JP2011100819A - 磁気結合器 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】一次側ユニットと二次側ユニットとが非磁性体を介して対向配置され、かつ磁気的に結合可能である磁気結合器において、前記両ユニット100,200は、平編線からなるコイル103,203をそれぞれ備えると共に相対的に移動可能であり、コイル103,203が巻回されるコア101,201を備え、これらのコア101,201の材料として、いわゆる圧粉コアやダスト材を用いる。また、一次側ユニットを固定すると共に、一次側ユニットを構成するコイルの一部に一対の導体からなる往復導体を備え、二次側ユニットを、前記往復導体の長手方向に沿って移動可能とする。
【選択図】図2
Description
この種の非接触給電装置では、コイルを流れる電流の周波数は数〜数10kHzとなるのが一般的である。この周波数の下限は、主に磁気結合器の大きさによって決まる。すなわち、周波数が低いほど、トランスの原理に従って電力伝送に必要な励磁インダクタンスを大きくしなくてはならないため、コアやコイルの大型化を招くことによる。
この非接触給電装置の主な構成要素は、給電部11を構成する一次コイル14a及び一次コア13a、受電部12を構成する二次コイル14b及び二次コア13bである。なお、15は一次コア13a及び二次コア13bを構成する板状ブロック、gは給電部11と受電部12との間の空隙を示す。
この従来技術では、一次コア13a及び二次コア13bの材質、つまり板状ブロック15の材質として、強磁性体のフェライトまたは珪素鋼板(積層鋼板)が例示されている。
(1)フェライト
飽和磁束密度が最大でも0.5T程度と低いため、磁気飽和し易い。磁気飽和しない領域で使用する場合には、磁束の総量を高められないため、伝送可能なエネルギーが低くなる。この問題を緩和するためにはフェライトの使用量を増やす必要があり、結果的に磁気結合器の重量や体格の増大を招く。
(2)珪素鋼板
飽和磁束密度は1.6T程度となるため、伝送可能なエネルギーはフェライトに比べて各段に高くなる。しかし、非接触給電装置の磁気結合器が比較的広い空隙(数mm〜数cm)を保有している場合、空隙を貫いて一次、二次のコア間を渡る磁束の磁路が、空間的に一次、二次の対向面方向に膨らむ、いわゆるフリンジング現象により、珪素鋼板の板面を貫く磁束が発生する。これにより、珪素鋼板における渦電流損が顕著に増大するため、珪素鋼板の異常過熱や電力伝送効率の低下を招く。
前記両ユニットは、コイルをそれぞれ備えると共に相対的に移動可能であり、
前記両ユニットのうち少なくとも一方のユニットは、前記コイルが巻回されるコアを備え、前記コアの材料として、鉄系の粉と絶縁物との混合物を用いるものである。
図1は、この実施形態に係る非接触給電装置用の磁気結合器の二次側ユニット200を示しており、図1(a),(c)は図1(b)のX−X断面図、図1(b)は平面図である。なお、図1(c)については後述する。
溝部202に収容されるコイル203は、平面から見てほぼ楕円形(レーストラック形)であり、コイル203が発生する磁束の磁路にコア201が存在する配置となっている。
図2において、101は一次側ユニット100のコア、103は同じくコイル、104,204は各ユニット100,200のヨーク部、301は磁路を示す。
(1)圧粉材料はフェライトに比べて飽和磁束密度が高いため、磁路の断面積を減らし、コアの体積を減らすことができる。すなわち、図1(a)に示した圧粉コアは、図1(c)に示すフェライトコア201Aよりも体積を減らすことができるため、コアの平面積を同一にした場合、両コアの厚さの関係はd<d’となり、ユニットの薄型化、つまり磁気結合器の薄型化(図2に示す断面積の減少)、小型軽量化が可能になる。
(2)圧粉コアでは、珪素鋼板のように特定方向(積層鋼板の場合には板面を貫く方向)に磁束が通った場合に発生損失が顕著に増大するという現象がないため、損失を低減することができる。
図3は、珪素鋼板、フェライト及び圧粉コアの直流磁気特性、いわゆるB(磁束密度)−H(磁界強度)特性を示している。珪素鋼板は、Hに対するBの増加率(透磁率)が、Hが低い領域で大きく、磁束密度が1.5T程度で磁気飽和する。一方、フェライトは、珪素鋼板と同様に低H領域の透磁率が高いものの、磁束密度が0.5T程度で磁気飽和してしまう。
従って、コアの材料としてフェライトを用いる場合には、コアの磁束密度を0.5T程度以下にすることが制約条件となる。よって、磁気結合器により一次−二次間で伝送すべき電力の増大に伴い、発生磁束が増加する際に、磁気飽和を避けるためには磁路の断面積を大きくする必要がある。なお、フェライトの材料としては、動作周波数が10kHz前後となることから、MnZn(マンガン・亜鉛)系を採用するのが一般的である。
なお、上述したように、圧粉コアの低H領域の透磁率は珪素鋼板やフェライトに比べて低い。しかし、比透磁率として数100程度は有することから、空気の透磁率に対しては十分大きい。従って、磁気結合器の一次側ユニットと二次側ユニットとの間に空隙が存在する場合には、コイルのインダクタンスはほぼ磁路における空隙の長さと断面積によって決まり、コアの透磁率による影響は小さい。このことは、広く実用されているギャップ(空隙)付きリアクトルの場合と同様である。
従って、圧粉コアを用いて磁気結合器を構成すれば、磁気飽和しない状態ではフェライトと同等の相互インダクタンス(すなわち電力伝送効率)を実現でき、かつ、磁気飽和を回避するために必要な磁路の断面積をフェライトの場合よりも大幅に減少させることができる。
図4(a)に示すように、リッツ線W1は、細い素線(材料は主に銅)Wを多数編み込み、全体が略円形断面になるように形成される。これにより、周知のように、通常の単線(主に1本の銅線により構成)や拠り線(細い素線を多数、単純に束ねて拠り合わせたもの)に比べ、高周波通流時に電流が表面だけでなく導線全体に高い均一性で流れるようになるため、導線における損失、発熱を抑制することができる。
その一方で、リッツ線W1は硬いため曲げ加工等が難しいことや、円形断面であるために巻き重ねた場合に銅の占積率が高められないという問題がある。
この平編線は、リッツ線と同様に編み込んだ素線が平たい断面となるように形成されている。あるいは、図4(b)に示すごとく、中空円筒状に素線Wを編み込んでこれを両側から加圧することにより素線Wを潰し、全体として扁平な断面を持つ平編線W2が形成される。
図5(a)は多数のリッツ線W1を用いて構成したリッツ線コイル205aまたは205bの断面図、図5(b)は多数の平編線W2を用いて構成した平編線コイル206の断面図である。
これらの図から明らかなように、平編線コイル206ではリッツ線コイル205aまたは205bに比べて導線の占積率を大幅に改善することができ、定量的には、円形断面に対おける導線の占積率が、理論上、平編線コイルではリッツ線コイルの約4/π倍になる。これは、正方形と内接円との面積差に該当する(平編線の端部の影響は無視する)。また、平編線W2はリッツ線W1に対して素線が柔らかいという特徴もあるため、コイル、ひいては磁気結合器を製造する際の作業性が良くなるという利点もある。
すなわち、一次側ユニットと二次側ユニットとの対向面に直交する方向に磁気結合器を薄型化するためには、コア及びコイルを当該方向に薄くする必要があるが、本実施形態によればその達成が可能である。
図6はこのような配置構成に適した本発明の第2実施形態を示しており、図6(a)は図6(b)のY−Y断面図、図6(b)は平面図である。
また、一次側ユニット100Bは、コイル203の直線部に対向するように配置されて一次側コイルを構成する往復導体106を備えている。この往復導体106はほぼ平行に配置された2本の導体からなり、図6(a)における紙面を貫く方向に高周波電流が通流される。
このような構成により、一次側ユニット100Bの往復導体106の長手方向の一部において二次側ユニット200が対向する部分では、両ユニット100B,200のコイル間の磁気結合によって電力の授受(給電)が行われるため、移動体への給電を好適かつ容易に行うことができる。
また、一次側ユニットを移動体の軌道に沿って部分的に配置すると共に、移動体に電池、キャパシタ、リアクトル等のエネルギー蓄積要素を搭載しておけば、移動体側の二次側ユニットが一次側ユニットに対向して非接触給電が可能な場所において給電された電力量(エネルギー)の一部または全部を前記エネルギー蓄積要素に蓄え、二次側ユニットが一次側ユニットに対向しない場所では、前記蓄えられたエネルギーを利用して必要な電力量を賄う、という構成も可能である。
つまり、珪素鋼板(積層鋼板)は透磁率も飽和磁束密度も高いが、原則として鋼板の板面を貫く磁束の変化は前述のように避けるべきであるため、三次元方向の磁束の変化への対応は困難である。一方、フェライトは三次元方向の磁束の変化に対応できるが、飽和磁束密度が低い。
鉄系の粉と絶縁物の混合物としては、現在のところいわゆる圧粉コアが、透磁率、飽和磁束密度、三次元方向の磁束変化への対応性を総合的に評価した場合に最も適合度が高いため、本発明の磁気結合器に使用するコアとして最適である。
図7において、二次側ユニット200Cのコア207はほぼE形であり、コア207の中心突起部208にコイル209が巻回されている。この二次側ユニット200Cは移動体側に配置される。
一方、一次側ユニット100Cは、図6と同様に一次側コイルとしての往復導体106を備えており、この往復導体106は、コア207の中心突起部208の両側にコイル209を介して配置される。
なお、一次側ユニット100Cの形状は図示例に何ら限定されるものではなく、このことは、前述した図6における一次側ユニット100Bに関しても同様である。
この第3実施形態でも、コア207に圧粉コアを用い、コイル209に平編線コイルを用いることにより、第1,第2実施形態と同様の作用効果を得ることができる。
101,201,201A,207:コア
103,203,209:コイル
104,204:ヨーク部
106:往復導体
200,200C:二次側ユニット
202:溝部
205a,205b:リッツ線コイル
206:平編線コイル
208:中央突起部
300:磁気結合器
301:磁路
302:空隙
W:素線
W1:リッツ線
W2:平編線
Claims (5)
- 一次側ユニットと二次側ユニットとが非磁性体を介して対向配置され、かつ磁気的に結合可能である磁気結合器において、
前記両ユニットは、コイルをそれぞれ備えると共に相対的に移動可能であり、
前記両ユニットのうち少なくとも一方のユニットは、前記コイルが巻回されるコアを備え、
前記コアの材料として、鉄系の粉と絶縁物との混合物を用いることを特徴とする磁気結合器。 - 請求項1に記載した磁気結合器において、
前記両ユニットのうち少なくとも一方のユニットは、多数の素線を編んで加圧することにより扁平の断面が得られる平編線により構成されたコイルを有することを特徴とする磁気結合器。 - 請求項1または2に記載した磁気結合器において、
前記両ユニットのうち少なくとも一方のユニットが、扁平のコイル及びコアを備え、全体的に扁平に形成されることを特徴とする磁気結合器。 - 請求項1〜3の何れか1項に記載した磁気結合器において、
前記一次側ユニットが固定されていると共に、前記一次側ユニットを構成するコイルの一部に一対の導体からなる往復導体を有しており、
前記二次側ユニットを、前記往復導体の長手方向に沿って移動可能としたことを特徴とする磁気結合器。 - 請求項1〜4の何れか1項に記載した磁気結合器において、
前記コアを、鉄系の粉が互いに絶縁物を介して加圧固定された圧粉コアにより形成したことを特徴とする磁気結合器。
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