JP2011110165A - ゴルフクラブの選定方法および選定装置並びにゴルフクラブ - Google Patents
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Abstract
【解決手段】ゴルファが、ゴルフクラブをスウィングしてティーに載置されたゴルフボール2を打つと、カメラ26の撮影動作が実行され、画像データがバッファメモリ1204に蓄積される。画像データに基づいてゴルフクラブヘッド16の挙動を再現した3次元形状モデルの位置および向きの時系列データが算出される。3次元形状モデルの位置および向きの時系列データから左右進入角θと打撃時フェース角φが求められる。左右進入角θと打撃時フェース角φとに基づいてゴルフクラブのスウィングが予め定められた複数のタイプのうちの何れのタイプであるかが分類され、分類されたタイプに応じてゴルフクラブが選定される。
【選択図】図17
Description
これらは、いずれもゴルフクラブヘッドの概略の軌道を計測することはできるが、ゴルフボールの球筋を定めるゴルフボールの打撃直前のゴルフクラブヘッドの挙動を正確に把握することができないものであった。
特許文献1の[0023]に記載されているように、4つのセンサを配置することにより、ゴルフボールに対するゴルフクラブヘッドの入射角度を概略的に知ることができる。特許文献2についても同様に、4つのセンサを配置することにより、ゴルフボールに対するゴルフクラブヘッドの入射角度を概略的に知ることができる。
今日、ゴルファは、ゴルフをより楽しむために、自分のゴルフスウィングを改善する他に、自分のゴルフスウィングに適したゴルフクラブを選択することを望んでいる。このような状況の中、上記特許文献1,2に記載の装置では、ゴルフボールのフックやスライス等の球筋に影響を与える自分のゴルフスウィングに合ったゴルフクラブを選択するための情報を得ることはできない。
また本発明のゴルフクラブの選定装置は、ゴルファによりスウィングされたゴルフクラブのゴルフクラブヘッドがゴルフボールを打撃する直前におけるゴルフクラブヘッドの挙動を計測し該計測結果に基づいてゴルフクラブを選定するゴルフクラブの選定装置であって、前記ゴルフクラブヘッドの表面に設けられ3つ以上のマーカ特徴点を有するマーカを、2方向以上の異なる方向から連続的に撮影する撮影部と、前記撮影された画像中のマーカから、前記3つ以上のマーカ特徴点の位置を抽出する抽出部と、3次元座標系において、前記ゴルフクラブヘッドを再現した3次元形状モデルと、前記3つ以上のマーカ特徴点に対応する前記3次元形状モデル上の対応点の位置とが予め記憶された記憶部と、前記対応点の位置が、前記抽出部で抽出される前記3つ以上のマーカ特徴点の3次元座標系における位置と一致するように、前記3次元形状モデルの位置および向きを定めることで、ゴルフクラブヘッドの挙動を再現した3次元形状モデルの位置および向きの時系列データを算出する算出部と、前記算出部で算出された前記3次元形状モデルの位置および向きの時系列データから、前記ゴルフボールの中心と目標とを結ぶ目標線を水平面と平行な平面に投影した基準線と、前記ゴルフボールを打撃する直前における前記ゴルフクラブヘッドの移動軌跡に対する接線を前記平面に投影した第1の直線とがなす角度を左右進入角として求めると共に、前記算出部で算出された前記3次元形状モデルの位置および向きの時系列データから、前記基準線と前記ゴルフボールを打撃する直前における前記ゴルフクラブヘッドのフェース面の中心点を通る法線を前記平面に投影した第2の直線とがなす角度を打撃時フェース角として求める解析部と、前記左右進入角と前記打撃時フェース角とに基づいて前記ゴルフクラブのスウィングが予め定められた複数のタイプのうちの何れのタイプに該当するかを特定する分類部と、前記分類部で特定されたタイプに応じてゴルフクラブを選定する選定部と備えることを特徴とする。
また本発明のゴルフクラブは、前記のゴルフクラブの選定装置で選択されるゴルフクラブであって、分類される前記タイプの情報を提示した表示媒体が設けられていることを特徴とする。
本実施の形態のゴルフクラブの選定装置10の概略構成について説明する。
図1に示すようにゴルフクラブの選定装置10は、照射撮影部11と、制御部12と、コンピュータ14とを含んで構成されている。
照射撮影部11は、異なる2方向からステレオ撮影によりゴルフクラブヘッドを撮影するものである。本実施の形態では、照射撮影部11によって特許請求の範囲の撮影部が構成されている。
制御部12は、照射撮影部11を制御し、照射撮影部11で生成された画像データをコンピュータ14に供給するものである。
コンピュータ14は、照射撮影部11で撮影された画像のデータを取り込み信号処理、画像処理および動作解析を行うとともに、ゴルフスウィングをタイプに分類し、最適なゴルフクラブを選定するものである。
なお、図1において符号Pはゴルファ、符号4はゴルフクラブを示す。
図2(a)はゴルフクラブの選定装置10で計測対象とされるアイアン系のゴルフクラブヘッド16Aを示し、図2(b)はウッド系のゴルフクラブヘッド16Bを示す。
なお、以下では、アイアン系およびウッド系のゴルフクラブヘッドを区別せずに表す場合にはゴルフクラブ16と表記する。
図2(a)に示すように、アイアン系のゴルフクラブヘッド16Aでは、そのフェース面(打撃面)1602と接するゴルフクラブヘッド16の上端面およびホーゼル部にマーカ20a,20b,20cが設けられている。以下、マーカ20a,20b,20cを区別しない場合にはマーカ20と表記する。
また、図2(b)に示されるように、ウッド系のゴルフクラブヘッド16Bのフェース面1602と接するクラウン部を成す上面の3箇所にマーカ20a,20b,20cが設けられている。
後述するカメラ26で撮影した際、マーカ20a,20b,20cの像が常時識別できるように、例えば、マーカ20a,20b,20cは、後述する照射光源22の照射光を反射する再帰反射機能を有する構成となっている。マーカ20a,20b,20cは、例えば、公知の再帰反射シートを所定の形状に切り取ったものである。
マーカ20は、ゴルフクラブヘッドに3箇所以上に設けられ、これらのマーカ20が三角形の頂点を成し、1つの直線上に載らないように配置位置が設定されている。
図2(a)の例では、3つの再帰反射マーカが1つの直線上に載らないように、ホーゼル部にマーカ20が1つ設けられている。
言い換えると、マーカは、ゴルフクラブヘッド16の表面に設けられ3つ以上のマーカ特徴点を有するものである。
例えば、図2(c)に示すように、マーカ20a,20b,20cが円形形状を成す場合、その円形形状の中心点をマーカ特徴点21a〜21cとし、後述する画像処理部32においてその位置が抽出される。
また、各マーカの形状は同一にする必要は無く、前述の形状のものを自在に組み合せることもできる。この場合も各マーカの各マーカ特徴点は、例えば、マーカの中心点(重心点)である。
また、マーカが例えば正三角形形状を成す場合、マーカの3つの頂点(3辺相互の交点)のそれぞれをマーカ特徴点としてもよい。
マーカの形状は特に限定されるものではなく、マーカを特徴付け、その位置が一義的に抽出できる1もしくは複数のマーカ特徴点を有する形状であればよい。
図3は照射撮影部11の斜視図、図4は照射撮影部11の平面図である。
図3、図4に示すように、照射撮影部11は、照射光源22と、ハーフミラー24と、カメラ26と、反射ミラー28と、ベース30とを含んで構成され、これら照射光源22、ハーフミラー24、カメラ26、反射ミラー28は、べース30上に設けられている。
照射光源22は、計測対象としてのゴルフクラブヘッド16を照射するものである。
本実施の形態では、照射光源22はハロゲン光源で構成され、時間的に連続した連続光を照射する。
照射光源22は、ハーフミラー24を介してゴルフクラブヘッド16のマーカ20に光を照射するように配されている。
ハーフミラー24は、光の透過率と反射率とがほぼ等しいミラーであり、ハーフミラー24の反射面(境界面)に入射した光の半分を透過させ残り半分の光を反射させるものである。
ハーフミラー24は、平面視した場合に、その反射面に対して照射光源22から照射される光の光路が略45度の入射角を形成するように設けられている。
カメラ26は、撮影レンズと、該撮影レンズで導かれた被写体像を撮像する撮像素子と、撮像素子で生成された撮像信号に基づいて画像信号を生成する信号処理部などを含んで構成されている。
カメラ26は、平面視した場合に、前記撮影レンズの光軸が照射光源22の光路とハーフミラー24の反射面とが交差する箇所を通り、かつ、前記撮影レンズの光軸が、照射光源22の光の光路と略90度の角度を形成するように設けられている。
反射ミラー28は、光を全反射する全反射面を有し、全反射面の反射方向(角度)および位置等の調整機能を有している。
反射ミラー28は、照射光源22から照射されハーフミラー24で反射された光を全反射面で反射してゴルフクラブヘッド16のマーカ20a,20b,20cに照射し、かつ、マーカ20a,20b,20cからの反射光を再び全反射面で反射しハーフミラー24を介してカメラ26に導くように全反射面の反射方向及び位置が調整されている。
ハーフミラー24の反射面に照射された光の半分は、反射面上の位置Shmを透過する透過光として計測対象であるゴルフクラブヘッドに設けられたマーカ20a,20b,20cに照射される照射光となる。
このマーカ20a,20b,20cからの反射光(以降、マーカ反射光1aとする)は、ハーフミラー24の反射面に向かう。
ここで、マーカ反射光1aは照射光源22からの照射光と逆向きに進み、かつ、マーカ反射光1aは照射光源22からの照射光と光路が一致した反射光である。したがって、ハーフミラー24の反射面を透過してマーカ20a,20b,20cへ照射される光がハーフミラー24の反射面と成す出射角度と、マーカ反射光1aがハーフミラー24の反射面へ入射する入射角度とは略一致する。
こうして、マーカ反射光1aは、ハーフミラー24の反射面で反射されてカメラ26の撮影レンズに導かれる。
ここで、全反射された光は、計測対象であるゴルフクラブヘッド16に設けられたマーカ20a,20b,20cに照射光として照射される。
この照射光のマーカ20a,20b,20cからの反射光(以降、マーカ反射光1bとする)は、反射ミラー28から全反射されてマーカ20a,20b,20cに照射する照射光の光路と重なり、反射ミラー28の全反射面に向かう。
そして、反射ミラー28の全反射面において、マーカ反射光1bはハーフミラー24方向へ向けて反射される。
ここで、ハーフミラー24の反射面で反射され反射ミラー28に向かう光がハーフミラー24の反射面となす反射角度(照射角)と、マーカ反射光1bがハーフミラー24の反射面へ入射する入射角度は略同一である。
さらに、ハーフミラー24を透過したマーカ反射光1bはハーフミラー24で反射されたマーカ反射光1aとともにカメラ26の撮影レンズに入射する。
したがって、異なる2方向から照射した照射光の光路と略一致したマーカ20a,20b,20cからの2つの反射光によるマーカ20a,20b,20cの像がカメラ26で撮影される。
なお、本実施の形態では、異なる2方向からゴルフクラブヘッド16に向けて光を照射して、異なる2方向からゴルフクラブヘッド16の像を撮影する。
本発明では、2方向以上の方向からゴルフクラブヘッド16を撮影すればよく、例えば、周知のモションキャプチャーシステムを用い、3台以上のカメラでゴルフクラブヘッド16の像を、異なる方向からそれぞれ撮影することもできる。
具体的に説明すると、予め、カメラ26によって撮影される1枚の画像を上下方向に2分割して上領域と下領域との2つの領域として設定しておく。
そして、マーカ反射光1aによる像が前記の画像の上領域で撮影され、マーカ反射光1bによる像が前記の画像の下領域で撮影されるように、反射ミラー28の位置および向きが予め微調整しておく。
このようにして、1つのカメラ26でマーカ反射光1aによるマーカ20a,20b,20cの像と、マーカ反射光1bによるマーカ20a,20b,20cの像とを撮影することによって、ゴルフクラブヘッド16のマーカ20a,20b,20cの像をステレオ画像として撮影する。
そして、ゴルフクラブヘッド16がスウィングにより移動している状態で、カメラ26が多重露光により例えば1/2000秒間隔でマーカ20a,20b,20cの像を撮影する。
これにより、多数のマーカ20a,20b,20cのステレオ画像が1枚の画像としてカメラ26によって生成される。
図5は、照射撮影部11が構成する光路に反射ミラー28の他に反射ミラー28a、28bを配してマーカ反射光1aおよび1bの光路長を揃えた例を示す図である。
反射ミラー28a,28bをマーカ反射光1aの光路に設けることにより、マーカ反射光1aがマーカ20a,20b,20cからハーフミラー24に至る光路を長くして、マーカ反射光1bの光路の長さに揃えることができる。
つまり、図5に示す構成を備えることで、マーカ反射光1aの光路長が図4に示すものより長くなり、マーカ反射光1a、1bのカメラ26までの光路長を略揃えることができる。
このように光路長を近づけることにより、カメラ26は、マーカ反射光1a、1bによる各マーカの像をピントを合わせて撮影することができる。
検出器1202は、図4に示すように、ゴルフクラブ16の移動軌跡のうち、カメラ26の撮影範囲よりも手前側の位置でゴルフクラブ16が通過したか否かを検出する検出するものである。
検出器1202は、例えば、検出光が物体で反射された反射光を検出することにより物体の有無を検出する光反射型検出器など従来公知のさまざまな検出器を使用することができる。
バッファメモリ1204は、カメラ26から供給される前記の画像データを一時的に格納する記憶装置である。
制御部12は、検出器1202によってゴルフクラブ16の通過を検出すると、撮影動作を開始する制御指令をカメラ26に与えると共に、ゴルフクラブ16がカメラ26の撮影範囲から外れた時点で撮影動作を終了する制御指令をカメラ26に与える。
そして、制御部12は、カメラ26から供給される画像データをバッファメモリ1204に一時的に格納したのち、該画像データをコンピュータ14に供給する。
図6はコンピュータ14の構成を示すブロック図である。
コンピュータ14は、CPU32と、不図示のインターフェース回路およびバスラインを介して接続されたROM34、RAM36、ハードディスク装置38、ディスク装置40、キーボード42、マウス44、ディスプレイ46、プリンタ48、入出力インターフェース50などを有している。
ROM34は制御プログラムなどを格納し、RAM36はワーキングエリアを提供するものである。
ハードディスク装置38はゴルフクラブヘッド16の挙動の計測、スウィングの分類、ゴルフクラブの選定などを行うための専用のプログラムを格納している。
ディスク装置40はCDやDVDなどの記録媒体に対してデータの記録および/または再生を行うものである。
キーボード42およびマウス44は、操作者による操作入力を受け付けるものである。
ディスプレイ46はデータを表示出力するものであり、プリンタ48はデータを印刷出力するものであり、ディスプレイ46およびプリンタ48によってデータを出力する。
入出力インターフェース50は、外部機器との間でデータの授受を行うものである。
コンピュータ14は、機能的には、信号処理部52、画像処理部54、解析部56、分類部58、選定部60、出力部62、記憶部64などを含んで構成されている。
また、信号処理部52、画像処理部54、解析部56、分類部58、選定部60、出力部62は、CPU32が前記専用のプログラムを実行することで実現されるものであるが、これらの部分は、回路等のハードウェアで構成されたものであってもよい。
これらの情報D1乃至D5については後述する。
画像処理部54は、各マーカ20a,20b,20cの各マーカ特徴点21a、21b、21cを特定して3次元座標系における位置を抽出する抽出部54aと、抽出された各マーカ特徴点の3次元座標位置を用いて、ゴルフクラブヘッド16の位置と向きの時系列データを算出する算出部54bとを有する。
照射撮像部11で撮影された、同時刻における異なる方向から撮影された各マーカ20a,20b,20cの像について、各マーカ特徴点21a、21b、21cの位置座標をそれぞれ求め、この求められた各マーカ特徴点21a、21b、21cの位置座標を用いてゴルフクラブヘッド16が通過する空間を定めた3次元座標系における位置座標を求め、各マーカ特徴点21a、21b、21cの3次元座標系における位置を抽出するように構成される。
この求められた各マーカ特徴点21a、21b、21cの位置座標を、マーカ20a,20b,20cの位置座標として、これを用いてゴルフクラブヘッド16が通過する空間を定めた3次元座標系における位置座標を求め、各マーカ特徴点21a、21b、21cの3次元座標系における位置を抽出するように構成される。
照射撮像部11の撮影方向が既知となっているので、これらの照射撮像部11によって撮影される画像における2次元位置座標の情報を求めることで、ゴルフクラブヘッド16が通過する空間を表した所定の3次元座標系における位置(3次元位置座標)を求めることができる。
具体的には、記憶部64には、3次元座標系において、ゴルフクラブヘッド16の3次元形状モデルのデータ(CADデータ)D1と、上記マーカ特徴点の配置位置に対応する、3次元形状モデル上の対応点の位置を示す対応点位置情報D2とが記憶されている。
言い換えると、3次元形状モデルのデータ(CADデータ)D1はゴルフクラブヘッドを再現した3次元形状モデルを構成し、対応点位置情報D2は3つ以上のマーカ特徴点に対応する前記3次元形状モデル上の対応点の位置を示す。
算出部54bは、このデータD1と情報D2を呼び出し、3次元形状モデル上の対応点の、上記3次元座標系における位置座標が、抽出部54aで抽出されたマーカ特徴点の3次元位置座標と一致するように、3次元形状モデルの位置および向きを算出し、この位置と向きをゴルフクラブヘッド16の位置および向きとして、ゴルフクラブヘッド16の位置および向きの時系列データを算出するように構成される。
図8(a)中、所定の位置を原点として、ゴルフボール2の打ち出し方向と平行する軸をX軸、X軸に直交し水平面(地面)に平行な軸をY軸、水平面に鉛直な軸をZ軸としたXYZ座標系を予め設定しておく。
図8(a)中、3つのマーカ20a,20b,20cを表す3つのプロット群M1、M2〜M10は、2000分の1秒の時間間隔で撮影されたマーカから抽出される3つのマーカ特徴点21a、21b、21cの位置を示す。
さらには、マーカを表す3つの各プロット群M1、M2〜M10にゴルフクラブヘッド16を対応させて、図6(b)に示すように、ゴルフクラブヘッド16の移動を連続的に表示することにより、ゴルフクラブヘッド16の位置およびフェースの向きの変化を知ることができる。
なお、ゴルフクラブヘッド16の位置は、フェース面1602の中心位置における位置座標を、ゴルフクラブヘッド16の代表位置として表す。
また、ゴルフクラブヘッド16のフェースの向きは、フェース面1602の中心点を通る法線で表すものとする。
図9は、ゴルフボール2を打撃する直前のゴルフクラブヘッド16を平面視した状態を示す平面図、図10は左右進入角θの定義を説明する模式図、図11は打撃時フェース角φを説明する模式図である。
なお、図10、図11において符号1610は、ゴルフクラブヘッド16のフェース面1602の中心位置を示す。
図9、図10に示すように、ゴルフボール2の中心と目標とを結ぶ目標線を前記の平面に投影した直線を基準線L0とする。
ここで、基準線L0はX軸と平行するものとし、したがって、前記の平面はX軸およびY軸と平行しZ軸と直交する。
ゴルフボール2を打撃する直前におけるゴルフクラブヘッド16の移動軌跡の接線を水平面と平行な平面に投影した直線を第1の直線L1とする。
左右進入角θは基準線L0と第1の直線L1がなす角度である。
図11に示すように、ゴルフボール2を打撃する直前におけるゴルフクラブヘッド16のフェース面1602の中心点を通る法線を前記の平面に投影した直線を第2の直線L2とする。
打撃時フェース角φは基準線L0と第2の直線L2がなす角度である。
このことについて具体的に説明する。
ゴルフボール2の打撃直後、ゴルフクラブヘッド16の移動速度は低下するので、一定時間間隔のフェース面1602の中心位置1610の移動を表す位置座標の時系列データにおいて、打撃直前と打撃直後の位置座標の移動距離はそれ以前の各時点での移動距離に比べて急激に短くなる。
このことを利用して、図10に示すように、ゴルフクラブヘッド16の位置座標を示す時系列データから、ゴルフボール2の打撃直前のゴルフクラブヘッド16の位置座標(中心位置1610)と、時系列データにおいて1つ前の位置座標とを特定することができる。
そして、この2つの位置座標を結ぶ直線L1がゴルフクラブヘッド16の移動軌跡の接線となる。
また、同様に上記のことを利用して、図11に示すように、ゴルフクラブヘッド16の向きを示す法線を示す時系列データから、ゴルフボール2を打撃する直前におけるゴルフクラブヘッド16のフェース面1602の法線を特定することができる。
解析部56は、このようにしてゴルフボール2を打撃する直前におけるゴルフクラブヘッド16の移動軌跡の接線とフェース面1602の法線とを特定することにより、前記のような手順で左右進入角θおよび打撃時フェース角φを求める。
したがって、ゴルフボール2の中心からX軸方向に沿ってゴルフボール2の打ち出し方向と反対方向で50mm手前の範囲において2つの時系列データ(位置座標データ)が特定される。
そのため、本実施の形態では、ゴルフボール2の中心から手前50mmの範囲における時系列データに基づいて左右進入角θおよび打撃時フェース角φが求められることになる。
なお、カメラ26による撮影間隔は1/2000秒に限定されるものではなく、得られた時系列データに基づいて左右進入角θおよび打撃時フェース角φを求めることができればよいのであり、例えば、撮影間隔を1/10000秒〜1/500秒の間で設定するなど任意である。
また、本実施の形態では、左右進入角θは、基準線L0を中心としてゴルファの反対側を正(プラス)の角度とし、ゴルファ側を負(マイナス)の角度とする。
また、打撃時フェース角φについても同様に、基準線L0を中心としてゴルファの反対側を正(プラス)の角度とし、ゴルファ側を負(マイナス)の角度とする。
図12は左右進入角θと打撃時フェース角φとに対するゴルフボール2の球筋を関連付けた説明図である。
図12において横軸は左右進入角θを示し、縦軸は打撃時フェース角φを示す。
本例においては、左右進入角θの基準値を0度、打撃時フェース角φの基準値を0度としている。
左右進入角θが負の値でその絶対値が大きくなるほどフェース面1602はアウトサイドインの傾向を示すため、打ち出されたゴルフボールの打ち出し方向は左方向となる。
左右進入角θが正の値でその絶対値が大きくなるほどフェース面1602はインサイドアウトの傾向を示すため、打ち出されたゴルフボールの打ち出し方向は右方向となる。
打撃時フェース角φが負の値でその絶対値が大きくなるほど打ち出されたゴルフボールは、上方から見て反時計方向回りのサイドスピンが掛かりやすくなる。
打撃時フェース角φが正の値でその絶対値が大きくなるほど打ち出されたゴルフボールは、上方から見て時計方向回りのサイドスピンが掛かりやすくなる。
このように左右進入角θと打撃時フェース角φとの組み合わせによって、ゴルフボールの打ち出し方向の左右とサイドスピンの掛かりやすさとが影響を受けることにより、打ち出されたゴルフボールはスライス傾向、フェード傾向、ストレート傾向、ドロー傾向、フック傾向の球筋となる。
ここで、スライス傾向とは、右利きのゴルファがゴルフボールを打ったときに、ゴルフボールが右側に曲がるものをいう。左利きのゴルファの場合には左側に曲がるものをいう。
また、フェード傾向とは、コントロールされたスライス傾向をいい、目標線に対して左に打ち出されたゴルフボールの着弾位置がほぼ目標線に戻ってくるものをいう。
また、フック傾向とは、右利きのゴルファがゴルフボールを打ったときに、ゴルフボールが左側に曲がるものをいう。左利きのゴルファの場合には右側に曲がるものをいう。
また、ドロー傾向とは、コントロールされたフック傾向をいい、目標線に対して右に打ち出されたゴルフボールの着弾位置がほぼ目標線に戻ってくるものをいう。
また、ストレート傾向とは、打ち出されたゴルフボールが曲がることなく直進していくものをいう。
このように、ゴルフボール2を打撃する直前のゴルフクラブヘッド16の挙動に応じてゴルフボール2の球筋(軌跡)は様々に異なっている。
本実施の形態では、左右進入角θと打撃時フェース角φとの組み合わせに対応してゴルフクラブのスウィングのタイプが関連付けられた情報としての分類マップD3が用意されており、具体的には、分類マップD3は記憶部64に格納されている。なお、分類マップD3をどこに設けるかは任意である。
言い換えると、分類マップD3は、左右進入角θを示すX軸と、X軸に直交し打撃時フェース角φを示すY軸とし、それらX軸、Y軸の交点を左右進入角θおよび打撃時フェース角φのゼロ度とした2次元座標軸で示される平面をゴルフボール2の球筋に対応する複数のエリア(領域)に区分して関連付けたものである。
分類部58によるゴルフクラブのスウィングの特定は分類マップD3を用いてなされる。
具体的に説明すると、分類マップD3は、図12に示すように、左右進入角θと打撃時フェース角φとの組み合わせに対応して、スライスエリアA1、フェードエリアA2、ストレートエリアA3、ドローエリアA4、フックエリアA5といったゴルフボール2の球筋に対応する5つのエリアがそれぞれ関連付けられている。
スライスエリアA1は球筋がスライス傾向となるエリアであり、フェードエリアA2は球筋がフェード傾向となるエリアであり、ストレートエリアA3は球筋がストレート傾向となるエリアであり、ドローエリアA4は球筋がドロー傾向となるエリアであり、フックエリアA5は球筋がフック傾向となるエリアである。
言い換えると、左右進入角θと打撃時フェース角φとの組み合わせがエリアA1〜A5の何れに該当するかによってゴルフクラブのスウィングのタイプが、スライスタイプ、フェードタイプ、ストレートタイプ、ドロータイプ、フックタイプの何れかのタイプに特定される。
すなわち、分類部58は、解析部58で得られた左右進入角θと打撃時フェース角φとに基づいて、ゴルフスウィングが分類マップD3に格納されている複数のタイプの何れのタイプに該当するかを特定する。
すなわち、専用の装置を使用してゴルフクラブでゴルフボールを打撃させると共に、その際のゴルフクラブヘッドの左右進入角θと打撃時フェース角φとを本発明に係る選定装置で測定し、その際のゴルフボール2の球筋を測定する。
このような実験結果に基づいて、実測された左右進入角θおよび打撃時フェース角φと実測された球筋とに基づいて分類マップD3上における各エリアを決定する。
なお、本実施の形態では、分類マップD3上における各エリアは、境界線によって区分されている。
第1の境界線90は、Y軸上に定められた定点96を通り左右進入角θおよび打撃時フェース角φが負の領域から左右進入角θおよび打撃時フェース角φが正の領域にわたって正の傾きで延在するものである。
本実施の形態では、定点96はX軸、Y軸の原点でありθ=φ=0度の座標点となっている。
第2の境界線92は、左右進入角θおよび打撃時フェース角φが負の領域またはこの領域に左右進入角θが負で打撃時フェース角φが正の領域を含ませた領域を第1の境界線90よりも小さな傾きで延在し定点96に交わるものである。
第3の境界線94は、定点96から第1の境界線90の傾きよりも小さい傾きで左右進入角θおよび打撃時フェース角φが正の領域を延在するものである。
なお、定点96は、前記のように、実測された左右進入角θおよび打撃時フェース角φと実測された球筋とに基づいて決定されるものである。
スライスエリアA1は、第1の境界線90のうち打撃時フェース角φの正の領域に位置する直線部分と、第2の境界線92とで挟まれた領域である。
フェードエリアA2は、第1の境界線90のうち打撃時フェース角φの負の領域に位置する直線部分と、第2の境界線92とで挟まれた領域である。
フックエリアA5は、第1の境界線90のうち打撃時フェース角φの負の領域に位置する直線部分と、第3の境界線94とで挟まれた領域である。
ドローエリアA4は、第1の境界線90のうち打撃時フェース角φの正の領域に位置する直線部分と、第3の境界線とで挟まれた領域である。
ストレートエリアA3は、第1の境界線90の部分である。
図13は左右進入角θと打撃時フェース角φとに対するゴルフボール2の球筋を関連付けた別の説明図である。
図12では、定点96が左右進入角θ=0度、かつ、打撃時フェース角φ=0度の座標点となっている。
これに対して、図13では、定点96がY軸方向において正方向に移動している。
そして、定点96の位置が変化することにより、分類マップD3上におけるスライスエリアA1、フェードエリアA2、ストレートエリアA3、ドローエリアA4の位置や面積も変化している。
この理由としては、例えば次のことが考えられる。
すなわち、左右進入角θと打撃時フェース角φとの測定は、実際にゴルフクラブヘッドがゴルフボール2を打撃する位置よりも手前の位置でなされている。
また、通常、ゴルフクラブのスウィングの過程において、ゴルフクラブヘッド16のフェース面1602はゴルフボール2を打撃する直前でフェース角が正から負に急激に変化する。すなわち、フェースローテーションが生じる。
したがって、解析部56によって求められた打撃時フェース角φと、実際にフェース面がゴルフボール2を打撃した時点におけるフェース角とは厳密には一致せず、ずれが生じる。
例えば、解析部56によって求められた打撃時フェース角φは実際にゴルフボール2を打撃した時点におけるフェース角よりも正側にずれる。
このようなずれは、選定装置10に起因して発生するものであり、ゴルファやスウィング、あるいは、ゴルフクラブの違いは無視できるものである。
図14では、定点96がX軸方向およびY軸方向において正方向に移動している。
そして、定点96の位置が変化することにより、分類マップD3上におけるスライスエリアA1、フェードエリアA2、ストレートエリアA3、ドローエリアA4の位置や面積も変化している。
この理由としては、例えば次のことが考えられる。
前述したようにフェース面1602はゴルフボール2を打撃する直前でフェース角が正から負に急激に変化するフェースローテーションが生じている。
また、打撃時にゴルフボール2とフェース面1602が接触している時間(約1万分の5秒)の間にもこの動き(フェースローテーション)が続くため、左右進入角θが0°、フェース角が0°で打撃しても、ゴルフボール2が目標線に対してやや左に飛び出し(負の方向)、ゴルフボール2に対してややフック回転がかかることが考えられる。
例えば、図24に示すように、フェースローテーションがなく、左右進入角θ=0度、打撃時フェース角φ=0度の場合は、球筋はストレート傾向となる。
また、図25に示すように、フェースローテーションがあると、左右進入角θ=0度、打撃時フェース角φ=0度の場合であっても、ゴルフボール2が目標線に対してやや左に飛び出し(負の方向)、ゴルフボール2に対してややフック回転がかかり、球筋はフック傾向となる。
また、図26に示すように、フェースローテーションがある場合、左右進入角θを正の角度としかつ打撃時フェース角φを正の角度として打撃すると(ややフェース面1602を開いてややインサイドからインパクトすると)、球筋はストレート傾向となる。
したがって、このようなフェースローテーションおよびフェースローテーションによるゴルフボール2に与えられるフック回転の影響を考慮した場合、定点96は、2次元座標軸においてX軸の正の部分とY軸の正の部分とで区画された第1象限内に位置することになる。
本実施の形態では、ゴルフクラブのスウィングのタイプと該タイプに最適なゴルフクラブとが関連付けられた選定情報D4が予め用意されており、具体的には、選定情報D4は記憶部64に格納されている。なお、選定情報D4をどこに格納するかは任意である。
選定情報D4はゴルフクラブのスウィングのタイプと該タイプに最適なゴルフクラブとが関連付けられた情報である。
選定情報D4は、例えば、ゴルフクラブのスウィングのタイプと該タイプに最適なゴルフクラブとが関連付けられたデータテーブルで構成されるなどその形式は任意である。
すなわち、そのタイプに最適なゴルフクラブとは、そのタイプのスウィングでゴルフボール2を打撃したときの球筋を矯正する上で有利なゴルフクラブである。
選定部60は、分類部58で特定されたゴルフクラブのスウィングのタイプに基づいて選定情報D4から最適なゴルフクラブを選定する。
すなわち、前記の各タイプに最適なゴルフクラブヘッドは、重心距離および重心角の少なくともいずれか一方が異なって構成されている。
重心角とは、ゴルフクラブヘッド16を、設定されるライ角通りに水平面上に載置し、前記最短直線とゴルフクラブシャフトの中心軸Sまたは中心軸Sの延長線を、鉛直方向から水平面に向かって投影したとき、前記最短直線とゴルフクラブシャフトの中心軸Sまたは中心軸Sの延長線との間で成す角αをいう。すなわち、重心角αは、前記最短直線の向きを表す角度である。
そして、前記の各タイプに応じて重心距離Lの値を大,小に変えることにより、前記の各タイプに適したものとすることができる。
言い換えると、スライスエリアに該当するタイプは重心距離Lが小さい(短い)ゴルフクラブヘッド16を選定し、フックエリアに該当するタイプは重心距離Lが大きい(長い)ゴルフクラブヘッド16を選定する。
なお、各ゴルフクラブヘッド16間の重心距離Lの違いの範囲を明確化する上で、各ゴルフクラブヘッド16間での重心距離Lの差は3mm〜10mmとするのが好ましい。
また、前記の各タイプに応じて重心角αの値を大,小に変えることにより、前記の各タイプに適したものとすることができる。
言い換えると、スライスエリアに該当するタイプは重心角αが大きいゴルフクラブヘッド16を選定し、フックエリアに該当するタイプは重心角αが小さいゴルフクラブヘッド16を選定する。
図16(a)に示すように、支点71を中心に矢印Uの方向に揺動可能なシーソー型の天秤計70によって測定される。
天秤計70には、ゴルフクラブヘッド16のホーゼル孔に対して隙間の無い嵌め合いを持つシャフトピン72を有し、ゴルフクラブヘッドを装着しない状態では、アーム73が水平になるように釣り合っている。
ゴルフクラブヘッド16の重心Gのゴルフクラブシャフト軸からの重心距離Lの測定は、図15(b)に示すように、シャフトピン72に質量Wのゴルフクラブヘッドを装着し固定する。そして、アーム73が水平に釣り合うように所定の位置(L’)に精密秤を置き、天秤計70が吊り合うときの荷重を測る。
そして、この荷重が最大になるように、シャフトピン72に装着されるゴルフクラブヘッドの向きを調整し、最大になるときの荷重W’を求める、この荷重W’に基づいて、釣り合いの式からL=(W’×L’)/Wを算出する。この算出値が重心距離Lである。
「フェース面上における重心距離FGL」は、図18(a)、(b)に示すように、重心Gを通るフェース面に垂直の垂線L1がフェース面1602と交わる点gと、ゴルフクラブシャフトの中心軸Sまたは中心軸Sの延長線をフェース面1602またはフェース面1602を延長した面に投影した線との間の最短距離をいう。
上記点gは、従来公知の重心測定器を用いて検出することができ、例えば、特許第4233886号の段落0028乃至0030に記載されている方法を用いることができる。要するに、上記点gは、重心Gを通るフェース面に垂直の垂線L1がフェース面1602と交わる点であればその検出方法は任意である。
そして、前記の各タイプに応じてフェース面上における重心距離FGLの値を大,小に変えることにより、前記の各タイプに適したものとすることができる。
言い換えると、スライスエリアに該当するタイプはフェース面上における重心距離FGLが小さい(短い)ゴルフクラブヘッド16を選定し、フックエリアに該当するタイプはフェース面上における重心距離FGLが大きい(長い)ゴルフクラブヘッド16を選定する。
図20(a)はアイアン系のゴルフクラブ4の斜視図である。
ゴルフクラブ4は、ゴルフクラブシャフト5と、ゴルフクラブシャフト5の先端部に装着したゴルフクラブヘッド6と、ゴルフクラブシャフト5の後端部に装着したグリップ7とを有する。
図20(b)は、図20(a)に示すX−X’線に沿って切断したときのゴルフクラブ4の断面図である。
ゴルフクラブシャフト5の周りを取り巻くように、グリップ7が設けられており、グリップ7の外周の一部には、部分的に突出した突部が設けられている。
この突部はゴルフクラブシャフト5の長手方向の同じ周上位置に設けられてバックライン7Aを形成する。
このバックライン7Aは、図20(c)に示すように、装着前のグリップ7の内周面の一部分が平坦部7Bを成しており、ゴルフクラブシャフト5を装着することによってバックライン7Aが凸状に形成されるようになっている。
バックライン7Aは、グリップ7の、ゴルフクラブシャフト5への装着の際、装着向きを特定するための特定部位である。
グリップ角度βは、特定部位(バックライン7A)の、ゴルフクラブヘッド16のフェース面1602の向きに対する装着向きを示す情報である。
なお、特定部位は、バックライン7Aに限定されるものではなく、ゴルフクラブシャフト5の表面あるいはグリップ7の表面に形成された視認可能な指標であってもよい。
例えば、図23(a)、(b)に示すように、グリップ7を握る際に左右の手の親指を当て付ける握り位置を表示する握り位置用マーク7Cがグリップ7の表面に形成されている場合、これら握り位置用マーク7Cが特定部位であってもよい。
図22(a)、(b)、(c)は、グリップ角度βとゴルフクラブ4のフェース面1602の向きとの関係を説明する図である。
具体的に説明すると、グリップ角度βは、図21(a)、(b)に示すように、ゴルフクラブ4をライ角度通りに水平な基準面B(水平面)上に置き、グリップ7及びゴルフクラブシャフト5を中心軸Sに垂直に切断したときの切断平面において、図22(a)、(b)、(c)に示すように、バックライン7Aが設けられたゴルフクラブシャフト5周りの周上位置から中心軸Sを通る直線L2と、ゴルフクラブヘッド16のフェース面1602上の水平線(スコアラインに平行な直線)を前記の切断平面に投影したときの投影線H1とを定めたとき、直線L2の向きが投影線H1の向きに対して成す角度をいう。
したがって、直線L2と投影線H1とが平行をなす場合、グリップ角度βは0度となる。
この水平線は、一般的にはスコアライン1630又はスコアライン1630に平行な直線で代用される。
スコアライン1630はフェース面1602の基準を示すように設定されているものである。
また、スコアライン1630が直線状でない等の場合には、通常のアドレスポジションに設置した状態において、フェース面1602上に基準面Bと平行になるような線を目印として付けてフェース面1602上の水平線とすることができる。
なお、ここで、ゴルフクラブ4を通常のアドレスポジションに設置するとは、ゴルフクラブヘッド16をライ角度通りに設置し、かつ、図21(a),(b)に示すように中心軸Sとリーディングエッジ1620とが互いに平行になるように、又スコアライン15と平行になるように設置することをいう。
ライ角度通りに設置とは段落0043で説明したとおりである。
また、スコアライン1630が直線状でない場合、中心軸Sとリーディングエッジ1620とが互いに平行になるとは、フェース角が0度の状態を示す。
前記の各タイプに応じてグリップ角度βの正負、および、その絶対値の大小を変えることにより、前記の各タイプに適したものとすることができる。
言い換えると、スライスエリアに該当するタイプはグリップ角βが負の(フェース面1602が閉じた)ゴルフクラブヘッド16を選定し、フックエリアに該当するタイプはグリップ角βが正の(フェース面1602が開いた)ゴルフクラブヘッド16を選定する。
ゴルファは、ゴルフクラブを把持するとき、グリップに表されている印や表示を基準にして把持するので、グリップ角度βを変えることにより、アドレス状態で、ゴルフクラブヘッドのフェース面の向く向き、さらにはゴルフボール打撃直前のフェース面の移動する向きは変化する。このため、前記の各タイプに応じて最適なゴルフクラブを提供することができる。
図18に示すように、フェースプログレッションFPとは、中心軸Sからゴルフクラブヘッド16の最先端の位置Cまでの距離である。すなわち、フェースプログレッションFPは、中心軸Sからフェース面1602とソール部1604とが接する箇所であるリーディングエッジまでの距離である。
前記の各タイプに応じてフェースプログレッションFPを大小に変えることにより、前記の各タイプに適したものとすることができる。
言い換えると、スライスエリアに該当するタイプはフェースプログレッションFPが小さいゴルフクラブヘッド16を選定し、フックエリアに該当するタイプはフェースプログレッションFPが大きいゴルフクラブヘッド16を選定する。
なお、フェースプレグレッションが小さいゴルフクラブヘッド16はグースネック、あるいは、オフセットと呼ばれる。
本実施の形態では、フェース角は、0度を中心としてフェース面1602が閉じる方向を負(マイナス)の角度とし、フェース面1602が開く方向を正(プラス)の角度とする。
すなわち、前記の各タイプに応じてゴルフクラブヘッドのフェース角の正負、および、その絶対値の大小を変えることにより、前記の各タイプに適したものとすることができる。
言い換えると、スライスエリアに該当するタイプはフェース角が負の(フェース面1602が閉じた)のゴルフクラブヘッド16を選定し、フックエリアに該当するタイプはフェース角が正の(フェース面1602が開いた)のゴルフクラブヘッド16を選定する。
さらに言い換えると、スライスエリアに該当するタイプはフックフェースのゴルフクラブヘッド16を選定し、フックエリアに該当するタイプはスライスフェースのゴルフクラブヘッド16を選定するようにすればよい。
言い換えると、スライスエリアに該当するタイプはライ角がアップライトなゴルフクラブヘッド16を選定し、フックエリアに該当するタイプはライ角がフラットなゴルフクラブヘッド16を選定する。
ゴルフクラブ情報D5は、予め記憶部64に格納されており、出力部62は、選定部60で選定されたゴルフクラブに基づいて該ゴルフクラブに対応するゴルフクラブ情報D5を記憶部64から読み出して出力する。なお、ゴルフクラブ情報D5をどこに格納しておくかは任意である。
前記のゴルフクラブの情報は、ゴルフクラブの製品名、製品番号、各種仕様、外観図、写真などのさまざまな情報を含むものである。
図17はゴルフクラブの選定装置10の動作を説明するフローチャートである。
ゴルファが、ゴルフクラブをスウィングしてティーに載置されたゴルフボール2を打つと、制御部12が検出器1202によりゴルフクラブヘッド16を検出することによりカメラ26の撮影動作を実行させ、画像データがバッファメモリ1204に蓄積される(ステップS10:撮影ステップ)。
次いで、分類部58が、左右進入角θと打撃時フェース角φとに基づいてゴルフクラブのスウィングが予め定められた複数のタイプのうちの何れのタイプであるかを分類マップD3を用いて特定する(ステップS18:分類ステップ)。
これにより、ゴルファのスウィングのタイプに適したゴルフクラブの選定がなされる。
そして、その分類結果に基づいてゴルフクラブを選定するので、ゴルファにとって最適なゴルフクラブを選定する上で有利となる。
しかしながら、ゴルフクラブヘッド16の表面に設けられたマーカを、2方向以上の異なる方向から連続的に撮影する構成としては、2台以上のカメラを用いるなど、従来公知の様々な構成が使用可能である。
また、本実施の形態では、ディスプレイ46の表示画面に、左右進入角θおよび打撃時フェース角φを示す2次元座標軸と、ゴルフボール2の球筋の傾向に応じて境界分けされた複数のエリアと、ゴルファが実際にスウィングした際のゴルフクラブヘッドの挙動を測定した測定点とが表示される。
したがって、測定点が、複数のエリアのうちのどのエリアに位置しているかに基づいてスライスやフックなどの球筋に影響を与えるスウィングの特徴を簡単にかつわかりやすく提供する上で有利となる。
しかしながら、本実施の形態のようにすると、測定点が、複数のエリアのうちのどのエリアに位置しているかに基づいてスライスやフックなどの球筋に影響を与えるスウィングの特徴を簡単にかつわかりやすく提供する上でより一層有利となる。
しかしながら、例えば、真直ぐ飛ぶか、右に曲がるか、左に曲がるかのいずれかに分類すべきと考えるのであれば、スライスエリア、ストレートエリア、フックエリアといった3つのエリア区分にしてもよい。
また、そもそも真直ぐ飛ぶという事は考え難く、右に曲がるか、左に曲がるかのいずれかに分類すべきと考えるのであれば、スライスエリア、フックエリアといった2つのエリア区分にしてもよい。
すなわち、各エリアは、当業者の考え方により適宜設定する事が可能である。
また、各エリアの範囲も例えば曲がりの許容差を大きくしてストレートエリアの範囲を大きくする等当業者の考え方により適宜設定する事が可能である。
Claims (12)
- ゴルファによりスウィングされたゴルフクラブのゴルフクラブヘッドがゴルフボールを打撃する直前におけるゴルフクラブヘッドの挙動を計測し該計測結果に基づいてゴルフクラブを選定するゴルフクラブの選定方法であって、
前記ゴルフクラブヘッドの表面に設けられ3つ以上のマーカ特徴点を有するマーカを、2方向以上の異なる方向から連続的に撮影する撮影ステップと、
前記撮影された画像中のマーカから、前記3つ以上のマーカ特徴点の位置を抽出する抽出ステップと、
3次元座標系において、前記ゴルフクラブヘッドを再現した3次元形状モデルと、前記3つ以上のマーカ特徴点に対応する前記3次元形状モデル上の対応点の位置とが予め記憶部に記憶されており、
前記対応点の位置が、前記抽出部で抽出される前記3つ以上のマーカ特徴点の3次元座標系における位置と一致するように、前記3次元形状モデルの位置および向きを定めることで、ゴルフクラブヘッドの挙動を再現した3次元形状モデルの位置および向きの時系列データを算出する算出ステップと、
前記算出ステップで算出された前記3次元形状モデルの位置および向きの時系列データから、前記ゴルフボールの中心と目標とを結ぶ目標線を水平面と平行な平面に投影した基準線と、前記ゴルフボールを打撃する直前における前記ゴルフクラブヘッドの移動軌跡に対する接線を前記平面に投影した第1の直線とがなす角度を左右進入角として求めると共に、前記算出ステップで算出された前記3次元形状モデルの位置および向きの時系列データから、前記基準線と前記ゴルフボールを打撃する直前における前記ゴルフクラブヘッドのフェース面の中心点を通る法線を前記平面に投影した第2の直線とがなす角度を打撃時フェース角として求める解析ステップと、
前記左右進入角と前記打撃時フェース角とに基づいて前記ゴルフクラブのスウィングが予め定められた複数のタイプのうちの何れのタイプに該当するかを特定する分類ステップと、
前記分類ステップで特定されたタイプに応じてゴルフクラブを選定する選定ステップと、
を含むことを特徴とするゴルフクラブの選定方法。 - ゴルファによりスウィングされたゴルフクラブのゴルフクラブヘッドがゴルフボールを打撃する直前におけるゴルフクラブヘッドの挙動を計測し該計測結果に基づいてゴルフクラブを選定するゴルフクラブの選定装置であって、
前記ゴルフクラブヘッドの表面に設けられ3つ以上のマーカ特徴点を有するマーカを、2方向以上の異なる方向から連続的に撮影する撮影部と、
前記撮影された画像中のマーカから、前記3つ以上のマーカ特徴点の位置を抽出する抽出部と、
3次元座標系において、前記ゴルフクラブヘッドを再現した3次元形状モデルと、前記3つ以上のマーカ特徴点に対応する前記3次元形状モデル上の対応点の位置とが予め記憶された記憶部と、
前記対応点の位置が、前記抽出部で抽出される前記3つ以上のマーカ特徴点の3次元座標系における位置と一致するように、前記3次元形状モデルの位置および向きを定めることで、ゴルフクラブヘッドの挙動を再現した3次元形状モデルの位置および向きの時系列データを算出する算出部と、
前記算出部で算出された前記3次元形状モデルの位置および向きの時系列データから、前記ゴルフボールの中心と目標とを結ぶ目標線を水平面と平行な平面に投影した基準線と、前記ゴルフボールを打撃する直前における前記ゴルフクラブヘッドの移動軌跡に対する接線を前記平面に投影した第1の直線とがなす角度を左右進入角として求めると共に、前記算出部で算出された前記3次元形状モデルの位置および向きの時系列データから、前記基準線と前記ゴルフボールを打撃する直前における前記ゴルフクラブヘッドのフェース面の中心点を通る法線を前記平面に投影した第2の直線とがなす角度を打撃時フェース角として求める解析部と、
前記左右進入角と前記打撃時フェース角とに基づいて前記ゴルフクラブのスウィングが予め定められた複数のタイプのうちの何れのタイプに該当するかを特定する分類部と、
前記分類部で特定されたタイプに応じてゴルフクラブを選定する選定部と、
を備えることを特徴とするゴルフクラブの選定装置。 - 前記左右進入角をX座標の値とし、前記打撃時フェース角をY座標の値として2次元座標上に示し、かつ、前記2次元座標で示される平面を前記ゴルフボールの球筋に対応する複数の領域に区分して関連付けた分類マップが設けられ、
前記分類部による前記ゴルフクラブのスウィングの特定は前記分類マップを用いてなされる、
ことを特徴とする請求項2記載のゴルフクラブの選定装置。 - 前記分類部によって特定されたゴルフクラブのスウィングのタイプと、該タイプのスウィングでゴルフボールを打撃したときの球筋を矯正する上で有利なゴルフクラブとを関連付けた選定情報が用意されており、
前記選定部による前記ゴルフクラブの選定は前記選定情報を用いてなされる、
ことを特徴とする請求項2記載のゴルフクラブの選定装置。 - 前記選定情報においてゴルフクラブのスウィングのタイプと関連付けられたゴルフクラブは2種類以上のゴルフクラブによって構成され、
前記各ゴルフクラブでは、前記ゴルフクラブヘッドが設定されるライ角通りに水平面上に載置された状態でゴルフクラブシャフトの中心軸またはこの中心軸の延長線とゴルフクラブの重心点とを結ぶ最短直線の距離である重心距離が異なっている、
ことを特徴とする請求項4記載のゴルフクラブの選定装置。 - 前記選定情報においてゴルフクラブのスウィングのタイプと関連付けられたゴルフクラブは2種類以上のゴルフクラブによって構成され、
前記各ゴルフクラブでは、前記ゴルフクラブヘッドが設定されるライ角通りに水平面上に載置された状態でゴルフクラブシャフトの中心軸またはこの中心軸の延長線とゴルフクラブの重心点とを結ぶ最短直線の向きを表す重心角が異なっている、
ことを特徴とする請求項4記載のゴルフクラブの選定装置。 - 前記選定情報においてゴルフクラブのスウィングのタイプと関連付けられたゴルフクラブは2種類以上のゴルフクラブによって構成され、
前記各ゴルフクラブでは、前記ゴルフクラブヘッドが設定されるライ角通りに水平面上に載置された状態でゴルフクラブの重心点Gの水平面からの高さが異なっている、
ことを特徴とする請求項4記載のゴルフクラブの選定装置。 - 前記選定情報においてゴルフクラブのスウィングのタイプと関連付けられたゴルフクラブは2種類以上のゴルフクラブによって構成され、
前記各ゴルフクラブでは、前記ゴルフクラブシャフトのグリップに設けられ該グリップの装着向きを特定する特定部位の、前記ゴルフクラブヘッドのフェース面の向きに対する装着向きを示すグリップ角が異なっている、
ことを特徴とする請求項4記載のゴルフクラブの選定装置。 - 前記選定情報においてゴルフクラブのスウィングのタイプと関連付けられたゴルフクラブは2種類以上のゴルフクラブによって構成され、
前記各ゴルフクラブでは、ゴルフクラブヘッドのフェースプログレッションが異なっている、
ことを特徴とする請求項4記載のゴルフクラブの選定装置。 - 前記選定情報においてゴルフクラブのスウィングのタイプと関連付けられたゴルフクラブは2種類以上のゴルフクラブによって構成され、
前記各ゴルフクラブでは、ゴルフクラブヘッドのフェース角が異なっている、
ことを特徴とする請求項4記載のゴルフクラブの選定装置。 - 前記選定情報においてゴルフクラブのスウィングのタイプと関連付けられたゴルフクラブは2種類以上のゴルフクラブによって構成され、
前記各ゴルフクラブでは、ゴルフクラブヘッドのライ角が異なっている、
ことを特徴とする請求項4記載のゴルフクラブの選定装置。 - 請求項2〜11のいずれか1項に記載のゴルフクラブの選定装置で選択されるゴルフクラブであって、分類される前記タイプの情報を提示した表示媒体が設けられていることを特徴とするゴルフクラブ。
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