JP2011107179A - 画像形成装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】ベルト部材の移動に起因する像の位置ずれを補正する。
【解決手段】中間転写ベルト141は、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)のトナーを用いて画像を形成するときには、第1の位置(実線で示す位置)にあり、イエロー、マゼンタ及びシアンのトナーを用いず、ブラックのトナーを用いるときには、第2の位置(破線で示す位置)にある。このとき、中間転写ベルト141は、周回移動する方向と異なる方向に斜行する場合がある。中間転写ベルト141の斜行は、中間転写ベルト141に転写されるトナー像の主走査方向(紙面垂直方向)の位置ずれを誘発する。そこで、画像形成装置は、中間転写ベルト141が第2の位置から第1の位置に移動したときには、斜行による位置ずれを相殺するように補正されたトナー像を感光体ドラム121Y、121M、121C及び121Kに形成する。
【選択図】図6

Description

本発明は、画像形成装置に関する。
中間転写ベルト等のベルト部材を備える画像形成装置において、このベルト部材の蛇行(又は斜行)を補正する技術がある(例えば、特許文献1又は2参照)。また、ベルト部材を備え、複数色を用いたカラー画像を形成する画像形成装置において、感光体等の像保持体の磨耗や汚れを抑制するために、複数の像保持体のうちの画像形成に使用していない色のものをベルト部材から離間させておく技術がある。像保持体をベルト部材から離間させる技術には、像保持体を移動させるものと、ベルト部材を移動させるものとがある。
特開平5−127542号公報 特開平6−144631号公報
本発明は、ベルト部材の移動に起因する像の位置ずれを補正することを目的とする。
本発明の請求項1に係る画像形成装置は、複数の支持部材に支持されて周回する無端のベルト部材と、前記ベルト部材の相異なる位置で転写される各色の像を各々が表面に保持する複数の像保持体と、前記複数の像保持体に像を形成する像形成手段と、前記ベルト部材を、前記複数の像保持体に接触する第1の位置から、前記複数の像保持体の少なくともいずれかに接触し、他の像保持体から離間する第2の位置に移動させ、又は、前記第2の位置から前記第1の位置に移動させる移動手段と、前記移動手段により前記ベルト部材が前記第1の位置又は前記第2の位置の一方の位置から他方の位置に移動した後における当該ベルト部材のあらかじめ決められた周回方向と異なる方向の変位を検知する検知手段と、前記像形成手段による像の形成を制御する制御手段であって、前記複数の像保持体により前記ベルト部材に転写されるそれぞれの像の少なくともいずれかの位置を、前記検知手段により検知された前記ベルト部材の変位による当該像の移動量を相殺させる方向に移動させる制御手段とを備える構成を有する。
本発明の請求項2に係る画像形成装置は、請求項1に記載の構成において、前記ベルト部材が、画像が形成される記録媒体を、当該ベルト部材の周回に伴って搬送し、前記複数の像保持体により保持される像が、前記ベルト部材に代えて、前記ベルト部材により搬送される前記記録媒体に転写される構成を有する。
本発明の請求項3に係る画像形成装置は、請求項1又は2に記載の構成において、前記制御手段が、前記ベルト部材の周回方向に対して下流側にある第1の像保持体に形成される像の位置を基準として、当該第1の像保持体よりも前記周回方向に対して上流側にある第2の像保持体に形成される像の位置を移動させる構成を有する。
本発明の請求項4に係る画像形成装置は、請求項1ないし3のいずれかに記載の構成において、前記移動手段が、像を形成する指示によらないタイミングで前記ベルト部材を移動させ、前記制御手段が、前記像形成手段により形成される像の位置の移動量を前記タイミングに応じて算出し、当該移動量を記憶手段に記憶させる構成を有する。
本発明の請求項5に係る画像形成装置は、請求項1ないし4のいずれかに記載の構成において、前記検知手段が、前記複数の像保持体のいずれかにより形成されて前記ベルト部材に転写された像であって、あらかじめ決められた位置に転写されるべき像の位置を検知することにより前記変位を検知する構成を有する。
本発明の請求項1又は2に係る構成によれば、ベルト部材の移動に起因する像の位置ずれを補正することが可能である。
本発明の請求項3に係る構成によれば、ベルト部材の移動と像保持体の位置の相違とに起因する像の色ずれを補正することが可能である。
本発明の請求項4に係る構成によれば、移動手段によるベルト部材の移動が像の形成に連動したタイミングで行われ、検知手段による検知がこのタイミングで行われる場合に比べ、像の位置ずれの補正をより早い段階で行うことが可能である。
本発明の請求項5に係る構成によれば、ベルト部材の位置そのものを検知する手段を設けなくても、ベルト部材の移動に起因する像の位置ずれを補正することが可能である。
画像形成装置の一部の構成を示す図 センサの構成の一例を示す図 画像形成装置の主要部分の構成を示すブロック図 画像の乱れを説明するための図 画像の乱れを説明するための図 中間転写ベルトの移動を示す図 中間転写ベルトの斜行による主走査方向の変位を例示するグラフ 中間転写ベルトの主走査方向の変位に伴う色ずれを例示するグラフ 画像の歪みとその補正方法を例示する図
[実施形態]
図1は、本発明の一実施形態である画像形成装置の一部の構成を示す図である。本実施形態の画像形成装置10は、電子写真方式の画像形成装置であり、同図に示すように、給紙部110と、複数の感光体ユニット120Y、120M、120C、120Kと、露光部130と、ベルトユニット140と、定着部150と、センサ200とを備える。なお、給紙部110、感光体ユニット120Y、120M、120C、120K、露光部130、ベルトユニット140及び定着部150は、同図に紙面に垂直な方向(後述する主走査方向)について、記録媒体のサイズに応じた幅を有している。
給紙部110は、記録媒体を収容し、供給する。ここにおいて、記録媒体とは、画像形成装置10により画像が形成されるシート状の媒体をいい、例えば、いわゆる用紙である。記録媒体のサイズや材質は、画像形成装置10に応じたものであれば、特に限定されない。給紙部110から供給された記録媒体は、図中の破線の矢印が示す経路で搬送され、画像が形成されて排出される。
感光体ユニット120Y、120M、120C及び120Kは、それぞれ、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)の各色に対応するものであり、各色のトナーによる像(以下、「トナー像」という。)の形成及び保持に用いられる。感光体ユニット120Yは、他の感光体ユニット120M、120C及び120Kからみたとき、中間転写ベルト141の周回方向に対して上流側に設けられており、感光体ユニット120Kは、他の感光体ユニット120Y、120M及び120Cからみたとき、中間転写ベルト141の周回方向に対して下流側に設けられている。ここでいう「下流側」は、換言すれば、後述する二次転写が行われる位置に近い側である。感光体ユニット120Y、120M、120C及び120Kは、回転するロール状の感光体ドラム、帯電器、現像器などをそれぞれ備える。感光体ドラムは、本発明に係る像保持体の一例であり、帯電された光導電層に静電潜像やトナー像を保持する。各色の感光体ドラムは、それぞれが相異なる位置において中間転写ベルト141と接触する。
なお、以下において、感光体ユニット120Y、120M、120C及び120Kのそれぞれを区別する必要がない場合には、これらを総称して「感光体ユニット120」という。感光体ユニット120は、画像形成装置10に対して着脱され、交換可能な構成であってもよい。
露光部130は、感光体ユニット120のそれぞれに光を照射し、光導電層に電位差を生じさせて静電潜像を形成する。露光部130は、本発明に係る像形成手段の一例であり、静電潜像を形成する手段である。本実施形態においては、露光部130と感光体ユニット120の現像器とが協働することにより、感光体ドラムにトナー像を形成する手段が実現されている。
ベルトユニット140は、中間転写ベルト141と、複数の一次転写ロール142Y、142M、142C、142Kと、複数の支持ロール143、144、145、146、147と、二次転写ロール148とを備える。中間転写ベルト141は、感光体ユニット120により形成された各色のトナー像が転写される無端のベルト部材である。中間転写ベルト141は、支持ロール143〜147に支持された状態で、図中の矢印Aが示す方向に回転する。一次転写ロール142Y、142M、142C及び142Kは、感光体ユニット120Y、120M、120C及び120Kに対応し、対向する感光体ドラムに形成されたトナー像を中間転写ベルト141に転写する。この転写(一次転写)は、電位差を利用して行われる。支持ロール143〜147は、本発明に係る支持部材の一例であり、中間転写ベルト141を回転可能な状態で支持するロール状の部材である。支持ロール143〜147の少なくともいずれかは、図示せぬ駆動手段により駆動力を与えられて回転し、中間転写ベルト141を回転させる。また、支持ロール147は、中間転写ベルト141を移動させる移動手段として機能する。二次転写ロール148は、中間転写ベルト141と対向してニップ領域(トナーや記録媒体を挟み込む領域)を形成し、中間転写ベルト141に転写されたトナー像をこのニップ領域において記録媒体に転写する。この転写(二次転写)も、一次転写と同様に、電位差を利用して行われる。
定着部150は、対向する1対の部材によって記録媒体を加熱及び加圧し、記録媒体に転写されたトナー像を定着させる。記録媒体は、各色のトナー像が重ねられた状態で定着されることによって、使用者が視認可能な画像が形成された状態となり、排出される。
センサ200は、本発明に係る検知手段の一例であり、中間転写ベルト141の変位を検知する。本実施形態のセンサ200は、あらかじめ決められた位置に設けられ、中間転写ベルト141の端部の位置を光学的に読み取ることにより、中間転写ベルト141の変位を検知する。なお、センサ200は、中間転写ベルト141の端部に代えて、中間転写ベルト141のあらかじめ決められた位置に設けられている目印(マーク等)を読み取る構成であってもよい。
図2は、センサ200の構成の一例を示す図であり、中間転写ベルト141の端部の周辺とともに示す図である。同図の例において、センサ200は、光源210と、受光面220とを備える。光源210は、受光面220に向かう光を照射する。この光は、可視光である必要はなく、赤外光などであってもよい。受光面220は、複数の受光素子により形成された面であり、同図に示すように、中間転写ベルト141により光を遮られる部分と、そうでない部分とを有するように設けられる。受光面220は、光源210からの光を検知した部分とそうでない部分とを識別する信号を出力する。
図3は、画像形成装置10の主要部分の構成を示すブロック図である。画像形成装置10は、同図に示すように、画像形成部100と、センサ200と、操作部300と、制御部400とを備える。画像形成部100は、図1に示した給紙部110、感光体ユニット120、露光部130、ベルトユニット140及び定着部150に加え、これらの各部を駆動するための駆動手段を含む。操作部300は、使用者が画像形成に関する操作を行うための操作子を備え、使用者の操作による指示を表す信号を制御部400に供給する。なお、操作部300は、画像形成装置10自体に備わるものに限らず、例えば、ネットワーク等の通信手段を介して画像形成装置10に指示を送受信するものであってもよい。制御部400は、CPU(Central Processing Unit)等の演算処理装置やメモリを備え、あらかじめ記憶されたプログラムを実行することによって、画像形成装置10の各部の動作を制御する。制御部400が実行する処理には、後述する補正制御が含まれる。本発明に係る記憶手段は、例えば、上述したメモリであるが、ハードディスク等の記憶装置が別途設けられていてもよい。
本実施形態の画像形成装置10の構成は、以上のとおりである。この構成のもと、画像形成装置10は、使用者の指示に応じて、記録媒体に画像を形成する。画像形成装置10は、画像を形成する場合のモードとして、モノクロモードとカラーモードとを有し、使用者の指示や画像の色数に応じてこれらを切り替える。ここにおいて、モノクロモードとは、ブラックのトナーのみを用い、シアン、マゼンタ及びイエローのトナーを用いずに画像を形成するモードをいい、カラーモードとは、シアン、マゼンタ及びイエローの少なくともいずれかのトナーを用いて画像を形成するモードをいう。
また、画像形成装置10は、適当なタイミングでセンサ200による計測を行い、モノクロモードからカラーモードに移行した場合に実行する補正制御に備える。ここでいう補正制御は、中間転写ベルト141の位置ずれに起因するトナー像の位置ずれを抑制することにより、すなわち画像の乱れを抑制するための制御である。つまり、本実施形態における補正は、トナー像の位置ずれが抑制される方向に作用すれば足り、トナー像の位置ずれが完全に解消されることは必ずしも要求されない。
図4及び図5は、本発明における画像の乱れを説明するための図であり、記録媒体Shに形成された画像を示す図である。なお、ここでは、画像の乱れが強調して図示されている。以下においては、図中の矢印Dmが示す方向を「主走査方向」といい、矢印Dsが示す方向を「副走査方向」という。主走査方向は、露光部130が感光体ドラムを1ラインずつ走査する方向である。一方、副走査方向は、主走査方向と直交する方向であり、中間転写ベルト141上のトナー像についてみたとき、中間転写ベルト141の周回移動の方向と(理想的には)一致する方向である。
本実施形態において、トナー像の位置ずれとは、主走査方向についての位置のずれをいうものである。トナー像の位置ずれは、第一に、画像の歪みを誘発し、第二に、画像の色ずれを誘発する。
図4(a)は、本来形成されるべき基準の画像の第1の例を示したものであり、図4(b)は、この基準の画像が歪んだ場合を例示したものである。ある画像について、主走査方向の位置ずれが時間的に変動しながら生じると、その画像は、主走査方向に歪む。図4の例においては、本来長方形であるべき基準の画像は、位置ずれによって平行四辺形(又は平行四辺形に近い形状)に歪む。
図5(a)は、本来形成されるべき基準の画像の第2の例を示したものであり、2色の画像が重なって1本の直線となっている画像を示すものである。図5(b)は、この基準の画像に色ずれが生じた場合を例示したものである。なお、本実施形態の色ずれは、画像の歪みとともに生じることにより、本来平行であるべき2本の直線が平行にならなくなるものである。
これらの位置ずれは、以下の理由により生じるものである。すなわち、第一に、画像の歪みは、中間転写ベルト141の斜行に起因して生じ、第二に、画像の色ずれは、中間転写ベルト141の斜行と各感光体ユニット120の位置の相違とが複合して生じるものである。
本実施形態において、中間転写ベルト141の斜行とは、期待される方向と異なる方向に中間転写ベルト141が移動する現象をいう。ここにおいて、期待される方向とは、あらかじめ決められた方向であり、上述した副走査方向のことである。中間転写ベルト141の斜行には、副走査方向(すなわち中間転写ベルト141の理想的な進行方向)に対して右側に移動するものと、左側に移動するものとがある。なお、中間転写ベルト141の斜行がこの左右の双方について生じる状態は、中間転写ベルト141が蛇行している状態である。つまり、中間転写ベルト141の蛇行は、広義的に中間転写ベルト141の斜行に含まれる現象である。
本実施形態の画像形成装置10は、モードが変化する場合に、中間転写ベルト141の位置が変化する。図6は、モノクロモードの場合とカラーモードの場合とにおける中間転写ベルト141の位置を示す図である。中間転写ベルト141は、カラーモードの場合に実線で示す位置(以下、「第1の位置」という。)にあるが、モノクロモードの場合には二点鎖線で示す位置(以下、「第2の位置」という。)にある。第1の位置は、具体的には、感光体ドラム121Y、121M、121C及び121Kがいずれも中間転写ベルト141と接触する位置である。一方、第2の位置は、具体的には、感光体ドラム121Y、121M及び121Cが中間転写ベルト141と接触しないように離間し、感光体ドラム121Kが中間転写ベルト141と接触する位置である。
中間転写ベルト141が第2の位置から第1の位置に移動するとき(又はその逆の移動をするとき)、中間転写ベルト141を支持する支持ロール147は、その軸の方向が他の支持ロール143〜146の軸の方向と平行となる関係を保つように移動する。しかし、実際には、画像形成装置10の誤差や設置された面の傾きなどによって、これらの方向が完全には平行にならない場合がある。かかる場合、中間転写ベルト141の一方の端部と他方の端部は、その張力が同じにならない状態になる。そうすると、中間転写ベルト141は、副走査方向に周回移動するとともに、より大きい張力が与えられた側の端部が他方の端部側に移動するように、主走査方向にも移動する。中間転写ベルト141の斜行は、この主走査方向への変位によってもたらされる。
中間転写ベルト141の斜行は、その周回移動とともに生じるが、その移動量は有限である。つまり、中間転写ベルト141の斜行は、ある程度の時間が経過すると収束し、それ以上は主走査方向に移動しないようになる。中間転写ベルト141の斜行による主走査方向の変位は、典型的には、指数関数を用いて表されるが、近似的には、線形の関数でも表される。
図7は、中間転写ベルト141の斜行による主走査方向の変位を例示するグラフである。また、図8は、この変位に伴う色ずれを例示するグラフである。図7は、中間転写ベルト141の変位が収束する位置を原点とし、中間転写ベルト141の初期位置を正方向としたグラフである。なお、色ずれは、中間転写ベルト141の変位と反対の方向に生じるため、縦軸の正負が図7と図8とでは異なっている。
以上より、画像形成装置10のモードが変化し、中間転写ベルト141が移動すると、中間転写ベルト141の斜行が生じ得る状態になるといえる。画像形成装置10による画像の形成は、斜行が終了した場合の中間転写ベルト141の位置を基準とすると、中間転写ベルト141の斜行が生じているときには、基準からずれた位置で行われることになる。本実施形態の補正制御は、この位置ずれを抑制するためのものである。
本実施形態の補正制御は、中間転写ベルト141の斜行の態様をあらかじめセンサ200により計測する第1の過程と、感光体ドラムにトナー像を形成するときに、トナー像の位置を第1の過程の計測結果に基づいて移動させる第2の過程とによって実現される。
第1の過程は、モードが変更される前の適当なタイミングで実施される。第1の過程の実施タイミングは、例えば、画像形成装置10の出荷時や電源がオンになった後である。また、感光体ユニット120やベルトユニット140が交換可能な構成である場合には、これらが交換されたタイミングで第1の過程が実施されてもよい。また、第1の過程の実施を指示する操作をあらかじめ決めておき、使用者が所望するタイミングで第1の過程が実施されるようにしてもよい。使用者は、例えば、画像形成装置10の位置を移動させた場合などに、第1の過程の実施を指示する。
第1の過程において、画像形成装置10の制御部400は、まず、中間転写ベルト141を第2の位置から第1の位置に移動させる。次いで、制御部400は、センサ200の出力結果を用いて、中間転写ベルト141が第1の位置に移動してからの主走査方向の変位を検知し、検知結果を表すデータをメモリに記憶する。中間転写ベルト141の変位の検知は、あらかじめ設定された期間行われ、望ましくは、斜行が収束するまで行われる。中間転写ベルト141の斜行が収束するまでに要する時間は、画像形成装置10の具体的な構成にも依存するが、例えば、150秒程度である。制御部400は、メモリに記憶されたデータを用いて、中間転写ベルト141の単位時間当たり(又は単位長さ当たり)の位置ずれ量を算出する。ここでいう「単位長さ」は、1mmや1cmなど、画像形成装置10やその画像形成に依存しない量であってもよいし、記録媒体の搬送方向の長さや中間転写ベルト141の1回転当たりの長さなど、画像形成装置10やその画像形成に依存する量であってもよい。また、制御部400は、算出した中間転写ベルト141の位置ずれ量に基づき、各色の感光体ユニット120により形成されるトナー像の主走査方向の移動量を算出し、移動量を表すデータをメモリに記憶する。
第2の過程において、制御部400は、第1の過程において算出したトナー像の移動量に従い、トナー像が形成される位置を主走査方向に移動させる。制御部400は、本実施形態においては、露光部130の露光位置を移動させることによって静電潜像が形成される位置を移動させ、これによってトナー像が形成される位置を移動させる。このとき、制御部400は、トナー像が形成される位置を、中間転写ベルト141の斜行による移動量を相殺させる方向に移動させる。つまり、制御部400は、中間転写ベルト141が斜行によりある方向に移動する場合、トナー像が形成される位置をその反対の方向に移動させる。
トナー像の移動量は、中間転写ベルト141が斜行により主走査方向へ等速で移動するとみなした場合、以下の(1)式により表される。ここにおいて、トナー像の主走査方向への移動量をΔX1[mm]、色ずれの比較の対象となる感光体ドラムの間隔(当該感光体ドラムが中間転写ベルト141と形成するニップ領域の間隔か、当該感光体ドラムの軸の間隔)をD1[mm]、斜行による中間転写ベルト141の主走査方向への移動速度をv1[mm/sec]、周回移動による中間転写ベルト141の副走査方向への移動速度をv2[mm/sec]とする。
Figure 2011107179
(1)式によると、移動量ΔX1は、中間転写ベルト141が主走査方向に等速で移動するとみなしているため、時間や記録媒体の位置によらず一定となる。すなわち、ある2色のトナーを重ねた1本の直線を描画しようとした場合、この例によれば、当該2色がΔX1だけずれた2本の平行な直線が描画されることになる。例えば、感光体ドラムの間隔が1色につき71mm(すなわち、D1=71,142,213)、移動速度をv1が0.05、移動速度をv2が150であるとすると、このときの移動量ΔX1は、ブラックとシアン(すなわちD1=71)については0.0237、ブラックとマゼンタ(すなわちD1=142)については0.0473、ブラックとイエロー(すなわちD1=213)については0.071となる。
なお、上述した移動量ΔX1は、画像の色ずれを抑制するための移動量である。画像の歪みもあわせて抑制する場合であれば、制御部400は、中間転写ベルト141の主走査方向への変位に応じて、露光位置をさらに制御する必要がある。制御部400は、画像の色ずれを抑制するための補正と歪みを抑制するための補正の両方を行うことが望ましいが、いずれか一方を行わなくてもよい。本実施形態の補正制御は、画像の色ずれのみを抑制する場合には、画像の平行移動で足りるが、画像の歪みも抑制する場合には、トナー像の形状を変更する必要がある。
図9は、画像の歪みとその補正方法を例示する図である。ここでは、図中の矢印Bが示す方向に中間転写ベルト141が移動する場合に、副走査方向に平行な直線を描画することを想定する。なお、図示した画像は、中間転写ベルト141に形成されたトナー像を示しているため、実際に記録媒体に形成される画像とは鏡像の関係にある。画像の傾きは、説明の便宜上、実際よりも強調して示されている。また、ここでも、中間転写ベルト141の斜行は、主走査方向に等速であるとする。
中間転写ベルト141が移動することにより、副走査方向に平行な直線L1は、図9(a)に示す直線L2のように傾く。かかる傾きを相殺するためには、図9(a)に示す直線L3のような傾きをトナー像に与えればよい。制御部400は、中間転写ベルト141の主走査方向への移動速度に基づいて、この傾きを算出する。
図9(a)に示す例は、説明の便宜上、トナー像の始点(露光を開始する位置)を基準とし、トナー像の始点を変えずに傾きを変化させて歪みを補正するものであるが、実際には、記録媒体上のある位置を基準にして歪みが補正されてもよい。補正の基準となる位置は、例えば、記録媒体の中心(重心)や、記録媒体の頂点などである。図9(b)に示す例は、記録媒体Shの中心点Pを基準にして歪みを補正するものである。この補正は、トナー像が形成される位置を主走査方向の1ライン単位で補正することにより、静電潜像の形状を長方形から平行四辺形に変化させるものである。なお、この場合、中心点Pを含む主走査方向の1ラインは、補正の前後において露光位置が変化しない。このような静電潜像が形成されると、記録媒体Shには、補正によりずらされた量が中間転写ベルト141の変位によって相殺され、辺の傾きが抑制されたより長方形に近い形状の画像が形成されるようになる。
以上のとおり、本実施形態の画像形成装置10によれば、中間転写ベルト141の斜行に伴うトナー像の位置ずれが抑制されることにより、画像の歪みと色ずれの少なくとも一方が抑制される。なお、かかる位置ずれの影響を回避する方法には、中間転写ベルト141の斜行が収束するまで画像の形成を行わない方法もあるが、かかる方法によると、本実施形態の補正制御による方法に比べ、モードの変更後に記録媒体に画像が形成されるまでの時間が長くなる。
[変形例]
上述した実施形態は、本発明の一例である。本発明は、上述した実施形態に限られず、例えば、以下の変形例によって実施されてもよい。また、本発明は、以下の変形例を適当に組み合わせた実施を妨げない。
(変形例1)
トナー像の移動量は、上述した(1)式以外の式によっても表される。本例は、中間転写ベルト141の主走査方向の移動速度の変化が線形でなく、指数関数的であることを考慮した場合のものである。
まず、中間転写ベルト141の端部の位置は、底がe(ネイピア数)である時間tの指数関数を用いると、次の(2)式で表される。ここにおいて、検知された中間転写ベルト141の端部の位置をx(t)[mm]、当該端部の初期位置をxa[mm]、当該端部の収束位置をxb[mm]、定数をk(無次元量)とする。定数kは、実験的又は経験的に求められ、例えば、0.4程度である。
Figure 2011107179
斜行による中間転写ベルト141の主走査方向への移動速度は、これをv(t)とすると、位置の関数x(t)の時間微分によって求められる。すなわち、移動速度v(t)は、次の(3)式で表される。
Figure 2011107179
そうすると、トナー像の主走査方向への移動量は、時間tの関数で表され、これをΔX(t)とすると、次の(4)式で表される。ここにおいて、色ずれの比較の対象となる感光体ドラムの間隔をD1[mm]、周回移動による中間転写ベルト141の副走査方向への移動速度をv2[mm/sec]とする。
Figure 2011107179
本例を用いた補正制御は、上述した実施形態の補正制御に比べ、演算がより複雑になるが、補正がより正確になる。よって、これらのいずれの補正制御を用いるかは、補正制御に求められる性能(速さ、演算量、正確さなど)に応じて、適宜に選択されればよい。また、本発明に係る画像形成装置は、これらの双方の補正制御を実行可能なプログラムを搭載し、いずれの補正制御を実行するかを使用者の操作による指示などに応じて選択してもよい。
(変形例2)
本発明に係る検知手段は、ベルト部材そのものの位置を読み取る手段に限定されない。例えば、画像形成装置には、濃度(いわゆる反射濃度)を測定するためのトナー像を中間転写ベルトのあらかじめ決められた位置に転写するとともに、このトナー像をセンサによって測定し、想定された濃度と実際に測定された濃度の相違に基づいて画質(階調特性など)を調整するものがある。かかる画像形成装置においては、トナー像が転写された位置があらかじめ決められた位置から主走査方向にどの程度ずれているかを検知することで、中間転写ベルトの主走査方向の変位が検知される。この例におけるセンサは、ベルト部材そのものの位置を読み取るセンサに代わるものであり、本発明に係る検知手段の一例となり得るものである。つまり、かかるセンサがもともと設けられている場合には、本発明を実施するに当たり、新たな検知手段を別途設ける必要がない。
(変形例3)
上述した実施形態において、中間転写ベルト141の斜行は、モノクロモードからカラーモードに移行する場合のみに限らず、逆の場合、すなわち、カラーモードからモノクロモードに移行する場合にも生じ得る。よって、本発明に係る補正制御は、かかる場合においても実施され得る。ただし、モノクロモードの場合には、色ずれが生じないため、画像の歪みを補正するだけでよい。
なお、上述した実施形態におけるモードは、1色のトナーを用いるモノクロモード(第1のモード)と、4色のトナーを用いるカラーモード(第2のモード)の2通りであったが、例えば、ブラックとシアンのトナーを用いる第3のモードがあってもよい。この場合、第1のモードから第3のモードに移行するときや、第3のモードから第2のモードに移行するときにおいても、本発明に係る補正制御が適用され得る。
(変形例4)
本発明に係るベルト部材は、中間転写ベルトに限られない。例えば、中間転写体を用いずに、感光体ドラムから記録媒体にトナー像を直接転写する画像形成装置にあっては、ベルト部材が複数の感光体ドラムに沿って記録媒体を搬送する手段として用いられることがある。かかるベルト部材は、その周回に伴って記録媒体を搬送するものであり、用紙搬送ベルトなどと呼ばれるものである。
本発明は、かかる用紙搬送ベルトに対しても適用され得るものである。この場合、像保持体、すなわち感光体ドラムにより形成されたトナー像は、用紙搬送ベルトに代えて、記録媒体に転写される。
(変形例5)
本発明において、色ずれの補正は、全部の色についてではなく、一部の色についてのみ行われてもよい。例えば、斜行が指数関数的に収束する場合、斜行による色ずれにより大きく寄与するのは、上流側で形成される色、すなわち画像形成が先に行われる色である。また、上述した(1)式から明らかなように、感光体ドラムの間隔が大きいほど、色ずれが顕著になる。そうすると、感光体ドラムの間隔が比較的小さい色については色ずれの補正を行わず、感光体ドラムの間隔が比較的大きい色について色ずれの補正を行うようにしても、使用者に視認される色ずれ自体は抑制されるといえる。よって、本発明に係る補正制御は、上述した実施形態の例でいえば、ブラックを基準にしたときのイエローに生じる色ずれのみを補正するようにし、マゼンタやシアンに生じる色ずれの補正を省略するようにしたものであってもよい。この場合、色ずれの補正は、イエローについてのみ行われる。
(変形例6)
上述した実施形態において、第1の過程を実施するタイミングは、実際の画像の形成を伴わないもの、あるいは、画像を形成する旨の指示によらないものであると望ましい。つまり、第1の過程は、画像形成より前もって、事前に実施されることが望ましい。しかしながら、第1の過程を事前に実施することができない場合には、例えば、1回目のモードの変更において第1の過程を実施するが、補正制御自体は行わないようにし、2回目以降のモードの変更において、第1回目のモードの変更において実施された第1の過程の結果を用いて補正制御を行うようにしてもよい。
(変形例7)
本発明に係る画像形成装置に使用される色は、イエロー、マゼンタ、シアン及びブラックの組み合わせに限定されない。本発明は、像保持体が単数ではなく、複数設けられる構成であれば、4色に限らず、2色や6色の画像形成装置にも適用され得る。
10…画像形成装置、100…画像形成部、120、120Y、120M、120C、120K…感光体ユニット、121Y、121M、121C、121K…感光体ドラム、141…中間転写ベルト、143、144、145、146、147…支持ロール、200…センサ、300…操作部、400…制御部

Claims (5)

  1. 複数の支持部材に支持されて周回する無端のベルト部材と、
    前記ベルト部材の相異なる位置で転写される各色の像を各々が表面に保持する複数の像保持体と、
    前記複数の像保持体に像を形成する像形成手段と、
    前記ベルト部材を、前記複数の像保持体に接触する第1の位置から、前記複数の像保持体の少なくともいずれかに接触し、他の像保持体から離間する第2の位置に移動させ、又は、前記第2の位置から前記第1の位置に移動させる移動手段と、
    前記移動手段により前記ベルト部材が前記第1の位置又は前記第2の位置の一方の位置から他方の位置に移動した後における当該ベルト部材のあらかじめ決められた周回方向と異なる方向の変位を検知する検知手段と、
    前記像形成手段による像の形成を制御する制御手段であって、前記複数の像保持体により前記ベルト部材に転写されるそれぞれの像の少なくともいずれかの位置を、前記検知手段により検知された前記ベルト部材の変位による当該像の移動量を相殺させる方向に移動させる制御手段と
    を備えることを特徴とする画像形成装置。
  2. 前記ベルト部材が、画像が形成される記録媒体を、当該ベルト部材の周回に伴って搬送し、
    前記複数の像保持体により保持される像が、前記ベルト部材に代えて、前記ベルト部材により搬送される前記記録媒体に転写される
    ことを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
  3. 前記制御手段が、前記ベルト部材の周回方向に対して下流側にある第1の像保持体に形成される像の位置を基準として、当該第1の像保持体よりも前記周回方向に対して上流側にある第2の像保持体に形成される像の位置を移動させる
    ことを特徴とする請求項1又は2に記載の画像形成装置。
  4. 前記移動手段が、像を形成する指示によらないタイミングで前記ベルト部材を移動させ、
    前記制御手段が、前記像形成手段により形成される像の位置の移動量を前記タイミングに応じて算出し、当該移動量を記憶手段に記憶させる
    ことを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載の画像形成装置。
  5. 前記検知手段が、前記複数の像保持体のいずれかにより形成されて前記ベルト部材に転写された像であって、あらかじめ決められた位置に転写されるべき像の位置を検知することにより前記変位を検知する
    ことを特徴とする請求項1ないし4のいずれかに記載の画像形成装置。
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