集電体22Aが高熱に晒される時間が短くなるからである。これにより、負極集電体22Aが熱的ダメージを受けにくくなる。
この負極活物質粒子は、例えば、負極集電体22Aの表面から負極活物質層22Bの厚さ方向に成長しており、その根元において負極集電体22Aの表面に連結されていることが好ましい。充放電時において負極活物質層22Bの膨張収縮が抑制されるからである。また、負極活物質粒子は、気相法、液相法、溶射法あるいは焼成法などにより形成されており、負極集電体22Aとの界面の少なくとも一部において合金化していることが好ましい。この場合には、両者の界面において、負極集電体22Aの構成元素が負極活物質粒子に拡散していてもよいし、負極活物質粒子の構成元素が負極集電体22Aに拡散していてもよいし、両者の構成元素が拡散しあっていてもよい。
特に、負極活物質層22Bは、必要に応じて、負極活物質粒子の表面(酸化物含有膜を設けないとしたならば電解液と接することとなる領域)を被覆する酸化物含有膜を含んでいることが好ましい。酸化物含有膜が電解液に対する保護膜として機能するため、充放電時において電解液の分解反応が抑制されるからである。これにより、サイクル特性および保存特性などが向上する。なお、酸化物含有膜は、負極活物質粒子の表面の全部を被覆していてもよいし、一部だけを被覆していてもよいが、中でも、全部を被覆していることが好ましい。電解液の分解反応がより抑制されるからである。
この酸化物含有膜は、例えば、ケイ素の酸化物、ゲルマニウムの酸化物およびスズの酸化物のうちの少なくとも1種を含んでおり、中でも、ケイ素の酸化物を含んでいることが好ましい。負極活物質粒子の表面を全体に渡って容易に被覆しやすいと共に、優れた保護作用が得られるからである。もちろん、酸化物含有膜は、上記以外の他の酸化物を含んでいてもよい。
酸化物含有膜は、例えば、気相法あるいは液相法などにより形成されており、中でも、液相法により形成されていることが好ましい。負極活物質粒子の表面を広い範囲に渡って容易に被覆しやすいからである。液相法としては、液相析出法、ゾルゲル法、塗布法あるいはディップコーティング法などが挙げられ、中でも、液相析出法、ゾルゲル法あるいはディップコーティング法が好ましく、液相析出法がより好ましい。より高い効果が得られるからである。なお、酸化物含有膜は、上記した一連の形成方法のうち、単独の形成方法により形成されていてもよいし、2種類以上の形成方法により形成されていてもよい。
また、負極活物質層22Bは、必要に応じて、負極活物質層22Bの内部の隙間に、リチウムと合金化しない金属元素を構成元素として含む金属材料(以下、単に「金属材料」という。)を含んでいることが好ましい。金属材料を介して複数の負極活物質粒子が結着されると共に、負極活物質層22Bの膨張収縮が抑制されるからである。これにより、サイクル特性および保存特性などが向上する。なお、「負極活物質層22Bの内部の隙間」の詳細については、後述する(図5および図6参照)。
上記した金属元素としては、例えば、鉄、コバルト、ニッケル、亜鉛および銅のうちの少なくとも1種が挙げられ、中でも、コバルトが好ましい。負極活物質層22B内の隙間に金属材料が容易に入り込みやすいと共に、優れた結着作用が得られるからである。もちろん、金属元素は、上記以外の他の金属元素でもよい。ただし、ここで言う金属材料とは、単体に限らず、合金あるいは金属化合物まで含む広い概念である。
金属材料は、例えば、気相法あるいは液相法などにより形成されており、中でも、液相法により形成されていることが好ましい。負極活物質層22B内の隙間に金属材料が入り込みやすいからである。液相法としては、例えば、電解鍍金法あるいは無電解鍍金法などが挙げられ、中でも、電解鍍金法が好ましい。上記した隙間に金属材料がより入り込みやすいと共に、その形成時間が短くて済むからである。この金属材料は、上記した一連の形成方法のうち、単独の形成方法により形成されていてもよいし、2種類以上の形成方法により形成されていてもよい。
なお、負極活物質層22Bは、酸化物含有膜あるいは金属材料のいずれか一方だけを含んでいてもよいし、双方を含んでいてもよい。ただし、サイクル特性などをより向上させるためには、双方を含んでいることが好ましい。いずれか一方だけを含む場合において、サイクル特性などをより向上させるためには、酸化物含有膜を含んでいることが好ましい。酸化物含有膜および金属材料の双方を含む場合には、どちらを先に形成してもよいが、サイクル特性などをより向上させるためには、酸化物含有膜を先に形成することが好ましい。
ここで、図3〜図6を参照して、負極22の詳細な構成について説明する。
まず、負極活物質層22Bが複数の負極活物質粒子と共に酸化物含有膜を含む場合について説明する。図3および図4は、負極22の断面構造を模式的に表している。ここでは、負極活物質粒子が単層構造を有している場合を示している。
図3に示した場合には、例えば、蒸着法などの気相法により負極集電体22A上に負極材料が堆積されると、その負極集電体22A上に複数の負極活物質粒子221が形成される。この場合には、負極集電体22Aの表面が粗面化され、その表面に複数の突起部(例えば電解処理により形成された微粒子)が存在すると、負極活物質粒子221が上記した突起部ごとに厚さ方向に成長する。このため、複数の負極活物質粒子221は、負極集電体22Aの表面に配列されると共に、その根元において負極集電体22Aの表面に連結される。こののち、例えば、液相析出法などの液相法により負極活物質粒子221の表面に酸化物含有膜222が形成されると、その酸化物含有膜222は、負極活物質粒子221の表面をほぼ全体に渡って被覆する。この場合には、負極活物質粒子221の頭頂部から根元に至る広い範囲が被覆される。このような広範囲の被覆状態は、酸化物含有膜222が液相法により形成された場合に得られる特徴である。すなわち、液相法を用いて酸化物含有膜222を形成すると、被覆作用が負極活物質粒子221の頭頂部だけでなく根元まで広く及ぶため、その根元まで酸化物含有膜222により被覆される。
これに対して、図4に示した場合には、例えば、気相法により複数の負極活物質粒子221が形成されたのち、同様に気相法により酸化物含有膜223が形成されると、その酸化物含有膜223は、負極活物質粒子221の頭頂部だけを被覆する。このような狭範囲の被覆状態は、酸化物含有膜223が気相法により形成された場合に得られる特徴である。すなわち、気相法を用いて酸化物含有膜223を形成すると、被覆作用が負極活物質粒子221の頭頂部に及ぶものの根元まで及ばないため、その根元までは酸化物含有膜223により被覆されない。
なお、図3では、気相法により負極活物質層22Bが形成される場合について説明したが、塗布法あるいは焼結法などの他の形成方法により負極活物質層22Bが形成される場合においても、同様である。これらの場合においても、複数の負極活物質粒子の表面をほぼ全体に渡って被覆するように酸化物含有膜222が形成される。
次に、負極活物質層22Bが複数の負極活物質粒子と共に金属材料を含む場合について説明する。図5および図6は、負極22の断面構造を拡大して表している。図5および図6において、(A)は走査型電子顕微鏡(scanning electron microscope:SEM)写真(二次電子像)、(B)は(A)に示したSEM像の模式絵である。ここでは、複数の負極活物質粒子221が多層構造を有している場合を示している。
図5に示したように、負極活物質粒子221が多層構造を有する場合には、その配列構造、多層構造および表面構造に起因して、負極活物質層22Bの内部に複数の隙間224が生じている。この隙間224は、主に、発生原因に応じて分類された2種類の隙間224A,224Bを含んでいる。隙間224Aは、隣り合う負極活物質粒子221間に生じたものであり、隙間224Bは、負極活物質粒子221の各階層間に生じたものである。
なお、負極活物質粒子221の露出面(最表面)には、空隙225が生じる場合がある。この空隙225は、負極活物質粒子221の表面にひげ状の微細な突起部(図示せず)が形成されるため、その突起部間に生じるものである。この空隙225は、負極活物質粒子221の露出面において、全体に渡って生じる場合もあれば、一部だけに生じる場合もある。ただし、上記したひげ状の突起部は、負極活物質粒子221の形成時ごとにその表面に生じるため、空隙225は、負極活物質粒子221の露出面だけでなく、各階層間にも生じる場合がある。
図6に示したように、負極活物質層22Bは、隙間224A,224Bに、金属材料226を有している。この場合には、隙間224A,224Bのうちのいずれか一方だけに金属材料226を有していてもよいが、双方に金属材料226を有していることが好ましい。より高い効果が得られるからである。
この金属材料226は、隣り合う負極活物質粒子221間の隙間224Aに入り込んでいる。詳細には、気相法などにより負極活物質粒子221が形成される場合には、上記したように、負極集電体22Aの表面に存在する突起部ごとに負極活物質粒子221が成長するため、隣り合う負極活物質粒子221間に隙間224Aが生じる。この隙間224Aは、負極活物質層22Bの結着性を低下させる原因となるため、その結着性を高めるために、隙間224Aに金属材料226が埋め込まれている。この場合には、隙間224Aの一部でも埋められていればよいが、その充填量は多いほど好ましい。負極活物質層22Bの結着性がより向上するからである。金属材料226の充填量は、20%以上が好ましく、40%以上がより好ましく、80%以上がさらに好ましい。
また、金属材料226は、負極活物質粒子221内の隙間224Bに入り込んでいる。詳細には、負極活物質粒子221が多層構造を有する場合には、各階層間に隙間224Bが生じる。この隙間224Bは、隙間224Aと同様に、負極活物質層22Bの結着性を低下させる原因となるため、その結着性を高めるために、隙間224Bに金属材料226が埋め込まれている。この場合には、隙間224Bの一部でも充填されていればよいが、その充填量が多いほど好ましい。負極活物質層22Bの結着性がより向上するからである。
なお、負極活物質層22Bは、最上層の負極活物質粒子221の露出面に生じるひげ状の微細な突起部(図示せず)が二次電池の性能に悪影響を及ぼすことを抑えるために、空隙225に金属材料226を有していてもよい。詳細には、気相法などにより負極活物質粒子221が形成される場合には、その表面にひげ状の微細な突起部が生じるため、その突起部間に空隙225が生じる。この空隙225は、負極活物質粒子221の表面積の増加を招き、その表面に形成される不可逆性の被膜の量も増加させるため、充放電反応の進行度を低下させる原因となる可能性がある。そこで、充放電反応の進行度の低下を抑えるために、空隙225に金属材料226が埋め込まれている。この場合には、空隙225の一部でも埋め込まれていればよいが、その埋め込み量が多いほど好ましい。充放電反応の進行度の低下がより抑えられるからである。図6において、最上層の負極活物質粒子221の表面に金属材料226が点在していることは、その点在箇所に上記した微細な突起部が存在していること表している。もちろん、金属材料226は、必ずしも負極活物質粒子221の表面に点在していなければならないわけではなく、その表面全体を被覆していてもよい。
特に、隙間224Bに入り込んだ金属材料226は、各階層における空隙225を埋め込む機能も果たしている。詳細には、負極材料が複数回に渡って堆積される場合には、その堆積時ごとに負極活物質粒子221の表面に微細な突起部が生じる。このため、金属材料226は、各階層における隙間224Bに埋め込まれているだけでなく、各階層における空隙225にも埋め込まれている。
なお、図5および図6では、負極活物質粒子221が多層構造を有しており、負極活物質層22B中に隙間224A,224Bの双方が存在している場合について説明した。このため、負極活物質層22Bは、隙間224A,224Bに金属材料226を有している。これに対して、負極活物質粒子221が単層構造を有しており、負極活物質層22B中に隙間224Aだけが存在する場合には、負極活物質層22Bが隙間224Aだけに金属材料226を有することとなる。もちろん、空隙225は両者の場合において生じるため、いずれの場合においても空隙225に金属材料226を有することとなる。
[セパレータ]
セパレータ23は、正極21と負極22とを隔離し、両極の接触に起因する電流の短絡を防止しながらリチウムイオンを通過させるものである。このセパレータ23には、液状の電解質(電解液)が含浸されている。セパレータ23は、例えば、ポリテトラフルオロエチレン、ポリプロピレンあるいはポリエチレンなどの合成樹脂からなる多孔質膜、または、セラミックからなる多孔質膜などにより形成されており、それらの2種類以上の多孔質膜が積層されたものでもよい。
[電解液]
電解液は、上記した環状炭酸エステル化合物を含む非水溶媒に、電解質塩が溶解されたものである。非水溶媒中における環状炭酸エステル化合物の含有量は、特に限定されないが、中でも、0.01重量%〜20重量%であることが好ましい。高い電池容量を維持しつつ、優れたサイクル特性および保存特性が得られるからである。
非水溶媒は、環状炭酸エステル化合物を含んでいれば、他の材料を含んでいてもよい。このような他の材料は、例えば、以下で説明する有機溶媒(非水溶媒)などのいずれか1種類あるいは2種類以上である。
非水溶媒の一例としては、以下のものなどが挙げられる。炭酸エチレン、炭酸プロピレン、炭酸ブチレン、炭酸ジメチル、炭酸ジエチル、炭酸エチルメチル、炭酸メチルプロピル、γ−ブチロラクトン、γ−バレロラクトン、1,2−ジメトキシエタンあるいはテトラヒドロフランである。2−メチルテトラヒドロフラン、テトラヒドロピラン、1,3−ジオキソラン、4−メチル−1,3−ジオキソラン、1,3−ジオキサンあるいは1,4−ジオキサンである。酢酸メチル、酢酸エチル、プロピオン酸メチル、プロピオン酸エチル、酪酸メチル、イソ酪酸メチル、トリメチル酢酸メチルあるいはトリメチル酢酸エチルである。アセトニトリル、グルタロニトリル、アジポニトリル、メトキシアセトニトリル、3−メトキシプロピオニトリル、N,N−ジメチルホルムアミド、N−メチルピロリジノンあるいはN−メチルオキサゾリジノンである。N,N’−ジメチルイミダゾリジノン、ニトロメタン、ニトロエタン、スルホラン、燐酸トリメチルあるいはジメチルスルホキシドである。優れた電池容量、サイクル特性および保存特性などが得られるからである。
中でも、炭酸エチレン、炭酸プロピレン、炭酸ジメチル、炭酸ジエチルおよび炭酸エチルメチルのうちの少なくとも1種が好ましい。優れた電池容量、サイクル特性および保存特性などが得られるからである。この場合には、炭酸エチレンあるいは炭酸プロピレンなどの高粘度(高誘電率)溶媒(例えば比誘電率ε≧30)と、炭酸ジメチル、炭酸エチルメチルあるいは炭酸ジエチルなどの低粘度溶媒(例えば粘度≦1mPa・s)との組み合わせがより好ましい。電解質塩の解離性およびイオンの移動度が向上するからである。
特に、非水溶媒は、式(2)〜式(4)で表される不飽和炭素結合環状炭酸エステルのうちの少なくとも1種を含んでいることが好ましい。充放電時において負極22などの表面に安定な保護膜が形成されるため、電解液の分解反応が抑制されるからである。この「不飽和炭素結合環状炭酸エステル」とは、1あるいは2以上の不飽和炭素結合を有する環状炭酸エステルである。非水溶媒中における不飽和炭素結合環状炭酸エステルの含有量は、例えば、0.01重量%〜10重量%である。なお、不飽和炭素結合環状炭酸エステルの種類は、以下で説明するものに限られず、他のものでもよい。
Figure 2011124008
(R11およびR12は水素基あるいはアルキル基である。)
Figure 2011124008
(R13〜R16は水素基、アルキル基、ビニル基あるいはアリル基であり、それらのうちの少なくとも1つはビニル基あるいはアリル基である。)
Figure 2011124008
(R17はアルキレン基である。)
式(2)に示した不飽和炭素結合環状炭酸エステルは、炭酸ビニレン系化合物である。この炭酸ビニレン系化合物の一例としては、以下のものなどが挙げられる。炭酸ビニレン、炭酸メチルビニレンあるいは炭酸エチルビニレンである。また、4,5−ジメチル−1,3−ジオキソール−2−オン、4,5−ジエチル−1,3−ジオキソール−2−オン、4−フルオロ−1,3−ジオキソール−2−オンあるいは4−トリフルオロメチル−1,3−ジオキソール−2−オンである。中でも、炭酸ビニレンが好ましい。容易に入手できると共に、高い効果が得られるからである。
式(3)に示した不飽和炭素結合環状炭酸エステルは、炭酸ビニルエチレン系化合物である。この炭酸ビニルエチレン系化合物の一例としては、以下のものなどが挙げられる。炭酸ビニルエチレン、4−メチル−4−ビニル−1,3−ジオキソラン−2−オンあるいは4−エチル−4−ビニル−1,3−ジオキソラン−2−オンである。また、4−n−プロピル−4−ビニル−1,3−ジオキソラン−2−オン、5−メチル−4−ビニル−1,3−ジオキソラン−2−オン、4,4−ジビニル−1,3−ジオキソラン−2−オンあるいは4,5−ジビニル−1,3−ジオキソラン−2−オンである。中でも、炭酸ビニルエチレンが好ましい。容易に入手できると共に、高い効果が得られるからである。もちろん、R23〜R26としては、全てがビニル基でもよいし、全てがアリル基でもよいし、ビニル基とアリル基とが混在してもよい。
式(4)に示した不飽和炭素結合環状炭酸エステルは、炭酸メチレンエチレン系化合物である。この炭酸メチレンエチレン系化合物の一例としては、以下のものなどが挙げられる。4−メチレン−1,3−ジオキソラン−2−オン、4,4−ジメチル−5−メチレン−1,3−ジオキソラン−2−オンあるいは4,4−ジエチル−5−メチレン−1,3−ジオキソラン−2−オンである。この炭酸メチレンエチレン系化合物としては、1つのメチレン基を有するもの(式(4)に示した化合物)の他、2つのメチレン基を有するものでもよい。
なお、不飽和炭素結合環状炭酸エステルとしては、式(2)〜式(4)に示したものの他、ベンゼン環を有する炭酸カテコール(カテコールカーボネート)などでもよい。
また、非水溶媒は、式(5)で表されるハロゲン化鎖状炭酸エステルおよび式(6)で表されるハロゲン化環状炭酸エステルのうちの少なくとも1種を含んでいることが好ましい。充放電時において負極22などの表面に安定な保護膜が形成されるため、電解液の分解反応が抑制されるからである。この「ハロゲン化鎖状炭酸エステル」とは、ハロゲンを構成元素として含む鎖状炭酸エステルであり、「ハロゲン化環状炭酸エステル」とは、ハロゲンを構成元素として含む環状炭酸エステルである。なお、R21〜R26は、同じ基でもよいし、異なる基でもよい。このことは、R27〜R30についても、同様である。非水溶媒中におけるハロゲン化鎖状炭酸エステルおよびハロゲン化環状炭酸エステルの含有量は、例えば、0.01重量%〜50重量%である。ハロゲン化鎖状炭酸エステルあるいはハロゲン化環状炭酸エステルの種類は、必ずしも下記で説明するものに限られず、他のものでもよい。
Figure 2011124008
(R21〜R26は水素基、ハロゲン基、アルキル基あるいはハロゲン化アルキル基であり、それらのうちの少なくとも1つはハロゲン基あるいはハロゲン化アルキル基である。)
Figure 2011124008
(R27〜R30は水素基、ハロゲン基、アルキル基あるいはハロゲン化アルキル基であり、それらのうちの少なくとも1つはハロゲン基あるいはハロゲン化アルキル基である。)
ハロゲンの種類は、特に限定されないが、中でも、フッ素、塩素あるいは臭素が好ましく、フッ素がより好ましい。他のハロゲンよりも高い効果が得られるからである。ただし、ハロゲンの数は、1つよりも2つが好ましく、さらに3つ以上でもよい。保護膜を形成する能力が高くなり、より強固で安定な保護膜が形成されるため、電解液の分解反応がより抑制されるからである。
ハロゲン化鎖状炭酸エステルの一例としては、炭酸フルオロメチルメチル、炭酸ビス(フルオロメチル)あるいは炭酸ジフルオロメチルメチルなどが挙げられる。また、ハロゲン化環状炭酸エステルの一例としては、式(6−1)〜式(6−21)で表されるものなどが挙げられる。このハロゲン化環状炭酸エステルには、幾何異性体も含まれる。中でも、式(6−1)に示した4−フルオロ−1,3−ジオキソラン−2−オンあるいは式(6−3)に示した4,5−ジフルオロ−1,3−ジオキソラン−2−オンが好ましく、後者がより好ましい。特に、4,5−ジフルオロ−1,3−ジオキソラン−2−オンでは、シス異性体よりもトランス異性体が好ましい。容易に入手できると共に、高い効果が得られるからである。
Figure 2011124008
また、非水溶媒は、スルトン(環状スルホン酸エステル)を含んでいることが好ましい。電解液の化学的安定性がより向上するからである。このスルトンの一例としては、プロパンスルトンあるいはプロペンスルトンなどが挙げられる。非水溶媒中におけるスルトンの含有量は、例えば、0.5重量%〜5重量%である。ただし、スルトンの種類は、必ずしも上記したものに限られない。
さらに、非水溶媒は、酸無水物を含んでいることが好ましい。電解液の化学的安定性がより向上するからである。酸無水物としては、例えば、例えば、カルボン酸無水物、ジスルホン酸無水物、あるいはカルボン酸とスルホン酸との無水物などが挙げられる。カルボン酸無水物は、例えば、無水コハク酸、無水グルタル酸あるいは無水マレイン酸などである。ジスルホン酸無水物は、例えば、無水エタンジスルホン酸あるいは無水プロパンジスルホン酸などである。カルボン酸とスルホン酸との無水物は、例えば、無水スルホ安息香酸、無水スルホプロピオン酸あるいは無水スルホ酪酸などである。非水溶媒中における酸無水物の含有量は、例えば、0.5重量%〜5重量%である。ただし、酸無水物の種類は、必ずしも上記した化合物に限られない。
[電解質塩]
電解質塩は、例えば、リチウム塩などの軽金属塩のいずれか1種類あるいは2種類以上を含んでいる。ただし、電解質塩は、例えば、軽金属塩以外の他の塩を含んでいてもよい。
リチウム塩の一例としては、以下の化合物などが挙げられる。六フッ化リン酸リチウム、四フッ化ホウ酸リチウム、過塩素酸リチウムあるいは六フッ化ヒ酸リチウムである。テトラフェニルホウ酸リチウム(LiB(C6 5 4 )、メタンスルホン酸リチウム(LiCH3 SO3 )、トリフルオロメタンスルホン酸リチウム(LiCF3 SO3 )あるいはテトラクロロアルミン酸リチウム(LiAlCl4 )である。六フッ化ケイ酸二リチウム(Li2 SiF6 )、塩化リチウム(LiCl)あるいは臭化リチウム(LiBr)である。モノフルオロリン酸リチウム(LiPFO3 )あるいはジフルオロリン酸リチウム(LiPF2 2 )である。優れた電池容量、サイクル特性および保存特性などが得られるからである。電解質塩の種類は、必ずしも上記した化合物に限られず、他の化合物でもよい。
中でも、六フッ化リン酸リチウム、四フッ化ホウ酸リチウム、過塩素酸リチウムおよび六フッ化ヒ酸リチウムのうちの少なくとも1種が好ましく、六フッ化リン酸リチウムがより好ましい。内部抵抗が低下するため、より高い効果が得られるからである。
特に、電解質塩は、式(7)〜式(9)で表される化合物のうちの少なくとも1種を含んでいることが好ましい。より高い効果が得られるからである。なお、R31およびR33は、同じ基でもよいし、異なる基でもよい。このことは、R41〜R43およびR51およびR52についても、同様である。ただし、電解質塩の種類は、必ずしも下記で説明する化合物に限られず、他の化合物でもよい。
Figure 2011124008
(X31は長周期型周期表における1族元素あるいは2族元素、またはアルミニウムである。M31は遷移金属元素、または長周期型周期表における13族元素、14族元素あるいは15族元素である。R31はハロゲン基である。Y31は−(O=)C−R32−C(=O)−、−(O=)C−C(R33)2 −あるいは−(O=)C−C(=O)−である。ただし、R32はアルキレン基、ハロゲン化アルキレン基、アリーレン基あるいはハロゲン化アリーレン基である。R33はアルキル基、ハロゲン化アルキル基、アリール基あるいはハロゲン化アリール基である。なお、a3は1〜4の整数であり、b3は0、2あるいは4であり、c3、d3、m3およびn3は1〜3の整数である。)
Figure 2011124008
(X41は長周期型周期表における1族元素あるいは2族元素である。M41は遷移金属元素、または長周期型周期表における13族元素、14族元素あるいは15族元素である。Y41は−(O=)C−(C(R41)2 b4−C(=O)−、−(R43)2 C−(C(R42)2 c4−C(=O)−、−(R43)2 C−(C(R42)2 c4−C(R43)2 −、−(R43)2 C−(C(R42)2 c4−S(=O)2 −、−(O=)2 S−(C(R42)2 d4−S(=O)2 −あるいは−(O=)C−(C(R42)2 d4−S(=O)2 −である。ただし、R41およびR43は水素基、アルキル基、ハロゲン基あるいはハロゲン化アルキル基であり、それぞれのうちの少なくとも1つはハロゲン基あるいはハロゲン化アルキル基である。R42は水素基、アルキル基、ハロゲン基あるいはハロゲン化アルキル基である。なお、a4、e4およびn4は1あるいは2であり、b4およびd4は1〜4の整数であり、c4は0〜4の整数であり、f4およびm4は1〜3の整数である。)
Figure 2011124008
(X51は長周期型周期表における1族元素あるいは2族元素である。M51は遷移金属元素、または長周期型周期表における13族元素、14族元素あるいは15族元素である。Rfはフッ素化アルキル基あるいはフッ素化アリール基であり、いずれの炭素数も1〜10である。Y51は−(O=)C−(C(R51)2 d5−C(=O)−、−(R52)2 C−(C(R51)2 d5−C(=O)−、−(R52)2 C−(C(R51)2 d5−C(R52)2 −、−(R52)2 C−(C(R51)2 d5−S(=O)2 −、−(O=)2 S−(C(R51)2 e5−S(=O)2 −あるいは−(O=)C−(C(R51)2 e5−S(=O)2 −である。ただし、R51は水素基、アルキル基、ハロゲン基あるいはハロゲン化アルキル基である。R52は水素基、アルキル基、ハロゲン基あるいはハロゲン化アルキル基であり、そのうちの少なくとも1つはハロゲン基あるいはハロゲン化アルキル基である。なお、a5、f5およびn5は1あるいは2であり、b5、c5およびe5は1〜4の整数であり、d5は0〜4の整数であり、g5およびm5は1〜3の整数である。)
なお、1族元素とは、水素、リチウム、ナトリウム、カリウム、ルビジウム、セシウムおよびフランシウムである。2族元素とは、ベリリウム、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、バリウムおよびラジウムである。13族元素とは、ホウ素、アルミニウム、ガリウム、インジウムおよびタリウムである。14族元素とは、炭素、ケイ素、ゲルマニウム、スズおよび鉛である。15族元素とは、窒素、リン、ヒ素、アンチモンおよびビスマスである。
式(7)に示した化合物の一例としては、式(7−1)〜式(7−6)で表されるものなどが挙げられる。式(8)に示した化合物の一例としては、式(8−1)〜式(8−8)で表されるものなどが挙げられる。式(9)に示した化合物の一例としては、式(9−1)で表されるものなどが挙げられる。
Figure 2011124008
Figure 2011124008
Figure 2011124008
また、電解質塩は、式(10)〜式(12)で表される化合物のうちの少なくとも1種を含んでいることが好ましい。より高い効果が得られるからである。なお、mおよびnは、同じ値でもよいし、異なる値でもよい。このことは、p、qおよびrについても、同様である。電解質塩の種類は、必ずしも下記で説明する化合物に限られず、他の化合物でもよい。
LiN(Cm 2m+1SO2 )(Cn 2n+1SO2 )…(10)
(mおよびnは1以上の整数である。)
Figure 2011124008
(R71は炭素数=2〜4の直鎖状あるいは分岐状のパーフルオロアルキレン基である。)
LiC(Cp 2p+1SO2 )(Cq 2q+1SO2 )(Cr 2r+1SO2 )…(12)
(p、qおよびrは1以上の整数である。)
式(10)に示した化合物は、鎖状のイミド化合物である。この化合物の一例としては、以下のものなどが挙げられる。ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドリチウム(LiN(CF3 SO2 2 )あるいはビス(ペンタフルオロエタンスルホニル)イミドリチウム(LiN(C2 5 SO2 2 )である。(トリフルオロメタンスルホニル)(ペンタフルオロエタンスルホニル)イミドリチウム(LiN(CF3 SO2 )(C2 5 SO2 ))である。(トリフルオロメタンスルホニル)(ヘプタフルオロプロパンスルホニル)イミドリチウム(LiN(CF3 SO2 )(C3 7 SO2 ))である。(トリフルオロメタンスルホニル)(ノナフルオロブタンスルホニル)イミドリチウム(LiN(CF3 SO2 )(C4 9 SO2 ))である。
式(11)に示した化合物は、環状のイミド化合物である。この化合物の一例としては、式(11−1)〜式(11−4)で表されるものなどが挙げられる。
Figure 2011124008
式(12)に示した化合物は、鎖状のメチド化合物である。この化合物の一例としては、リチウムトリス(トリフルオロメタンスルホニル)メチド(LiC(CF3 SO2 3 )などが挙げられる。
電解質塩の含有量は、非水溶媒に対して0.3mol/kg〜3.0mol/kgであることが好ましい。高いイオン伝導性が得られるからである。
[二次電池の動作]
この二次電池では、充電時において、例えば、正極21からリチウムイオンが放出され、セパレータ23に含浸された電解液を介して負極22に吸蔵される。一方、放電時において、例えば、負極22からリチウムイオンが放出され、セパレータ23に含浸された電解液を介して正極21に吸蔵される。
[二次電池の製造方法]
この二次電池は、例えば、以下の手順により製造される。
まず、正極21を作製する。最初に、正極活物質と、必要に応じて正極結着剤および正極導電剤などとを混合して正極合剤としたのち、有機溶剤に分散させてペースト状の正極合剤スラリーとする。続いて、正極集電体21Aの両面に正極合剤スラリーを均一に塗布してから乾燥させて、正極活物質層21Bを形成する。最後に、必要に応じて加熱しながら、ロールプレス機などを用いて正極活物質層21Bを圧縮成型する。この場合には、複数回に渡って圧縮成型を繰り返してもよい。
次に、上記した正極21と同様の手順により、負極22を作製する。この場合には、負極活物質と、必要に応じて負極結着剤および負極導電剤などとを混合した負極合剤を有機溶剤に分散させて、ペースト状の負極合剤スラリーとする。こののち、負極集電体22Aの両面に負極合剤スラリーを均一に塗布して負極活物質層22Bを形成したのち、その負極活物質層22Bを圧縮成型する。
なお、正極21とは異なる手順により、負極22を作製してもよい。この場合には、最初に、蒸着法などの気相法を用いて負極集電体22Aの両面に負極材料を堆積させて、複数の負極活物質粒子を形成する。こののち、必要に応じて、液相析出法などの液相法を用いて酸化物含有膜を形成し、あるいは電解鍍金法などの液相法を用いて金属材料を形成し、または双方を形成して、負極活物質層22Bを形成する。
次に、環状炭酸エステル化合物を含む非水溶媒に電解質塩を溶解させて、電解液を調製する。
最後に、正極21および負極22と共に電解液を用いて二次電池を組み立てる。最初に、正極集電体21Aに正極リード25を溶接などして取り付けると共に、負極集電体22Aに負極リード26を溶接などして取り付ける。続いて、セパレータ23を介して正極21と負極22とを積層および巻回させて巻回電極体20を作製したのち、その巻回中心にセンターピン24を挿入する。続いて、一対の絶縁板12,13で挟みながら、巻回電極体20を電池缶11の内部に収納する。この場合には、正極リード25の先端部を安全弁機構15に溶接などして取り付けると共に、負極リード26の先端部を電池缶11に溶接などして取り付ける。続いて、電池缶11の内部に電解液を注入して、セパレータ23に含浸させる。最後に、ガスケット17を介して電池缶11の開口端部に電池蓋14、安全弁機構15および熱感抵抗素子16をかしめる。これにより、図1および図2に示した二次電池が完成する。
このリチウムイオン二次電池によれば、電解液が上記した環状炭酸エステル化合物を含んでいるので、充放電時において電解液の分解反応が抑制され、さらに低温環境下においては高いイオン伝導性も確保される。よって、サイクル特性および保存特性を向上させることができると共に、特に、低温サイクル特性を向上させることができる。この場合には、電解液の非水溶媒中における環状炭酸エステル化合物の含有量が0.01重量%〜20重量%であれば、より高い効果を得ることができる。
また、電解液の非水溶媒が不飽和炭素結合環状炭酸エステル、ハロゲン化鎖状炭酸エステル、ハロゲン化環状炭酸エステル、スルトンおよび酸無水物のうちの少なくとも1種を含んでいれば、より高い効果を得ることができる。また、電解質塩が六フッ化リン酸リチウム、四フッ化ホウ酸リチウム、過塩素酸リチウム、六フッ化ヒ酸リチウムおよび式(7)〜式(12)に示した化合物のうちの少なくとも1種を含んでいれば、より高い効果を得ることができる。
また、負極22の負極活物質として高容量化に有利な金属系材料(ケイ素の単体あるいはSnCoC含有材料など)を用いた場合においてサイクル特性等が向上するため、炭素材料などの他の負極材料を用いた場合よりも高い効果を得ることができる。
<2−2.リチウムイオン二次電池(ラミネートフィルム型)>
図7はリチウムイオン二次電池(ラミネートフィルム型)の分解斜視構成を表しており、図8は図7に示した巻回電極体30のVIII−VIII線に沿った断面を拡大して示している。
この二次電池は、主に、フィルム状の外装部材40の内部に巻回電極体30が収納されたものである。この巻回電極体30は、セパレータ35および電解質層36を介して正極33と負極34とが積層および巻回された巻回積層体である。正極33には正極リード31が取り付けられていると共に、負極34には負極リード32が取り付けられている。この巻回電極体30の最外周部は、保護テープ37により保護されている。
正極リード31および負極リード32は、例えば、外装部材40の内部から外部に向かって同一方向に導出されている。正極リード31は、例えば、アルミニウムなどの導電性材料により形成されていると共に、負極リード32は、例えば、銅、ニッケルあるいはステンレスなどの導電性材料により形成されている。これらの材料は、例えば、薄板状あるいは網目状になっている。
外装部材40は、例えば、融着層、金属層および表面保護層がこの順に積層されたラミネートフィルムである。この場合には、例えば、融着層が巻回電極体30と対向するように、2枚のフィルムの融着層における外縁部同士が融着、あるいは接着剤などにより貼り合わされている。融着層は、例えば、ポリエチレンあるいはポリプロピレンなどの高分子フィルムである。金属層は、例えば、アルミニウム箔などの金属箔である。表面保護層は、例えば、ナイロンあるいはポリエチレンテレフタレートなどの高分子フィルムである。
中でも、外装部材40としては、ポリエチレンフィルム、アルミニウム箔およびナイロンフィルムがこの順に積層されたアルミラミネートフィルムが好ましい。ただし、外装部材40は、上記したアルミラミネートフィルムに代えて、他の積層構造を有するラミネートフィルムでもよいし、ポリプロピレンなどの高分子フィルムあるいは金属フィルムでもよい。
外装部材40と正極リード31および負極リード32との間には、外気の侵入を防止するための密着フィルム41が挿入されている。この密着フィルム41は、正極リード31および負極リード32に対して密着性を有する材料により形成されている。このような材料としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、変性ポリエチレンあるいは変性ポリプロピレンなどのポリオレフィン樹脂が挙げられる。
正極33は、例えば、正極集電体33Aの両面に正極活物質層33Bが設けられたものである。正極集電体33Aおよび正極活物質層33Bの構成は、それぞれ正極集電体21Aおよび正極活物質層21Bと同様である。負極34は、例えば、負極集電体34Aの両面に負極活物質層34Bが設けられたものである。負極集電体34Aおよび負極活物質層34Bの構成は、それぞれ負極集電体22Aおよび負極活物質層22Bの構成と同様である。
なお、セパレータ35の構成は、セパレータ23の構成と同様である。
電解質層36は、高分子化合物により電解液が保持されたものであり、必要に応じて、各種添加剤などの他の材料を含んでいてもよい。この電解質層36は、いわゆるゲル状の電解質である。ゲル状の電解質は、高いイオン伝導率(例えば、室温で1mS/cm以上)が得られると共に電解液の漏液が防止されるので好ましい。
高分子化合物としては、例えば、以下の高分子材料うちの少なくとも1種が挙げられる。ポリアクリロニトリル、ポリフッ化ビニリデン、ポリテトラフルオロエチレン、ポリヘキサフルオロプロピレン、ポリエチレンオキサイド、ポリプロピレンオキサイド、ポリフォスファゼン、ポリシロキサンあるいはポリフッ化ビニルである。ポリ酢酸ビニル、ポリビニルアルコール、ポリメタクリル酸メチル、ポリアクリル酸、ポリメタクリル酸、スチレン−ブタジエンゴム、ニトリル−ブタジエンゴム、ポリスチレンあるいはポリカーボネートである。フッ化ビニリデンとヘキサフルオロピレンとの共重合体である。これらは単独でもよいし、複数種が混合されてもよい。中でも、ポリフッ化ビニリデン、あるいはフッ化ビニリデンとヘキサフルオロピレンとの共重合体が好ましい。電気化学的に安定だからである。
電解液の組成は、円筒型における電解液の組成と同様である。ただし、ゲル状の電解質である電解質層36において、電解液の非水溶媒とは、液状の溶媒だけでなく、電解質塩を解離させることが可能なイオン伝導性を有するものまで含む広い概念である。よって、イオン伝導性を有する高分子化合物を用いる場合には、その高分子化合物も非水溶媒に含まれる。
なお、高分子化合物により電解液が保持されたゲル状の電解質層36に代えて、電解液をそのまま用いてもよい。この場合には、電解液がセパレータ35に含浸される。
この二次電池では、充電時において、例えば、正極33からリチウムイオンが放出され、電解質層36を介して負極34に吸蔵される。一方、放電時において、例えば、負極34からリチウムイオンが放出され、電解質層36を介して正極33に吸蔵される。
このゲル状の電解質層36を備えた二次電池は、例えば、以下の3種類の手順により製造される。
第1手順では、最初に、正極21および負極22と同様の手順により、正極33および負極34を作製する。具体的には、正極集電体33Aの両面に正極活物質層33Bを形成して正極33を作製すると共に、負極集電体34Aの両面に負極活物質層34Bを形成して負極34を作製する。続いて、電解液、高分子化合物および溶剤を含む前駆溶液を調製して正極33および負極34に塗布したのち、その溶剤を揮発させてゲル状の電解質層36を形成する。続いて、正極集電体33Aに正極リード31を溶接などして取り付けると共に、負極集電体34Aに負極リード32を溶接などして取り付ける。続いて、電解質層36が形成された正極33と負極34とをセパレータ35を介して積層および巻回したのち、その最外周部に保護テープ37を接着させて、巻回電極体30を作製する。最後に、2枚のフィルム状の外装部材40の間に巻回電極体30を挟み込んだのち、その外装部材40の外縁部同士を熱融着などで接着させて、巻回電極体30を封入する。この際、正極リード31および負極リード32と外装部材40との間に、密着フィルム41を挿入する。
第2手順では、最初に、正極33に正極リード31を取り付けると共に、負極34に負極リード32を取り付ける。続いて、セパレータ35を介して正極33と負極34とを積層して巻回させたのち、その最外周部に保護テープ37を接着させて、巻回電極体30の前駆体である巻回体を作製する。続いて、2枚のフィルム状の外装部材40の間に巻回体を挟み込んだのち、一辺の外周縁部を除いた残りの外周縁部を熱融着などで接着させて、袋状の外装部材40の内部に巻回体を収納する。続いて、電解液と、高分子化合物の原料であるモノマーと、重合開始剤と、必要に応じて重合禁止剤などの他の材料とを含む電解質用組成物を調製して袋状の外装部材40の内部に注入したのち、その外装部材40の開口部を熱融着などで密封する。最後に、モノマーを熱重合させて高分子化合物とし、ゲル状の電解質層36を形成する。
第3手順では、最初に、高分子化合物が両面に塗布されたセパレータ35を用いることを除き、上記した第2手順と同様に、巻回体を形成して袋状の外装部材40の内部に収納する。このセパレータ35に塗布する高分子化合物としては、例えば、フッ化ビニリデンを成分とする重合体(単独重合体、共重合体、あるいは多元共重合体など)が挙げられる。具体的には、ポリフッ化ビニリデンや、フッ化ビニリデンおよびヘキサフルオロプロピレンを成分とする二元系共重合体や、フッ化ビニリデン、ヘキサフルオロプロピレンおよびクロロトリフルオロエチレンを成分とする三元系共重合体などである。なお、高分子化合物は、上記したフッ化ビニリデンを成分とする重合体と共に、他の1種類あるいは2種類以上の高分子化合物を含んでいてもよい。続いて、電解液を調製して外装部材40の内部に注入したのち、その外装部材40の開口部を熱融着などで密封する。最後に、外装部材40に加重をかけながら加熱して、高分子化合物を介してセパレータ35を正極33および負極34に密着させる。これにより、電解液が高分子化合物に含浸し、その高分子化合物がゲル化して電解質層36が形成される。
この第3手順では、第1手順よりも電池膨れが抑制される。また、第3手順では、第2手順よりも高分子化合物の原料であるモノマーあるいは他の材料などが電解質層36中にほとんど残らず、しかも高分子化合物の形成工程が良好に制御される。このため、正極33、負極34およびセパレータ35と電解質層36との間において十分な密着性が得られる。
このリチウムイオン二次電池によれば、電解質層36の電解液が上記した環状炭酸エステル化合物を含んでいる。よって、円筒型の場合と同様の作用により、サイクル特性および保存特性を向上させることができると共に、特に、低温サイクル特性を向上させることができる。これ以外の効果は、円筒型の場合と同様である。
<2−3.リチウム金属二次電池(円筒型,ラミネートフィルム型)>
ここで説明する二次電池は、負極の容量がリチウム金属の析出溶解により表されるリチウム金属二次電池である。この二次電池は、負極活物質層22Bがリチウム金属により構成されていることを除き、上記したリチウムイオン二次電池(円筒型)と同様の構成を有していると共に、同様の手順により製造される。
この二次電池は、負極活物質としてリチウム金属を用いており、それにより高いエネルギー密度を得ることができるようになっている。負極活物質層22Bは、組み立て時から既に存在するようにしてもよいが、組み立て時には存在せず、充電時に析出したリチウム金属により構成されるようにしてもよい。また、負極活物質層22Bを集電体としても利用して、負極集電体22Aを省略してもよい。
この二次電池では、充電時において、例えば、正極21からリチウムイオンが放出され、セパレータ23に含浸された電解液を介して負極集電体22Aの表面にリチウム金属となって析出する。一方、放電時において、例えば、負極活物質層22Bからリチウム金属がリチウムイオンとなって溶出し、セパレータ23に含浸された電解液を介して正極21に吸蔵される。
このリチウム金属二次電池によれば、電解液が上記した環状炭酸エステル化合物を含んでいる。よって、リチウムイオン二次電池と同様の作用により、サイクル特性および保存特性を向上させることができると共に、特に、低温サイクル特性を向上させることができる。これ以外の効果は、リチウムイオン二次電池と同様である。なお、上記したリチウム金属二次電池は、円筒型に限らず、ラミネートフィルム型でもよい。この場合においても、同様の効果を得ることができる。
<3.二次電池の用途>
次に、上記した二次電池の適用例について説明する。
二次電池の用途は、それを駆動用の電源あるいは電力蓄積用の電力貯蔵源などとして用いることが可能な機械、機器、器具、装置あるいはシステム(複数の機器などの集合体)などであれば、特に限定されない。二次電池が電源として用いられる場合、それは主電源(優先的に使用される電源)でもよいし、補助電源(主電源に代えて、あるいは主電源から切り換えて使用される電源)でもよい。この主電源の種類は、二次電池に限られない。
二次電源の用途としては、例えば、以下の用途などが挙げられる。ビデオカメラ、デジタルスチルカメラ、携帯電話機、ノートパソコン、コードレス電話機、ヘッドホンステレオ、携帯用ラジオ、携帯用テレビあるいは携帯用情報端末(PDA:Personal Digital Assistant)などの携帯用電子機器である。電気シェーバなどの携帯用生活器具である。バックアップ電源あるいはメモリーカードなどの記憶用装置である。電動ドリルあるいは電動のこぎりなどの電動工具である。ペースメーカーあるいは補聴器などの医療用電子機器である。電気自動車(ハイブリット自動車を含む)などの車両である。非常時などに備えて電力を蓄積しておく家庭用バッテリシステムなどの電力貯蔵システムである。
中でも、二次電池は、電動工具、電気自動車あるいは電力貯蔵システムなどに適用されることが有効である。二次電池について優れた特性(サイクル特性、保存特性および負荷特性など)が要求されるため、本発明の二次電池を用いることにより、有効に特性向上を図ることができるからである。なお、電動工具は、二次電池を駆動用の電源として可動部(例えばドリルなど)が可動するものである。電気自動車は、二次電池を駆動用電源として作動(走行)するものであり、上記したように、二次電池以外の駆動源も併せて備えた自動車(ハイブリット自動車など)でもよい。電力貯蔵システムは、二次電池を電力貯蔵源として用いるシステムである。例えば、家庭用の電力貯蔵システムでは、電力貯蔵源である二次電池に電力が貯蔵されており、その二次電池に貯蔵された電力が必要に応じて消費されるため、家庭用電気製品などの各種機器が使用可能になる。
本発明の具体的な実施例について、詳細に説明する。
(実験例1−1〜1−15)
以下の手順により、図1および図2に示した円筒型のリチウムイオン二次電池を作製した。
まず、正極21を作製した。最初に、炭酸リチウム(Li2 CO3 )と炭酸コバルト(CoCO3 )とを0.5:1のモル比で混合したのち、空気中で900℃×5時間焼成してリチウムコバルト複合酸化物(LiCoO2 )を得た。続いて、正極活物質としてリチウムコバルト複合酸化物91質量部と、正極導電剤としてグラファイト6質量部と、正極結着剤としてポリフッ化ビニリデン3質量部とを混合して、正極合剤とした。続いて、正極合剤をN−メチル−2−ピロリドンに分散させて、ペースト状の正極合剤スラリーとした。続いて、コーティング装置を用いて正極集電体21Aの両面に正極合剤スラリーを均一に塗布してから乾燥させて、正極活物質層21Bを形成した。この正極集電体21Aとしては、帯状のアルミニウム箔(厚さ=20μm)を用いた。最後に、ロールプレス機を用いて正極活物質層21Bを圧縮成型した。
次に、負極22を作製した。最初に、負極活物質として人造黒鉛90質量部と、負極結着剤としてポリフッ化ビニリデン10質量部とを混合して、負極合剤とした。続いて、負極合剤をN−メチル−2−ピロリドンに分散させて、ペースト状の負極合剤スラリーとした。続いて、コーティング装置を用いて負極集電体22Aの両面に負極合剤スラリーを均一に塗布してから乾燥させて、負極活物質層22Bを形成した。この負極集電体22Aとしては、帯状の電解銅箔(厚さ=15μm)を用いた。最後に、ロールプレス機を用いて負極活物質層22Bを圧縮成型した。
次に、液状の電解質である電解液を調製した。最初に、非水溶媒として炭酸エチレン(EC)および炭酸ジメチル(DMC)と、他の非水溶媒として環状炭酸エステル化合物とを混合した。この場合には、ECおよびDMCの混合比を重量比でEC:DMC=50:50とし、環状炭酸エステル化合物の種類および含有量を表1に示したように設定した。こののち、非水溶媒に電解質塩として六フッ化リン酸リチウム(LiPF6 )を溶解させた。この場合には、電解質塩の含有量を溶媒に対して1mol/kgとした。
最後に、正極21および負極22と共に電解液を用いて二次電池を組み立てた。最初に、正極集電体21Aの一端にアルミニウム製の正極リード25を溶接すると共に、負極集電体22Aの一端にニッケル製の負極リード26を溶接した。続いて、セパレータ23を介して正極21と負極22とを積層および巻回させて巻回電極体20を作製したのち、その巻回中心にセンターピン24を挿入した。このセパレータ23としては、多孔性ポリプロピレンを主成分とするフィルムにより多孔性ポリエチレンを主成分とするフィルムが挟まれた3層構造体(厚さ=23μm)を用いた。続いて、一対の絶縁板12,13で挟みながら、巻回電極体20を電池缶11の内部に収納した。この場合には、正極リード25の先端部を安全弁機構15に溶接すると共に、負極リード26の先端部を電池缶11に溶接した。続いて、電池缶11の内部に電解液を注入して、セパレータ23に含浸させた。最後に、ガスケット17を介して電池缶11の開口端部に電池蓋14、安全弁機構15および熱感抵抗素子16をかしめることにより、円筒型の二次電池が完成した。この二次電池を作製する場合には、正極活物質層21Bの厚さを調節して、満充電時において負極22にリチウム金属が析出しないようにした。
(実験例1−16,1−17)
表1に示したように、環状炭酸エステル化合物を用いなかったことを除き、実験例1−4と同様の手順を経た。
これらの実験例1−1〜1−17の二次電池について、常温サイクル特性および保存特性を調べたところ、表1に示した結果が得られた。なお、実験例1−4,1−16,1−17の二次電池については、低温サイクル特性も併せて調べ、その結果も表1に示した。
常温サイクル特性を調べる場合には、最初に、23℃の雰囲気中で2サイクル充放電させて、2サイクル目の放電容量を測定した。続いて、同雰囲気中でサイクル数の合計が300サイクルとなるまで繰り返し充放電させて、300サイクル目の放電容量を測定した。最後に、常温サイクル維持率(%)=(300サイクル目の放電容量/2サイクル目の放電容量)×100を算出した。充電時には、0.2Cの電流で上限電圧4.2Vまで定電流定電圧充電した。放電時には、0.2Cの電流で終止電圧2.7Vまで定電流放電した。この「0.2C」とは、理論容量を5時間で放電しきる電流値である。
保存特性を調べる場合には、最初に、23℃の雰囲気中で2サイクル充放電させて、保存前の放電容量を測定した。続いて、再度充電させた状態で80℃の恒温槽中に10日間保存したのち、23℃の雰囲気中で放電させて、保存後の放電容量を測定した。最後に、高温保存維持率(%)=(保存後の放電容量/保存前の放電容量)×100を算出した。充放電の条件は、常温サイクル特性を調べた場合と同様である。
低温サイクル特性を調べる場合には、最初に、23℃の雰囲気中で2サイクル充放電させて、2サイクル目の放電容量を測定した。続いて、0℃の恒温槽中でサイクル数の合計が100サイクルとなるまで繰り返し充放電させて、100サイクル目の放電容量を測定した。最後に、低温サイクル維持率(%)=(100サイクル目の放電容量/2サイクル目の放電容量)×100を算出した。充放電の条件は、常温サイクル特性を調べた場合と同様である。
なお、上記した常温サイクル特性、高温保存特性および低温サイクル特性を調べる場合の手順および条件は、以降においても、同様である。
Figure 2011124008
負極活物質として炭素材料(人造黒鉛)を用いた二次電池では、環状炭酸エステル化合物を用いると、それを用いない場合と比較して、常温サイクル維持率および高温保存維持率および低温サイクル維持率が高くなった。特に、低温サイクル維持率は、他の非水溶媒を用いない場合(実験例1−16)と比較して、式(13)に示した化合物を用いると著しく低くなったが、環状炭酸エステル化合物を用いると著しく高くなった。この場合には、環状炭酸エステル化合物の含有量が0.01重量%〜20重量%であれば、より良好な結果が得られた。
(実験例2−1〜2−14)
表2に示したように、電解液における非水溶媒の組成を変更したことを除き、実験例1−4,1−16と同様の手順を経た。この場合には、非水溶媒として、炭酸ジエチル(DEC)、炭酸エチルメチル(EMC)あるいは炭酸プロピレン(PC)を用いた。炭酸ビニレン(VC)、炭酸ビス(フルオロメチル)(DFDMC)、4−フルオロ−1,3−ジオキソラン−2−オン(FEC)あるいはトランス−4,5−ジフルオロ−1,3−ジオキソラン−2−オン(DFEC)を用いた。プロペンスルトン(PRS)、無水スルホ安息香酸(SBAH)あるいは無水スルホプロピオン酸(SPAH)を用いた。この場合には、ECおよびDEC等の混合比を重量比でEC:DEC=50:50、EC:EMC=50:50、PC:DMC=50:50、あるいはEC:PC:DMC=10:20:70とした。VC、DFDMC、FEC、DFEC、PRS、SBAHおよびSPAHの含有量を2重量%とした。これらの実験例2−1〜2−14の二次電池について常温サイクル特性および保存特性を調べたところ、表2に示した結果が得られた。
Figure 2011124008
非水溶媒の組成を変更しても、表1の結果と同様に、高い常温サイクル維持率および高温保存維持率が得られた。特に、VC等を加えると、それらを加えなかった場合と比較して、常温サイクル維持率および高温保存維持率が高くなった。
(実験例3−1〜3−4)
表3に示したように、電解液における電解質塩の種類を変更したことを除き、実験例1−4と同様の手順を経た。この場合には、電解質塩として、四フッ化ホウ酸リチウム(LiBF4 )、あるいはジフルオロリン酸リチウム(LiPF2 2 )を用いた。式(8−8)に示した(4,4,4−トリフルオロブチル酸オキサラト)ホウ酸リチウム(LiTFOB)、あるいはビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドリチウム(LiN(CF3 SO2 2 :LiTFSI)を用いた。また、実験例3−1,3−3,3−4では、LiPF6 の含有量を非水溶媒に対して0.9mol/kgとし、LiBF4 等の含有量を非水溶媒に対して0.1mol/kgとした。実験例3−2では、LiPF6 の含有量を非水溶媒に対して1mol/kgとし、LiPF2 2 の含有量を非水溶媒に対して0.01重量%とした。これらの実験例3−1〜3−4の二次電池について常温サイクル特性および保存特性を調べたところ、表3に示した結果が得られた。
Figure 2011124008
電解質塩の種類を変更しても、表1の結果と同様に、高い常温サイクル維持率および高温保存維持率が得られた。
(実験例4−1〜4−15)
負極活物質としてケイ素を用いると共に、表4に示したように非水溶媒の種類および他の非水溶媒の含有量を変更したことを除き、実験例1−1〜1−17と同様の手順を経た。負極22を作製する場合には、蒸着法(電子ビーム蒸着法)を用いて負極集電体22Aの表面にケイ素を堆積させて、複数の負極活物質粒子を含む負極活物質層22Bを形成した。この場合には、10回の堆積工程を繰り返して、負極活物質層22Bの総厚を6μmとした。これらの実験例4−1〜4−15の二次電池について常温サイクル特性、保存特性および低温サイクル特性を調べたところ、表4に示した結果が得られた。
Figure 2011124008
負極活物質として金属系材料(ケイ素)を用いた二次電池においても、表1と同様の結果が得られた。すなわち、環状炭酸エステル化合物を用いると、それを用いない場合と比較して、常温サイクル維持率、保存維持率および低温サイクル維持率が高くなった。この場合においても、低温サイクル維持率は、他の非水溶媒を用いなかった場合と比較して、式(13)に示した化合物を用いると著しく低くなったが、環状炭酸エステル化合物を用いると高くなった。
(実験例5−1〜5−14)
表5に示したように、電解液における非水溶媒の組成を変更したことを除き、実験例4−4,4−14と同様の手順を経た。この場合、ECおよびDMC等の混合比を重量比でEC:DMC=50:50、EC:EMC=50:50、PC:DEC=50:50、あるいはEC:PC:DEC=10:20:70とした。また、VC、DFDMC、FECおよびDFECの含有量を5重量%とし、PRS、SBAHおよびSPAHの含有量を1重量%とした。これらの実験例5−1〜5−14の二次電池について常温サイクル特性および保存特性を調べたところ、表5に示した結果が得られた。
Figure 2011124008
非水溶媒の組成を変更しても、表4の結果と同様に、高い常温サイクル維持率および高温保存維持率が得られた。
(実験例6−1〜6−4)
表6に示したように、実験例4−1〜4−15と同様に負極活物質としてケイ素を用いたことを除き、実験例3−1〜3−4と同様の手順を経た。これらの実験例6−1〜6−4の二次電池について常温サイクル特性および保存特性を調べたところ、表6に示した結果が得られた。
Figure 2011124008
電解質塩の種類を変更しても、表4と同様に、高い常温サイクル維持率および高温保存維持率が得られた。
(実験例7−1〜7−3)
負極活物質としてSnCoC含有材料を用いて負極22を作製したことを除き、実験例4−4,4−14,4−15と同様の手順を経た。
負極22を作製する場合には、最初に、コバルト粉末およびスズ粉末を合金化してコバルト・スズ合金粉末としたのち、炭素粉末を加えて乾式混合した。続いて、伊藤製作所製の遊星ボールミルの反応容器中に、上記した混合物10gを直径9mmの鋼玉約400gと一緒にセットした。続いて、反応容器中をアルゴン雰囲気に置換したのち、毎分250回転の回転速度による10分間の運転と10分間の休止とを運転時間の合計が20時間になるまで繰り返した。続いて、反応容器を室温まで冷却してSnCoC含有材料を取り出したのち、280メッシュのふるいを通して粗粉を取り除いた。
得られたSnCoC含有材料の組成を分析したところ、スズの含有量は49.5質量%、コバルトの含有量は29.7質量%、炭素の含有量は19.8質量%、スズおよびコバルトの割合(Co/(Sn+Co))は37.5質量%であった。この際、スズおよびコバルトの含有量については誘導結合プラズマ(Inductively Coupled Plasma:ICP)発光分析で測定し、炭素の含有量については炭素・硫黄分析装置で測定した。また、X線回折法によりSnCoC含有材料を分析したところ、2θ=20°〜50°の範囲に1°以上の半値幅を有する回折ピークが観察された。さらに、XPSによりSnCoC含有材料を分析したところ、図9に示したように、ピークP1が得られた。このピークP1を解析すると、表面汚染炭素のピークP2と、それよりも低エネルギー側(284.5eVよりも低い領域)にSnCoC含有材料中におけるC1sのピークP3とが得られた。この結果から、SnCoC含有材料中の炭素は他の元素と結合していることが確認された。
SnCoC含有材料を得たのち、負極活物質としてSnCoC含有材料80質量部と、負極結着剤としてポリフッ化ビニリデン8質量部と、負極導電剤としてグラファイト11質量部およびアセチレンブラック1質量部とを混合して、負極合剤とした。続いて、負極合剤をN−メチル−2−ピロリドンに分散させて、ペースト状の負極合剤スラリーとした。最後に、コーティング装置を用いて負極集電体22Aの両面に負極合剤スラリーを均一に塗布してから乾燥させて負極活物質層22Bを形成したのち、ロールプレス機を用いて塗膜を圧縮成型した。
これらの実験例7−1〜7−3の二次電池について常温サイクル特性、保存特性および低温サイクル特性を調べたところ、表7に示した結果が得られた。
Figure 2011124008
負極活物質として金属系材料(SnCoC含有材料)を用いた二次電池では、表4と同様の結果が得られた。すなわち、環状炭酸エステル化合物を用いると、それを用いた場合と比較して、常温サイクル維持率、高温保存維持率および低温サイクル維持率が高くなった。この場合においても、低温サイクル維持率は、他の非水溶媒を用いなかった場合と比較して、式(13)に示した化合物を用いると著しく低くなったが、環状炭酸エステル化合物を用いると高くなった。
(実験例8−1〜8−6)
表8に示したように、酸化物含有膜および金属材料の双方あるいはいずれか一方を形成したことを除き、実験例4−4,4−14と同様の手順を経た。
酸化物含有膜を形成する場合には、最初に、実験例4−1〜4−15と同様の手順により、複数の負極活物質粒子を形成した。こののち、液相析出法を用いて負極活物質粒子の表面にケイ素の酸化物(SiO2 )を析出させた。この場合には、ケイフッ化水素酸にアニオン捕捉剤としてホウ素を溶解させた溶液中に、負極活物質粒子が形成された負極集電体22Aを3時間浸漬し、その負極活物質粒子の表面にケイ素の酸化物を析出させたのち、水洗してから減圧乾燥した。
金属材料を形成する場合には、電解鍍金法を用いて、鍍金浴にエアーを供給しながら通電して、負極活物質粒子間の隙間等にコバルト(Co)の鍍金膜を成長させた。この場合には、鍍金液として日本高純度化学株式会社製のコバルト鍍金液を用いると共に、電流密度を2A/dm2 〜5A/dm2 、鍍金速度を10nm/秒とした。
これらの実験例8−1〜8−6の二次電池について常温サイクル特性および保存特性を調べたところ、表8に示した結果が得られた。
Figure 2011124008
酸化物含有膜および金属材料を形成しても、表4の結果と同様に、高い常温サイクル維持率および高温保存維持率が得られた。特に、酸化物含有膜および金属材料の双方を形成すると、いずれか一方だけを形成した場合と比較して、常温サイクル維持率が高くなった。また、酸化物含有膜だけを形成すると、金属材料だけを形成した場合と比較して、常温サイクル維持率が高くなった。
上記した表1〜表8の結果から、以下のことが確認された。すなわち、本発明の二次電池では、電解液の非水溶媒が環状炭酸エステル化合物を含んでいる。このため、負極活物質の種類、溶媒の組成、電解質塩の種類、あるいは酸化物含有膜および金属材料の有無などに依存せずに、サイクル特性および保存特性が向上し、特に、低温サイクル特性が向上する。
この場合には、負極活物質として炭素材料(人造黒鉛)を用いた場合よりも金属系材料(ケイ素あるいはSnCoC含有材料)を用いた場合において、常温サイクル維持率、保存維持率および低温サイクル維持率の増加率が大きくなった。このことから、前者の場合よりも後者の場合において、より高い効果を得ることができる。この結果は、負極活物質として高容量化に有利な金属系材料を用いると、炭素材料を用いる場合よりも電解液が分解しやすくなるため、電解液の分解抑制効果が際立って発揮されたものと考えられる。
以上、実施形態および実施例を挙げて本発明を説明したが、本発明は実施形態および実施例で説明した態様に限定されず、種々の変形が可能である。例えば、本発明の環状炭酸エステル化合物の使用用途は、必ずしも二次電池に限らず、他の電気化学デバイスでよい。他の用途としては、例えば、キャパシタなどが挙げられる。
また、上記した実施形態および実施例では、二次電池の種類としてリチウムイオン二次電池あるいはリチウム金属二次電池について説明したが、必ずしもこれに限られるものではない。本発明の二次電池は、負極の容量がリチウムイオンの吸蔵放出による容量とリチウム金属の析出溶解による容量とを含み、かつ、それらの容量の和により表される場合についても、同様に適用可能である。この場合には、負極活物質として、リチウムイオンを吸蔵放出可能な負極材料が用いられると共に、負極材料の充電可能な容量は、正極の放電容量よりも小さくなるように設定される。
また、上記した実施形態および実施例では、電池構造が円筒型あるいはラミネートフィルム型である場合、ならびに電池素子が巻回構造を有する場合を例に挙げて説明したが、必ずしもこれに限られない。本発明の二次電池は、角型、コイン型あるいはボタン型などの他の電池構造を有する場合、あるいは電池素子が積層構造などの他の構造を有する場合についても、同様に適用可能である。
また、実施形態および実施例では、正極および負極において出入りする物質(キャリア)の構成元素としてリチウムを用いる場合について説明したが、これに限られない。このキャリアは、例えば、ナトリウム(Na)あるいはカリウム(K)などの他の1族元素、または、マグネシウムあるいはカルシウムなどの2族元素、または、アルミニウムなどの他の軽金属でもよい。本発明の効果は、キャリアの種類に依存せずに得られるはずであるため、そのキャリアの種類を変更しても、同様の効果を得ることができる。
また、上記した実施形態および実施例では、環状炭酸エステル化合物の含有量について、実施例の結果から導き出された適正範囲を説明しているが、その説明は、含有量が上記した範囲外となる可能性を完全に否定するものではない。すなわち、上記した適正範囲は、あくまで本発明の効果を得る上で特に好ましい範囲であるため、本発明の効果が得られるのであれば、上記した範囲から含有量が多少外れてもよい。
11…電池缶、12,13…絶縁板、14…電池蓋、15…安全弁機構、15A…ディスク板、16…熱感抵抗素子、17…ガスケット、20,30…巻回電極体、21,33…正極、21A,33A…正極集電体、21B,33B…正極活物質層、22,34…負極、22A,34A…負極集電体、22B,34B…負極活物質層、23,35…セパレータ、24…センターピン、25,31…正極リード、26,32…負極リード、36…電解質層、37…保護テープ、40…外装部材、41…密着フィルム、221…負極活物質粒子、222…酸化物含有膜、224(224A,224B)…隙間、225…空隙、226…金属材料。

Claims (14)

  1. 正極および負極と、非水溶媒および電解質塩を含む電解液とを備え、前記非水溶媒は式(1)で表される環状炭酸エステル化合物を含む、二次電池。
    Figure 2011124008
    (R1〜R8は、水素基あるいはハロゲン基、または、炭素数=1〜12のアルキル基、炭素数=2〜12のアルケニル基、炭素数=2〜12のアルキニル基、炭素数=6〜18のアリール基、炭素数=1〜12のアルコキシ基、あるいはそれらがハロゲン化された基である。ただし、R1〜R8は互いに結合して環構造を形成してもよい。)
  2. 前記ハロゲンはフッ素である、請求項1記載の二次電池。
  3. 前記環状炭酸エステル化合物は式(1−1)〜式(1−26)で表される化合物である、請求項1記載の二次電池。
    Figure 2011124008
    Figure 2011124008
  4. 前記環状炭酸エステル化合物は前記式(1−1)、式(1−6)あるいは式(1−9)に示した化合物である、請求項3記載の二次電池。
  5. 前記非水溶媒中における前記環状炭酸エステル化合物の含有量は0.01重量%以上20重量%以下である、請求項1記載の二次電池。
  6. 前記負極は、負極活物質として、炭素材料、リチウム金属(Li)、あるいはリチウムイオンを吸蔵および放出することが可能であると共に金属元素および半金属元素のうちの少なくとも1種を構成元素として含む材料を含有する、請求項1記載の二次電池。
  7. 前記負極は、負極活物質として、ケイ素(Si)およびスズ(Sn)のうちの少なくとも一方を構成元素として含む材料を含有する、請求項1記載の二次電池。
  8. 前記ケイ素およびスズのうちの少なくとも一方を構成元素として含む材料は、ケイ素の単体、あるいはスズとコバルト(Co)と炭素(C)とを構成元素として含むSnCoC含有材料であり、
    前記SnCoC含有材料において、炭素の含有量は9.9質量%以上29.7質量%以下、スズおよびコバルトの割合(Co/(Sn+Co))は20質量%以上70質量%以下であると共に、X線回折により得られる回折ピークの半値幅は1.0°以上である、請求項7記載の二次電池。
  9. リチウム二次電池である、請求項1記載の二次電池。
  10. 非水溶媒および電解質塩を含み、前記非水溶媒は式(1)で表される環状炭酸エステル化合物を含む、二次電池用電解液。
    Figure 2011124008
    (R1〜R8は、水素基あるいはハロゲン基、または、炭素数=1〜12のアルキル基、炭素数=2〜12のアルケニル基、炭素数=2〜12のアルキニル基、炭素数=6〜18のアリール基、炭素数=1〜12のアルコキシ基、あるいはそれらがハロゲン化された基である。ただし、R1〜R8は互いに結合して環構造を形成してもよい。)
  11. 式(1)で表される、環状炭酸エステル化合物。
    Figure 2011124008
    (R1〜R8は、水素基あるいはハロゲン基、または、炭素数=1〜12のアルキル基、炭素数=2〜12のアルケニル基、炭素数=2〜12のアルキニル基、炭素数=6〜18のアリール基、炭素数=1〜12のアルコキシ基、あるいはそれらがハロゲン化された基である。ただし、R1〜R8は互いに結合して環構造を形成してもよい。)
  12. 正極および負極と共に電解液を備えた二次電池を搭載すると共に、その二次電池を電源として可動し、
    前記電解液は、非水溶媒および電解質塩を含み、前記非水溶媒は式(1)で表される環状炭酸エステル化合物を含む、
    電動工具。
    Figure 2011124008
    (R1〜R8は、水素基あるいはハロゲン基、または、炭素数=1〜12のアルキル基、炭素数=2〜12のアルケニル基、炭素数=2〜12のアルキニル基、炭素数=6〜18のアリール基、炭素数=1〜12のアルコキシ基、あるいはそれらがハロゲン化された基である。ただし、R1〜R8は互いに結合して環構造を形成してもよい。)
  13. 正極および負極と共に電解液を備えた二次電池を搭載すると共に、その二次電池を電源として作動し、
    前記電解液は、非水溶媒および電解質塩を含み、前記非水溶媒は式(1)で表される環状炭酸エステル化合物を含む、
    電気自動車。
    Figure 2011124008
    (R1〜R8は、水素基あるいはハロゲン基、または、炭素数=1〜12のアルキル基、炭素数=2〜12のアルケニル基、炭素数=2〜12のアルキニル基、炭素数=6〜18のアリール基、炭素数=1〜12のアルコキシ基、あるいはそれらがハロゲン化された基である。ただし、R1〜R8は互いに結合して環構造を形成してもよい。)
  14. 正極および負極と共に電解液を備えた二次電池を搭載すると共に、その二次電池を電力貯蔵源として用い、
    前記電解液は、非水溶媒および電解質塩を含み、前記非水溶媒は式(1)で表される環状炭酸エステル化合物を含む、
    電力貯蔵システム。
    Figure 2011124008
    (R1〜R8は、水素基あるいはハロゲン基、または、炭素数=1〜12のアルキル基、炭素数=2〜12のアルケニル基、炭素数=2〜12のアルキニル基、炭素数=6〜18のアリール基、炭素数=1〜12のアルコキシ基、あるいはそれらがハロゲン化された基である。ただし、R1〜R8は互いに結合して環構造を形成してもよい。)
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JP2020066595A (ja) * 2018-10-24 2020-04-30 日本ゼオン株式会社 含フッ素環状ジオールを原料としたエステル類およびアリルエーテル類の製造法

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