JP2011111346A - Zn(OH)2ナノシートとZnOナノウィスカー膜によるハイブリッドフィルム、ZnOナノシートとZnOナノウィスカー膜によるハイブリッドフィルム、およびそれらの作製方法 - Google Patents

Zn(OH)2ナノシートとZnOナノウィスカー膜によるハイブリッドフィルム、ZnOナノシートとZnOナノウィスカー膜によるハイブリッドフィルム、およびそれらの作製方法 Download PDF

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Abstract

【課題】Zn(OH)ナノシートとZnOナノウィスカー膜によるハイブリッドフィルムなどを提供する。
【解決手段】FTO基板上に、ZnOウィスカー膜を形成し、さらに、ZnOウィスカー膜に温水処理を施すことにより、該ZnOウィスカー膜表面に、Zn(OH)ナノシートを形成させ、Zn(OH)ナノシートとZnOナノウィスカー膜によるハイブリッドフィルムをFTO基板上に合成し、また、これに、加熱処理を施すことにより、ZnOナノシートとZnOナノウィスカー膜によるハイブリッドフィルムを合成する。
【効果】ZnOウィスカーの高い導電性や表面積と、Zn(OH)の高い吸着特性を併せ持つ、DNAセンサーおよびたんぱく質センサーとして利用できる新規ハイブリッドフィルムを提供する。
【選択図】図1

Description

本発明は、Zn(OH)ナノシートとZnOナノウィスカー膜によるハイブリッドフィルム、ZnOナノシートとZnOナノウィスカー膜によるハイブリッドフィルム、およびそれらの析出法による作製方法に関するものであり、さらに詳しくは、フッ素ドープSnO被覆ガラス基板(FTO基板)などの基板上に形成したZn(OH)ナノシートとZnOナノウィスカー膜によるハイブリッドフィルムおよびその作製方法などに関するものである。
本発明は、FTO上のハイブリッドフィルムとして、あるいは、任意の基板上に形成したハイブリッドフィルムとして使用することができ、例えば、DNAセンサー、たんぱく質センサー、溶液センサー、ガスセンサー、色素増感型太陽電池、フィルター、触媒などとして利用できる、Zn(OH)ナノシートとZnOナノウィスカー膜によるハイブリッドフィルム、およびZnOナノシートとZnOナノウィスカー膜によるハイブリッドフィルムに関する新技術・新製品を提供するものである。
酸化亜鉛および亜鉛含有材料は、電子材料、光学材料、色素増感型太陽電池など、さまざまな分野への応用が期待されており、多くの研究がなされている。酸化亜鉛は、アプリケーションが豊富で、かつ、結晶サイズ、形状、分散状態、結晶性などによって特性が異なることから、これまで、様々な形態の酸化亜鉛粒子および粒子膜が開発されてきた。
これまでに、先行技術として、例えば、ZnOウィスカー、ZnOウィスカー膜およびそれらの作製方法(特許文献1)、ZnOウィスカー膜およびその作製方法(特許文献2)、酸化亜鉛粒子または膜製造用水溶液および酸化亜鉛粒子または膜の製造方法(特許文献3)、粒子状亜鉛含有化合物、酸化亜鉛粒子およびそれらの製造方法(特許文献4)、酸化亜鉛結晶の製造方法および該方法により得られる酸化亜鉛結晶付き基材(特許文献5)、亜鉛酸化物粒子(特許文献6)、などが提案されている。
Zn(OH)は、高い正電荷を持ち、負に帯電したDNAや、たんぱく質を強く吸着させることができる。そのため、Zn(OH)は、包帯、縫合剤(surgical dressing)、たんぱく質の分離、ナノ遷移メンブレン、酸化亜鉛の前駆体などとしての応用に期待が集まっている。
また、ZnOウィスカーの高い導電性や、表面積と、Zn(OH)の高いDNAおよびたんぱく質の吸着特性を併せ持つ材料により、新しいDNAセンサーや、たんぱく質センサーの開発が望まれている。
微細な構造を持つ酸化亜鉛は、例えば、電子デバイス、光デバイス、化粧品、色素増感型太陽電池、ガスセンサー、分子センサー、DNAセンサーなどの用途において、期待が集まっている。しかし、実際には、微細な構造を持つZn(OH)の開発は、限られており、また、ZnOとZn(OH)のハイブリッド材料の報告例は、ほとんど見られないのが実情である。そこで、当技術分野においては、微細な構造を持つZnOとZn(OH)のハイブリッド材料を開発することが強く要請されていた。
特開2008−230895号公報 特開2008−297168号公報 特開2004−149367号公報 特開2007−223873号公報 特開2008−230877号公報 特表2002−539064号公報
このような状況の中で、本発明者らは、上記従来技術に鑑みて、Zn(OH)ナノシートとZnOナノウィスカー膜によるハイブリッドフィルム、ZnOナノシートとZnOナノウィスカー膜によるハイブリッドフィルム、およびそれらの作製方法を開発することを目標として鋭意研究を積み重ねた結果、FTO基板などの基板上に、ZnOウィスカー膜を形成し、さらに、ZnOウィスカー膜に温水処理を施し、また、さらに加熱処理を施して、析出法によりZnOウィスカー膜上にZn(OH)ナノシート構造体を形成することにより、所期の目的を達成することを見出し、本発明を完成するに至った。
本発明は、上記従来の事情を鑑みてなされたものであり、ZnOとZn(OH)のハイブリッド材料を提供し、かつ、その析出法による作製方法を提供することを目的とするものである。また、本発明は、Zn(OH)ナノシートとZnOナノウィスカー膜によるハイブリッドフィルム、ZnOナノシートとZnOナノウィスカー膜によるハイブリッドフィルム、およびそれらの析出法による作製方法を提供することを目的とするものである。
上記課題を解決するための本発明は、以下の技術的手段から構成される。
(1)酸化亜鉛が析出する反応系を用いて、該反応系の温度、原料濃度、添加剤ないしpHを調整することにより、酸化亜鉛を基板上に析出あるいは堆積させ、c軸配合しているZnOウィスカー膜を形成させ、次いで、該ZnOウィスカー膜を、適宜の温度の水中に浸漬し、あるいは水熱合成により、ZnOウィスカー膜上にZn(OH)ナノシートを形成することを特徴とするZn(OH)ナノシートとZnOウィスカー膜によるハイブイッドフイルムの製造方法。
(2)ZnOウィスカー膜を、0〜100℃の水中に浸漬し、ZnOウィスカー膜上にZn(OH)ナノシート構造体を形成する、前記(1)に記載のハイブイッドフイルムの製造方法。
(3)基板として、フッ素ドープSnO被覆ガラス(FTO)基板を用いる、前記(1)または(2)に記載のハイブイッドフイルムの製造方法。
(4)前記(1)から(3)のいずれかに記載の方法で作製したZn(OH)ナノシートとZnOウィスカー膜によるハイブリッドフィルムを、加熱反応に供して、Zn(OH)ナノシートの構造を保ったまま、ZnOナノシートへと相転移させることを特徴とするZnOナノシートとZnOナノウィスカー膜によるハイブリッドフィルムの製造方法。
(5)上記ハイブリッドフィルムを、120−450℃の温度範囲の加熱反応に供して相転移させる、前記(4)に記載のハイブリッドフィルムの製造方法。
(6)基板上に析出法で形成したZnOナノウィスカー膜と該ウィスカー膜上に形成されたZn(OH)ナノシートとからなるハイブリッドフィルム。
(7)基板上に析出法で形成したZnOナノウィスカー膜と該ウィスカー膜上に形成されたZnOナノシートとからなるハイブリッドフィルム。
(8)ZnOウィスカー膜の温水処理により作製してなる、前記(6)に記載のZn(OH)ナノシートとZnOナノウィスカー膜によるハイブリッドフィルム。
(9)ZnOウィスカー膜の温水処理および加熱処理により作製してなる、前記(7)に記載のZnOナノシートとZnOナノウィスカー膜によるハイブリッドフィルム。
(10)前記(6)から(9)のいずれかに記載の亜鉛含有ハイブリッドフィルムを構成要素として含むことを特徴とする酸化亜鉛系または水酸化亜鉛系デバイス。
次に、本発明について更に詳細に説明する。
本発明は、ZnOウィスカーの温水処理や、Zn(OH)の成長、加熱処理を用いて、Zn(OH)ナノシートとZnOナノウィスカー膜によるハイブリッドフィルム、ZnOナノシートとZnOナノウィスカー膜によるハイブリッドフィルムを合成することを最も主要な特徴とするものである。
本発明では、具体的には、第一段階として、析出法を利用して、FTO基板などの基板上に、ZnOウィスカー膜を形成させ、さらに、該ZnOウィスカー膜に、温水処理を施すことにより、ZnOウィスカー膜表面に、Zn(OH)ナノシートを形成させ、その結果、Zn(OH)ナノシートとZnOナノウィスカー膜によるハイブリッドフィルムを、FTO基板などの基板上に形成する。次いで、このZn(OH)ナノシートとZnOナノウィスカー膜に、加熱処理を施すことにより、ZnOナノシートとZnOナノウィスカー膜によるハイブリッドフィルムを合成する。
本発明では、出発原料の亜鉛含有溶液として、後記する実施例の酢酸亜鉛の他、硝酸亜鉛、ホウ酸亜鉛、臭化亜鉛、ブチル安息香酸亜鉛、塩基性炭酸亜鉛、炭酸水酸化亜鉛、塩化亜鉛、クエン酸亜鉛、ジベンジルジチオカルバミン亜鉛、ジブチルジチオカルバミン酸亜鉛、ジエチルジチオカルバミン三亜鉛、エチルヘキ酸亜鉛、フッ化亜鉛、ギ酸亜鉛、グルコヘプトン酸亜鉛、グルコン酸亜鉛、ヘキサフルオロアセチルアセトナト亜鉛、ヨウ化亜鉛、乳酸亜鉛、ラウリン酸亜鉛、ミリスチン酸亜鉛、ネオデカン酸亜鉛、シュウ酸亜鉛、過塩素酸亜鉛、フェノールスルホン酸亜鉛、リン酸亜鉛、フタロシアニン案、プロピオン酸亜鉛、サリチル酸亜鉛、ステアリン酸亜鉛、硫酸亜鉛、亜硫酸亜鉛、チオシアン酸亜鉛、酸化亜鉛などを含有あるいは溶解させた水溶液を用いることができる。
また、合成反応の反応系としては、酸化亜鉛が析出する反応系であれば、有機溶液などの、非水溶液反応系も用いることができる。反応としては、酸化亜鉛が析出する反応であれば、水熱反応なども用いることができる。上記反応系において、ポリエチレンイミン以外の、ポリカチオンや、他の添加物を用いることもできる。
また、反応系において、添加剤を加えたり、温度や原料濃度、pHを変化させて、酸化亜鉛を析出させることもできる。反応系の温度も、原料濃度、添加剤、pHなどに合わせて調整することができる。酸化亜鉛を、基板上に、析出あるいは堆積させることもできる。また、平板状基板以外に、粒子基材、繊維基材、複雑形状基材なども用いることができる。
本発明で、好適に用いられる薬品や基板として、例えば、酢酸亜鉛2水和物(Zn(CHCOO)・2HO,99%)、硝酸亜鉛6水和物(Zn(NO・6HO,99%)、ヘキサメチレンテトラミン(hexamethylenetetramine)[HMT,C12,99%]、ポリエチレンイミン[PEI,(CN),branched mean molecular weight of 600,99%]、フッ素ドープSnO被覆ガラス基板(FTO基板)、無水酢酸亜鉛(anhydrous zinc acetate)が例示される。
本発明では、酢酸亜鉛2水和物のエタノール溶液を塗布した基板を、硝酸亜鉛6水和物、ヘキサメチレンテトラミン、ポリエチレンイミンを含有した所定の温度の水溶液中に浸漬し、ZnOウィスカー膜を合成する。以下に示す本発明の合成反応において、温水処理、加熱処理、乾燥処理の温度および時間などの条件は、適宜変更することが可能である。
すなわち、所定の濃度の酢酸亜鉛2水和物などを溶解したエタノール溶液を、例えば、スピンコーティングにより、フッ素ドープSnO被覆ガラス基板(FTO基板)などの基板上に塗布し、真空紫外光照射処理または65℃程度での乾燥を行う。処理後の基板を、硝酸亜鉛6水和物、ヘキサメチレンテトラミン、ポリエチレンイミンなどを含有した88℃程度の水溶液中に浸漬し、ZnOウィスカー膜を、FTO基板などの基板上に形成する。
このZnOウィスカー膜は、c軸方向に異方成長することにより、ウィスカー形態へと成長する。また、ZnOウィスカーが、基板に垂直方向に成長することで、ZnOウィスカーが、基板に立って集積化したZnOウィスカー膜が形成される。
その後、ZnOウィスカー膜を、加熱した蒸留水中に撹拌なしで浸漬し、ZnOウィスカー膜上にナノシート構造体を形成する。水溶液から基板を取り出し、基板を蒸留水で洗浄した後、乾燥機によって60℃程度で乾燥させるか、または350℃程度にて2時間程度加熱処理を施す。これらの処理条件は、適宜変更することができる。
ウィスカー膜の形態は、走査型電子顕微鏡(FE−SEM;JSM−6335F,JEOL Ltd.)および透過型電子顕微鏡(TEM;Hitachi HF−2000,Hitachi Kyowa Engineering Co.Ltd.)により観察する。
その結晶構造は、透過型電子顕微鏡に取り付けた電子線回折および粉末X線回折装置(XRD;RINT−2100V,Rigaku,CuKα radiation,40kV,30mA)により評価する。
その組成は、走査型電子顕微鏡(FE−SEM;S−4300,Hitachi)に取り付けたエネルギー分散型蛍光X線分析装置(EDX)により評価し、また、X線光電子分光(XPS;ESCA−3400,Shimadzu Co.)により評価する。
ZnOウィスカー膜は、XRDパターンから、複数の回折線が観察され、それらは、FTO基板由来の酸化スズ、および酸化亜鉛からの回折線(JCPDS card(36−1451))に帰属される。
酸化亜鉛の0002回折線が非常に強いことから、ZnOウィスカー膜は、高いc軸配向を有している。これは、ZnOウィスカーが、c軸方向に沿って異方成長し、それらのウィスカーが、FTO基板などの基板に垂直に立ってZnOウィスカー膜を形成していることを示している。
また、酸化亜鉛の10−11,10−12,10−13回折線も観察される。SEM観察においては、FTO基板などの基板表面に、ウィスカーが立って形成している様子が示される。
また、それぞれのウィスカーは、平滑な表面で囲まれるとともに、尖った先端を有している。ZnOウィスカー膜を、0〜100℃、例えば、65℃程度の蒸留水中に浸漬し、ZnOウィスカー膜上にZn(OH)ナノシート構造体を形成する。この場合、65℃程度の蒸留水中に限らず、水熱合成条件でもナノシート構造体を形成することも可能であり、65℃程度の温水処理あるいは水熱合成処理のいずれでも利用することができる。
5日間程度の浸漬後の表面SEM観察では、ZnOウィスカーは、それぞれ独立した状態を維持しているが、高倍率にて観察すると、ZnOウィスカーの表面には、微小なナノシートが形成している様子が見られる。
特に、先端近傍での微小ナノシートの形成が顕著である。この微小ナノシートの形成により、ZnOウィスカーの表面のラフネスが増加する。25日間程度の浸漬後では、ZnOウィスカー膜表面は、ZnOナノシートにより被覆されている。
また、Zn(OH)ナノシートは、波を打った形状であるとともに、連続した構造である。2ヶ月間程度の浸漬後では、ZnOウィスカー膜表面は、厚いZn(OH)ナノシート層により被覆されている。
Zn(OH)ナノシートの厚みおよびサイズは、さらに増加しており、シートが基板に垂直方向に立った状態も多く観察される。ナノシート構造体の形成により、基板表面には、ナノシート構造由来の多くの微細な凹凸構造が形成されるとともに、ナノシートで囲まれた微小空間が形成される。本発明では、FTO基板などの基板上に、ZnOウィスカー膜とZn(OH)ナノシートのハイブリッドフィルムを合成する。
25日間程度の浸漬後の断面SEM観察では、ZnOウィスカー膜上部に、Zn(OH)ナノシートが形成している様子が示される。その際、ZnOウィスカー膜の中央部およびFTO基板近傍でのZn(OH)ナノシート形成は、わずかである。
また、ZnOウィスカーの先端が消失するとともに、ZnOウィスカーの表面ラフネスは増加する。ZnOウィスカーの先端の消失は、過熱蒸留水中にて、特に、ZnOウィスカー膜と加熱蒸留水との接触界面近傍にて、ZnOウィスカーの先端が溶解したことを示す。
2ヶ月間程度の浸漬により、Zn(OH)ナノシートの厚さおよびサイズは、増加し、SEM像において、はっきりとした形状を示す。このことは、ZnOウィスカーの溶解およびZn(OH)ナノシートの形成が、さらに進行したことを示す。ナノシートは、Zn(OH)である。
また、特筆すべき点として、約120−450℃程度の広い温度範囲の加熱反応により、Zn(OH)ナノシートの構造を保ったまま、ZnOナノシートへと相転移させることも容易に行える。このため、Zn(OH)ナノシートと同様な構造を持ったZnOナノシートを合成することができる。
すなわち、Zn(OH)ナノシートと同様な構造を持ったZnOナノシートとZnOナノウィスカー膜によるハイブリッドフィルムを合成することができる。EDXによる組成分析により、浸漬時間2ヶ月間程度により合成したZn(OH)ナノシート集積膜/ZnOウィスカー膜ハイブリッドフィルムの表面からは、FTO基板由来のSi,Al,Snに加え、ZnとOが検出される。
25日間程度の浸漬後の断面TEM観察では、ZnOウィスカー膜表面に、Zn(OH)ナノシート集積膜が形成している様子が示される。ナノシート領域の制限視野電子線回折パターンからは、ナノシートが、Zn(OH)結晶単相であることが示される。
また、ウィスカー領域の制限視野電子線回折パターンからは、ウィスカーが、ZnO単結晶であることが示される。2ヶ月間程度の浸漬後のハイブリッドフィルムのXRDパターンは、ZnOウィスカー膜のXRDパターンと類似である。
しかし、酸化亜鉛の0002回折線強度は、明らかに減少している。また、FTOと酸化亜鉛由来の回折線以外は観察されない。これらのことから、Zn(OH)ナノシートの回折線は、析出量が少なく、結晶性が低いために、検出されないと考えられる。
ZnOウィスカー膜表面のXPS分析において、O1sスペクトルが観察される。また、O1sスペクトルは、ガウス関数を用いて、530.5eVおよび532.1eVの2つのピークに分離される。
低エネルギー成分(530.5eV)は、ZnO中の酸素に帰属される。また、高エネルギー成分(532.1eV)は、表面の−OHやOH・・・O由来の酸素に帰属される。この成分は、高温加熱処理においても、容易には脱離しない成分である。
Zn(OH)ナノシート集積膜/ZnOウィスカー膜ハイブリッドフィルムの表面のXPS分析においても、O1sスペクトルが観察される。このO1sスペクトルは、ガウス関数によるフィッティングにおいて、単一成分であることが示される。
532.5eVに見られるO1sスペクトルは、OH由来であると考えられる。これらのことから、ZnOウィスカー膜表面に形成したナノシートは、Zn(OH)であると考えられる。
90℃程度においても、Zn(OH)ナノシートとZnOナノウィスカー膜によるハイブリッドフィルムを合成するができる。90℃での25日間程度の浸漬により、大量のナノシートが、ZnOウィスカー膜上に成長し、最終的にはそれらは互いに結合する。
90℃程度では、65℃程度での合成よりも、Zn(OH)ナノシートの形成速度が速い。これは、90℃程度では、溶解−再析出反応が速やかに進行したためと考えられる。反応温度の上昇がZnOの溶解に対して強い駆動力を与え、Zn(OH)の比較的速い成長をもたらしたものと考えられる。一方、25℃程度においては、6ヶ月以内の期間においては、Zn(OH)ナノシートの形成は起きない。
Zn(OH)の最も安定な結晶構造は、4面体配位の亜鉛イオンを含む透明なダブルピラミッドである。ダブルピラミッドZn(OH)は、ZnOの前駆体として、高アルカリ亜鉛塩溶液から容易に生成する[文献3]。一方、Zn(OH)層状格子は、合成が困難であり、その構造は、詳細には報告されていない[文献4]。
25℃でのZnO(s)とZn(OH)(s)の熱力学自由エネルギー(ΔG°)は、それぞれ、−318.3KJ.mol−1と−553.6KJ.mol−1である。そのため、Zn(OH)は、反応の初期段階において、すぐに熱力学的安定相として形成される。
下記の反応式(1)に見られるように、高い温度においては、過飽和度とOHの化学ポテンシャルに依存して、Zn(OH)前駆体はZnOに相転移する[文献5−8]。
25℃でのZnOとZn(OH)の溶解度は同程度である。これは、pHの関数であるZnO(s)−HOとZn(OH)(s)−HOの相安定性のダイアグラムから読み取れる[文献9]。報告されている様に、特定の温度において、溶液のpHは、溶解した金属イオン水和錯体の安定な加水分解の状態を決定付ける最も重要なファクターである。
1)酸性溶液中においては、正に帯電した金属イオンヒドロキソ錯体が安定な形態であり、2)アルカリ性溶液中においては、負に帯電した金属イオンヒドロキソ錯体が安定な形態であり、3)中性溶液中においては、帯電していないヒドロキソ錯体が安定な形態となる傾向がある[文献10]。
本発明においては、ZnOウィスカー膜は、中性の水中に保持されていたため、エネルギー最小の原理(the principle of least energy)により、反応式(1)における熱力学的平衡は、左に偏り、熱力学的に安定なZn(OH)が生成する。そのため、ZnO(s)のさらなる溶解を伴って、ZnOウィスカー膜表面に、不均一核形成により層状Zn(OH)(s)が生成する。室温においては、6ヶ月以内の期間においては、溶解−再析出は起きなかったことは特筆すべき点である。
しかし、図8に見られる様に、90℃においては、溶解−再析出反応が速やかに進行する。90℃での25日間の浸漬により、大量のナノシートがZnOウィスカー膜上に成長し、最終的にはそれらは互いに結合する。反応温度の上昇がZnOの溶解に対して強い駆動力を与え、Zn(OH)の比較的速い成長をもたらす。これらは、水溶液中でのZnOの溶解度の挙動に関する報告と一致する[文献10−12]。
本発明により、次のような効果が奏される。
(1)Zn(OH)ナノシートとZnOナノウィスカー膜によるハイブリッドフィルムを作製することができる。
(2)Zn(OH)ナノシートを作製することができる。
(3)ZnOナノシートとZnOナノウィスカー膜によるハイブリッドフィルムを作製することができる。
(4)ZnOナノシートを作製することができる。
(5)本発明は、上記ハイブリッドフィルムを、FTO基板上のハイブリッドフィルムとして、あるいは、任意の基板上に形成したハイブリッドフィルムとして提供することができる。
(6)本発明の上記ハイブリッドフィルムは、例えば、DNAセンサー、たんぱく質センサー、溶液センサー、ガスセンサー、色素増感型太陽電池、フィルター、触媒などとしての用途を有するものである。
FTO基板上に形成したZnOウィスカー膜の、(a)XRDパターンおよび(b)表面FE−SEM像を示す。 Zn(OH)ナノシート集積膜/ZnOウィスカー膜ハイブリッドフィルムの表面のSEM像を示す。(a,b):浸漬時間5日間、溶液温度65℃。(c,d):浸漬時間25日間、溶液温度65℃。(e,f):浸漬時間2ヶ月間、溶液温度65℃。 Zn(OH)ナノシート集積膜/ZnOウィスカー膜ハイブリッドフィルムの断面のSEM像を示す。(a,b):浸漬時間25日間、溶液温度65℃。(c,d):浸漬時間2ヶ月間、溶液温度65℃。 Zn(OH)ナノシート集積膜/ZnOウィスカー膜ハイブリッドフィルムのEDXによる組成分析(図2eに示すハイブリッドフィルム、浸漬時間2ヶ月間、溶液温度65℃)を示す。挿入図は、FTO基板のEDXスペクトルである。 (a)は、Zn(OH)ナノシート集積膜/ZnOウィスカー膜ハイブリッドフィルムの断面のTEM像(浸漬時間25日間、溶液温度65℃)を示す。(b)および(c)は、(a)中の白円内領域の制限視野電子線回折パターンである。 Zn(OH)ナノシート集積膜/ZnOウィスカー膜ハイブリッドフィルムのXRDパターン(浸漬時間2ヶ月間、溶液温度65℃)を示す。 (a)は、ZnOウィスカー膜のO1sスペクトルを示す。O1sスペクトルは、530.5eVおよび532.1eVの2つのガウスピークに分離された。(b)は、Zn(OH)ナノシート集積膜/ZnOウィスカー膜ハイブリッドフィルムのO1sスペクトル(浸漬時間2ヶ月間、溶液温度65℃)を示す。 Zn(OH)ナノシート集積膜/ZnOウィスカー膜ハイブリッドフィルムのSEM像を示す。(a)は、表面SEM像であり、(b,c)は、断面SEM像である。浸漬時間25日間、溶液温度90℃。
次に、実施例に基いて、本発明について具体的に説明するが、本発明は、以下の実施例によって何ら限定されるものではない。
本実施例では、FTO基板上に、Zn(OH)ナノシートとZnOナノウィスカー膜によるハイブリッドフィルムを合成した。また、合成したZn(OH)ナノシートとZnOナノウィスカー膜によるハイブリッドフィルムに、加熱処理を施すことにより、ZnOナノシートとZnOナノウィスカー膜によるハイブリッドフィルムを合成した。
本発明において、Zn(OH)ナノシートとは、Zn(OH)を主成分(モル比50%以上)とする固体物質を意味するものとして定義される。本発明において、Zn(OH)とは、水酸化亜鉛結晶およびアモルファス水酸化亜鉛、ならびにそれと同等ないし関連する物質を意味する。
本発明において、ZnOナノシートとは、ZnOを主成分(モル比50%以上)とする固体物質を意味するものとして定義される。本発明において、ZnOとは、酸化亜鉛結晶およびアモルファス酸化亜鉛、ならびにそれと同等ないし関連する物質を意味する。
本実施例で、用いた薬品、基板を以下に示す。
・ 酢酸亜鉛2水和物(Zn(CHCOO)・2HO,99%)
・ 硝酸亜鉛6水和物(Zn(NO・6HO,99%)
・ ヘキサメチレンテトラミン(hexamethylenetetramine)[HMT,C12,99%]
・ ポリエチレンイミン[PEI,(CN),branched mean molecular weight of 600,99%]
・ フッ素ドープSnO被覆ガラス基板(FTO基板)
・ 無水酢酸亜鉛(anhydrous zinc acetate)
酢酸亜鉛2水和物のエタノール溶液を塗布した基板を、硝酸亜鉛6水和物、ヘキサメチレンテトラミン、ポリエチレンイミンを含有した所定の温度の水溶液中に浸漬し、ZnOウィスカー膜を合成した。
すなわち、0.01M酢酸亜鉛2水和物を溶解したエタノール溶液を、スピンコーティングにより、フッ素ドープSnO被覆ガラス基板(FTO基板)上に塗布し、真空紫外光照射処理または65℃での乾燥を行った。処理後の基板を、硝酸亜鉛6水和物、ヘキサメチレンテトラミン、ポリエチレンイミンを含有した88℃の水溶液中に浸漬し、ZnOウィスカー膜を、FTO基板上に形成した。
このZnOウィスカー膜は、c軸方向に異方成長することにより、ウィスカー形態へと成長したものであった。また、ZnOウィスカーが、基板に垂直方向に成長することで、ZnOウィスカーが基板に立って集積化したZnOウィスカー膜を形成していた。
ZnOウィスカー膜の形態は、走査型電子顕微鏡(FE−SEM;JSM−6335F,JEOL Ltd.)および透過型電子顕微鏡(TEM;Hitachi HF−2000,Hitachi Kyowa Engineering Co.Ltd.)によって観察した。
その結晶構造は、透過型電子顕微鏡に取り付けた電子線回折および粉末X線回折装置(XRD;RINT−2100V,Rigaku,CuKα radiation,40kV,30mA)により評価した。
その組成は、走査型電子顕微鏡(FE−SEM;S−4300,Hitachi)に取り付けたエネルギー分散型蛍光X線分析装置(EDX)により評価し、また、X線光電子分光(XPS;ESCA−3400,Shimadzu Co.)により評価した。
ZnOウィスカー膜のXRDパターン(図1a)からは、複数の回折線が観察され、それらは、FTO基板由来の酸化スズ、および酸化亜鉛からの回折線(JCPDS card(36−1451))に帰属された。
酸化亜鉛の0002回折線が非常に強いことから、ZnOウィスカー膜が、高いc軸配向を有していることが示された。これは、ZnOウィスカーが、c軸方向に沿って異方成長し、それらのウィスカーが、FTO基板に垂直に立ってZnOウィスカー膜を形成していることに起因している。
また、酸化亜鉛の10−11,10−12,10−13回折線も観察された。SEM観察においては、FTO基板表面に、ウィスカーが立って形成されている様子が示された。また、それぞれのウィスカーは、平滑な表面で囲まれるとともに、尖った先端を有していた(図1b)。
その後、ZnOウィスカー膜を、加熱した蒸留水中に撹拌なしで浸漬し、ZnOウィスカー膜上に、ナノシート構造体を形成した。水溶液から基板を取り出し、基板を蒸留水で洗浄した後、乾燥機によって、60℃で乾燥させるか、または350℃にで2時間加熱処理を施した。
すなわち、ZnOウィスカー膜を、65℃の蒸留水中に浸漬し、ZnOウィスカー膜上に、Zn(OH)ナノシート構造体を形成した。図2に、Zn(OH)ナノシート集積体/ZnOウィスカー膜ハイブリッドフィルムの表面SEM像を示す。
5日間浸漬後の表面SEM観察では、ZnOウィスカーは、それぞれ独立した状態を維持していたが(図2a)、高倍率にて観察したところ、ZnOウィスカーの表面には、微小なナノシートが形成している様子が見られた(図2b)。
特に、先端近傍での微小ナノシートの形成が顕著であった。この微小ナノシートの形成により、ZnOウィスカーの表面のラフネスが増加した。25日間浸漬後では、ZnOウィスカー膜の表面は、ZnOナノシートにより被覆されていた(図2c)。
また、Zn(OH)ナノシートは、波を打った形状であるとともに、連続した構造であった(図2d)。2ヶ月間浸漬後では、ZnOウィスカー膜の表面は、厚いZn(OH)ナノシート層により被覆されていた(図2e)。
Zn(OH)ナノシートの厚みおよびサイズは、さらに増加しており、シートが基板に垂直方向に立った状態も多く観察された(図2f)。ナノシート構造体の形成により、基板表面には、ナノシート構造由来の多くの微細な凹凸構造が形成されるとともに、ナノシートで囲まれた微小空間が形成された。
本発明により、上述のように、FTO基板上に、ZnOウィスカー膜とZn(OH)ナノシートのハイブリッドフィルムを合成した。図3に、Zn(OH)ナノシート集積体/ZnOウィスカー膜ハイブリッドフィルムの断面SEM像を示す。25日間浸漬後の断面SEM観察では、ZnOウィスカー膜の上部に、Zn(OH)ナノシートが形成されている様子が示された(図3a)。その際、ZnOウィスカー膜の中央部およびFTO基板近傍でのZn(OH)ナノシートの形成は、わずかであった。
また、ZnOウィスカーの先端が消失するとともに、ZnOウィスカーの表面ラフネスは、増加していた(図3b)。ZnOウィスカーの先端の消失は、加熱蒸留水中にて、特に、ZnOウィスカー膜と加熱蒸留水との接触界面近傍にて、ZnOウィスカーの先端が溶解したことを示している。
2ヶ月間の浸漬により、Zn(OH)ナノシートの厚さおよびサイズは増加し、SEM像において、はっきりとした形状を示した(図3c)。このことは、ZnOウィスカーの溶解およびZn(OH)ナノシートの形成がさらに進行したことを示している。後述の評価により、ナノシートが、Zn(OH)であることが確認された。
また、特筆すべき点として、120−450℃の広い温度範囲の加熱反応により、Zn(OH)ナノシートの構造を保ったまま、ZnOナノシートへと相転移させることも容易に行えることがわかった。
このため、Zn(OH)ナノシートと同様な構造を持ったZnOナノシートを合成することができる。すなわち、Zn(OH)ナノシートと同様な構造を持ったZnOナノシートとZnOナノウィスカー膜によるハイブリッドフィルムを合成することが可能である。
EDXによる組成分析の結果、浸漬時間2ヶ月間により合成したZn(OH)ナノシート集積膜/ZnOウィスカー膜ハイブリッドフィルムの表面からは、FTO基板由来のSi,Al,Snに加え、ZnとOが検出された。図4に、Zn(OH)ナノシート集積膜/ZnOウィスカー膜ハイブリッドフィルムのEDXによる組成分析の結果を示す。
図5に、Zn(OH)ナノシート集積膜/ZnOウィスカー膜ハイブリッドフィルムの断面TEM像を示す。25日間浸漬後の断面TEM観察では、図中、下部に示されたZnOウィスカー膜表面に、Zn(OH)ナノシート集積膜が形成している様子が示された(図5a)。図5a中の白円bに見られるナノシート領域の制限視野電子線回折パターンからは、ナノシートが、Zn(OH)結晶単相であることが示された(図5b)。
また、図5a中の白円cに見られるウィスカー領域の制限視野電子線回折パターンからは、ウィスカーが、ZnO単結晶であることが示された(図5b)。図6に、Zn(OH)ナノシート集積膜/ZnOウィスカー膜ハイブリッドフィルムのXRDパターンを示す。2ヶ月間浸漬後のハイブリッドフィルムのXRDパターン(図6)は、図1aに示したZnOウィスカー膜のXRDパターンと類似であった。
しかし、酸化亜鉛の0002回折線強度は、明らかに減少していた。また、FTOと酸化亜鉛由来の回折線以外は、観察されなかった。これらのことから、Zn(OH)ナノシートの回折線は、析出量が少なく、結晶性が低いために、検出されなかったと考えられる。
図7に、ZnOウィスカー膜のOlsスペクトルを示す。ZnOウィスカー膜表面のXPS分析において、O1sスペクトルが観察された(図7a)。また、O1sスペクトルは、ガウス関数を用いて、530.5eVおよび532.1eVの2つのピークに分離された。
低エネルギー成分(530.5eV)は、ZnO中の酸素に帰属された。また、高エネルギー成分(532.1eV)は、表面の−OHやOH・・・O由来の酸素に帰属された。この成分は、高温加熱処理においても、容易には脱離しない成分である[文献1、文献2]。
Zn(OH)ナノシート集積膜/ZnOウィスカー膜ハイブリッドフィルムの表面のXPS分析においても、O1sスペクトルが観察された。このO1sスペクトルは、ガウス関数によるフィッティングにおいて、単一成分であることが示された(図7b)。
532.5eVに見られるO1sスペクトルは、OH由来であると考えられる。これらのことから、ZnOウィスカー膜表面に形成したナノシートは、Zn(OH)であると考えられる。90℃においても、Zn(OH)ナノシートとZnOナノウィスカー膜によるハイブリッドフィルムを合成することに成功した。図8に、Zn(OH)ナノシート集積膜/ZnOウィスカー膜ハイブリッドフィルムの表面SEM像(a)、断面SEM像(b、c)を示す。
90℃での25日間の浸漬により、大量のナノシートが、ZnOウィスカー膜上に成長し、最終的には、それらは互いに結合した。90℃では、65℃での合成よりも、Zn(OH)ナノシートの形成速度が速かった。これは、90℃では、溶解−再析出反応が速やかに進行したためと考えられる。
反応温度の上昇がZnOの溶解に対して強い駆動力を与え、Zn(OH)の比較的速い成長をもたらしたものと考えられる。一方、25℃においては、6ヶ月以内の期間においては、Zn(OH)ナノシートの形成は、起きなかった。
以上詳述したように、本発明は、Zn(OH)ナノシートとZnOナノウィスカー膜によるハイブリッドフィルム、ZnOナノシートとZnOナノウィスカー膜によるハイブリッドフィルム、およびそれらの作製方法に係るものであり、本発明により、Zn(OH)ナノシートとZnOナノウィスカー膜によるハイブリッドフィルムを合成し、提供することができ、これを加熱反応に供して、ZnOナノシートとZnOナノウィスカー膜によるハイブリッドフィルムを合成し、提供することができる。本発明では、FTO上のハイブリッドフィルムとして、あるいは、任意の基板上に形成したハイブリッドフィルムとして使用することができ、本発明は、例えば、DNAセンサー、たんぱく質センサー、溶液センサー、ガスセンサー、色素増感型太陽電池、フィルター、触媒などとして利用できる上記ハイブリッドフィルムを提供するものとして有用である。
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Claims (10)

  1. 酸化亜鉛が析出する反応系を用いて、該反応系の温度、原料濃度、添加剤ないしpHを調整することにより、酸化亜鉛を基板上に析出あるいは堆積させ、c軸配合しているZnOウィスカー膜を形成させ、次いで、該ZnOウィスカー膜を、適宜の温度の水中に浸漬し、あるいは水熱合成により、ZnOウィスカー膜上にZn(OH)ナノシートを形成することを特徴とするZn(OH)ナノシートとZnOウィスカー膜によるハイブイッドフイルムの製造方法。
  2. ZnOウィスカー膜を、0〜100℃の水中に浸漬し、ZnOウィスカー膜上にZn(OH)ナノシート構造体を形成する、請求項1に記載のハイブイッドフイルムの製造方法。
  3. 基板として、フッ素ドープSnO被覆ガラス(FTO)基板を用いる、請求項1または2に記載のハイブイッドフイルムの製造方法。
  4. 請求項1から3のいずれかに記載の方法で作製したZn(OH)ナノシートとZnOウィスカー膜によるハイブリッドフィルムを、加熱反応に供して、Zn(OH)ナノシートの構造を保ったまま、ZnOナノシートへと相転移させることを特徴とするZnOナノシートとZnOナノウィスカー膜によるハイブリッドフィルムの製造方法。
  5. 上記ハイブリッドフィルムを、120−450℃の温度範囲の加熱反応に供して相転移させる、請求項4に記載のハイブリッドフィルムの製造方法。
  6. 基板上に析出法で形成したZnOナノウィスカー膜と該ウィスカー膜上に形成されたZn(OH)ナノシートとからなるハイブリッドフィルム。
  7. 基板上に析出法で形成したZnOナノウィスカー膜と該ウィスカー膜上に形成されたZnOナノシートとからなるハイブリッドフィルム。
  8. ZnOウィスカー膜の温水処理により作製してなる、請求項6に記載のZn(OH)ナノシートとZnOナノウィスカー膜によるハイブリッドフィルム。
  9. ZnOウィスカー膜の温水処理および加熱処理により作製してなる、請求項7に記載のZnOナノシートとZnOナノウィスカー膜によるハイブリッドフィルム。
  10. 請求項6から9のいずれかに記載の亜鉛含有ハイブリッドフィルムを構成要素として含むことを特徴とする酸化亜鉛系または水酸化亜鉛系デバイス。
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