JP2011112998A - 干渉フィルター、測色センサー、測色モジュール、及び干渉フィルターの製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】第1基板51と、第1基板51に対向配置され、第1基板51に接合される第2基板52と、第1基板51及び第2基板52の互いに対向する面にそれぞれ設けられ、互いに対向配置される一対のミラー56,57と、第1基板51及び第2基板52の互いに対向する面にそれぞれ設けられ、オプティカルコンタクトにより互いに接合される接合面513,524と、第1基板51の接合面513に形成されて接合面513,524同士を接着する接着剤が流入する第1溝部514Aと、第2基板52に形成されて第1溝部514Aと外部とを連通させる接着剤注入孔524A及び接着剤排出孔524Bとを備える。
【選択図】図3
Description
また、特許文献2では、くぼみの幅や深さ等に応じて接着剤の量が規定されているが、接着剤の粘度や粒径等の物性によっては、くぼみに接着剤の所望の量を流し込むのが難しく、くぼみから接着剤がはみ出て、接合工程が煩雑化するという問題がある。
ところで、接合面同士を接着する接着剤は、接着剤注入孔に注入されて、第1溝部に流入した後、接着剤排出孔から排出された時点で注入を終了する。従って、接着剤の注入量の管理を容易にでき、接合工程の煩雑化を防止できる。
これによれば、第1基板及び第2基板の互いに対向する接合面は、接着剤注入孔から注入される接着剤が第1溝部に流入することで、接合される。すなわち、ミラーを取り囲むように形成される第1溝部に流入された接着剤によって、接合面同士が接合されるので、接合面全体にわたって接着剤が塗布されて接合される。従って、第1基板及び第2基板の互いに対向する接合面全体を良好に接合できる。
本発明では、接着剤は、第1溝部の接着剤注入孔から注入されて、第1溝部を辿り、複数の第1溝部間を連通する第2溝部を毛細管力により辿る。
ところで、接着剤注入孔と接着剤排出孔との間の距離が長い場合、すなわち第1溝部が長くなる場合には、接着剤流入孔から注入する接着剤の注入量を多くする必要があり、また、注入時間が長くなるという問題がある。
そこで、第1溝部を複数形成し、第1溝部と第1溝部とを第2溝部で連通させることで、接着剤が注入される第1溝部の距離を短くすることができ、接着剤の注入量を抑制しつつ、注入時間を短縮できる。さらに、第2溝部にも接着剤が毛細管力により流入するため、接着剤の注入量を抑制した場合でも、接合面同士の接合強度を向上できる。
本発明では、エポキシ樹脂の粘度や粒径に応じて、第1溝部の深さ寸法は、50μm以上、100μm以下に設定される。
また、深さ寸法を50μmより浅く形成すると、接着剤注入孔から圧力により注入される接着剤が第1溝部内を辿って流れにくくなる。また、深さ寸法を100μmより深く形成すると、第1溝部内を辿る接着剤の量が多くなり、各基板に硬化収縮による応力が大きくなり、各基板が反り返ってしまうおそれがある。
従って、第1溝部の深さ寸法を50μm以上、100μm以下に設定することで、接着剤に安価で接着強度の高いエポキシ樹脂を用いることができ、かつ接着剤が第1溝部内を良好に辿りつつ、硬化収縮による応力が大きくなることを抑制できる。
ここで、深さ寸法を0.1μmよりも浅く形成すると、接着剤の粒径により第2溝部内に接着剤が侵入できないおそれがある。また、深さ寸法を1.0μmよりも深く形成すると、接着剤が第2溝部内を毛細管力により自己流動できないおそれがある。
従って、第2溝部の深さ寸法を0.1μm以上、1.0μm以下に設定することで、接着剤に安価で接着強度の高いエポキシ樹脂を用いることができ、かつ接着剤が第2溝部内を毛細管力により良好に自己流動することができる。
また、例えば、各電極引出部の距離を長くすることで、引出部形成溝が長くなるので、各基板の接合面に対する接着剤の塗布領域を大きくでき、接合強度を向上できる。
さらに、一対のミラー間の寸法を可変する可変手段である静電アクチュエーターを備えるので、静電アクチュエーターによりミラー間の寸法を調整することで、分光させる光を可変させることができる。従って、所望波長を精度良く分光させることができる。
以下、本発明に係る第1実施形態を図面に基づいて説明する。
[測色モジュールの概略構成]
図1は、本発明に係る第1実施形態の測色モジュール1の概略構成を示す図である。
測色モジュール1は、図1に示すように、被検査対象Aに光を射出する光源装置2と、本発明の測色センサー3と、測色モジュール1の全体動作を制御する制御装置4とを備えている。そして、この測色モジュール1は、光源装置2から射出される光を被検査対象Aにて反射させ、反射された検査対象光を測色センサーにて受光し、測色センサー3から出力される検出信号に基づいて、検査対象光の色度、すなわち被検査対象Aの色を分析して測定するモジュールである。
光源装置2は、光源21、複数のレンズ22(図1には1つのみ記載)を備え、被検査対象Aに対して白色光を射出する。また、複数のレンズ22には、コリメーターレンズが含まれており、光源装置2は、光源21から射出された白色光をコリメーターレンズにより平行光とし、図示しない投射レンズから被検査対象Aに向かって射出する。
測色センサー3は、図1に示すように、本発明の干渉フィルターを構成するエタロン5と、エタロン5を透過する光を受光する受光手段としての受光素子31と、エタロン5で透過させる光の波長を可変する電圧制御手段6とを備えている。また、測色センサー3は、エタロン5に対向する位置に、被検査対象Aで反射された反射光(検査対象光)を、内部に導光する図示しない入射光学レンズを備えている。そして、この測色センサー3は、エタロン5により、入射光学レンズから入射した検査対象光のうち、所定波長の光のみを分光し、分光した光を受光素子31にて受光する。
受光素子31は、複数の光電交換素子により構成されており、受光量に応じた電気信号を生成する。そして、受光素子31は、制御装置4に接続されており、生成した電気信号を受光信号として制御装置4に出力する。
図2は、エタロン5の概略構成を示す平面図であり、図3は、エタロン5の概略構成を示す断面図である。なお、図1では、エタロン5に検査対象光が図中下側から入射しているが、図3では、検査対象光が図中上側から入射するものとする。
エタロン5は、図2に示すように、平面正方形状の板状の光学部材であり、一辺が例えば10mmに形成されている。このエタロン5は、図3に示すように、第1基板51、および第2基板52を備えている。これらの2枚の基板51,52は、それぞれ例えば、ソーダガラス、結晶性ガラス、石英ガラス、鉛ガラス、カリウムガラス、ホウケイ酸ガラス、無アルカリガラスなどの各種ガラスや、水晶などにより形成されている。これらの中でも、各基板51,52の構成材料としては、例えばナトリウム(Na)やカリウム(K)などのアルカリ金属を含有したガラスが好ましく、このようなガラスにより各基板51,52を形成することで、後述するミラー56,57や、各電極の密着性や、基板同士の接合強度を向上させることが可能となる。そして、これらの2つの基板51,52は、外周部近傍に形成される接合面513,524が、例えば常温活性化接合など、加圧接合されるとともに、接着剤により、一体的に構成されている。
ここで、接合に用いられる接着剤としては、本実施形態では、熱硬化性樹脂のエポキシ樹脂を用いる。このエポキシ樹脂の粘度は、25Pa・sである。
さらに、第1基板51と第2基板52との間には、固定ミラー56および可動ミラー57の間のミラー間ギャップGの寸法を調整するための可変手段である静電アクチュエーター54が設けられている。
第1基板51は、厚みが例えば500μmに形成されるガラス基材をエッチングにより加工することで形成される。具体的には、図3に示すように、第1基板51には、エッチングにより電極形成溝511と、ミラー固定部512とが形成される。
電極形成溝511は、図2に示すようなエタロン5を厚み方向から見た平面視(以降、エタロン平面視と称す)において、平面中心点を中心とした円形に形成されている。
ミラー固定部512は、エタロン平面視において、電極形成溝511の中心部から第2基板52側に突出して形成される。
ここで、静電アクチュエーター54を駆動させる際には、電圧制御手段6(図1参照)により、一対の第1電極パッド541Bのうちのいずれか一方にのみに電圧が印加される。そして、他方の第1電極パッド541Bは、第1電極541の電荷保持量を検出するための検出端子として用いられる。
なお、本実施形態では、固定ミラー56として、エタロン5で分光可能な波長域として可視光全域をカバーできるAgC単層のミラーを用いる例を示すが、これに限定されず、例えば、エタロン5で分光可能な波長域が狭いが、AgC単層ミラーよりも、分光された光の透過率が大きく、透過率の半値幅も狭く分解能が良好な、例えばTiO2−SiO2系誘電体多層膜ミラーを用いる構成としてもよい。ただし、この場合、上述したように、第1基板51のミラー固定面512Aや電極固定面511Aの高さ位置を、固定ミラー56や可動ミラー57、分光させる光の波長選択域などにより、適宜設定する必要がある。
接合面513は、精密研磨等により活性化され、図3に示すように、第2基板52に対向し、オプティカルコンタクトにより、第2基板の後述する接合面524に接合される。また、接合面513は、ミラー固定面512Aに平行となるように形成されているので、接合面513が第2基板の接合面524と接合される際に、ミラー56の接合面513に対する平行を維持できる。
溝部514は、図2、3に示すように、深さ寸法の異なる第1溝部514A、及び第2溝部514Bで構成され、この溝部514には、第2基板52の後述する接着剤注入孔524Aから注入された接着剤が流入される。
第1溝部514Aは、接着剤注入孔524Aから接着剤の注入圧により注入される接着剤が辿る経路であり、本実施形態では、周方向に沿って4箇所に形成される。
第2溝部514Bは、第1溝部514Aを辿る接着剤が毛細管力により侵入して、自己流動する経路である。この第2溝部514Bは、互いに近接する第1溝部514A間と連通する。
本実施形態では、第1溝部514Aの深さ寸法は100μm、幅寸法は300μmとなるように設定され、第2溝部514Bの深さ寸法は0.5μm、幅寸法は300μmとなるように設定される。すなわち、第2溝部514Bの深さ寸法は、第1溝部514Aの深さ寸法よりも小さく設定されている。
第1溝部514Aの深さ、幅寸法の寸法値は、上述の値に限定されるものではない。寸法値は、使用する接着剤の粘度や粒径により適宜決定されるものである。ここで、接着剤としては、接着強度が良好で、かつ硬化時の体積変化が小さく、安価なもので好ましく、本実施形態では、上述したようにエポキシ樹脂を用いる。
ここで、粘度が25Pa・Sであるエポキシ樹脂を用いる場合では、第1溝部514Aの深さ寸法は、50μm〜150μmであればよく、幅寸法は、200〜500μmであればよい。
深さ寸法を50μmより浅く、さらに幅寸法を200μmより狭く形成すると、後述する接着剤注入孔524Aから圧力により注入される接着剤が第1溝部514A内を辿って流れにくくなる。
深さ寸法を150μmより深く、さらに幅寸法を500μmより広く形成すると、第1溝部514A内を辿る接着剤の量が多くなり、基板51,52に硬化収縮による応力も大きくなるため、基板51,52が反り返ってしまうおそれがある。
深さ寸法を0.1μmよりも浅く、さらに幅寸法を100μmよりも狭く形成すると、接着剤の粒径により第2溝部514B内に接着剤が侵入できないおそれがある。
深さ寸法を1.0μmよりも深く、さらに幅寸法を500μmよりも広く形成すると、接着剤が第2溝部514B内を毛細管力により自己流動できないおそれがある。
第2基板52は、厚みが例えば200μmに形成されるガラス基材をエッチングにより加工することで形成される。
具体的には、第2基板52には、図2に示すように、エタロン平面視において、基板中心点を中心とした円形の変位部521が形成される。この変位部521は、図3に示すように、円柱状の可動部522と、可動部522と同軸であり可動部522を保持する連結保持部523とを備えている。
接着剤排出孔524Bは、図2に示すエタロン平面視において、4箇所に形成され、基板中心点を中心に溝部514の周方向に沿って各接着剤注入孔524Aから略90度ずれた位置に形成される。この接着剤排出孔524Bは、接着剤注入孔524Aに注入された接着剤が排出される孔である。また、接着剤排出孔524Bは、図3に示すように、第1基板51に向かって径が小さくなるテーパ状に形成されるので、接着剤排出孔524Bから排出された接着剤が第2基板52上に流れにくくなっている。
ここで、この可動ミラー57は、上述した固定ミラー56と同一の構成のミラーが用いられ、本実施形態では、AgC単層ミラーが用いられる。また、AgC単層ミラーの膜厚寸法は、例えば0.03μmに形成されている。
さらに、可動部522は、可動面522Aとは反対側の上面において、可動ミラー57に対応する位置に図示略の反射防止膜(AR)が形成されている。この反射防止膜は、第1基板51に形成される反射防止膜と同様の構成を有し、低屈折率膜および高屈折率膜を交互に積層することで形成される。
また、第2電極542の外周縁の一部からは、一対の第2電極引出部542Aが外周方向に向かって形成され、これらの第2電極引出部542Aの先端には第2電極パッド542Bが形成されている。より具体的には、第2電極引出部542Aは、図2に示すように、エタロン平面視において、エタロン5の左下方向および右上方向に向かって延出し、第2基板52の平面中心に対して点対称に形成されている。
また、第2電極パッド542Bも、第1電極パッド541Bと同様に、電圧制御手段6に接続され、静電アクチュエーター54の駆動時には、一対の第2電極パッド542Bのうちのいずれか一方にのみに電圧が印加される。そして、他方の第2電極パッド542Bは、第2電極542の電荷保持量を検出するための検出端子として用いられる。
電圧制御手段6は、上記エタロン5とともに、本発明の波長可変干渉フィルターを構成する。この電圧制御手段6は、制御装置4からの入力される制御信号に基づいて、静電アクチュエーター54の第1電極541および第2電極542に印加する電圧を制御する。
制御装置4は、測色モジュール1の全体動作を制御する。
この制御装置4としては、例えば汎用パーソナルコンピューターや、携帯情報端末、その他、測色専用コンピューターなどを用いることができる。
そして、制御装置4は、図1に示すように、光源制御部41、測色センサー制御部42、および測色処理部43などを備えて構成されている。
光源制御部41は、光源装置2に接続されている。そして、光源制御部41は、例えば利用者の設定入力に基づいて、光源装置2に所定の制御信号を出力し、光源装置2から所定の明るさの白色光を射出させる。
測色センサー制御部42は、測色センサー3に接続されている。そして、測色センサー制御部42は、例えば利用者の設定入力に基づいて、測色センサー3にて受光させる光の波長を設定し、この波長の光の受光量を検出する旨の制御信号を測色センサー3に出力する。これにより、測色センサー3の電圧制御手段6は、制御信号に基づいて、利用者が所望する光の波長のみを透過させるよう、静電アクチュエーター54への印加電圧を設定する。
次に、エタロン5の製造方法について、図面に基づいて説明する。
[第1基板の製造]
図4は、第1基板51の製造工程を示す図であり、(A)は、第1基板51に電極形成溝511を形成する工程を示す概略図、(B)は、接合面513に第1溝部514A、及びミラー固定面512Aを形成する工程を示す概略図、(C)は、接合面513に第2溝部514Bを形成する工程を示す概略図、(D)は、レジスト61を除去する工程を示す概略図、(E)は、電極固定面511Aに第1電極541を形成する工程を示す概略図、(F)は、ミラー固定面512Aに固定ミラー56を形成する工程を示す概略図である。
次に、図4(B)に示すように、電極形成溝511が所望の深さにガラスエッチングされて、電極固定面511Aが形成される。なお、ここでのエッチングとしては、ウェットエッチングが用いられる。
そして、ミラー固定面512A及び第1溝部514A形成用のレジスト61を塗布して、塗布されたレジスト61をフォトリソグラフィ法により露光・現像して、ミラー固定面512A及び第1溝部514Aが形成される箇所をパターニングする。
そして、第2溝部514Bが深さ寸法0.5μmとなるまでガラスエッチングされて形成された後、図4(D)に示すように、レジスト61を除去する。
次に、第2基板52に対向する面にAu薄膜(厚み寸法200nm)及びCr薄膜(厚み寸法10nm)からなる2層のAu/Cr薄膜(図示略)をスパッタリング法により成膜する。
さらに、第1基板51の第2基板52に対向する面にAgC薄膜をスパッタリング法により成膜する。そして、成膜されたAgC薄膜をフォトエッチングすることにより、図4(F)に示すように、ミラー固定面512Aに固定ミラー56が形成される。
以上により、第1基板51が形成される。
図5は、第2基板52の製造工程を示す図であり、(A)は、第2基板52の両面にAu/Cr薄膜62を塗布する工程を示す概略図、(B)は、第2電極542を形成する工程を示す概略図、(C)は、連結保持部523を形成する工程を示す概略図、(D)は、可動ミラー57を形成する工程を示す概略図、(E)は、接着剤注入孔524A及び接着剤排出孔524Bを形成する工程を示す概略図である。
そして、第2基板52の両面に成膜されたAu薄膜及びCr薄膜をフォトエッチングすることで、図5(B)に示すように、第1基板51に対向する面に第2電極542が形成される。また、第1基板51に対向する面と反対側の面に成膜されたAu薄膜及びCr薄膜をフォトエッチングすることで、図5(B)に示すように、連結保持部523形成用のダイアフラムパターンが形成される。
そして、第2基板52の第1基板51に対向する面にAgC薄膜(図示略)をスパッタリング法により成膜する。そして、成膜されたAgC薄膜をフォトエッチングすることにより、図5(D)に示すように、可動ミラー57が形成される。
以上により、第2基板52が形成される。
次に、上述のように製造された第1基板51及び第2基板52を用いたエタロン5の製造について説明する。
図6は、エタロン5の製造工程を示す図であり、第1基板51及び第2基板52が接合される状態を示す図である。
図7は、各基板51,52に荷重を加える際に用いる加圧治具70の平面図である。
この接合工程では、例えば常温化活性化接合を用いる。すなわち、接合工程では、各基板51,52を真空チャンバーに入れ、真空状態下で、イオンビームの照射やプラズマ処理を実施することで、接合面513,524を活性化させる。そして、活性化された接合面513,524同士を重ね合わせて、第1基板51及び第2基板52を接合する(加圧接合工程)。ここで、第1基板51及び第2基板52に荷重を加える際、加圧治具70はスペーサー71を介して各基板51,52に取り付けられる。
加圧治具70は、図7に示すように、エタロン平面視円形状に形成されている。この加圧治具70は、図6に示すように、各基板51,52の対向する面とは反対側の面にそれぞれ取り付けられている。そして、この加圧治具70には、接着剤注入孔524A及び接着剤排出孔524Bに対応する位置に2箇所の治具側注入孔701及び4箇所の治具側排出孔702が形成されている。
スペーサー71は、加圧治具70と各基板51,52との間に取り付けられ、第1基板51のミラー固定部512及び第2基板52の可動部522を避ける位置に取り付けられている。スペーサー71により加圧治具70と各基板51,52との間にスペースが形成され、ミラー固定部512及び可動部522の各基板51,52の対向する面とは反対側の面は、加圧治具70に接触しない状態となる。例えば、スペーサー71を用いずに、第1基板51及び第2基板52に荷重を加えると、ミラー固定部512及び可動部522が歪むおそれがあり、歪んだ場合にはミラー56,57が互いに平行状態を維持できず、またはミラー56,57が互いに接触してしまうおそれがある。そこで、スペーサー71を用いることで、前記スペースを生じさせて、ミラー固定部512及び可動部522以外の位置に荷重を加えられるようになっている。
本実施形態のエタロン5によれば、第1基板51の接合面513に第1溝部514Aが形成され、第1溝部514Aと外部とに連通する接着剤注入孔524A及び接着剤排出孔524Bが第2基板52に形成されている。そして、各基板51,52の接合面513,524同士を接着する接着剤は、接着剤注入孔524Aに注入されて、第1溝部514Aに流入した後、接着剤排出孔524Bから排出された時点で接着剤の注入を終了する。これによれば、接合面513,524は、オプティカルコンタクトにより接合され、さらに、第1溝部514Aに接着剤が流入されるので、接合面513,524の接合強度より向上できる。これに伴って、接合面513,524のずれが防止されるので、一対のミラー56,57を平行に維持でき、所望波長を精度良く分光させることができる。
また、接着剤が接着剤注入孔524Aに注入された後、接着剤排出孔524Bから排出された時点で注入を終了するので、接着剤の注入量の管理を容易にでき、接合工程の煩雑化を防止できる。
ところで、接着剤注入孔524Aと接着剤排出孔524Bとの間の距離が長い場合、すなわち第1溝部514Aが長くなる場合には、接着剤流入孔524Aから注入される接着剤の注入量を多くする必要があり、また、注入時間が長くなるという問題がある。
そこで、第1溝部514Aを複数形成し、第1溝部514Aと第1溝部514Aとを第2溝部514Bで連通させることで、接着剤が注入される第1溝部514Aの距離を短くすることができ、接着剤の注入量を抑制しつつ、注入時間を短縮できる。さらに、第2溝部514Bにも接着剤が毛細管力により自己流動することで流入するため、接着剤の注入量を抑制しつつ、接合面513,524の接合強度を向上できる。この際、一方の接着剤注入孔524Aから注入された接着剤が2箇所の接着剤排出孔524Bから排出される時間(注入時間)と、他方の接着剤注入孔524Aから注入された接着剤が2箇所の接着剤排出孔524Bから排出される時間(注入時間)とを略同時にでき、接合工程の煩雑化を防止できる。
第2溝部514Bの深さ寸法を0.1μm以上、1.0μm以下に設定することで、接着剤に安価で接着強度の高いエポキシ樹脂を用いることができ、かつ接着剤が第2溝部514B内を毛細管力により良好に自己流動することができる。
さらに、一対のミラー56,57間の寸法を可変する可変手段である静電アクチュエーター54を備えるので、静電アクチュエーター54によりミラー56,57間の寸法を調整することで、分光させる光を可変させることができる。従って、所望波長を精度良く分光させることができる。
図8は、本発明の第2実施形態に係るエタロン5の概略構成を示す平面図である。図の説明にあたって、前記実施形態と同一構成要素については、同一符号を付し、その説明を省略する。
前記第1実施形態では、接着剤注入孔524Aは、溝部514の周方向において対向する位置に2箇所形成され、接着剤排出孔524Bは、基板中心点を中心に接着剤注入孔524Aから略90度ずれた位置に4箇所形成されていたが、本実施形態では、一対の接着剤注入孔524A及び接着剤排出孔524Bが溝部514の周方向に沿って等間隔に8組形成されている点で相違する。
溝部514の第1溝部514Aは、接着剤排出孔524Bと、当該接着剤排出孔524Bから45度ずれた位置に形成された接着剤注入孔524Aとの間に周方向に沿って、8箇所形成されている。
溝部514の第2溝部514Bは、一対の接着剤注入孔524Aと接着剤排出孔524Bとの間に周方向に沿って、8箇所形成されている。
本実施形態のエタロン5によれば、溝部514の周方向に沿って8組の接着剤注入孔524A及び接着剤排出孔524Bが形成されるので、2個の接着剤注入孔524A及び4個の接着剤排出孔524Bが形成される前記第1実施形態と比べて、接着剤注入孔524A及び接着剤排出孔524Bが多く形成される。これによれば、基板51,52の接合の際に、8個の接着剤注入孔524Aから接着剤が注入されるので、接着剤が第1溝部514Aに流入する速さを速めることができ、基板51,52の接合を速めることができる。
図9は、本発明の第3実施形態に係るエタロン5の概略構成を示す平面図である。図10は、エタロン5の一部の示す断面図であり、具体的には、接着剤注入孔524A及び接着剤排出孔524Bが第1基板51に形成されている部分を示す断面図である。図の説明にあたって、前記実施形態と同一構成要素については、同一符号を付し、その説明を省略する。
前記第1実施形態では、溝部514の周方向に沿って接着剤注入孔524A及び接着剤排出孔524Bが形成されていたが、本実施形態では、各電極541,542から各電極パッド541B,542Bに向かう第1、第2電極引出部541A,542Aに対向する基板51,52に接着剤注入孔524A及び接着剤排出孔524Bが形成されている点で相違する。
また、第1基板51及び第2基板52には、第1電極引出部541A及び第2電極引出部542Aに沿って引出部形成溝としての第1、第2引出部形成溝515,525が形成される。
各引出部形成溝515,525は、それぞれ屈曲形成されて、第1基板51側に2箇所、第2基板52側に2箇所形成される。すなわち、各電極引出部541A,542Aが形成される部分(各引出部形成溝515,525)が、基板51,52の接合部分となる。
第2基板52に形成される第2電極542と第2電極パッド542Bとを接続する第2電極引出部542Aは、図10に示すように、第2基板52の第1基板51と対向する引出固定面526に形成される。そして、第2電極引出部542Aは、図9に示すエタロン平面視において、第2電極パッド542Bに向けて複数方向に屈曲させることで距離を長くして形成される。
さらに、第1引出部形成溝515のうち電磁ギャップが形成される領域に最も近い位置には、接着剤排出孔524Bが形成される。この接着剤排出孔524Bが形成される位置の溝深さ寸法は、第1溝部515Aと同じ深さ寸法に形成されている。これにより、接着剤が接着剤排出孔524Bから排出される際、基板51,52間での毛細管力を弱めて、接着剤が自己流動により電磁ギャップ側、すなわち各電極541,542側に流入することを防止している。
本実施形態によれば、第1基板51及び第2基板52のいずれか一方には、第1電極引出部541A及び第2電極引出部542Aに沿って第1、第2引出部形成溝515,525が形成され、第1溝部515Aは、第1引出部形成溝515の一部である。これによれば、引出部形成溝515,525が第1、第2電極引出部541A,542Aの配設、及び接着剤の流入の両方を兼ねることができ、エタロン5を簡素な構造により構成できる。
また、各電極引出部541A,542Aの距離を長くすることで、各基板51,52に対する接着剤の塗布領域を大きくでき、接合強度を向上できる。
なお、本発明は前述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲での変形、改良等は本発明に含まれるものである。
前記第1、第2実施形態では、第1溝部514Aは第1基板51に形成されていたが、第2基板52に形成されていてもよく、また、第1、第2基板51,52の両方に形成されていてもよい。
前記第1、第2実施形態では、第2基板52に接着剤注入孔524A及び接着剤注入孔524Bが形成されていたが、第1基板51に形成されていてもよく、また、第1、第2基板51,52の両方に形成されていてもよい。
前記各実施形態では、第2溝部514Bの深さ寸法が第1溝部514Aの深さ寸法よりも小さく設定されていたが、第2溝部514Bの幅寸法を第1溝部514Aの幅寸法よりも小さく設定してもよく、また、深さ寸法及び幅寸法の両方を小さく設定してもよい。
また、前記第1実施形態では、接着剤排出孔524Bが4箇所に形成されていたが、基板中心点を中心に溝部514の周方向に沿って各接着剤注入孔524Aから略90度ずれ位置に2箇所形成してもよい。この場合でも2つの接着剤注入孔524Aから注入された接着剤が2つの接着剤排出孔524Bから排出される注入時間をそれぞれ略同時にでき、注入量も略同量にできる。
前記各実施形態では、可変手段として静電アクチュエーターが用いられたが、圧電素子を備え、逆圧電効果によって駆動する圧電アクチュエーターを用いてもよく、可変手段を用いない構成としてもよい。
前記各実施形態では、接着剤に熱硬化性のエポキシ樹脂を用いたが、光硬化性の接着剤を用いてもよい。この場合でも、光を照射することで接着剤を硬化させるので、接合工程を簡素化できる。
前記各実施形態では、接着剤注入孔524A及び接着剤排出孔524Bはエタロン5の厚み方向に沿って形成されていたが、平面方向に沿って形成してもよい。
Claims (12)
- 第1基板と、
前記第1基板の一方の面に対向配置され、前記第1基板に接合される第2基板と、
前記第1基板及び第2基板の互いに対向する面にそれぞれ設けられ、互いに対向配置される一対のミラーと、
前記第1基板及び第2基板の互いに対向する面にそれぞれ設けられ、オプティカルコンタクトにより互いに接合される接合面と、
前記第1基板及び第2基板の互いに対向する面のうち、少なくともいずれか一方の面に形成されて前記接合面同士を接着する接着剤が流入する第1溝部と、
前記第1基板及び第2基板のうち、少なくともいずれか一方の基板に形成されて前記第1溝部と外部とを連通させる接着剤注入孔及び接着剤排出孔と、
前記接着剤注入孔から前記第1溝部に流入され、前記第1基板及び第2基板を接着接合する前記接着剤とを備える
ことを特徴とする干渉フィルター。 - 請求項1に記載の干渉フィルターにおいて、
前記ミラーを厚み方向から見る平面視において、前記接着剤注入孔及び接着剤排出孔は、前記ミラーを取り囲むように形成される
ことを特徴とする干渉フィルター。 - 請求項1または請求項2に記載の干渉フィルターにおいて、
前記第1溝部は、複数設けられ、
互いに近接する前記第1溝部間を連通するとともに前記第1溝部より溝深さ寸法及び溝幅寸法の少なくともいずれか一方が小さい第2溝部を備え、
前記第1溝部に注入された前記接着剤は、毛細管力により前記第2溝部に流入する
ことを特徴とする干渉フィルター。 - 請求項3に記載の干渉フィルターにおいて、
前記第1溝部の深さ寸法は、50μm以上、100μm以下に設定される
ことを特徴とする干渉フィルター。 - 請求項3または請求項4に記載の干渉フィルターにおいて、
前記第2溝部の深さ寸法は、0.1μm以上、1.0μm以下に設定される
ことを特徴とする干渉フィルター。 - 請求項1から請求項5のいずれかに記載の干渉フィルターにおいて、
前記接着剤は、熱硬化型または光硬化型である
ことを特徴とする干渉フィルター。 - 請求項1から請求項6のいずれかに記載の干渉フィルターにおいて、
前記一対のミラーの間の寸法を可変する可変手段を備え、
前記可変手段は、静電アクチュエーターであり、
前記第1基板において前記第2基板に対向する面に設けられる第1電極と、
前記第2基板において前記第1基板に対向する面に設けられ、前記第1電極及び電磁ギャップを介して対向する第2電極と、
前記第1電極の外周縁の一部から前記第1基板の外周部にわたって形成される第1電極引出部と、
前記第2電極の外周縁の一部から前記第2基板の外周部にわたって形成される第2電極引出部とを備え、
前記第1基板及び第2基板の少なくともいずれか一方には、前記第1電極引出部及び第2電極引出部に沿って引出部形成溝が形成され、
前記第1溝部は、前記引出部形成溝の一部である
ことを特徴とする干渉フィルター。 - 請求項7に記載の干渉フィルターにおいて、
前記引出部形成溝のうち、前記電磁ギャップが形成される領域に最も近い位置には、前記接着剤排出孔が形成されている
ことを特徴とする干渉フィルター。 - 請求項7または請求項8に記載の干渉フィルターにおいて、
前記接着剤注入孔及び接着剤排出孔は、
前記第1電極引出部に沿って前記第1溝部が形成される前記第2基板に形成され、前記第2電極引出部に沿って前記第1溝部が形成される前記第1基板に形成される
ことを特徴とする干渉フィルター。 - 請求項1から請求項9のいずれかに記載の干渉フィルターと、
前記干渉フィルターを透過した検査対象光を受光する受光手段とを備える
ことを特徴とする測色センサー。 - 請求項10に記載の測色センサーと、
前記測色センサーの前記受光手段により受光された光に基づいて、測色処理を実施する測色処理部とを備える
ことを特徴とする測色モジュール。 - 請求項1から請求項9のいずれかに記載の干渉フィルターの製造方法であって、
前記第1基板及び前記第2基板をオプティカルコンタクトにより加圧接合する接合工程と、
前記接合工程の後に、前記接着剤を前記接着剤注入孔に注入し、前記第1溝部に流入させる接着剤注入工程とを備える
ことを特徴とする干渉フィルターの製造方法。
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