JP2011102665A - 冷凍サイクルおよび膨張装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】内部熱交換器を備えた冷凍サイクルが極低負荷で運転される場合においても、循環する冷媒流量を適切に確保する。
【解決手段】内部熱交換器が備えられたある態様の冷凍サイクルにおいては、膨張装置4が、内部熱交換器6の低圧側入口近傍の温度を感知する第1の感温部と、内部熱交換器6の低圧側出口近傍の温度を感知する第2の感温部と、圧力充填室の充填圧力Ppと圧力感知室の感知圧力Peとの差圧に応じて弁部に開弁方向の力を付与する感圧部とを備える。そして、圧力充填室の充填圧力Ppが、第1の感温部が感知する温度および第2の感温部が感知する温度のうち、高い方の温度に応じて変化するよう構成されている。
【選択図】図1

Description

本発明は、自動車用空調装置に好適な冷凍サイクル、およびその冷凍サイクルに設けられて上流側から導入された高温・高圧の冷媒を絞り膨張させて低温・低圧の冷媒にして蒸発器へ送出する膨張装置に関する。
自動車用空調装置の冷凍サイクルには一般に、循環する冷媒を圧縮する圧縮機、圧縮された冷媒を凝縮する凝縮器、凝縮された冷媒を気液に分離する受液器、分離された液冷媒を絞り膨張させて霧状にして送出する膨張弁、その霧状の冷媒を蒸発させてその蒸発潜熱により車室内の空気を冷却する蒸発器が設けられている。膨張弁としては、蒸発器から導出された冷媒が所定の過熱度をもつように、例えば蒸発器出口における冷媒の温度および圧力を感知して弁部を開閉し、蒸発器へ送出する冷媒の流量を制御する温度式膨張弁が用いられる。
このような冷凍サイクルとして、そのシステムの効率を上げるために内部熱交換器を備えたものが知られている(例えば特許文献1参照)。内部熱交換器は、例えば受液器から膨張弁の入口に送られる高温・高圧の液冷媒と、蒸発器から圧縮機の入口に送られる低温・低圧のガス冷媒との間で熱交換を行う。これにより、膨張弁に導入される冷媒が内部熱交換器により冷却されることで膨張弁の入口の冷媒のエンタルピを低下させると同時に、蒸発器から送出された冷媒が内部熱交換器により加熱されることで圧縮機の入口の冷媒のエンタルピを上昇させる。その結果、蒸発器の入口と圧縮機の入口とのエンタルピの差が大きくなり冷凍サイクルの成績係数を大きくできるため、システムの効率および冷凍能力を向上させることができる。
特開2007−240041号公報
しかしながら、冷凍サイクルが極低負荷で運転されるような場合、このような内部熱交換器を備えることが逆効果を招く場合がある。すなわち、冷凍サイクルは、車室内を冷却する必要がなくても、車室内外の温度差によって窓ガラスの曇りが発生したときなど、車室内の除湿のために運転されることがある。特に外気温度が極低温のような場合、内部熱交換器において蒸発器から送出された低圧側の冷媒が冷却され、受液器から供給される高圧側の冷媒が暖められるという通常負荷の場合とは逆の現象が発生することがある。このような場合、膨張弁がその冷却された蒸発器出口側の温度を感知して閉弁方向に動作するため、圧縮機を起動しても蒸発器に十分な冷媒を送り込むことができず、除湿が難しくなることがある。
本発明はこのような問題に鑑みてなされたものであり、その目的の一つは、内部熱交換器を備えた冷凍サイクルが極低負荷で運転される場合においても、循環する冷媒流量を適切に確保することにある。
本発明のある態様の冷凍サイクルは、冷媒を圧縮する圧縮機と、圧縮機から吐出された冷媒を冷却する外部熱交換器と、外部熱交換器から送出された冷媒を絞り膨張させる膨張装置と、膨張装置から導出された冷媒を蒸発させる蒸発器と、蒸発器から圧縮機に送られる冷媒と、外部熱交換器から膨張装置に送られる冷媒との熱交換を行う内部熱交換器と、を備える。膨張装置は、絞り膨張させる冷媒の流量を調整する弁部と、内部熱交換器の低圧側入口近傍の温度を感知する第1の感温部と、内部熱交換器の低圧側出口近傍の温度を感知する第2の感温部と、作動流体が満たされる圧力充填室と、蒸発器からの戻り冷媒が導入される圧力感知室とを有し、圧力充填室の充填圧力と圧力感知室の感知圧力との差圧に応じて弁部に開弁方向の力を付与する感圧部と、を備える。圧力充填室の充填圧力が、第1の感温部が感知する温度および第2の感温部が感知する温度のうち、高い方の温度に応じて変化するよう構成されている。
この態様によると、膨張装置が内部熱交換器の低圧側の入口近傍および出口近傍の温度を感知し、その高い方の温度に応じて弁部を開閉させる。すなわち、冷凍サイクルが通常負荷で運転される状態においては、膨張装置が通常通り内部熱交換器の低圧側出口近傍の温度を感知して弁部の開度を調整する安定した制御が実現される。このとき、外部熱交換器側から膨張装置へ送られる高温・高圧の液冷媒と、蒸発器から圧縮機へ送られる低温・低圧のガス冷媒との間で熱交換が行われ、システムの効率が高められる。一方、冷凍サイクルが極低負荷で運転されたために仮に内部熱交換器において通常とは逆の熱交換が行われたとしても、膨張装置はその高い方の温度に応じて動作するため、ある程度の弁開度を確保することができる。すなわち、冷凍サイクルが極低負荷で運転される場合においても、循環する冷媒流量を適切に確保することができる。
本発明の別の態様は、冷凍サイクルに設けられ、上流側から導入された冷媒を絞り膨張して下流側に導出する膨張装置である。この膨張装置は、絞り膨張させる冷媒の流量を調整する弁部を内部に有するボディと、ボディに取り付けられたハウジングと、そのハウジングを作動流体が満たされる圧力充填室と冷媒が導入される圧力感知室とに仕切る感圧部材とを有し、その感圧部材が圧力充填室の充填圧力と圧力感知室の感知圧力との差圧に応じて変位することにより弁部に開弁方向の力を付与する感圧部と、圧力充填室またはその近傍の温度を感知する第1の感温部と、圧力充填室から第1の感温部よりも下流側に離間した所定位置の温度を感知する第2の感温部と、を備える。圧力充填室の充填圧力が、第1の感温部が感知する温度および第2の感温部が感知する温度のうち、高い方の温度に応じて変化するよう構成されている。
ここで、冷凍サイクルに蒸発器から圧縮機に送られる冷媒と、外部熱交換器から膨張装置に送られる冷媒との熱交換を行う内部熱交換器が設けられる場合、第1の感温部が内部熱交換器の低圧側入口近傍に配置され、第2の感温部が内部熱交換器の低圧側出口近傍に配置されるものでもよい。
この態様の膨張装置によれば、第1の感温部および第2の感温部により冷凍サイクルの異なる2点の温度が感知され、その高い方の温度に応じてその弁部が開閉され、循環する冷媒流量が調整される。このため、極低温下など冷凍サイクルが極低負荷で運転される場合においても、冷凍サイクルが運転される限り、ある程度の弁開度を確保することができる。すなわち、当該膨張装置を冷凍サイクルに適用することにより、循環する冷媒流量を適切に確保することができる。
具体的には、圧力充填室とキャピラリチューブによって接続された感温筒を備えてもよい。圧力充填室には作動流体として凝縮性の気液混合冷媒が満たされ、圧力充填室が第1の感温部として機能する一方、感温筒が第2の感温部として機能し、圧力充填室とキャピラリチューブと感温筒とによって密閉された圧力空間に、その圧力充填室と感温筒のうち高温となった側の少なくとも一部に気相部が形成されるよう気液混合冷媒が封入され、感圧部が、気相部の飽和蒸気圧を充填圧力として感知してもよい。
この態様によれば、圧力充填室とキャピラリチューブと感温筒とによって密閉された圧力空間の大部分が液相部となるが、圧力充填室と感温筒のうち高温となる側には気相部が形成されて飽和状態となる。この圧力充填室と感温筒の一方の気相部に発生する飽和蒸気圧は、液相部を介して他方に伝達されることになるため、いずれにしても高温側の気相部の飽和蒸気圧が感圧部により感知される。すなわち、感圧部が高温側の圧力を感知して弁部の開度を調整するため、冷凍サイクルが極低負荷で運転される場合においても、循環する冷媒流量を適切に確保することができる。
本発明のさらに別の態様もまた、冷凍サイクルに設けられ、上流側から導入された冷媒を絞り膨張して下流側に導出する膨張装置である。この膨張装置は、絞り膨張させる冷媒の流量を調整する弁部を内部に有するボディと、ボディに取り付けられたハウジングと、そのハウジングを作動流体が満たされる圧力充填室と冷媒が導入される圧力感知室とに仕切る感圧部材とを有し、その感圧部材が圧力充填室の充填圧力と圧力感知室の感知圧力との差圧に応じて変位することにより弁部に開弁方向の力を付与する感圧部と、圧力充填室またはその近傍に設けられた第1の感温室と、圧力充填室とキャピラリチューブにより接続され、第1の感温室よりも下流側の所定位置に設けられた第2の感温室と、を備える。圧力充填室、第1の感温室、第2の感温室およびキャピラリチューブにより密閉された圧力空間に作動流体が満たされ、第1の感温室および第2の感温室には、感知する温度に応じて作動流体を吸着または離脱させる吸着剤がそれぞれ設けられている。
ここで、冷凍サイクルに蒸発器から圧縮機に送られる冷媒と、外部熱交換器から膨張装置に送られる冷媒との熱交換を行う内部熱交換器が設けられる場合、第1の感温室が内部熱交換器の低圧側入口近傍に配置され、第2の感温室が内部熱交換器の低圧側出口近傍に配置されるものでもよい。
この態様の膨張装置によれば、第1の感温室および第2の感温室により冷凍サイクルの異なる2点の温度が感知される。各感温室には吸着剤が設けられているため、それぞれの温度が所定温度以下であれば作動流体が吸着されてその体積が減少し、所定温度より高ければ作動流体が脱離されてその体積が増加する。したがって、第1の感温室、第2の感温室およびキャピラリチューブにより囲まれる圧力空間における作動流体の体積は、第1の感温室と第2の感温室の平均的な温度に左右されることになる。作動流体の体積が大きければ圧力充填室の圧力が高くなり、感圧部材が弁部の開弁方向に動作するようになる。つまり、極低温下など冷凍サイクルが極低負荷で運転される場合においても、一方の感温室の温度がある程度高ければ、ある程度の弁開度を確保することができる。すなわち、当該膨張装置を冷凍サイクルに適用することにより、循環する冷媒流量を適切に確保することができる。
本発明の膨張弁によれば、内部熱交換器を備えた冷凍サイクルが極低負荷で運転される場合においても、冷媒の流量特性を確保して膨張装置を良好に機能させることができる。
第1の実施の形態に係る冷凍サイクルを膨張弁およびその周辺の構成を中心に表すシステム構成図である。 膨張弁およびその周辺を構成を表す部分拡大断面図である。 膨張装置の構成および動作を表す説明図である。 第2の実施の形態に係る膨張弁およびその周辺の構成を表す断面図である。 第3の実施の形態に係る膨張装置周辺の構成を表す断面図である。 図5に示される膨張装置周辺の外観を部分的に示す図である。 膨張弁の周辺の構成を表す部分拡大断面図である。
以下、本発明の実施の形態を、図面を参照して詳細に説明する。なお、以下の説明においては便宜上、図示の状態を基準に各構造の位置関係を表現することがある。
[第1の実施の形態]
まず、本発明の第1の実施の形態について説明する。本実施の形態は、本発明の膨張装置を自動車用空調装置の冷凍サイクルに適用される温度式膨張弁として具体化している。図1は、第1の実施の形態に係る冷凍サイクルを膨張弁およびその周辺の構成を中心に表すシステム構成図である。
この冷凍サイクルは、圧縮機1、凝縮器2、受液器3、膨張装置4および蒸発器5を含む冷媒循環回路に、冷媒としての代替フロン(HFC−134a)を循環させて車室内の空調を行うシステムとして構成されている。圧縮機1にて圧縮された高温・高圧の冷媒は、凝縮器2にて凝縮され、受液器3にて気液に分離される。このとき分離された液冷媒は、膨張装置4により絞り膨張されて霧状となり、蒸発器5へ送られる。その霧状の冷媒は蒸発器5にて蒸発され、その蒸発潜熱により車室内の空気が冷却される。蒸発器5との熱交換により冷却と除湿が行われた空気は、その一部がヒータを通過するよう制御されるなどして温度調整が行われる。本実施の形態では、システムの効率を高めるために、蒸発器5から圧縮機1に送られる冷媒と、受液器3から膨張装置4に送られる冷媒との熱交換を行う内部熱交換器6が設けられている。
内部熱交換器6は、外管10と内管12とを同軸状に配置して構成された二重管構造を有する。内管12はその軸線方向に螺旋形状をなす伝熱管であり、仮にその外周面が外管10の内周面と密着したとしても、両者の間に上流側と下流側とを連通させる冷媒通路が確保されるようになっている。この外管10と内管12との間隙により形成される冷媒通路は、受液器3から膨張装置4に送られる冷媒が通過する高圧通路14の一部を構成する。内管12の内部通路は、蒸発器5から圧縮機1に送られる冷媒が通過する低圧通路16の一部を構成する。
内部熱交換器6の一端側では、外管10の一端部が内管12の外周面に溶接され、それにより高圧通路14が封止されている。その外管10の封止部の近傍には、受液器3から延びる高圧配管18が接続されている。内部熱交換器6の他端側には、ケース20内に収容された膨張装置4が配置されている。ケース20は、樹脂材をモールド成形して得られ、一方で内部熱交換器6の外管10に接続され、他方で蒸発器5に接続されている。
膨張装置4は、弁部および感圧部を備えた膨張弁21と、その感圧部とキャピラリチューブ22により接続された感温筒23を備えている。ケース20には、膨張弁21のほぼ全体が収容されている。ケース20には、膨張弁21から導出された冷媒を蒸発器5へ導出する冷媒導出通路24と、蒸発器5から送出された冷媒を再び導入する戻り通路26が形成され、両通路が膨張弁21によって区画されている。感温筒23は、内部熱交換器6の低圧側出口近傍に配置され、低圧通路16を流れる冷媒の温度を感知する。内部熱交換器6の低圧側入口近傍には膨張弁21の感圧部が配置されている。キャピラリチューブ22は、ケース20から内管12へ延びるように設けられ、その一端が感圧部に連結され、他端が感温筒23に連結されている。なお、本実施の形態では、樹脂製のケース20が外力による衝撃によって破壊されることを防止するために、ケース20を覆うように金属製のケース28が嵌着されている。ケース28には、ケース20と外管10との接続部を結合するクランプ29が一体に設けられている。
受液器3から送り出された高温・高圧(上流側圧力P0)の液冷媒は、高圧配管18および高圧通路14を介して膨張装置4に導入され、その弁部にて絞り膨張されて低温・低圧(下流側圧力Px)の冷媒となり、冷媒導出通路24を介して蒸発器5へ送出される。そして、蒸発器5にて熱交換された後に導出された低圧(導出圧力Pe)のガス冷媒は、再びケース20内に導入され、戻り通路26および低圧通路16を介して圧縮機1へと送られる。内部熱交換器6は、通常負荷の状態においてその高圧通路14を流れる高温・高圧の冷媒と、低圧通路16を流れる低温・低圧の冷媒との間で熱交換を行い、冷凍サイクルのシステムの効率を高める。膨張装置4は、低圧通路16を流れる冷媒の温度および圧力を感知して弁部の開度を調整し、蒸発器5へ必要流量の冷媒を供給する。
図2は、膨張弁およびその周辺を構成を表す部分拡大断面図である。
膨張弁21は、ケース20内に収容される態様の温度式膨張弁として構成され、冷媒通路が形成されたボディ32と、ボディ32に装着されたパワーエレメント34(「感圧部」に該当する)を備える。ボディ32の内部には弁部が設けられ、パワーエレメント34がその弁部を開閉駆動する。
ボディ32の一方の側部には高圧の冷媒を導入する入口ポート36が設けられ、他方の側部には低圧の冷媒を導出する出口ポート38が設けられている。これらのポートは、ボディ32を貫通する冷媒通路を介して連通している。その冷媒通路の中間部には区画壁40が設けられ、その区画壁40を上下に貫通するように貫通孔41が設けられている。この貫通孔41には、パワーエレメント34のハウジング35の下半部が圧入され、そのハウジング35の下端開口端部に弁孔42が設けられている。そして、弁孔42に下方(下流側)から対向するように弁体44が配置されている。冷媒通路において区画壁40の上流側が高圧冷媒通路46となり、下流側が低圧冷媒通路48となる。
パワーエレメント34は、中空のハウジング35と、ハウジング35内を圧力充填室S1と圧力感知室S2とに仕切るように配設されたダイアフラム52(「感圧部材」に該当する)とを含んで構成されている。ハウジング35は、ともにステンレスからなる有蓋状のアッパーハウジング54および段付円筒状のロアハウジング56からなり、これらの開口部を突き合わせてその外縁部にステンレス等の金属薄板からなるダイアフラム52の外縁部を挟むようにして組み付けられる。ハウジング35は、アッパーハウジング54とロアハウジング56との間にダイアフラム52を挟んだ状態でその接合部の外周に沿ってTIG溶接等が施されることにより、容器状に形成されている。圧力充填室S1は「第1の感温部」を構成し、キャピラリチューブ22を介して感温筒23の内部に連通している。感温筒23は、「第2の感温部」を構成する。
圧力充填室S1とキャピラリチューブ22と感温筒23とによって密閉された圧力空間には、作動流体として凝縮性の気液混合冷媒が満たされている。なお、本実施の形態では、その作動流体として冷凍サイクルを循環する冷媒と同じ代替フロン(HFC−134a)が用いられるが、例えばHFC−152aなど、温度に対する飽和蒸気圧の特性が冷凍サイクルを循環する冷媒と類似したものを用いることもできる。なお、ここでいう「類似」とは、ここではフッ化炭化水素系冷媒という同系統の冷媒を例示しているが、使用温度範囲において温度をパラメータとした飽和蒸気圧の差が、膨張弁21の開弁特性に良好に保持できるよう予め定める許容範囲以内にあればよい。ただし、この密閉された圧力空間の大部分が液相部となり、圧力充填室S1と感温筒23のうち高温となった側に所定量の気相部が形成されるような冷媒の充填方式がとられる。これは、冷凍サイクルが極低負荷で運転されても膨張弁21から送出される冷媒流量を確保できるよう、パワーエレメント34による温度感知において工夫を施したものであるが、その詳細については後述する。
ロアハウジング56は、その下半部が縮径して下方に延出しており、その延出部がボディ32の貫通孔41に圧入されることにより、パワーエレメント34がボディ32に固定されている。ロアハウジング56と貫通孔41との間には、シール用のOリング57が配設されている。そして、ロアハウジング56の下端開口部に弁孔42が形成され、そのやや上方の側部に内外を連通する連通孔58が設けられている。この連通孔58および弁部を介して高圧冷媒通路46と低圧冷媒通路48とが連通している。ロアハウジング56の側部には、内外を連通させる複数の通気孔60が周方向に所定の間隔で設けられている。圧力感知室S2には、通気孔60を介して戻り通路26を流れる冷媒が導入される。
弁体44には、細径部を介して柱状の作動ロッド62が一体に設けられている。作動ロッド62は、ロアハウジング56の延出部に摺動可能に挿通されている。ロアハウジング56の摺動部にはシール用のOリング64が嵌着されているため、高圧冷媒通路46の高圧の冷媒がその摺動部を介して圧力感知室S2へ漏洩することが防止されている。作動ロッド62は、その上端面がダイアフラム52の下面中央に当接している。すなわち、圧力充填室S1の充填圧力Ppと圧力感知室S2の感知圧力Peとの差圧(Pp−Pe)に応じてダイアフラム52が変位することによる駆動力が、作動ロッド62を介して弁体44に伝達されて弁部を開閉させる。本実施の形態においては、作動ロッド62の外径と弁孔42の内径とが実質的に等しく構成されており、その結果、弁体44に作用する高圧の上流側圧力P0がキャンセルされる。ロアハウジング56の下流側開口端縁によって弁座66が形成されており、弁体44のテーパ面が弁座66に着脱することにより弁部が開閉される。
ボディ32の下端開口部には、有底段付円筒状のばね受け部材68(「区画部材」に該当する)が弁部の開閉方向に摺動可能に配設されている。さらに、その下端開口部を下方から封止するように有底段付円筒状の封止部材70がOリング72を介して固定されている。ばね受け部材68の上端開口部には半径方向外向きに延出するフランジ部が設けられ、ばね受け部材68は、そのフランジ部がボディ32に摺動可能に支持される一方、底部が封止部材70に摺動可能に支持されている。ばね受け部材68の側面とボディ32の下端部内周面との間には、シール用のOリング74が介装されている。ばね受け部材68は、そのフランジ部がボディ32の段部に係止されることによりその上死点が規定され、底部が封止部材70の底部に係止されることによりその下死点が規定される。ばね受け部材68の底部と弁体44との間には、弁体44を閉弁方向に付勢するスプリング76が介装されている。一方、ボディ32の区画壁40とばね受け部材68のフランジ部との間には、ばね受け部材68を開弁方向に付勢するスプリング77が介装されている。
ばね受け部材68と封止部材70とにより囲まれる空間により背圧室78が形成される。そして、ボディ32に設けられたバイパス通路79により、高圧冷媒通路46と背圧室78とが連通されている。すなわち、ばね受け部材68は、ボディ32内を弁体44側の弁室と弁体44と反対側の背圧室78とに区画している。背圧室78には、バイパス通路79を介して弁部の上流側圧力P0が導入される。ばね受け部材68は、弁部の上流側圧力P0と下流側圧力Pxとの差圧(P0−Px)に応じて弁体44に近接または離間する方向に変位することにより、スプリング76,77の付勢力を変化させる。弁体44は、ダイアフラム52の変位による開弁方向の力と、スプリング76による閉弁方向の力と、スプリング77による開弁方向の力とがバランスする弁リフト位置に保持されるようその開度が調整される。ただし、差圧(P0−Px)に応じてスプリング76,77の付勢力が変化すると、それに応じて弁部の開弁圧力、つまり膨張弁21のセット値が変化するようになる。
なお、図示のように、ボディ32は、入口ポート36側の端部がOリング82を介して外管10に連結され、出口ポート38側の端部がOリング80を介してケース20の冷媒導出通路24に連結されている。外管10は、Oリング84を介してケース20の開口部に連結されている。内管12は、Oリング86を介してボディ32の開口部に連結されている。
図3は、膨張装置の構成および動作を表す説明図である。(A)はパワーエレメント34が感知する温度Tpが感温筒23が感知する温度Tbよりも低い場合を示し、(B)はパワーエレメント34が感知する温度Tpが感温筒23が感知する温度Tbよりも高い場合を示している。なお、両者の温度が等しい場合には、その中間的状態となる。
膨張装置4は、膨張弁21と感温筒23とが協働して動作する。上述のように、圧力充填室S1とキャピラリチューブ22と感温筒23とによって密閉された圧力空間には、作動流体として凝縮性の気液混合冷媒(便宜上、「作動冷媒」という)Rが満たされている。同図(A)および(B)に示すように、作動冷媒Rは、圧力空間の大部分が液相部Lとなり、圧力充填室S1と感温筒23の一部に気相部Gが形成されるように充填されている。すなわち、圧力充填室S1と感温筒23のうち高温となった側に所定量の気相部Gが形成されて液相部Lの液面が現れるように作動冷媒Rが充填されている。
すなわち、パワーエレメント34の圧力充填室S1の容積をVp、キャピラリチューブ22の容積をVc、感温筒23の容積をVbとすると、作動冷媒Rの充填部の全容積Vは、下記式(1)のように表される。
V=Vp+Vc+Vb ・・・(1)
ただし、
Vp=Vp0+Vx
Vp0:ダイアフラム52が基準位置(閉弁状態となる位置)にあるときのVp
Vx:ダイアフラム52が変位による変化分
Vmin=Vp0+Vc+Vb
Vmin:充填部の最小容積
ここで、Tp<Tbの場合に高いほうの温度Tbを感知するためには、同図(A)に示すように液面が感温筒23内にある状態で飽和状態となる必要があり、そのときの作動冷媒Rの液相部Lの充填容積ωは、下記式(2)のように表される。
ω>Vp+Vc(=Vp0+Vx+Vc) ・・・(2)
一方、Tp≧Tbの場合に高いほうの温度Tpを感知するためには、同図(B)に示すように液面が圧力充填室S1内にある状態で飽和状態となる必要があり、そのときの作動冷媒Rの液相部Lの充填容積ωは、下記式(3)のように表される。
ω>Vb+Vc ・・・(3)
ここで、本実施の形態ではVb≒Vpmax(Vxが最大)と設定する。圧力空間が液相部Lで満たされてはならないから、ω<Vmin、つまり、ω<Vp0+Vc+Vbとなるように、圧力空間における作動冷媒Rの充填量を決定する。この作動冷媒Rの充填は、感温筒23に設けられた充填管25を介して行われる。すなわち、充填管25は、当初は内外を連通させる管体として設けられ、外部装置が接続されて作動冷媒Rの注入が行われる。そして、上述のような方式で作動冷媒Rが充填された後、充填管25の開口端部が押し潰されて封止される。それにより、圧力空間内の作動冷媒Rの充填状態が保持される。このような充填方式により、図示のような充填状態が実現される。
その結果、圧力充填室S1と感温筒23のうち高温となる側に気相部Gが形成されて飽和状態となる。この圧力充填室S1と感温筒23の一方の気相部Gに発生する飽和蒸気圧は、液相部Lを介して他方に伝達されることになるため、いずれにしても高温側の気相部Gの飽和蒸気圧がパワーエレメント34により感知される。すなわち、パワーエレメント34がその飽和蒸気圧を充填圧力Ppとして感知し、ダイアフラム52が充填圧力Ppと感知圧力Peとの差圧(Pp−Pe)に応じて変位し、その駆動力が作動ロッド62を介して弁体44に伝達されて弁部を開閉させる。パワーエレメント34が高温側の圧力を感知して弁部の開度を調整するため、冷凍サイクルが極低負荷で運転される場合においてもその運転中であれば弁開度をある程度確保でき、循環する冷媒流量を適切に確保することができるようになる。
次に、膨張装置の動作について説明する。
車両用空調装置が停止しているとき、パワーエレメント34の圧力充填室S1に封入された作動冷媒Rは全体的に凝縮されて圧力が低くなっているので、ダイアフラム52は閉弁方向へ変位する。その変位が作動ロッド62を介して弁体44に伝達され、膨張弁21は全閉状態となる。
ここで、車両用空調装置が通常負荷にて起動されると、圧縮機1によって冷媒が吸引されるので、ケース20内の圧力(蒸発器5の導出圧力=感知圧力Pe)が低下する。その結果、差圧(Pp−Pe)が相対的に大きくなり、ダイアフラム52が開弁方向へ変位する。その変位が弁体44に伝達され、膨張弁21は開弁状態となる。一方、圧縮機1によって圧縮された冷媒は凝縮器2にて凝縮され、受液器3にて気液分離された液冷媒が、高圧配管18および高圧通路14を通じて膨張弁21の入口ポート36に供給されるようになる。高温・高圧の液冷媒は、膨張弁21を通過するときに絞り膨張され、低温・低圧の気液混合冷媒となって出口ポート38を出る。その冷媒は、冷媒導出通路24を介して蒸発器5に供給され、その内部で蒸発されることにより車室内温度との熱交換を行う。蒸発器5を通過した冷媒は、再びケース20に導入され、戻り通路26、低圧通路16を介して圧縮機1に戻る。その際、内部熱交換器6において高温・高圧の冷媒と低温・低圧の冷媒との熱交換が行われる。
膨張弁21の開度は、パワーエレメント34が感知する差圧(Pp−Pe)によって調整される。通常負荷の状態においては、パワーエレメント34の感知温度Tpが感温筒23の感知温度Tbよりも高いため(Tp>Tb)、充填圧力Ppはパワーエレメント34の感知温度Tpに応じた圧力となる。すなわち、車両用空調装置の起動当初においては、蒸発器5から戻ってくる冷媒は、車室内の高温の空気との熱交換によってその温度が高くなっており、圧力充填室S1の圧力が高くなる。これにより、ダイアフラム52が開弁方向に変位し、膨張弁21は全開状態になる。
そして、蒸発器5から戻ってくる冷媒の温度が低下してくると、圧力充填室S1の充填圧力Ppが低くなるため、それに応じてダイアフラム52が閉弁方向へ変位する。その結果、膨張弁21は、閉弁方向に動作してこれを通過する冷媒の流量を制御するようになる。このように、通常の環境下においては、膨張弁21は、蒸発器5の出口側の冷媒温度を感知して、その冷媒が所定の過熱度を保持するように蒸発器5に供給する冷媒の流量を制御する。これにより、圧縮機1には常に過熱状態の冷媒が戻るため、安定した運転が行われる。また、内部熱交換器6による熱交換によりシステムの効率が高められる。
一方、極低温時など極低負荷の状態においても、除湿等のために車両用空調装置が起動されることがある。その場合、内部熱交換器6による熱交換によってパワーエレメント34の感知温度Tpが過剰に低下する可能性がある。しかし、パワーエレメント34は、熱交換により暖められた感温筒23側の高い温度に応じた充填圧力Ppを感知するため、弁部を開度をある程度確保することができる。すなわち、パワーエレメント34が高温側の圧力を感知して弁部の開度を調整するため、冷凍サイクルが極低負荷で運転される場合においてもその運転中であれば弁開度をある程度確保でき、循環する冷媒流量を適切に確保することができるようになる。
[第2の実施の形態]
次に、本発明の第2の実施の形態について説明する。本実施の形態に係る冷凍サイクルは、内部熱交換器の構造が異なる以外は第1の実施の形態とほぼ同様の構成を有する。このため、第1の実施の形態と同様の構成部分については同一の符号を付す等して適宜その説明を省略する。図4は、第2の実施の形態に係る膨張弁およびその周辺の構成を表す断面図である。
本実施の形態の内部熱交換器206は、第1の実施の形態と同様に二重管構造を有するが、その内管212の内部通路によって高圧通路14が形成され、外管210と内管212との間に低圧通路16が形成されている点で異なる。膨張装置204は、膨張弁221、感温筒23およびキャピラリチューブ22により構成される。同図には図示しないが、感温筒23は、内部熱交換器206の低圧側の出口近傍において低圧通路16に配設されている。内管212は、ボディ232の一端側に入口ポート36に連通するように接続されている。外管210は、ケース20の開口部に連結され、クランプ229によって固定されている。なお、本実施の形態の作動冷媒Rの充填方式については、第1の実施の形態と同様である。
本実施の形態においても、冷凍サイクルが極低負荷で運転される場合において弁開度をある程度確保でき、循環する冷媒流量を適切に確保することができる。また、高温・高圧の冷媒が流れる高圧通路14を内方に配置したため、内部熱交換器206の二重管構造や膨張弁221との接続部の構造を簡素化することができる。ただし、外方に低圧通路16を配置したために外管210の外周面に結露が発生しやすくなるため、その点では第1の実施の形態のように内方に低圧通路16を配置するほうが好ましいともいえる。
[第3の実施の形態]
次に、本発明の第3の実施の形態について説明する。本実施の形態に係る冷凍サイクル膨張弁の構造が異なる以外は第2の実施の形態とほぼ同様の構成を有する。このため、第2の実施の形態と同様の構成部分については同一の符号を付す等して適宜その説明を省略する。図5は、第3の実施の形態に係る膨張装置周辺の構成を表す断面図である。図6は、図5に示される膨張装置周辺の外観を部分的に示す図である。(A)は図5のA方向矢視図を示し、(B)はB方向矢視図を示し、(C)はC方向矢視断面図を示している。なお、図5の断面図は、図6(C)のD−D断面図に対応する。
図5に示すように、本実施の形態の膨張装置304は、膨張弁321、感温筒323およびキャピラリチューブ22により構成される。感温筒323は、内部熱交換器206の低圧側の出口近傍において低圧通路16に配設されている。感温筒323は、第1の実施の形態のような充填管25は設けられておらず、作動冷媒Rの充填後にその先端開口部が押し潰されて封止されるものであるが、感温筒23と同様に機能する。内管212は、その一端側が入口ポート36に連通するようにボディ332に接続されている。内管212の他端側は、外管210を貫通するように延出し、受液器3に接続されている。外管210は、取付部材329とねじ330を用いてケース320の開口部に連結されている。ケース320の取付部材329とは反対側の端部には、封止部材325がOリング326を介して加締め接合されている。
ケース320は、金属材料(本実施の形態ではアルミニウム部材)を中空押出成形した後、切削加工を施すことにより作製される。すなわち、金属材料を図6(A)の左右方向に中空押出しすることで図5の低圧冷媒通路327を成形した後、ドリルによる切削加工を段階的に施して冷媒導出通路24と戻り通路26を形成する。この中空押出工程において、同図(B)にも示すように蒸発器5への接続部333の概形が形成され、その後、切削加工を施すことにより取り付け用のねじ孔337が形成される。
図7は、膨張弁の周辺の構成を表す部分拡大断面図である。
膨張弁321は、その作動機構がケース320内に収容されるが、ケース320そのものが膨張弁321のボディ332を兼ねている。パワーエレメント334は、ケース320の一端部に収容されるように固定されている。本実施の形態では、ダイアフラム52、弁体44およびこれらの連結部材が、内部熱交換器206の内管212と同一軸線上を変位する配置構成をなっている。ケース320の中央には左右に延びるガイド孔362が設けられている。ガイド孔362の右方(上流側)には弁孔42が設けられている。ガイド孔362と弁孔42との間には、出口ポート38が連通するように形成されている。弁体44は、段付円筒状の作動ロッド364の上流側端部に一体に形成されており、弁孔42の上流側から弁座66に着脱して弁部を開閉する。入口ポート36の近傍にはリング状のばね受け部材368が固定されており、弁体44とばね受け部材368との間に弁体44を閉弁方向に付勢するスプリング76が介装されている。
ガイド孔362の左端には縮径部363が設けられている。そのガイド孔362における縮径部363と作動ロッド364との間には、縮径部363側からストッパ365、ばね受け部材367が同軸状に配設されている。ストッパ365およびばね受け部材367はいずれも段付円筒状をなし、軸線方向に互いに当接または離間可能に嵌合されている。ストッパ365とばね受け部材367との間には、内側にOリング371、外側にOリング372がそれぞれ設けられ、双方への冷媒の漏洩を防止している。また、縮径部363、ストッパ365およびばね受け部材367を軸線方向に貫通するようにシャフト369が配設されている。シャフト369の一端は作動ロッド364に連結され、他端はパワーエレメント334から延びる作動ロッド380に連結されている。ストッパ365と縮径部363との間にはスプリング373が介装されている。また、ばね受け部材367と作動ロッド364との間にはスプリング374が介装されるとともに、背圧室366が形成されている。
作動ロッド364は、その弁体44とは反対側の端部がガイド孔362に沿って摺動可能となっている。その摺動部の外周面にはOリング375が嵌着されており、その摺動部を介した冷媒の漏洩を防止している。作動ロッド364は、その摺動部側の端部にてシャフト369の一端部を挿通するようにして支持するが、その内部通路370が入口ポート36と背圧室366とを連通させている。その結果、弁部の上流側圧力P0が背圧室366にも導入される。本実施の形態では弁孔42とガイド孔362の有効径が等しくされているため、このように背圧室366に高圧の冷媒を導入することで、弁体44に作用する上流側圧力P0の影響がキャンセルされる。一方、縮径部363とストッパ365との間に形成される圧力室には蒸発器5からの導出圧力Peが導入されるため、ばね受け部材367とストッパ365との連結構造には、上流側圧力P0と導出圧力Peとの差圧(P0−Pe)が作用する。このため、その連結構造は、基本的に縮径部363側に押し付けられるが、冷凍サイクルが停止されるなどして上流側圧力P0が低下した場合には、スプリング373の付勢力により作動ロッド364側に変位して弁部を開弁させる。
パワーエレメント334は、中空のハウジング335と、ハウジング35内を圧力充填室S1と圧力感知室S2とに仕切るダイアフラム52とを含んで構成されている。ハウジング335は、ケース320の一端部と封止部材325とにより囲まれる空間に配置されている。ハウジング335は、アッパーハウジング354およびロアハウジング356からなる。キャピラリチューブ22は、その一端がアッパーハウジング354に接続され、他端が図示しない感温筒23に接続されている。
ダイアフラム52とシャフト369との間には、断面T字状の作動ロッド380が配設されている。作動ロッド380は、その一端側に設けられたフランジ部382にてダイアフラム52に当接している。作動ロッド380の他端側は、ロアハウジング356を貫通し、さらに戻り通路26を横断するように延びてシャフト369に連結されている。作動ロッド380は、ダイアフラム52の変位によって軸線方向に駆動され、開弁方向の駆動力をシャフト369および作動ロッド364を介して弁体44に伝達する。すなわち、圧力充填室S1の充填圧力Ppと圧力感知室S2の感知圧力Peとの差圧(Pp−Pe)に応じてダイアフラム52が変位することによる駆動力が、作動ロッド62を介して弁体44に伝達されて弁部を開閉させる。弁体44は、このパワーエレメント334による開弁方向の力、スプリング76による閉弁方向の力、およびスプリング374による開弁方向の力がバランスする弁リフト位置に保持されるようになる。
本実施の形態の作動冷媒Rの充填方式については、第1の実施の形態と同様である。本実施の形態においても、冷凍サイクルが極低負荷で運転される場合において弁開度をある程度確保でき、循環する冷媒流量を適切に確保することができる。
以上、本発明の好適な実施の形態について説明したが、本発明はその特定の実施の形態に限定されるものではなく、本発明の技術思想の範囲内で種々の変形が可能であることはいうまでもない。
上記実施の形態の膨張弁は、冷媒として代替フロン(HFC−134a)など使用する冷凍サイクルに好適に適用されるが、本発明の膨張弁は、二酸化炭素のように作動圧力が高い冷媒を用いる冷凍サイクルに適用することも可能である。その場合には、外部熱交換器として凝縮器に代わってガスクーラなどが配置される。その際、パワーエレメントを構成するダイヤフラム等の強度を補うために、金属製の皿ばね等を重ねて配置してもよい。あるいは、ダイヤフラムに置き換えて皿ばね等を配置してもよい。
その場合、パワーエレメント、キャピラリチューブおよび感温筒により囲まれる圧力空間に充填する作動冷媒Rについても、二酸化炭素のように作動圧力が高い冷媒を用いてもよい。その場合、二酸化炭素のような冷媒は凝縮性が低いため、圧力充填室と感温筒のそれぞれに活性炭などの吸着剤を配設してもよい。そして、圧力充填室を「第1の感温室」、感温筒を「第2の感温室」として機能させる。すなわち、各感温室には吸着剤が設けられているため、それぞれの温度が所定温度以下であれば作動流体が吸着されてその体積が減少し、所定温度より高ければ作動流体が脱離されてその体積が増加する。したがって、圧力空間における作動流体の体積は、圧力充填室と感温筒の平均的な温度に左右されることになる。作動流体の体積が大きければ圧力充填室の圧力が高くなり、ダイアフラムが弁部の開弁方向に動作するようになる。つまり、極低温下など冷凍サイクルが極低負荷で運転される場合においても、圧力充填室および感温筒の一方の温度がある程度高ければ、ある程度の弁開度を確保することができる。すなわち、当該膨張装置を冷凍サイクルに適用することにより、循環する冷媒流量を適切に確保することができる。
上記実施の形態の膨張弁においては、蒸発器から戻ってきた冷媒の圧力と温度を感知する感圧部材としてダイアフラムを用いる例を示した。感圧部材としてはこのほか、ベローズ等のように圧力を感知して伸縮するものを採用することもできる。しかし、膨張弁全体のコンパクト化を実現するうえでは薄膜状の感圧部材であるダイアフラムを採用するほうが好ましい。
1 圧縮機、 2 凝縮器、 3 受液器、 4 膨張装置、 5 蒸発器、 6 内部熱交換器、 10 外管、 12 内管、 14 高圧通路、 16 低圧通路、 18 高圧配管、 20 ケース、 21 膨張弁、 22 キャピラリチューブ、 23 感温筒、 24 冷媒導出通路、 32 ボディ、 34 パワーエレメント、 35 ハウジング、 36 入口ポート、 38 出口ポート、 40 区画壁、 42 弁孔、 44 弁体、 46 高圧冷媒通路、 48 低圧冷媒通路、 52 ダイアフラム、 62 作動ロッド、 66 弁座、 78 背圧室、 79 バイパス通路、 204 膨張装置、 206 内部熱交換器、 210 外管、 212 内管、 221 膨張弁、 223 感温筒、 304 膨張装置、 320 ケース、 321 膨張弁、 323 感温筒、 327 低圧冷媒通路、 332 ボディ、 334 パワーエレメント、 335 ハウジング、 364 作動ロッド、 366 背圧室、 380 作動ロッド、 S1 圧力充填室、 S2 圧力感知室。

Claims (10)

  1. 冷媒を圧縮する圧縮機と、
    前記圧縮機から吐出された冷媒を冷却する外部熱交換器と、
    前記外部熱交換器から送出された冷媒を絞り膨張させる膨張装置と、
    前記膨張装置から導出された冷媒を蒸発させる蒸発器と、
    前記蒸発器から前記圧縮機に送られる冷媒と、前記外部熱交換器から前記膨張装置に送られる冷媒との熱交換を行う内部熱交換器と、
    を備える冷凍サイクルにおいて、
    前記膨張装置は、
    絞り膨張させる冷媒の流量を調整する弁部と、
    前記内部熱交換器の低圧側入口近傍の温度を感知する第1の感温部と、
    前記内部熱交換器の低圧側出口近傍の温度を感知する第2の感温部と、
    作動流体が満たされる圧力充填室と、前記蒸発器からの戻り冷媒が導入される圧力感知室とを有し、前記圧力充填室の充填圧力と前記圧力感知室の感知圧力との差圧に応じて前記弁部に開弁方向の力を付与する感圧部と、を備え、
    前記圧力充填室の充填圧力が、前記第1の感温部が感知する温度および前記第2の感温部が感知する温度のうち、高い方の温度に応じて変化するよう構成されていることを特徴とする冷凍サイクル。
  2. 前記膨張装置は、
    前記圧力充填室とキャピラリチューブによって接続され、前記内部熱交換器の低圧側出口近傍の冷媒の温度を感知する感温筒を備え、
    前記圧力充填室には前記作動流体として凝縮性の気液混合冷媒が満たされ、
    前記圧力充填室が前記第1の感温部として機能する一方、前記感温筒が前記第2の感温部として機能し、
    前記圧力充填室と前記キャピラリチューブと前記感温筒とによって密閉された圧力空間に、その圧力充填室と感温筒のうち高温となった側の少なくとも一部に気相部が形成されるよう前記気液混合冷媒が封入され、前記感圧部が、前記気相部の飽和蒸気圧を前記充填圧力として感知することを特徴とする請求項1に記載の冷凍サイクル。
  3. 前記内部熱交換器は、前記外部熱交換器から前記膨張装置へ向かう冷媒を通過させる高圧通路と、前記蒸発器から前記圧縮機へ向かう冷媒を通過させる低圧通路とを備え、
    前記圧力充填室が前記低圧通路の入口近傍に配置され、前記感温筒が前記低圧通路の出口近傍に配置されていることを特徴とする請求項2に記載の冷凍サイクル。
  4. 前記内部熱交換器が、前記蒸発器の出口と前記圧縮機の入口との間の戻り低圧配管の一部を構成し、
    前記圧力充填室、前記キャピラリチューブおよび前記感温筒が、前記戻り低圧配管の内部に配置されていることを特徴とする請求項3に記載の冷凍サイクル。
  5. 冷凍サイクルに設けられ、上流側から導入された冷媒を絞り膨張して下流側に導出する膨張装置において、
    絞り膨張させる冷媒の流量を調整する弁部を内部に有するボディと、
    前記ボディに取り付けられたハウジングと、そのハウジングを作動流体が満たされる圧力充填室と冷媒が導入される圧力感知室とに仕切る感圧部材とを有し、その感圧部材が前記圧力充填室の充填圧力と前記圧力感知室の感知圧力との差圧に応じて変位することにより前記弁部に開弁方向の力を付与する感圧部と、
    前記圧力充填室またはその近傍の温度を感知する第1の感温部と、
    前記圧力充填室から前記第1の感温部よりも下流側に離間した所定位置の温度を感知する第2の感温部と、を備え、
    前記圧力充填室の充填圧力が、前記第1の感温部が感知する温度および前記第2の感温部が感知する温度のうち、高い方の温度に応じて変化するよう構成されていることを特徴とする膨張装置。
  6. 前記圧力充填室とキャピラリチューブによって接続された感温筒を備え、
    前記圧力充填室には前記作動流体として凝縮性の気液混合冷媒が満たされ、
    前記圧力充填室が前記第1の感温部として機能する一方、前記感温筒が前記第2の感温部として機能し、
    前記圧力充填室と前記キャピラリチューブと前記感温筒とによって密閉された圧力空間に、その圧力充填室と感温筒のうち高温となった側の少なくとも一部に気相部が形成されるよう前記気液混合冷媒が封入され、前記感圧部が、前記気相部の飽和蒸気圧を前記充填圧力として感知することを特徴とする請求項5に記載の膨張装置。
  7. 前記気液混合冷媒として、温度に対する飽和蒸気圧の特性が前記冷凍サイクルを循環する冷媒と類似したものを用いることを特徴とする請求項6に記載の膨張装置。
  8. 前記ボディを貫通する冷媒通路の中間部に設けられた弁孔に接離して前記弁部を開閉する弁体と、
    前記感圧部材の変位を前記弁体に伝達して前記弁部を開閉させる作動ロッドと、
    前記弁体の前記感圧部とは反対側に配置され、前記弁体に閉弁方向の付勢力を付与するとともに、前記弁部の上流側圧力と下流側圧力との差圧に応じてその付勢力が変化する付勢機構と、
    を備えることを特徴とする請求項5から7のいずれかに記載の膨張装置。
  9. 前記付勢機構は、
    前記ボディに前記弁部の開閉方向に摺動可能に設けられるとともに、前記ボディを前記弁体側の弁室と前記弁体と反対側の背圧室とに区画する区画部材と、
    前記区画部材と前記弁体との間に介装され、前記弁体を閉弁方向に付勢するスプリングと、を備え、
    前記背圧室に前記弁部の上流側圧力が導入され、前記区画部材が前記弁部の上流側圧力と下流側圧力との差圧に応じて前記弁体に近接または離間する方向に変位することにより、前記スプリングの付勢力を変化させることを特徴とする請求項8に記載の膨張装置。
  10. 冷凍サイクルに設けられ、上流側から導入された冷媒を絞り膨張して下流側に導出する膨張装置において、
    絞り膨張させる冷媒の流量を調整する弁部を内部に有するボディと、
    前記ボディに取り付けられたハウジングと、そのハウジングを作動流体が満たされる圧力充填室と冷媒が導入される圧力感知室とに仕切る感圧部材とを有し、その感圧部材が前記圧力充填室の充填圧力と前記圧力感知室の感知圧力との差圧に応じて変位することにより前記弁部に開弁方向の力を付与する感圧部と、
    前記圧力充填室またはその近傍に設けられた第1の感温室と、
    前記圧力充填室とキャピラリチューブにより接続され、前記第1の感温室よりも下流側の所定位置に設けられた第2の感温室と、
    を備え、
    前記圧力充填室、前記第1の感温室、前記第2の感温室および前記キャピラリチューブにより密閉された圧力空間に前記作動流体が満たされ、前記第1の感温室および前記第2の感温室には、感知する温度に応じて前記作動流体を吸着または離脱させる吸着剤がそれぞれ設けられていることを特徴とする膨張装置。
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