JP2009210812A - 粘着剤層付位相差フィルム、楕円偏光板、および液晶表示装置 - Google Patents

粘着剤層付位相差フィルム、楕円偏光板、および液晶表示装置 Download PDF

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Abstract

【課題】本発明は、ポリプロピレン系樹脂からなる位相差フィルムと粘着剤層との密着性が向上した粘着剤層付位相差フィルムを提供することを目的とする。
【解決手段】本発明の粘着剤層付位相差フィルムは、ポリプロピレン系樹脂からなる位相差フィルム、プライマー層、および粘着剤層がこの順に形成された粘着剤層付位相差フィルムであって、該プライマー層は、塩素含有率が1〜50重量%である酸変性塩素化ポリオレフィンからなることを特徴とする。
【選択図】図1

Description

本発明は、ポリプロピレン系樹脂からなる位相差フィルムを用いた楕円偏光板に関するものである。詳しくは、ポリプロピレン系樹脂からなる位相差フィルムに特定のプライマー層を積層させた位相差フィルム、それを用いた楕円偏光板および液晶表示装置に関するものである。
近年、液晶表示装置は、低消費電力、低電圧動作、軽量、薄型などの特徴を生かして、携帯電話、携帯情報端末、コンピュータ用のモニター、テレビなど、情報用表示デバイスとして急速に普及してきている。液晶技術の発展に伴い、さまざまなモードの液晶ディスプレイが提案されて、応答速度やコントラスト、狭視野角といった液晶ディスプレイの問題点が解消されつつある。しかしながら、依然として、陰極線管(CRT)に比べて視野角が狭いことが指摘され、視野角拡大のための各種の試みがなされている。
視野角拡大の方法の1つとして、液晶のモードに合わせた位相差フィルムを用いることが挙げられる。その例としては、各種プラスチックの延伸フィルム等からなる複屈折性フィルム、ディスコティック液晶やネマチック液晶が配向固定されたフィルム、フィルム基材上に上記の液晶層が形成されたものなどが挙げられる。
複屈折性フィルムを形成するプラスチックの具体例としては、ポリカーボネート、ポリスチレン、ポリメチルメタクリレート、ポリオレフィン、ポリアミドなどが挙げられる。
ポリオレフィン系樹脂の位相差フィルムとしては、脂環式ポリオレフィンまたはノルボルネン系樹脂とも称される非晶性の環状ポリオレフィン系樹脂が、耐熱、耐湿性に比較的優れること、透明度に優れること、および位相差値の調整が比較的簡便に行なえることなどの理由により広く用いられている。たとえば、特開平11−149015号公報(特許文献1)には、環状ポリオレフィンフィルムからλ/2延伸フィルムやλ/4延伸フィルムを作製した例が示されている(実施例参照)。また、特開2007−286615号公報(特許文献2)には、ポリプロピレン系樹脂を位相差フィルムに適用することが開示されている。しかし、非極性であるポリオレフィン系樹脂は、しばしば粘着剤との接着力に劣るため、改善が求められている。
一方、特開2004−217807号公報(特許文献3)には、プロピレン−α−オレフィン共重合体の酸変性塩素化物を、ポリオレフィン系樹脂などに対するプライマーや接着剤として適用することが記載されている。
特開平11−149015号公報 特開2007−286615号公報 特開2004−217807号公報
ポリプロピレン樹脂からなる位相差フィルムでは、一般に環状ポリオレフィン系樹脂と比較して粘着剤との接着性に劣るため、偏光板と位相差フィルムなどの光学フィルムを貼合した光学部材(複合偏光板ともいう)を液晶セルから剥がす際、粘着剤が光学部材から剥がれて液晶セル側に残ってしまう不具合が発生することがあった。本発明では、このような問題点を解決するため、ポリプロピレン系樹脂からなる位相差フィルムと粘着剤層との密着性が向上した粘着剤層付位相差フィルムを提供することを目的とするものである。また、本発明のもうひとつの目的は、該粘着剤層付位相差フィルムを用いた楕円偏光板を提供することである。さらに、本発明の目的として、この楕円偏光板を用いた液晶表示装置を提供することである。
本発明によれば、ポリプロピレン系樹脂からなる位相差フィルム、プライマー層、および粘着剤層がこの順に形成された粘着剤層付位相差フィルムであって、該プライマー層は、塩素含有率が1〜50重量%である酸変性塩素化ポリオレフィンからなることを特徴とする粘着剤層付位相差フィルムが提供される。
ここで、該ポリプロピレン系樹脂は、10重量%以下のエチレンユニットを含有するプロピレンとエチレンとの共重合体からなることが好ましく、また該ポリプロピレン系樹脂からなる位相差フィルムは1/4波長板であることが好ましい。
また、本発明によれば、上記粘着剤層付位相差フィルムが偏光板に積層されてなる楕円偏光板が提供され、この楕円偏光板は、該粘着剤層付位相差フィルムと偏光板との間に1/2波長板を含むことができる。
さらに、本発明によれば、上記楕円偏光板が、液晶セルの少なくとも一方の側に積層されてなることを特徴とする液晶表示装置が提供される。
従来、ポリプロピレン系樹脂からなる位相差フィルムを用いた複合偏光板は、ポリプロピレン系樹脂からなる位相差フィルムと粘着剤との密着性が低いため、液晶セルをガラス基板に貼合した後剥がして貼り直す際、粘着剤がガラス基板に残ることがあった。本発明によるポリプロピレン系樹脂からなる位相差フィルム、プライマー層、および粘着剤層がこの順に形成された粘着剤層付位相差フィルムを用いた楕円偏光板は、ポリプロピレン系樹脂からなる位相差フィルムと粘着剤層との密着性が改良されるため、粘着剤がガラス基板に残ることがなくなるという効果を有する。
以下、添付の図面も適宜参照しながら、本発明の実施形態を詳しく説明する。なお、本発明の図面において同一の参照符号を付したものは、同一部分または相当部分を示している。
<粘着剤層付位相差フィルム>
図1は、本発明に係る粘着剤層付位相差フィルムの層構成例を示す断面模式図である。本発明の粘着剤層付位相差フィルム10は、ポリプロピレン系樹脂からなる位相差フィルム20の一方の面にプライマー層30、および粘着剤層40をこの順に形成した構成を有する。
<位相差フィルム>
本発明では、ポリプロピレン系樹脂を延伸して位相差フィルムとする。すなわち、本発明の位相差フィルムはポリプロピレン系樹脂からなるものである。ポリプロピレン系樹脂からなるフィルム(以下「ポリプロピレン系樹脂フィルム」とも記す)は結晶性であるため、位相差値の発現率が極めて高く、延伸によって簡単に大きな位相差値を得ることができる。このため、薄い膜厚で所望の位相差値を有する位相差フィルムを得ることができる。
また、ポリプロピレン系樹脂は、波長400nmにおける面内の最大屈折率と最小屈折率との差(複屈折)△n400と、波長500nmにおける面内の最大屈折率と最小屈折率との差(複屈折)△n500との比(△n400/△n500)が1.05未満であるため、それぞれポリプロピレン系樹脂で構成される1/2波長板と1/4波長板とを組み合わせた場合、優れた広帯域1/4波長板とすることができる。本明細書では、上記した△n400/△n500の値をもって位相差の波長分散と定義する。これを単に、「波長分散」と呼ぶこともある。
さらにポリプロピレン系樹脂は、その光弾性係数が約2×10-13cm2/dyne前後と小さいため、1/2波長板と1/4波長板との貼合時、もしくは直線偏光板との貼合時に、貼りムラを抑制することができる。また、耐熱性試験時では白抜けと呼ばれる表示性能の低下(耐熱性試験時に偏光板が収縮することにともない位相差フィルムに応力が発生するため、新たに光弾性係数に比例した位相差値が生じることで、光りぬけが発生する)を防止できる。加えてポリプロピレン系樹脂は、高倍率で延伸できるため、横延伸で完全一軸性のフィルムを作製することが可能であり、薄膜化と幅広化を同時に達成でき、利用効率に優れる。
このようなポリプロピレン系樹脂から製膜される原反フィルムを延伸して、位相差を発現させる。この場合、このようなポリプロピレン系樹脂からなる位相差フィルムの膜厚を25μm以下とすることができる。その膜厚は、20μm以下であることがより好ましい。膜厚が25μmを超えると、薄膜化のメリットが有効に発揮されにくくなる。また、その膜厚があまり小さいと、フィルムにシワなどが発生しやすく、巻き取りや貼合時のハンドリング性を悪化させる傾向にある。そこで、その膜厚は5μm以上であることが好ましく、さらには8μm以上であることがより好ましい。
フィルムの面内遅相軸方向の屈折率をnx、面内進相軸方向(遅相軸と面内で直交する方向)の屈折率をny、厚み方向の屈折率をnz、そして厚みをdとしたときに、面内の位相差値(Ro)、厚み方向の位相差値(Rth)、およびNz係数は、それぞれ下式(I)、(II)および(III)で定義される。
Ro=(nx−ny)×d (I)
Rth=〔(nx+ny)/2−nz〕×d (II)
Nz=(nx−nz)/(nx−ny) (III)
また、これらの式(I)、(II)および(III)から、Nz係数と面内の位相差値(Ro)および厚み方向の位相差値(Rth)との関係は、次の式(IV)で表すことができる。
Nz=Rth/Ro+0.5 (IV)
本発明の位相差フィルムにおいて、面内の位相差値(Ro)は、70〜160nmの範囲であることがより好ましい。またNz係数は、0.9〜1.6の範囲であり、とりわけ0.95〜1.05の範囲にあることがより好ましい。これらの範囲から、適用される液晶表示装置に要求される特性に合わせて、適宜選択すればよい。ここで、Nz係数がほぼ1であれば、上記式(III)において、nyとnzがほぼ等しいことを意味し、そのような位相差フィルムは、ほぼ完全な一軸性のものとなる。
<ポリプロピレン系樹脂>
本発明の位相差フィルムを構成するポリプロピレン系樹脂は、公知の重合用触媒を用いて、プロピレンを単独重合する方法や、プロピレンと他の共重合性コモノマーとを共重合する方法によって製造することができる。すなわち、本発明のポリプロピレン系樹脂としては、プロピレンの単独重合体と、プロピレンと他の共重合性コモノマーとの共重合体との両者を含むものとする。ここで、公知の重合用触媒としては、たとえば、次のようなものを挙げることができる。
(1)マグネシウム、チタンおよびハロゲンを必須成分とする固体触媒成分からなるTi−Mg系触媒、
(2)マグネシウム、チタンおよびハロゲンを必須成分とする固体触媒成分に、有機アルミニウム化合物と、必要に応じて電子供与性化合物等の第三成分とを組み合わせた触媒系、
(3)メタロセン系触媒など。
これら触媒系の中でも、本発明の位相差フィルムに用いるポリプロピレン系樹脂の製造においては、マグネシウム、チタンおよびハロゲンを必須成分とする固体触媒成分に、有機アルミニウム化合物と電子供与性化合物とを組み合わせたものが、最も一般的に使用できる。より具体的には、有機アルミニウム化合物として好ましくは、トリエチルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウム、トリエチルアルミニウムとジエチルアルミニウムクロライドの混合物、テトラエチルジアルモキサンなどが挙げられ、電子供与性化合物として好ましくは、シクロヘキシルエチルジメトキシシラン、tert−ブチルプロピルジメトキシシラン、tert−ブチルエチルジメトキシシラン、ジシクロペンチルジメトキシシランなどが挙げられる。
一方、マグネシウム、チタンおよびハロゲンを必須成分とする固体触媒成分としては、たとえば、特開昭61−218606号公報、特開昭61−287904号公報、特開平7−216017号公報などに記載の触媒系が挙げられ、またメタロセン系触媒としては、たとえば、特許第2587251号公報、特許第2627669号公報、特許第2668732号公報などに記載の触媒系が挙げられる。
ポリプロピレン系樹脂は、たとえば、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、デカン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、ベンゼン、トルエン、キシレンの如き炭化水素化合物に代表される不活性溶剤を用いる溶液重合法、液状のモノマーを溶剤として用いる塊状重合法、気体のモノマーをそのまま重合させる気相重合法などによって、製造することができる。これらの方法による重合は、バッチ式で行なってもよいし、連続式で行なってもよい。
ポリプロピレン系樹脂の立体規則性は、アイソタクチック、シンジオタクチック、アタクチックのいずれであってもよい。本発明においては、耐熱性の点から、シンジオタクチックあるいはアイソタクチックのポリプロピレン系樹脂が好ましく用いられる。
本発明に用いるポリプロピレン系樹脂は、プロピレンの単独重合体で構成することができるほか、プロピレンを主体とし、それと共重合可能なコモノマーを少量、たとえば20重量%以下、好ましくは10重量%以下の割合で共重合させたものであってもよい。共重合体とする場合、コモノマーの量は、好ましくは1重量%以上である。
プロピレンに共重合されるコモノマーは、たとえば、エチレンや、炭素原子数4〜20のα−オレフィンであることができる。この場合のα−オレフィンとして具体的には、次のようなものを挙げることができる。
1−ブテン、2−メチル−1−プロペン(以上C4);
1−ペンテン、2−メチル−1−ブテン、3−メチル−1−ブテン(以上C5);
1−ヘキセン、2−エチル−1−ブテン、2,3−ジメチル−1−ブテン、2−メチル−1−ペンテン、3−メチル−1−ペンテン、4−メチル−1−ペンテン、3,3−ジメチル−1−ブテン(以上C6);
1−ヘプテン、2−メチル−1−ヘキセン、2,3−ジメチル−1−ペンテン、2−エチル−1−ペンテン、2−メチル−3−エチル−1−ブテン(以上C7);
1−オクテン、5−メチル−1−ヘプテン、2−エチル−1−ヘキセン、3,3−ジメチル−1−ヘキセン、2−メチル−3−エチル−1−ペンテン、2,3,4−トリメチル−1−ペンテン、2−プロピル−1−ペンテン、2,3−ジエチル−1−ブテン(以上C8);
1−ノネン(C9);1−デセン(C10);1−ウンデセン(C11);
1−ドデセン(C12);1−トリデセン(C13);1−テトラデセン(C14);
1−ペンタデセン(C15);1−ヘキサデセン(C16);1−ヘプタデセン(C17);1−オクタデセン(C18);1−ノナデセン(C19)など。
α−オレフィンの中で好ましいものは、炭素原子数4〜12のα−オレフィンであり、具体的には、1−ブテン、2−メチル−1−プロペン;1−ペンテン、2−メチル−1−ブテン、3−メチル−1−ブテン;1−ヘキセン、2−エチル−1−ブテン、2,3−ジメチル−1−ブテン、2−メチル−1−ペンテン、3−メチル−1−ペンテン、4−メチル−1−ペンテン、3,3−ジメチル−1−ブテン;1−ヘプテン、2−メチル−1−ヘキセン、2,3−ジメチル−1−ペンテン、2−エチル−1−ペンテン、2−メチル−3−エチル−1−ブテン;1−オクテン、5−メチル−1−ヘプテン、2−エチル−1−ヘキセン、3,3−ジメチル−1−ヘキセン、2−メチル−3−エチル−1−ペンテン、2,3,4−トリメチル−1−ペンテン、2−プロピル−1−ペンテン、2,3−ジエチル−1−ブテン;1−ノネン;1−デセン;1−ウンデセン;1−ドデセンなどを挙げることができる。共重合性の観点からは、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセンおよび1−オクテンが好ましく、とりわけ1−ブテンおよび1−ヘキセンがより好ましい。
共重合体は、ランダム共重合体であってもよいし、ブロック共重合体であってもよい。好ましい共重合体として、プロピレン/エチレン共重合体やプロピレン/1−ブテン共重合体を挙げることができる。プロピレン/エチレン共重合体やプロピレン/1−ブテン共重合体において、エチレンユニットの含量や1−ブテンユニットの含量は、たとえば、「高分子分析ハンドブック」(1995年、紀伊国屋書店発行)の第616頁に記載されている方法により赤外線(IR)スペクトル測定を行ない、求めることができる。
位相差フィルムとしての透明度や加工性を向上させる観点からは、プロピレンを主体とし、任意の不飽和炭化水素とのランダム共重合体にするのが好ましい。中でもエチレンとの共重合体が好ましい。共重合体とする場合、プロピレン以外の不飽和炭化水素類は、その共重合割合を1〜10重量%程度にするのが有利であり、より好ましい共重合割合は3〜7重量%である。プロピレン以外の不飽和炭化水素類のユニットを1重量%以上とすることで、加工性や透明性を向上させる効果が発現される傾向にある。一方、その割合が10重量%を超えると、樹脂の融点が下がり、耐熱性が悪くなる傾向にあるので好ましくない。なお、2種類以上のコモノマーとポリプロピレンとの共重合体とする場合には、その共重合体に含まれる全てのコモノマーに由来するユニットの合計含量が、上記範囲であることが好ましい。このようなポリプロピレン系樹脂として特に好ましくは、10重量%以下のエチレンユニットを含有するプロピレンとエチレンとの共重合体からなるものである。
位相差フィルムに用いるポリプロピレン系樹脂は、JIS K 7210に準拠して、温度230℃、荷重21.18Nで測定されるメルトフローレイト(MFR)が、0.1〜200g/10分、特に0.5〜50g/10分の範囲にあることが好ましい。MFRがこの範囲にあるポリプロピレン系樹脂を用いることにより、押出機に大きな負荷をかけることなく均一なフィルム状物を得ることができる。
このポリプロピレン系樹脂は、本発明の効果を阻害しない範囲で、公知の添加物が配合されていてもよい。添加物としては、たとえば、酸化防止剤、紫外線吸収剤、帯電防止剤、滑剤、造核剤、防曇剤、アンチブロッキング剤などを挙げることができる。酸化防止剤には、たとえば、フェノール系酸化防止剤、リン系酸化防止剤、イオウ系酸化防止剤、ヒンダードアミン系光安定剤などが挙げられ、また、1分子中にたとえば、フェノール系の酸化防止機構とリン系の酸化防止機構とを併せ持つユニットを有する複合型の酸化防止剤も用いることができる。紫外線吸収剤としては、たとえば、2−ヒドロキシベンゾフェノン系やヒドロキシフェニルベンゾトリアゾール系の如き紫外線吸収剤、ベンゾエート系の紫外線遮断剤などが挙げられる。帯電防止剤は、ポリマー型、オリゴマー型、モノマー型のいずれであってもよい。滑剤としては、エルカ酸アミドやオレイン酸アミドの如き高級脂肪酸アミド、ステアリン酸の如き高級脂肪酸およびその塩などが挙げられる。造核剤としては、たとえば、ソルビトール系造核剤、有機リン酸塩系造核剤、ポリビニルシクロアルカンの如き高分子系造核剤などが挙げられる。アンチブロッキング剤としては、球状あるいはそれに近い形状の微粒子が、無機系、有機系を問わず使用できる。これらの添加物は、複数種が併用されてもよい。
<ポリプロピレン系樹脂の原反フィルム>
ポリプロピレン系樹脂は、任意の方法で製膜して原反フィルムとすることができる。この原反フィルムは、透明で実質的に面内位相差のないものである。たとえば、溶融樹脂からの押出成形法、有機溶剤に溶解させた樹脂を平板上に流延し、溶剤を除去して製膜する溶剤キャスト法などによって、面内位相差が実質的にないポリプロピレン系樹脂の原反フィルムを得ることができる。
原反フィルムを製造する方法の例として、押出成型による製膜法について詳しく説明する。ポリプロピレン系樹脂は、押出機中でスクリューの回転によって溶融混練され、Tダイからシート状に押出される。押出される溶融状シートの温度は、180〜300℃程度である。このときの溶融状シートの温度が180℃未満になると、延展性が十分でなく、得られるフィルムの厚みが不均一になり、位相差ムラのあるフィルムとなる可能性がある。また、その温度が300℃を超えると、樹脂の劣化や分解が起こりやすく、シート中に気泡が生じたり、炭化物が含まれたりすることがある。
押出機は、単軸押出機であっても2軸押出機であってもよい。たとえば単軸押出機の場合は、スクリューの長さLと直径Dの比であるL/Dが24〜36程度、樹脂供給部におけるねじ溝の空間容積と樹脂計量部におけるねじ溝の空間容積との比(前者/後者)である圧縮比が1.5〜4程度であって、フルフライトタイプ、バリアタイプ、さらにマドック型の混練部分を有するタイプなどのスクリューを用いることができる。ポリプロピレン系樹脂の劣化や分解を抑制し、均一に溶融混練するという観点からは、L/Dが28〜36で、圧縮比が2.5〜3.5であるバリアタイプのスクリューを用いることが好ましい。また、ポリプロピレン系樹脂の劣化や分解を可及的に抑制するため、押出機内は、窒素雰囲気または真空にすることが好ましい。さらに、ポリプロピレン系樹脂が劣化したり分解したりすることで生じる揮発ガスを取り除くため、押出機の先端に1mmφ以上5mmφ以下のオリフィスを設け、押出機先端部分の樹脂圧力を高めることも好ましい。オリフィスの押出機先端部分の樹脂圧力を高めるとは、先端での背圧を高めることを意味しており、これにより押出の安定性を向上させることができる。用いるオリフィスの直径は、より好ましくは2mmφ以上4mmφ以下である。
押出に使用されるTダイは、樹脂の流路表面に微小な段差や傷のないものが好ましく、また、そのリップ部分は、溶融したポリプロピレン系樹脂との摩擦係数の小さい材料でめっきまたはコーティングされ、さらにリップ先端が0.3mmφ以下に研磨されたシャープなエッジ形状のものが好ましい。摩擦係数の小さい材料としては、タングステンカーバイド系やフッ素系の特殊めっきなどが挙げられる。このようなTダイを用いることにより、目ヤニの発生を抑制でき、同時にダイラインを抑制できるので、外観の均一性に優れる樹脂フィルムが得られる。このTダイは、マニホールドがコートハンガー形状であって、かつ以下の条件(1)または(2)を満たすことが好ましく、さらには条件(3)または(4)を満たすことがより好ましい。
Tダイのリップ幅が1500mm未満のとき:Tダイの厚み方向長さ>180mm
・・・(1)
Tダイのリップ幅が1500mm以上のとき:Tダイの厚み方向長さ>220mm
・・・(2)
Tダイのリップ幅が1500mm未満のとき:Tダイの高さ方向長さ>250mm
・・・(3)
Tダイのリップ幅が1500mm以上のとき:Tダイの高さ方向長さ>280mm
・・・(4)
このような条件を満たすTダイを用いることにより、Tダイ内部での溶融状ポリプロピレン系樹脂の流れを整えることができ、かつ、リップ部分でも厚みムラを抑えながら押出すことができるため、より厚み精度に優れ、位相差のより均一な原反フィルムを得ることができる。
ポリプロピレン系樹脂の押出変動を抑制する観点から、押出機とTダイとの間にアダプターを介してギアポンプを取り付けることが好ましい。また、ポリプロピレン系樹脂中にある異物を取り除くため、リーフディスクフィルターを取り付けることが好ましい。
Tダイから押出された溶融状シートは、金属製冷却ロール(チルロールまたはキャスティングロールともいう)と、その金属製冷却ロールの周方向に圧接して回転する弾性体を含むタッチロールとの間に、挟圧させて冷却固化することで、所望のフィルムを得ることができる。この際、タッチロールは、ゴムなどの弾性体がそのまま表面となっているものでもよいし、弾性体ロールの表面を金属スリーブからなる外筒で被覆したものでもよい。弾性体ロールの表面が金属スリーブからなる外筒で被覆されたタッチロールを用いる場合は通常、金属製冷却ロールとタッチロールの間に、ポリプロピレン系樹脂の溶融状シートを直接挟んで冷却する。一方、表面が弾性体となっているタッチロールを用いる場合は、ポリプロピレン系樹脂の溶融状シートとタッチロールの間に熱可塑性樹脂の二軸延伸フィルムを介在させて挟圧することもできる。
ポリプロピレン系樹脂の溶融状シートを、上記のような冷却ロールとタッチロールとで挟んで冷却固化させるにあたり、冷却ロールとタッチロールは、いずれもその表面温度を低くしておき、溶融状シートを急冷させてやる必要がある。たとえば、両ロールの表面温度は0℃以上30℃以下の範囲に調整されることが好ましい。これらの表面温度が30℃を超えると、溶融状シートの冷却固化に時間がかかるため、ポリプロピレン系樹脂中の結晶成分が成長してしまい、得られるフィルムは透明性に劣るものとなることがある。ロールの表面温度は、好ましくは30℃未満、さらに好ましくは25℃未満である。一方、ロールの表面温度が0℃を下回ると、金属製冷却ロールの表面に結露して水滴が付着し、フィルムの外観を悪化させる傾向が出てくることがある。
使用する金属製冷却ロールは、その表面状態がポリプロピレン系樹脂フィルムの表面に転写されるため、その表面に凹凸がある場合には、得られるポリプロピレン系樹脂フィルムの厚み精度を低下させる可能性がある。そこで、金属製冷却ロールの表面は可能な限り鏡面状態であることが好ましい。具体的には、金属製冷却ロールの表面の粗度は、最大高さの標準数列で表して0.3S以下であることが好ましく、さらには0.1S〜0.2Sであることがより好ましい。
金属製冷却ロールとニップ部分を形成するタッチロールは、その弾性体における表面硬度が、JIS K 6301に規定されるスプリング式硬さ試験(A形)で測定される値として、65〜80であることが好ましく、さらには70〜80であることがより好ましい。このような表面硬度のゴムロールを用いることにより、溶融状シートにかかる線圧を均一に維持することが容易となり、かつ、金属製冷却ロールとタッチロールとの間に溶融状シートのバンク(樹脂溜り)を作ることなくフィルムに成形することが容易となる。
溶融状シートを挟圧するときの圧力(線圧)は、金属製冷却ロールに対してタッチロールを押し付ける圧力により決まる。線圧は、50N/cm以上300N/cm以下とするのが好ましく、さらには100N/cm以上250N/cm以下とするのがより好ましい。線圧を上記範囲とすることにより、バンクを形成することなく、一定の線圧を維持しながらポリプロピレン系樹脂フィルムを製造することが容易となる。
金属製冷却ロールとタッチロールの間で、ポリプロピレン系樹脂の溶融状シートとともに熱可塑性樹脂の二軸延伸フィルムを挟圧する場合、この二軸延伸フィルムを構成する熱可塑性樹脂は、ポリプロピレン系樹脂と強固に熱融着しない樹脂であればよく、具体的には、ポリエステル、ポリアミド、ポリ塩化ビニル、ポリビニルアルコール、エチレン−ビニルアルコール共重合体、ポリアクリロニトリルなどを挙げることができる。これらの中でも、湿度や熱などによる寸法変化の少ないポリエステルが最も好ましい。この場合の二軸延伸フィルムの厚さは、通常5〜50μm程度であり、好ましくは10〜30μmである。
この方法において、Tダイのリップから金属製冷却ロールとタッチロールとで挟圧されるまでの距離(エアギャップ)を200mm以下とすることが好ましく、さらには160mm以下とすることがより好ましい。Tダイから押出された溶融状シートは、リップからロールまでの間引き伸ばされて、配向が生じやすくなる。エアギャップを上記のように短くすることで、配向のより小さいフィルムを得ることができる。エアギャップの下限値は、使用する金属製冷却ロールの径とタッチロールの径、および使用するリップの先端形状により決定され、通常50mm以上である。
この方法でポリプロピレン系樹脂フィルムを製造するときの加工速度は、溶融状シートを冷却固化するために必要な時間により決定される。使用する金属製冷却ロールの径が大きくなると、溶融状シートがその冷却ロールと接触している距離が長くなるため、より高速での製造が可能となる。具体的には、600mmφの金属製冷却ロールを用いる場合、加工速度は、最大で5〜20m/分程度となる。
金属製冷却ロールとタッチロールとの間で挟圧された溶融状シートは、ロールとの接触により冷却固化する。そして、必要に応じて端部をスリットした後、巻き取り機に巻き取られてフィルムとなる。この際、フィルムを使用するまでの間、その表面を保護するために、その片面または両面に別の熱可塑性樹脂からなる表面保護フィルムを貼り合わせた状態で巻き取ってもよい。ポリプロピレン系樹脂の溶融状シートを熱可塑性樹脂からなる二軸延伸フィルムとともに金属製冷却ロールとタッチロールとの間で挟圧した場合には、その二軸延伸フィルムを一方の表面保護フィルムとすることもできる。
<位相差フィルムの製造方法>
本発明に用いる位相差フィルムは、上記したようなポリプロピレン系樹脂からなる原反フィルムを横延伸することにより、製造できる。ここで横延伸とは、ロールから巻き出される長尺のフィルムを幅方向(横方向)に延伸することをいう。
横延伸は通常、以下の工程を有する。
(A)原反フィルムを、ポリプロピレン系樹脂の融点付近の予熱温度で予熱する予熱工程;
(B)予熱されたフィルムを、上記予熱温度よりも低い延伸温度で横方向に延伸する延伸工程;および
(C)横方向に延伸されたフィルムを熱固定する熱固定工程。
代表的な横延伸の方法としては、テンター法が挙げられる。テンター法は、チャックでフィルム幅方向の両端を固定した原反フィルムを、オーブン中でチャック間隔を広げて延伸する方法である。テンター法に用いる延伸機(テンター延伸機)は通常、予熱工程を行なうゾーン、延伸工程を行なうゾーン、および熱固定工程を行なうゾーンにおいて、それぞれの温度を独立に調節できる機構を備えている。このようなテンター延伸機を用いて横延伸を行なうことにより、軸精度に優れ、かつ均一な位相差を有する位相差フィルムを得ることができる。
横延伸の予熱工程は、フィルムを幅方向に延伸する工程の前に設置される工程であり、フィルムを延伸するのに十分な温度までフィルムを加熱する工程である。予熱工程での予熱温度は、オーブンの予熱工程を行なうゾーンにおける雰囲気温度を意味し、延伸されるポリプロピレン系樹脂フィルムの融点付近の温度が採用される。延伸されるフィルムの予熱工程における滞留時間は、30〜120秒であることが好ましい。この予熱工程での滞留時間が30秒に満たないときは、延伸工程でフィルムが延伸されるときに応力が分散し、位相差フィルムとしての軸精度や位相差の均一性に不利な影響を及ぼす可能性があり、また、その滞留時間が120秒を超えるときは、必要以上に熱を受け、フィルムが部分的に融解し、ドローダウンする(下に垂れる)可能性がある。予熱工程での滞留時間は、30〜60秒であることがより好ましい。
横延伸の延伸工程は、フィルムを幅方向に延伸する工程である。この延伸工程での延伸温度は通常、予熱温度より低い温度とされる。延伸工程での延伸温度は、オーブンの延伸工程を行なうゾーンにおける雰囲気温度を意味する。予熱されたフィルムを予熱工程よりも低い温度で延伸することにより、フィルムを均一に延伸できるようになり、その結果、光軸および位相差の均一性に優れた位相差フィルムを得ることができる。延伸温度は、予熱工程における予熱温度より5〜20℃低いことが好ましく、7〜15℃低いことがより好ましい。このときの延伸倍率は、光軸を発現させる方向(遅相軸となる方向)で3〜10倍程度の範囲から、必要とする位相差値に合わせて、適宜選択すればよく、好ましくは3〜6倍の範囲である。このときの延伸倍率を3倍以上とすることにより、上記のNz係数を0.9〜1.1の範囲とすることができる。一方、延伸倍率があまり大きくなると、位相差値の均一性が損なわれる可能性があるので、10倍程度までにとどめるのが好ましい。
横延伸の熱固定工程は、延伸工程終了時におけるフィルム幅を保った状態で、そのフィルムをオーブン内の所定温度のゾーンに通過させる工程である。フィルムの位相差や光軸など光学的特性の安定性を効果的に向上させるために、熱固定温度は、延伸工程における延伸温度よりも5℃低い温度から延伸温度よりも30℃高い温度までの範囲内であることが好ましい。
横延伸の工程は、さらに熱緩和工程を有してもよい。この熱緩和工程は、テンター法においては通常、延伸工程と熱固定工程との間で行なわれ、熱緩和のゾーンは、他のゾーンから独立して温度設定が可能なように設けられるのが通例である。具体的には、熱緩和工程は、延伸工程においてフィルムを所定の幅に延伸した後、無駄な歪を取り除くために、チャックの間隔を数%だけ狭くして、通常は延伸終了時の間隔より0.5〜7%程度狭くして行なわれる。
<位相差フィルムを波長板として用いる場合の光学特性>
本発明のポリプロピレン系樹脂からなる位相差フィルムは、1/4波長板とすることができる。このように本発明の位相差フィルムを1/4波長板として用いる場合、上記のようにして製造された位相差フィルムの面内位相差値(Ro)は、70〜160nmの範囲にあることが好ましく、さらには80〜150nmの範囲にあることがより好ましい。1/4波長板は、直線偏光で入射する光を、円偏光をはじめとする楕円偏光に、また円偏光をはじめとする楕円偏光で入射する光を直線偏光に、それぞれ変換して出射する機能を有する。一方、本発明の位相差フィルムを1/2波長板として用いる場合、その面内位相差値(Ro)は、240〜400nmの範囲にあることが好ましく、さらには260〜330nmの範囲にあることがより好ましい。1/2波長板は、直線偏光の向きを回転させる機能を有する。
<プライマー層>
本発明のプライマー層は、塩素含有率が1〜50重量%である酸変性塩素化ポリオレフィンからなることを特徴とする。以下、この塩素含有率が1〜50重量%である酸変性塩素化ポリオレフィンについて説明する。まず、本発明で使用する酸変性塩素化ポリオレフィンは、プロピレン成分を93〜98モル%含有するプロピレン−α−オレフィン共重合物を原料として使用することが好ましい。しかし、これのみに限られるものではなく広く各種のポリオレフィンを用いることができる。このように本発明で用いる酸変性塩素化ポリオレフィンを構成するポリオレフィンとしては、単独重合体と共重合体の両者が含まれ、これらのうちで特に好ましくはプロピレン成分を93〜98モル%含有するプロピレン−α−オレフィン共重合物である。プロピレン−α−オレフィン共重合物とは、プロピレンを主体としてこれにα−オレフィンを共重合したものであり、ブロック共重合物でもランダム共重合物でも何れも使用できる。ここで、α−オレフィン成分としては、たとえばエチレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−ヘプテン、1−オクテン、4−メチル−1−ペンテン等を例示することができる。プロピレン成分の含有量は93〜98モル%が最適であり、93モル%未満であるとα−オレフィン成分が7モル%を越えることとなり塗膜にべとつきが発生したり、タック性が増加したりするなどプライマー層に弊害が生じる。またプロピレン成分の含有量が98モル%を越えると結晶化しやすくなるため、好ましくない。
酸変性塩素化ポリオレフィンは、上記のポリオレフィンに対してα、β−不飽和カルボン酸およびその誘導体のうち少なくとも一種と、塩素とを導入する(すなわち、前者が「酸変性」に相当し、後者が「塩素化」に相当する)ことにより得られるが、その製造方法としては次に挙げる方法を例示することができる。
まずポリオレフィンに対して、α、β−不飽和カルボン酸およびその誘導体からなる少なくとも1種の化合物をグラフト重合するが、その方法は、ラジカル発生剤の存在下で該ポリオレフィンを融点以上に加熱融解して反応させる方法(溶融法)、該ポリオレフィンを有機溶剤に溶解させた後ラジカル発生剤の存在下に加熱撹拌して反応させる方法(溶液法)等、公知の方法によって行なうことができる。溶融法の場合には、バンバリーミキサー、ニーダー、押し出し機等を使用し融点以上300℃以下の温度で加熱溶融して反応させるので操作が簡単である上、短時間で反応できるという利点がある。一方、溶液法においては反応溶剤としてトルエン、キシレン等の芳香族系溶剤を使うことが好ましい。反応温度は100〜180℃であり、副反応が少なく均一なグラフト重合物を得ることができるという特徴がある。
上記のグラフト重合においては、α、β−不飽和カルボン酸の無水物を用いることが好ましく、このグラフト反応に使用するラジカル発生剤である有機過酸化物系化合物としては、たとえば、ジ−t−ブチルパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、t−ブチルクミルパーオキサイド、ベンゾイルパーオキサイド、ジラウリルパーオキサイド、クメンハイドロパーオキサイド、t−ブチルハイドロパーオキサイド、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)−3,5,5−トリメチルシクロヘキサン、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)−シクロヘキサン、シクロヘキサノンパーオキサイド、t−ブチルパーオキシベンゾエート、t−ブチルパーオキシイソブチレート、t−ブチルパーオキシ−3,5,5−トリメチルヘキサノエート、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、t−ブチルパーオキシイソプロピルカーボネート、クミルパーオキシオクトエート等があげられる。
また上記のポリオレフィンにグラフト重合するα、β−不飽和カルボン酸やその誘導体としては、たとえばマレイン酸、無水マレイン酸、フマル酸、シトラコン酸、無水シトラコン酸、メサコン酸、イタコン酸、無水イタコン酸、アコニット酸、無水アコニット酸、無水ハイミック酸などを例示できるが、ポリオレフィンへのグラフト重合(反応)の容易性を考慮すると無水マレイン酸が最も適している。また、α、β−不飽和カルボン酸およびその誘導体のうちの少なくとも一種の化合物をグラフト重合によってポリオレフィンに導入する量は、0〜10重量%が好ましい。10重量%を越えると塩素化の途中でゲル化することがある。また下限は1重量%とすることが好ましい。1%未満であると粘着剤もしくは基材との密着性に劣るため好ましくない。
一方、ポリオレフィンの塩素化は、上記の酸変性の前に実施してもよいしその後に実施してもよい。塩素化反応は、酸変性ポリオレフィンまたはポリオレフィンをクロロホルム等の塩素系溶媒に溶解した後に紫外線の照射下、もしくは触媒の存在下、あるいは不存在下で、常圧もしくは加圧下で50〜140℃の温度範囲で塩素ガスを吹き込むことにより行なわれる。塩素化反応により導入する塩素の含有率(酸変性塩素化ポリオレフィンの全量に対する塩素の含有率をいい、「塩素含有率」とも記す)は1〜50重量%であり、5〜30重量%であることがより好ましい。さらに好ましくは、15〜25重量%である。塩素含有率が1重量%より少ない場合は溶剤溶解性が極端に悪くなる。また、50重量%を越えると極性が高くなり本発明に用いるポリプロピレン系樹脂からなる位相差フィルムへの十分な付着性が得られない。なお、上記の塩素化反応により、塩素は酸変性ポリオレフィンまたはポリオレフィンに対してランダムな位置に導入される傾向を示すが、規則的な位置に導入されるものであっても差し支えない。
本発明のプライマー層は、上記のような酸変性塩素化ポリオレフィンの溶液(「プライマー塗工液」ともいう)をポリプロピレン系樹脂からなる位相差フィルムに塗布することにより形成することができる。このような酸変性塩素化ポリオレフィンの溶液を製造する場合、上記した酸変性塩素化ポリオレフィンを固形化した後、芳香族炭化水素、または芳香族炭化水素および脂環式炭化水素、または芳香族炭化水素および脂環式炭化水素および極性溶剤等の混合溶剤にそれを溶解することにより製造することができる。また、上記のような塩素化反応が終了した後、クロロホルム等の塩素系溶媒を留去し、上記の(混合)溶剤と置換することにより製造することもできる。
酸変性塩素化ポリオレフィンを用いたこのようなプライマー塗工液として特に好ましくは、重量平均分子量が10000〜100000のポリオレフィン樹脂に対して、カルボン酸およびカルボン酸無水物から選ばれた少なくとも1種の不飽和カルボン酸モノマーをラジカル発生剤の存在下で1〜10重量%グラフト重合した後、塩素含有率が1〜50重量%となるように塩素化されたカルボキシル基変性塩素化ポリオレフィン樹脂がトルエンなどの有機溶媒に溶解している形態が好ましい。このような形態で流通する市販品として、日本製紙ケミカル株式会社から販売されている無水マレイン酸変性塩素化ポリプロピレン“スーパークロン”(商品名)があげられる。
また、酸変性塩素化ポリオレフィン用の安定剤として、脂肪族エポキシ樹脂を併用することが好ましい。脂肪族エポキシ樹脂としては、脂肪族多価アルコールまたはそのアルキレンオキサイド付加物のポリグリシジルエーテルがある。これらの例としては、1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、1,4−ブタンジオールジグリシジルエーテル、1,4−シクロヘキサンジメタノールジグリシジルエーテル、グリセリンのトリグリシジルエーテル、トリメチロールプロパンのトリグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールのジグリシジルエーテル、プロピレングリコールのジグリシジルエーテル、エチレングリコールやプロピレングリコール、グリセリンのような脂肪族多価アルコールに1種または2種以上のアルキレンオキサイド(エチレンオキサイドやプロピレンオキサイド)を付加することにより得られるポリエーテルポリオールのポリグリシジルエーテルなどが挙げられる。このような脂肪族エポキシ樹脂としては、ナガセケムテック(株)製の“デナコール EX−212L”、“デナコール EX−214LP”、“デナコール EX−216L”(いずれも商品名)などがある。
このような安定剤は、酸変性塩素化ポリオレフィンを加熱する際に発生する塩酸を捕捉(トラップ)する作用を有し、これによりプライマー層に混入する塩酸の気泡を排除できるとともに、塗工装置の塩酸による腐食を防止することができるという利点を有する。
また、上記のようなプライマー塗工液の消泡剤として、各種のアルコールを酸変性塩素化ポリオレフィンに混合することが好ましい。このようなアルコールとしては、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、1−ブタノールなどが挙げられる。
プライマー塗工液(すなわち酸変性塩素化ポリオレフィンの溶液)を用いてプライマー層を形成する場合、酸変性塩素化ポリオレフィンは、上記した各種有機溶剤100重量部あたり5〜30重量部程度の範囲の濃度とすることが好ましい。また、この塗工液に脂肪族エポキシ樹脂およびアルコールを配合する場合、その量は、有機溶剤100重量部あたり、それぞれ0.05〜5.0重量部程度の範囲の濃度とすることが好ましい。
また、上記のプライマー塗工液を位相差フィルムへ塗工する方法としては、特に限定されず、たとえば、スピンコート法、バーコート法、ロールコート法、カーテンコート法、およびスロットコートやエクストルージョンコートなどのダイコート法などを採用することができる。このような塗工液を塗布した後、ヒーター加熱や温風吹きつけなどの方法による溶剤除去(乾燥)工程を組み込み、溶剤を適宜に乾燥して除去する。
さらに、プライマー層をポリプロピレン系樹脂からなる位相差フィルムに塗工する際、位相差フィルムに対して予めコロナ処理をすることが好ましい。これにより、プライマー層とポリプロピレン系樹脂からなる位相差フィルムとの密着性を向上することができる。また、プライマー層の上にコロナ処理を施すことにより、後述の粘着剤層との密着力を向上させることも有用な技術である。
なお、このようなプライマー層の厚みは、0.4μm以上10μm以下とすることが好ましい。0.4μm未満ではポリプロピレン系樹脂からなる位相差フィルムと粘着剤層との密着力を十分に向上させることができず、10μmを超えるとプライマー層を乾燥させるのに時間がかかり、製造効率が低下する。
<粘着剤層>
本発明の粘着剤層としては、アクリル系ポリマー、シリコーン系ポリマー、ポリエステル、ポリウレタン、ポリエーテルなどをベースポリマーとするもので構成することができる。なかでも、アクリル系感圧式接着剤のように、光学的な透明性に優れ、適度の濡れ性や凝集力を保持し、基材との接着性にも優れ、さらには耐候性や耐熱性などを有し、加熱や加湿の条件下で浮きや剥がれ等の剥離問題を生じないものを選択して用いることが好ましい。アクリル系感圧式接着剤においては、メチル基やエチル基、ブチル基等の炭素数が20以下のアルキル基を有するアクリル酸のアルキルエステルと、(メタ)アクリル酸や(メタ)アクリル酸ヒドロキシエチルなどからなる官能基含有アクリル系モノマーとを、ガラス転移温度が好ましくは25℃以下、さらに好ましくは0℃以下となるように配合した、重量平均分子量が10万以上のアクリル系共重合体が、ベースポリマーとして有用である。
このような粘着剤層は、上記のようなベースポリマーを主体とする感圧式接着剤溶液をプライマー層上に塗布し、乾燥する方法によって形成できるほか、離型処理が施されたフィルムの離型処理面に感圧式接着剤層が形成されたもの(感圧粘着剤付きフィルム)を用意し、それを感圧粘着剤層側でプライマー層の表面に貼り合わせる方法によっても形成できる。なお、このような粘着剤層の形成は、プライマー層の形成後に続けて形成することができる他、楕円偏光板を構成するように位相差フィルムと偏光板とを積層させた後に形成することもできる。
また、本発明では、光拡散剤を含有した拡散粘着剤をも粘着剤層として使用することができる。ここで用いる光拡散剤は、粘着剤層を構成するベースポリマーとは屈折率が異なる微粒子であればよく、無機化合物からなる微粒子や有機化合物(ポリマー)からなる微粒子を用いることができる。上記したようなアクリル系ベースポリマーを含めて、粘着剤層を構成するベースポリマーは、1.4前後の屈折率を示すことが多いので、そこに配合する光拡散剤は、その屈折率が1〜2程度のものから、適宜選択すればよい。粘着剤層を構成するベースポリマーと光拡散剤との屈折率差は、通常0.01以上であり、また画像(液晶)表示装置の明るさと視認性の観点から、0.01以上0.5以下とするのが好適である。光拡散剤として用いる微粒子は、球形のもの、かつ単分散に近いものが好ましく、たとえば、平均粒径が2〜6μm程度の範囲にある微粒子が好適に用いられる。
無機化合物からなる微粒子としては、たとえば、酸化アルミニウム(屈折率1.76)、酸化ケイ素(屈折率1.45)などを挙げることができる。
また、有機化合物(ポリマー)からなる微粒子としては、たとえば、メラミンビーズ(屈折率1.57)、ポリメタクリル酸メチルビーズ(屈折率1.49)、メタクリル酸メチル/スチレン共重合体樹脂ビーズ(屈折率1.50〜1.59)、ポリカーボネートビーズ(屈折率1.55)、ポリエチレンビーズ(屈折率1.53)、ポリスチレンビーズ(屈折率1.6)、ポリ塩化ビニルビーズ(屈折率1.46)、シリコーン樹脂ビーズ(屈折率1.46)などを挙げることができる。
光拡散剤の配合量は、それが配合された光拡散性の粘着剤層に必要とされるヘイズ値や、それが適用される画像表示装置の明るさなどを考慮して、適宜決められるが、一般には、粘着剤層を構成するベースポリマー100重量部に対して、3〜30重量部程度である。
また、光拡散剤が配合された光拡散性の粘着剤層は、その複合偏光板が適用された画像(液晶)表示装置の明るさを確保するとともに、表示像のにじみやボケを生じにくくする観点から、そのヘイズが20〜80%の範囲となるようにするのが好ましい。ヘイズは、JIS K 7105に規定され、(拡散透過率/全光線透過率)×100(%)で表される値である。
このような粘着剤層の厚みは、その接着力などに応じて決定されるが、通常は1〜40μmの範囲である。本発明の目的である薄型複合偏光板(楕円偏光板)とするためには、加工性や耐久性などの特性を損なわない範囲で薄く塗るのが望ましい。そこで、該粘着剤層の厚みは3〜25μmとするのが、良好な加工性を保ち、高い耐久性を示し、また画像(液晶)表示装置を正面から見た場合や斜めから見た場合の明るさを保ち、表示像のにじみやボケが生じにくくする観点から好適である。
<楕円偏光板>
本発明の楕円偏光板は、上記粘着剤層付位相差フィルムが偏光板に積層された構成を有する。ここで、本発明において粘着剤層付位相差フィルムが積層される偏光板は、直線偏光板50/粘着剤層45/ポリプロピレン系樹脂からなる位相差フィルム(1/4波長板)20/プライマー層30/粘着剤層40がこの順に積層している構成を有し、楕円偏光板という作用を有するものである。
このような楕円偏光板は、1/4波長板を所定の軸角度で直線偏光板と積層することにより、あるいは1/2波長板とともに所定の軸角度で直線偏光板と積層することにより、構成することができる。図2(A)および(B)は、本発明に係る楕円偏光板の一形態について、層構成を示す断面模式図および軸角度の関係を説明するための図であり、図3(A)および(B)は、本発明に係る楕円偏光板のもう一つの形態について、層構成を示す断面模式図および軸角度の関係を説明するための図である。
まず、図2(A)は、本発明の一形態を示すものであって、上記したポリプロピレン系樹脂からなる位相差フィルム20を1/4波長板とする粘着剤層付位相差フィルム10を粘着剤層45を介して直線偏光板50に積層して、楕円偏光板52とすることが示されている。この粘着剤層45は、粘着剤層付位相差フィルム10のポリプロピレン系樹脂からなる位相差フィルム20上に形成される。この場合は、図2(B)に示されるように、直線偏光板50の吸収軸51を基準に、反時計回り方向を正として、1/4波長板(ポリプロピレン系樹脂からなる位相差フィルム20)の面内遅相軸12に至る角度θが、40〜50度、好ましくはほぼ45度となるように配置することで、ほぼ円偏光板として機能するようになる。あるいは、直線偏光板50の吸収軸51を基準に、反時計回り方向を正として、1/4波長板の面内遅相軸12に至る角度θが、130〜140度、好ましくはほぼ135度となるように配置することでも、やはりほぼ円偏光板として機能するようになる。以下、角度を表すときは、ここでの説明と同様、基準軸に対して反時計回りを正とする。
また、図3(A)は、本発明のもう一つの形態を示すものであって、上記したポリプロピレン系樹脂からなる位相差フィルム20を1/4波長板とする粘着剤層付位相差フィルム10を粘着剤層45を介して1/2波長板25と積層し、さらにその1/2波長板25側に直線偏光板50を積層して、楕円偏光板55とすることが示されている。このように本発明の楕円偏光板は、粘着剤層付位相差フィルムと偏光板との間に1/2波長板を含むことができる。なお、この粘着剤層45は、粘着剤層付位相差フィルム10のポリプロピレン系樹脂からなる位相差フィルム20上に形成され、これと1/2波長板とを貼合するものである。この粘着剤層45は、図示されていないが1/2波長板25と直線偏光板50とを貼合するためにも用いられている。
そして、図3(B)に示したように、直線偏光板50の吸収軸51を基準に、1/2波長板25の面内遅相軸27に至る角度φが10〜20度、好ましくはほぼ15度となり、1/2波長板25の面内遅相軸27から1/4波長板(ポリプロピレン系樹脂からなる位相差フィルム20)の面内遅相軸12に至る角度ψが55〜65度、好ましくはほぼ60度となるように配置することで、ほぼ円偏光板として機能するようになる。あるいは、直線偏光板50の吸収軸51を基準に、1/2波長板25の面内遅相軸27に至る角度φが100〜110度、好ましくはほぼ105度となり、1/2波長板25の面内遅相軸27から1/4波長板の面内遅相軸12に至る角度ψが55〜65度、好ましくはほぼ60度となるように配置することでも、やはりほぼ円偏光板として機能するようになる。後者の関係(直線偏光板の吸収軸から1/2波長板15の面内遅相軸に至る角度が100〜110度)は、図3(B)において符号51を「直線偏光板の透過軸」と読み替えた状態に相当する。直線偏光板において、吸収軸と透過軸は面内で直交する関係にある。
特に図3(A)に示したように、1/4波長板(上記したポリプロピレン系樹脂からなる位相差フィルム20を1/4波長板とする粘着剤層付位相差フィルム10)と1/2波長板25とを積層したものは、可視光領域の広い波長範囲、すなわち広帯域で1/4波長板として機能するようになり、その1/2波長板25側に直線偏光板50を積層した楕円偏光板55は、広帯域で、直線偏光を円偏光に、また円偏光を直線偏光に変換できるようになる。さらにこのように構成することで、反射防止効果の角度依存性をも低減できるようになる。
直線偏光板50は、ある方向の振動面を有する直線偏光を吸収し、それと直交する方向の振動面を有する直線偏光を透過する機能が付与された光学素子であって、この分野で一般に用いられているものであることができる(なお、本発明において特に断らない限り単に「偏光板」という場合はこの直線偏光板を意味するものとする)。このような直線偏光板50は、具体的には、ポリビニルアルコール系樹脂フィルムからなる偏光子の少なくとも一方の面に、透明保護層を形成したポリビニルアルコール系の直線偏光板が一般的である。ポリビニルアルコール系樹脂フィルムに二色性色素を吸着配向させることにより、上記したような、ある方向の振動面を有する直線偏光を吸収し、それと直交する方向の振動面を有する直線偏光を透過する機能を付与することができる。二色性色素としては、ヨウ素や二色性有機染料が用いられる。ポリビニルアルコール系樹脂フィルムに、一軸延伸、二色性色素による染色、および染色後のホウ酸処理を施すことにより、この偏光子を得ることができる。
直線偏光板50の透明保護層は、たとえば、従来から偏光子の保護層として一般的に用いられているトリアセチルセルロース(TAC)やジアセチルセルロースに代表されるアセチルセルロース系樹脂のフィルムで構成することができるが、その他、ノルボルネン系樹脂に代表される環状ポリオレフィン系樹脂のフィルム、ポリプロピレン系樹脂のフィルム、ポリエチレンテレフタレート樹脂のフィルム、ポリ(メタ)アクリル酸メチルのフィルムなどで構成してもよい。
また、上記で用いられる1/2波長板としては、上記ポリプロピレン系樹脂からなる位相差フィルムを用いてもよいし、他の従来公知の1/2波長板を用いてもよく、特に限定されるものではない。他の従来公知の1/2波長板としては、たとえば環状ポリオレフィン系樹脂よりなる位相差フィルム、もしくはポリカーボネート樹脂系よりなる位相差フィルムなどを挙げることができる。
本発明の楕円偏光板の作製にあたり、波長板と偏光板の貼合、また波長板同士(1/4波長板と1/2波長板)の貼合に用いられる粘着剤層45は、たとえば、従来公知の感圧接着剤(粘着剤)を用いることができる。このような感圧接着剤としては、透明性および耐久性に優れたアクリル系ポリマーを主体とするものが特に好ましく用いられる。粘着剤層45の厚みは、通常5〜50μmの範囲である。なお、このような波長板と偏光板の貼合、また波長板同士(1/4波長板と1/2波長板)の貼合に用いられる粘着剤層45は、上記した本発明の粘着剤層付位相差フィルムを構成する粘着剤層40に比較して、接着強度の高いものを用いることが好ましい。粘着剤層付位相差フィルムをはじめとするこの種の光学フィルムを液晶セルから剥がす場合において、波長板と偏光板または波長板同士は貼合されたままの状態を保持することが望まれるからである。
以上のように構成される楕円偏光板52、55は、上記した粘着剤層付位相差フィルム10の粘着剤層40により、液晶セルへの貼り合わせが可能となるようにすることができる。この楕円偏光板を、液晶セルの少なくとも一方の側に積層して、液晶表示装置が構成される。液晶セルの両面にこの楕円偏光板を配置することもできるし、液晶セルの片面にこの楕円偏光板を配置し、他面には別の偏光板を配置することもできる。液晶セルへの貼合にあたっては、上記した粘着剤層付位相差フィルム10側が液晶セルに向き合うように配置される。
<液晶表示装置>
本発明の液晶表示装置は、上記で説明した楕円偏光板が液晶セルの少なくとも一方の側に積層されてなることを特徴とするものである。図4および図5に、液晶セルの両面に本発明の楕円偏光板を配置して液晶表示装置とした例を、それぞれ模式的な断面図で示す。図4は、ポリプロピレン系樹脂からなる位相差フィルム20を1/4波長板とする粘着剤層付位相差フィルム10と直線偏光板50との積層物である図2(A)に示した楕円偏光板52を、液晶セル60の両側に配置した例を示している。すなわちこの例では、液晶セル60の下側に、粘着剤層付位相差フィルム10の粘着剤層40を介して、粘着剤層付位相差フィルム(ポリプロピレン系樹脂からなる位相差フィルムを1/4波長板とするもの)10/直線偏光板50からなる楕円偏光板52を、その直線偏光板50に対して1/4波長板側が液晶セル60に向き合うように積層し、液晶セル60の上側にも、粘着剤層付位相差フィルム10の粘着剤層40を介して、粘着剤層付位相差フィルム(ポリプロピレン系樹脂からなる位相差フィルムを1/4波長板とするもの)10/直線偏光板50からなる楕円偏光板52を、その直線偏光板50に対して1/4波長板側が液晶セル60に向き合うように積層している。それぞれの楕円偏光板52は、その直線偏光板50の吸収軸が直交するように配置される。この液晶表示装置を透過型または半透過反射型として用いる場合には、一方の楕円偏光板の外側(図では下側)に、バックライト70が配置される。
図5は、ポリプロピレン系樹脂からなる位相差フィルム20を1/4波長板とする粘着剤層付位相差フィルム10と1/2波長板25と直線偏光板50の積層物である図3(A)に示した楕円偏光板55を、液晶セル60の両側に配置した例を示している。すなわちこの例では、液晶セル60の下側に、粘着剤層付位相差フィルム10の粘着剤層40を介して、粘着剤層付位相差フィルム(ポリプロピレン系樹脂からなる位相差フィルムを1/4波長板とするもの)10/1/2波長板25/直線偏光板50からなる楕円偏光板55を、その直線偏光板50に対して1/4波長板側が液晶セル60に向き合うように積層し、液晶セル60の上側にも、粘着剤層付位相差フィルム10の粘着剤層40を介して、粘着剤層付位相差フィルム(ポリプロピレン系樹脂からなる位相差フィルムを1/4波長板とするもの)10/1/2波長板25/直線偏光板50からなる楕円偏光板55を、その直線偏光板50に対して1/4波長板側が液晶セル60に向き合うように積層している。それぞれの楕円偏光板55は、その直線偏光板50の吸収軸が直交するように配置される。この液晶表示装置を透過型または半透過反射型として用いる場合には、やはり一方の楕円偏光板の外側(図では下側)に、バックライト70が配置される。
以下、実施例を示して本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらの例によって限定されるものではない。例中、含有量を表す%は、特記ないかぎり重量基準である。
<ポリプロピレン系樹脂からなる位相差フィルム>
エチレンユニットを約5%含むプロピレン/エチレンランダム共重合体(住友化学(株)製の“住友ノーブレン W151”)を製膜して、厚さ40μmのフィルムを得た。このフィルムを、横一軸延伸を行なって、一軸性のポリプロピレン系樹脂からなる位相差フィルムを得た。この位相差フィルムは、Ro=90nm、Rth=45nmであり、厚みは9μmであった。なお、このポリプロピレン系樹脂からなる位相差フィルムの片面には、保護フィルムとして東レフィルム加工(株)製の“トレテック7332”を貼合した。
<プライマー層形成用の「プライマー塗工液1」>
日本製紙ケミカル(株)製の“スーパークロン822”(商品名;酸変性塩素化ポリオレフィンである無水マレイン酸変性塩素化ポリプロピレンの20%トルエン溶液)100重量部に対して、安定剤としてナガセケムテック(株)製の“デナコール EX−212L”(商品名;1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテル)1重量部、消泡剤として2−プロパノールを3重量部添加することにより「プライマー塗工液1」を得た。“スーパークロン822”(無水マレイン酸変性塩素化ポリプロピレン)の分子量は50000〜70000であり、塩素含有率は24.5重量%である。
<実施例1>
(a)プライマー層の形成
上記のポリプロピレン系樹脂からなる位相差フィルムの保護フィルム“トレテック7332”が貼合されていない方の面に対して、積算照射量15.9kJ/m2でコロナ放電処理を施した。このコロナ放電処理後5分以内に、そのコロナ放電処理面に対してメイヤーバー(#3)を用いて上記の「プライマー塗工液1」を塗工し、80℃のオーブンで3分間乾燥させ、厚さ0.8μmのプライマー層をポリプロピレン系樹脂からなる位相差フィルムの一方の表面上に形成した。なお、このプライマー層上には粘着剤層が形成されることにより本発明の粘着剤層付位相差フィルムを形成することになるが、この粘着剤層の形成は後述する。
(b)楕円偏光板の作製
偏光子の一方の表面にケン化されたトリアセチルセルロースを保護膜として接着されてなる直線偏光板(住友化学(株)製のSR062(商品名))にウレタンアクリレート系粘着剤(リンテック(株)から販売されているNS300MP(商品名))が塗工されている複合偏光板の粘着剤形成面に対して、上記(a)で作製したプライマー層が形成されている位相差フィルムを貼合させた。この貼合は、上記位相差フィルムの保護フィルム“トレテック7332”を剥ぎ、その面に積算照射量15.9kJ/m2でコロナ放電処理を施し、コロナ放電処理後5分以内に、そのコロナ放電処理面に対して、上記複合偏光板の粘着剤形成面を当接させるようにして貼合させた(すなわち、上記(a)で作製した位相差フィルムのプライマー層の形成された面とは逆の面に複合偏光板を貼合した)。その後、プライマー層側にも積算照射量15.9kJ/m2でコロナ放電処理を施した。このコロナ放電処理後5分以内に、そのコロナ放電処理面にアクリル粘着剤(リンテック(株)から販売されているP3132)を貼合することにより、プライマー層上に粘着剤層を形成した。すなわち、これにより本発明の粘着剤層付位相差フィルムが形成されたことになり、同時に粘着剤層付位相差フィルムが偏光板(上記でいう複合偏光板)に積層されてなる楕円偏光板が形成される。
(c)楕円偏光板の厚み測定
(株)ニコン製のデジタル測長器“MH−15M”を用いて上記(b)で得られた楕円偏光板の厚みを測定した。その結果を表1に示した。
(d)投錨力試験
上記(a)で得られたプライマー層が形成された位相差フィルムの保護フィルム“トレテック7332”を剥ぎ、その面に積算照射量15.9kJ/m2の条件でコロナ放電処理を施した。また、2軸性の熱可塑性飽和ノルボルネン樹脂フィルム(日本ゼオン(株)製のZB055124)に積算照射量15.9kJ/m2の条件でコロナ放電処理を施した。コロナ放電処理後10分以内に、2軸性の熱可塑性飽和ノルボルネン樹脂のコロナ処理面に対してメイヤーバー(#1)を用いて、エポキシ化合物を含有する活性エネルギー線硬化性樹脂組成物を塗工し、その塗工面とプライマー層が形成された位相差フィルムのコロナ処理面とを貼合し、FUSION社製UV照射装置で、500mW/1500mJでUV硬化さた。続いてプライマー層表面に、積算照射量15.9kJ/m2でコロナ放電処理を施した後、該プライマー面にアクリル系粘着剤(リンテック(株)から販売されているP3132)を貼合し、接着性評価用フィルムを作製した。その後、この接着性評価用フィルムを温度23℃湿度60%RHの雰囲気下で、1日放置した。この接着性評価用フィルムを幅25mm、長さ約200mmに切断し、日本システムグループ(株)製“密着力評価装置”を用いて長さ方向に3点の位置における密着力を評価した。評価は、硬度60度のスチレンゴムを使用し、0.4MPaの押圧力で押圧しながら、一定の方向から20回摺動させたときに、粘着剤層が位相差フィルムから剥離した長さについて上記3点の平均を剥離距離として求めた。なお、測定は、温度23℃湿度60%RHの雰囲気下で実施した。その結果を表1に示した。この剥離距離が短いもの程、投錨力が高い。
(e)ガラス板貼り付け剥離試験
上記(d)で得られた接着性評価用フィルムを幅25mm、長さ約200mmに切断し、その粘着剤層面をソーダガラスに貼合した後、オートクレーブ中、圧力5kgf/cm2、温度50℃で20分間の加圧処理を行ない、温度23℃湿度60%RHの雰囲気下で1日放置した。なお、剥離の評価は、万能引っ張り試験機(SHIMAZU(株)製“AG−1”)を用いて、温度23℃湿度60%RHの雰囲気下で、クロスヘッドスピード(剥離速度)200mm/minで、90°ピール試験により評価した。
表1中、当該剥離試験の評価を示す記号は以下を意味する。
A:ガラス板に粘着剤層が残存することなく剥離できた。
B:ガラス板に多量の粘着剤層が残存し、剥離した。
すなわち、評価Aとなるものの方が評価Bのものに比し、ポリプロピレン系樹脂からなる位相差フィルムと粘着剤層との密着性に優れていることを示す。
<プライマー層形成用の「プライマー塗工液2」>
日本製紙ケミカル(株)製の“スーパークロン892L”(商品名;酸変性塩素化ポリオレフィンである無水マレイン酸変性塩素化ポリプロピレンの20%トルエン/シクロヘキサン(56%/24%)溶液)100重量部に対して、安定剤としてナガセケムテック(株)製の“デナコール EX−212L”(前出)1重量部、消泡剤として2−プロパノールを3重量部添加することにより「プライマー塗工液2」を得た。“スーパークロン892L”(無水マレイン酸変性塩素化ポリプロピレン)の分子量は50000〜70000であり、塩素含有率は22重量%である。
<実施例2>
(a)プライマー層の形成
実施例1と同じポリプロピレン系樹脂からなる位相差フィルムの保護フィルム“トレテック7332”が貼合されていない方の面に対して、積算照射量15.9kJ/m2でコロナ放電処理を施した。このコロナ放電処理後5分以内に、そのコロナ放電処理面に対してメイヤーバー(#3)を用いて上記の「プライマー塗工液2」を塗工し、80℃のオーブンで3分間乾燥させ、厚さ0.8μmのプライマー層をポリプロピレン系樹脂からなる位相差フィルムの一方の表面上に形成した。なお、このプライマー層上には粘着剤層が形成されることにより本発明の粘着剤層付位相差フィルムを形成することになるが、この粘着剤層の形成は実施例1と同様にして行なった。
(b)楕円偏光板の作製
上記で得られたプライマー層を形成した位相差フィルムを用いることを除き実施例1と同様にして、楕円偏光板を作製した。
(c)楕円偏光板の厚み測定
実施例1と同様にして、楕円偏光板の厚みを測定した。その結果を表1に示した。
(d)投錨力試験
実施例1と同様にして、投錨力試験を実施した。その結果を表1に示した。
(e)ガラス板貼り付け剥離試験
実施例1と同様にして、ガラス板貼り付け剥離試験を実施した。その結果を表1に示した。
<プライマー層形成用の「プライマー塗工液3」>
日本製紙ケミカル(株)製の“スーパークロン851L”(商品名;酸変性塩素化ポリオレフィンである無水マレイン酸変性塩素化ポリプロピレンの20%トルエン/シクロヘキサン(56%/24%)溶液)100重量部に対して、安定剤としてナガセケムテック(株)製の“デナコール EX−212L”(前出)1重量部、消泡剤として2−プロパノールを3重量部添加することにより「プライマー塗工液3」を得た。“スーパークロン851L”(無水マレイン酸変性塩素化ポリプロピレン)の分子量は40000〜60000であり、塩素含有率は19重量%である。
<実施例3>
(a)プライマー層の形成
実施例1と同じポリプロピレン系樹脂からなる位相差フィルムの保護フィルム“トレテック7332”が貼合されていない方の面に対して、積算照射量15.9kJ/m2でコロナ放電処理を施した。このコロナ放電処理後5分以内に、そのコロナ放電処理面に対してメイヤーバー(#3)を用いて上記の「プライマー塗工液3」を塗工し、80℃のオーブンで3分間乾燥させ、厚さ0.8μmのプライマー層をポリプロピレン系樹脂からなる位相差フィルムの一方の表面上に形成した。なお、このプライマー層上には粘着剤層が形成されることにより本発明の粘着剤層付位相差フィルムを形成することになるが、この粘着剤層の形成は実施例1と同様にして行なった。
(b)楕円偏光板の作製
上記で得られたプライマー層を形成した位相差フィルムを用いることを除き実施例1と同様にして、楕円偏光板を作製した。
(c)楕円偏光板の厚み測定
実施例1と同様にして、楕円偏光板の厚みを測定した。その結果を表1に示した。
(d)投錨力試験
実施例1と同様にして、投錨力試験を実施した。その結果を表1に示した。
(e)ガラス板貼り付け剥離試験
実施例1と同様にして、ガラス板貼り付け剥離試験を実施した。その結果を表1に示した。
<プライマー層形成用の「プライマー塗工液4」>
日本製紙ケミカル(株)製の“スーパークロンHE−510”(商品名;酸変性塩素化ポリオレフィンであるマレイン酸変性塩素化ポリエチレン)25重量部に対して、安定剤としてナガセケムテック(株)製の“デナコール EX−212L”(前出)1重量部、トルエンを60重量部、消泡剤として2−プロパノールを3重量部添加することにより「プライマー塗工液4」を得た。なお、“スーパークロンHE−510”(マレイン酸変性塩素化ポリエチレン)は、分子量が40000〜60000であり、塩素含有率が68重量%である。
<比較例1>
(a)プライマー層の形成
実施例1と同じポリプロピレン系樹脂からなる位相差フィルムの保護フィルム“トレテック7332”が貼合されていない方の面に対して、積算照射量15.9kJ/m2でコロナ放電処理を施した。このコロナ放電処理後5分以内に、そのコロナ放電処理面に対してメイヤーバー(#3)を用いて上記の「プライマー塗工液4」を塗工し、80℃のオーブンで3分間乾燥させ、厚さ0.8μmのプライマー層をポリプロピレン系樹脂からなる位相差フィルムの一方の表面上に形成した。なお、このプライマー層上には粘着剤層が形成されることにより粘着剤層付位相差フィルムを形成することになるが、この粘着剤層の形成は実施例1と同様にして行なった。
(b)楕円偏光板の作製
上記で得られたプライマー層を形成した位相差フィルムを用いることを除き実施例1と同様にして、楕円偏光板を作製した。
(c)楕円偏光板の厚み測定
実施例1と同様にして、楕円偏光板の厚みを測定した。その結果を表1に示した。
(d)投錨力試験
実施例1と同様にして、投錨力試験を実施した。その結果を表1に示した。
(e)ガラス板貼り付け剥離試験
実施例1と同様にして、ガラス板貼り付け剥離試験を実施した。その結果を表1に示した。
<比較例2>
(a)プライマー層を形成しない位相差フィルムの作製
実施例1と同じポリプロピレン系樹脂からなる位相差フィルムの保護フィルム“トレテック7332”が貼合されていない方の面に対して、積算照射量15.9kJ/m2でコロナ放電処理を施した。このコロナ放電処理後5分以内に、そのコロナ放電処理面に対してアクリル粘着剤(リンテック(株)から販売されているP3132)を貼合した。すなわち、本比較例の粘着剤層付位相差フィルムは、ポリプロピレン系樹脂からなる位相差フィルムに対してプライマー層を介することなく直接粘着剤層を形成した構成である。
(b)楕円偏光板の作製
上記で得られたプライマー層を形成しない位相差フィルムを用いることを除き実施例1と同様にして、楕円偏光板を作製した(ただし位相差フィルムに対して粘着剤層を重複して形成することはしていない)。
(c)楕円偏光板の厚み測定
実施例1と同様にして、楕円偏光板の厚みを測定した。その結果を表1に示した。
(d)投錨力試験
実施例1と同様にして、投錨力試験を実施した。その結果を表1に示した。
(e)ガラス板貼り付け剥離試験
実施例1と同様にして、ガラス板貼り付け剥離試験を実施した。その結果を表1に示した。
Figure 2009210812
表1から明らかなように、本発明の構成を有する粘着剤層付位相差フィルム(すなわち本発明で規定する特定のプライマー層を形成した粘着剤層付位相差フィルム)は、ポリプロピレン系樹脂からなる位相差フィルムと粘着剤層との密着性に優れていることが明らかとなった。
以上のように本発明の実施の形態および実施例について説明を行なったが、上述の各実施の形態および実施例の構成を適宜組み合わせることも当初から予定している。
今回開示された実施の形態および実施例はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
本発明の粘着剤層付位相差フィルムを示す断面模式図である。 (A)は、本発明に係る楕円偏光板の一形態についてその層構成を示す断面模式図であり、(B)はその楕円偏光板の軸角度の関係を説明する図である。 (A)は、本発明に係る楕円偏光板の別の一形態についてその層構成を示す断面模式図であり、(B)はその楕円偏光板の軸角度の関係を説明する図である。 液晶表示装置を示す断面模式図である。 別の構成の液晶表示装置を示す断面模式図である。
符号の説明
10 粘着剤層付位相差フィルム、12,27 面内遅相軸、20 ポリプロピレン系樹脂からなる位相差フィルム、25 1/2波長板、30 プライマー層、40,45 粘着剤層、50 直線偏光板、51 吸収軸、52,55 楕円偏光板、60 液晶セル、70 バックライト。

Claims (6)

  1. ポリプロピレン系樹脂からなる位相差フィルム、プライマー層、および粘着剤層がこの順に形成された粘着剤層付位相差フィルムであって、
    前記プライマー層は、塩素含有率が1〜50重量%である酸変性塩素化ポリオレフィンからなることを特徴とする粘着剤層付位相差フィルム。
  2. 前記ポリプロピレン系樹脂は、10重量%以下のエチレンユニットを含有するプロピレンとエチレンとの共重合体からなる請求項1に記載の粘着剤層付位相差フィルム。
  3. 前記ポリプロピレン系樹脂からなる位相差フィルムは、1/4波長板である請求項1または2に記載の粘着剤層付位相差フィルム。
  4. 請求項1〜3のいずれかに記載の粘着剤層付位相差フィルムが偏光板に積層されてなる楕円偏光板。
  5. 請求項1〜3のいずれかに記載の粘着剤層付位相差フィルムと偏光板との間に1/2波長板を含む請求項4に記載の楕円偏光板。
  6. 請求項4または5に記載の楕円偏光板が、液晶セルの少なくとも一方の側に積層されてなることを特徴とする液晶表示装置。
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