JP5817133B2 - 波長可変干渉フィルター、光モジュール、光分析装置、及び波長可変干渉フィルターの製造方法 - Google Patents
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Description
本発明では、第1基板および第2基板の互いに対向する面のうち、少なくともいずれか一方の面に引出部形成溝が形成され、引出部形成溝と外部とを連通する貫通孔が、第1基板または第2基板に形成されている。そして、導電性ペーストなどの導電性部材は、この貫通孔から注入されて引出部形成溝に流入し、第2電極引出部と第3電極引出部とを導通させる。このような構成によれば、第1電極に接続された第1電極引出部と、導電性部材および第2電極引出部を介して第2電極に接続された第3電極引出部とが、ともに第1基板に設けられる。このため、波長可変干渉フィルターを、測色センサー等の光モジュールに組み込む際は、第1基板に形成された第1および第3電極引出部に対して配線作業を実施するだけでよく、作業効率を向上させることができる。
本発明では、第2電極引出部および第3電極引出部の対向位置の側方には、配線の際に貫通孔から注入された導電性ペーストなどの導電性部材が保持される凹溝が設けられているため、導電性部材が凹溝に溜まり、必要以上に引出部形成溝内に流入することを防止できる。このため、導電性部材が第2電極側に流れることを防止でき、配線信頼性を確保することができる。
ここで、導電性部材の配置方法としては、例えば、第1基板または第2基板に、引出部形成溝と外部とを連通する貫通孔を形成しておき、貫通孔から引出部形成溝に導電性部材を注入する。
この場合、基板の接合工程の後に、導電性部材を貫通孔に注入して引出部形成溝に流入させるため、基板接合後に第2電極引出部と第3電極引出部と接続することができる。このため、基板の接合方法の自由度を高めることができ、接合品質を考慮して基板に合った接合方法を選択できる。
以下、本発明に係る光分析装置として測色装置を例にとり、図面に基づいて説明する。
[1.測色装置の概略構成]
図1は、本発明に係る第1実施形態の測色装置1の概略構成を示す図である。
測色装置1は、図1に示すように、検査対象Aに光を射出する光源装置2と、本発明の光モジュールとしての測色センサー3と、測色装置1の全体動作を制御する制御装置4とを備えている。そして、この測色装置1は、光源装置2から射出される光を検査対象Aにて反射させ、反射された検査対象光を測色センサーにて受光し、測色センサー3から出力される検出信号に基づいて、検査対象光の色度、すなわち検査対象Aの色を分析して測定する装置である。
光源装置2は、光源21、複数のレンズ22(図1には1つのみ記載)を備え、検査対象Aに対して白色光を射出する。また、複数のレンズ22には、コリメーターレンズが含まれており、光源装置2は、光源21から射出された白色光をコリメーターレンズにより平行光とし、図示しない投射レンズから検査対象Aに向かって射出する。
測色センサー3は、図1に示すように、本発明の干渉フィルターを構成するエタロン5と、エタロン5を透過する光を受光する受光手段としての受光素子31と、エタロン5で透過させる光の波長を可変する電圧制御手段6とを備えている。また、測色センサー3は、エタロン5に対向する位置に、検査対象Aで反射された反射光(検査対象光)を、内部に導光する図示しない入射光学レンズを備えている。そして、この測色センサー3は、エタロン5により、入射光学レンズから入射した検査対象光のうち、所定波長の光を分光し、分光した光を受光素子31にて受光する。
受光素子31は、複数の光電交換素子により構成されており、受光量に応じた電気信号を生成する。そして、受光素子31は、制御装置4に接続されており、生成した電気信号を受光信号として制御装置4に出力する。
図2は、エタロン5の概略構成を示す平面図であり、図3は、エタロン5の概略構成を示す断面図である。なお、図3では、検査対象光が図中下側から入射するものとする。
エタロン5は、図2に示すように、平面正方形状の板状の光学部材であり、一辺が例えば10mmに形成されている。このエタロン5は、図3に示すように、第1基板51、および第2基板52を備えている。これらの2枚の基板51,52は、それぞれ例えば、ソーダガラス、結晶性ガラス、石英ガラス、鉛ガラス、カリウムガラス、ホウケイ酸ガラス、無アルカリガラスなどの各種ガラスや、水晶などにより形成されている。これらの中でも、各基板51,52の構成材料としては、例えばナトリウム(Na)やカリウム(K)などのアルカリ金属を含有したガラスが好ましく、このようなガラスにより各基板51,52を形成することで、後述するミラー56,57や、各電極の密着性や、基板同士の接合強度を向上させることが可能となる。そして、これらの2つの基板51,52は、図3に示すように、外周部近傍に形成される接合面517,525が、例えば常温活性化接合など、加圧接合されることにより、一体的に構成されている。
さらに、第1基板51と第2基板52との間には、固定ミラー56および可動ミラー57の間のミラー間ギャップGの寸法を調整するための第1静電アクチュエーター55Aおよび第2静電アクチュエーター55Bが設けられている。
第1基板51は、図2に示すようなエタロン5を厚み方向から見た平面視(以降、エタロン平面視と称す)において、第2基板52よりも左右の幅寸法が大きく、かつ厚みが例えば1mmに形成されるガラス基材をエッチングにより加工することで形成される。具体的には、図3に示すように、第1基板51には、エッチングにより電極形成溝511と、電極パッド形成部512と、ミラー固定部513とが形成される。
さらに、図4に示すエタロン平面視において、第2引出部形成溝515の第2区間の側方には、第2引出部形成溝515と連続して凹溝516が形成されている。つまり、凹溝516は、エタロン平面視において、第2引出部形成溝515の屈曲位置から電極パッド形成部512側の区間の中間位置であって、第2電極引出部542Lと第3電極引出部543Lとが対向する位置の側方に設けられている。
なお、本実施形態では、固定ミラー56として、エタロン5で分光可能な波長域として可視光全域をカバーできるAg合金膜のミラーを用いる例を示すが、これに限定されず、例えば、エタロン5で分光可能な波長域が狭いが、Ag合金膜ミラーよりも、分光された光の透過率が大きく、透過率の半値幅も狭く分解能が良好な、例えばTiO2−SiO2系誘電体多層膜ミラーを用いる構成としてもよい。ただし、この場合、上述したように、第1基板51のミラー固定面513Aや電極固定面511Aの高さ位置を、固定ミラー56や可動ミラー57、分光させる光の波長選択域などにより、適宜設定する必要がある。
第2基板52は、厚みが例えば500μmに形成されるガラス基材をエッチングにより加工することで形成される。
具体的には、第2基板52には、図2に示すように、エタロン平面視において、基板中心点を中心とした円形の変位部521が形成される。この変位部521は、図3に示すように、円柱状の可動部522と、可動部522と同軸であり可動部522を保持する連結保持部523とを備えている。
このペースト注入孔524は、図2に示すエタロン平面視において、2箇所に形成され、第1基板51に形成された凹溝516の直上に形成される。これにより、外部と第2引出部形成溝515とが、ペースト注入孔524および凹溝516を介して連通されるため、ペースト注入孔524から注入された導電性ペーストは、凹溝516を通り第2引出部形成溝515に流入することになる。そして、第2引出部形成溝515に流入した導電性ペーストにより、第3電極引出部543Lと第2電極引出部542Lとが接続される。
ここで、この可動ミラー57は、上述した固定ミラー56と同一の構成のミラーが用いられ、本実施形態では、Ag合金膜ミラーが用いられる。また、Ag合金膜ミラーの膜厚寸法は、例えば0.03μmに形成されている。
また、外側第2電極542の外周縁の一部からは、一対の第2電極引出部542Lが互いに反対方向に延出して形成されている。より具体的には、第2電極引出部542Lは、図5に示すエタロン平面視において、上下方向に向かって延出し、第2基板52の平面中心に対して点対称に形成されている。
電圧制御手段6は、上記エタロン5とともに、本発明の波長可変干渉フィルターを構成する。この電圧制御手段6は、制御装置4からの入力される制御信号に基づいて、各静電アクチュエーター55A,55Bの第1電極541および第2電極542に印加する電圧を制御する。
制御装置4は、測色装置1の全体動作を制御する。
この制御装置4としては、例えば汎用パーソナルコンピューターや、携帯情報端末、その他、測色専用コンピューターなどを用いることができる。
そして、制御装置4は、図1に示すように、光源制御部41、測色センサー制御部42、および分析処理部としての測色処理部43などを備えて構成されている。
測色センサー制御部42は、測色センサー3に接続されている。そして、測色センサー制御部42は、例えば利用者の設定入力に基づいて、測色センサー3にて受光させる光の波長を設定し、この波長の光の受光量を検出する旨の制御信号を測色センサー3に出力する。これにより、測色センサー3の電圧制御手段6は、制御信号に基づいて、利用者が所望する光の波長を透過させるよう、各静電アクチュエーター55A,55Bへの印加電圧を設定する。
測色処理部43は、測色センサー制御部42を制御して、エタロン5のミラー間ギャップを変動させて、エタロン5を透過する光の波長を変化させる。また、測色処理部43は、受光素子31から入力される受光信号に基づいて、エタロン5を透過した光の光量を取得する。そして、測色処理部43は、上記により得られた各波長の光の受光量に基づいて、検査対象Aにより反射された光の色度を算出する。
次に、エタロン5の製造方法について、図面に基づいて説明する。
先ず、上述した各基板51,52を形成する。ここで、第1基板51には、エッチングなどの方法により、図2に示すエタロン平面視において、第2引出部形成溝515の側部に凹溝516を形成する。また、第1基板51の第2引出部形成溝515内には、第2電極パッド542Pから延出された第3電極引出部543Lを形成する。第2基板52には、ペースト注入孔524をレーザー加工等により予め形成しておく。
また、余分な導電性ペースト60は凹溝516内に溜まるため、導電性ペースト60が必要以上に第2引出部形成溝515内に流入しない。
さらに、凹溝516は、図2に示すように、第2引出部形成溝515の屈曲位置から電極パッド形成部512側の区間に設けられている。ここで、導電性ペースト60は粘性が高いため、導電性ペースト60が、第2引出部形成溝515内の屈曲位置を通過しようとする際には、導電性ペースト60に大きな抵抗が作用する。このため、凹溝516から第2引出部形成溝515内に流入した導電性ペースト60が、第2引出部形成溝515の屈曲位置を超えて第2電極54側に流れ込まないようになっている。
すなわち、本実施形態のエタロン5によれば、第2電極54に接続された第2電極引出部542Lと、この第2電極引出部542Lに対向する第3電極引出部543Lとが、第2引出部形成溝515に形成されている。また、第2基板52には、第2引出部形成溝515と外部とを連通するペースト注入孔524が形成され、導電性ペースト60は、このペースト注入孔524から注入されて、第2電極引出部542Lと第3電極引出部543Lとの間に流入して両者間を導通させる。このような構成によれば、第1電極53に接続された各第1電極引出部531L,532Lと、導電性ペースト60および第2電極引出部542Lを介して第2電極54に接続された第3電極引出部543Lとが、ともに第1基板51に設けられる。このため、エタロン5を測色センサー3に組み込む際でも、それぞれ第1基板51に形成された各第1電極引出部531L,532Lおよび第3電極引出部543Lに対して配線作業を実施するだけでよく、作業効率を向上させることができる。
さらに、本実施形態の測色センサー3および測色装置1によれば、上述したエタロン5を備えるため、エタロン5に配線作業を実施する際の作業効率を向上させることができる。
図7は、本発明の第2実施形態に係るエタロン5の概略構成を示す平面図である。図の説明にあたって、前記実施形態と同一構成要素については、同一符号を付し、その説明を省略する。
前記第1実施形態では、第1基板51の左右の側縁部に電極パッド形成部512が設けられ、この電極パッド形成部512に、各電極引出部531L,532L,543Lに対して複数の電極パッド531P,532P,542Pが設けられていた。
これに対し、本実施形態では、各電極引出部531L,532L,543Lに対して電極パッド531P,532P,542Pが1つずつ設けられている。
すなわち、本実施形態によれば、各電極引出部531L,532L,543Lに対して電極パッド531P,532P,542Pを1つずつ設ければよいため、第1基板51の構成を簡素化でき、このような第1基板51を用いるエタロン5の製造工程を簡略化することができる。
図8は、本発明の第3実施形態に係るエタロン5の概略構成を示す平面図である。図の説明にあたって、前記実施形態と同一構成要素については、同一符号を付し、その説明を省略する。
前記第1実施形態では、エタロン平面視において、第2引出部形成溝515の側方に凹溝516が形成され、この凹溝516を介してペースト注入孔524が第2引出部形成溝515に接続されていた。
これに対し、本実施形態では、凹溝516が形成されておらず、ペースト注入孔524が第2引出部形成溝515に直接接続されている。
すなわち、本実施形態によれば、第1基板51に凹溝516を形成しないため、接合面517の面積を広く取ることができる。このため、基板51,52同士の接合強度を向上できる。また、第1基板51に凹溝516を形成しないため、第1基板51の構成を簡素化でき、このような第1基板51を用いるエタロン5の製造工程を簡略化することができる。
なお、本発明は前述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲での変形、改良等は本発明に含まれるものである。
前記第1、第2実施形態では、第1引出部形成溝514、第2引出部形成溝515、および凹溝516は第1基板51に形成されていたが、第2基板52に形成されていてもよく、また、第1、第2基板51,52の両方に形成されていてもよい。
前記第1、第2実施形態では、第2基板52にペースト注入孔524が形成されていたが、第1基板51に形成されていてもよく、また、第1、第2基板51,52の両方に形成されていてもよい。
前記各実施形態では、ペースト注入孔524はエタロン5の厚み方向に沿って形成されていたが、平面方向に沿って形成してもよい。
Claims (8)
- 第1基板と、
前記第1基板と対向する第2基板と、
前記第1基板および前記第2基板の互いに対向する面に設けられ、それぞれ互いに対向配置される一対のミラーと、
前記第1基板の前記第2基板に対向する面に設けられた第1電極と、
前記第2基板の前記第1基板に対向する面に設けられ、前記第1電極に対向する第2電極と、
前記第1基板の前記第2基板に対向する面に設けられ、前記第1電極から延出する第1電極引出部と、
前記第2基板の前記第1基板に対向する面に設けられ、前記第2電極から延出する第2電極引出部と、
前記第1基板の前記第2基板に対向する面に設けられ、少なくとも一部が前記第2電極引出部と対向する第3電極引出部とを備え、
前記第1基板および前記第2基板の互いに対向する面の少なくともいずれか一方の面には、基板厚み方向から見る平面視において、前記第2電極引出部が位置する第1区間と、前記第2電極引出部および前記第3電極引出部が対向する第2区間と、前記第3電極引出部が位置する第3区間とを有する引出部形成溝が形成され、
前記引出部形成溝の前記第2区間において、前記第2電極引出部と前記第3電極引出部とを導通させる導電性部材を備える
ことを特徴とする波長可変干渉フィルター。 - 請求項1に記載の波長可変干渉フィルターにおいて、
前記第1基板または前記第2基板には、前記引出部形成溝と外部とを連通する貫通孔が形成されている
ことを特徴とする波長可変干渉フィルター。 - 請求項2に記載の波長可変干渉フィルターにおいて、
前記平面視において、
前記第2区間の側方には、前記貫通孔と前記引出部形成溝とを連通し、導電性部材が保持される凹溝が設けられている
ことを特徴とする波長可変干渉フィルター。 - 請求項2に記載の波長可変干渉フィルターにおいて、
前記貫通孔は、前記引出部形成溝の前記第2区間に接続する
ことを特徴とする波長可変干渉フィルター。 - 請求項1から請求項4のいずれかに記載の波長可変干渉フィルターにおいて、
前記第2区間における前記第2電極引出部と前記第3電極引出部との隙間は、前記第1区間における第2電極引出部と前記引出部形成溝の前記第2電極引出部に対向する面との隙間よりも小さく、かつ前記第3区間における前記第3電極引出部と前記引出部形成溝の前記第3電極引出部に対向する面との隙間よりも小さい
ことを特徴とする波長可変干渉フィルター。 - 請求項1から請求項5のいずれかに記載の波長可変干渉フィルターと、
前記波長可変干渉フィルターを透過した検査対象光を受光する受光手段とを備える
ことを特徴とする光モジュール。 - 請求項6に記載の光モジュールと、
前記光モジュールの前記受光手段により受光された光に基づいて、光の光特性を分析する分析処理部とを備える
ことを特徴とする光分析装置。 - 請求項1に記載の波長可変干渉フィルターの製造方法であって、
前記第1基板および前記第2基板を接合する接合工程と、
前記導電性部材を前記引出部形成溝に配置し、前記第2電極引出部と前記第3電極引出部とを導通させる導電性部材配置工程とを備える
ことを特徴とする波長可変干渉フィルターの製造方法。
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