JP2011114622A - フィルタ自動調整回路及び方法並びに無線通信装置 - Google Patents

フィルタ自動調整回路及び方法並びに無線通信装置 Download PDF

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Abstract

【課題】調整機能を有する複数のフィルタにおいて、高い調整精度を有し、かつ低消費電流化が容易なフィルタのバラツキ調整を可能にする。
【解決手段】位相差検出器104により、複数のモードの切り替えを有する基準フィルタ103における前後の位相差をカウンタ105にてカウントし、基準フィルタ103のバラツキを検出する。その際、主フィルタ109を調整する時には基準フィルタ103を第1のモードに設定し、主フィルタ111を調整する時には基準フィルタ103を第2のモードに設定することで、複数の主フィルタ109,111に対して、より精度の高いフィルタ調整を行う。検出結果から得られる主フィルタ109の調整結果はレジスタ108に、主フィルタ111の調整結果はレジスタ110に保持し、調整後はフィルタ調整に関する部材をすべて動作停止し、低消費電力化を図る。
【選択図】図1

Description

本発明は、調整機能を有するフィルタの特性周波数調整を目標周波数に調整するためのフィルタ自動調整回路及び方法、並びにフィルタ自動調整回路を備えた携帯電話機システムなどの無線通信装置に関する。
最近の無線通信装置(例えば、携帯電話機など)においては、低消費電力や小型化に力が注がれていて、多くの無線部品についても集積化される傾向にある。フィルタについても同様の傾向にあり、内蔵化されることが多い。一般に集積回路の製造過程におけるばらつきは、抵抗で±10数パーセント、容量で±10数パーセントであり、抵抗と容量によって構成されるフィルタの特性周波数は、±20パーセント以上のばらつきを生じる。このばらつきを補正することが、フィルタの内蔵化において重要な課題となっている。なお、特性周波数とは、バンドパスフィルタ(BPF)については中心周波数f0を、ハイパスフィルタ(HPF)とローパスフィルタ(LPF)については遮断周波数(−3dBポイントにおける周波数)を意味する。
フィルタを内蔵する携帯電話機において、フィルタの消費電力が大きければ、1回の電池充電で可能な携帯電話機の通話時間が短くなる。長い通話時間を確保するために電池を大きくすると、携帯電話機の小型化が実現しない。そういう状況下では、できるだけ低消費電力のフィルタが必要である。
従来例1(例えば、特許文献1を参照。)として、基準フィルタの入力信号と基準フィルタの出力信号の位相を比較し、その位相比較結果を主フィルタにフィードバックさせることにより、主フィルタを調整するというフィルタ自動調整方法がある。
図10は従来例1に係るフィルタ自動調整回路の構成を示すブロック図である。図10において、フィルタ自動調整回路は、基準信号発生器1と、基準フィルタ2と、位相差検出器3と、制御電圧発生器4と、主フィルタ5とを備えて構成される。基準信号発生器1からは、基準フィルタ2のばらつきがないときの特性周波数を有する信号が出力される。基準フィルタ2の出力信号と、基準フィルタ2の入力信号は、位相比較器3に入力される。位相比較器3の出力信号は、位相差からフィルタの調整を行う制御電圧発生器4に入力され、制御電圧発生器4からの出力信号を受け、主フィルタ5の特性周波数が調整される。
基準フィルタ2と主フィルタ5は同様の構成であることが多く、制御電圧発生器4で出力される制御電圧に応じて、基準フィルタ2と主フィルタ5は特性周波数を変更できるように構成されている。位相差検出器3の出力信号を用い、基準フィルタ2の特性周波数を調整するように、制御電圧発生器4から制御電圧を出力すれば、主フィルタ5の特性周波数も調整される。また、通常の動作時において、このフィルタ調整に関する図10における各回路1〜4は常時動作しており、例えば電源変動などの理由で、基準フィルタ2及び主フィルタ5の特性周波数がずれた場合でも、すぐに主フィルタ5の特性周波数が調整されるように構成されている。
従来例2(例えば、特許文献2を参照。)として、基準フィルタの入力信号と基準フィルタの出力信号の位相を比較し、その比較結果をデジタル処理し、内部ラッチに格納することにより、通常動作時はフィルタ調整に関するブロックへの電力供給用の電源をオフする方法がある。以下、従来例2のフィルタ自動調整回路について図11〜図14を参照して説明する。
図11は従来例2に係るフィルタ自動調整回路の構成を示すブロック図である。図11において、フィルタ自動調整回路は、基準信号発生器11と、分周器12と、基準フィルタ13と、位相差検出器14と、コンパレータ15と、カウンタ16と、デコーダ17と、レジスタ18と、主フィルタ19とを備えて構成される。ここで、主フィルタ19は、複数の入力抵抗21(1)〜21(n)と、複数の入力抵抗22(1)〜22(n)と、スイッチ27,28と、帰還キャパシタ23と、入力キャパシタ24と、オペアンプ25とを備えて構成される。
図11において、基準信号発生器11から出力された基準信号が分周器12にて分周される。この分周において、基準信号発生器11からの基準信号は、基準フィルタ13のばらつきがないときの特性周波数である周波数に変換される。分周器12の出力信号は、基準フィルタ13に入力され、基準フィルタ13の入力信号と出力信号が位相差検出器14に入力される。位相差検出器14の出力信号はコンパレータ15によって方形波に変換される。カウンタ16にコンパレータ15の出力信号と基準信号11が入力され、カウンタ16は入力される信号をカウントする。
図12は図11の基準フィルタ13の一例を示す回路図である。図12において、基準フィルタ13は、入力抵抗31,32と、帰還キャパシタ33と、入力キャパシタ34と、オペアンプ35とを備えて構成される。
図13は図11のフィルタ自動調整回路のフィルタ調整動作を説明するためのタイミングチャートであり、図14は図11のフィルタ自動調整回路のフィルタ調整動作における基準フィルタ13のCR積のばらつきとカウント数の関係を示すテーブルである。すなわち、図13はカウント時の動作の状態を示している。図13において、キャパシタの容量値と抵抗値との積(以下、CR積という。)のばらつきがないとき(CR積が±0%のとき)のコンパレータ25の出力信号のあるハイレベル(以下、Hレベルという。)区間を基準周波数でカウントすると、カウント数は8となる。一方、CR積のばらつきがあるとき(CR積が−26%のとき)には、コンパレータ15からの出力信号のHレベル区間を基準周波数でカウントすると、カウント数は10となる。
図14に示すように、コンパレータ15からの出力信号のある区間をカウントすることにより、CR積のばらつきが分かる。カウント結果はデコーダ17に入力され、デコード値(デコード結果)はレジスタ18に入力される。レジスタ18からの出力信号26(1)〜26(n)は主フィルタ19に入力され、当該出力信号26(1)〜26(n)に基づいてスイッチ27,28を選択的に切り替えることにより、抵抗21(1)〜(n)のうちの1つ及び抵抗22(1)〜(n)のうちの1つが選択される。これらの抵抗21(1)〜(n)及び22(1)〜(n)の各抵抗値は、図14に示す抵抗上の補正値に基づいて設計されており、見かけ上の抵抗ばらつきを抑えることができる。
また、従来例2のフィルタ自動調整方法では、調整結果はレジスタ18に格納されるため、一度調整すれば、フィルタの自動調整に関する各回路12〜17への電源をオフすることができ、低消費電力の面で大きな優位性を有している。
特開2002−76842号公報。 特開2004−172911号公報。
しかしながら、前記のような従来例1に係るフィルタ自動調整方法では、常時フィルタ自動調整回路をオンしておき、フィードバックループをかけているため、電源変動や温度変動によっても、主フィルタの特性周波数がずれにくいという長所はあるものの、本来の無線通信に不要である図10に示す基準フィルタ2、位相差比較器3、制御電圧発生器4の消費電力が無駄に使われているため、消費電力が比較的大きいという問題点があった。
また、従来例2に係るフィルタ自動調整方法では、調整した結果を図11に示すレジスタ18に格納するため、一度調整を行えば、フィルタ調整に必要な各回路12〜17への電源供給をオフにして、低消費電力化を図れるという点で、従来例1の調整よりも優れている。
しかしながら、調整したい主フィルタが複数あり、それぞれのフィルタで要求仕様に合わせて、容量はMOS容量(Metal-Oxide-Semiconductor Capacitor)とMOM容量(Metal-Oxide-Metal Capacitor)、抵抗はポリシリコン抵抗(以下、PS抵抗という。)と拡散抵抗というように、複数種類の素子を使い分けている場合、製造工程で生じるばらつきがそれぞれ異なるため、主フィルタで使っているCR積の組み合わせと同じ数の基準フィルタが必要となり、面積増大の原因となる。
また、容量や抵抗は同じ種類のものを使用していても、異なるカットオフ周波数の複数の主フィルタを使う場合、形状の異なる容量や抵抗を使うことが多い。抵抗や容量の形状が大きく変わる場合、一律にCR積のばらつき補正をすると調整誤差の原因となる。
図15は図11のフィルタ自動調整回路の課題を説明するためのPS抵抗の簡単な概略縦断面図である。図15において、主フィルタの抵抗値は、別の素子が接続される配線51と、PS部52と、それらを接続するコンタクト部53とから決定され、当該抵抗値はこれら各素子の抵抗値の合計となる。別の素子がPS部52の近くにあると仮定して、配線51の抵抗値は無視できる値とする。主フィルタの抵抗値を小さくするためには、図15(a)のように、PS部52本体を短くして抵抗値を小さくすることができ、当該抵抗値のうち、コンタクト部53の割合は大きくなる。一方、主フィルタの抵抗値を大きくするためには、図15(b)のように、PS部52本体を長くして抵抗値を大きくするため、抵抗値のうち、コンタクト部53の割合は小さくなる。
図16は図11のフィルタ自動調整回路の課題を説明するための異なる形状のPS抵抗の製造工程ばらつき例を示すテーブルである。ここで、主フィルタの抵抗値が大きく異なる2つのPS抵抗R1,R2において、PS部52とコンタクト部53が製造工程でばらついた場合の試算を、図16を用いて説明する。PS抵抗R1は100Ω、PS抵抗R2は1000Ωである。これらの内訳では、PS抵抗R1は、PS部52の80Ωと、コンタクト部53の20Ωとから構成され、PS抵抗R2は、PS部52の980Ωと、コンタクト部53の20Ωとから構成される。仮に製造工程のばらつきで、PS部52が+10%、コンタクト部53が−10%ばらついたとすると、図16に示すように、PS抵抗R1は106Ω、PS抵抗R2は1096Ωとなり、PS抵抗R1が設計値の+6.0%であるのに対して、PS抵抗R2は設計値の+9.6%となる。
図17は図11のフィルタ自動調整回路の課題を説明するための異なる形状のPS抵抗を用いた場合の調整誤差の例を示すテーブルである。これらのPS抵抗R1,R2を使って、従来例2に係るフィルタ調整を行った場合の試算を、図17を用いて説明する。
主フィルタF1を調整するため、基準フィルタは主フィルタF1と同様のPS抵抗(図16のPS抵抗R1)を用い、主フィルタF2は別のPS抵抗(図16のPS抵抗R2)を用いた。上述の場合と同様に、製造工程でPS抵抗52がばらついたとする。問題を簡易化するために、容量ばらつきはないものとして考えると、基準フィルタのCR積のばらつきは+6.0%となるので、理想的な補正係数は0.9434となる。この補正係数で主フィルタを調整すると、主フィルタF1のCR積のばらつきは±0%に調整されるが、主フィルタF2の場合は、CR積のばらつきが+3.4%に調整されてしまい、調整誤差が生じる。調整誤差を生じさせないようにするために、主フィルタF1と主フィルタF2で同じ形状の抵抗をベースとして、複数の抵抗を直列や並列に接続して使うという方法がある。この方法を使えば調整誤差は生じないが、やはり面積増大の原因となる。
本発明の目的は前記従来の問題点を解決し、基準フィルタからの出力信号に基づいて特性周波数の調整機能を有するフィルタにおいて、従来技術に比較して高い調整精度を持ちかつ容易に低消費電流化を実現したばらつき補正を可能にし、このばらつき補正によりフィルタ調整誤差を確実に抑えることができるフィルタ自動調整回路及び方法並びに無線通信装置を提供することにある。
本発明に係るフィルタ自動調整回路は、特性周波数が調整可能な主フィルタに対して、基準信号の周波数を目標周波数として前記特性周波数を調整するフィルタ自動調整回路において、
選択的に切り替え可能な複数のモードを有し、入力される基準信号をフィルタリングして出力する基準フィルタと、
前記基準フィルタの入力信号と前記基準フィルタの出力信号との位相差を検出し、前記基準フィルタによる位相差に対応したデューティ比を有する信号を出力する位相差検出器と、
前記位相差検出器の出力信号と基準信号を入力信号として、前記基準フィルタによる位相差に対応したデューティ比をカウントして当該デューティ比を示す信号を出力するカウンタと、
前記カウンタの出力信号から、前記基準フィルタに基づいた主フィルタに対するバラツキ補正のための制御信号をデコードするデコーダと、
前記デコーダから出力された制御信号を保持して出力する複数のレジスタと、
前記複数のレジスタから出力された各制御信号に応じてそれぞれ、特性周波数を選択するようにフィルタリング信号処理を行う複数の主フィルタと、を備えたことを特徴とする。
前記フィルタ自動調整回路において、前記主フィルタ及び基準フィルタは、オペアンプを用いたアクティブフィルタであることを特徴とする。
また、前記フィルタ自動調整回路において、前記基準フィルタは、特性周波数の信号が与えられたときに生じるべき位相差が90度又は90度であることを特徴とする。
さらに、前記フィルタ自動調整回路において、前記基準フィルタは、MOS容量とMOM容量を選択的に切り替えて、もしくはMOS容量とMIM容量を選択的に切り替えて、モードの切り替えを行うことを特徴とする。
またさらに、前記フィルタ自動調整回路において、前記基準フィルタは、PS抵抗と拡散抵抗を選択的に切り替えて、モードの切り替えを行うことを特徴とする。
また、前記フィルタ自動調整回路において、前記基準フィルタは、同じ種類で形状が異なる複数の素子を選択的に切り替えて、モードの切り替えを行うことを特徴とする。
さらに、前記フィルタ自動調整回路において、前記基準フィルタは、特性周波数を切り替えられることを特徴とする。
またさらに、前記フィルタ自動調整回路において、前記基準位相差検出器は、AND回路であることを特徴とする。
また、前記フィルタ自動調整回路は、前記カウンタの出力信号と、前記デコーダの出力信号と、前記レジスタの出力信号のうちのいずれかに基づいて、複数のファイルタ調整結果に対して、結果が選択条件に合わない場合に、再調整を行うか、エラー表示の出力信号を行うか、以前の結果を用いる命令を出す判定手段をさらに備えたことを特徴とする。
さらに、前記フィルタ自動調整回路において、前記基準フィルタを備えずに切り替え動作を行うことにより、前記主フィルタを前記基準フィルタに代えて用いることを特徴とする。
本発明に係るフィルタ自動調整方法は、特性周波数が調整可能な主フィルタに対して、基準信号の周波数を目標周波数として前記特性周波数を調整するフィルタ自動調整方法において、
選択的に切り替え可能な複数のモードを有し、入力される基準信号をフィルタリングして出力する基準フィルタを第1のモードに設定するステップと、
前記基準フィルタに基準信号を入力するステップと、
前記第1のモードで、前記基準フィルタの入力信号と出力信号のデューティ比をカウントしてカウント数を出力するステップと、
前記第1のモードで、前記カウント数からデコードするステップと、
前記第1のモードで、デコード値をレジスタに格納するステップと、
前記基準フィルタを第2のモードに設定するステップと、
前記第2のモードで、前記基準フィルタの入力信号と出力信号のデューティ比をカウントしてカウント数を出力するステップと、
前記第2のモードで、前記カウント数からデコードするステップと、
前記第2のモードで、デコード値をレジスタに格納するステップと、を含むことを特徴とする。
前記フィルタ自動調整方法において、前記第1のモードから前記第2のモードに切り替える際に、基準フィルタに入力される基準信号の周波数を変更するステップ、をさらに含むことを特徴とする。
また、前記フィルタ自動調整方法において、前記第2のモードで、前記基準フィルタの入力信号と出力信号のデューティ比をカウントしてカウント数を出力するステップを実行した後に、前記第1のモードと第2のモードの、前記カウント数と前記デコード値と前記レジスタの出力信号とのうちのいずれかから、調整結果を判定し、調整結果が選択条件に合わない場合に、再調整を行うか、エラー表示の出力信号を行うか、以前の結果を用いるステップ、をさらに含むことを特徴とする。
さらに、前記フィルタ自動調整方法において、前記カウント数と前記デコード値と前記レジスタの出力信号のうちのいずれかを、無線通信装置の製造工程にて不揮発性メモリに書き込むことをさらに含むことを特徴とする。
本発明に係る無線通信装置は、アンテナから入力された信号を、フィルタ自動調整回路によってフィルタ調整された主フィルタによってフィルタリングし、目標周波数と異なる周波数の妨害波を除去し、妨害波を除去された信号は、主フィルタからベースバンド信号処理部に入力され、ベースバンド信号処理部にて音声やデータに変換される無線通信装置であって、前記無線通信装置は、前記フィルタ自動調整回路を備えたことを特徴とする。
前記無線通信装置において、前記無線通信装置は携帯電話機システムであることを特徴とする。
従って、本発明によれば、複数の主フィルタに対して、基準フィルタのばらつきを検出する際に、調整したい主フィルタに合わせて抵抗や容量を切り替えることをできる基準フィルタを持つことで、複数の主フィルタの特性周波数を精度良く調整することができ、調整結果は、調整するフィルタの制御信号としてレジスタに保持することにより、このフィルタのばらつき補正後は、フィルタ調整に関する部材のすべての動作を停止させることができる。そのため、基準フィルタからの出力信号に基づいて特性周波数の調整機能を有するフィルタに対して、高い調整精度を持ちかつ容易に低消費電流化を実現したばらつき補正を可能にし、このばらつき補正によりフィルタ調整誤差を確実に抑えることができる。
また、主フィルタ及び基準フィルタは、オペアンプを用いたアクティブフィルタであることにより、オペアンプを用いたアクティブフィルタは、ほとんど抵抗と容量のみで特性周波数が決まるため、電源変動や温度変動に強く、一度だけ調整した結果を保持する本発明には大変都合がよい。
さらに、基準フィルタは、特性周波数の信号が与えられたときに生じるべき位相差が90度又は90度になる。これにより、基準フィルタの位相差が90度又は90度になる場合、位相差検出器にAND回路を用いることができ、回路規模を小さくすることができる。
またさらに、基準フィルタは、MOS容量とMOM容量、もしくはMOS容量とMIM容量(Metal-Insulator-Metal Capacitor)を選択的に切り替えて、モードの切り替えを行う。これにより、小型化をしたい主フィルタには単位容量が大きいMOS容量、電源変動や温度変動に強くしたい主フィルタにはMOM容量やMIM容量というように使い分けることで、集積回路をより小型化することができる。
また、基準フィルタは、PS抵抗と拡散抵抗を選択的に切り替えて、モードの切り替えを行う。これにより、主フィルタの抵抗値を小さくしたい場合は、単位抵抗が小さい拡散抵抗、主フィルタの抵抗値を大きくしたい場合は、単位抵抗が大きいPS抵抗というように使い分けることで、集積回路をより小型化することができる。
さらに、基準フィルタは、同じ種類で形状が異なる複数の素子を選択的に切り替えて、モードの切り替えを行う。これにより、複数の主フィルタで用いる抵抗や容量の形状を自由に選択することができ、その結果、集積回路をより小型化することができる。
またさらに、基準フィルタは、特性周波数を切り替えられる。これにより、複数の主フィルタで必要な調整精度が異なる時に、主フィルタ毎に調整精度を変えることができ、その結果、集積回路をより小型化することができる。
また、基準位相差検出器は、AND回路である。これにより、フィルタ自動調整回路をよりシンプルにし、また、集積回路をより小型化することができる。
さらに、カウンタ数とデコーダ値とレジスタの出力信号のうちのいずれかに基づいて、複数のファイルタ調整結果に対して、結果が選択条件に合わない場合に、再調整を行うか、エラー表示の出力信号を行うか、以前の結果を用いる命令を出す判定部を備えることにより、フィルタ自動調整回路の調整結果の信頼性を上げることができる。
またさらに、前記基準フィルタを備えずに切り替え動作を行うことにより、前記主フィルタを前記基準フィルタに代えて用いる。これにより、基準フィルタを備えないことによる小型化のメリットと、基準フィルタと主フィルタの相対誤差を無くすというメリットがある。
また、カウント数とデコード値とレジスタの出力信号のうちのいずれかを、無線通信装置の製造工程にて不揮発性メモリに書き込む。これにより、無線通信装置の電源をオフして、再度電源をオンした場合でも、フィルタ調整を再び行う必要が無いため、無線通信装置を低消費電力化できる。
さらに、前記フィルタ自動調整回路を備えた無線通信装置によれば、低消費電力化、小型化が特に必要な携帯電話機システムにおいて、高い調整精度を持ちかつ容易に低消費電流化を実現したばらつき補正を可能にし、このばらつき補正によりフィルタ調整誤差を確実に抑えることができる
本発明の実施の形態1に係るフィルタ自動調整回路の構成を示すブロック図である。 図1のフィルタ自動調整回路のフィルタ調整動作における各ブロックの出力信号の概略波形図である。 図1のフィルタ自動調整回路のフィルタ調整動作における各ブロックの出力信号の概略波形図である。 図1の基準フィルタ103の詳細構成を示す回路図である。 図1のフィルタ自動調整回路によって実行されるフィルタ調整処理を示すフローチャートである。 図1のフィルタ自動調整回路における基準フィルタ103のCR積のばらつきとカウント数の関係を示すテーブルである。 本発明の実施の形態2に係るフィルタ自動調整回路の構成を示すブロック図である。 図7のフィルタ自動調整回路によって実行されるフィルタ調整処理を示すフローチャートである。 本発明の実施の形態3に係る携帯電話機システムの構成例を示すブロック図である。 従来例1に係るフィルタ自動調整回路の構成を示すブロック図である。 従来例2に係るフィルタ自動調整回路の構成を示すブロック図である。 図11の基準フィルタ13の一例を示す回路図である。 図11のフィルタ自動調整回路のフィルタ調整動作を説明するためのタイミングチャートである。 図11のフィルタ自動調整回路のフィルタ調整動作における基準フィルタ13のCR積のばらつきとカウント数の関係を示すテーブルである。 図11のフィルタ自動調整回路の課題を説明するためのPS抵抗の簡単な概略縦断面図である。 図11のフィルタ自動調整回路の課題を説明するための異なる形状のPS抵抗の製造工程ばらつき例を示すテーブルである。 図11のフィルタ自動調整回路の課題を説明するための異なる形状のPS抵抗を用いた場合の調整誤差の例を示すテーブルである。
以下、本発明に係る実施の形態について図面を参照して説明する。なお、以下の各実施の形態において、同様の構成要素については同一の符号を付している。
(実施の形態1)
図1は本発明の実施の形態1に係るフィルタ自動調整回路の構成を示すブロック図である。図1において、本実施の形態に係るフィルタ自動調整回路は、基準信号発生器101と、分周器102と、位相差検出器104と、カウンタ105と、デコーダ106と、レジスタ108,110と、主フィルタ109,110とを備えて構成される。また、主フィルタ109は、例えばアクティブフィルタであって、入力抵抗112,113と、オペアンプ114と、切り替えスイッチ115(1)〜115(n)と、帰還容量であるMOS容量116(1)〜116(n)と、切り替えスイッチ117(1)〜117(n)と、入力容量であるMOS容量118(1)〜118(n)とを備えて構成される。さらに、主フィルタ111は、例えばアクティブフィルタであって、入力抵抗112,113と、オペアンプ114と、切り替えスイッチ119(1)〜119(n)と、帰還容量であるMOM容量120(1)〜120(n)と、切り替えスイッチ121(1)〜121(n)と、入力容量であるMOM容量122(1)〜122(n)とを備えて構成される。
図1の基準フィルタ103は、実際に信号をフィルタ処理するためのものでなく、本フィルタ自動調整回路を集積化した半導体集積回路の素子定数のばらつきを検知するためのものであり、ここでいうばらつきとは、主に半導体集積回路製造時における抵抗のばらつきとキャパシタのばらつきを指す。
図1の基準フィルタ103は、図4に示すような例えばアクティブフィルタにてなるLPFであり、図4において、基準フィルタ103は、入力抵抗141,142と、オペアンプ143と、切り替えスイッチ144と、MOS容量145と、MOM容量146と、切り替えスイッチ147と、MOS容量148と、MOM容量149とを備えて構成される。ここで、基準フィルタ103に、基準フィルタ103の特性周波数を有する基準信号を入力すると、入力波形と出力波形の位相差は90°になるように設計されていて、前記のような抵抗のばらつきとキャパシタのばらつきがある場合は、位相差が90°と違う値をとるようになっている。ここで、切り替えスイッチ144、147により切り替えることにより、MOS容量145,148を用いるモードと、MOM容量146,149を用いるモードとを選択的に切り換えて設定できる。なお、MOM容量146,149に代えて、MIM(Metal-Insulator-Metal)容量であってもよい。
基準信号発生器101から出力された基準信号はカウンタ105に入力されるとともに、分周器102を介して基準フィルタ103及び位相差検出器104に入力される。次いで、分周器102は、入力される基準信号を分周することにより、信号波形のデューティ比が50%で、基準フィルタ103の特性周波数を有する信号を生成して基準フィルタ103及び位相差検出器104に出力する。すなわち、基準フィルタ103の出力信号と入力信号が位相差検出器104に入力され、位相差検出器104は入力される2つの信号の位相差を検出して、その検出結果を示す信号をカウンタ105に出力する。本実施の形態では、位相差検出器104はAND回路で構成されている。カウンタ105は、基準信号に基づいて、位相差検出器104の出力信号のパルスをカウントすることによりデューティ比をカウントしてそれを示す信号を出力する。
本実施の形態では、基準信号発生器101から出力された基準信号を分周器102により分周することにより、信号波形のデューティ比が50%で、基準フィルタ103の特性周波数を有する信号を生成したが、本発明はこれに限らず、基準フィルタ103の特性周波数と、基準信号発生器101から出力された信号の周波数が同じの場合は、分周器102を特に設ける必要はなく、基準信号発生器101から出力された基準信号を、直接に基準フィルタ103に入力してもよい。
図2は図1のフィルタ自動調整回路のフィルタ調整動作における各ブロックの出力信号の概略波形図である。前記動作の一例について図2を参照して説明すると、分周器102の出力信号は、デューティ比が50%の方形波となっていて、基準フィルタ103の出力信号は、分周器102の出力信号と比較して、位相が90°遅れている。この分周器102の出力信号と基準フィルタ103の出力信号を位相差検出器104に入力したときの出力信号が、位相差検出器104の出力信号(AND)の波形である。
図13は図11のフィルタ自動調整回路のフィルタ調整動作を説明するためのタイミングチャートであり、図14は図11のフィルタ自動調整回路のフィルタ調整動作における基準フィルタ13のCR積のばらつきとカウント数の関係を示すテーブルである。位相差検出器104の出力信号から、CR積のばらつきを判断する方法を図13及び図14を参照して以下説明する。
図13は位相差検出器104の出力信号をカウンタ105でカウントしている状態を示しており、位相差検出器104の出力信号のHレベル区間を基準信号の立ち上がりでカウントしたとき、CR積のばらつきなし(CR積=±0%)のときはカウント数が8となり、またCR積のばらつきあり(CR積=−26%)のときはカウント数は10となっている。
図14には、図13で位相差検出器104の出力信号をカウントしたときの、CR積のばらつきとカウント数の関係の一例を示しており、キャパシタと抵抗のCR積がばらつくと、基準フィルタ103の出力信号の位相が、基準フィルタ103の入力の波形と比較して位相差90°からずれ、その結果、位相差検出器104の出力信号のデューティ比が図13に示すように変化する。図14に基づいて、カウント数に応じたMOS容量116(1)〜116(n)及び118(1)〜118(n)、もしくは、MOM容量120(1)〜120(n)と122(1)〜122(n)を、それらの接続を切り替えスイッチ115(1)〜115(n)及び117(1)〜117(n)もしくは切り替えスイッチ119(1)〜119(n)及び121(1)〜121(n)により選択的に切り替えて選択することにより、主フィルタ109,111における見かけ上のキャパシタと抵抗のCR積ばらつきを小さくすることができる。
例えば、カウント数が9であったとき、図14からCR積のばらつきは−13.1%から−25%までだと分かるため、その場合は、容量値を通常設計の1.235倍したものを選択することにより、補正による見かけ上のCR積のばらつきを7.4%から−7.4%にすることができる。このようにして、主フィルタ109,111に対してそのCR積のばらつき(特性ばらつきの原因となる)を抑える方向に調整することができる。図1における主フィルタ109,111はオペアンプを用いたアクティブフィルタである。この形式の場合、フィルタの周波数特性は、ぼぼ、抵抗と容量のみで決まるため、一度調整すると電源電圧変動や温度変動に強いという特徴がある。
なお、本実施の形態では、基準フィルタ103は、CR積のばらつきがないときに位相が90°ずれると説明したが、90°以外でも、CR積のばらつきと位相差に一定の関係(例えば−90゜)があればよい。
また、位相差検出器104はAND回路を用いたが、本発明はこれに限らず、図3に示すEXOR回路のように、基準フィルタ103の出力信号と入力信号の位相差を判定できる回路であれば、他の回路でもよい。
次に、複数の主フィルタ109,111を調整する方法について説明する。本構成では、主フィルタは109と111の2つがあり、主フィルタ109の特性周波数は、PS抵抗とMOS容量のCR積で求められ、主フィルタ111の特性周波数は、PS抵抗とMOM容量のCR積で求められる。2つの主フィルタは、要求性能(例えば、電源電圧変動特性と面積など)が異なるため、異なる容量を用いて設計している。
まず、主フィルタ109を調整するにあたり、基準フィルタ103のスイッチ144を選択的に切り替えてMOS容量145に接続する。同様に、基準フィルタのスイッチ147を選択的に切り替えてMOS容量148に接続する。この状態で基準フィルタ103に、信号波形のデューティ比50%で、基準フィルタ103の特性周波数を有する信号を入力し、基準フィルタ103の入力信号と出力信号を位相差検出器104に入力する。位相差検出器104の出力信号をカウンタ105でカウントする。このとき、基準フィルタ103が安定して動作するように、アイドル動作を行い、位相差検出器104からの出力信号のHレベルとローレベルベル(以下、Lレベルという。)の繰り返しを数回カウントし、想定している回数のカウントが完了したら、次に、位相差検出器104がHレベルとなった区間をカウンタ105にてカウントする。デコーダ106は、カウント数に応じて、PS抵抗とMOS容量のCRばらつきを補正するための容量切り替え信号107(1)〜107(n)を出力し、その信号をレジスタ108に格納する。レジスタ108に格納した結果により、主フィルタ109の容量切り替えスイッチ115(1)〜115(n)と117(1)〜117(n)を切り替え、調整結果に応じたMOS容量116(1)〜116(n)と118(1)〜118(n)を選択して設定する。すなわち、デコーダ106は、基準フィルタ103に基づいた主フィルタ109,111に対するバラツキ補正のための制御信号をデコードして容量切り替え信号を出力する。
次に、主フィルタ111を調整するにあたり、基準フィルタのスイッチ144を切り替え、MOM容量146に接続する。同様に、基準フィルタのスイッチ147を切り替え、MOM容量149に接続する。そして、主フィルタ109の調整と同様に、アイドル動作を行い、その後、位相差検出器104の出力信号のHレベル区間をカウンタ105でカウントする。デコーダ106は、カウント数に応じて、PS抵抗とMOM容量のCRばらつきを補正するための容量切り替え信号107(1)〜107(n)を出力し、その信号をレジスタ110に格納する。レジスタ110に格納した結果により、主フィルタ111の容量切り替えスイッチ119(1)〜119(n)と121(1)〜121(n)を切り替え、調整結果に応じたMOM容量120(1)〜120(n)と122(1)〜122(n)を選択する。
なお、本実施の形態では、主フィルタ109と主フィルタ111は、それぞれPS抵抗とMOS容量、PS抵抗とMOM容量で構成されていると説明したが、本発明はこれに限らず、この組み合わせに限る必要は無く、容量と抵抗の種類や形状が異なる複数の主フィルタにおいて、主フィルタで用いられる種類や形状の、容量と抵抗の組み合わせを基準フィルタで切り替えることで、複数の主フィルタの特性周波数を精度良く調整することが可能である。加えて、主フィルタは、容量と抵抗で作られる場合に限らず、インダクタを含む構成である場合でも、基準フィルタで切り替えられるようにすれば、調整可能である。また、精度の良いカウントをするために、複数回のカウントを行って平均や最頻値をとる方法や、位相の異なる複数の基準信号でカウントし、平均や最頻値を取る方法を採用してもよい。
図5は図1のフィルタ自動調整回路によって実行されるフィルタ調整処理を示すフローチャートである。当該フィルタ調整処理について図5のフローチャートを用いて以下説明する。なお、位相差検出アイドル回数をMとし、カウント結果を1又は2の値を取りうるNとする。
図5において、フィルタ調整開始の命令を受け、基準フィルタ103をMOS容量145に設定し、フィルタ調整に必要な回路101〜106の電源をオンさせて、アイドル動作を行う(ステップS51)。次に、基準フィルタ103の出力信号が安定するまで待つ(ステップS52)。ここでは、位相差検出器104の出力信号がLレベルからHレベルとなる回数をカウントし、カウント数がMになれば次のステップに進むようにしているが、タイマー回路を持つなど、別の方法でも良い。次に、位相差検出器104の出力信号がHレベル期間を基準信号でカウントする(ステップS53)。そして、位相差検出器104の出力信号がHレベルからLレベルになったところでカウントを終了し、カウント結果に応じてデコーダよりMOS容量切り替え信号を出力し、レジスタ108に格納する(ステップS54)。レジスタ108からの出力信号は、フィルタ調整が終了した後も結果を保持し、主フィルタ109のMOS容量(116(1)〜116(n)の1つ;118(1)〜118(n)の1つ)を選択する。次に、基準フィルタ103をMOM容量146に設定し、アイドル動作を行う(ステップS55)。さらに、ステップS52〜ステップS54と同様に、位相差検出器の出力信号がHレベル期間を基準信号でカウントして、デコード結果をレジスタ110に格納し(ステップS56〜ステップS58)、主フィルタ111のMOM容量(120(1)〜120(n)のうちの1つ;122(1)〜122(n)のうち1つ)を選択して、フィルタ調整処理を終了する。その際、フィルタ調整のみに使用する回路101〜106への電源をオフし、低消費電力化を図る。
本実施の形態では、フィルタ調整結果をレジスタ108,110に入力しているが、無線通信装置の製造工程でフィルタ調整を行い、調整結果を不揮発性メモリに書き込むこともできる。こうすることで、無線通信装置の電源がオフされた場合でも、フィルタの再調整をしなくてもよい。また、基準フィルタ103のモードを変化するときに、特性周波数を変化させてもよい。なお、本実施の形態では、主フィルタ109、111の容量を1つ選択しているが、容量の数を少なくして小型化する為に複数の容量を選択しても良い。
図6は図1のフィルタ自動調整回路における基準フィルタ103のCR積のばらつきとカウント数の関係を示すテーブルである。すなわち、図6に、基準フィルタ103の特性周波数を半分にしたときの、CR積のばらつきとカウント数の関係の一例を示す。基準フィルタ103の特性周波数が半分であるので、分周器102は前述した状態よりも、余計に2分周する。図14での補正後のCR積ばらつきが、ワーストで±7.4%であるのに対して、図5に示す補正後のCR積ばらつきは、ワーストで±3.8%であり、調整誤差が約半分となる。このように、基準フィルタ103の特性周波数を半分に分周する、あるいは、カウントする基準クロック101を2倍にすることにより、CR積ばらつきの補正誤差を小さくすることができる。その半面、調整結果に応じて切り替える容量や抵抗の数が多くなり、面積増加に繋がるため、必要な調整精度に応じて、基準フィルタ103の特性周波数や基準信号101の周波数を決めればよい。
本実施の形態では、主フィルタ109と主フィルタ111を調整する際に、基準信号源101、分周器102、図14に示すようなデコーダ106をそのまま使用したが、調整したい複数の主フィルタのCR積のばらつき範囲や、求められる調整精度に応じて変更することも可能である。即ち、調整精度が必要な主フィルタの場合は、基準フィルタ103の特性周波数を落とす、あるいは、基準信号の周波数を上げればよく、調整精度があまり必要でない主フィルタの場合はその逆にすれば良い。調整する主フィルタによって調整精度を変える場合は、基準信号源101、分周器102、デコーダ106を、調整する主フィルタに応じ、切り替えられるようにすればよい。
上述した従来例1の調整方法の場合、基準フィルタが常時動作していたため、信号処理を行う主フィルタとは別に基準フィルタが必要であった。しかしながら、本実施の形態においては、基準フィルタ103はフィルタ調整時にしか使わないため、スイッチ切り替えをすることにより、フィルタ調整をするときには、主フィルタ109,111を使ってフィルタ調整をし、調整が終了するとスイッチを選択的に切り替えて主フィルタ109,111をそのまま信号処理に使うことができる。このように、基準フィルタ103を備えないことにより、更なる小型化が図れ、また基準フィルタ103と主フィルタ109,111の相対ばらつきがないという面でもメリットがある。
(実施の形態2)
図7は本発明の実施の形態2に係るフィルタ自動調整回路の構成を示すブロック図である。本発明の実施の形態2に係るフィルタ自動調整回路は、実施の形態1に比較して更に調整の信頼度を上げる方法を用いたことを特徴としており、図1のブロック図と比較して、判定部171を追加したことを特徴としている。判定部171にはレジスタ108,110からの出力信号であるスイッチ切り替え信号が入力され、判定部171は、主フィルタ109の調整結果と、主フィルタ111の調整結果とを比較し、以下の詳述する方法を用いて調整が良好に正しく(上手く)行っていないと判断した場合、再度、フィルタ調整を行うか、エラー信号を返す。
判定部171の判定方法について以下説明する。仮に主フィルタ109はPS抵抗とMOS容量で構成され、主フィルタ111は拡散抵抗とMOM容量で構成されているとした場合、両フィルタ109,111の抵抗と容量の製造ばらつきが、それぞれ±10%であるとすると、両フィルタのCR積のばらつきは、+21%〜−19%となり、主フィルタ109のCRばらつきが+21%で主フィルタ111のCR積のばらつきがマイナス19パーセントで、主フィルタ109と主フィルタ111のCR積のばらつきの差は40%となる場合がある。しかしながら、主フィルタ109と主フィルタ111で使っている抵抗が、どちらも共通のPS抵抗であった場合は、主フィルタ109と主フィルタ111のCR積のばらつきの差は40%よりも小さくなる。
具体的には、両フィルタ109,111の抵抗が形状の同じPS抵抗で、相対ばらつきがないと仮定すると、主フィルタ109のMOS容量が+10%(もしくは−10%)、主フィルタ111のMOM容量が−10%(もしくは+10%)となる時に、主フィルタ109と主フィルタ111のCR積のばらつきの差は最も大きい20%となる。図14より、主フィルタ109と主フィルタ111のCR積のばらつき差が多くても20%の場合、主フィルタ109と主フィルタ111の調整時のカウント差は、2より小さくなる。従って、主フィルタ109を調整するときと主フィルタ111を調整するときの、それぞれのカウント数の差が3の場合、調整結果が正しくないと判断できる。このように、複数のモードを持つ主フィルタ109,111を調整する時に、判定部171は調整が良好に正しく(上手く)行かなかったと判断して、再度、フィルタ調整を行うか、エラー信号を返す。また、以前の結果を用いてもよい。
図8は図7のフィルタ自動調整回路によって実行されるフィルタ調整処理を示すフローチャートである。以下、判定部171の判定動作の例を、図8のフローチャートを用いて説明する。
図8において、まず、再調整回数R1を0にリセットする初期設定処理を実行し(ステップS50)、図5のステップS51〜ステップS58と同様の処理を実行した後、主フィルタ109と主フィルタ111の調整結果を比較する。ここでは、2つの調整時のカウント数の差|N1−N2|が、想定される値N0以下であるか否かを判定し(ステップS81)、以下であるときはフィルタ調整は正常に終了したものとする。逆に、2つの調整時のカウント数の差|N1−N2|が、想定される値N0よりも大きい場合は、再調整を行うことになるが、再調整した回数R1を覚えておき(ステップS83でR1を1だけインクリメントする)、再調整の回数R1が想定した回数R0以下であるか否かを判定する(ステップS82)。想定した回数R0よりも少ない場合は、ステップS51から再度フィルタ調整を行い、想定した回数R0よりも多い場合は、エラー出力し(ステップS84)、フィルタ調整を終了する。なお、この際、以前に調整した結果がある場合は、その調整結果を採用してもよい。
以上の実施の形態2では、判定部171はレジスタ108,110からの出力信号に基づいて判定しているが、本発明はこれに限らず、カウンタ105又は106からの出力信号に基づいて判定してもよい。
(実施の形態3)
図9は本発明の実施の形態3に係る携帯電話機システムの構成例を示すブロック図である。本実施の形態では、上述の各実施の形態に係るフィルタ自動調整回路の構成を携帯電話機システムに適用した場合の一例を示す。図9において、図1及び図7と同様のものについては同一の符号を付し、その説明を省略する。
図9において、アンテナ191から入力された無線信号を、ローノイズアンプ192で増幅し、ミキサ193にてダウンコンバートすることにより、ベースバンド周波数を有するベースバンド信号に変換し、そのベースバンド信号を上述したように調整された主フィルタ109,111(互いに縦続接続されている)によってフィルタリングし、目的周波数と異なる周波数の妨害波を除去する。妨害波を除去された信号は、主フィルタ111からベースバンド信号処理部(BB信号処理部)194に入力され、ベースバンド信号処理部194にて、音声やデータに変換される。
以上の実施の形態3においては、携帯電話機の構成について説明しているが、本発明はこれに限らず、無線通信装置に広く適用することができる。
以上詳述したように、本発明のフィルタ自動調整回路及びフィルタ自動調整方法並びに無線通信装置によれば、基準フィルタからの出力信号に基づいて特性周波数の調整機能を有するフィルタに対して、高い調整精度を持ちかつ容易に低消費電流化を実現したばらつき補正を可能にし、このばらつき補正によりフィルタ調整誤差を確実に抑えることができるもので、携帯電話機システムなどに適用され、特に精度の良いフィルタ調整と、それに伴う低消費電力化が要求されるフィルタ自動調整に実施して有効である。
101…基準信号発生器、
102…分周器、
103…基準フィルタ、
104…位相差検出器、
105…カウンタ、
106…デコーダ、
107(1)〜(n)…デコーダ出力信号、
108,110…レジスタ、
109,111…主フィルタ、
112,113…抵抗、
114…オペアンプ、
115(1)〜(n)、117(1)〜(n)…切り替えスイッチ、
116(1)〜(n)、118(1)〜(n)…MOS容量、
119(1)〜(n)、121(1)〜(n)…切り替えスイッチ、
120(1)〜(n)、122(1)〜(n)…MOM容量、
141、142…入力抵抗、
143…オペアンプ、
144、147…切り替えスイッチ、
145、148…MOS容量、
146、149…MOM容量、
171…判定部、
191…アンテナ、
192…ローノイズアンプ(LNA)、
193…ミキサ、
194…ベースバンド信号処理部(BB信号処理部)。

Claims (16)

  1. 特性周波数が調整可能な主フィルタに対して、基準信号の周波数を目標周波数として前記特性周波数を調整するフィルタ自動調整回路において、
    選択的に切り替え可能な複数のモードを有し、入力される基準信号をフィルタリングして出力する基準フィルタと、
    前記基準フィルタの入力信号と前記基準フィルタの出力信号との位相差を検出し、前記基準フィルタによる位相差に対応したデューティ比を有する信号を出力する位相差検出器と、
    前記位相差検出器の出力信号と基準信号を入力信号として、前記基準フィルタによる位相差に対応したデューティ比をカウントして当該デューティ比を示す信号を出力するカウンタと、
    前記カウンタの出力信号から、前記基準フィルタに基づいた主フィルタに対するバラツキ補正のための制御信号をデコードするデコーダと、
    前記デコーダから出力された制御信号を保持して出力する複数のレジスタと、
    前記複数のレジスタから出力された各制御信号に応じてそれぞれ、特性周波数を選択するようにフィルタリング信号処理を行う複数の主フィルタと、を備えたことを特徴とするフィルタ自動調整回路。
  2. 前記主フィルタ及び基準フィルタは、オペアンプを用いたアクティブフィルタであることを特徴とする請求項1記載のフィルタ自動調整回路。
  3. 前記基準フィルタは、特性周波数の信号が与えられたときに生じるべき位相差が90度又は90度であることを特徴とする請求項1記載のフィルタ自動調整回路。
  4. 前記基準フィルタは、MOS容量とMOM容量を選択的に切り替えて、もしくはMOS容量とMIM容量を選択的に切り替えて、モードの切り替えを行うことを特徴とする請求項1記載のフィルタ自動調整回路。
  5. 前記基準フィルタは、PS抵抗と拡散抵抗を選択的に切り替えて、モードの切り替えを行うことを特徴とする請求項1記載のフィルタ自動調整回路。
  6. 前記基準フィルタは、同じ種類で形状が異なる複数の素子を選択的に切り替えて、モードの切り替えを行うことを特徴とする請求項1記載のフィルタ自動調整回路。
  7. 前記基準フィルタは、特性周波数を切り替えられることを特徴とする請求項1記載のフィルタ自動調整回路。
  8. 前記基準位相差検出器は、AND回路であることを特徴とする請求項1記載のフィルタ自動調整回路。
  9. 前記カウンタの出力信号と、前記デコーダの出力信号と、前記レジスタの出力信号のうちのいずれかに基づいて、複数のファイルタ調整結果に対して、結果が選択条件に合わない場合に、再調整を行うか、エラー表示の出力信号を行うか、以前の結果を用いる命令を出す判定手段をさらに備えたことを特徴とする請求項1記載のフィルタ自動調整回路。
  10. 前記基準フィルタを備えずに切り替え動作を行うことにより、前記主フィルタを前記基準フィルタに代えて用いることを特徴とする請求項1〜9のうちのいずれか1つに記載のフィルタ自動調整回路。
  11. 特性周波数が調整可能な主フィルタに対して、基準信号の周波数を目標周波数として前記特性周波数を調整するフィルタ自動調整方法において、
    選択的に切り替え可能な複数のモードを有し、入力される基準信号をフィルタリングして出力する基準フィルタを第1のモードに設定するステップと、
    前記基準フィルタに基準信号を入力するステップと、
    前記第1のモードで、前記基準フィルタの入力信号と出力信号のデューティ比をカウントしてカウント数を出力するステップと、
    前記第1のモードで、前記カウント数からデコードするステップと、
    前記第1のモードで、デコード値をレジスタに格納するステップと、
    前記基準フィルタを第2のモードに設定するステップと、
    前記第2のモードで、前記基準フィルタの入力信号と出力信号のデューティ比をカウントしてカウント数を出力するステップと、
    前記第2のモードで、前記カウント数からデコードするステップと、
    前記第2のモードで、デコード値をレジスタに格納するステップと、を含むことを特徴とするフィルタ自動調整方法。
  12. 前記第1のモードから前記第2のモードに切り替える際に、基準フィルタに入力される基準信号の周波数を変更するステップ、をさらに含むことを特徴とする請求項11に記載のフィルタ自動調整方法。
  13. 前記第2のモードで、前記基準フィルタの入力信号と出力信号のデューティ比をカウントしてカウント数を出力するステップを実行した後に、前記第1のモードと第2のモードの、前記カウント数と前記デコード値と前記レジスタの出力信号とのうちのいずれかから、調整結果を判定し、調整結果が選択条件に合わない場合に、再調整を行うか、エラー表示の出力信号を行うか、以前の結果を用いるステップ、をさらに含むことを特徴とする請求項11に記載のフィルタ自動調整方法。
  14. 前記カウント数と前記デコード値と前記レジスタの出力信号のうちのいずれかを、無線通信装置の製造工程にて不揮発性メモリに書き込むことをさらに含むことを特徴とする請求項11に記載のフィルタ自動調整方法。
  15. アンテナから入力された信号を、フィルタ自動調整回路によってフィルタ調整された主フィルタによってフィルタリングし、目標周波数と異なる周波数の妨害波を除去し、妨害波を除去された信号は、主フィルタからベースバンド信号処理部に入力され、ベースバンド信号処理部にて音声やデータに変換される無線通信装置であって、
    前記無線通信装置は、請求項1記載のフィルタ自動調整回路を備えたことを特徴とする無線通信装置。
  16. 前記無線通信装置は携帯電話機システムであることを特徴とする請求項15記載の無線通信装置。
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