JP2011109227A - 水晶発振器 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 システム機器処理部に基準信号を提供する水晶発振器であって、3次以上のオーバトーン水晶振動子11と、水晶振動子11に接続し、発振周波数をシステム機器処理部2に出力する発振回路12と、発振回路12からの発振周波数を可変に分周するための分周比の情報を記憶するメモリ17と、発振回路12とシステム機器処理部2との間に設けられ、発振回路からの発振周波数をメモリ17からの分周比の情報に従って分周する可変分周器とを有する構成とする。
【選択図】 図1
Description
水晶発振器は、例えば、図4に示したように、少なくとも発振回路を集積化したICチップ20と励振電極及び引出電極の形成された水晶片11Aとを例えばセラミック容器21からなる1パッケージ内に収容して一体化されたディスクリー部品とする。
例えば、セラミック容器21の内底面にICチップ20の回路形成面を、引出電極の延出した水晶片11Aの一端部両側を内壁段部に固着し、開口端面を金属カバー22によって封止する。図中の符号23は導電性接着剤、同24は実装端子である。
これは、特に水晶片11Aの密閉封入された水晶振動子11の周波数温度特性に起因する周波数変化を補正して、周囲温度に拘らず、安定な発振周波数を供給するものとして知られる。その一つに、温度制補償機構からの温度補償電圧を電圧可変容量素子(バリキャップダイオード)に印加して周波数温度特性を相殺(補償)する所謂間接型がある。
そして、これらの温度情報を水晶発振器が搭載されたシステム機器側が読み出し、水晶発振器の外部で温度補償することか提案されている。これにより、ICチップ20内の負荷を軽減するとともに、外部にて高精度の温度補償を可能にする。尚、エージング特性等による周波数変化は外部の信号処理部内のAFC回路にて処理される。
尚、温度情報のみを有する水晶発振器に関連する先行技術として、特開平09−321539号公報(特許文献1)、特開平11−065694号公報(特許文献2)、特開2003−324318号公報(特許文献3)、特開平04−361417(特許文献4)、特許第3000673号公報(特許文献5)がある。
特許文献5には、自動周波数制御装置において、不正確な基準発振器周波数を一定の正確な周波数に分周するため、第2の多重アキュムレータ分数N分周システムを利用して、正確なクロックは無線装置の論理部と、無線装置の任意のオフセット・シンセサイザの基準入力とに与えられ、第2分数N分周システムは、第1分数N分周システムの自動周波数制御プログラミングに基づいてプログラムされることが記載されている。
また、特許文献5は、水晶発振器の外部で分周するもので、水晶発振器自体で、オーバトーン振動及び発振周波数の分周を行うものではない。
その一方、従来例の温度補償水晶発振器(間接型)では、前述したように電圧可変容量素子に温度補償電圧を印加して、水晶振動子(誘導性)から見た発振回路側の直列等価容量(負荷容量)を変化させ、周波数温度特性による周波数変化を相殺して温度補償する。水晶振動子の周波数温度特性は例えばATカットとすると、図5に示すように、常温25℃に変曲点を有して例えば低温側に極大値を、高温側に極大値を有する3次曲線となる。
この場合、例えば図6(a)(b)に示したように、電圧可変容量素子は温度制御電圧Vcに対して容量Cが「同図(a)」、水晶発振器は容量Cに対して発振周波数foが「同図(b)」、概ね、反比例して減少する。一般には、制御電圧Vcに対して周波数偏差Δf/fが直線的に変化する領域を使用する「図6(c)」。
尚、図6中のΔf/foは周波数偏差であり、foは例えば発振時における水晶振動子の振動周波数(発振周波数)、Δfは振動周波数foからの変化分である。
このことから、温度補償水晶発振器では、水晶振動子のオーバトーン振動を採用すると、制御電圧Vcによる周波数変化が少なくて周波数温度特性による周波数変化を相殺(補償)できず、制御電圧Vcによる周波数変化が大きい基本波振動を採用せざるを得ない問題がった。
[実施の形態の概要]
本発明の実施の形態に係る水晶発振器は、システム機器処理部に基準信号を提供する水晶発振器であって、3次以上のオーバトーン水晶振動子と、水晶振動子に接続して発振周波数をシステム機器処理部に出力する発振回路と、水晶振動子の周囲の温度を検出する温度センサと、水晶振動子の温度特性に基づいて発振周波数の周波数ずれを補正するための情報と分周比の情報を記憶し、システム機器処理部に周波数ずれを補正するための情報を提供するメモリと、発振回路とシステム機器処理部との間に設けられ、メモリに記憶した分周比の情報に基づいて発振回路からの発振周波数を可変分周する可変分周器とを有する。
本発明の実施の形態に係る水晶発振器について図1を参照しながら説明する。図1は、本発明の実施の形態に係る水晶発振器の構成ブロック図である。
本発明の実施の形態に係る水晶発振器(本水晶発振器)1は、図1に示すように、システム機器処理部2に接続するもので、内部構成としては、水晶振動子11と、発振回路(OSC)12と、多段分周器(Div)13と、マルチプレクサ(Multiplexer)14と、バッファ(Buffer)15と、温度センサ16と、メモリ(PROM:Programmable Read Only Memory)17とを基本的に有している。
尚、システム機器処理部2は、水晶発振器1を組み込むお客様が任意に設計するものであり、水晶発振器1からは、周波数変動を補正するために必要な情報、信号を提供するようになっている。
次に、本水晶発振器の各部について具体的に説明する。
[水晶振動子11]
水晶振動子11は、3次以上のオーバトーン水晶振動子である。3次以上のオーバトーン水晶振動子を用いたのは、高安定(高いQ)状態で水晶発振器を動作させると同時に、位相雑音を小さくするためである。ここでは、水晶振動子は3オーバトーン振動とし、振動周波数を基本は振動(約35MHz、水晶片11Aの厚み約0.048mm)の3倍となる104MHzとする。なお、基本波振動で104MHzとする場合は、水晶片11Aの厚みは約 0.016mmとなり、3次オーバトーン振動の厚み(0.048mm)の約3倍となる。
ここで、基本波の水晶振動子と3倍波の水晶振動子(3次オーバトーン水晶振動子)の周波数温度特性曲線について図2を参照しながら説明する。図2は、基本波と3倍波の周波数温度特性図である。図2では、横軸が温度を示し、縦軸が周波数変化率(周波数偏差Δf/fo)を示している。
発振回路(OSC)12は、水晶振動子11と接続して所望の周波数で発振させ、分周器13に出力する。この場合、発振周波数は水晶振動子の3次オーバトーンの振動周波数とほぼ同一となるが、厳格には、水晶振動子(インダクタ成分)の端子間から見た回路側の負荷容量によって振動周波数(但し、直列共振周波数)よりも若干高くなる。ここでは、便宜的に3次オーバトーンの振動周波数と同じ約104MHzとする。
多段分周器(Div)13は、発振回路12から入力された周波数信号を多段に分周してバッファ15に出力する。具体的には、多段分周器13は、1/2分周器13aと、1/2分周器13bと、1/2分周器13cと、…、1/2分周器13nとを備え、各1/2分周器からの出力をマルチプレクサ15に出力している。尚、発振回路12と多段分周器13との間に、バッファを設けるようにしてもよい。
マルチプレクサ14は、多段分周器13の各1/2分周器からの出力を入力し、メモリ17から読み取った分周比選択データ(分周比の情報)によりいずれかの1/2分周器からの出力を選択してバッファ15に出力する。ここでは、発振周波数104MHzを2番目の1/2分周器13bによって4分周した26MHzとし、これを水晶発振器の出力周波数とする。
バッファ(Buffer)15は、システム機器処理部2での負荷の影響を受けないようにすると共に、所望の出力振幅を得るために設けられた増幅器である。バッファ15からの出力信号(Osc Out)は、システム機器処理部2に対するクロックとして利用されるものである。
温度センサ16は、水晶振動子11の周囲の温度を測定し、測定した温度の値(Temp Out)をデジタル値又はアナログ値でシステム機器処理部2に出力する。つまり、温度センサ16は、温度補償用の温度情報を提供する。尚、温度の値がアナログ値であれば、システム機器処理部2に入力されてデジタル信号に変換される。
メモリ17は、予め水晶振動子11の温度特性に関する情報を記憶しており、システム機器処理部2にその情報を出力する。メモリ17内の情報は、予め実測によって取得し、必要に応じて数値計算を加え、本水晶発振器1の出荷前にその温度特性に応じて設定しておく。メモリ17に記憶される温度特性に関する情報としては、温度に対応した周波数ずれの補正量をテーブル(補正量テーブル)で記憶するもの、温度特性に対応して周波数ずれを算出する式(補正式)の係数を記憶するものがある。
メモリ17には、分周比を決定する分周比選択データが記憶されており、本水晶発振器1の電源投入時にマルチプレクサ14に当該分周比選択データが設定される。尚、電源投入時ではなく、製品出荷時にマルチプレクサ14に設定されるようにしてもよい。
上記水晶発振器における発振回路及び水晶振動子の回路について図3を参照しながら説明する。図3は、水晶発振器における発振回路及び水晶振動子の回路を示す図である。図5に示すように、水晶発振器における発振回路及び水晶振動子は、典型的なコルピッツ型の帰還増幅回路を示している。
本発明の着目点について説明する。上記実施の形態に係る発振器は、当該着目点に基づいて発明されたものである。
水晶振動子例えばATカット等の厚みすべり振動系では、振動周波数は厚みに反比例して決定され、厚みが小さいほど振動周波数は高く、厚みが大きいほど低くなる。そして、水晶振動子の基本波振動に対して奇数倍となる振動周波数(共振周波数)のオーバトーン振動が存在する。
従って、同一の基本波振動とすると、前述のように振動周波数が高くなるほど厚みが小さくなることから、水晶片11Aの厚みに対して励振電極11Xの厚みは相対的に大きくなる。尚、励振電極11Xは振動周波数(水晶片11Aの厚み)に拘らず、通電性等との観点から概ね一定の厚みとなる。
従って、前述した振動周波数を同一(例えば10MHz)として基本波振動と厚みすべり振動とのQを比較すると、基本波振動よりも厚みが大きいオーバトーン振動のQが大きくなる。従って、オーバトーン振動では基本波振動よりも、Qが大きくなる分、これに反比例する位相雑音も小さくなる。なお、R、L、Cは水晶振動子の等価回路中の等価直列抵抗、同インダクタ、同容量である。
図8(a)は、分周していない場合の発振周波数foの位相雑音特性を示す図であり、図8(b)は、分周時fo´の位相雑音特性を示す図である。図8(a)(b)において、縦軸が出力レベル(V)で、横軸が周波数(MHz)を示している。
従って、1/2分周後の離調周波数が10Hzの出力レベルは、周波数が高くなる程、出力レベルが小さくなって、分周前の出力レベルBより小さいCとなるので、分周すると位相雑音が向上する。
本水晶発振器によれば、回路内部で温度変動に応じた出力信号の周波数ずれを補正するのではなく、周波数ずれを含む出力信号を基準信号として出力し、水晶発振器内部の温度の値と水晶振動子の温度特性に関する情報を同時に提供することにより、システム機器処理部2内で入力信号を基準信号により信号処理を行うと共に、温度の値と温度特性に関する情報により周波数ずれを容易に補正させることができる効果がある。
要するに、3次オーバトーンの振動周波数(104MHz)を分周による出力周波数(26MHz)の偶数倍として、これから算出した基本波振動(35MHz)での厚みに水晶片11Aが設定される。これらにより、分周比を偶数とした1/4に設定できるので、例えば分周比を1/3等の奇数分母とする場合よりも、多段分周器13を容易に構成できる。
Claims (9)
- システム機器処理部に基準信号を提供する水晶発振器であって、
3次以上のオーバトーン水晶振動子と、
前記水晶振動子に接続し、発振周波数を前記システム機器処理部に出力する発振回路と、
前記発振回路からの発振周波数を可変に分周するための分周比の情報を記憶するメモリと、
前記発振回路と前記システム機器処理部との間に設けられ、前記発振回路からの発振周波数を前記メモリからの分周比の情報に従って分周する可変分周器とを有することを特徴とする水晶発振器。 - 可変分周器は、
発振回路からの発振周波数を多段に分周する多段分周器と、
前記多段分周器の各分周出力をメモリに記憶した分周比の情報に基づいて選択してシステム機器処理部に出力するマルチプレクサとを有することを特徴とする請求項1記載の水晶発振器。 - 水晶振動子の周囲の温度を検出する温度センサを有し、
メモリは、前記水晶振動子の温度特性に基づいて前記発振周波数の周波数ずれを補正するための情報を記憶し、システム機器処理部に前記周波数ずれを補正するための情報を提供することを特徴とする請求項1又は2記載の水晶発振器。 - マルチプレクサとシステム機器処理部との間に、前記マルチプレクサからの選択された分周出力の発振周波数を入力し、前記システム機器処理部に前記発振周波数を出力すると共に、出力側の負荷の影響を抑えるバッファを設けたことを特徴とする請求項2又は3記載の水晶発振器。
- 発振回路と多段分周器との間に、前記多段分周器における負荷の影響を抑えるバッファを設けたことを特徴とする請求項2乃至4にいずれか記載の水晶発振器。
- メモリは、周波数ずれを補正するための情報として、温度の値に対応する周波数ずれ量をテーブルとして記憶し、当該テーブル内容をシステム機器処理部に出力することを特徴とする請求項3記載の水晶発振器。
- メモリは、周波数ずれを補正するための情報として、温度の値に対応する周波数ずれ量を演算する演算式の係数を記憶し、当該演算式の係数をシステム機器処理部に出力することを特徴とする請求項3記載の水晶発振器。
- マルチプレクサは、電源投入時又は製品出荷時にメモリに記憶された分周比の情報が設定されることを特徴とする請求項2乃至7のいずれか記載の水晶発振器。
- 水晶振動子以外の構成部分を集積化して集積回路に納めたことを特徴とする請求項1乃至8のいずれか記載の水晶発振器。
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