以下、本発明に係る実施形態を図面に基づいて説明する。なお、各図において同一の符号を付した構成は、同一の構成であることを示し、その説明を省略する。また、本発明に係る画像形成装置は、複写機、プリンタ及びファクシミリ装置、これらを兼ね備えた複合機等の電子写真方式の画像形成装置であればよいが、本実施形態では、カラープリンタを例にして説明する。
図1は、本発明の一実施形態に係るカラープリンタの概略構成を示す図である。図1において、プリンタ1は、給紙カセット13と、画像形成部20と、定着部30と、排紙部40と、用紙搬送路50と、制御部60と、温度センサ61と、湿度センサ62とを備えている。そして、給紙カセット13、画像形成部20、定着部30、用紙搬送路50、制御部60、温度センサ61(温度検出部)、及び湿度センサ62(湿度検出部)は、略箱形の装置本体2に内装され、排紙部40は、装置本体2の頂部に設けられている。
温度センサ61は、装置本体2内の温度tを検出し、温度tを示す信号を後述するトナー濃度検出回路7へ出力する。温度センサ61は、現像剤DPの温度を直接温度tとして検出してもよいが、装置本体2内の温度等、現像剤DPの温度と相関関係のある温度を検出するものであればよい。
湿度センサ62は、装置本体2内の湿度hを検出し、湿度hを示す信号を後述するトナー濃度検出回路7へ出力する。湿度センサ62は、現像剤DPの湿度を直接湿度hとして検出してもよいが、装置本体2内の湿度等、現像剤DPの湿度と相関関係のある湿度を検出するものであればよい。
給紙カセット13は、印刷処理に供する転写材の一例としての記録紙Pを貯留し、制御部60の制御の下で記録紙Pを給紙するものである。給紙カセット13は、所定数(本実施形態では1つ)が装置本体2に対して挿脱自在に設けられている。給紙カセット13の上流端(図1に示す例では給紙カセット13の左上方)には、用紙束から記録紙Pを1枚ずつ繰り出させるピックアップローラ12が設けられている。このピックアップローラ12の駆動によって給紙カセット13から繰り出された記録紙Pは、用紙搬送路50に給紙されるようになっている。
画像形成部20は、制御部60の制御によって、コンピュータ等から図略のインタフェース回路で受信した画像データに基づき、給紙カセット13に貯留された用紙束から繰り出された記録紙Pに画像の転写処理を施すものである。インタフェース回路は、コンピュータ等の外部機器にLAN(Local Area Network)等を介して接続され、外部機器との間で種々の信号を送受信するものであり、例えば、ネットワークインタフェース(10/100Base−TX)等が用いられる。画像形成部20は、トナー像を形成する各色ユニット21Y、21M、21C、21Kと、この画像形成ユニット21で形成されたトナー像を記録紙Pに転写する転写装置27とを備えて構成されている。
画像形成ユニット21は、上流側(図1の紙面の右側)から下流側へ向けて順次に略水平方向に配設されたマゼンダ用ユニット21M、シアン用ユニット21C、イエロー用ユニット21Y及びブラック用ユニット21Kと、これら各ユニットの下部位置に配設された露光ユニット24とを備える。これら各ユニット21M、21C、21Y、21Kは、同様の構成であり、装置本体2内における各機器に対して所定の相対的な位置関係で位置決めされて装着されている。
これら各ユニット21M、21C、21Y、21Kは、それぞれ、感光体ドラム22と、帯電器23と、現像装置25(現像部)と、クリーニング装置26とを備え、感光体ドラム22は、前後方向(図1の紙面と直交する方向)に延びるドラム軸回りに回転可能に設けられ、当該感光体ドラム22の周面に沿うように当該感光体ドラム22の直下位置から、当該感光体ドラム22の回転方向である反時計回り方向に向けて、帯電器23、現像装置25及びクリーニング装置26が配設されている。
感光体ドラム22は、周面に静電潜像及びこの静電潜像に従ったトナー像(可視像)を形成させるためのものである。帯電器23は、ドラム軸回り反時計回り方向に回転している感光体ドラム22の周面に一様な電荷を形成させるものであり、例えば、周面が感光体ドラム22の周面と当接しながら従動回転しつつ当該感光体ドラム22へ電荷を付与する帯電ローラを備えて構成されている。
現像装置25は、感光体ドラム22の周面にトナーを供給することによって周面の静電潜像が形成された部分にトナーを付着させ、これによって感光体ドラム22の周面にトナー像を形成するものである。
本実施形態では、カラーに対応するために、イエロー用ユニット21Yの現像装置25Yには、イエロー(Y)のトナーが収容され、マゼンダ用ユニット21Mの現像装置25Mには、マゼンダ(M)のトナーが収容され、シアン用ユニット21Cの現像装置25Cには、シアン(C)のトナーが収容され、そして、ブラック用ユニット21Kブラックの現像装置25Kには、ブラック(K)のトナーが収容されている。現像装置25については、後にさらに詳述する。
クリーニング装置26は、転写処理後の感光体ドラム22の周面に残留しているトナーを取り除いてクリーニングするためのものである。このクリーニング装置26によってクリーニングされた感光体ドラム22の周面は、次の画像形成処理のために再び帯電器23へ向かうことになる。
露光ユニット24は、画像データに応じて強弱の付与されたレーザ光を回転している感光体ドラム22の周面に帯電器23と現像装置25との間において照射し、当該感光体ドラム22の周面に静電潜像を形成するものである。露光ユニット24は、カラーに対応するために、イエロー、マゼンダ、シアン及びブラックの各色にそれぞれ対応した各レーザ光を各ユニット21M、21C、21Y、21Kにおける各感光ドラム22M、22C、22Y、22Kに照射するように構成されている。
帯電した感光体ドラム22の周面にレーザ光を照射すると、その照射された部分の電荷がレーザ光の強度に応じて消去し、これによって当該感光体ドラム22の周面に静電潜像が形成される。画像データは、図略のインタフェース回路で受信されたコンピュータ等の外部機器からの画像信号に公知の色補正処理等の処理を施すことによって制御部60が生成した現像色のイエロー、マゼンダ、シアン及びブラックの各画像データである。
転写装置27は、各ユニット21M、21C、21Y、21Kのそれぞれの感光体ドラム22の周面に形成されたトナー像を記録紙Pに転写するための装置であって、中間転写ベルト271、一次転写ローラ272、駆動ローラ273、従動ローラ274及び二次転写ローラ275を備えている。
中間転写ベルト271は、無端回転可能とされ、一次転写ローラ272、駆動ローラ273及び従動ローラ274によって各ユニット21M、21C、21Y、21Kの直上位置に張架されており、駆動ローラ273の回転駆動力によって時計回り方向に回転可能となっている。
一次転写ローラ272は、各ユニット21M、21C、21Y、21Kの各感光ドラム22M、22C、22Y、22Kに対応するようにそれぞれ設けられ、中間転写ベルト271を押さえ感光体ドラム22から中間転写ベルト271が浮き上がるのを防止するように配置されている。二次転写ローラ275は、中間転写ベルト271の外周面において駆動ローラ273に対向する位置に配置されている。
一次転写ローラ272は、画像領域におけるトナー像が感光体ドラム22から中間転写ベルト271へ一次転写される間、トナーの帯電極性と逆極性の電圧が一次転写バイアスとして印加される。また、二次転写ローラ275は、中間転写ベルト271上のトナー像が記録紙Pへ二次転写される間、トナーの帯電極性と逆極性の電圧が二次転写バイアスとして印加される。このようにプリンタ1は、中間転写ベルト271上に重ねて転写された各色のトナー像からなるカラートナー像が、二次転写ローラ275によって、中間転写ベルト271から記録紙Pに転写される二次転写方式である。
従動ローラ274の図1における右側には、中間転写ベルト用クリーニング装置276が設けられており、記録紙Pへトナー像を転写処理した後における中間転写ベルト271の表面に残留しているトナーがこの中間転写ベルト用クリーニング装置276によって取り除かれ、これによって清浄化した中間転写ベルト271が感光体ドラム22へ向かうようになっている。
定着部30は、制御部60の制御により、画像形成部20によって転写処理の施された記録紙Pのトナー像に、加熱による定着処理を施すものであり、内部に通電発熱体が装着された熱ローラ31と、この熱ローラ31と対向して周面同士が対向配置された加圧ローラ32とを備えている。
そして、転写処理後の記録紙Pは、ローラ軸回りに時計回り方向に向けて駆動回転している熱ローラ31と、ローラ軸回りに反時計回り方向に向けて従動回転している加圧ローラ32との間のニップ部を通過することによって、熱ローラ31からの熱を得て定着処理が施される。定着処理後の記録紙Pは、用紙搬送路50によって排紙部40へ排出される。転写装置27及び定着部30が、転写定着部の一例に相当している。
排紙部40は、定着部30で定着処理の施された記録紙Pが排紙され、この排紙された記録紙Pを貯留するものである。排紙部40は、装置本体2の頂部が凹没されることによって形成され、この凹没した凹部の底部に排紙された記録紙Pを受ける排紙トレイ41が形成されている。
用紙搬送路50は、制御部60の制御により、給紙カセット13から給紙された記録紙Pを装置本体2及び定着部30を介して排紙部40まで搬送するものである。
制御部60は、給紙カセット13、装置本体2、定着部30及び用紙搬送路50等に接続され、これらを当該機能に従って制御することにより、プリンタ1の各部の制御を司るものであり、例えば、CPU(Central Processing Unit)、CPUによって実行される種々のプログラムやその実行に必要なデータ等を予め記憶するROM(Read Only Memory)、CPUのいわゆるワーキングメモリとなるRAM(Random Access Memory)及びその周辺回路等を備えたマイクロコンピュータによって構成される。
次に、上記各ユニット21M、21C、21Y、21Kにそれぞれ備えられている現像装置25について説明する。図2(a)は現像装置25の側面断面図であり、図2(b)は、現像装置25の平面断面図である。なお、図2(b)では、収容室及び撹拌機の構成を分かり易くするために、便宜上マグネットローラを省略して図示している。
現像装置25は、現像ローラ251と、マグネットローラ252と、ブレード253と、撹拌機254とを備えている。これら現像ローラ251、マグネットローラ252、ブレード253、及び撹拌機254は、2成分現像剤であるトナー及びキャリアを収容する収容室257を下部に備える現像装置筐体250に内装されている。
収容室257は、長尺方向に延びる区画壁W1によってそれぞれ区画され並設される第1及び第2収容室257a、257bを備えており、区画壁W1の両端部で第1及び第2収容室257a、257bが連通されている。
収容室257の一方端上方には、2点差線の仮想線で示すように、トナーを貯留する図略のトナーホッパから収容室257へトナーを補給するためのトナー補給開口256が開口されている。図2(b)に示す収容室257には、トナーホッパから補給されたトナーと第1及び第2撹拌機254a、254bで撹拌されるトナーとを隔てるために、第2収容室におけるトナー補給開口256の直下部分と他の部分とを区画する区画壁W2がさらに第2収容室257bに設けられている。
また、このトナー補給開口256とトナーホッパとの間には、トナーホッパからトナー補給開口256へトナーを搬送する図略のトナー搬送ローラが配設されている。このトナー搬送ローラは、制御部60によって制御される図略のトナーモータによって回転駆動される。このトナー搬送ローラの回転によってトナーホッパからトナー補給開口256へトナーが搬送され、トナー搬送ローラの回転速度によってトナーホッパからトナー補給開口256へ搬送される単位時間当たりのトナー量(トナー補給速度)が調整される。
撹拌機254は、トナーホッパから補給されたトナーを撹拌しつつマグネットローラ252へ搬送するものであり、第1及び第2収容室257a、257bにそれぞれ配設される第1及び第2撹拌機254a、254bを備えて構成されている。第1及び第2撹拌機254a、254bは、それぞれ、軸線方向に略全域においてスパイラル状(螺旋状)羽根が形成された回転軸を備えて構成されている。
また、トナー補給開口256から所定距離離れた第1収容室257aの底部には、トランスT1が配設されている。
マグネットローラ252は、収容室257からトナーを磁力により汲み上げ、この汲み上げたトナーをその外周面に被着させながら現像ローラ251の周面に搬送して供給するものである。マグネットローラ252は、第2撹拌機254bの上方(第2収容室257bの上方)に所定距離離間して第2撹拌機254bの回転軸方向で第2撹拌機254bと並設するように配設されている。マグネットローラ252は、例えば、所要数の永久磁石が埋設され、可動軸受けに対して回転することなく固定された円柱状のマグネットローラ本体と、このマグネットローラ本体の周面に回転可能に嵌合し、非磁性金属材料から成る円筒状のスリーブとを備えて構成される。
ブレード253は、マグネットローラ252の周面に被着して形成されたトナー層の厚みを規制するブレード状の部材である。ブレード253は、マグネットローラ252の周面に所定距離離間して対向配置されている。
現像ローラ251は、マグネットローラ252からトナーの供給を受けることによりその外周面にトナー層を形成し、このトナー層のトナーで感光体ドラム22の周面に形成された静電潜像を現像するものである。現像ローラ251は、マグネットローラ252の周
面に所定距離離間して対向配置されている。
このような構成の現像装置25は、現像ローラ251が感光体ドラム22の周面に所定距離離間して対向配置されるように配置される。現像装置25では、トナー補給開口256から補給されたトナーは、第1撹拌機254aによって撹拌されつつ第1収容室257aの一方端部から他方端部へ搬送される。
この第1撹拌機254aによって他方端部へ搬送されたトナーは、他方端部側で第1収容室257aと第2収容室257bとを連通する第1間隙CR1を通って第2収容室257bに導入される。この第2収容室に導入されたトナーは、第2撹拌機254bによって撹拌されつつ第2収容室257bの他方端部から一方端部へ搬送され、その一部がマグネットローラ252に供給され、残余が一方端部側で第2収容室257bと第1収容室257aとを連通する第2間隙CR2を通って第1収容室257aに戻される。
このようにトナーホッパから収容室257に供給されたトナーは、第1及び第2撹拌機254a、254bによって第1及び第2収容室257a、257bを循環し、撹拌によってキャリアと混合されて摩擦帯電したトナーの一部がマグネットローラ252に汲み上げられて消費される。
そして、この第1撹拌機254aによる搬送の途中で後述するトナー濃度検出回路7によってトナー濃度が測定され、測定されたトナー濃度を示すトナー濃度信号が、現像装置25M,25C,25Y,25Kに対応してトナー濃度信号TD2M,TD2C,TD2Y,TD2Kとして制御部60へ出力される。
制御部60は、トナー濃度検出回路7から出力された、現像装置25M,25C,25Y,25Kにおける各トナー濃度を示すトナー濃度信号TD2M,TD2C,TD2Y,TD2Kに基づいて、現像装置25M,25C,25Y,25Kにおける第1及び第2収容室257a、257bの現像剤のトナー濃度(二成分現像剤中のトナー量)が目標値となるように、トナーホッパから補給されるトナー量を調整する。制御部60は、トナー濃度調節部の一例に相当している。また、制御部60は、印字を行う際には、現像装置25とトナー濃度検出回路7とへ、撹拌機254の駆動を指示する攪拌制御信号を出力する。
撹拌機254は、攪拌制御信号による駆動指示に応じて、現像剤を攪拌する。このとき、攪拌制御信号はトナー濃度検出回路7へも出力されるので、トナー濃度検出回路7では、攪拌制御信号を監視することで、撹拌機254の動作状態を確認できるようになっている。
ここで、非磁性体のトナーと磁性体のキャリアからなる現像剤は、トナー濃度(現像剤の全体量に対するトナー量の割合)が大きくなるほど透磁率が小さくなり、トナー濃度が小さくなるほど透磁率が大きくなる。そこで、トナー濃度検出回路7は、現像剤の透磁率を、トナー濃度を示す情報として検出するようになっている。
図3は、トナー濃度検出回路7の構成の一例を示すブロック図である。図3に示すトナー濃度検出回路7は、CPU8と、センサ回路9M,9C,9Y,9K(トナーセンサ部)とを備えている。CPU8は、例えばROM、RAM、クロック信号生成モジュール、デジタルアナログコンバータ、アナログデジタルコンバータ等が1チップに集積されたマイクロコントローラが用いられている。このようなマイクロコントローラとしては、例えば、ルネサステクノロジ社製SH7700シリーズのマイクロコントローラを用いることができる。
CPU8は、例えばROMに記憶されたプログラムを実行することにより、センサ特性設定部80、温度特性調節部81、湿度特性調節部82、劣化特性調節部83、及びトナー濃度信号取得部84として機能する。また、CPU8は、周期信号出力部85と容量設定部86(電圧信号出力部)とを備えている。
周期信号出力部85は、周波数設定レジスタ851(設定受付部)を備えている。そして、周期信号出力部85は、周波数設定レジスタ851に設定された周波数のクロック信号を、クロック信号CK(周期信号)として、センサ回路9M,9C,9Y,9Kへ並列に出力する。
クロック信号CKは、周期信号出力部85から、1本の信号ラインによって出力され、センサ回路9M,9C,9Y,9Kの直近に配置される基板にて分岐されるようになっている。
周期信号出力部85としては、例えばルネサステクノロジ社製SH7700シリーズのマイクロコントローラにおける、タイマパルスユニット(TPU)を用いることができる。
容量設定部86は、電圧設定レジスタ861を備えている。そして、容量設定部86は、電圧設定レジスタ861に設定された電圧を、容量制御電圧CCとして、センサ回路9M,9C,9Y,9Kへ並列に出力する。
容量設定部86としては、例えばルネサステクノロジ社製SH7700シリーズのマイクロコントローラにおける、D/A変換器(DAC)を用いることができる。
センサ回路9M,9C,9Y,9Kは、各ユニット21M、21C、21Y、21Kにおける収容室257内のトナーの濃度をそれぞれ検出し、この検出結果をトナー濃度信号TD1M,TD1C,TD1Y,TD1K(第1トナー濃度信号)としてCPU8へ出力する。センサ回路9M,9C,9Y,9Kは、互いに同様の構成とされている。
センサ特性設定部80は、各トナーセンサ部の特性をそれぞれ検出対象の現像剤に適応した特性に変化させるように、順次、周波数設定レジスタ851及び電圧設定レジスタ861へ、クロック信号CKの周波数、及び容量制御電圧CCの電圧値を設定することで、各トナーセンサ部に対応するクロック信号CK、及び容量制御電圧CCを、周期信号出力部85、及び容量設定部86から順次出力させる。
トナー濃度信号取得部84は、センサ回路9M,9C,9Y,9Kに対応したクロック信号CK、及び容量制御電圧CCが出力されるタイミングと同期して、センサ回路9M,9C,9Y,9Kから出力されるトナー濃度信号TD1M,TD1C,TD1Y,TD1K(第1トナー濃度信号)を、現像装置25M,25C,25Y,25Kに収容されている各色の現像剤DPのトナー濃度を示すトナー濃度信号TD2M,TD2C,TD2Y,TD2K(第2トナー濃度信号)としてそれぞれ取得し、制御部60へ出力する。
具体的には、トナー濃度信号取得部84は、センサ特性設定部80によって、周波数設定レジスタ851及び電圧設定レジスタ861へ、現像装置25Mに対応するクロック信号CKの周波数、及び容量制御電圧CCの電圧値が設定されたときにセンサ回路9Mから出力されたトナー濃度信号TD1Mを取得して保持した信号を、トナー濃度信号TD2Mとして出力し、現像装置25Cに対応するクロック信号CKの周波数、及び容量制御電圧CCの電圧値が設定されたときにセンサ回路9Cから出力されたトナー濃度信号TD1Cを取得して保持した信号を、トナー濃度信号TD2Cとして出力し、現像装置25Yに対応するクロック信号CKの周波数、及び容量制御電圧CCの電圧値が設定されたときにセンサ回路9Yから出力されたトナー濃度信号TD1Yを取得して保持した信号を、トナー濃度信号TD2Yとして出力し、現像装置25Kに対応するクロック信号CKの周波数、及び容量制御電圧CCの電圧値が設定されたときにセンサ回路9Kから出力されたトナー濃度信号TD1Kを取得して保持した信号を、トナー濃度信号TD2Kとして出力する。
以下、センサ回路9M,9C,9Y,9Kを総称してセンサ回路9と称し、トナー濃度信号TD1M,TD1C,TD1Y,TD1Kを総称してトナー濃度信号TD1と称し、トナー濃度信号TD2M,TD2C,TD2Y,TD2Kを総称してトナー濃度信号TD2と称する。
図4は、センサ回路9(9M,9C,9Y,9K)の構成の一例を示す回路図である。図4に示すセンサ回路9は、キャパシタC1〜C6、抵抗R1〜R9、トランスT1、インバータ91、EXOR(排他的論理和)ゲート92、オペアンプ93、ダイオードD1,D2、及び可変容量ダイオードVC1,VC2を備えて構成されている。
周期信号出力部85から出力されるクロック信号CKは、キャパシタC1を介してトランスT1における一次巻線L1の一端に供給されると共に、EXORゲート92の一方の入力端子へ供給される。一次巻線L1の他端は回路グラウンドに接続され、一次巻線L1と並列に抵抗R1が接続されている。
トランスT1の一次巻線L1と二次巻線L2とは、逆極性にされており、二次巻線L2の一端が回路グラウンドに接続され、他端がキャパシタC2を介してインバータ91の入力端子に接続されている。キャパシタC1,C2は、直流カット用のキャパシタであり、クロック信号CK、及びクロック信号CKに応じて二次巻線L2に誘起される移相クロック信号CK1をそのまま通過させる。
ダイオードD1,D2は、移相クロック信号CK1をクランプしてオーバーシュート、アンダーシュートをカットする。抵抗R2,R3は、移相クロック信号CK1の信号ラインをプルアップ、プルダウンして信号ラインのインピーダンス整合を行う。インバータ91の入出力端子間には、抵抗R4が接続されて、インバータ91は、入力信号レベルにヒステリシスを有するいわゆるシュミットゲートとして動作する。
以上、ダイオードD1,D2、抵抗R2,R3、インバータ91、及び抵抗R4によって、移相クロック信号CK1が波形成形され、デジタル信号化されて移相クロック信号CK2としてEXORゲート92の他方の入力端子へ供給される。
そうすると、トランスT1の一次巻線L1と二次巻線L2とは逆極性にされているから、クロック信号CKと移相クロック信号CK1とは、トランスT1による位相シフトを考えなければ反転波形となる。そして、移相クロック信号CK1はインバータ91によって反転されて移相クロック信号CK2となるから、移相クロック信号CK2は、クロック信号CKがトランスT1によって位相シフトされた信号となる。
そして、クロック信号CKと移相クロック信号CK2とがEXORゲート92によって排他的論理和されると、クロック信号CKと移相クロック信号CK2とが異なる信号レベル(論理値)になっている期間、すなわちトランスT1による位相遅れ量θに相当する期間だけ、EXORゲート92の出力信号S1がハイレベルになる。この場合、トランスT1による位相遅れ量θが大きいほど、信号S1のデューテイ比が大きくなる。
EXORゲート92の出力端子は、抵抗R5を介してオペアンプ93の+(非反転)入力端子に接続されている。また、オペアンプ93の+入力端子は、キャパシタC3を介してグラウンドに接続されている。これにより、抵抗R5とキャパシタC3とで、積分回路による平滑回路94が構成されている。
また、オペアンプ93の−(反転)入力端子は、抵抗R6を介して回路電源に接続され、抵抗R7を介して回路グラウンドに接続されている。さらに、オペアンプ93の−入力端子と出力端子とが、キャパシタC4と抵抗R8との並列回路を介して接続されて、積分回路が構成されている。この積分回路によって、平滑回路95が構成されている。
信号S1は、平滑回路94,95によって平滑され、直流に変換されて、トナー濃度信号TD1となる。そうすると、信号S1のデューテイ比が大きいほど、トナー濃度信号TD1の電圧は高くなるから、トナー濃度信号TD1は、トランスT1による位相遅れ量θが大きいほど電圧が高くなる。これにより、トナー濃度信号TD1は、位相遅れ量θを表す信号となる。
以上のように、EXORゲート92と平滑回路94,95とから、位相差検出部が構成されている。
また、二次巻線L2とキャパシタC2との接続点は、キャパシタC5を介して回路グラウンドに接続されている。そして、キャパシタC5と並列に、キャパシタC6と可変容量ダイオードVC1との直列回路が接続され、さらに可変容量ダイオードVC1と並列に、可変容量ダイオードVC2が接続されている。
そして、容量設定部86から出力された容量制御電圧CCが、抵抗R9を介してキャパシタC6と可変容量ダイオードVC1との接続点に、入力されるようになっている。
これにより、容量設定部86から出力された容量制御電圧CCが増大するほど可変容量ダイオードVC1,VC2の静電容量が増大し、クロック信号CKに対する移相クロック信号CK1の位相遅れ量、すなわち位相遅れ量θが増大するようになっている。
図5は、図2に示すトランスT1の周辺部の拡大図である。図5に示すトランスT1は、例えば空芯のボビンBに、一次巻線L1と二次巻線L2とが、互いの巻き付け方向が逆向きになるように巻き付けられて、磁気的に結合されている。
そして、クロック信号CKが一次巻線L1に供給されることによって発生した磁束Mは、収容室257a内の現像剤DPを横切るようになっている。この磁束Mによって、二次巻線L2に移相クロック信号CK1が誘起される。従って、現像剤DPの透磁率が変化すると、磁束Mが通過する磁気回路が変化して、移相クロック信号CK1の位相が変化し、位相遅れ量θが変化する。
そうすると、位相遅れ量θは、現像剤DPの透磁率、すなわちトナー濃度を表すことになるから、位相遅れ量θを表す信号であるトナー濃度信号TD1は、現像剤DPのトナー濃度を表すことになる。トナー濃度検出回路7は、この現象を利用して、現像剤DPの透磁率、すなわち現像剤DPの濃度を検出し、トナー濃度信号TD1として出力するようになっている。
ここで、磁束Mは、現像剤DPのみならず、収容室257aの壁面や、撹拌機254aの一部も通過する。そのため、移相クロック信号CK1の位相変化は、現像剤DPの透磁率のみならず、収容室257aや撹拌機254aの形状、材質の影響も受けることになる。また、現像剤DPの成分が異なる場合も、トナー濃度と透磁率との関係が変化する。ここで、現像装置25M,25C,25Y,25Kで用いられる各色の現像剤DPも、その成分が互いに異なるから、トナー濃度と透磁率との関係が互いに異なる。
そのため、収容室257aや撹拌機254aの形状、材質、あるいは使用する現像剤DPの成分が異なるプリンタ1の機種毎に、トナー濃度検出回路7の特性、特に現像剤DPのトナー濃度(透磁率)に対する、移相クロック信号CK1の位相変化量を設定する必要が生じる。
さらに、各色の現像剤DPのトナー濃度を検出するセンサ回路9M,9C,9Y,9Kについても、それぞれ各色の現像剤の特性に応じて、移相クロック信号CK1の位相変化量を設定する必要がある。
図6は、ある現像装置、例えば現像装置25Mにおけるクロック信号CKの周波数fと、センサ回路9Mから出力される位相遅れ量θと、トナー濃度d1,d2,d3との関係(トナー濃度の検出特性)の一例を示すグラフである。トナー濃度d1,d2,d3は、例えばd1<d2<d3の関係を有する。図6に示すように、クロック信号CKの周波数fが、f0のとき、トナー濃度がd1であれば位相遅れ量θはθ4となり、トナー濃度がd3であれば位相遅れ量θはθ1となるから、センサ回路9Mから、それぞれ位相遅れ量θ4,θ1を示すトナー濃度信号TD1が出力される。
ここで、もし仮に、クロック信号CKの周波数fがf1であった場合には、トナー濃度d3を検出することができなくなり、周波数fがf4であった場合には、トナー濃度d1を検出することができなくなるから、クロック信号CKの周波数としてf1,f4は不適当である。
また、クロック信号CKの周波数fがf0のときは、トナー濃度がd1〜d3まで変化すると、位相遅れ量θはθ4からθ2まで変化するのに対し、周波数fがf2のときは、トナー濃度がd1〜d3まで変化しても、位相遅れ量θはθ3からθ1までの変化となるから、周波数fがf0のときよりf2のときの方が、トナー濃度の変化に対する位相遅れ量θ、すなわちトナー濃度信号TD1の変化が少なくなる。
このことは、クロック信号CKの周波数fがf0のときよりf2のときの方が、センサ回路9Mによるトナー濃度の検出感度が低下していることを意味するから、周波数f2は、クロック信号CKの周波数として不適当である。同様に、周波数f3も、クロック信号CKの周波数として不適当である。
そこで、例えば現像装置25Mにおいて、図6に示すような特性が得られる場合には、例えばCPU8のROMに、現像装置25Mに対応するクロック信号CKの周波数として周波数f0を記憶させておき、センサ特性設定部80が、周波数設定レジスタ851に周波数f0を設定することで、センサ回路9Mによるトナー濃度の検出が適切にできるように、センサ回路9Mの特性が調節される。
同様に、現像装置25C、25Y、25Kについても、良好なトナー検出感度が得られるクロック信号CKの周波数を、周波数設定レジスタ851に順次設定することにより、センサ回路9C,9Y,9Kによるトナー濃度の検出が適切にできるように、センサ回路9C,9Y,9Kの特性が順次設定される。
従って、センサ回路9M,9C,9Y,9Kの構成を共通にしたまま回路部品を変更することなく、各色の現像装置に応じてそれぞれ適切なトナー濃度の検出を行うことが可能となる。
図7は、図6に示す現像装置とは異なる現像装置、例えば現像装置25Cにおける、クロック信号CKの周波数fと、センサ回路9Cから出力される位相遅れ量θと、トナー濃度d1,d2,d3との関係の一例を示すグラフである。検出対象の現像剤の色が異なると、例えば図7に示すように、トナー濃度がd1〜d3の特性も変化する。
この場合、図6に示す場合と異なり、クロック信号CKの周波数としてf0を用いると、センサ回路9Cはトナー濃度を適切に検出できない。図7に示す場合は、クロック信号CKの周波数としてf5を用いる必要がある。このように、異なる色の現像剤のトナー濃度を検出する場合であっても、センサ回路9M,9C,9Y,9Kの構成を共通にしたまま回路部品を変更することなく、各色に応じてそれぞれ適切なトナー濃度の検出を行うことが可能となる。
ここで、周波数設定レジスタ851によって変更できる周波数fの最小単位が大きいと、各色の現像剤の特性に応じた最適な周波数fを、設定できない場合がある。一方、電圧設定レジスタ861の設定電圧値Vが増大するほど容量制御電圧CCが増大して可変容量ダイオードVC1,VC2の静電容量が増大し、位相遅れ量θが増大するから、電圧設定レジスタ861の設定電圧値Vを調節することで、位相遅れ量θを調節することも可能である。
そこで、センサ特性設定部80は、周波数設定レジスタ851に設定する周波数fと、電圧設定レジスタ861に設定する電圧値Vとを組み合わせることで、各色の現像剤DPに対するセンサ回路9M,9C,9Y,9Kのトナー濃度検出特性の適応精度を向上させるようになっている。
ところで、図6に示すトナー濃度の検出特性は、プリンタ1の稼働状況や環境条件によっても変化する。具体的には、現像剤の温度、湿度、及び劣化の程度に応じて位相遅れ量θが変化する。
位相遅れ量θの変化の仕方は、現像剤の成分によって異なるが、一般的には、現像剤の温度が高くなるほど位相遅れ量θが増大し、図6に示すトナー濃度d1〜d3を示すグラフが周波数fの低くなる方向にシフトする。同様に、現像剤の湿度が高くなるほど位相遅れ量θが増大し、現像剤の劣化が進むほど位相遅れ量θが増大し、いずれの場合も図6に示すトナー濃度d1〜d3のグラフが周波数fの低くなる方向にシフトする。
次に、温度特性調節部81、湿度特性調節部82、劣化特性調節部83の動作について説明する。
温度特性調節部81は、温度センサ61によって検出された温度tに応じて生じる位相遅れ量θの変化を相殺する方向に、周波数設定レジスタ851に設定されているクロック周波数fを補正する。
例えば、現像剤の特性が、温度が高くなるほど位相遅れ量θが増大する一般的な特性であった場合には、温度tが高くなるほど図6に示すトナー濃度d1〜d3のグラフが周波数fの低くなる方向にシフトし、トナー濃度d1〜d3に対して周波数f0において得られる位相遅れ量θが増大する。
そこで、温度特性調節部81は、温度センサ61によって検出された温度tが上昇するほど周波数設定レジスタ851に設定されているクロック周波数fを減少させて補正する。これにより、温度tの影響が相殺されるので、位相遅れ量θ、すなわちトナー濃度の検出精度を向上させることができる。
湿度特性調節部82は、湿度センサ62によって検出された温度tに応じて生じる位相遅れ量θの変化を相殺する方向に、周波数設定レジスタ851に設定されているクロック周波数fを補正する。
例えば、現像剤の特性が、湿度が高くなるほど位相遅れ量θが増大する一般的な特性であった場合には、湿度hが高くなるほど図6に示すトナー濃度d1〜d3のグラフが周波数fの低くなる方向にシフトし、トナー濃度d1〜d3に対して周波数f0において得られる位相遅れ量θが増大する。
そこで、湿度特性調節部82は、温度センサ61によって検出された湿度hが上昇するほど周波数設定レジスタ851に設定されているクロック周波数fを減少させて補正する。これにより、湿度hの影響が相殺されるので、位相遅れ量θ、すなわちトナー濃度の検出精度を向上させることができる。
劣化特性調節部83は、図略のタイマ回路を用いて構成されている。そして、劣化特性調節部83は、制御部60から出力された攪拌制御信号を監視して、画像形成部20による画像形成を実行するべく撹拌機254が駆動され、現像剤DPの攪拌が継続されている時間を攪拌時間Tとして計時する。
ここで、現像剤DPは、攪拌されている時間が長いほど、帯電量が増加して劣化する。従って、攪拌時間Tが長くなるほど、現像剤DPの劣化が進んでいると考えられる。
そこで、劣化特性調節部83は、攪拌制御信号を監視することで計時された攪拌時間Tに基づいて、現像剤DPの劣化に応じて生じる位相遅れ量θの変化を相殺する方向に、周波数設定レジスタ851に設定されているクロック周波数fを補正する。
例えば、現像剤の特性が、劣化が進むほど、すなわち攪拌時間Tが長くなるほど位相遅れ量θが増大する一般的な特性であった場合には、攪拌時間Tが長くなるほど図6に示すトナー濃度d1〜d3のグラフが周波数fの低くなる方向にシフトし、トナー濃度d1〜d3に対して周波数f0において得られる位相遅れ量θが増大する。
そこで、劣化特性調節部83は、攪拌制御信号を監視することで計時された攪拌時間Tが増大するほど周波数設定レジスタ851に設定されているクロック周波数fを減少させて補正する。これにより、攪拌による現像剤DPの劣化の影響が相殺されるので、位相遅れ量θ、すなわちトナー濃度信号TD1の検出精度を向上させることができる。
温度特性調節部81、湿度特性調節部82、劣化特性調節部83によるクロック周波数fの補正量については、例えば、温度t、湿度h、攪拌時間Tにそれぞれクロック周波数fの補正量を対応付けたルックアップテーブルを記憶しておき、このルックアップテーブルを参照して、補正量を求めるようにしてもよい。
このようにして、温度特性調節部81、湿度特性調節部82、劣化特性調節部83は、周波数設定レジスタ851の設定値を補正(変更)することによって、トナー濃度の変化に対する位相遅れ量θの変化量(図6におけるθW)、すなわちトナー濃度信号TD1の電圧変化量が最大となるように、クロック信号CKを補正することが望ましい。
また、温度特性調節部81、湿度特性調節部82、劣化特性調節部83は、周波数設定レジスタ851の設定値を補正(変更)する代わりに、あるいは周波数設定レジスタ851の設定値の補正(変更)と組み合わせて、電圧設定レジスタ861の設定値を補正(変更)するようにしてもよい。
具体的には、例えば、温度特性調節部81は、現像剤の特性が、温度が高くなるほど位相遅れ量θが増大する一般的な特性であった場合には、温度センサ61によって検出された温度tが上昇するほど電圧設定レジスタ861の設定電圧値Vを、低下させて補正する。そうすると、容量制御電圧CCが低下して可変容量ダイオードVC1,VC2による位相遅れ量が減少するので、温度tの影響が相殺される結果、位相遅れ量θ、すなわちトナー濃度の検出精度を向上させることができる。
また、例えば、湿度特性調節部82は、現像剤の特性が、湿度が高くなるほど位相遅れ量θが増大する一般的な特性であった場合には、湿度センサ62によって検出された湿度hが上昇するほど電圧設定レジスタ861の設定電圧値Vを、低下させて補正する。そうすると、容量制御電圧CCが低下して可変容量ダイオードVC1,VC2による位相遅れ量が減少するので、温度tの影響が相殺される結果、位相遅れ量θ、すなわちトナー濃度の検出精度を向上させることができる。
また、例えば、劣化特性調節部83は、現像剤の特性が、劣化が進むほど、すなわち攪拌時間Tが長くなるほど位相遅れ量θが増大する一般的な特性であった場合には、攪拌制御信号を監視することで計時された攪拌時間Tが増大するほど電圧設定レジスタ861の設定電圧値Vを、低下させて補正する。そうすると、容量制御電圧CCが低下して可変容量ダイオードVC1,VC2による位相遅れ量が減少するので、温度tの影響が相殺される結果、位相遅れ量θ、すなわちトナー濃度の検出精度を向上させることができる。
温度特性調節部81、湿度特性調節部82、劣化特性調節部83によるクロック周波数fの補正量については、例えば、温度t、湿度h、攪拌時間Tにそれぞれクロック周波数fの補正量や電圧値Vの補正量を対応付けたルックアップテーブルを記憶しておき、このルックアップテーブルを参照して、補正量を求めるようにしてもよい。
次に、図3に示すセンサ特性設定部80及びトナー濃度信号取得部84の動作について説明する。図8は、図3に示すセンサ特性設定部80及びトナー濃度信号取得部84の動作の一例を示すフローチャートである。まず、センサ特性設定部80によって、現像装置25Mに対応した周波数fが、周波数設定レジスタ851に設定される(ステップS1)。そうすると、周期信号出力部85から、周波数fのクロック信号CKが、センサ回路9M,9C,9Y,9Kへ出力される。
次に、センサ特性設定部80によって、現像装置25Mに対応した電圧値Vが、電圧設定レジスタ861に設定される(ステップS2)。そうすると、容量設定部86から、電圧値Vの容量制御電圧CCが、センサ回路9M,9C,9Y,9Kへ出力される。そして、センサ回路9M,9C,9Y,9Kから、現像装置25Mに対応した周波数f及び電圧値Vに基づいて、現像装置25M,25C,25Y,25Kにおけるトナー濃度を示すトナー濃度信号TD1M,TD1C,TD1Y,TD1Kが出力される。
次に、温度特性調節部81、湿度特性調節部82、及び劣化特性調節部83によって、温度t、湿度h、攪拌時間Tに応じて、周波数設定レジスタ851、及び電圧設定レジスタ861の設定値が補正される(ステップS3)。そうすると、センサ回路9M,9C,9Y,9Kから、補正後の周波数f及び電圧値Vに基づいて、温度t、湿度h、及び現像剤の劣化の影響が低減されたトナー濃度信号TD1M,TD1C,TD1Y,TD1Kが出力される。
次に、トナー濃度信号取得部84によって、トナー濃度信号TD1Mが取得、保持され、トナー濃度信号TD2Mとして制御部60へ出力される(ステップS4)。ここで、トナー濃度信号TD1Mは、現像装置25Mに対応する周波数f、電圧値Vが設定された状態で、センサ回路9Mによって現像装置25Mから得られた信号であるから、正しく現像装置25Mのトナー特性等が設定及び補正された信号である。一方、トナー濃度信号TD1C,TD1Y,TD1Kは、周波数f、電圧値Vの設定値と、対応する現像装置とが一致していないから、正しく現像装置トナー特性等が設定されていないため、トナー濃度信号取得部84は、トナー濃度信号TD1C,TD1Y,TD1Kを用いない。
以降、ステップS5〜S8において、現像装置25Cを対象としてステップS1〜S4と同様の処理によりトナー濃度信号TD2Cが制御部60へ出力され、ステップS9〜S12において、現像装置25Yを対象としてステップS1〜S4と同様の処理によりトナー濃度信号TD2Yが制御部60へ出力され、ステップS13〜S16において、現像装置25Kを対象としてステップS1〜S4と同様の処理によりトナー濃度信号TD2Kが制御部60へ出力される。
以上、ステップS1〜S16の処理により、周期信号出力部85、及び容量設定部86を、一つずつ備えるだけで、センサ回路9M,9C,9Y,9Kのトナー濃度検出特性を現像装置25M,25C,25Y,25Kにそれぞれ適合させることができる。
従って、図3に示すトナー濃度検出回路7は、センサ回路9Mのトナー濃度検出特性を現像装置25Mに適合させるための容量制御電圧CC及びクロック信号CKを出力する周期信号出力部及び容量設定部と、センサ回路9Cのトナー濃度検出特性を現像装置25Cに適合させるための容量制御電圧CC及びクロック信号CKを出力する周期信号出力部及び容量設定部と、センサ回路9Yのトナー濃度検出特性を現像装置25Yに適合させるための容量制御電圧CC及びクロック信号CKを出力する周期信号出力部及び容量設定部と、センサ回路9Kのトナー濃度検出特性を現像装置25Kに適合させるための容量制御電圧CC及びクロック信号CKを出力する周期信号出力部及び容量設定部とを個別に備えるよりも、周期信号出力部及び容量設定部の数を減少させて、回路を簡素化することができる。
なお、必ずしも周期信号出力部85と容量設定部86とを備える必要はなく、容量設定部86を備えず、ステップS2、S6、S10、及びS14を実行しない構成としてもよい。あるいは、周期信号出力部85を備えず、ステップS1、S5、S9、及びS13を実行しない構成としてもよい。
また、必ずしも温度特性調節部81、湿度特性調節部82、及び劣化特性調節部83を備える必要はなく、温度特性調節部81、湿度特性調節部82、及び劣化特性調節部83を備えない構成、あるいは温度特性調節部81、湿度特性調節部82、及び劣化特性調節部83のうち一部を備える構成としてもよい。