JP2008116669A - 光学デバイス、光学デバイスの製造方法、波長可変フィルタ、波長可変フィルタモジュール、および光スペクトラムアナライザ - Google Patents
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Abstract
【解決手段】本発明の光学デバイス1は、可動部21の第2の構造体3側の面上に設けられた第1の駆動電極28と、第2の構造体3上に第1の駆動電極28に対向するように設けられた第2の駆動電極33とを有し、第1の構造体2および第2の構造体3は、金属を主材料として構成された金属層4を介して接合され、かつ、金属層4を導体として第1の駆動電極28と第2の駆動電極33との間に電圧を印加することにより、これらの間に静電引力を生じさせて、可動部21を変位させるように構成されている。
【選択図】図2
Description
例えば、特許文献1にかかる波長可変フィルタは、板状をなしその厚さ方向に変位可能な可動部を備えた基板と、可動部の変位を許容するための凹部を備えた基板とが互いに接合されている。凹部の底面上と、これに対向する可動部の面上とには、それぞれ反射膜が形成されており、この1対の反射膜間に光が入射されると、干渉作用により、これらの間の距離に応じた波長の光のみが射出(波長分離)される。
しかしながら、特許文献1にかかる波長可変フィルタにあっては、可動部の本体に透明板を精度よく接合することが難しく、生産性に難があった。そのため、かかる波長可変フィルタは、低コスト化を図ることが難しい。
本発明の光学デバイスは、板状をなしその厚さ方向に変位可能に設けられた可動部を備えた第1の構造体と、
前記第1の構造体との間に前記可動部の前記変位を許容する空隙を形成しつつ前記第1の構造体に接合された第2の構造体と、
前記可動部の前記第2の構造体側の面上に設けられた第1の反射膜と、
前記第2の構造体上に前記第1の反射膜に対向するように設けられた第2の反射膜とを有し、
前記第1の反射膜と前記第2の反射膜との間で光反射を繰り返し干渉を生じさせて、前記第1の反射膜と前記第2の反射膜との間の距離に応じた波長の光を外部へ出射し得るように構成された光学デバイスであって、
前記可動部の前記第2の構造体側の面上に設けられた第1の駆動電極と、
前記第2の構造体上に前記第1の駆動電極に対向するように設けられた第2の駆動電極とを有し、
前記第1の構造体および前記第2の構造体は、金属を主材料として構成された金属層を介して接合され、かつ、前記金属層を導体として前記第1の駆動電極と前記第2の駆動電極との間に電圧を印加することにより、これらの間に静電引力を生じさせて、前記可動部を変位させるように構成されていることを特徴とする。
また、金属層を導体として第1の駆動電極と第2の駆動電極との間に電圧を印加することができるため、配線等のための構造を別途設ける必要が無く、この点でも、低コスト化を図ることができる。
これにより、可視光領域での使用を可能としつつ、可動部の寸法精度や機械的特性を向上させることができる。
本発明の光学デバイスでは、前記ガラスは、アルカリ金属イオンを含有していることが好ましい。
これにより、第1の構造体や第2の構造体と金属層との接合強度を向上させることができる。
これにより、第1の構造体および第2の構造体が高温下または低温下にさらされたときに、第1の構造体と第2の構造体との間に生じる応力を低減して、第1の構造体または第2の構造体の損傷を防止することができる。
これにより、第1の構造体と第2の構造体とを金属層を介して簡単かつ強固に接合することができる。
本発明の光学デバイスでは、前記第1の金属膜の構成材料は、前記第2の金属膜の構成材料と同種であることが好ましい。
これにより、第1の金属膜と第2の金属膜とを簡単かつ強固に接合することができる。
これにより、第1の金属膜と第1の駆動電極とを一体的に形成し、また、第2の金属膜と第2の駆動電極とを一体的に形成することができる。そのため、より低コスト化を図ることができる。
本発明の光学デバイスでは、前記金属層の構成材料は、前記第1の駆動電極および/または前記第2の駆動電極の構成材料と同種であることが好ましい。
これにより、金属層と第1の駆動電極や第2の駆動電極とを一体的に形成することができる。そのため、より低コスト化を図ることができる。
前記第1の構造体を形成するための第1の基板上に形成された金属膜を加工することにより第1の金属膜および前記第1の駆動電極を形成するとともに、前記第2の構造体を形成するための第2の基板上に形成された金属膜を加工することにより第2の金属膜および前記第2の駆動電極を形成する第1の工程と、
前記第1の金属膜と前記第2の金属膜とを接合することにより、前記金属層を形成する第2の工程とを有することを特徴とする。
これにより、可視光領域での波長分離を高精度に行うことができる光学デバイスを提供することができる。
これにより、第1の構造体と第2の構造体とを金属層を介して簡単かつ強固に接合することができる。
本発明の光学デバイスの製造方法では、前記第1の金属膜および前記第2の金属膜は、それぞれ、互いに構成材料の異なる複数層の金属層からなることが好ましい。
これにより、第1の金属膜および第2の金属膜のそれぞれに所望の特性を付与することができる。例えば、第1の金属膜の第1の基板側の金属層を第1の基板との密着性に優れた材料で構成するとともに、第1の金属膜の第2の金属膜との接合側の金属層を第2の金属膜との接合に適した材料(表面活性化接合に適した材料)で構成する。これと同様に、第2の金属膜の第2の基板側の金属層を第2の基板との密着性に優れた材料で構成するとともに、第2の金属膜の第1の金属膜との接合側の金属層を第1の金属膜との接合に適した材料(表面活性化接合に適した材料)で構成する。このように第1の金属膜および第2の金属膜を構成することにより、光学デバイスの機械的強度を向上させることができる。
これにより、製造工程を簡単化して、光学デバイスの低コスト化を図ることができる。
前記第1の構造体との間に前記可動部の前記変位を許容する空隙を形成しつつ前記第1の構造体に接合された第2の構造体と、
前記可動部の前記第2の構造体側の面上に設けられた第1の反射膜と、
前記第2の構造体上に前記第1の反射膜に対向するように設けられた第2の反射膜とを有し、
前記第1の反射膜と前記第2の反射膜との間で光反射を繰り返し干渉を生じさせて、前記第1の反射膜と前記第2の反射膜との間の距離に応じた波長の光を外部へ出射し得るように構成された波長可変フィルタであって、
前記可動部の前記第2の構造体側の面上に設けられた第1の駆動電極と、
前記第2の構造体上に前記第1の駆動電極に対向するように設けられた第2の駆動電極とを有し、
前記第1の構造体および前記第2の構造体は、金属を主材料として構成された金属層を介して接合され、かつ、前記金属層を導体として前記第1の駆動電極と前記第2の駆動電極との間に電圧を印加することにより、これらの間に静電引力を生じさせて、前記可動部を変位させるように構成されていることを特徴とする。
これにより、可視光領域での波長分離を高精度に行うことができる波長可変フィルタを提供することができる。
前記第1の構造体との間に前記可動部の前記変位を許容する空隙を形成しつつ前記第1の構造体に接合された第2の構造体と、
前記可動部の前記第2の構造体側の面上に設けられた第1の反射膜と、
前記第2の構造体上に前記第1の反射膜に対向するように設けられた第2の反射膜とを有し、
前記第1の反射膜と前記第2の反射膜との間で光反射を繰り返し干渉を生じさせて、前記第1の反射膜と前記第2の反射膜との間の距離に応じた波長の光を外部へ出射し得るように構成された波長可変フィルタモジュールであって、
前記可動部の前記第2の構造体側の面上に設けられた第1の駆動電極と、
前記第2の構造体上に前記第1の駆動電極に対向するように設けられた第2の駆動電極とを有し、
前記第1の構造体および前記第2の構造体は、金属を主材料として構成された金属層を介して接合され、かつ、前記金属層を導体として前記第1の駆動電極と前記第2の駆動電極との間に電圧を印加することにより、これらの間に静電引力を生じさせて、前記可動部を変位させるように構成されていることを特徴とする。
これにより、可視光領域での波長分離を高精度に行うことができる波長可変フィルタモジュールを提供することができる。
前記第1の構造体との間に前記可動部の前記変位を許容する空隙を形成しつつ前記第1の構造体に接合された第2の構造体と、
前記可動部の前記第2の構造体側の面上に設けられた第1の反射膜と、
前記第2の構造体上に前記第1の反射膜に対向するように設けられた第2の反射膜とを有し、
前記第1の反射膜と前記第2の反射膜との間で光反射を繰り返し干渉を生じさせて、前記第1の反射膜と前記第2の反射膜との間の距離に応じた波長の光を外部へ出射し得るように構成された光スペクトラムアナライザであって、
前記可動部の前記第2の構造体側の面上に設けられた第1の駆動電極と、
前記第2の構造体上に前記第1の駆動電極に対向するように設けられた第2の駆動電極とを有し、
前記第1の構造体および前記第2の構造体は、金属を主材料として構成された金属層を介して接合され、かつ、前記金属層を導体として前記第1の駆動電極と前記第2の駆動電極との間に電圧を印加することにより、これらの間に静電引力を生じさせて、前記可動部を変位させるように構成されていることを特徴とする。
これにより、可視光領域での波長分離を高精度に行うことができる光スペクトラムアナライザを提供することができる。
図1は、本発明の光学デバイス(波長可変フィルタ)の実施形態を示す平面図、図2は、図1におけるA−A線断面図、図3は、図1に示す光学デバイスに備えられた第2の構造体を説明するための図である。なお、以下の説明では、図1中および図3中の紙面手前側を「上」、紙面奥側を「下」、右側を「右」、左側を「左」と言い、図2中の上側を「上」、下側を「下」、右側を「右」、左側を「左」と言う。
このような光学デバイス1は、互いに接合された第1の構造体2および第2の構造体3を有し、これらの間に、光を干渉させるためのギャップ(第1のギャップG1)が形成されている。そして、このギャップに光Lが入射すると、干渉作用により、ギャップの大きさに応じた波長の光だけが射出する。
第1の構造体2は、光透過性を有している。そして、第1の構造体2は、第1のギャップG1を可変とするための可動部21と、支持部22と、可動部21を支持部22に対し上下方向(すなわち可動部21の厚さ方向)に変位可能とするようにこれらを連結する複数の連結部23とを有している。これらは、第1の構造体2に異形状の開口部24が形成されることにより、一体的に形成されている。可動部21と支持部22と連結部23とが一体的に形成されていると、第2の構造体3に対する可動部21の位置をより安定させることができる。
これらの中でも、第1の構造体2の構成材料としては、例えばナトリウム(Na)やカリウム(K)のようなアルカリ金属(可動イオン)を含有したガラスが好ましい。これにより、第1の構造体2と後述する金属層4との密着性や接合強度を向上させ、また、製造時に、これらを簡単かつ強固に接合することができる。
また、第1の構造体2がガラスを主材料として構成されていると、可視光領域での使用を可能としつつ、可動部21の寸法精度や機械的特性を向上させることができる。
可動部21の厚さ(平均)は、構成材料、用途等に応じて適宜選択され、特に限定されないが、1〜500μm程度であるのが好ましく、10〜100μm程度であるのがより好ましい。
また、可動部21には、第2の構造体3と対向する側の面(すなわち、可動部21の下面)上に、光を比較的高い反射率で反射させる第1の反射膜(HRコート)25が形成され、第2の構造体3と対向する側とは反対側の面(すなわち、可動部21の上面)上に、光の反射を抑制する第1の反射防止膜(ARコート)26が形成されている。
第1の反射防止膜26は、図2に示すように光学デバイス1の下方から第1のギャップG1に入射した光が第1の構造体2の上面と外気との界面で図中下方に反射されるのを防止するためのものである。
低屈折率層を構成する材料としては、第1の反射膜25や第1の反射防止膜26に必要な光学特性を得ることができるものであれば、特に限定されないが、例えば、MgF2、SiO2などが挙げられる。
第1の反射膜25および第1の反射防止膜26を構成する高屈折率層および低屈折率層の層数、厚さは、必要とする光学特性に応じて設定される。一般に、多層膜により反射膜を構成する場合、その光学特性を得るために必要な層数は12層以上であり、多層膜により反射防止膜を構成する場合、その光学特性に必要な層数は4層程度である。
第1の駆動電極28は、図示しない通電回路に接続されており、後述する第2の駆動電極33と第1の駆動電極28との間に電位差を生じさせることが可能となっている。この通電回路には、後述する検出回路(図示せず)の検出結果に基づき通電回路の駆動を制御するための制御手段(図示せず)が接続されている。
ここで、第1の駆動電極28は、後述する第1の金属膜41と同様の層構成となっている。したがって、第1の金属膜41が複数層の金属層で構成されている場合、各金属層は、前述した第1の駆動電極28の構成材料と同様の構成材料で構成され、各金属層の構成材料は、各層間で同じであっても、異なっていてもよい。
このような第1の駆動電極28の厚さ(平均)は、構成材料、用途等により適宜選択され、特に限定されないが、0.1〜5μm程度であるのが好ましい。
このような可動部21を囲むように支持部22が形成され、可動部21は、連結部23を介して支持部22に支持されている。
また、第1の構造体2には、前述した引出し電極281に外部からアクセスするための開口部29が設けられている。
このような第1の構造体2に対し、支持部22の下面で、第2の構造体3が接合されている。
これらの中でも、第2の構造体3の構成材料としては、例えばナトリウム(Na)やカリウム(K)のようなアルカリ金属(可動イオン)を含有したガラスが好ましい。これにより、第2の構造体3と後述する金属層4との密着性や接合強度を向上させ、また、製造時にこれらを簡単かつ強固に接合することができる。
特に、第1の構造体2の熱膨張係数と第2の構造体3の熱膨張係数との差は、できるだけ小さいほうが好ましく、具体的には、50×10−7℃−1以下であるのが好ましい。
これにより、第1の構造体2および第2の構造体3が高温下または低温下にさらされたときに、第1の構造体2と第2の構造体3との間に生じる応力を低減して、第1の構造体2または第2の構造体3の損傷を防止することができる。
また、第2の構造体3の厚さ(平均)は、構成材料、用途等により適宜選択され、特に限定されないが、10〜2000μm程度であるのが好ましく、100〜1000μm程度であるのがより好ましい。
第2の駆動電極33の構成材料としては、前述した第1の駆動電極28の構成材料と同様に、導電性を有しているものであれば、特に限定されず、例えば、Au、Cr、Al、Al合金、Ni、Zn、Tiなどの金属等が挙げられる。
ここで、第2の駆動電極33は、後述する第2の金属膜42(マスク層7)と同様の層構成となっている。したがって、第2の金属膜42が複数層の金属層で構成されている場合、各金属層は、前述した第2の駆動電極33の構成材料と同様の構成材料で構成され、各金属層の構成材料は、各層間で同じであっても、異なっていてもよい。
このような第1の凹部31内の空間内に、可動部21の駆動のための静電ギャップ(駆動ギャップ)として、第2のギャップG2が形成される。すなわち、第1の駆動電極28と第2の駆動電極33との間に、第2のギャップG2が形成される。
第2の凹部32は、その外形が円形をなし、前述した第1の凹部31とほぼ同心でかつ第1の凹部31および可動部21の外径よりも小さい外径を有している。また、第2の凹部32の底面(第2の構造体3の可動部21側の面)上には、ほぼ円形をなす第2の反射膜34が設けられている。
第1のギャップG1の大きさは、用途などに応じて適宜選択され、特に限定されないが、0.4〜100μm程度であるのが好ましい。
また、図3に示すように、第2の構造体3には、前述した第2の駆動電極33を外部に引き出すために、第3の凹部36と、第3の凹部36と第1の凹部31とを連通させる溝部35とが形成されている。
引出し電極331の構成材料としては、前述した第2の駆動電極33の構成材料と同様のものを用いることができ、導電性を有しているものであれば、特に限定されず、例えば、Au、Cr、Al、Al合金、Ni、Zn、Tiなどの金属等が挙げられる。
また、第2の構造体3の他方の面(すなわち、前述した第1の凹部31等が形成されている面とは反対側の面)上には、第2の反射防止膜37が形成されている(図2参照)。
前述したような第1の構造体2と第2の構造体3とは、金属層4を介して接合されている。
特に、第1の金属膜41の構成材料は、第2の金属膜42の構成材料と同種であるのが好ましい。これにより、第1の金属膜41と第2の金属膜42とを簡単かつ強固に接合することができる。
図示しない通電回路により第1の駆動電極28と第2の駆動電極33との間に電圧が印加されると、第1の駆動電極28と第2の駆動電極33とが互いに逆極性に帯電して、両者の間にクーロン力(静電引力)が発生する。このとき、図示しない検出回路が可動部21の変位状態を検出し、その検出結果に基づき、図示しない制御手段が通電回路の駆動を制御する。
一方、図2に示すように、光学デバイス1の下方から第1のギャップG1に向け光Lが照射されると、光Lは、第2の反射防止膜37、第2の構造体3、第2の反射膜34を透過して、第1のギャップG1に入射する。このとき、この光Lは、第2の反射防止膜37により、ほとんど損失せずに第1のギャップG1に入射する。
入射した光は、第1の反射膜25と第2の反射膜34との間において、反射を繰り返す(干渉する)。この際、第1の反射膜25および第2の反射膜34により、光Lの損失を抑えることができる。
なお、本実施形態では、第1のギャップG1に入射した光を光学デバイス1の上方へ出射したが、第1のギャップG1に入射した光を光学デバイス1の下方へ出射してもよい。
また、本実施形態では、光学デバイス1に対し、その下方から光を入射したが、上方から光を入射してもよい。
したがって、後述するように、第1の構造体2および第2の構造体3をそれぞれガラスなどの透明材料で構成しつつ、これらを簡単かつ強固に接合することができる。そのため、低コスト化を図りつつ、可視光領域での波長分離を高精度に行うことができる。
また、金属層4を導体として第1の駆動電極28と第2の駆動電極33との間に電圧を印加することができるため、配線等のための構造を別途設ける必要が無く、この点でも、低コスト化を図ることができる。
次に、光学デバイス1の製造方法の一例を図4ないし図8に基づいて説明する。
図4〜図8は、光学デバイス1の製造工程を説明するための図である。なお、図4〜図8は、図1のA−A線断面に対応する断面を示している。
本実施形態の光学デバイス1の製造方法は、[A]第2の構造体3を形成するための第2の基板上に金属膜を形成し、該金属膜を加工する加工することにより第2の金属膜42および第2の駆動電極33を形成する工程と、[B]第1の構造体2を形成するための第1の基板上に金属膜を形成し、該金属膜を加工することにより第1の金属膜41および第1の駆動電極28を形成する工程(第1の工程)と、[C]第1の金属膜41と第2の金属膜42とを接合することにより、金属層4を形成する工程(第2の工程)とを有する。以下、各工程について順次説明する。
−A1−
まず、第2の構造体3を形成するための基板として、図4(a)に示すように、光透過性を有する第2の基板5を用意する。
第2の基板5としては、厚さが均一で、たわみや傷のないものが好適に用いられる。第2の基板5の構成材料としては、第2の構造体3の説明で述べたものを用いることができる。前述したように、第2の基板5の構成材料としては、例えばナトリウム(Na)やカリウム(K)のようなアルカリ金属(可動イオン)を含有したガラスを用いるのが好ましい。
次に、図4(b)に示すように、第2の基板5の一方の面上にマスク層6を形成(マスキング)する。
マスク層6を構成する材料としては、例えば、Au/Cr、Au/Ti、Pt/Cr、Pt/Tiなどの金属、多結晶シリコン(ポリシリコン)、アモルファスシリコン等のシリコン、窒化シリコン等が挙げられる。マスク層6の構成材料にシリコンを用いると、マスク層6と第2の基板5との密着性が向上する。マスク層6の構成材料に金属を用いると、形成されるマスク層6の視認性が向上する。
マスク層6は、例えば、化学気相成膜法(CVD法)、スパッタリング法、蒸着法等の気相成膜法、メッキ法等により形成することができる。
次に、図4(c)に示すように、マスク層6に、第1の凹部31と溝部35と第3の凹部36との平面視形状に対応した平面視形状をなす開口61を形成する。
より具体的には、まず、例えばフォトリソグラフィ法を用い、マスク層6上に、フォトレジストを塗布し、露光、現像を行って、開口61に対応する開口を有するレジストマスクを形成する。次に、このレジストマスクを介してマスク層6をエッチングして、マスク層6の一部を除去した後、レジストマスクを除去する。このようにして、マスク層6に開口61が形成される。このエッチングとしては、例えば、CFガス、塩素系ガス等によるドライエッチング、フッ酸+硝酸水溶液、アルカリ水溶液等によるウェットエッチングを用いることができる。
次に、マスク層6を介して第2の基板5の一方の面をエッチングした後、マスク層6を除去して、図4(d)に示すように、第1の凹部31と溝部35と第3の凹部36とを形成する。
このエッチングとしては、ドライエッチング法、ウェットエッチング法を用いることができるが、ウェットエッチング法を用いるのが好ましい。これにより、形成される第1の凹部31をより理想的な円柱状とすることができる。この場合、ウェットエッチングのエッチング液としては、例えばフッ酸系エッチング液などが好適に用いられる。また、エッチング液にグリセリン等のアルコール(特に多価アルコール)を添加すると、形成される第1の凹部31の底面を極めて滑らかなものとすることができる。
特に、マスク層6の除去方法としてウェットエッチングを用いると、簡易な操作で、効率よく、マスク層6を除去することができる。
次に、前述した工程A2およびA3と同様の方法を用いて、図5(a)に示すように、第2の凹部32の平面視形状に対応した平面視形状の開口を有するマスク層7を形成する。
このマスク層7は、金属を主材料として構成されており、後述する工程A6においてエッチングマスクとして用いた後に、工程A7にて加工されて、第2の駆動電極33および第2の金属膜42となるものである。したがって、マスク層7は、それぞれ、互いに構成材料の異なる複数層の金属層からなるのが好ましい。これにより、第2の金属膜42のそれぞれに所望の特性を付与することができる。例えば、第2の金属膜42の第2の基板5側の金属層を第2の基板5との密着性に優れた材料で構成するとともに、第2の金属膜42の第1の金属膜41との接合側の金属層を第1の金属膜41との接合に適した材料(表面活性化接合に適した材料)で構成する。このように第2の金属膜42を構成することにより、光学デバイス1の機械的強度を向上させることができる。
−A6−
次に、前述した工程A4と同様の方法を用いて、マスク層7を介して第2の基板5をエッチングして、図5(b)に示すように、第2の凹部32を形成する。
次に、図5(c)に示すように、フォトリソ・エッチングによりマスク層7の不要部分を除去して、第2の駆動電極33と引出し電極331と第2の金属膜42とを形成する。また、第2の駆動電極33上には、絶縁膜(図示せず)を形成する。
マスク層7の不要部分を除去する方法としては、前述した工程A3と同様の方法を用いることができる。
次に、図5(d)に示すように、第2の凹部32の底面上に、第2の反射膜34を形成する。
より具体的には、第2の凹部32の底面上に、前述したような高屈折率層と低屈折層とを交互に積層することにより、第2の反射膜34を形成する。
高屈折率層および低屈折率層の形成方法としては、例えば、化学的気相成長法(CVD)、物理的化学気相成長法(PVD)が好適に用いられる。
−B1−
一方、図6(a)に示すように、第1の構造体2を形成するための基板として、光透過性を有する第1の基板9を用意する。
第1の基板9としては、厚さが均一で、たわみや傷のないものが好適に用いられる。第1の基板9の構成材料としては、第1の構造体2の説明で述べたものを用いることができる。前述したように、第1の基板9の構成材料としては、例えばナトリウム(Na)やカリウム(K)のようなアルカリ金属(可動イオン)を含有したガラスを用いるのが好ましい。
次に、図6(b)に示すように、第1の基板9の一方の面上に、第1の反射膜25と第1の駆動電極28と第1の金属膜41とを形成する。
第1の反射膜25の形成方法としては、前述した第2の反射膜34の形成方法と同様のものを用いることができる。
第1の駆動電極28および第1の金属膜41の形成方法としては、前述した第2の駆動電極33および第2の金属膜42の形成方法と同様のものを用いることができる。
−C1−
次に、図6(c)に示すように、第1の基板9上に形成された第1の金属膜41と、第2の構造体3(第2の基板5)上に形成された第2の金属膜42とを接合して、金属層4を形成する。
第1の金属膜41と第2の金属膜42との接合方法としては、特に限定されないが、これらを金属接合させるものが好ましく、特に、表面活性化接合法が好ましい。
より具体的には、まず、例えば、第1の金属膜41が形成された第1の基板9と、第2の金属膜42が形成された第2の基板5(第2の構造体3)とをともに真空チャンバーに入れる。そして、真空中(減圧下)で、第1の金属膜41の第1の基板9とは反対側の面(接合面となる面)と、第2の金属膜42の第2の基板5とは反対側の面(接合面となる面)とのそれぞれに対し、イオンビームやプラズマなどによりスパッタを行う。このとき、第1の金属膜41および第2の金属膜42のそれぞれの接合面となる面は、接合の妨げとなるような汚染物等が除去され、結合手をもった原子が露出するような状態となる。このような状態の面同士を常温で接触(圧接)させることで、第1の金属膜41と第2の金属膜42とを簡単かつ強固に接合することができる。
また、接合に際し、加熱時間や冷却時間が不要であるため、光学デバイス1の製造に要する時間を短縮することができる。その結果、この点でも。光学デバイス1の低コスト化を図ることができる。
次に、図7(a)に示すように、エッチングや研磨を行って第1の基板9を薄肉化する。
−C3−
次に、図7(b)に示すように、前述した工程A2と同様の方法を用いて、第1の基板9の第2の構造体3とは反対側の面上に、マスク層10を形成する。
次に、図7(c)に示すように、前述した工程A3と同様の方法を用いて、マスク層10に開口部24および開口部29に対応する形状の開口を形成する。
−C5−
次に、ドライエッチング法などを用いて、前述したような開口を有するマスク層10を介して第1の基板9をエッチングして、図8(a)に示すように、第1の構造体2を形成する。
次に、図8(b)に示すように、第1の構造体2の第2の構造体3とは反対側の面上に、第1の反射膜防止膜26を形成し、また、第2の構造体3の第1の構造体2とは反対側の面上に、第2の反射防止膜37と形成する。これにより、光学デバイス1を得る。
第1の反射防止膜26および第2の反射防止膜37の形成方法としては、それぞれ、前述した第2の反射膜34の形成方法と同様のものを用いることができる。
これにより、第1の構造体2および第2の構造体3をそれぞれガラスなどの透明材料で構成しつつ、これらを簡単かつ強固に接合することができる。そのため、低コスト化を図りつつ、可視光領域での波長分離を高精度に行うことができる。
また、金属層4を導体として第1の駆動電極28と第2の駆動電極33との間に電圧を印加することができるため、配線等のための構造を別途設ける必要が無く、この点でも、低コスト化を図ることができる。
図9は、本発明の波長可変フィルタモジュールの実施形態を示す図、図10は、本発明の光スペクトラムアナライザの実施形態を示す図である。
図9に示す波長可変フィルタモジュール100は、例えば波長分割多重(WDM)光伝送方式のような光ネットワークの光伝送経路に設置されるものである。このような波長可変フィルタモジュール100は、前述した波長可変フィルタである光学デバイス1と、この光学デバイス1に光を導く光ファイバ101およびレンズ102と、光学デバイス1から射出された光を外部へ導くレンズ103および光ファイバ104とを備えている。
このような波長可変フィルタモジュール100は、低コスト化を図りつつ、可視光領域での波長分離を高精度に行うことができる。
このような光スペクトラムアナライザ200は、低コスト化を図りつつ、可視光領域での波長分離を高精度に行うことができる。
また、前述した光学デバイス1を用いることで、波長可変光源や波長可変レーザを実現することができる。
Claims (15)
- 板状をなしその厚さ方向に変位可能に設けられた可動部を備えた第1の構造体と、
前記第1の構造体との間に前記可動部の前記変位を許容する空隙を形成しつつ前記第1の構造体に接合された第2の構造体と、
前記可動部の前記第2の構造体側の面上に設けられた第1の反射膜と、
前記第2の構造体上に前記第1の反射膜に対向するように設けられた第2の反射膜とを有し、
前記第1の反射膜と前記第2の反射膜との間で光反射を繰り返し干渉を生じさせて、前記第1の反射膜と前記第2の反射膜との間の距離に応じた波長の光を外部へ出射し得るように構成された光学デバイスであって、
前記可動部の前記第2の構造体側の面上に設けられた第1の駆動電極と、
前記第2の構造体上に前記第1の駆動電極に対向するように設けられた第2の駆動電極とを有し、
前記第1の構造体および前記第2の構造体は、金属を主材料として構成された金属層を介して接合され、かつ、前記金属層を導体として前記第1の駆動電極と前記第2の駆動電極との間に電圧を印加することにより、これらの間に静電引力を生じさせて、前記可動部を変位させるように構成されていることを特徴とする光学デバイス。 - 前記第1の構造体および前記第2の構造体は、それぞれ、ガラスを主材料として構成されている請求項1に記載の光学デバイス。
- 前記ガラスは、アルカリ金属イオンを含有している請求項2に記載の光学デバイス。
- 前記第1の構造体の構成材料は、前記第2の構造体の構成材料と同種である請求項1ないし3のいずれかに記載の光学デバイス。
- 前記金属層は、前記第1の構造体に接合された第1の金属膜と、前記第2の構造体に接合された第2の金属膜とが互いに表面活性化接合により接合されてなるものである請求項1ないし4のいずれかに記載の光学デバイス。
- 前記第1の金属膜の構成材料は、前記第2の金属膜の構成材料と同種である請求項5に記載の光学デバイス。
- 前記第1の金属膜の構成材料が前記第1の駆動電極と同種であり、前記第2の金属膜の構成材料が前記第2の駆動電極と同種である請求項5または6に記載の光学デバイス。
- 前記金属層の構成材料は、前記第1の駆動電極および/または前記第2の駆動電極の構成材料と同種である請求項1ないし7のいずれかに記載の光学デバイス。
- 請求項1ないし8のいずれかに記載の光学デバイスを製造する方法であって、
前記第1の構造体を形成するための第1の基板上に形成された金属膜を加工することにより第1の金属膜および前記第1の駆動電極を形成するとともに、前記第2の構造体を形成するための第2の基板上に形成された金属膜を加工することにより第2の金属膜および前記第2の駆動電極を形成する第1の工程と、
前記第1の金属膜と前記第2の金属膜とを接合することにより、前記金属層を形成する第2の工程とを有することを特徴とする光学デバイスの製造方法。 - 前記第1の金属膜と前記第2の金属膜との接合は、表面活性化接合により行う請求項9に記載の光学デバイスの製造方法。
- 前記第1の金属膜および前記第2の金属膜は、それぞれ、互いに構成材料の異なる複数層の金属層からなる請求項9または10に記載の光学デバイスの製造方法。
- 前記第1の工程では、前記第2の基板上に形成された前記金属膜を加工して、金属で構成されたマスクを形成する工程と、該マスクを介して前記第2の基板をエッチングすることにより前記第2の構造体を得る工程と、前記マスクを加工して、前記第2の金属膜および前記第2の駆動電極を形成する工程とを有する請求項9ないし11のいずれかに記載の光学デバイスの製造方法。
- 板状をなしその厚さ方向に変位可能に設けられた可動部を備えた第1の構造体と、
前記第1の構造体との間に前記可動部の前記変位を許容する空隙を形成しつつ前記第1の構造体に接合された第2の構造体と、
前記可動部の前記第2の構造体側の面上に設けられた第1の反射膜と、
前記第2の構造体上に前記第1の反射膜に対向するように設けられた第2の反射膜とを有し、
前記第1の反射膜と前記第2の反射膜との間で光反射を繰り返し干渉を生じさせて、前記第1の反射膜と前記第2の反射膜との間の距離に応じた波長の光を外部へ出射し得るように構成された波長可変フィルタであって、
前記可動部の前記第2の構造体側の面上に設けられた第1の駆動電極と、
前記第2の構造体上に前記第1の駆動電極に対向するように設けられた第2の駆動電極とを有し、
前記第1の構造体および前記第2の構造体は、金属を主材料として構成された金属層を介して接合され、かつ、前記金属層を導体として前記第1の駆動電極と前記第2の駆動電極との間に電圧を印加することにより、これらの間に静電引力を生じさせて、前記可動部を変位させるように構成されていることを特徴とする波長可変フィルタ。 - 板状をなしその厚さ方向に変位可能に設けられた可動部を備えた第1の構造体と、
前記第1の構造体との間に前記可動部の前記変位を許容する空隙を形成しつつ前記第1の構造体に接合された第2の構造体と、
前記可動部の前記第2の構造体側の面上に設けられた第1の反射膜と、
前記第2の構造体上に前記第1の反射膜に対向するように設けられた第2の反射膜とを有し、
前記第1の反射膜と前記第2の反射膜との間で光反射を繰り返し干渉を生じさせて、前記第1の反射膜と前記第2の反射膜との間の距離に応じた波長の光を外部へ出射し得るように構成された波長可変フィルタモジュールであって、
前記可動部の前記第2の構造体側の面上に設けられた第1の駆動電極と、
前記第2の構造体上に前記第1の駆動電極に対向するように設けられた第2の駆動電極とを有し、
前記第1の構造体および前記第2の構造体は、金属を主材料として構成された金属層を介して接合され、かつ、前記金属層を導体として前記第1の駆動電極と前記第2の駆動電極との間に電圧を印加することにより、これらの間に静電引力を生じさせて、前記可動部を変位させるように構成されていることを特徴とする波長可変フィルタモジュール。 - 板状をなしその厚さ方向に変位可能に設けられた可動部を備えた第1の構造体と、
前記第1の構造体との間に前記可動部の前記変位を許容する空隙を形成しつつ前記第1の構造体に接合された第2の構造体と、
前記可動部の前記第2の構造体側の面上に設けられた第1の反射膜と、
前記第2の構造体上に前記第1の反射膜に対向するように設けられた第2の反射膜とを有し、
前記第1の反射膜と前記第2の反射膜との間で光反射を繰り返し干渉を生じさせて、前記第1の反射膜と前記第2の反射膜との間の距離に応じた波長の光を外部へ出射し得るように構成された光スペクトラムアナライザであって、
前記可動部の前記第2の構造体側の面上に設けられた第1の駆動電極と、
前記第2の構造体上に前記第1の駆動電極に対向するように設けられた第2の駆動電極とを有し、
前記第1の構造体および前記第2の構造体は、金属を主材料として構成された金属層を介して接合され、かつ、前記金属層を導体として前記第1の駆動電極と前記第2の駆動電極との間に電圧を印加することにより、これらの間に静電引力を生じさせて、前記可動部を変位させるように構成されていることを特徴とする光スペクトラムアナライザ。
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