JP2011113025A - 偏光板および積層光学部材 - Google Patents

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Abstract

【課題】高温環境下に曝された場合であっても、端部に光漏れを生じず、高温環境下での使用にも十分耐え得る、耐熱性に優れた偏光板およびこれを用いた積層光学部材を提供する。
【解決手段】二色性色素が吸着配向されたポリビニルアルコール系樹脂フィルムからなる偏光フィルム101と、偏光フィルム101の少なくとも片面に積層された、ポリプロピレン系樹脂と脂環族飽和炭化水素樹脂とを含有する保護フィルム102とを備える偏光板およびこれを用いた積層光学部材である。保護フィルム102が積層される面とは反対側の面に、他の保護フィルム、位相差フィルム等の透明樹脂層103をさらに備えていてもよい。
【選択図】図1

Description

本発明は、偏光フィルムの片面または両面に保護フィルムが積層された偏光板およびこれを用いた積層光学部材に関する。
液晶表示装置は、消費電力が低く、低電圧で動作し、軽量で薄型であるなどの特徴を生かして、各種の表示用デバイスに用いられている。液晶表示装置は、液晶セル、偏光板、位相差フィルム、集光シート、拡散フィルム、導光板、光反射シートなど、多くの光学部材から構成されている。そのため、前記光学部材を構成するフィルムまたはシートの枚数削減や膜厚の低減等の改良により、液晶表示装置の生産効率や明度の向上および軽量・薄型化などを図ることが可能であり、このような研究が盛んに行なわれている。
液晶表示装置は、その用途によっては、厳しい耐久性能が求められる。たとえば、カーナビゲーションシステム用の液晶表示装置は、それが置かれる車内の温度や湿度が高くなることがあるため、通常のテレビやパーソナルコンピュータ用の液晶表示装置と比較して、より高い耐湿熱性が要求される。かかる用途に用いられる液晶表示装置に適用される偏光板にも、高い耐湿熱性が求められる。
従来、偏光板は、二色性色素が吸着配向されたポリビニルアルコール系樹脂からなる偏光フィルムの両面または片面に透明な保護フィルムが積層された構造のものが用いられている。保護フィルムには、トリアセチルロースに代表されるセルロースアセテート系樹脂フィルムが多く使用されており、その厚みは通例30〜120μm程度である。また、保護フィルムの積層には、ポリビニルアルコール系樹脂の水溶液からなる接着剤を用いることが多い。しかし、二色性色素が吸着配向された偏光フィルムの両面または片面に、ポリビニルアルコール系樹脂の水溶液からなる接着剤を介してトリアセチルセルロースからなる保護フィルムを積層した偏光板は、湿熱条件下で長時間使用した場合に、偏光性能が低下したり、保護フィルムと偏光フィルムとが剥離しやすかったりする問題があった。
そこで、少なくとも一方の保護フィルムを、セルロースアセテート系以外の樹脂で構成する試みがある。たとえば、特許文献1には、偏光膜の両面に保護フィルムを積層した偏光板において、その保護フィルムの少なくとも一方を、位相差フィルムの機能を有する熱可塑性ノルボルネン系樹脂で構成することが記載されている。また、特許文献2には、ヨウ素または二色性染料が吸着配向されたポリビニルアルコール系樹脂フィルムからなる偏光フィルムの一方の面に、非晶性ポリオレフィン系樹脂からなる保護フィルムが積層され、他方の面には、セルロースアセテート系樹脂など、非晶性ポリオレフィン系樹脂とは異なる樹脂からなる保護フィルムが積層された偏光板が記載されている。さらに、特許文献3には、ポリビニルアルコール系偏光フィルムに、ウレタン系接着剤とポリビニルアルコール系樹脂とを含有する接着剤層を介して、シクロオレフィン系樹脂からなる保護フィルムを積層することが記載されている。
しかし、ノルボルネン系樹脂などの非晶性ポリオレフィン系樹脂(シクロオレフィン系樹脂)は、最近実用化された樹脂であって、一般に高価である。したがって、非晶性ポリオレフィン系樹脂フィルムを偏光フィルムの保護のみを目的とする保護フィルムとして使用することはコスト面において不利である。
また、保護フィルム上に粘着剤層を形成することがしばしば行なわれるが、粘着剤層は、その調製に用いられるアセトン、トルエン、酢酸エチルなどの有機溶剤を含むことがあり、このような場合、非晶性ポリオレフィン系樹脂からなる保護フィルムは前記残存有機溶媒によって浸食されやすい。
特許文献4には、二色性色素が吸着配向しているポリビニルアルコール系樹脂からなる偏光フィルムの両面に保護フィルムが積層されており、保護フィルムの少なくとも一方がポリプロピレン系樹脂からなる偏光板が開示されている。
ポリプロピレン系樹脂からなる保護フィルムを用いた特許文献4に記載の偏光板は、アセトン、トルエン、酢酸エチルなどの有機溶剤に対して耐性を有するとともに、特に湿熱条件下での寸法安定性および偏光フィルムと保護フィルムとの接着性にも優れている。しかしながら、液晶表示装置に適用したときに過酷な高温環境下に曝されると、偏光板端部に光漏れを生じるという問題があった。
特開平8−43812号公報 特開2002−174729号公報 特開2004−334168号公報 特開2007−334295号公報
本発明の目的は、高温環境下に曝された場合であっても、端部に光漏れを生じず、高温環境下での使用にも十分耐え得る、耐熱性に優れた偏光板を提供することである。また、本発明の他の目的は、かかる耐熱性に優れる偏光板を用いた積層光学部材を提供することである。
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意検討した結果、偏光板端部での光漏れは、保護フィルムを構成するポリプロピレン系樹脂が高い面内位相差発現性を有することに起因することを見出した。すなわち、面内位相差発現性が高いと、高温環境下における保護フィルムの収縮により、保護フィルム端部で面内位相差が生じやすくなり、これにより偏光板端部において光漏れが起こることを見出した。そして、さらに検討を加え、ポリプロピレン系樹脂とともに脂環族飽和炭化水素樹脂を含有してなる保護フィルムを用いた偏光板によれば、保護フィルムの面内位相差発現性が低減される結果、過酷な高温環境下においても、偏光板端部での光漏れを効果的に抑制できることを見出した。
すなわち、本発明によれば、二色性色素が吸着配向されたポリビニルアルコール系樹脂フィルムからなる偏光フィルムと、該偏光フィルムの少なくとも片面に積層された、ポリプロピレン系樹脂と脂環族飽和炭化水素樹脂とを含有する保護フィルムとを備える偏光板が提供される。
上記保護フィルムは、ポリプロピレン系樹脂と脂環族飽和炭化水素樹脂とを含有する樹脂組成物から形成される樹脂フィルムであり、該樹脂組成物は、脂環族飽和炭化水素樹脂を0.1〜30重量%含有するものであることが好ましい。また、脂環族飽和炭化水素樹脂の軟化点は、110〜145℃の範囲内であることが好ましい。
上記ポリプロピレン系樹脂は、10重量%以下のエチレンユニットを含有するプロピレンとエチレンとの共重合体からなるか、または実質的にプロピレンの単独重合体からなることが好ましい。
本発明に係る1つの好ましい形態において、偏光板は、偏光フィルムの一方の面に積層されたポリプロピレン系樹脂と脂環族飽和炭化水素樹脂とを含有する上記保護フィルムと、他方の面に積層された波長板または視野角補償フィルムとを備える。
本発明の偏光板において、上記保護フィルムは、活性エネルギー線硬化性エポキシ系接着剤の硬化物層を介して偏光フィルムに積層されることが好ましい。
また本発明によれば、上記本発明の偏光板と、他の光学機能を示す光学層との積層体からなる積層光学部材が提供される。
本発明の偏光板および積層光学部材は、ポリプロピレン系樹脂および脂環族飽和炭化水素樹脂を含有する面内位相差発現性の低い保護フィルムを用いているため、高温環境下における光漏れが大幅に抑制されており、高温環境下における使用にも十分耐え得る高い耐熱性を示す。本発明の偏光板および積層光学部材は、液晶表示装置、とりわけ高い耐湿熱性が要求される液晶表示装置に好適に適用することができる。
本発明の偏光板の好ましい一例を示す概略断面図である。
<偏光板>
図1は、本発明の偏光板の好ましい一例を示す概略断面図である。図1に示されるように、本発明の偏光板100は、偏光フィルム101と、偏光フィルム101の少なくとも片面に積層された、ポリプロピレン系樹脂および脂環族飽和炭化水素樹脂を含有する保護フィルム102とを備える。本発明の偏光板100は、偏光フィルム101の保護フィルム102が積層される面とは反対側の面に透明樹脂層103をさらに備えていてもよい。透明樹脂層とは、たとえば、本発明に係るポリプロピレン系樹脂および脂環族飽和炭化水素樹脂を含有する保護フィルム(この場合、偏光板は、偏光フィルムの両面に本発明に係る保護フィルムを備える);本発明に係る保護フィルム以外の保護フィルムもしくは保護層;または、波長板もしくは視野角補償フィルム等の位相差フィルムなどである。保護フィルム102および透明樹脂層103は接着剤を用いて偏光フィルム101に貼合することができ、この場合、保護フィルム102および透明樹脂層103は接着剤層(図1における接着剤層104,105)を介して偏光フィルム101に積層される。
本発明の偏光板は、面内位相差値発現性が低い保護フィルムを用いているため、過酷な高温環境下においても偏光板端部での光漏れを効果的に抑制でき、耐熱性に優れている。また、上記保護フィルムは、透湿性の低いポリプロピレン系樹脂を主成分として構成されるものであることから、これを用いた本発明の偏光板は耐湿性にも優れており、また、耐溶剤性にも優れている。
(偏光フィルム)
偏光フィルム101としては、ポリビニルアルコール系樹脂フィルムに二色性色素を吸着配向させて、所定の偏光特性を付与したものを用いることができる。二色性色素としては、ヨウ素や二色性有機染料が用いられる。すなわち、偏光フィルム101として、具体的には、ポリビニルアルコール系樹脂フィルムにヨウ素を吸着配向させたヨウ素系偏光フィルム、ポリビニルアルコール系樹脂フィルムに二色性有機染料を吸着配向させた染料系偏光フィルムなどを用いることができる。
偏光フィルム101を構成するポリビニルアルコール系樹脂は、ポリ酢酸ビニル系樹脂をケン化することにより得ることができる。ポリ酢酸ビニル系樹脂としては、酢酸ビニルの単独重合体であるポリ酢酸ビニルのほか、酢酸ビニルと、これに共重合可能な他の単量体との共重合体などが用いられる。酢酸ビニルと共重合可能な他の単量体としては、たとえば、不飽和カルボン酸類、オレフィン類、ビニルエーテル類、不飽和スルホン酸類などが挙げられる。ポリビニルアルコール系樹脂は変性されていてもよく、たとえば、アルデヒド類で変性されたポリビニルホルマール、ポリビニルアセタール、ポリビニルブチラールなども使用し得る。
偏光フィルム101は、通常、ポリビニルアルコール系樹脂フィルムの水分を調整する調湿工程、ポリビニルアルコール系樹脂フィルムを一軸延伸する工程、ポリビニルアルコール系樹脂フィルムを二色性色素で染色して、二色性色素を吸着配向させる工程、二色性色素が吸着配向されたポリビニルアルコール系樹脂フィルムをホウ酸水溶液で処理する工程およびホウ酸水溶液を洗い落とす洗浄工程を経て製造される。一軸延伸は、染色の前に行なうこともできるし、染色中に行なうこともできるし、あるいは、染色後のホウ酸処理中に行なうこともできる。また、これら複数の段階で一軸延伸がなされてもよい。一軸延伸の方法は、周速の異なるロール間で一軸に延伸する方法であってもよいし、熱ロールを用いて一軸に延伸する方法であってもよい。また、大気中で延伸を行なう乾式延伸であってもよいし、溶剤にて膨潤させた状態で延伸を行なう湿式延伸であってもよい。延伸倍率は通常4〜8倍程度である。最終的に得られる偏光フィルム101の厚みは、たとえば、1〜50μm程度とすることができる。
(ポリプロピレン系樹脂および脂環族飽和炭化水素樹脂を含有する保護フィルム)
ポリプロピレン系樹脂および脂環族飽和炭化水素樹脂を含有する保護フィルム102は、面内位相差値R0が30nm以下、好ましくは20nm以下である実質的に面内位相差を有しない樹脂フィルムである。保護フィルム102の厚みは特に制限されないが、通常20〜200μmであり、好ましくは20〜120μmである。
〔1〕脂環族飽和炭化水素樹脂
保護フィルム102を構成する脂環族飽和炭化水素樹脂は、石油樹脂に分類される樹脂である。石油樹脂とは、石油類の熱分解により生成する分解油留分を重合し固化させた熱可塑性樹脂であって、たとえば、C5留分を原料とした脂肪族系石油樹脂;C9留分を原料とした芳香族系石油樹脂;C5留分とC9留分の2種を共重合して得られる共重合系石油樹脂;ならびに、脂肪族系石油樹脂、芳香族系石油樹脂、または共重合系石油樹脂を水素化した水素化系石油樹脂等が挙げられる。
本発明においては、上記石油樹脂のなかでも、特に、脂環族飽和炭化水素樹脂を用いる。脂環族飽和炭化水素樹脂は典型的には、芳香族系石油樹脂を水素化して得られる水素化系石油樹脂である。脂環族飽和炭化水素樹脂は、得られる保護フィルムの十分な剛性を維持しつつ、面内位相差発現性を効果的に抑制し、これを用いた偏光板の高温環境下における光漏れを効果的に防止することができる。また、無色透明であり、耐候性に優れるという保護フィルム原料として有利な特性を兼備している。
本発明で用いる脂環族飽和炭化水素樹脂は、軟化点が110℃以上、145℃以下であることが好ましい。より好ましくは、115℃以上、135℃以下である。軟化点が110℃より低いと、得られる保護フィルムの耐熱性が低下する傾向にあり、また、軟化点が145℃を超えると、得られる保護フィルムの可撓性が低下する傾向にある。
脂環族飽和炭化水素樹脂として、市販品を用いることもできる。このような市販品としては、荒川化学工業(株)製の「アルコン」シリーズが挙げられる。「アルコン」シリーズは、芳香族系石油樹脂を水素化した水素化系石油樹脂である。
保護フィルム102は、脂環族飽和炭化水素樹脂を0.1〜30重量%の範囲内で含有することができ、好ましくは3〜20重量%の範囲内で脂環族飽和炭化水素樹脂を含有する。脂環族飽和炭化水素樹脂の含有量が0.1重量%未満であると、保護フィルムの面内位相差発現性を抑制する効果が十分に得られず、その結果、偏光板の光漏れを防止できないことがある。また、30重量%を超えると、保護フィルムに経時的な脂環族飽和炭化水素樹脂のブリードアウトが生じる懸念がある。
〔2〕ポリプロピレン系樹脂
保護フィルム102を構成するポリプロピレン系樹脂は、実質的にプロピレンの単独重合体からなる樹脂であってもよいし、プロピレンと他の共重合性コモノマーとの共重合体からなる樹脂であってもよい。プロピレンの単独重合体は、プロピレンと他の共重合性コモノマーとの共重合体に比べて、結晶化度がより高くなるため、フィルム剛性と降伏強度をより高くすることができる点において有利である。したがって、ポリプロピレン系樹脂として、実質的にプロピレンの単独重合体からなる樹脂を用いることにより、保護フィルム作製工程、偏光板化工程での取り扱い性をより向上させることが可能となる。
ここで、「実質的にプロピレンの単独重合体」は、プロピレンユニットの含有量が100重量%である重合体のほか、保護フィルムの生産性向上等を目的として0.6重量%程度以下の範囲でエチレンユニットが含有されたプロピレン/エチレン共重合体も含むものとする。
プロピレンと他の共重合性コモノマーとの共重合体からなるポリプロピレン系樹脂は、プロピレンを主体とし、それと共重合可能なコモノマーの1種または2種以上を少量共重合させたものであることが好ましい。具体的には、このような共重合体からなるポリプロピレン系樹脂は、コモノマーユニットを、たとえば10重量%以下、より好ましくは7重量%以下の範囲で含有する樹脂であることができる。共重合体におけるコモノマーユニットの含有量は、少なくとも0.6重量%を超え、好ましくは1重量%以上、より好ましくは3重量%以上である。コモノマーユニットの含有量を1重量%以上とすることにより、加工性や透明性が有意に向上され得る。一方、コモノマーユニットの含有量が10重量%を超えると、ポリプロピレン系樹脂の融点が下がり、耐熱性が低下する傾向にある。なお、2種以上のコモノマーとプロピレンとの共重合体とする場合には、その共重合体に含まれる全てのコモノマーに由来するユニットの合計含有量が、上記範囲であることが好ましい。
プロピレンに共重合されるコモノマーは、たとえば、エチレン、炭素原子数4〜20のα−オレフィン等の不飽和炭化水素であることができる。α−オレフィンとして具体的には、次のようなものを挙げることができる。
1−ブテン、2−メチル−1−プロペン(以上C4);
1−ペンテン、2−メチル−1−ブテン、3−メチル−1−ブテン(以上C5);
1−ヘキセン、2−エチル−1−ブテン、2,3−ジメチル−1−ブテン、2−メチル−1−ペンテン、3−メチル−1−ペンテン、4−メチル−1−ペンテン、3,3−ジメチル−1−ブテン(以上C6);
1−ヘプテン、2−メチル−1−ヘキセン、2,3−ジメチル−1−ペンテン、2−エチル−1−ペンテン、2−メチル−3−エチル−1−ブテン(以上C7);
1−オクテン、5−メチル−1−ヘプテン、2−エチル−1−ヘキセン、3,3−ジメチル−1−ヘキセン、2−メチル−3−エチル−1−ペンテン、2,3,4−トリメチル−1−ペンテン、2−プロピル−1−ペンテン、2,3−ジエチル−1−ブテン
(以上C8);
1−ノネン(C9);1−デセン(C10);1−ウンデセン(C11);1−ドデセン(C12);1−トリデセン(C13);1−テトラデセン(C14);1−ペンタデセン(C15);1−ヘキサデセン(C16);1−ヘプタデセン(C17);1−オクタデセン(C18);1−ノナデセン(C19)など。
上記α−オレフィンの中でも、炭素原子数4〜12のα−オレフィンが好ましく、具体的には、1−ブテン、2−メチル−1−プロペン;1−ペンテン、2−メチル−1−ブテン、3−メチル−1−ブテン;1−ヘキセン、2−エチル−1−ブテン、2,3−ジメチル−1−ブテン、2−メチル−1−ペンテン、3−メチル−1−ペンテン、4−メチル−1−ペンテン、3,3−ジメチル−1−ブテン;1−ヘプテン、2−メチル−1−ヘキセン、2,3−ジメチル−1−ペンテン、2−エチル−1−ペンテン、2−メチル−3−エチル−1−ブテン;1−オクテン、5−メチル−1−ヘプテン、2−エチル−1−ヘキセン、3,3−ジメチル−1−ヘキセン、2−メチル−3−エチル−1−ペンテン、2,3,4−トリメチル−1−ペンテン、2−プロピル−1−ペンテン、2,3−ジエチル−1−ブテン;1−ノネン;1−デセン;1−ウンデセン;1−ドデセンなどを挙げることができる。共重合性の観点からは、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセンおよび1−オクテンが好ましく、とりわけ1−ブテンおよび1−ヘキセンがより好ましい。
共重合体は、ランダム共重合体であってもよいし、ブロック共重合体であってもよい。好ましい共重合体として、プロピレン/エチレン共重合体やプロピレン/1−ブテン共重合体を挙げることができる。プロピレン/エチレン共重合体やプロピレン/1−ブテン共重合体において、エチレンユニットの含有量や1−ブテンユニットの含有量は、たとえば、「高分子分析ハンドブック」(1995年、紀伊国屋書店発行)の第616頁に記載されている方法により赤外線(IR)スペクトル測定を行ない、求めることができる。
保護フィルムとしての透明度や加工性を上げる観点からは、共重合体は、プロピレンを主体とするプロピレンと上記不飽和炭化水素とのランダム共重合体であることが好ましく、プロピレンとエチレンとのランダム共重合体であることがより好ましい。プロピレン/エチレンランダム共重合体におけるエチレンユニットの含有量は、上述のとおり、1〜10重量%であることが好ましく、3〜7重量%であることがより好ましい。
ポリプロピレン系樹脂の立体規則性は、アイソタクチック、シンジオタクチック、アタクチックのいずれであってもよいが、保護フィルムの耐熱性向上の点から、シンジオタクチックあるいはアイソタクチックのポリプロピレン系樹脂が好ましく用いられる。
保護フィルム102に用いるポリプロピレン系樹脂は、JIS K 7210に準拠して、温度230℃、荷重21.18Nで測定されるメルトフローレート(MFR)が、0.1〜200g/10分、特に0.5〜50g/10分の範囲にあることが好ましい。MFRがこの範囲にあるポリプロピレン系樹脂を用いることにより、押出機に大きな負荷をかけることなく、樹脂組成および膜厚が均一な保護フィルムを得ることができる。
保護フィルム102を構成するポリプロピレン系樹脂は、公知の重合用触媒を用いて、プロピレンを単独重合する方法や、プロピレンと他の共重合性コモノマーとを共重合する方法によって製造することができる。公知の重合用触媒としては、たとえば、次のようなものを挙げることができる。
(1)マグネシウム、チタン、およびハロゲンを必須成分とする固体触媒成分からなるTi−Mg系触媒、
(2)マグネシウム、チタン、およびハロゲンを必須成分とする固体触媒成分に、有機アルミニウム化合物と、必要に応じて電子供与性化合物等の第三成分とを組み合わせた触媒系、
(3)メタロセン系触媒など。
上記(1)および(2)の触媒系におけるマグネシウム、チタン、およびハロゲンを必須成分とする固体触媒成分としては、たとえば、特開昭61−218606号公報、特開昭61−287904号公報、特開平7−216017号公報などに記載の触媒系が挙げられる。上記(2)の触媒系における有機アルミニウム化合物としては、トリエチルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウム、トリエチルアルミニウムとジエチルアルミニウムクロライドとの混合物、テトラエチルジアルモキサンなどが好ましく用いられ、電子供与性化合物としては、シクロヘキシルエチルジメトキシシラン、tert−ブチルプロピルジメトキシシラン、tert−ブチルエチルジメトキシシラン、ジシクロペンチルジメトキシシランなどが好ましく用いられる。
また、上記(3)のメタロセン系触媒としては、たとえば、特許第2587251号公報、特許第2627669号公報、特許第2668732号公報などに記載の触媒系が挙げられる。
上記触媒系の中でも、本発明においては、上記(2)の触媒系が最も一般的に使用できる。
ポリプロピレン系樹脂は、たとえば、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、デカン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、ベンゼン、トルエン、キシレンのような炭化水素化合物に代表される不活性溶剤を用いる溶液重合法、液状のモノマーを溶剤として用いる塊状重合法、気体のモノマーをそのまま重合させる気相重合法などによって製造することができる。これらの方法による重合は、バッチ式で行なってもよいし、連続式で行なってもよい。
〔3〕保護フィルムの製造方法
保護フィルム102は、ポリプロピレン系樹脂と脂環族飽和炭化水素樹脂とを含有する樹脂組成物を製膜することによって作製することができる。当該樹脂組成物の調製方法は、少なくとも脂環族飽和炭化水素樹脂が、得られる樹脂組成物中に均一に分散される方法である限り特に限定されるものではなく、たとえば、ポリプロピレン系樹脂を調製する重合工程における重合反応途中または重合反応直後の重合反応混合物に脂環族飽和炭化水素樹脂を添加する方法を挙げることができる。脂環族飽和炭化水素樹脂は、溶剤に溶解した溶液として添加してもよいし、容易に分散し得るように粉末状に粉砕し、粉体として添加してもよいし、加熱して溶融状態で添加してもよい。
また、ポリプロピレン系樹脂を溶融混練しながら脂環族飽和炭化水素樹脂を添加した後、さらに溶融混練する方法によっても樹脂組成物を得ることができる。これら溶融混練は、たとえば、リボンブレンダー、ミキシングロール、バンバリーミキサー、ロール、各種ニーダー、単軸押出機、二軸押出機などの混練機を用いて行なうことができる。このようにして得られた樹脂組成物は、溶融混練後、冷却することなく溶融状態のまま保護フィルムへの成形加工に供してもよいし、冷却してペレット体等の成形物にした後、これを再度加熱して保護フィルムへの成形加工に供してもよい。また、冷却した後、冷却状態のままプレス成形等の方法により保護フィルムに成形することもできる。
樹脂組成物中の脂環族飽和炭化水素樹脂の含有量は、樹脂組成物の重量を100重量%とするとき、通常0.1〜30重量%の範囲内であり、好ましくは3〜20重量%の範囲内である。脂環族飽和炭化水素樹脂の含有量が0.1重量%未満であると、保護フィルムの面内位相差発現性を抑制する効果が十分に得られず、その結果、偏光板の光漏れを防止できないことがある。また、30重量%を超えると、保護フィルムに経時的な脂環族飽和炭化水素樹脂のブリードアウトが生じる懸念がある。
上記樹脂組成物は、本発明の効果を阻害しない範囲で公知の添加物を含有してもよい。添加物としては、たとえば、酸化防止剤、紫外線吸収剤、帯電防止剤、滑剤、造核剤、防曇剤、アンチブロッキング剤などを挙げることができる。上記樹脂組成物は、1種または2種以上の添加剤を含有することができる。
酸化防止剤としては、たとえば、フェノール系酸化防止剤、リン系酸化防止剤、イオウ系酸化防止剤、ヒンダードアミン系光安定剤などが挙げられ、また、1分子中にたとえば、フェノール系の酸化防止機構とリン系の酸化防止機構とを併せ持つユニットを有する複合型の酸化防止剤も用いることができる。紫外線吸収剤としては、たとえば、2−ヒドロキシベンゾフェノン系やヒドロキシフェニルベンゾトリアゾール系等の紫外線吸収剤、ベンゾエート系の紫外線遮断剤などが挙げられる。帯電防止剤は、ポリマー型、オリゴマー型、モノマー型のいずれであってもよい。滑剤としては、エルカ酸アミドやオレイン酸アミド等の高級脂肪酸アミド、ステアリン酸等の高級脂肪酸およびその塩などが挙げられる。アンチブロッキング剤としては、球状あるいはそれに近い形状の微粒子が、無機系、有機系を問わず使用できる。
また、造核剤は、無機系造核剤、有機系造核剤のいずれでもよい。無機系造核剤としては、タルク、クレイ、炭酸カルシウム等が挙げられる。また、有機系造核剤としては、芳香族カルボン酸の金属塩類、芳香族リン酸の金属塩類などの金属塩類、高密度ポリエチレン、ポリ−3−メチルブテン−1、ポリシクロペンテン、ポリビニルシクロヘキサンなどが挙げられる。これらの中でも有機系造核剤が好ましく、さらに好ましくは前記の金属塩類および高密度ポリエチレンである。造核剤の添加量は、樹脂組成物に含有されるポリプロピレン系樹脂100重量%に対して0.01〜3重量%の範囲内であることが好ましく、0.05〜1.5重量%の範囲内であることがより好ましい。
上記樹脂組成物を、任意の方法で製膜することにより保護フィルムとすることができる。この保護フィルムは、透明で実質的に面内位相差のないものである。製膜方法としては、たとえば、1)溶融状態(一旦ペレット体とした後加熱して溶融状態としたものであってもよい)の樹脂組成物を押出成形する方法、2)溶剤を含む樹脂組成物(樹脂組成物に別途溶剤を添加してもよい)を平板上に流延し、溶剤を除去して製膜する溶剤キャスト法、および3)樹脂組成物をプレス成形する方法などを挙げることができる。これらの方法によって、面内位相差が実質的にない保護フィルムを得ることができる。
保護フィルムを製造する好ましい方法の一例として、押出成形による製膜法について詳しく説明する。押出成形においては、樹脂組成物は、押出機中でスクリューの回転によって溶融混練され、Tダイからシート状に押出される。押出される溶融状シートの温度は、180〜300℃程度とすることができる。溶融状シートの温度が180℃を下回ると、延展性が十分でなく、得られる保護フィルムの厚みが不均一になり、位相差ムラのあるフィルムとなる可能性がある。また、溶融状シートの温度が300℃を超えると、樹脂の劣化や分解が起こりやすく、溶融状シート中に気泡が生じたり、炭化物が含まれたりすることがある。
押出機は、単軸押出機であっても二軸押出機であってもよい。たとえば単軸押出機の場合は、スクリューの長さLと直径Dとの比であるL/Dが24〜36程度、樹脂供給部におけるねじ溝の空間容積V1と樹脂計量部におけるねじ溝の空間容積V2との比である圧縮比V1/V2が1.5〜4程度であって、フルフライトタイプ、バリアタイプまたはマドック型の混練部分を有するタイプなどのスクリューを用いることが好ましい。樹脂組成物の劣化や分解を抑制し、均一に溶融混練するという観点から、L/Dが28〜36であり、圧縮比V1/V2が2.5〜3.5であるバリアタイプのスクリューを用いることがより好ましい。
また、樹脂組成物の劣化や分解を可及的に抑制するため、押出機内は、窒素雰囲気、または真空にすることが好ましい。さらに、樹脂組成物が劣化したり分解したりすることで生じる揮発ガスを取り除くため、押出機の先端に1mmφ以上5mmφ以下のオリフィスを設け、押出機先端部分の樹脂圧力を高めることも好ましい。オリフィスの押出機先端部分の樹脂圧力を高めるとは、先端での背圧を高めることを意味しており、これにより押出の安定性を向上させることができる。用いるオリフィスの直径は、より好ましくは2mmφ以上4mmφ以下である。
押出に使用されるTダイは、樹脂組成物の流路表面に微小な段差や傷のないものが好ましく、また、そのリップ部分は、溶融した樹脂組成物との摩擦係数の小さい材料でめっき、またはコーティングされ、さらにリップ先端が0.3mmφ以下に研磨されたシャープなエッジ形状のものが好ましい。摩擦係数の小さい材料としては、タングステンカーバイド系やフッ素系の特殊めっきなどが挙げられる。このようなTダイを用いることにより、目ヤニの発生を抑制でき、同時にダイラインを抑制できるので、外観の均一性に優れる保護フィルムが得られる。Tダイは、マニホールドがコートハンガー形状であって、かつ以下の条件(1)または(2)を満たすことが好ましく、さらには条件(3)または(4)を満たすことがより好ましい。
(1)Tダイのリップ幅が1500mm未満のとき:Tダイの厚み方向長さ>180mm、
(2)Tダイのリップ幅が1500mm以上のとき:Tダイの厚み方向長さ>220mm、
(3)Tダイのリップ幅が1500mm未満のとき:Tダイの高さ方向長さ>250mm、
(4)Tダイのリップ幅が1500mm以上のとき:Tダイの高さ方向長さ>280mm。
このような条件を満たすTダイを用いることにより、Tダイ内部での溶融状樹脂組成物の流れを整えることができ、かつ、リップ部分でも厚みムラを抑えながら押出すことができるため、より厚み精度に優れ、面内位相差が極めて低いレベルでより均一化された保護フィルムを得ることができる。
なお、樹脂組成物の押出変動を抑制する観点から、押出機とTダイとの間にアダプターを介してギアポンプを取り付けることが好ましい。また、樹脂組成物中の異物を取り除くため、リーフディスクフィルターを取り付けることが好ましい。
Tダイから押出された溶融状シートは、金属製冷却ロール(チルロール、またはキャスティングロールともいう)と、その金属製冷却ロールの周方向に圧接して回転する弾性体を含むタッチロールとの間で挟圧され、両ロールによって冷却固化されて、保護フィルムとなる。タッチロールは、ゴムなどの弾性体がそのまま表面となっているものでもよいし、弾性体ロールの表面を金属スリーブからなる外筒で被覆したものでもよい。弾性体ロールの表面が金属スリーブからなる外筒で被覆されたタッチロールを用いる場合は、通常、金属製冷却ロールとタッチロールとの間に、樹脂組成物の溶融状シートを直接挟んで冷却する。一方、表面が弾性体となっているタッチロールを用いる場合は、樹脂組成物の溶融状シートとタッチロールとの間に熱可塑性樹脂の二軸延伸フィルムを介在させて挟圧することもできる。
樹脂組成物の溶融状シートを、前記のような金属製冷却ロールとタッチロールとで挟んで冷却固化させるにあたり、冷却ロールとタッチロールは、いずれもその表面温度を低くしておき、溶融状シートを急冷させることが好ましく、具体的には、両ロールの表面温度は0℃以上30℃以下の範囲に調整されることが好ましい。これらの表面温度が30℃を超えると、溶融状シートの冷却固化に時間がかかるため、溶融状シート中の結晶成分が成長してしまい、得られる保護フィルムの透明性が低下することがある。両ロールの表面温度は、より好ましくは30℃未満、さらに好ましくは25℃未満である。一方、両ロールの表面温度が0℃を下回ると、金属製冷却ロールの表面に結露が生じて水滴が付着し、保護フィルムの外観を悪化させる場合がある。
使用する金属製冷却ロールは、その表面状態が保護フィルムの表面に転写されるため、その表面に凹凸があると、得られる保護フィルムの厚み精度を低下させる場合がある。そこで、金属製冷却ロールの表面は、フィルムの剥離が可能な限りできるだけ鏡面状態に近い方が好ましい。具体的には、金属製冷却ロールの表面の粗度は、最大高さの標準数列で表して0.4S以下であることが好ましく、0.05S〜0.2Sであることがより好ましい。
金属製冷却ロールとニップ部分を形成するタッチロールは、その弾性体における表面硬度が、JIS K 6301に規定されるスプリング式硬さ試験(A形)で測定される値として、65〜80であることが好ましく、70〜80であることがより好ましい。このような表面硬度のタッチロールを用いることにより、溶融状シートにかかる線圧を均一に維持することが容易となり、かつ、金属製冷却ロールとタッチロールとの間に溶融状シートのバンク(樹脂溜り)を生じさせることなくフィルムに成形することが容易となる。
溶融状シートを挟圧するときの圧力(線圧)は、金属製冷却ロールに対してタッチロールを押し付ける圧力により決まる。線圧は、50N/cm以上300N/cm以下とすることが好ましく、100N/cm以上250N/cm以下とすることがより好ましい。線圧を前記範囲とすることにより、バンクを形成することなく、一定の線圧を維持しながら保護フィルムを製造することが容易となる。
金属製冷却ロールとタッチロールとの間で、樹脂組成物の溶融状シートとともに熱可塑性樹脂の二軸延伸フィルムを挟圧する場合、この二軸延伸フィルムを構成する熱可塑性樹脂は、溶融状シートと強固に熱融着しない樹脂であればよく、具体的には、ポリエステル、ポリアミド、ポリ塩化ビニル、ポリビニルアルコール、エチレン−ビニルアルコール共重合体、ポリアクリロニトリルなどを挙げることができる。これらの中でも、湿度や熱などによる寸法変化の少ないポリエステルが最も好ましい。二軸延伸フィルムの厚さは、通常、5〜50μm程度であり、好ましくは10〜30μmである。
Tダイのリップから金属製冷却ロールとタッチロールとで挟圧されるまでの距離(エアギャップ)は、200mm以下とすることが好ましく、160mm以下とすることがより好ましい。Tダイから押出された溶融状シートは、リップからロールまでの間引き伸ばされて、配向が生じやすくなる。エアギャップを前記のように短くすることで、配向のより小さい保護フィルムを得ることができる。エアギャップの下限値は、使用する金属製冷却ロールの径とタッチロールの径、および使用するリップの先端形状により決定され、通常、50mm以上である。
保護フィルムの加工速度は、溶融状シートを冷却固化するために必要な時間により決定される。使用する金属製冷却ロールの径が大きくなると、溶融状シートがその冷却ロールと接触している距離が長くなるため、より高速での製造が可能となる。具体的には、600mmφの金属製冷却ロールを用いる場合、加工速度は、最大で5〜20m/分程度となる。
金属製冷却ロールとタッチロールとにより挟圧され、冷却固化されて得られる保護フィルムは、必要に応じて端部をスリットした後、通常、巻き取り機によってロール状に巻き取られる。この際、保護フィルムを使用するまでの間、その表面を保護するために、その片面、または両面に別の熱可塑性樹脂からなる表面保護フィルムを貼り合わせた状態で巻き取ってもよい。溶融状シートを熱可塑性樹脂からなる二軸延伸フィルムとともに金属製冷却ロールとタッチロールとの間で挟圧する場合には、その二軸延伸フィルムを一方の表面保護フィルムとすることもできる。
(透明樹脂層)
本発明の偏光板は、図1に示されるように、保護フィルム102が積層される面とは反対側の偏光フィルム面に透明樹脂層103をさらに備えていてもよい。
透明樹脂層103は、ポリプロピレン系樹脂と脂環族飽和炭化水素樹脂とを含有する、上記した保護フィルム102と同様の保護フィルムであってもよく、ポリプロピレン系樹脂および脂環族飽和炭化水素樹脂を含有する保護フィルム以外の保護フィルムであってもよい。後者の保護フィルムとしては、メタクリル酸メチル系樹脂等の(メタ)アクリル系樹脂、ポリプロピレン系樹脂等の鎖状ポリオレフィン系樹脂、環状ポリオレフィン系樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂、セルロース系樹脂(たとえば、トリアセチルセルロース、ジアセチルセルロース等のセルロースアセテート系樹脂)、スチレン系樹脂、アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン系共重合樹脂、アクリロニトリル・スチレン系共重合樹脂、ポリ酢酸ビニル系樹脂、ポリ塩化ビニリデン系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリアセタール系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、変性ポリフェニレンエーテル系樹脂、ポリブチレンテフタレート系樹脂、ポリエチレンテフタレート系樹脂、ポリスルホン系樹脂、ポリエーテルスルホン系樹脂、ポリアリレート系樹脂、ポリアミドイミド系樹脂、ポリイミド系樹脂などからなる透明保護フィルムを用いることができる。これら透明保護フィルムの厚みは、通常、20〜200μmであり、好ましくは20〜120μmである。
透明樹脂層103は、活性エネルギー線の照射または加熱により硬化し得る硬化性化合物を含有する樹脂組成物を塗布、硬化してなる塗布型透明保護層であってもよい。硬化性化合物としては、後述するエポキシ化合物を好適に用いることができる。塗布型透明保護層の厚みは、たとえば0.1〜10μmであり、好ましくは1〜5μmである。透明樹脂層103が塗布型透明保護層である場合、接着剤層105を介在させることなく、透明樹脂層103を直接偏光フィルム101上に積層させることができる。
また、透明樹脂層103は、1/4波長板や1/2波長板等の波長板または視野角補償フィルムなどの位相差フィルムであってもよい。このように、保護フィルムに代えて位相差フィルムを積層する構成とすることにより、フィルムの積層数を削減することができるため、これが適用される液晶表示装置の軽量化、薄型化を図ることが可能となる。波長板、視野角補償フィルムなどの位相差フィルムとしては、従来公知のものを用いることができる。
たとえば、位相差フィルムを構成する樹脂としては、ポリカーボネート系樹脂、ポリビニルアルコール系樹脂、ポリスチレン系樹脂、(メタ)アクリレート系樹脂、ポリプロピレンのようなポリオレフィン系樹脂、環状ポリオレフィン系樹脂、ポリアリレート系樹脂、ポリイミド系樹脂、ポリアミド系樹脂などを用いることができる。かかる樹脂からなるフィルムを一軸や二軸等の適宜な方式で延伸することにより位相差フィルムを得ることができる。また、位相差フィルムは、熱収縮性フィルムとの接着下に収縮力および/または延伸力をかけることでフィルムの厚さ方向の屈折率を制御した複屈折性フィルムでもよい。
透明樹脂層103が位相差フィルムである場合において、位相差フィルムの遅相軸と偏光フィルム101の吸収軸とがなす角度は、位相差フィルムの機能に応じて適宜選択され、たとえば、波長板の場合においては、5〜85°であり、視野角補償フィルムの場合においては、実質的に0°または実質的に90°である。
(接着剤層)
保護フィルム102および透明樹脂層103との貼合を担う接着剤層104,105を形成する接着剤としては、たとえば、エポキシ系、アクリル系、ウレタン系、シアノアクリレート系もしくはアクリルアミド系接着剤を、それぞれ単独でまたは複数組み合わせて用いることができる。これらいずれを用いても良好な接着力が得られるが、中でもエポキシ系接着剤は特に優れた接着力を示すため、好ましく用いられる。なお、保護フィルム102と偏光フィルム101とを接着する接着剤と、透明樹脂層103と偏光フィルム101とを接着する接着剤とは、同種であってもよいし、異種であってもよいが、偏光板の製造工程の簡略化および使用材料種の削減の観点から同種とすることが好ましい。
上記エポキシ系接着剤としては、活性エネルギー線の照射により硬化するエポキシ化合物を含有する硬化性樹脂組成物からなる接着剤が挙げられる。この場合、偏光フィルムと保護フィルムおよび透明樹脂層との接着は、当該接着剤の塗布層に対して、活性エネルギー線を照射し、接着剤に含有される硬化性のエポキシ化合物を硬化させることにより行なうことができ、得られる接着剤層は、活性エネルギー線硬化性エポキシ系接着剤の硬化物層からなる。この活性エネルギー線の照射によるエポキシ化合物の硬化は、好ましくは、カチオン重合により行なわれる。接着剤に用いられるエポキシ化合物は、通常、分子内に少なくとも2個のエポキシ基を有するものである。本明細書中において活性エネルギー線とは、可視光線、紫外線、X線、電子線などを含む概念である。
耐候性、屈折率、カチオン重合性などの観点から、接着剤である硬化性エポキシ樹脂組成物に含有されるエポキシ化合物は、分子内に芳香環を含まないものであることが好ましい。分子内に芳香環を含まないエポキシ化合物を用いた接着剤は、たとえば、特開2004-245925号公報に記載されている。このような分子内に芳香環を含まないエポキシ化合物として、水素化エポキシ化合物、脂環式エポキシ化合物、脂肪族エポキシ化合物などが例示できる。
水素化エポキシ化合物は、芳香族エポキシ樹脂の原料となる芳香族ポリヒドロキシ化合物を触媒の存在下、加圧下で選択的に核水素化反応を行ない、次いでグリシジルエーテル化することにより、得ることができる。芳香族エポキシ樹脂としては、たとえば、ビスフェノールAのジグリシジルエーテル、ビスフェールFのジグリシジルエーテル、およびビスフェノールSのジグリシジルエーテル等のビスフェノール型エポキシ樹脂;フェノールノボラックエポキシ樹脂、クレゾールノボラックエポキシ樹脂、およびヒドロキシベンズアルデヒドフェノールノボラックエポキシ樹脂等のノボラック型のエポキシ樹脂;テトラヒドロキシフェニルメタンのグリシジルエーテル、テトラヒドロキシベンゾフェノンのグリシジルエーテル、およびエポキシ化ポリビニルフェノール等の多官能型のエポキシ樹脂などが挙げられる。これら芳香族エポキシ樹脂の原料である、たとえばビスフェノール類等の芳香族ポリヒドロキシ化合物に、上記のような核水素化反応を施し、次いでエピクロロヒドリンを反応させれば、水素化エポキシ化合物が得られる。中でも、水素化エポキシ化合物としては、水素化したビスフェノールAのグリシジルエーテルが好適である。
脂環式エポキシ化合物とは、脂環式環に結合したエポキシ基を分子内に1個以上有するエポキシ樹脂を意味する。「脂環式環に結合したエポキシ基」とは、次式に示される構造における橋かけの酸素原子−O−を意味し、次式中、mは2〜5の整数である。
Figure 2011113025
上記式における(CH2m中の1個または複数個の水素原子を取り除いた形の基が他の化学構造に結合している化合物が、脂環式エポキシ化合物となり得る。(CH2m中の1個または複数個の水素原子は、メチル基やエチル基等の直鎖状アルキル基で適宜置換されていてもよい。脂環式エポキシ化合物の中でも、オキサビシクロヘキサン環(上記式においてm=3のもの)や、オキサビシクロヘプタン環(上記式においてm=4のもの)を有するものは、優れた接着性を示すことから好ましく用いられる。以下に、好ましく用いられる脂環式エポキシ化合物を具体的に例示するが、これらの化合物に限定されるものではない。
3,4−エポキシシクロヘキシルメチル 3,4−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート、
3,4−エポキシ−6−メチルシクロヘキシルメチル 3,4−エポキシ−6−メチルシクロヘキサンカルボキシレート、
エチレンビス(3,4−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート)、
ビス(3,4−エポキシシクロヘキシルメチル)アジペート、
ビス(3,4−エポキシ−6−メチルシクロヘキシルメチル)アジペート、
ジエチレングリコールビス(3,4−エポキシシクロヘキシルメチルエーテル)、
エチレングリコールビス(3,4−エポキシシクロヘキシルメチルエーテル)、
2,3,14,15−ジエポキシ−7,11,18,21−テトラオキサトリスピロ−[5.2.2.5.2.2]ヘンイコサン(3,4−エポキシシクロヘキサンスピロ−2',6'−ジオキサンスピロ−3'',5''−ジオキサンスピロ−3''',4'''−エポキシシクロヘキサンとも命名できる化合物である)、
3−(3,4−エポキシシクロヘキシル)−8,9−エポキシ−1,5−ジオキサスピロ[5.5]ウンデカン、
4−ビニルシクロヘキセンジオキサイド、
ビス−2,3−エポキシシクロペンチルエーテル、
ジシクロペンタジエンジオキサイドなど。
また、脂肪族エポキシ化合物としては、脂肪族多価アルコールまたはそのアルキレンオキサイド付加物のポリグリシジルエーテルを挙げることができる。より具体的には、1,4−ブタンジオールのジグリシジルエーテル;1,6−ヘキサンジオールのジグリシジルエーテル;グリセリンのトリグリシジルエーテル;トリメチロールプロパンのトリグリシジルエーテル;ポリエチレングリコールのジグリシジルエーテル;プロピレングリコールのジグリシジルエーテル;エチレングリコール、プロピレングリコールまたはグリセリン等の脂肪族多価アルコールに1種または2種以上のアルキレンオキサイド(エチレンオキサイドやプロピレンオキサイド)を付加することにより得られるポリエーテルポリオールのポリグリシジルエーテルなどが挙げられる。
硬化性樹脂組成物からなる接着剤において、エポキシ化合物は、1種のみを単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。接着剤に用いられるエポキシ化合物のエポキシ当量は、通常、30〜3,000g/当量、好ましくは50〜1,500g/当量の範囲内である。エポキシ当量が30g/当量を下回ると、硬化後の偏光板の可撓性が低下したり、接着強度が低下したりする可能性がある。一方、3,000g/当量を超えると、接着剤に含有される他の成分との相溶性が低下する可能性がある。
反応性の観点から、エポキシ化合物の硬化反応としてカチオン重合が好ましく用いられる。そのためには、接着剤である硬化性エポキシ樹脂組成物は、カチオン重合開始剤を含有するのが好ましい。カチオン重合開始剤は、可視光線、紫外線、X線、および電子線等の活性エネルギー線の照射によって、カチオン種またはルイス酸を発生し、エポキシ基の重合反応を開始させる。いずれのタイプのカチオン重合開始剤であっても、潜在性が付与されていることが、作業性の観点から好ましい。以下、活性エネルギー線の照射によりカチオン種またはルイス酸を発生し、エポキシ基の重合反応を開始させるカチオン重合開始剤を「光カチオン重合開始剤」という。
光カチオン重合開始剤を用い、活性エネルギー線の照射により接着剤の硬化を行なう方法は、常温での硬化が可能となり、偏光フィルムの耐熱性または膨張による歪を考慮する必要が減少し、保護フィルムおよび透明樹脂層と偏光フィルムとを良好に接着できる点において有利である。また、光カチオン重合開始剤は、光で触媒的に作用するため、エポキシ化合物に混合しても保存安定性や作業性に優れる。
光カチオン重合開始剤としては、たとえば、芳香族ジアゾニウム塩;芳香族ヨードニウム塩や芳香族スルホニウム塩等のオニウム塩;鉄−アレン錯体などを挙げることができる。これらの光カチオン重合開始剤は、それぞれ単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、特に芳香族スルホニウム塩は、300nm以上の波長領域でも紫外線吸収特性を有することから、硬化性に優れ、良好な機械的強度や接着強度を有する硬化物を与えることができるため、好ましく用いられる。
これらの光カチオン重合開始剤は、市販品を容易に入手することが可能であり、たとえば、それぞれ商品名で、「カヤラッド PCI−220」および「カヤラッド PCI−620」(以上、日本化薬株式会社製)、「UVI−6990」(ユニオンカーバイド社製)、「アデカオプトマー SP−150」および「アデカオプトマー SP−170」(以上、株式会社ADEKA製)、「CI−5102」、「CIT−1370」、「CIT−1682」、「CIP−1866S」、「CIP−2048S」および「CIP−2064S」(以上、日本曹達株式会社製)、「DPI−101」、「DPI−102」、「DPI−103」、「DPI−105」、「MPI−103」、「MPI−105」、「BBI−101」、「BBI−102」、「BBI−103」、「BBI−105」、「TPS−101」、「TPS−102」、「TPS−103」、「TPS−105」、「MDS−103」、「MDS−105」、「DTS−102」および「DTS−103」(以上、みどり化学株式会社製)、および「PI−2074」(ローディア社製)などを挙げることができる。
光カチオン重合開始剤の配合量は、エポキシ化合物100重量部に対して、通常0.5〜20重量部であり、好ましくは1重量部以上、また好ましくは15重量部以下である。
接着剤である硬化性エポキシ樹脂組成物は、必要に応じて、さらに光増感剤または光増感助剤を含有することができる。光増感剤を用いることで、カチオン重合の反応性が向上し、硬化物の機械的強度や接着強度を向上させることができる。光増感剤としては、たとえば、カルボニル化合物、有機硫黄化合物、過硫化物、レドックス系化合物、アゾおよびジアゾ化合物、ハロゲン化合物、光還元性色素などが挙げられる。光増感剤は、硬化性エポキシ樹脂組成物100重量部中に、0.1〜20重量部の範囲内で含有されることが好ましい。また、光増感助剤として、特にナフタレン系光増感助剤を用いることで、それを配合しない場合に比べ、接着剤組成物の硬化性が向上する。ナフタレン系光増感助剤は、硬化性エポキシ樹脂組成物100重量部中に、0.1〜5重量部の範囲内で含有されることが好ましい。
さらに、硬化性エポキシ樹脂組成物は、オキセタン化合物やポリオール化合物など、カチオン重合を促進させる化合物を含有してもよい。
以上のようなエポキシ化合物を含有する硬化性エポキシ樹脂組成物からなる接着剤を、偏光フィルムもしくは保護フィルムや透明樹脂層の接着面、またはこれら双方の接着面に塗工した後、接着剤の塗工された面で貼合し、活性エネルギー線を照射することにより未硬化の接着剤層を硬化させて、偏光板を得ることができる。接着剤の塗工方法としては、たとえば、ドクターブレード、ワイヤーバー、ダイコーター、カンマコーター、グラビアコーターなど、種々の塗工方式が利用できる。
硬化性エポキシ樹脂組成物からなる接着剤は、基本的には、溶剤成分を実質的に含まない無溶剤型接着剤として用いることができるが、各塗工方式には各々最適な粘度範囲があるため、粘度調整のために溶剤を含有させてもよい。溶剤としては、偏光フィルムの光学性能を低下させることなく、エポキシ樹脂組成物を良好に溶解するものを用いることが好ましく、たとえば、トルエンに代表される炭化水素類、酢酸エチルに代表されるエステル類等の有機溶剤を挙げることができる。
活性エネルギー線の照射に用いられる光源は特に限定されないが、たとえば低圧水銀灯、中圧水銀灯、高圧水銀灯、ブラックライトランプ、メタルハライドランプなどの紫外線光源が好ましく用いられる。活性エネルギー線の照射強度および照射量は、光カチオン重合開始剤を十分に活性化させることができ、かつ硬化後の接着剤層、偏光フィルム、保護フィルム、透明樹脂層に悪影響を与えない程度に適宜調整される。
硬化性エポキシ樹脂組成物からなる接着剤を用いる場合、硬化後の接着剤層の厚みは、通常0.1〜50μm、好ましくは0.5〜20μm、さらに好ましくは1〜10μmである。
なお、偏光板の製造にあたっては、保護フィルムや透明樹脂層の接着面にあらかじめコロナ放電処理を施しておくことが好ましい。コロナ放電処理を施すことにより、保護フィルムや透明樹脂層と偏光フィルムとの接着力を高めることができる。コロナ放電処理とは、電極間に高電圧をかけて放電し、電極間に配置された樹脂フィルムの表面を活性化する処理である。コロナ放電処理の効果は、電極の種類、電極間隔、電圧、湿度、使用する樹脂フィルムの種類、単位時間あたりの処理長さまたは面積などによって異なるため、所望の接着強度が得られるよう適宜条件を調整することが好ましい。たとえば、電極間隔は1〜5mm程度、フィルムの移動速度は3〜20m/分程度(これにフィルム幅を乗じた値が単位時間あたりの処理面積となり、たとえばフィルム幅が1mであれば、単位時間あたりの処理面積に換算すると3〜20m2/分になる)とすることができる。コロナ放電処理後は、その処理面に、前記のような接着剤を塗布し、偏光フィルムが貼り合わされる。
(粘着剤層)
本発明の偏光板は、保護フィルムまたは透明樹脂層103上に積層された粘着剤層を有していてもよい。この粘着剤層は、偏光板を液晶表示装置に適用する場合において、たとえば液晶セルとの貼合に好適に用いることができる。透明樹脂層103が波長板や視野角補償フィルム等の位相差フィルムである場合、通常、粘着剤層は位相差フィルム上に積層される。
粘着剤層を形成する粘着剤としては、アクリル酸エステル系、メタクリル酸エステル系、ブチルゴム系、シリコーン系などのベースポリマーを用いたものが使用できる。なかでも、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸イソオクチル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル等から選択される(メタ)アクリル酸エステルの1種または2種以上を主な構成単位とする重合体または共重合体をベースポリマーとする粘着剤が好適に用いられる。ベースポリマーは通常、上記主となる構成単位とともに極性モノマーが共重合されている。極性モノマーとしては、たとえば、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレートのような、カルボキシル基、水酸基、アミノ基、エポキシ基などを有するモノマーを挙げることができる。粘着剤は、通常、ベースポリマーのほか、1種または2種以上の架橋剤を含む。架橋剤としては、カルボキシル基との間でカルボン酸金属塩を形成する2価または多価金属塩、カルボキシル基との間でアミド結合を形成するポリイソシアネート化合物などが挙げられる。
粘着剤層の厚みは、3〜50μm程度とすることができる。粘着剤層を偏光板に付与する場合、保護フィルムまたは透明樹脂層表面にコロナ処理などの表面処理を施してもよい。また、粘着剤層を形成する場合には、偏光板の使用時まで、粘着剤層表面を剥離フィルムなどで覆っておくのが通常である。
<積層光学部材>
本発明の積層光学部材は、上記本発明の偏光板と、該偏光板の保護フィルムまたは透明樹脂層上に積層された他の光学機能を示す光学層との積層体からなる。「他の光学機能」とは、偏光機能以外の光学機能を意味し、このような他の光学機能を示す光学層としては、たとえば、位相差フィルム、集光シート、輝度向上フィルムのほか、反射防止層、防眩層等の表面処理層などを挙げることができる。
上記位相差フィルムとしては、偏光フィルム101に貼合される透明樹脂層103が位相差フィルム(たとえば1/2波長板)である場合における、1/4波長板を例示することができ、この場合、光学層としての位相差フィルムは、位相差フィルムである透明樹脂層103上に貼合される。また、光学層としての位相差フィルムの他の例として、透明樹脂層103が保護フィルムまたは塗布型の保護層である場合における1/2波長板もしくは1/4波長板またはこれらを組み合わせた広帯域1/4波長板を挙げることができる。この場合、光学層としての位相差フィルムは、偏光板が備える保護フィルム102または透明樹脂層103のいずれに貼合されてもよい。このように、積層光学部材の形成に用いられる位相差フィルムは、広帯域化など光学特性の制御を目的として、2枚以上のフィルムを積層したものであってよい。
光学層としての位相差フィルムを構成する樹脂としては、たとえば、ポリカーボネート系樹脂、ポリビニルアルコール系樹脂、ポリスチレン系樹脂、(メタ)アクリレート系樹脂、ポリプロピレンのようなポリオレフィン系樹脂、環状ポリオレフィン系樹脂、ポリアリレート系樹脂、ポリイミド系樹脂、ポリアミド系樹脂などが挙げられる。かかる樹脂からなるフィルムを一軸や二軸等の適宜な方式で延伸することにより位相差フィルムを得ることができる。また、位相差フィルムは、熱収縮性フィルムとの接着下に収縮力および/または延伸力をかけることでフィルムの厚さ方向の屈折率を制御した複屈折性フィルムでもよい。
光学層としての位相差フィルム上には、液晶セル等との貼合のために、粘着剤層を形成してもよい。粘着剤層としては、前記したものと同様のものを用いることができる。
上記集光シートは、光路制御等を目的に用いられるものであり、たとえばプリズムアレイシート、レンズアレイシート、ドット付設シートなどを挙げることができる。
上記輝度向上フィルムは、液晶表示装置等における輝度の向上を目的に用いられるもので、その例としては、屈折率の異方性が互いに異なる薄膜フィルムを複数枚積層して反射率に異方性が生じるように設計された反射型偏光分離シート、コレステリック液晶ポリマーの配向フィルムやその配向液晶層をフィルム基材上に形成した円偏光分離シートなどが挙げられる。
また、本発明の積層光学部材は、偏光板の一方の表面上に反射防止層、防眩層等の表面処理層が形成されたものであってもよい。かかる表面処理層は、通常、偏光板における、液晶セルに貼合される側とは反対側に配置されるフィルム(保護フィルム102または透明樹脂層103)上に形成される。
以下、実施例を示して本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらの例によって限定されるものではない。例中、含有量を表す%および部は、特記ないかぎり重量基準である。
下記実施例および比較例において、保護フィルムの厚みd(保護フィルムの厚みd1および面内位相差発現性評価試験において作製した延伸フィルムの厚みd2)ならびに保護フィルムの面内位相差値R0(保護フィルムの面内位相差値R01および面内位相差発現性評価試験において作製した延伸フィルムの面内位相差値R02)の測定は、次に示す方法で行なった。
[保護フィルムの厚みdの測定]
デジタルマイクロメーターMH−15M((株)ニコン製)を用いて、保護フィルムの厚みd1および面内位相差発現性評価試験において作製した延伸フィルムの厚みd2を測定した。
[保護フィルムの面内位相差値R0の測定]
位相差測定装置KOBRA−WR(王子計測機器(株)製)を用いて、測定波長590nmで、保護フィルムの面内位相差値R01および面内位相差発現性評価試験において作製した延伸フィルムの面内位相差値R02を測定した。
また、保護フィルムの面内位相差発現性および偏光板の耐熱性の評価は、次に示す方法で行なった。
[保護フィルムの面内位相差発現性の評価]
保護フィルムを、テンター延伸機で幅方向を自由端として縦一軸に延伸し、得られた延伸フィルムの面内位相差値R02、および延伸フィルムの厚みd2を測定し、下記式:
面内位相差発現率=延伸フィルムの面内位相差値R02/延伸フィルムの厚みd2
により面内位相差発現率を算出し、保護フィルムの面内位相差発現性を評価した。面内位相差発現率が高いほど、面内位相差発現性が高い。なお、上記縦一軸延伸は、ライン速度5m/分で、まず温度が155℃(ただし、実施例2においては150℃)に調節されたテンター延伸機の予熱ゾーンに通し、続いて、温度が145℃(ただし、実施例2においては140℃)に調節された延伸ゾーンで、最終の延伸倍率が4倍となるようにして行なった。
[偏光板の耐熱性の評価]
ソニー(株)製の液晶テレビ“BRAVIA KDL−32F1”を分解して液晶セル上下の偏光板を剥がし、オリジナルの偏光板の代わりに、各実施例または比較例で得られた粘着剤層付偏光板を、その粘着剤層を介して貼合し、得られた液晶セルおよび上下偏光板からなる液晶パネルについて、80℃乾燥下で500時間の耐熱性試験を行なった。ついで、耐熱性試験後の液晶パネルを用いて再び液晶テレビを組み立て、バックライトを点灯させて、偏光板端部における光漏れの有無を目視で確認した。
<実施例1>
(a)保護フィルムの作製
ポリプロピレン系樹脂(住友化学(株)製「ノーブレンFS2011DG3」、MFR=約2.3g/10分、エチレン含量=約0.5%)90部と、脂環族飽和炭化水素樹脂(荒川化学工業(株)製「アルコン P−125」、軟化点125℃)10部とを単軸押出機を用いて溶融混練し、ついで樹脂温度250℃で溶融押出を行ない、20℃の冷却ロールにて急冷することにより厚さd1が40μmであり、面内位相差値R01が14.5nmである保護フィルムAを得た。
(b)偏光板の作製
上記(a)で得た保護フィルムAの片面に、積算照射量1.68kJ/m2の条件でコロナ放電処理を施した後、コロナ放電処理後5分以内に、ポリビニルアルコールフィルムにヨウ素が吸着配向された偏光フィルムの片面に厚さ80μmのトリアセチルセルロースフィルムからなる保護フィルムが接着されている偏光板の偏光フィルム表面に、保護フィルムAを、エポキシ系紫外線硬化型接着剤を介して貼合した。この際、保護フィルムAのコロナ処理面が偏光フィルムとの接着面となるようにした。その後、Fusion UV Systems社製の紫外線照射システムを用いて、保護フィルムA側から、出力1700mW/cm2、照射量1000mJ/cm2の条件で紫外線を照射し、接着剤を硬化させ、偏光板を得た。なお、エポキシ系紫外線硬化型接着剤としては、接着剤成分としてダイセル(株)製の商品名「セロキサイド2021P」を含有し、光カチオン重合開始剤として(株)ADEKA製の商品名「アデカオプトン CP77」を含有するエポキシ系接着剤を用いた。
(c)粘着剤層付偏光板の作製
上記(b)で得た偏光板の保護フィルムAの表面、および、剥離フィルム上に形成された、アクリル系重合体をベースポリマーとする粘着剤層の表面に、それぞれ積算照射量15.9kJ/m2でコロナ放電処理を施し、コロナ放電処理後5分以内に、そのコロナ処理面同士を貼り合わせて粘着剤層を偏光板に積層し、粘着剤層付偏光板を得た。
<実施例2>
ポリプロピレン系樹脂および脂環族飽和炭化水素樹脂の使用量をそれぞれ、80部、20部としたこと以外は実施例1と同様にして、厚さd1が40μmであり、面内位相差値R01が10.5nmである保護フィルムBを得た。また、保護フィルムBを用いたこと以外は実施例1と同様にして、粘着剤層付偏光板を得た。
<比較例1>
脂環族飽和炭化水素樹脂を使用せず、実施例1で用いたのと同じポリプロピレン系樹脂のみを用いたこと以外は実施例1と同様にして、厚さd1が40μmである保護フィルムCを得た。また、保護フィルムCを用いたこと以外は実施例1と同様にして、粘着剤層付偏光板を得た。
保護フィルムの面内位相差発現性および偏光板の耐熱性の評価結果を表1に示す。
Figure 2011113025
表1に示されるように、実施例1〜2の保護フィルムAおよびBは、比較例1の保護フィルムCと比べて面内位相差発現性が低い。また、面内位相差発現性が低い保護フィルムを用いることにより、高温環境下における偏光板端部での光漏れを防止できることが確認された。
今回開示された実施の形態および実施例はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
100 偏光板、101 偏光フィルム、102 保護フィルム、103 透明樹脂層、104,105 接着剤層。

Claims (8)

  1. 二色性色素が吸着配向されたポリビニルアルコール系樹脂フィルムからなる偏光フィルムと、
    前記偏光フィルムの少なくとも片面に積層された、ポリプロピレン系樹脂と脂環族飽和炭化水素樹脂とを含有する保護フィルムと、
    を備える偏光板。
  2. 前記保護フィルムは、ポリプロピレン系樹脂と脂環族飽和炭化水素樹脂とを含有する樹脂組成物から形成される樹脂フィルムであり、
    前記樹脂組成物は、前記脂環族飽和炭化水素樹脂を0.1〜30重量%含有する請求項1に記載の偏光板。
  3. 前記脂環族飽和炭化水素樹脂の軟化点が110〜145℃の範囲内である請求項1または2に記載の偏光板。
  4. 前記ポリプロピレン系樹脂は、10重量%以下のエチレンユニットを含有するプロピレンとエチレンとの共重合体からなる請求項1〜3のいずれかに記載の偏光板。
  5. 前記ポリプロピレン系樹脂は、実質的にプロピレンの単独重合体からなる請求項1〜3のいずれかに記載の偏光板。
  6. 前記偏光フィルムの一方の面に積層された前記保護フィルムと、他方の面に積層された波長板または視野角補償フィルムとを備える請求項1〜5のいずれかに記載の偏光板。
  7. 前記保護フィルムは、活性エネルギー線硬化性エポキシ系接着剤の硬化物層を介して前記偏光フィルムに積層される請求項1〜6のいずれかに記載の偏光板。
  8. 請求項1〜7のいずれかに記載の偏光板と、他の光学機能を示す光学層との積層体からなる積層光学部材。
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