JP2011116596A - ガラス製造容器用焼成被膜、ガラス製造容器、ガラス製造装置、ガラスの製造方法及びガラス製造装置の製造方法 - Google Patents

ガラス製造容器用焼成被膜、ガラス製造容器、ガラス製造装置、ガラスの製造方法及びガラス製造装置の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】ガラス融液中に存在する水に起因する泡の発生を十分に抑制するガラス製造容器用被膜を提供する。
【解決手段】ガラス製造容器用焼成被膜12は、貴金属または貴金属を含む合金からなる容器本体11の表面11c上に形成されている。ガラス製造容器用焼成被膜12は、キャスタブルと、ガラス粒子とを含むスラリーを容器本体11と耐火物容器15との間に充填し、乾燥させ、スラリーを焼成して焼成被膜を作成するものであり、気孔率が5%以下である。
【選択図】図1

Description

本発明は、ガラス製造容器用焼成被膜、それを備えるガラス製造容器、それを備えるガラス製造装置、そのガラス製造装置を用いたガラスの製造方法及びそのガラス製造装置の製造方法に関する。詳細には、本発明は、貴金属または貴金属を含む合金からなる容器本体と、容器本体の表面上に形成されている焼成被膜とを備えるガラス製造容器の焼成被膜、それを備えるガラス製造容器、それを備えるガラス製造装置、そのガラス製造装置を用いたガラスの製造方法及びそのガラス製造装置の製造方法に関する。
光学ガラスやディスプレイ用ガラスなどの高品位なガラスを製造するためのガラス製造容器としては、従来、Ptなどの貴金属または貴金属を含む合金からなるガラス製造容器(以下、「貴金属容器」とする。)が用いられている。その理由は、貴金属容器は、1000℃以上といった高温雰囲気中においても高い剛性を有し、かつ、内部のガラスを汚染しにくいためである。
しかしながら、貴金属容器をガラスの溶融に用いた場合、ガラス中の水分に起因する泡が貴金属容器の溶融ガラス側の表面に発生する場合がある。この泡が発生する原因は、ガラス中に含まれる水が分解することで生じた水素が貴金属容器を透過して外部に放出されることによって、貴金属容器の表面付近に位置する溶融ガラスの酸素濃度が増大するためであると考えられる。すなわち、下記の式(1)に示す反応により生じた水素が貴金属容器を透過して外部に放出される一方、原子サイズが大きく貴金属容器を透過できない酸素が貴金属容器の表面近傍に位置する溶融ガラス中に溶存することにより、貴金属容器の表面付近に位置する溶融ガラスの酸素濃度が増大し、泡が発生するものと考えられる。
OH → 1/2O + 1/2H + e ・・・ (1)
このような問題に鑑み、例えば、下記の特許文献1〜5では、PtまたはPtを含む合金からなる容器(以下、「Pt容器」とする。)を用いた場合に、ガラス中の水分に起因する泡の発生を抑制する方法が提案されている。
例えば、下記の特許文献1では、ガラス製造時に、Pt容器の外側の水素の分圧を、Pt容器の内側の水素の分圧に対して制御することにより、ガラス中の水分に起因する泡の発生を抑制する方法が提案されている。
下記の特許文献2,3では、Pt容器の外表面にガラスのバリアコーティングを施してPt容器の水素透過性を減少させることにより、ガラス中の水分に起因する泡の発生を抑制する方法が提案されている。
また、下記の特許文献4では、アルミナとシリカとを含む耐火成分と、ガラス成分とを含むコーティング材によりPt容器の外表面を被覆することにより、ガラス中の水分に起因する泡の発生を抑制する方法が提案されている。
特表2001−503008号公報 特表2004−523449号公報 特表2006−522001号公報 WO2006/030738 A1号公報
上記の特許文献1に記載の方法によりガラス中の水分に起因する泡の発生を抑制しようとすると、ガラス溶融中に水素を供給し続ける必要がある。このため、ガラスの製造コストが上昇するという問題がある。また、Pt容器の外側の水素分圧が高すぎると、水素がPt容器の外側からPt容器を透過してPt容器内に進入し、ガラス融液中に溶け込むため、水素の泡が発生するおそれがある。従って、ガラス融液中に泡が発生することを十分に抑制することは困難であるという問題がある。
特許文献2,3に記載のように、Pt容器の外表面にガラス製のバリアコーティング層を形成することによりガラス中の水分に起因する泡の発生の抑制を図る場合は、ガラス溶融中に水素を供給し続ける必要は必ずしもない。しかしながら、本発明者が鋭意研究の結果、Pt容器の外表面にガラス製のバリアコーティング層を形成した場合であっても、十分に泡の発生を抑制できないことが分かった。すなわち、単にPt容器の外表面にガラス製のバリアコーティング層を形成したのみでは、泡の発生を十分に抑制できないという問題がある。
特許文献4に記載のように、ガラス成分と共に、アルミナ粒子とシリカ粒子とを含む耐火成分を含むコーティング材を用いてPt容器の外表面を被覆した場合は、特許文献2,3に記載のように、ガラス成分からなるバリアコーティング層を形成した場合よりも高い水素遮断性が得られる。従って、ガラス融液中の水に起因する泡の発生を効果的に抑制することができる。
しかしながら、近年、光学ガラスやディスプレイ用ガラスなどの高品位なガラスに求められる泡品質は、年々高まる一方であり、ガラス融液中の水に起因する泡の発生をさらに抑制したいという要望がある。
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、その目的は、ガラス融液中に存在する水に起因する泡の発生を十分に抑制することにある。
本発明に係るガラス製造容器用焼成被膜は、貴金属または貴金属を含む合金からなる容器本体と、容器本体の表面上に形成されている焼成被膜とを備えるガラス製造容器の焼成被膜である。本発明に係るガラス製造容器用焼成被膜は、キャスタブルと、ガラス粒子とを含むスラリーを焼成してなるものである。本発明に係るガラス製造容器用焼成被膜の気孔率は、5%以下である。
本発明のガラス製造容器用焼成被膜において、水素の透過を抑制する機能は、主としてガラス成分が担っている。キャスタブルは、そのガラス成分を保持する機能を主として担っている。このため、ガラス製造容器用焼成被膜中に、ガラス成分があまり存在しない部分があると、その部分から水素が透過する。その結果、ガラス融液中に泡が発生することとなる。従って、ガラス融液中に泡が発生することを効果的に抑制するためには、膜厚方向において、ガラス製造容器用焼成被膜中にガラス成分が存在する割合を高めることが必要となる。
ここで、本発明においては、ガラス製造容器用焼成被膜の気孔率が5%以下とされている。このため、膜厚方向において、ガラス製造容器用焼成被膜中にガラス成分が存在する割合を十分に高くすることができる。また、ガラス製造容器用焼成被膜の気孔率を5%以下とすることによって、ガラス製造容器用焼成被膜における連続気孔の発生率を低くし、水素遮蔽性を向上させることができる。従って、ガラス融液中に泡が発生することを効果的に抑制することができる。
一方、ガラス製造容器用焼成被膜の気孔率が5%より大きいと、膜厚方向において、ガラス製造容器用焼成被膜中にガラス成分が存在する割合が低くなりすぎる。また、ガラス製造容器用焼成被膜における連続気孔の発生率が高くなり、水素遮蔽性が低下する。従って、ガラス融液中に泡が発生しやすくなる。
膜厚方向において、ガラス製造容器用焼成被膜中にガラス成分が存在する割合をより高くし、かつガラス製造容器用焼成被膜における連続気孔率をより低くする観点からは、ガラス製造容器用焼成被膜の気孔率がより低いことが好ましい。しかしながら、ガラス製造容器用焼成被膜の気孔率が低すぎると、ガラス製造容器用焼成被膜を構成する材料の粘性が低くくなり、ガラス成分に含まれる水分が揮発しやすくなる。そのため、ガラス製造容器用焼成被膜の水素遮蔽性が低下する傾向にある。従って、ガラス製造容器用焼成被膜の気孔率は、0.3%以上であることが好ましい。
ガラス製造容器用焼成被膜の気孔率のより好ましい範囲は、0.3%〜4%である。
本発明において、ガラス製造容器用焼成被膜の気孔率の調整方法は特に限定されないが、例えば、スラリーに含まれるアルミナ成分の含有量を調節することによってガラス製造容器用焼成被膜の気孔率を調整することができる。例えば、スラリーにシリカ成分が含まれている場合は、スラリーに含まれるシリカ成分の含有量とアルミナ成分の含有量とを調整することによってガラス製造容器用焼成被膜の気孔率を調整することができる。具体的には、スラリー中におけるアルミナ成分の含有量を少なくし、シリカ成分の含有量を多くすることにより気孔率を低くすることができる。一方、スラリー中におけるアルミナ成分の含有量を多くし、シリカ成分の含有量を少なくした場合は、気孔率が高くなる。
キャスタブルは、通常の酸化物セラミックス粒子と比較して、スラリー中で沈降分離しにくい。このため、キャスタブルを骨材として添加することにより、焼成被膜の耐熱性を効果的に向上することができる。
キャスタブルとしては、アルミナキャスタブル、シリカの含有量が40質量%以上であるシリカキャスタブル、SiCキャスタブルなどが挙げられる。なかでも、アルミナキャスタブルは、耐熱性に優れており、ガラスに対する反応性が低く、かつ、アルミナキャスタブルを添加することにより気孔率を低くできるため好ましい。
なお、「キャスタブル」とは、セメントと高温焼成された耐火性骨材を混合した粉末をいう。例えば「アルミナキャスタブル」とは、アルミナを主成分とする(即ち、アルミナの含有量が40質量%以上である)アルミナセメントと高温焼成された耐火性骨材を混合した粉末をいう。
本発明において、スラリー中におけるキャスタブル及びガラス成分の含有量は、特に限定されず、例えば、ガラス製造容器用焼成被膜の使用温度や、キャスタブル及びガラス成分の組成などに応じて適宜設定することができる。スラリー中におけるキャスタブル及びガラス成分の好ましい含有量は、一般的に、それぞれ、10質量%〜50質量%、20質量%〜90質量%である。
詳細には、ガラス製造容器用焼成被膜の使用温度が高いほど、ガラス製造容器用焼成被膜に求められる耐熱性が高い。このため、アルミナ含有量の多いキャスタブル及びガラス成分を用いると共に、キャスタブルの含有量を多くすることが好ましい。
一方、ガラス製造容器用焼成被膜の使用温度が低い場合は、ガラス製造容器用焼成被膜に求められる耐熱性が低い。従って、使用するキャスタブル及びガラス成分のアルミナ含有量は少なくてもよく、ガラス成分の含有量を多くすることが好ましい。
例えば、ガラス製造容器用焼成被膜の使用温度が1000℃〜1250℃の範囲内にあるときは、キャスタブルとして、アルミナ成分を40質量%〜60質量%含むものを使用し、スラリー中におけるキャスタブル及びガラス成分の含有量を、それぞれ、5質量%〜20質量%、60質量%〜95質量%とすることが好ましい。
例えば、ガラス製造容器用焼成被膜の使用温度が1250℃〜1450℃の範囲内にあるときは、キャスタブルとして、アルミナ成分を40質量%〜80質量%含むものを使用し、スラリー中におけるキャスタブル及びガラス成分の含有量を、それぞれ、10質量%〜50質量%、30質量%〜90質量%とすることが好ましい。
例えば、ガラス製造容器用焼成被膜の使用温度が1450℃〜1600℃の範囲内にあるときは、キャスタブルとして、アルミナ成分を60質量%〜90質量%含むものを使用し、スラリー中におけるキャスタブル及びガラス成分の含有量を、それぞれ、15質量%〜50質量%、30質量%〜85質量%とすることが好ましい。
本発明において用いられるガラス成分の種類は特に限定されないが、上述のように、ガラス成分の脱落や流出を効果的に抑制する観点からは、軟化温度が高いガラス成分を用いることが好ましい。詳細には、軟化温度が800℃以上のガラス成分を用いることが好ましく、850℃以上のガラス成分を用いることがより好ましく、900℃以上のガラス成分を用いることがさらに好ましい。なお、軟化温度は、マクロ型示差熱分析(DTA)装置で測定した値を指す。
高い軟化温度を有するガラス成分としては、具体的には、硼珪酸塩系ガラスや珪酸塩系ガラスなどが挙げられる。なかでも、Na、K、Liなどのアルカリ成分、Ba、Sr、Caなどのアルカリ土類成分などの含有量が少ない硼珪酸塩系ガラスや珪酸塩系ガラスをガラス成分として用いることがより好ましい。さらには、Na、K、Liなどのアルカリ成分、Ba、Sr、Caなどのアルカリ土類成分などの含有量が少ない珪酸塩系ガラスをガラス成分として用いることがより好ましく、アルカリ成分を実質的に含まない所謂アルカリフリーのガラス成分を用いることがさらに好ましい。
例えば、ガラス製造容器用焼成被膜の使用温度が、1000℃〜1250℃の範囲内にあるときの好ましいガラス成分の組成範囲は、SiO 40〜70質量%、Al 1〜30質量%、B 1〜30質量%である。
例えば、ガラス製造容器用焼成被膜の使用温度が、1250℃〜1450℃の範囲内にあるときの好ましいガラス成分の組成範囲は、SiO 50〜70質量%、Al 5〜30質量%、B 1〜25質量%である。
例えば、ガラス製造容器用焼成被膜の使用温度が、1450℃〜1600℃の範囲内にあるときの好ましいガラス成分の組成範囲は、SiO 50〜70質量%、Al 10〜30質量%、B 5〜20質量%である。
本発明において、ガラス製造容器用焼成被膜を形成するためのスラリーには、ガラス成分を保持するための成分として、上記キャスタブルの一部分に替えて、コロイダルシリカ、平均粒子径が1μm〜100μmであるアルミナ粒子及び平均粒子径が1μm〜100μmの範囲内にあるシリカ粒子のうちの少なくともひとつを含むことが好ましい。スラリーに、コロイダルシリカ、平均粒子径が1μm〜100μmであるアルミナ粒子及び平均粒子径が1μm〜100μmの範囲内にあるシリカ粒子のうちの少なくともひとつを含ませることにより、ガラス製造容器用焼成被膜の剛性及び強度をより高めることができる。
また、コロイダルシリカは、無機バインダーとしても機能するため、スラリーに、コロイダルシリカを含ませることにより、ガラス製造容器用焼成被膜の容器本体に対する密着性を高めることができると共に、ガラス製造容器用焼成被膜の緻密性を向上することができる。従って、ガラス融液中に泡が発生することをより効果的に抑制することができる。
なお、本発明において、「コロイダルシリカ」とは、分散媒中に、平均粒子径が1nm〜30nmのシリカ微粒子が分散している液体をいう。
「平均粒子径」とは、D50(体積基準の平均値)を意味し、レーザー回折散乱式粒度分布測定装置により測定された値をいうものとする。
本発明において、スラリーに対して、キャスタブルとは別に添加されるアルミナ粒子の形状は、特に限定されず、例えば、球状であってもよいし、繊維状であってもよい。すなわち、アルミナファイバーをスラリーに対して添加してもよい。なお、アルミナファイバーは、アルミナのみからなるものに限定されず、例えば、アルミナを60質量%以上含むものであってもよい。
本発明において、ガラス製造容器用焼成被膜の膜厚は、特に限定されないが、例えば、100μm〜10mm程度であることが好ましく、1mm〜7mm程度であることがより好ましく、4〜6mm程度であることがさらに好ましい。ガラス製造容器用焼成被膜の膜厚が薄すぎると、溶融ガラス中に泡が発生することを十分に抑制できない場合がある。一方、ガラス製造容器用焼成被膜の膜厚を必要以上に厚くしても、ガラス製造容器用焼成被膜の水素遮蔽性はほとんど向上せず、コストおよび作業性の面で劣る傾向がある。
本発明に係るガラス製造容器は、上記本発明に係るガラス製造容器用焼成被膜と、そのガラス製造容器用焼成被膜が外表面上に形成されており、貴金属または貴金属を含む合金からなる容器本体とを備えている。
上述の通り、本発明のガラス製造容器用焼成被膜は、水素透過性が低い。従って、そのガラス製造容器用焼成被膜を備える本発明のガラス製造容器を用いることにより、ガラス融液中に泡が発生することを効果的に抑制することができる。
本発明のガラス製造容器は、容器本体の外表面上に形成されている水素透過抑制膜として、上記本発明のガラス製造容器用焼成被膜のみを有していてもよいし、上記本発明のガラス製造容器用焼成被膜に加えて、他の水素透過抑制膜をさらに有していてもよい。例えば、上記本発明のガラス製造容器用焼成被膜に加えて、上記特許文献4に記載の焼成被膜をさらに形成してもよい。その場合、特許文献4に記載の焼成被膜を容器本体の外表面上に形成し、さらにその上に、本発明のガラス製造容器用焼成被膜を形成することが好ましい。
なお、本発明において、「ガラス製造容器」とは、ガラス融液と接触する内表面と、ガラス融液と接触しない外表面とを有し、ガラス融液を保持できる部材のことを意味する。「ガラス製造容器」には、ガラス融液を保持できる容器、ガラス融液を搬送できるパイプ、成形用部材等が含まれる。ここで、「成形用部材」とは、ガラス融液を所定の形状に成形するために用いられる部材をいう。従って、「成形用部材」には、成形用スリーブ、オーバーフローダウンドロー法に用いられる樋状の成形体、ノズルなどが含まれるものとする。
本発明において、容器本体は、貴金属または貴金属を含む合金からなるものである限りにおいて、特に限定されない。但し、本発明のガラス製造容器は、高温雰囲気下において使用されるものであるため、容器本体は、高温雰囲気下においてある程度以上の剛性を有するものであることが好ましい。容器本体は、例えば、Pt若しくはPtを含む合金からなることが好ましい。Ptを含む合金の具体例としては、Pt/Rh合金、Pt/Au合金、Pt/Pd合金及びPt/Ir合金などが挙げられる。
また、容器本体には、容器本体の剛性を向上するため、例えば、Zr、Tiなどの他の金属がドープされていても良い。すなわち、本発明において、容器本体には、貴金属または貴金属を含む合金に他の元素がドープされていてもよい。
本発明に係るガラス製造装置は、上記本発明に係るガラス製造容器を備えるものである。従って、本発明に係るガラス製造装置を用いることにより、ガラス内部に残存する泡が少ないガラスを製造することができる。
本発明のガラス製造装置は、ガラス原料の溶解を行うための溶融用容器と、溶融されたガラスを清澄するための清澄用容器と、清澄したガラス融液を攪拌するための攪拌用容器と、ガラス融液を成形するための成形用部材と、溶融用容器と清澄用容器とを接続する接続通路が形成されている第1の接続部材と、清澄用容器と攪拌用容器とを接続する接続通路が形成されている第2の接続部材と、攪拌用容器と成形用部材とを接続する接続通路が形成されている第3の接続部材とを備え、溶融用容器、清澄用容器、攪拌用容器、成形用部材及び第1〜第3の接続部材のうちの少なくともひとつが上記本発明のガラス製造容器により構成されているものであってもよい。中でも、溶融用容器及び第1の接続部材を除いた、清澄用容器、攪拌用容器、成形用部材並びに第2及び第3の接続部材のそれぞれが上記本発明のガラス製造容器により構成されていることが好ましい。この構成によれば、ガラス内に泡が残存することをより効果的に抑制することができる。
本発明に係るガラスの製造方法は、上記本発明に係るガラス製造装置を用いるものである。従って、本発明に係るガラスの製造方法によれば、ガラス内部に残存する泡が少ないガラスを製造することができる。
本発明において、製造対象となるガラスは特に限定されないが、本発明は、泡がガラス中に残存していないことがより強く望まれるディスプレイ用ガラス基板の製造により好適に適用される。
本発明に係るガラス製造装置の製造方法は、上記本発明に係るガラス製造装置を製造するための方法に関する。本発明に係るガラス製造装置の製造方法は、容器本体を、耐火物容器内に配置する工程と、容器本体と耐火物容器との間にスラリーを充填し、乾燥させ工程と、乾燥させたスラリーを焼成することにより焼成被膜を作成する工程とを備えている。
例えば、スラリーを容器本体の外表面に塗布し、乾燥させた後に焼成することにより焼成被膜を形成する場合、容器本体の外表面が平滑であれば、焼成被膜の容器本体に対する密着強度が低くなる場合がある。このため、容器本体の外表面に予めブラスト処理などを施して外表面を粗さ面にしておくことが好ましい。しかしながら、例えば、容器本体に溶接箇所がある場合は、溶接後に、溶接箇所の外表面にブラスト処理等を行うことは困難である。従って、容器本体に溶接箇所がある場合は、焼成被膜を溶接箇所の外表面上に形成することは困難である。
それに対して本発明では、容器本体を、耐火物容器内に配置し、容器本体と耐火物容器との間にスラリーを充填した後に、スラリーを乾燥及び焼成する。このため、焼成被膜は、耐火物容器によって支持されるため、焼成被膜の容器本体に対する密着性は必ずしも高い必要はない。よって、容器本体の外表面に予めブラスト処理等を施す必要がなく、例えば、容器本体の溶接箇所の外表面上にも焼成被膜を容易に形成することができる。
なお、本発明において、スラリーの焼成は、ガラス製造装置によりガラスを溶融するために、ガラス製造用容器の温度を上昇させるときに行うことが好ましい。事前にスラリーの焼成を行う場合よりも、焼成被膜の温度変化を抑制することができ、焼成被膜の損傷を効果的に抑制できるためである。
本発明によれば、ガラス融液中に存在する水に起因する泡の発生を十分に抑制することができる。
第1の実施形態に係るガラス製造用容器の略図的断面図である。 第2の実施形態に係るガラス融液搬送用パイプの略図的断面図である。 第2の実施形態に係るガラス溶融装置の略図的構成図である。 実施例1におけるガラス製造用容器内の写真である。図4において、丸で囲んだ泡は、ガラス融液の表面に存在する泡で、貴金属坩堝とガラス融液との界面で発生した泡ではない。 実施例4におけるガラス製造用容器内の写真である。図5において、丸で囲んだ泡は、ガラス融液の内部に存在する泡(巻き込み泡)で、貴金属坩堝とガラス融液との界面で発生した泡ではない。 比較例1におけるガラス製造用容器内の写真である。 比較例2におけるガラス製造用容器内の写真である。 比較例4におけるガラス製造用容器内の写真である。
以下、本発明を実施した好ましい形態の一例について説明するが、本発明は、下記の実施形態に限定されるものではない。
(第1の実施形態)
図1は、第1の実施形態に係るガラス製造用容器の略図的断面図である。本実施形態では、図1を参照して、ガラス製造容器の一種であるガラス製造用容器10について説明する。
図1に示すように、ガラス製造用容器10は、耐火物容器15内に配置された容器本体11を備えている。容器本体11は、貴金属または貴金属を含む合金からなる。貴金属の具体例としては、例えば、Pt、Au、Pd、Rh、Irなどが挙げられる。貴金属を含む合金の例としては、Ptを含む合金などが挙げられる。中でも、容器本体11は、PtまたはPtを含む合金により形成されていることが好ましい。PtまたはPtを含む合金は高温下における強度が比較的高いためである。Ptを含む合金の具体例としては、Pt/Rh合金、Pt/Au合金、Pt/Pd合金及びPt/Ir合金などが挙げられる。
また、容器本体11には、剛性や強度を向上することなどを目的として、Zr、Tiなどの他の元素をドープしてもよい。例えば、容器本体11は、Zr及びTiのうちの少なくとも一方がドープされたPtからなるものであってもよい。
本実施形態では、容器本体11は、碗状に形成されており、容器本体11には、ガラス融液14が溜められる凹部11aが形成されている。すなわち、容器本体11は、凹部11aの表面を構成しており、ガラス融液14と接触する内表面11bと、ガラス融液14とは接触しない外表面11cとを有している。
容器本体11の外表面11cの上には、焼成被膜12が形成されている。この焼成被膜12は、ガラス融液中の水素がガラス製造用容器10を透過して外部に放出することを抑制するための膜である。
焼成被膜12は、キャスタブルと、ガラス粒子とを含むスラリーを焼成してなるものであり、気孔率が5%以下である。このため、膜厚方向において、焼成被膜12中に水素遮蔽性を有するガラス成分が存在する割合を十分に高くすることができる。また、焼成被膜12の気孔率を5%以下とすることによって、焼成被膜12における連続気孔率を低くすることができる。従って、本実施形態のガラス製造用容器10を用いてガラスを溶融することにより、ガラス融液中に泡が発生することを効果的に抑制することができる。
焼成被膜12中にガラス成分が存在する割合をより高くし、焼成被膜12における連続気孔率をより低くする観点からは、焼成被膜12の気孔率がより低いことが好ましい。しかしながら、焼成被膜12の気孔率が低すぎると、焼成被膜12を構成する材料の粘性が低くなり、ガラス成分における水分が揮発しやすくなる。このため、焼成被膜12の水素遮蔽性が低下する傾向にある。従って、焼成被膜12の気孔率は、0.3%以上であることが好ましい。焼成被膜12の気孔率のより好ましい範囲は、0.3%〜4%である。
なお、焼成被膜12の気孔率の調整方法は特に限定されないが、例えば、スラリーに含まれるAl成分の含有量と、SiO成分の含有量とを調整することにより気孔率を調整することができる。具体的には、Al成分の含有量のSiO成分の含有量に対する比(Al/SiO)を小さくすることにより気孔率を低くすることができる。一方、Al成分の含有量のSiO成分の含有量に対する比(Al/SiO)を大きくした場合は、気孔率は高くなる。なお、スラリーに含まれるAl成分の含有量の含有量を多くする方法としては、Al成分の含有量が多いキャスタブルを使用する方法などが挙げられる。
焼成被膜12を形成するためのスラリー中におけるキャスタブル及びガラス成分の含有量は、特に限定されず、例えば、焼成被膜12の使用温度やキャスタブル及びガラス成分の組成などに応じて適宜設定することができる。スラリー中におけるキャスタブル及びガラス成分の好ましい含有量は、一般的に、例えば、それぞれ、10質量%〜50質量%、20質量%〜90質量%であることが好ましい。
詳細には、焼成被膜12の使用温度が高いほど、焼成被膜12に求められる耐熱性が高い。このため、アルミナ含有量の多いキャスタブル及びガラス成分を用いると共に、キャスタブルの含有量を多くすることが好ましい。
一方、焼成被膜12の使用温度が低い場合は、焼成被膜12に求められる耐熱性が低い。従って、使用するキャスタブル及びガラス成分のアルミナ含有量は少なくてもよく、ガラス成分の含有量を多くすることが好ましい。
例えば、焼成被膜12の使用温度が1000℃〜1250℃の範囲内にあるときは、キャスタブルとして、アルミナ成分を40質量%〜60質量%含むものを使用し、スラリー中におけるキャスタブル及びガラス成分の含有量を、それぞれ、5質量%〜20質量%、60質量%〜95質量%とすることが好ましい。
例えば、焼成被膜12の使用温度が1250℃〜1450℃の範囲内にあるときは、キャスタブルとして、アルミナ成分を40質量%〜80質量%含むものを使用し、スラリー中におけるキャスタブル及びガラス成分の含有量を、それぞれ、10質量%〜50質量%、30質量%〜90質量%とすることが好ましい。
例えば、焼成被膜12の使用温度が1450℃〜1600℃の範囲内にあるときは、キャスタブルとして、アルミナ成分を60質量%〜90質量%含むものを使用し、スラリー中におけるキャスタブル及びガラス成分の含有量を、それぞれ、15質量%〜50質量%、30質量%〜85質量%とすることが好ましい。
本実施形態において、スラリーの調製に用いられるガラス成分の種類は特に限定されないが、ガラス成分の脱落や流出を効果的に抑制する観点からは、軟化温度が高いガラス成分を用いることが好ましい。詳細には、軟化温度が800℃以上のガラス成分を用いることが好ましく、850℃以上のガラス成分を用いることがより好ましく、900℃以上のガラス成分を用いることがさらに好ましい。
高い軟化温度を有するガラス成分としては、具体的には、硼珪酸塩系ガラスや珪酸塩系ガラスなどが挙げられる。なかでも、Na、K、Liなどのアルカリ成分、Ba、Sr、Caなどのアルカリ土類成分などの含有量が少ない硼珪酸塩系ガラスや珪酸塩系ガラスをガラス成分として用いることがより好ましい。さらには、Na、K、Liなどのアルカリ成分、Ba、Sr、Caなどのアルカリ土類成分などの含有量が少ない珪酸塩系ガラスをガラス成分として用いることがより好ましく、アルカリ成分を実質的に含まない所謂アルカリフリーのガラス成分を用いることがさらに好ましい。
例えば、焼成被膜12の使用温度が、1000℃〜1250℃の範囲内にあるときの好ましいガラス成分の組成範囲は、SiO 40〜70質量%、Al 1〜30質量%、B 1〜30質量%である。
例えば、焼成被膜12の使用温度が、1250℃〜1450℃の範囲内にあるときの好ましいガラス成分の組成範囲は、SiO 50〜70質量%、Al 5〜30質量%、B 1〜25質量%である。
例えば、焼成被膜12の使用温度が、1450℃〜1600℃の範囲内にあるときの好ましいガラス成分の組成範囲は、SiO 50〜70質量%、Al 10〜30質量%、B 5〜20質量%である。
焼成被膜12を形成するためのスラリーには、ガラス成分を保持するための成分として、上記キャスタブルの一部分に替えて、コロイダルシリカ、平均粒子径が1μm〜100μmであるアルミナ粒子及び平均粒子径が1μm〜100μmの範囲内にあるシリカ粒子のうちの少なくともひとつを含むことが好ましい。スラリーに、コロイダルシリカ、平均粒子径が1μm〜100μmであるアルミナ粒子及び平均粒子径が1μm〜100μmの範囲内にあるシリカ粒子のうちの少なくともひとつを含ませることにより、焼成被膜12の剛性及び強度をより高めることができる。
また、コロイダルシリカは、無機バインダーとしても機能するため、スラリーに、コロイダルシリカを含ませることにより、焼成被膜12の容器本体11に対する密着性を高めることができると共に、焼成被膜12の緻密性を向上することができる。従って、ガラス融液中に泡が発生することをより効果的に抑制することができる。
スラリーに対して、キャスタブルとは別に添加されるアルミナ粒子の形状は、特に限定されず、例えば、球状であってもよいし、繊維状であってもよい。すなわち、アルミナファイバーをスラリーに対して添加してもよい。なお、アルミナファイバーは、アルミナのみからなるものに限定されず、例えば、アルミナを60質量%以上含むものであってもよい。
焼成被膜12の膜厚は、特に限定されないが、例えば、100μm〜10mm程度であることが好ましく、1mm〜7mm程度であることがより好ましく、4〜6mm程度であることがさらに好ましい。焼成被膜12の膜厚が薄すぎると、溶融ガラス中に泡が発生することを十分に抑制できない場合がある。一方、焼成被膜12の膜厚を必要以上に厚くしても、焼成被膜12の水素遮蔽性はほとんど向上せず、コストおよび作業性の面で劣る傾向がある。
本実施形態のガラス製造用容器10の作製方法は特に限定されないが、例えば、以下の要領で作製することができる。
まず、容器本体11を用意する。次に、容器本体11を耐火物容器15内に配置する。その後、容器本体11を耐火物容器15から少しだけ離して保持した状態で、容器本体11と耐火物容器15との間に、キャスタブルとガラス成分とを少なくとも含むスラリーを充填し、乾燥させる。その後、スラリーを焼成し、焼成被膜12を形成する。なお、この焼成工程は、ガラス溶融を開始する際に、ガラス溶融に先立って容器本体11を加熱するときに同時に行うことが好ましい。そうすることにより、焼成被膜12の温度が大きく変化することを抑制できる。その結果、焼成被膜12が破損したり、脱落したりすることを抑制することができる。
上記ガラス製造用容器10の作製方法によれば、容器本体11の外表面の状態がどのような状態であっても、焼成被膜12を形成することができる。例えば、容器本体11の溶接箇所の外表面上にも焼成被膜12を形成することができる。また、容器本体11の外表面に予めブラスト処理等を施す必要がない。
(第2の実施形態)
上記第1の実施形態では、本発明を実施したガラス製造容器の例として、ガラス製造用容器10を例に挙げて説明した。但し、本発明において、ガラス製造容器は、ガラス製造用容器10に限定されない。ガラス製造容器は、例えば、ガラス融液搬送用のパイプであってもよい。本実施形態では、ガラス製造容器の一種であるガラス融液搬送用パイプについて、図2を参照しながら説明する。
なお、本実施形態の説明において、上記第1の実施形態と実質的に同様の機能を有する部材を同じ符号で参照し、説明を省略する。
図2は、第2の実施形態のガラス融液搬送用パイプの略図的横断面図である。図2に示すように、本実施形態のガラス融液搬送用パイプ20では、容器本体11は、筒状に形成されている。そして、容器本体11の外表面11cが焼成被膜12により覆われている。
本実施形態においても、上記第1の実施形態と同様に、容器本体11の外表面11cが焼成被膜12により覆われているため、ガラス融液中の水やOHイオンに起因する酸素ガスの発生を効果的に抑制することができる。
なお、上記第1及び第2の実施形態では、容器本体11の外表面に焼成被膜12のみが形成されている場合について説明した。但し、本発明はこの構成に限定されない。例えば、容器本体11の外表面に焼成被膜12に加えて、焼成被膜12以外のコーティング膜をさらに形成してもよい。例えば、容器本体11の外表面の上に上記特許文献4に記載の焼成被膜を形成した上に、焼成被膜12を形成してもよい。
(第3の実施形態)
本実施形態では、第1及び第2の実施形態で説明したガラス製造用容器10及びガラス融液搬送用パイプ20を用いたガラス製造装置について、図3を参照しつつ説明する。なお、本実施形態のガラス製造装置は、オーバーフローダウンドロー法によりディスプレイ用のガラス基板を成形するための装置である。
図3に示すように、ガラス製造装置1は、溶融用容器31と、清澄用容器32と、攪拌用容器33と、ポット34と、成形体35(forming body)と、図示しない発熱体とを備えている。溶融用容器31は、投入されたガラス原料(バッチ)の溶解を行うための容器である。溶融用容器31は、第1の接続部材36の内部に形成されている第1の接続通路36aによって、清澄用容器32に接続されている。清澄用容器32は、溶融用容器31から供給されたガラス融液を清澄するための容器である。清澄用容器32は、第2の接続部材37の内部に形成されている第2の接続通路37aによって、攪拌用容器33に接続されている。攪拌用容器33は、清澄されたガラス融液を攪拌し、均一化させるための容器である。攪拌用容器33は、第3の接続部材38の内部に形成されている第3の接続通路38aと、ポット34と、パイプ39とによって成形体35に接続されている。
本実施形態では、上記容器31〜33、ポット34、接続部材36〜38、パイプ39及び成形体35のうちの少なくともひとつが上記ガラス製造用容器10またはガラス融液搬送用パイプ20により構成されている。本実施形態では、具体的には、溶融用容器31及び成形体35が耐火物からなる耐火物炉により構成されており、清澄用容器32,攪拌用容器33、ポット34、接続部材36〜38及びパイプ39のそれぞれが上記ガラス製造用容器10またはガラス融液搬送用パイプ20により構成されている。このため、本実施形態のガラス製造装置1によれば、ガラス中に泡が残存することが抑制されたガラスを製造することができる。
なお、溶融用容器31も上記ガラス製造用容器10により構成してもよいが、清澄用容器32よりも上流側の容器に関しては、本発明を実施したガラス製造容器を適用する必要は必ずしもない。
以下、本発明をさらに詳細に説明するが、本発明は以下の実施例に何ら限定されるものではなく、その要旨を変更しない範囲において適宜変更して実施することが可能である。
(実施例1)
<発泡試験>
アルミナ製の耐火物坩堝(内径:60mm、高さ:40mm)の底面上に、5mm角の立方体の耐火物を三個配置し、その上に、Rhを10質量%含むPt/Rh合金からなる貴金属坩堝(内径:46mm、高さ40mm)を配置した。貴金属坩堝の表面には、予めサンドブラスト処理を施しておいた。
次に、耐火物坩堝と貴金属坩堝との間の隙間に、下記の表1に示す組成のスラリーを充填した。その後、充填したスラリーを室温にて約1日乾燥させ、さらに80度で約1日乾燥させた。
次に、貴金属坩堝内にガラスを充填し、10℃/分の速度で昇温し、試験温度(1500℃)にて1時間〜2時間保持した後に、貴金属坩堝内を目視観察した。その結果、貴金属坩堝の表面に泡が観察されなかった場合(泡の面積比率:0%以上3%未満の場合)を「◎」とした。白金坩堝の表面に泡がほとんど観察されなかった場合(泡の面積比率:3%以上10%未満の場合)を「○」とした。そして、白金坩堝の表面に泡が多数観察された場合(泡の面積比率:10%以上の場合)を「×」とした。観察結果を下記の表1に示す。また、図4に、実施例1におけるガラス製造用容器内の写真を示す。図4において、丸で囲んだ泡は、ガラス融液の表面に存在する泡で、貴金属坩堝とガラス融液との界面で発生した泡ではない。
なお、表1に示す、Al/SiOは、スラリー中に含まれるAl成分の質量のSiO成分の質量に対する比である。
本実施例で用いた各成分の詳細は以下の通りである。
アルミナキャスタブル1;
Al:78質量%、
SiO:21質量%、
CaO:0.05質量%、
NaO+KO+LiO:0.5質量%、
その他:0.45質量%
ガラス粉末:日本電気硝子株式会社製OA−10
アルミナ粒子の平均粒子径:50μm
コロイダルシリカにおけるシリカ微粒子の平均粒子径:12nm
シリカ粒子の平均粒子径:20nm
<気孔率測定>
次に、焼成被膜の気孔率について、以下に示す方法で測定した。
まず、アルミナ製の耐火物坩堝(内径:60mm、高さ:40mm)内に本実施形態で用いたスラリーを充填した。その後、本実施例と同様の条件にて乾燥し、焼成した。すなわち、充填したスラリーを室温にて約1日乾燥させ、さらに80℃で約1日乾燥させた。次に、10℃/分の速度で昇温し、試験温度(1500℃)にて5日間焼成した。
その後、得られたスラリーの焼成物を耐火物坩堝から取り出し、水冷カッターを用いて、焼成物から約20mm角の立方体のサンプルを切り出した。
次に、そのサンプルの表面を、#120のダイヤモンド研磨盤を用いて研磨した後に、下記の式(2)に基づいて気孔率を算出した。結果を下記の表1に示す。
(気孔率(%))={((サンプルの含水質量)−(サンプルの乾燥質量))/((サンプルの含水質量)−(サンプルの水中質量))}×100 ……… (2)
(実施例2〜5)
使用したスラリーの組成を下記の表1に示す組成に変更したこと以外は、上記実施例1と同様にして発泡試験及び気孔率測定を行った。結果を、下記の表1に示す。また、図5に、実施例4におけるガラス製造用容器内の写真を示す。なお、図5において、丸で囲んだ泡は、ガラス融液の表面に存在する泡で、貴金属坩堝とガラス融液との界面で発生した泡ではない。
(比較例1)
焼成被膜を形成しないこと以外は、上記実施例1と同様にして発泡試験及び気孔率測定を行った。結果を、下記の表2に示す。また、図6に、比較例1におけるガラス製造用容器内の写真を示す。
(比較例2)
アルミナキャスタブルのみからなるスラリーを用いて焼成被膜を形成しないこと以外は、上記実施例1と同様にして発泡試験及び気孔率測定を行った。結果を、下記の表2に示す。また、図7に、比較例2におけるガラス製造用容器内の写真を示す。
(比較例3)
シリカキャスタブルのみからなるスラリーを用いて焼成被膜を形成したこと以外は、上記実施例1と同様にして発泡試験及び気孔率測定を行った。結果を下記の表2に示す。なお、使用したシリカキャスタブルの組成は下記の通りである。
シリカキャスタブル;
Al:29質量%、
SiO:63質量%、
その他:8質量%、
(比較例4〜6)
使用したスラリーの組成を下記の表2に示す組成に変更したこと以外は、上記実施例1と同様にして発泡試験及び気孔率測定を行った。結果を、下記の表2に示す。また、図8に、比較例4におけるガラス製造用容器内の写真を示す。
表1及び表2並びに図4〜8に示すように、アルミナキャスタブルとガラス成分とを含むスラリーを焼成してなり、気孔率が5%以下である焼成被膜を形成した実施例1〜5では、ガラス融液中に泡がほとんど観察されなかったのに対して、焼成被膜を形成しない比較例1や、気孔率が5%を上回る比較例2〜6では、ガラス融液中に泡が多数観察された。この結果から、アルミナキャスタブルとガラス成分とを含むスラリーを焼成してなり、気孔率が5%以下である焼成被膜を形成することにより、ガラス融液中に泡が発生することを効果的に抑制できることが分かる。
さらに、気孔率が4.1%であった実施例4よりも、気孔率が4%以下である実施例1〜3,5の方が、観察された泡が少なかった。このことから、気孔率を4%以下とすることにより、ガラス融液中に泡が発生することをより効果的に抑制できることが分かる。
また、表1及び表2に示す結果から、気孔率は、スラリー中のAl成分の含有量のSiO成分の含有量に対する比(Al/SiO)に概ね相関することが分かる。具体的には、Al成分の含有量のSiO成分の含有量に対する比(Al/SiO)を小さくすることにより気孔率を低くすることができる一方、Al成分の含有量のSiO成分の含有量に対する比(Al/SiO)を大きくすることにより、気孔率を高くできることが分かる。以上の結果から、Al成分の含有量のSiO成分の含有量に対する比(Al/SiO)を調整することにより気孔率を調整できることが分かる。
(実施例6〜9、比較例7〜9)
実施例6〜9及び比較例7〜9では、試験温度を1600℃とし、使用したスラリーの組成を下記の表3及び表4に示す組成に変更したこと以外は、上記実施例1と同様にして発泡試験及び気孔率測定を行った。結果を下記の表3及び表4に示す。
上記表3及び表4に示すように、ガラス溶融時の温度が1600℃である場合も、アルミナキャスタブルとガラス成分とを含むスラリーを焼成してなる焼成被膜の気孔率を5%以下とすることにより、ガラス融液中に泡が発生することを効果的に抑制できることが分かる。
(実施例10〜14、比較例10〜14)
実施例10〜14及び比較例10〜14では、試験温度を1350℃とし、使用したスラリーの組成を下記の表5及び表6に示す組成に変更すると共に、アルミナキャスタブルの組成を下記の組成としたこと以外は、上記実施例1と同様にして発泡試験及び気孔率測定を行った。結果を下記の表5及び表6に示す。
アルミナキャスタブル2;
Al:48.0質量%、
SiO:35.0質量%、
CaO:14.6質量%、
NaO+KO+LiO:1質量%、
その他:1.4質量%
上記表5及び表6に示すように、ガラス溶融時の温度が1350℃である場合も、アルミナキャスタブルとガラス成分とを含むスラリーを焼成してなる焼成被膜の気孔率を5%以下とすることにより、ガラス融液中に泡が発生することを効果的に抑制できることが分かる。
(実施例15,16、比較例15〜17)
実施例15,16及び比較例15〜17では、試験温度を1250℃とし、使用したスラリーの組成を下記の表7及び表8に示す組成に変更したこと以外は、上記実施例10と同様にして発泡試験及び気孔率測定を行った。結果を下記の表7及び表8に示す。
上記表7及び表8に示すように、ガラス溶融時の温度が1250℃である場合も、アルミナキャスタブルとガラス成分とを含むスラリーを焼成してなる焼成被膜の気孔率を5%以下とすることにより、ガラス融液中に泡が発生することを効果的に抑制できることが分かる。
1…ガラス製造装置
10…ガラス製造用容器
11…容器本体
11a…凹部
11b…容器本体の内表面
11c…容器本体の外表面
12…焼成被膜
14…ガラス融液
15…耐火物容器
20…ガラス融液搬送用パイプ
31…溶融用容器
32…清澄用容器
33…攪拌用容器
34…ポット
35…成形体
36…第1の接続部材
36a…第1の接続通路
37…第2の接続部材
37a…第2の接続通路
38…第3の接続部材
38a…第3の接続通路
39…パイプ

Claims (13)

  1. 貴金属または貴金属を含む合金からなる容器本体と、前記容器本体の表面上に形成されている焼成被膜とを備えるガラス製造容器の前記焼成被膜であって、
    キャスタブルと、ガラス粒子とを含むスラリーを焼成してなるものであり、気孔率が5%以下であるガラス製造容器用焼成被膜。
  2. 気孔率が0.3%以上である請求項1に記載のガラス製造容器用焼成被膜。
  3. キャスタブルが、アルミナキャスタブルである請求項1または2に記載のガラス製造容器用焼成被膜。
  4. 前記スラリーがコロイダルシリカをさらに含む請求項1〜3のいずれか一項に記載のガラス製造容器用焼成被膜。
  5. 前記スラリーは、平均粒子径が1μm〜100μmであるアルミナ粒子及びシリカ粒子のうちの少なくとも一方を含む請求項1〜4のいずれか一項に記載のガラス製造容器用焼成被膜。
  6. 請求項1〜5のいずれか一項に記載のガラス製造容器用焼成被膜と、前記ガラス製造容器用焼成被膜が外表面上に形成されており、貴金属または貴金属を含む合金からなる容器本体とを備えるガラス製造容器。
  7. 前記容器本体は、Pt若しくはPtを含む合金からなる請求項6に記載のガラス製造容器。
  8. 請求項6または7に記載のガラス製造容器を備えるガラス製造装置。
  9. ガラス原料の溶解を行うための溶融用容器と、
    前記溶融されたガラスを清澄するための清澄用容器と、
    前記清澄したガラス融液を攪拌するための攪拌用容器と、
    前記ガラス融液を成形するための成形用部材と、
    前記溶融用容器と前記清澄用容器とを接続する接続通路が形成されている第1の接続部材と、
    前記清澄用容器と前記攪拌用容器とを接続する接続通路が形成されている第2の接続部材と、
    前記攪拌用容器と前記成形用部材とを接続する接続通路が形成されている第3の接続部材とを備え、
    前記溶融用容器、前記清澄用容器、前記攪拌用容器、前記成形用部材及び前記第1〜第3の接続部材のうちの少なくともひとつが前記ガラス製造容器により構成されている請求項8に記載のガラス製造装置。
  10. 前記清澄用容器、前記攪拌用容器、前記成形用部材並びに前記第2及び第3の接続部材のそれぞれが前記ガラス製造容器により構成されている請求項9に記載のガラス製造装置。
  11. 請求項8〜10のいずれか一項に記載のガラス製造装置を用いたガラスの製造方法。
  12. 前記ガラスは、ディスプレイ用ガラス基板である請求項11に記載のガラスの製造方法。
  13. 請求項8〜10のいずれか一項に記載のガラス製造装置の製造方法であって、
    前記容器本体を、耐火物容器内に配置する工程と、
    前記容器本体と前記耐火物容器との間に前記スラリーを充填し、乾燥させ工程と、
    前記乾燥させたスラリーを焼成することにより前記焼成被膜を作製する工程とを備えるガラス製造装置の製造方法。
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