JP2011117415A - 内燃機関の可変動弁装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】本発明の可変動弁装置は、第1カム20を基準に位相の可変を行なう、シャフト部材17に周方向に変位可能に嵌めた第2カム22aを有する構造において、第2カムのクラウニング形状60cまたは第2カムと当接するタペット部材9のクラウニング形状50cについては、同一機種の内燃機関で適用されるクラウニング形状、または第1カムのクラウニング形状60b、または第1カムと当接するタペット部材9のクラウニング形状50bのいずれかよりも小さな曲率で形成した。同構成により、たとえ第2カムが、必要なクリアランスや公差などによりミスアライメントが生じることがあっても、第2カムの角部22cと当るのが避けられる。
【選択図】図10
Description
可変動弁装置には、エンジンで多く採用されているマルチバルブ(一対の吸気バルブ、一対の排気バルブ)のバルブ間の位相を可変させて、マルチバルブの開いている期間を変更させる構造がある。例えば一対の吸気バルブまたは一対の排気バルブを駆動する一対のカムのうち、一方のカムに対し他方のカムの位相を可変する装置が提案されている。
ところが、タペット部材や第2カムは、シャフト部材と一体なカムやシャフト部材に固定されたカムと適するクラウニング形状をもつ部品である。こうしたシャフト部材に一体に形成される構造やシャフト部材に固定された構造にて構成される第2カム、同カムに適するタペット部材や第2カムは、可変動弁装置のミスアライメントを許容するには限りがある。このため、可変動弁装置ではミスアライメントにより第2カムの角部がタペット部材の頂面のクラウニング形状と当接することがある(片当り)。このような場合、フリクションの増大や偏磨耗が生じ、所定のエンジン性能が確保できなくなるだけでなく、過度のフリクションの増大や偏磨耗がエンジンの破損に繋がるおそれがある。
請求項2に記載の発明は、さらに別体な部材をシャフト部材に固定して第1カムとした可変動弁装置では、シャフト部材に一体に形成される構造と比較するとミスアライメントが大きく生じるため、第1カムのカム面のクラウニング形状、または第1カムと当接するタペット部材のクラウニング形状を、同一機種の内燃機関で適用されるシャフト部材と一体なカムのカム面のクラウニング形状、または一体なカムと組み合うタペット部材のクラウニング形状よりも小さな曲率で形成して、第1カムの角部が接触することを避ける構造とした。
請求項2の発明によれば、シャフト部材に別体に第1カムを設けた場合でも、憂慮される第1カムのミスアライメントの心配なく、常に良好に第1カム、第2カムを用いた位相の可変が行なえる。
図1は内燃機関、例えば複数気筒のレシプロエンジン(以下、単にエンジンという)の平面を示し、図2は図1中のI−I線に沿う断面を示していて、同図中1は同エンジンのシリンダブロック、2は同シリンダブロック1の頭部に搭載されたシリンダヘッドを示している。
シリンダヘッド2の下面には、各気筒3に対応してそれぞれ燃焼室5が形成されている。各燃焼室5には、吸気を行なう一対の吸気ポート7(2個)、排気を行なう一対の排気ポート(図示しない)が開口している。各吸気ポート7には、ステム端にそれぞれ有底筒形のタペット9(バルブ駆動力をバルブへ伝える部品:本願のタペット部材に相当)が装着された一対の吸気バルブ10(2個)が設けられている。そして、各タペット9の頂面(カム当接面)に形成されている球面状のクラウニング形状50がシリンダヘッド2の上部に臨んでいる。各排気ポート(図示しない)には、同様に有底筒形のタペット11(タペット部材)が付いた一対の排気バルブ(図示しない)が設けられ、同様に、各タペット11の頂面(カム当接面)に形成されている球面状のクラウニング形状50(図6に図示)がシリンダヘッド2の上部に臨んでいる。これら吸気バルブ10、排気バルブ(図示しない)にて、吸気ポート7、排気ポート(図示しない)が開閉される。さらに各燃焼室5には、図示はしないが点火プラグがそれぞれ設けられる。
可変動弁装置15を説明すると、カムシャフト14のシャフト部材は、例えば図2、図4および図5に示されるような中空のパイプ部材で構成されたアウタカムシャフト17a内に、制御部材をなす軸部材で構成されたインナカムシャフト17bを回動可能に収めた二重シャフト17で形成される。この二重シャフト17も排気側のカムシャフト13と同様、気筒3が並ぶ方向に沿って配置される。この二重シャフト17のうちの一方の端部(片側)、すなわちアウタカムシャフト17aの一方の端部は、アウタカムシャフト17a端に取着されたブラケット37を介して、シリンダヘッド2の一方の端部(片側)に設置してある軸受部18に回動自在に支持される。またアウタカムシャフト17aの中間部は、タペット9間に設置した中間の軸受部18bに回転自在に支持される。これで、両シャフト17a,17b共、同一軸心を中心に回転できるようにしている。なお、アウタカムシャフト17aとインナカムシャフト17bとの間は、クリアランスにより相対変位可能となっている。
すなわち、固定カム20は、アウタカムシャフト17aのうち片側のタペット、例えば左側のタペット9と対応した外周部分に固定されている。固定カム20は、板カムで形成され、アウタカムシャフト17aの外側に嵌めることにより固定、具体的には圧入により、例えば左側のタペット9の直上に固定してある。この固定カム20のカム面が左側のタペット9の頂面に形成されているクラウニング形状50と当接し、固定カム20のカム変位が左側の吸気バルブ10に伝えられる構造としてある。
ここで、カム位相変更機構25は、例えば図2および図5に示されるように複数の遅角室30を周方向沿いに有する円筒形のハウジング31内に、軸部32の外周部から放射状に複数のベーン33が突き出たベーン部34を回動自在に収め、各ベーン33で各遅角室30内を仕切る回動ベーン構造が用いてある。なお、ハウジング31の外周部にはタイミングスプロケット39が設けられている。同スプロケット39は、タイミングチェーン40を介して、排気側のカムシャフト13端に装着したタイミングスプロケット13aと共にクランクシャフト(図示しない)につながる。このうちハウジング31は、固定ボルト36によって、アウタカムシャフト17a端のブラケット37(図2および図5に図示)に連結され、残るベーン部34の軸部32は、固定ボルト38によって、インナカムシャフト17bの軸端に連結され、ベーン33が遅角室30内を回動変位すると、インナカムシャフト17bがアウタカムシャフト17aに対して相対的に変位する。
すなわち、・カム位相変更機構25で固定カム20とカムローブ22の位相をずらした場合、カムジャーナル幅方向の前後に時間差でバルブリフト荷重が働くため、ミスアライメントが発生する。
また固定カム20は、設計的自由度の確保のため、別体な部品をアウタシャフト17aに組み付ける構造を用いると、部品公差や部品を組み付けるときの組立公差によって、図9に示されるように微小に傾いて取り付き、ミスアライメントが生じる心配がある。そのため、図7(a)に示されるように組立構造の固定カム20のカム面と当接するタペット9のクラウニング形状50bについては、同一機種のエンジンで適用される、シャフト部材と一体なカムと当接するタペット部材、ここでは例えば図1および図6に示す同一機種のエンジンに適用される排気カム12のカム面と当接するタペット11のクラウニング形状50aよりも小さい曲率で形成する場合もある。具体的には、図6に示すタペット11のクラウニング形状50aが、クラウニング量δ1、曲率半径R1(頂部)で球面状に形成されているとすると、図7(a)に示されるように固定カム20のクラウニング形状50bは、クラウニング量δ1より大きいクラウニング量δ2で、曲率半径R1より小さな曲率半径R2で定めた球面状に形成してなる。なお、図6のクラウニング形状50aについても誇張して表してある。
このため、固定カム20やカムローブ22(いずれも別体な部品)をアウタカムシャフト17a(シャフト部材)に組み付けた可変動弁装置15は、カム角部とクラウニング形状とが当接する心配がなくなるから、常に良好に固定カム20、カムローブ22によるスプリット可変が行なえ、安定した可変性能を確保することができる。
本実施形態は、第1の実施形態のようなタペット9の頂面のクラウニング形状の曲率を小さくしたのではなく、カム、すなわちカム山部22aのカム面のクラウニング形状を、固定カム20のカム面のクラウング形状よりも小さな曲率で形成したり、固定カム20のカム面のクラウニング形状を、同一機種のエンジンで適用されるカム面のクラウニング形状よりも小さな曲率で形成したりしたものである。
なお、本発明は上述したいずれの実施形態に限定されるものではなく、本発明の主旨を逸脱しない範囲内で種々可変して実施しても構わない。上述した実施形態では、第2カムのクラウニング形状の曲率を第1カムのクラウニング形状の曲率と比較して小さくしたが、同一機種の内燃機関で適用されるクラウニング形状と比較して小さくしてもよい。また上述の実施形態では、一対の吸気バルブのバルブ間の位相を可変する可変動弁装置に本発明を適用したが、これに限らず、一対の排気バルブのバルブ間の位相を可変する可変動弁装置に本発明を適用してもよい。むろん一実施形態のような有底筒形のタペット部材でなく、ローラ形のタペット部材に本発明を適用しても構わない。さらに、従来の位相可変機構(両弁同時に位相可変する機構)と併用する構造としても良い。この場合、タイミングスプロケットはどちらの位相可変機構に取り付けてもよい。
10 一対の吸気バルブ
15 可変動弁装置
17 二重シャフト(シャフト部材)
20 固定カム(第1カム)
22 カムローブ(カム部材)
22a カム山部(第2カム)
25 カム位相変更機構
50b、50c タペット部材頂面のクラウニング形状
60b、60c カム面のクラウニング形状
Claims (2)
- 一気筒に対して設けられた一対の吸気バルブのバルブ間の位相または一対の排気バルブのバルブ間の位相を可変する内燃機関の可変動弁装置において、
内燃機関のクランク出力により駆動され、前記一対の吸気バルブの一方または前記一対の排気バルブの一方を駆動する第1カムが形成されるシャフト部材と、
前記吸気バルブの他方または前記排気バルブの他方を駆動する第2カムを有し、前記シャフト部材の外側に周方向に変位可能に嵌められたカム部材と、
前記第2カムの位相を前記第1カムに対して変更するカム位相変更機構と、
前記第1カム、前記第2カムとそれぞれ当接してカム変位を受ける、各カムと当接する部位にクラウニング形状を有する一対のタペット部材と、を備え、
前記第2カムのカム面のクラウニング形状は、同一機種の内燃機関で適用されるカム面、または、前記第1カムのカム面のクラウニング形状のいずれかよりも小さな曲率で形成される、
もしくは、第2カムと当接する前記タペット部材のクラウニング形状は、同一機種の内燃機関で適用されるタペット部材のクラウニング形状、または、第1カムと当接する前記タペット部材のクラウニング形状のいずれかよりも小さな曲率で形成される
ことを特徴とする内燃機関の可変動弁装置。 - 前記第1カムは、前記シャフト部材とは別体な部材を前記シャフト部材に固定して形成され、
前記第1カムのカム面のクラウニング形状は、同一機種の内燃機関で適用されるカム面のクラウニング形状よりも小さな曲率で形成される、
もしくは、第1カムと当接するタペット部材のクラウニング形状は、同一機種の内燃機関で適用されるタペット部材のクラウニング形状よりも小さな曲率で形成される
ことを特徴とする請求項1に記載の内燃機関の可変動弁装置。
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