JP2011111415A - 新規ベンゾオキサジン化合物およびその製造法 - Google Patents

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【課題】オキサジン環部分以外に非フェノール性水酸基を有するベンゾオキサジン化合物であって、脆さという欠点を克服した熱硬化性ポリエステル樹脂を形成し得る新規ベンゾオキサジン化合物およびその製造法を提供する。
【解決手段】ベンゼン環部分が非フェノール性水酸基を有する置換基で置換されたベンゾオキサジン化合物、より具体的には、一般式
Figure 2011111415

(ここで、Rはエーテル基を有してもよい炭素数1〜6のアルキレン基であり、Arは2価の芳香族環である)で表わされるベンゾオキサジン化合物が、ヒドロキシフェニル基置換アルカノール、芳香族ジ-またはモノ-アミン化合物およびホルムアルデヒドを反応させることにより製造される。
【選択図】なし

Description

本発明は、新規ベンゾオキサジン化合物およびその製造法に関する。さらに詳しくは、非フェノール性水酸基を有する新規ベンゾオキサジン化合物およびその製造法に関する。
特許文献1には、支持体上に感光性ハロゲン化銀粒子、有機銀塩、還元剤および結合剤を含有する感光層を有する光熱写真画像形成材料において、ベンゾオキサジン化合物またはそのポリマー体を含有する光熱写真画像形成材料が記載されている。
しかしながら、そこで用いられている水酸基含有ベンゾオキサジン化合物は、フェノール性水酸基をオキサジン環部分に有するベンゾオキサジン化合物である。
Figure 2011111415
また、特許文献2には、末端基としてフェノール性水酸基を有するポリエステルと一級アミノ基含有化合物およびアルデヒド化合物とを反応させて、熱硬化性能を有するジヒドロベンゾオキサジン環を末端に有する熱硬化性ポリエステル樹脂を製造する方法が記載されている。そして、このようにして形成したジヒドロベンゾオキサジン環構造は、熱やカチオンによって開環重合し、架橋構造を形成するとされている。
ここで用いられているポリエステルは、水酸基含有化合物とカルボキシル基含有化合物を縮重合反応させることにより得られており、2価の水酸基含有化合物と共に1価のフェネチルアルコールを少量併用した実施例なども記載されているが、得られたポリエステルはフェノール性水酸基含有ポリエステル樹脂である。
非フェノール性水酸基を有するベンゾオキサジン化合物としては、特許文献3に記載される如き、ベンゾオキサジン化合物が挙げられる、この特許文献には、カリウムチャネル活性化剤として有用なベンゾオキサジン誘導体合成の中間体として、2H-1,4-ベンゾオキサジンの2-位に-CH2OR1基(R1:水素原子、低級アルキル基、低級アルカノイル基、カルバモイル基、低級アルキルカルバモイル基またはニトロ基)およびR2基(R2:低級アルキル基)を有し、6-位にニトロ基を有し、4-位が未置換であるベンゾオキサジン誘導体、好ましくは3,4-ジヒドロ-2-ヒドロキシメチル-2-メチル-6-ニトロ-2H-1,4-ベンゾオキサジンが用いられることが記載されている。この場合の2-ヒドロキシメチル基はオキサジン環部分に形成されている。
特開2003−255487号公報 特開2007−254557号公報 WO 94/18195 A1
フェノール性水酸基をオキサジン環部分に有するベンゾオキサジン化合物は、光熱写真画像形成材料として用いられ、また熱硬化性能を有するジヒドロベンゾオキサジン環を末端に有する熱硬化性ポリエステルを形成させるが、得られた熱硬化性樹脂は脆いという欠点を有している。一方、非フェノール性水酸基をオキサジン環部分に有するベンゾオキサジン化合物は、オキサジン環部分である2-位にヒドロキシメチル基および低級アルキル基を有し、カリウムチャネル活性化剤合成の中間体として用いられている。
本発明の目的は、オキサジン環部分以外に非フェノール性水酸基を有するベンゾオキサジン化合物であって、脆さという欠点を克服した熱硬化性ポリエステル樹脂を形成し得る新規ベンゾオキサジン化合物およびその製造法を提供することにある。
本発明によって、ベンゼン環部分が非フェノール性水酸基を有する置換基で置換されたベンゾオキサジン化合物、より具体的には、一般式
Figure 2011111415
(ここで、Rはエーテル基を有してもよい炭素数1〜6のアルキレン基であり、Arは2価の芳香族環である)で表わされるベンゾオキサジン化合物が提供される。
かかるベンゾオキサジン化合物は、一般式
Figure 2011111415
で表わされるヒドロキシフェニル基置換アルカノール、芳香族ジ-またはモノ-アミン化合物およびホルムアルデヒドを反応させることにより製造される。
本発明により、ベンゼン環部分が非フェノール性水酸基を含有する置換基で置換された新規ベンゾオキサジン化合物が提供される。この新規ベンゾオキサジン化合物は、非フェノール性水酸基を介して各種ウレタン樹脂やポリエステル樹脂等と反応させることが可能であり、従来のベンゾオキサジン樹脂の欠点であった脆さを克服することができる。また、このベンゾオキサジン化合物を用いた樹脂は、強靱性であり、低誘導体であるという電気的特性にもすぐれているので、基板材料や封止材料等として有効に使用することができる。
本発明に係る新規ベンゾオキサジン化合物は、一般式
Figure 2011111415
で表わされるヒドロキシフェニル基置換アルカノール、芳香族ジ-またはモノ-アミン化合物およびホルムアルデヒドを反応させることにより製造される。
ヒドロキシフェニル基置換アルカノールのヒドロキシル基由来の酸素原子、芳香族アミン化合物のアミノ基由来の窒素原子およびホルムアルデヒド由来の2ヶのメチレン基によって、ベンゼン環と共通する結合を有するオキサジン環が形成される。したがって、各原料成分間のモル比は、ヒドロキシフェニル基置換アルカノール1モルに対して、芳香族ジアミン化合物は2モル、芳香族モノアミン化合物は1モルの割合で、またホルムアルデヒドは2モルの割合で用いられる。
ヒドロキシフェニル基置換アルカノールのアルカノール基-ROHにおいて、Rはエーテル基を有してもよい炭素数1〜6のアルキレン基であり、アルキレン基は直鎖状アルキレン基であることが好ましいが、イソプロピリデン基の如く分岐状アルキレン基であってもよい。また、エーテル基を有するアルキレン基の場合には、アルカノール基-ROHは-(R1O)nR2OHで示されるものが用いられ、n個のR1基とR2基の炭素数の合計は2〜6となる。好ましいヒドロキシフェニル基置換アルカノールとしては、2-(p-ヒドロキシフェニル)エタノールであるp-ヒドロキシフェネチルアルコールが挙げられる。
芳香族ジアミンとしては、例えば4,4′-ジアミノジフェニルエーテル、1,4-ビス(4-アミノフェノキシ)ベンゼン、3,3′-ジアミノジフェニルスルホン、ビス〔4-(4-アミノフェノキシフェニル)〕スルホン、2,2-ビス〔4-(4-アミノフェノキシフェニル)〕プロパン、2,2-ビス〔4-(4-アミノフェノキシフェニル)〕ヘキサフルオロプロパン、ペンジジン(ビフェニル-4,4′-ジアミン)、o-トリジン(3,3′-ジメチルペンジジン)等が用いられ、また芳香族モノアミンとしてはアニリン、o-、m-またはp-トルイジン(o-、m-またはp-メチルアニリン)等が挙げられる。これらの例示にみられるように、芳香族アミンは、その芳香族環が炭素数1〜4の低級アルキル基等で置換されたものであってもよい。
したがって、一般式
Figure 2011111415
で表わされる基において、Arは好ましくはp-フェニレン基であり、芳香族ジアミン化合物を用いた場合には、一般式
Figure 2011111415
で表わされるベンゾオキサジン化合物が得られ、ここでXは直接結合、エーテル基、スルホニル基、炭素数1〜6のアルキレン基またはこれらの基と結合されたフェニレン基である。炭素数1〜6のアルキレン基としては、例えばメチレン基、イソプロピリデン基、ヘキサフルオロイソプロピリデン基の如き、直鎖状または分岐状のものが用いられる。
例えば、エーテル結合と結合されたp-フェニレン基としては、
Figure 2011111415
エーテル結合、スルホニル基と結合されたp-フェニレン基としては、
Figure 2011111415
エーテル結合、イソプロピリデン基と結合されたp-フェニレン基としては、
Figure 2011111415
等が挙げられる。
また、Arがp-フェニレン基であり、芳香族モノアミン化合物を用いた場合には、一般式
Figure 2011111415
で表わされるベンゾオキサジン化合物が得られ、ここでR1は炭素数1〜6のアルキル基、フェニル基またはナフチル基であり、nは0または1〜3の整数である。n=0の場合にはアニリン基由来のフェニル基となる。
また、ホルムアルデヒドとしては、一般にパラホルムアルデヒド、トリオキサン等が用いられるが、好ましくはパラホルムアルデヒドが用いられる。
ヒドロキシフェニル基置換アルカノール、芳香族アミン化合物およびホルムアルデヒドの反応は、トルエン、o-キシレン、m-キシレン、p-キシレン等の芳香族炭化水素溶媒の存在下で、まず芳香族アミン化合物およびホルムアルデヒドとを約80〜85℃で約30〜40分間程度攪拌を行った後、そこにヒドロキシフェニル基置換アルカノールを加え、芳香族炭化水素溶媒が還流する温度である約140〜150℃程度まで反応浴の温度を上昇させ、生成した水を系外に除去しながら、約6〜7時間程度反応させることにより行われる。
反応終了後、吸引ロ過して分離した生成物を水で洗浄、ロ過、乾燥させることにより、約80〜95%程度の高収率で、ベンゼン核部分に非フェノール性水酸基を含有する置換基で置換されたベンゾオキサジン化合物を得ることができる。
次に、実施例について本発明を説明する。
実施例1
還流冷却器を付したDean-Stark装置を備えた容量500mlの反応容器中に、反応溶媒であるトルエン200g、4,4′-ジアミノジフェニルエーテル10g(50ミリモル)およびパラホルムアルデヒド6g(200ミリモル)を仕込み、80℃で30分間攪拌を行った後、p-ヒドロキシフェネチルアルコール13.8g(100ミリモル)を加え、トルエンの還流が起こるまで反応浴の温度を約140〜150℃程度まで上昇させ、生成した水を系外に除去しながら、6時間反応を行った。反応終了後、吸引ロ過して分離した生成物を水で洗浄、ロ過、乾燥することにより、下記式〔I〕で示される黄色の化合物を23.7g(収率90.5%)得た。
Figure 2011111415
1H-NMR(400MHz、DMSO-δ6):6.61-7.09ppm (14H, H1, H2, H3, H5, H6)
4.55ppm (4H, H4)
5.33ppm (4H, H7)
3.54ppm (4H, H9)
2.59ppm (4H, H8)
実施例2
還流冷却器を付したDean-Stark装置を備えた容量500mlの反応容器中に、反応溶媒であるトルエン200g、1,4-ビス(4-アミノフェノキシ)ベンゼン10g(34.2ミリモル)およびパラホルムアルデヒド4.1g(137ミリモル)を仕込み、80℃で30分間攪拌を行った後、p-ヒドロキシフェネチルアルコール9.44g(68.4ミリモル)を加え、トルエンの還流が起こるまで反応浴の温度を約140〜150℃程度まで上昇させ、生成した水を系外に除去しながら、6時間反応を行った。反応終了後、吸引ロ過して分離した生成物を水で洗浄、ロ過、乾燥することにより、下記式〔II〕で示される黄色の化合物を19.29g(収率91.5%)得た。
Figure 2011111415
1H-NMR(400MHz、DMSO-δ6):6.36-6.87ppm (22H, H1, H2, H3, H5, H6, H7, H8)
4.32ppm (4H, H4)
5.09ppm (4H, H9)
3.34ppm (4H, H11)
2.36ppm (4H, H10)
実施例3
還流冷却器を付したDean-Stark装置を備えた容量500mlの反応容器中に、反応溶媒であるトルエン200g、3,3′-ジアミノジフェニルスルホン10g(40.3ミリモル)およびパラホルムアルデヒド4.84g(161ミリモル)を仕込み、80℃で30分間攪拌を行った後、p-ヒドロキシフェネチルアルコール11.1g(80.6ミリモル)を加え、トルエンの還流が起こるまで反応浴の温度を約140〜150℃程度まで上昇させ、生成した水を系外に除去しながら、6時間反応を行った。反応終了後、吸引ロ過して分離した生成物を水で洗浄、ロ過、乾燥することにより、下記式〔III〕で示される黄色の化合物を21.12g(収率91.6%)得た。
Figure 2011111415
1H-NMR(400MHz、DMSO-δ6):6.64-7.55ppm (22H, H1, H2, H3, H5, H6, H7, H8)
4.69ppm (4H, H4)
5.43ppm (4H, H9)
3.58ppm (4H, H11)
2.62ppm (4H, H10)
実施例4
還流冷却器を付したDean-Stark装置を備えた容量500mlの反応容器中に、反応溶媒であるトルエン200g、ビス〔4-(4-アミノフェノキシフェニル)〕スルホン10g(23.1ミリモル)およびパラホルムアルデヒド2.774g(92.4ミリモル)を仕込み、80℃で30分間攪拌を行った後、p-ヒドロキシフェネチルアルコール6.38g(46.2ミリモル)を加え、トルエンの還流が起こるまで反応浴の温度を約140〜150℃程度まで上昇させ、生成した水を系外に除去しながら、6時間反応を行った。反応終了後、吸引ロ過して分離した生成物を水で洗浄、ロ過、乾燥することにより、下記式〔IV〕で示される黄色の化合物を15.06g(収率86.1%)得た。
Figure 2011111415
1H-NMR(400MHz、DMSO-δ6):6.64-7.85ppm (22H, H1, H2, H3, H5, H6, H7, H8)
4.63ppm (4H, H4)
5.39ppm (4H, H9)
3.54ppm (4H, H11)
2.59ppm (4H, H10)
実施例5
還流冷却器を付したDean-Stark装置を備えた容量500mlの反応容器中に、反応溶媒であるトルエン200g、2,2-ビス〔4-(4-アミノフェノキシフェニル)〕プロパン10g(23.1ミリモル)およびパラホルムアルデヒド2.77g(92.4ミリモル)を仕込み、80℃で30分間攪拌を行った後、p-ヒドロキシフェネチルアルコール6.38g(46.2ミリモル)を加え、トルエンの還流が起こるまで反応浴の温度を約140〜150℃程度まで上昇させ、生成した水を系外に除去しながら、6時間反応を行った。反応終了後、吸引ロ過して分離した生成物を水で洗浄、ロ過、乾燥することにより、下記式〔V〕で示される黄色の化合物を16.58g(収率94.8%)得た。
Figure 2011111415
1H-NMR(400MHz、DMSO-δ6):6.57-7.27ppm (22H, H1, H2, H3, H5, H6, H7, H8)
4.58ppm (4H, H4)
5.36ppm (4H, H11)
3.53ppm (4H, H13)
2.62ppm (4H, H12)
1.58ppm (6H, H12, H13)
実施例6
還流冷却器を付したDean-Stark装置を備えた容量500mlの反応容器中に、反応溶媒であるトルエン200g、アニリン20g(214.75ミリモル)およびパラホルムアルデヒド14.1g(92.4ミリモル)を仕込み、80℃で30分間攪拌を行った後、p-ヒドロキシフェネチルアルコール32.5g(46.2ミリモル)を加え、トルエンの還流が起こるまで反応浴の温度を約140〜150℃程度まで上昇させ、生成した水を系外に除去しながら、6時間反応を行った。反応終了後、炭酸水素ナトリウム水溶液および水で洗浄し、分液ロートを使用して有機層を回収した。集めた有機層を無水硫酸マグネシウムで乾燥した後、ロ過により無水硫酸マグネシウムを除去し、ロ液をロータリーエバポレーターで濃縮することにより、下記式〔VI〕で示される黄色の化合物を45.078g(収率82.0%)得た。
Figure 2011111415
1H-NMR(400MHz、DMSO-δ6):6.61-7.51ppm (14H, H1, H2, H3, H5, H6)
4.61ppm (4H, H4)
5.38ppm (4H, H7)
3.79ppm (4H, H9)
2.76ppm (4H, H8)

Claims (8)

  1. ベンゼン環部分が非フェノール性水酸基を含有する置換基で置換されたベンゾオキサジン化合物。
  2. 一般式
    Figure 2011111415
    (ここで、Rはエーテル基を有してもよい炭素数1〜6のアルキレン基であり、Arは2価の芳香族基である)で表わされる基を有する請求項1記載のベンゾオキサジン化合物。
  3. Arがp-フェニレン基である請求項2記載のベンゾオキサジン化合物。
  4. 一般式
    Figure 2011111415
    (ここで、Rはエーテル基を有してもよい炭素数1〜6のアルキレン基であり、Xは直接結合、エーテル基、スルホニル基、炭素数1〜6のアルキレン基またはこれらの基と結合されたフェニレン基である)で表わされる請求項3記載のベンゾオキサジン化合物。
  5. 一般式
    Figure 2011111415
    (ここで、Rはエーテル基を有してもよい炭素数1〜6のアルキレン基であり、R1は炭素数1〜6のアルキル基、フェニル基またはナフチル基であり、nは0または1〜3の整数である)で表わされる請求項3記載のベンゾオキサジン化合物。
  6. 一般式
    Figure 2011111415
    (ここで、Rはエーテル基を有してもよい炭素数1〜6のアルキレン基である)で表わされるヒドロキシフェニル基置換アルカノール、芳香族ジアミン化合物およびホルムアルデヒドを反応させることを特徴とする請求項4記載のベンゾオキサジン化合物の製造法。
  7. 一般式
    Figure 2011111415
    (ここで、Rはエーテル基を有してもよい炭素数1〜6のアルキレン基である)で表わされるヒドロキシフェニル基置換アルカノール、芳香族モノアミン化合物およびホルムアルデヒドを反応させることを特徴とする請求項5記載のベンゾオキサジン化合物の製造法。
  8. ヒドロキシフェニル基置換アルカノールとしてp-ヒドロキシフェネチルアルコールが用いられる請求項6または7記載のベンゾオキサジン化合物の製造法。
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