JP2011098536A - 熱可逆記録媒体及び画像処理方法 - Google Patents

熱可逆記録媒体及び画像処理方法 Download PDF

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Yoshihiko Hotta
吉彦 堀田
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真哉 川原
Tomozo Iwami
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Abstract

【課題】耐光性に優れる熱可逆記録媒体及び該熱可逆記録媒体を用いた画像処理方法を提供すること。
【解決手段】本発明の熱可逆記録媒体は、支持体上に電子供与性呈色性化合物であるロイコ染料と、電子受容性化合物である可逆性顕色剤とを含有し熱により色調が可逆的に変化する熱可逆記録層を含む光熱変換層を有し、前記光熱変換層に特定波長の光を吸収して熱に変換する光熱変換材料を含有する熱可逆記録媒体であって、イミダゾール系化合物を含有することを特徴とする。
【選択図】図2A

Description

本発明は、本発明は、耐光性に優れる熱可逆記録媒体及び該熱可逆記録媒体を用いた画像処理方法に関する。
現在まで、熱可逆記録媒体(以下、「記録媒体」、又は「媒体」と称することがある)への画像記録及び画像消去は、加熱源を記録媒体に接触させて該媒体を加熱する接触式で行われている。該加熱源としては、通常、画像記録にはサーマルヘッドが用いられ、画像消去には熱ローラ、セラミックヒータなどが用いられている。
このような接触式の記録方法は、熱可逆記録媒体がフィルム、紙等のフレキシブルなものである場合には、プラテンなどによって記録媒体を加熱源に均一に押し当てることにより、均一な画像記録及び画像消去を行うことができ、かつ従来の感熱紙用のプリンタの部品を転用することによって画像記録装置及び画像消去装置を安価に製造することができるという利点がある。
また、熱可逆記録媒体についても離れた位置から画像を書き換えたいという要望が生じてきている。例えば熱可逆記録媒体の表面に凹凸が生じた場合や離れたところから均一に画像記録及び画像消去する方法として、レーザを用いる方法が提案されている(特許文献1参照)。この方法は、物流ラインに用いる搬送用容器に熱可逆記録媒体を使用して非接触記録を行うものであり、書き込みはレーザで実施し、消去は熱風、温水、又は赤外線ヒータで行うと記載されている。
このようなレーザによる記録方法としては、高出力のレーザ光を熱可逆記録媒体に照射して、その位置をコントロール可能なレーザ記録装置(レーザマーカー)が提供されている。このレーザマーカーを用いると、レーザ光を熱可逆記録媒体に照射して、媒体が光を吸収して熱に変換し、その熱で記録及び消去を行うことが可能である。これまでのレーザによる画像記録及び画像消去を行う方法として、ロイコ染料、可逆性顕色剤、及び種々の光熱変換材料を組み合わせて、近赤外レーザ光により記録する方法が提案されている(特許文献2参照)。
しかし、この提案のように、ロイコ染料等の熱可逆記録層組成物と光熱変換材料を同一層内に含有させて光を照射すると、両者の相互作用により経時的に分解が起こり光熱変換材料の吸収が低下していき、記録感度及び消去感度が著しく低下するという問題がある。
可逆感熱記録材料の耐光性を向上させるために、フェノール系酸化防止剤を添加することが提案されている(特許文献3参照)。これにより可逆感熱記録材料の光劣化を抑制できている。
また、熱可逆記録層と光熱変換層とに独立して分離させる試みがなされている(特許文献4、5参照)。これにより、ロイコ染料等の熱可逆記録層組成物と光熱変換材料が混合することを抑制し、相互作用による劣化を抑制できることができている。しかしながら熱可逆記録媒体においては、繰り返し印字消去により熱可逆記録層と光熱変換層が混合してしまうことで、耐光性が低下してしまうことがある。これより、ロイコ染料等の熱可逆記録層組成物と光熱変換材料が混合しても光熱変換材料の劣化がない耐光性に優れる熱可逆記録媒体が求められている。
本発明は、前記従来における諸問題を解決し、以下の目的を達成することを課題とする。即ち、耐光性に優れる熱可逆記録媒体及び該熱可逆記録媒体を用いた画像処理方法を提供することを目的とする。
前記課題を解決するため、本発明者らが鋭意検討を行ったところ、以下の知見を得た。
即ち、本発明者らは、支持体上に電子供与性呈色性化合物であるロイコ染料と、電子受容性化合物である可逆性顕色剤とを含有し熱により色調が可逆的に変化する熱可逆記録層を含む光熱変換記録層をし、前記光熱変換記録層に特定波長の光を吸収して熱に変換する光熱変換材料を含有する熱可逆記録媒体のいずれかの層に、イミダゾール系化合物を含有させることで前記光熱変換材料の劣化を抑制でき、耐光性を向上させることができることを見出した。
本発明は、前記知見に基づくものであり、前記課題を解決するための手段としては、以下の通りである。即ち、
<1> 支持体上に電子供与性呈色性化合物であるロイコ染料と、電子受容性化合物である可逆性顕色剤とを含有し熱により色調が可逆的に変化する熱可逆記録層を含む光熱変換記録層を有し、前記光熱変換記録層に特定波長の光を吸収して熱に変換する光熱変換材料を含有する熱可逆記録媒体であって、イミダゾール系化合物を含有することを特徴とする熱可逆記録媒体である。
<2> 光熱変換記録層にイミダゾール系化合物を含有する前記<1>に記載の熱可逆記録媒体である。
<3> イミダゾール系化合物の総含有量が、光熱変換材料1.0molに対して0.01mol以上である前記<1>から<2>のいずれかに記載の熱可逆記録媒体である。
<4> 光熱変換材料が、700nm〜1,500nmの波長範囲内に光の吸収ピークを有する前記<1>から<3>のいずれかに記載の熱可逆記録媒体である。
<5> 支持体と光熱変換記録層との間に、酸素バリア層を有する前記<1>から<4>のいずれかに記載の熱可逆記録媒体である。
<6> 光熱変換記録層上に、酸素バリア層を有する前記<1>から<5>のいずれかに記載の熱可逆記録媒体である。
<7> 酸素バリア層の酸素透過度が、20mL/m/day/MPa以下である前記<5>から<6>のいずれかに記載の熱可逆記録媒体である。
<8> 光熱変換記録層上に、紫外線吸収層を有する前記<1>から<7>のいずれかに記載の熱可逆記録媒体である。
<9> 前記<1>から<8>のいずれかに記載の熱可逆記録媒体における光熱変換記録層に対し、特定波長のレーザ光を照射して加熱することにより該熱可逆記録媒体に画像を記録する画像記録工程、及び、前記光熱変換記録層に対し特定波長のレーザ光を照射して加熱することにより前記熱可逆記録媒体に記録された画像を消去する画像消去工程の少なくともいずれかを含むことを特徴とする画像処理方法である。
<10> レーザ光源が、YAGレーザ光、ファイバーレーザ光、及び半導体レーザ光のいずれかである前記<9>に記載の画像処理方法である。
<11> 光熱変換材料が、近赤外領域に吸収ピークを有する材料である前記<1>から<8>のいずれかに記載の熱可逆記録媒体である。
<12> 光熱変換材料が、フタロシアニン系化合物である前記<11>に記載の熱可逆記録媒体である。
本発明によれば、前記従来における諸問題を解決でき、前記目的を達成することができ、耐光性に優れる熱可逆記録媒体及び該熱可逆記録媒体を用いた画像処理方法を提供することができる。
熱可逆記録媒体の発色−消色特性を示すグラフである。 熱可逆記録媒体の発色−消色変化のメカニズムを表す概略説明図である。 図2Aは、一の実施形態に係る熱可逆記録媒体100の層構成の要部を示す概略断面図である。 図2Bは、他の実施形態に係る熱可逆記録媒体200の層構成の要部を示す概略断面図である。 図3は、RF−IDタグの一例を示す概略図である。 図4は、画像処理装置の一例を説明する図である。
(熱可逆記録媒体)
本発明の熱可逆記録媒体は、支持体上に熱可逆記録層を含む光熱変換記録層を有し、イミダゾール系化合物を含有する。
前記熱可逆記録媒体は、必要に応じて、紫外線吸収層、酸素バリア層、保護層、中間層、アンダーコート層、バック層、接着層、粘着層、着色層、空気層、光反射層等のその他の層を有してなる。これら各層は、単層構造であってもよいし、積層構造であってもよい。ただし前記光熱変換記録層の上に設ける層においては、照射する特定波長のレーザ光のエネルギーロスを少なくするために前記特定波長において吸収の少ない材料を用いて層を構成させることが好ましい。
<イミダゾール系化合物>
本発明においてイミダゾール系化合物とは、イミダゾール及びその誘導体のいずれかを示す。
前記イミダゾール系化合物としては、特に制限はなく、公知のものの中から適宜選択することができ、例えば、1H−イミダゾール、5,6−ジメチルベンゾイミダゾール、2,4,5−トリフェニルイミダゾール、4,5−ジフェニルイミダゾール、1−メチルイミダゾール、2−メチルイミダゾール、1,2−ジメチルイミダゾール、2−フェニルイミダゾール、1−ベンジル−2−メチルイミダゾール、2−エチル−4−メチルイミダゾール、4,5−ジヒドロ−1H−イミダゾール、2,5−ジヒドロ−1H−イミダゾール、2,3−ジヒドロ−1H−イミダゾール、テトラヒドロ−1H−イミダゾール、イミダゾリジノン、2−ウンデシルイミダゾリン、2−プロピル−2−イミダゾリン、2−エチル−2−イミダゾリン、イミダゾリジン−2−オン、イミダゾリジン−2−チオン、2−メチル−4,5−ジヒドロ−1H−イミダゾール、イミダゾリジン−2,4−ジオン、2−チオキソイミダゾリジン−4−オン、イミダゾリジン−2,4−ジチオン、5−ウレイドヒダントイン、(2,5−ジオキソイミダゾリジン−4−イル)尿素、2−イミノ−1−メチルイミダゾリジン−4−オンイミダゾリジントリオン、3−(1H−イミダゾール−4−イル)アクリル酸、2−アミノ−3−(1H−イミダゾール−4−イル)プロパン酸、α-アミノ−1H−イミダゾール−4−プロパン酸、2−アミノ−3−(1H−イミダゾール−4−イル)プロパノイル、α−(3−アミノプロパンアミド)−1H−イミダゾール−4−プロパン酸、Nα−(β−アラニル)ヒスチジン、2−(3−アミノプロパンアミド)−3−(1H−イミダゾール−4−イル)プロパノイル、Nα−(β−アラニル)ヒスチジル、α−(3−アミノプロパンアミド)−1−メチル−1H−イミダゾール−5−プロパン酸、Nα−(β−アラニル)−Nπ−メチルヒスチジン、α−(3−アミノプロパンアミド)−2−メチル−1H−イミダゾール−5−プロパン酸、Nα−(β−アラニル)−2−メチルヒスチジン、α−(4−アミノブタンアミド)−1H−イミダゾール−4−プロパン酸、Nα−(4−アミノブタノイル)ヒスチジン、2−(トリメチルアンモニオ)−3−(1H−イミダゾール−4−イル)プロパノアートイミダゾール−4-エタンアミン、2−シアノ−1−メチル−3−(2−{[(5−メチル−1H−イミダゾール−4−イル)メチル]スルファニル}エチル)グアニジン、1−{2−[(4−クロロフェニル)メトキシ]−2−(2,4−ジクロロフェニル)エチル}−1H−イミダゾール1−{2−(2,4−ジクロロフェニル)−2−[(2,4−ジクロロフェニル)メトキシ]エチル}−1H−イミダゾール、2−エチル−3−[(1−メチル−1H−イミダゾール−5-イル)メチル]ブタノ−4−ラクトンなどが挙げられる。これらの中でも、1H−イミダゾール、5,6−ジメチルベンゾイミダゾール、2,4,5−トリフェニルイミダゾール、4,5−ジフェニルイミダゾール、2−フェニルイミダゾールが好ましい。
また、これらは1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
前記イミダゾール系化合物を含有させる層としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、前記熱可逆記録媒体において、任意の1つの層に含有させてもよく、すべての層に含有させてもよい。これらの中でもロイコ染料と光熱変換材料の相互作用を抑制するために、前記光熱変換記録層に含有させることが好ましい。
前記熱可逆記録媒体中における前記イミダゾール系化合物の総含有量の下限値としては、前記光熱変換材料の種類、分子量等により変化することがあり、一概にはいえないが、例えば、光熱変換材料1.0molに対して0.01mol以上が好ましく、0.015mol以上がより好ましく、0.025molが特に好ましい。
0.01mol未満であると、前記光熱変換材料が劣化し耐光性が十分に向上しないことがある。
前記熱可逆記録媒体中における前記イミダゾール系化合物の総含有量の上限値としては、前記光熱変換材料の種類、分子量等により変化することがあり、一概にはいえないが、例えば、光熱変換材料1.0molに対して100mol以下が好ましく、50mol以下がより好ましく、1mol以下が特に好ましい。
100molを超えると、記録感度及び消去感度が低下して問題となることがある。
<支持体>
前記支持体としては、その形状、構造、大きさ等については、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、前記形状としては、例えば、平板状などが挙げられ、前記構造としては、単層構造であってもよいし、積層構造であってもよく、前記大きさとしては、前記熱可逆記録媒体の大きさ等に応じて適宜選択することができる。
前記支持体の材料としては、例えば、無機材料、有機材料などが挙げられる。
前記無機材料としては、例えば、ガラス、石英、シリコン、酸化シリコン、酸化アルミニウム、SiO、金属などが挙げられる。
前記有機材料としては、例えば、紙、三酢酸セルロース等のセルロース誘導体、合成紙、ポリエチレンテレフタレート、ポリカーボネート、ポリスチレン、ポリメチルメタクリレート等のフィルムなどが挙げられる。
前記無機材料及び前記有機材料は、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、有機材料が好ましく、ポリエチレンテレフタレート、ポリカーボネート、ポリメチルメタクリレート等のフィルムが好ましく、ポリエチレンテレフタレートが特に好ましい。
前記支持体には、塗布層の接着性を向上させることを目的として、コロナ放電処理、酸化反応処理(クロム酸等)、エッチング処理、易接着処理、帯電防止処理、などを行うことにより表面改質するのが好ましい。
前記支持体に、酸化チタン等の白色顔料などを添加することにより、白色にするのが好ましい。
前記支持体の厚みとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、10μm〜2,000μmが好ましく、50μm〜1,000μmがより好ましい。
<光熱変換記録層>
前記光熱変換記録層は、少なくとも熱可逆記録層を有し、前記光熱変換材料を含有する層としてなる。該光熱変換記録層は、1層で形成されていてもよく、2層以上の層により形成されていてもよい。
前記光熱変換記録層の層構成としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、前記熱可逆記録層を前記光熱変換材料を含有する層として形成してもよいが、必要に応じて、前記熱可逆記録層に近接する光熱変換層を形成し、該光熱変換層に前記光熱変換材料を含有させてもよい。
−熱可逆記録層−
前記熱可逆記録層としては、電子供与性呈色性化合物であるロイコ染料と、電子受容性化合物である顕色剤を含む、熱により色調が可逆的に変化する層であり、バインダー樹脂、更に必要に応じてその他の成分を含んでなる。
前記熱により色調が可逆的に変化する電子供与性呈色性化合物であるロイコ染料、電子受容性化合物である可逆性顕色剤は、温度変化により目に見える変化を可逆的に生じる現象を発現可能な材料であり、加熱温度及び加熱後の冷却速度の違いにより、相対的に発色した状態と消色した状態とに変化可能である。
−−ロイコ染料−−
前記ロイコ染料は、それ自体無色又は淡色の染料前駆体である。
前記ロイコ染料としては、特に制限はなく、公知のものの中から適宜選択することができるが、例えば、トリフェニルメタンフタリド系、トリアリルメタン系、フルオラン系、フェノチアジン系、チオフェルオラン系、キサンテン系、インドフタリル系、スピロピラン系、アザフタリド系、クロメノピラゾール系、メチン系、ローダミンアニリノラクタム系、ローダミンラクタム系、キナゾリン系、ジアザキサンテン系、ビスラクトン系等のロイコ化合物が好適に挙げられる。これらの中でも、発消色特性、色彩、保存性等に優れる点で、フルオラン系又はフタリド系のロイコ染料が特に好ましい。これらは1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよく、異なる色調に発色する層を積層することにより、マルチカラー、フルカラーに対応させることもできる。
−−可逆性顕色剤−−
前記可逆性顕色剤としては、熱を因子として発消色を可逆的に行うことができるものであれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、(1)前記ロイコ染料を発色させる顕色能を有する構造(例えば、フェノール性水酸基、カルボン酸基、リン酸基等)、及び、(2)分子間の凝集力を制御する構造(例えば、長鎖炭化水素基が連結した構造)、から選択される構造を分子内に1つ以上有する化合物が好適に挙げられる。なお、連結部分にはヘテロ原子を含む2価以上の連結基を介していてもよく、また、長鎖炭化水素基中にも、同様の連結基及び芳香族基の少なくともいずれかが含まれていてもよい。
前記(1)ロイコ染料を発色させる顕色能を有する構造としては、フェノールが特に好ましい。
前記(2)分子間の凝集力を制御する構造としては、炭素数8以上の長鎖炭化水素基が好ましく、該炭素数は11以上がより好ましく、また炭素数の上限としては、40以下が好ましく、30以下がより好ましい。
前記可逆性顕色剤の中でも、下記一般式(1)で表されるフェノール化合物が好ましく、下記一般式(2)で表されるフェノール化合物がより好ましい。
ただし、前記一般式(1)及び(2)中、Rは、単結合又は炭素数1〜24の脂肪族炭化水素基を表す。Rは、置換基を有していてもよい炭素数2以上の脂肪族炭化水素基を表し、該炭素数としては、5以上が好ましく、10以上がより好ましい。Rは、炭素数1〜35の脂肪族炭化水素基を表し、該炭素数としては、6〜35が好ましく、8〜35がより好ましい。これらの脂肪族炭化水素基は、1種単独で有していてもよいし、2種以上を併用して有していてもよい。
前記R、前記R、及び前記Rの炭素数の和としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、下限としては、8以上が好ましく、11以上がより好ましく、上限としては、40以下が好ましく、35以下がより好ましい。
前記炭素数の和が、8未満であると、発色の安定性や消色性が低下することがある。
前記脂肪族炭化水素基は、直鎖であってもよいし、分枝鎖であってもよく、不飽和結合を有していてもよいが、直鎖であるのが好ましい。また、前記炭化水素基に結合する置換基としては、例えば、水酸基、ハロゲン原子、アルコキシ基等が挙げられる。
X及びYは、それぞれ同一であってもよいし、異なっていてもよく、N原子又はO原子を含む2価の基を表し、具体例としては、酸素原子、アミド基、尿素基、ジアシルヒドラジン基、シュウ酸ジアミド基、アシル尿素基等が挙げられる。これらの中でも、アミド基、尿素基が好ましい。
nは、0〜1の整数を示す。
前記電子受容性化合物(顕色剤)としては、特に制限はないが、消色促進剤として分子中に−NHCO−基、−OCONH−基を少なくとも一つ以上有する化合物を併用することが好ましい。この場合、消色状態を形成する過程において消色促進剤と顕色剤の間に分子間相互作用が誘起され、発消色特性が向上する。
前記消色促進剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
前記熱可逆記録層には、バインダー樹脂、更に必要に応じて熱可逆記録層の塗布特性及び発色消色特性を改善、制御するための各種添加剤を用いることができる。これらの添加剤としては、例えば、界面活性剤、導電剤、充填剤、酸化防止剤、光安定化剤、発色安定化剤、消色促進剤などが挙げられる。
−−バインダー樹脂−−
前記バインダー樹脂としては、支持体上に熱可逆記録層を結着することができれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、従来から公知の樹脂の中から1種又は2種以上を混合して用いることができる。これらの中でも、繰り返し時の耐久性を向上させるため、熱、紫外線、電子線などによって硬化可能な樹脂が好ましく用いられ、特にイソシアネート系化合物などを架橋剤として用いた熱硬化性樹脂が好適である。該熱硬化性樹脂としては、例えば、水酸基やカルボキシル基等の架橋剤と反応する基を持つ樹脂、又は水酸基やカルボキシル基等を持つモノマーとそれ以外のモノマーを共重合した樹脂などが挙げられる。このような熱硬化性樹脂としては、例えば、フェノキシ樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、セルロースアセテートプロピオネート樹脂、セルロースアセテートブチレート樹脂、アクリルポリオール樹脂、ポリエステルポリオール樹脂、ポリウレタンポリオール樹脂、等が挙げられる。これらの中でも、アクリルポリオール樹脂、ポリエステルポリオール樹脂、ポリウレタンポリオール樹脂が特に好ましい。
前記熱可逆記録層中における前記発色剤とバインダー樹脂との混合割合(質量比)は、発色剤1に対して0.1〜10が好ましい。0.1未満であると、前記熱可逆記録層の熱強度が不足することがあり、10を超えると、発色濃度が低下して問題となることがある。
前記架橋剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、イソシアネート類、アミノ樹脂、フェノール樹脂、アミン類、エポキシ化合物、等が挙げられる。これらの中でも、イソシアネート類が好ましく、イソシアネート基を複数持つポリイソシアネート化合物が特に好ましい。
前記架橋剤のバインダー樹脂に対する添加量としては、特に制限はないが、バインダー樹脂中に含まれる活性基の数に対する架橋剤の官能基の比が、0.01〜2であることが好ましい。0.01未満であると熱強度が不足してしまい、また、2を超えて添加すると発色及び消色特性に悪影響を及ぼす。
更に、架橋促進剤としてこの種の反応に用いられる触媒を用いてもよい。
前記熱架橋した場合の熱硬化性樹脂のゲル分率としては、特に制限はないが、30%以上が好ましく、50%以上がより好ましく、70%以上が更に好ましい。前記ゲル分率が30%未満であると、架橋状態が十分でなく耐久性に劣ることがある。
前記バインダー樹脂が架橋状態にあるのか非架橋状態にあるのかを区別する方法としては、例えば、塗膜を溶解性の高い溶媒中に浸すことによって区別することができる。即ち、非架橋状態にあるバインダー樹脂は、溶媒中に該樹脂が溶けだし溶質中には残らなくなる。
前記熱可逆記録層におけるその他の成分としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、画像の記録を容易にする観点から、界面活性剤、可塑剤などが挙げられる。
前記熱可逆記録層用塗液に用いられる溶媒、塗液の分散装置、塗工方法、乾燥・硬化方法等は公知の方法を用いることができる。
なお、前記熱可逆記録層用塗布液は前記分散装置を用いて各材料を溶媒中に分散してもよいし、各々単独で溶媒中に分散して混ぜ合わせてもよい。更に加熱溶解して急冷又は徐冷によって析出させてもよい。
前記熱可逆記録層を形成する方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、(1)前記樹脂、及び前記ロイコ染料及び可逆性顕色剤を溶媒中に溶解乃至分散させた熱可逆記録層用塗布液を支持体上に塗布し、該溶媒を蒸発させてシート状等にするのと同時に又はその後に架橋する方法、(2)前記樹脂のみを溶解した溶媒に前記ロイコ染料及び可逆性顕色剤を分散させた熱可逆記録層用塗布液を支持体上に塗布し、該溶媒を蒸発させてシート状等にすると同時に又はその後に架橋する方法、(3)溶媒を用いず、前記樹脂と前記ロイコ染料及び可逆性顕色剤とを加熱溶融して互いに混合し、この溶融混合物をシート状等に成形して冷却した後に架橋する方法、などが好適に挙げられる。なお、これらにおいて、前記支持体を用いることなく、シート状の熱可逆記録媒体として成形することもできる。
前記(1)又は(2)の場合において用いる溶剤としては、前記樹脂及び前記ロイコ染料及び可逆性顕色剤の種類等によって異なり一概には規定することはできないが、例えば、テトラヒドロフラン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、クロロホルム、四塩化炭素、エタノール、トルエン、ベンゼンなどが挙げられる。
なお、前記可逆性顕色剤は、前記熱可逆記録層中では粒子状に分散して存在している。
前記熱可逆記録層に用いる塗布液としては、特に制限はなく、コーティング材料用としての高度な性能を発現させる目的で、各種顔料、消泡剤、顔料、分散剤、スリップ剤、防腐剤、架橋剤、可塑剤等を添加してもよい。
前記熱可逆記録層の塗工方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、ロール状で連続して、又はシート状に裁断した支持体を搬送し、該支持体上に、例えば、ブレード塗工、ワイヤーバー塗工、スプレー塗工、エアナイフ塗工、ビード塗工、カーテン塗工、グラビア塗工、キス塗工、リバースロール塗工、ディップ塗工、ダイ塗工等公知の方法で塗布する。
前記熱可逆記録層用塗布液の乾燥条件としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、室温〜140℃の温度で、10秒間〜10分間程度、などが挙げられる。
前記熱可逆記録層の厚みとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、1μm〜20μmが好ましく、3μm〜15μmがより好ましい。1μm未満であると、発色濃度が低くなるため画像のコントラストが低くなることがあり、20μmを超えると層内での熱分布が大きくなり、発色温度に達せず発色しない部分が発生し、目的とする発色濃度を得ることができなくなることがある。
<画像記録及び画像消去メカニズム>
前記熱可逆記録媒体における画像形成及び画像消去のメカニズムは、前記熱可逆記録媒体が熱により色調が可逆的に変化することに基づく。前記態様はロイコ染料及び可逆性顕色剤(以下、「顕色剤」と称することがある)からなり、色調が透明状態と発色状態とに熱により可逆的に変化する。
図1Aに、前記樹脂中に前記ロイコ染料及び前記顕色剤を含んでなる熱可逆記録層を有する熱可逆記録媒体について、その温度−発色濃度変化曲線の一例を示し、図1Bに、透明状態と発色状態とが熱により可逆的に変化する前記熱可逆記録媒体の発消色メカニズムを示す。
まず、初め消色状態(A)にある前記記録層を昇温していくと、溶融温度Tにて、前記ロイコ染料と前記顕色剤とが溶融混合し、発色が生じ溶融発色状態(B)となる。溶融発色状態(B)から急冷すると、発色状態のまま室温に下げることができ、発色状態が安定化されて固定された発色状態(C)となる。この発色状態が得られたかどうかは、溶融状態からの降温速度に依存しており、徐冷では降温の過程で消色が生じ、初期と同じ消色状態(A)、あるいは急冷による発色状態(C)よりも相対的に濃度の低い状態となる。一方、発色状態(C)から再び昇温していくと、発色温度よりも低い温度Tにて消色が生じ(DからE)、この状態から降温すると、初期と同じ消色状態(A)に戻る。
溶融状態から急冷して得た発色状態(C)は、前記ロイコ染料と前記顕色剤とが分子同士で接触反応し得る状態で混合された状態であり、これは固体状態を形成していることが多い。この状態では、前記ロイコ染料と前記顕色剤との溶融混合物(前記発色混合物)が結晶化して発色を保持した状態であり、この構造の形成により発色が安定化していると考えられる。一方、消色状態は、両者が相分離した状態である。この状態は、少なくとも一方の化合物の分子が集合してドメインを形成したり、結晶化した状態であり、凝集あるいは結晶化することにより前記ロイコ染料と前記顕色剤とが分離して安定化した状態であると考えられる。多くの場合、このように、両者が相分離して前記顕色剤が結晶化することにより、より完全な消色が生じる。
なお図1Aに示す、溶融状態から徐冷による消色、及び発色状態からの昇温による消色はいずれもTで凝集構造が変化し、相分離や前記顕色剤の結晶化が生じている。
さらに図1Aにおいて、前記記録層を溶融温度T以上の温度Tに繰返し昇温すると消去温度に加熱しても消去できない消去不良が発生したりする場合がある。これは、前記顕色剤が熱分解を起こし、凝集あるいは結晶化しにくくなってロイコ染料と分離しにくくなるためと思われる。繰返しによる前記熱可逆記録媒体の劣化を抑えるためには、前記熱可逆記録媒体を加熱する際に図1Aの前記溶融温度Tと前記温度Tの差を小さくすることにより、繰返しによる前記熱可逆記録媒体の劣化を抑えられる
−光熱変換層−
前記光熱変換層は、前記レーザ光を高効率で吸収し発熱する役割を有する光熱変換材料を少なくとも含有してなる。
前記光熱変換材料としては、前記熱可逆記録層または該熱可逆記録層に近接する前記光熱変換層の少なくとも一方の層に含有させることが好ましい。
前記熱可逆記録層中に前記光熱変換材料を含有させる場合、前記熱可逆記録層は、前記光熱変換層の役割を兼ねることとなる。
また、前記光熱変換層に光熱変換材料を含有させる場合、前記光熱変換材料を含有する層を前記熱可逆記録層で挟み込むことで、前記光熱変換層で発生した熱を効率よく利用することができ、層分離により発生する記録感度消去感度の低下を抑えることができる。
ここで、前記熱可逆記録層と前記光熱変換層とが近接するとは、前記熱可逆記録層と前記光熱変換層が接する、又は、前記熱可逆記録層と前記光熱変換層との間に形成させる前記熱可逆記録層の厚み以下の層を介して前記熱可逆記録層と前記光熱変換層とが配されることを指す。
前記熱可逆記録層と前記光熱変換層の間に両層の相互作用を抑制する目的で、バリア層を形成することがあり、材料として熱伝導性の良好な層が好ましい。前記熱可逆記録層と光熱変換層との間に挟む層は、目的に応じて適宜選択することができ、これらに限定されるものではない。
ただし、前記バリア層を形成する場合、光熱変換層で発生した熱を効率よく利用することができず、記録感度消去感度が低下してしまうことがある。
前記光熱変換材料としては、特に制限はなく、吸収すべき光波長に応じて各種の染料や顔料を適宜用いることができるが、光源として半導体レーザを用いる場合には、700nm〜1,500nmの波長範囲に吸収ピークを有する近赤外吸収色素が用いられる。
具体的には、シアニン色素、キノン系色素、インドナフトールのキノリン誘導体、フェニレンジアミン系ニッケル錯体、フタロシアニン系化合物などが挙げられる。繰返し画像処理を行うためには、耐熱性に優れた光熱変換材料を選択するのが好ましく、この点からフタロシアニン系化合物が特に好ましい。
前記近赤外吸収色素は、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記光熱変換層を設ける場合、前記光熱変換材料としては、樹脂と併用して用いられる。
前記光熱変換層に用いられる樹脂としては、特に制限はなく、前記無機系材料及び有機系材料を保持できるものであれば、公知のものの中から適宜選択することができるが、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂などが好ましく、前記記録層で用いられたバインダー樹脂と同様なものを好適に用いることができる。これらの中でも、繰り返し時の耐久性を向上させるため、熱、紫外線、電子線などによって硬化可能な樹脂が好ましく用いられ、特にイソシアネート系化合物などを架橋剤として用いた熱架橋樹脂が好ましい。前記バインダー樹脂において、その水酸基価は100mgKOH/g〜400mgKOH/gであることが好ましい。
前記光熱変換層の厚みは、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、0.1μm〜20μmであることが好ましい。
−紫外線吸収層−
前記熱可逆記録層中のロイコ染料の紫外線による着色及び光劣化による消え残りを防止する目的で、熱可逆記録層上に紫外線吸収層を設けることが好ましく、これによって前記記録媒体の耐光性が改善できる。特に紫外線吸収層が390nm以下の紫外線を吸収するように、紫外線吸収層の厚みを適宜選択することで、耐光性は大きく改善される。
前記紫外線吸収層としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、少なくともバインダー樹脂と紫外線吸収剤を含有し、更に必要に応じて、フィラー、滑剤、着色顔料等のその他の成分を含有してなる。
前記バインダー樹脂としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、前記熱可逆記録層のバインダー樹脂、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂等の樹脂成分を用いることができる。該樹脂成分としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリビニルアルコール、ポリビニルブチラール、ポリウレタン、飽和ポリエステル、不飽和ポリエステル、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、ポリカーボネート、ポリアミドなどが挙げられる。
前記紫外線吸収剤としては、特に制限はなく、有機系及び無機系化合物のいずれでも用いることができる。
また、紫外線吸収構造を持つポリマー(以下、「紫外線吸収ポリマー」と称することもある)を用いることが好ましい。
ここで、前記紫外線吸収構造を持つポリマーとは、紫外線吸収構造(例えば、紫外線吸収性基)を分子中に有するポリマーを意味する。該紫外線吸収構造としては、例えば、サリシレート構造、シアノアクリレート構造、ベンゾトリアゾール構造、ベンゾフェノン構造などが挙げられ、これらの中でも、ロイコ染料の光劣化の原因である340〜400nmの紫外線を吸収することからベンゾトリアゾール構造、ベンゾフェノン構造が特に好ましい。
前記紫外線吸収ポリマーとしては、特に制限はないが架橋されていることが好ましい。したがって紫外線吸収ポリマーとしては、例えば水酸基、アミノ基、カルボキシル基等のような、硬化剤と反応する基を有しているものを用いることが好ましく、水酸基を有しているポリマーが特に好ましい。該紫外線吸収構造を持つポリマー含有層の強度を向上させるためには該ポリマーの水酸基価が10mgKOH/g以上のポリマーを用いると十分な塗膜強度が得られ、より好ましくは30mgKOH/g以上であり、更に好ましくは40mgKOH/g以上である。十分な塗膜強度を持たせることで繰り返し消去印字を行っても記録媒体の劣化が抑えることができる。
前記紫外線吸収層の厚みとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、0.1μm〜30μmが好ましく、0.5μm〜20μmがより好ましい。前記紫外線吸収層の塗液に用いられる溶媒、塗液の分散装置、紫外線吸収層の塗工方法、紫外線吸収層の乾燥・硬化方法等は、前記熱可逆記録層で用いられた公知の方法を用いることができる。
−酸素バリア層−
前記酸素バリア層は、前記熱可逆記録層に酸素が進入することを防ぐことにより、前記熱可逆記録層中のロイコ染料の光劣化を防止する目的で、熱可逆記録層の上下に酸素バリア層を設けることが好ましい。
即ち、前記支持体と前記熱可逆記録層との間に第1の酸素バリア層を設け、前記熱可逆記録層上に第2の酸素バリア層を設けることが好ましい。
前記第1及び第2の酸素バリア層としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、可視部の透過率が大きく、酸素透過度が低い樹脂又は高分子フィルム等が挙げられる。これらの酸素バリア層としては、その用途、酸素透過性、透明性、塗工のしやすさ、接着性等によって選択される。
前記酸素バリア層の具体例としては、ポリアクリル酸アルキルエステル、ポリメタクリル酸アルキルエステル、ポリメタクリロニトリル、ポリアルキルビニルエステル、ポリアルキルビニルエーテル、ポリフッ素化ビニル、ポリスチレン、酢酸ビニル共重合体、酢酸セルロース、ポリビニルアルコール、ポリ塩化ビニリデン、アセトニトリル共重合体、塩化ビニリデン共重合体、ポリ(クロロトリフルオロエチレン)、エチレン−ビニルアルコール共重合体、ポリアクリロニトリル、アクリロニトリル共重合体、ポリエチレンテレフタレート、ナイロン−6及びポリアセタール等の樹脂、又はポリエチレンテレフタレートやナイロン等の高分子フィルム上に無機酸化物を蒸着したシリカ蒸着フィルム、アルミナ蒸着フィルム、シリカ/アルミナ蒸着フィルムなどが挙げられる。これらの中でも高分子フィルム上に無機酸化物を蒸着したフィルムが好ましい。
前記酸素バリア層の酸素透過度としては、特に制限はないが、20mL/m/day/MPa以下が好ましく、5mL/m/day/MPa以下がより好ましく、1mL/m/day/MPa以下が特に好ましい。20ml/m/day/MPaを超えると、前記熱可逆記録層中のロイコ染料の光劣化を抑制できないことがある。
また、前記第1の酸素バリア層と前記第2の酸素バリア層のいずれにおいても、前記酸素透過度を満たすことが好ましい。
前記酸素透過度は、例えばJIS K7126 B法に準じた測定法により測定することができる。
前記酸素バリア層としては、前記熱可逆記録層の下側又は支持体の裏面など、前記酸素バリア層で熱可逆記録層を挟み込むように設けることもできる。これにより、熱可逆記録層への酸素侵入をより効果的に防ぐことができ、ロイコ染料の光劣化をより少なくすることができる。
前記第1の酸素バリア層及び第2の酸素バリア層の形成方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、溶融押出し法、コーティング法、ラミネート法、などが挙げられる。
前記第1及び第2の酸素バリア層の厚みとしては、特に制限はなく、樹脂又は高分子フィルムの酸素透過性によって異なるが、0.1μm〜100μmが好ましい。これより薄いと酸素バリアが不完全であり、厚いと透明性が低下するので好ましくない。
前記酸素バリア層と下層の間には、接着層を設けてもよい。前記接着層の形成方法としては、特に制限なく通常のコーティング法、ラミネート法等を挙げることができる。接着層の厚みとしては、特に制限ないが、0.1μm〜5μmが好ましい。前記接着層としては、架橋剤により硬化してもよい。これらは前記熱可逆記録層で用いられたものと同様のものを好適に用いることができる。
−保護層−
前記熱可逆記録媒体としては、前記熱可逆記録層を保護する目的で該熱可逆記録層上に保護層を設けることが好ましい。該保護層は、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、1層以上に形成してもよく、露出している最表面に設けることが好ましい。
前記保護層としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、バインダー樹脂、更に必要に応じて、フィラー、滑剤、着色顔料等のその他の成分を含有してなる。
前記保護層のバインダー樹脂としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、熱硬化性樹脂、紫外線(UV)硬化性樹脂、電子線硬化性樹脂等が好ましく、これらの中でも、紫外線(UV)硬化性樹脂、熱硬化性樹脂が特に好ましい。
前記UV硬化性樹脂は、硬化後非常に硬い膜を形成することができ、表面の物理的な接触によるダメージやレーザ加熱による媒体変形を抑止することができるため繰り返し耐久性に優れた熱可逆記録媒体が得られる。
また、前記熱硬化性樹脂は、前記UV硬化性樹脂にはやや劣るが同様に表面を硬くすることができ、繰り返し耐久性に優れる。
前記UV硬化性樹脂としては、特に制限はなく、公知のものの中から目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ウレタンアクリレート系、エポキシアクリレート系、ポリエステルアクリレート系、ポリエーテルアクリレート系、ビニル系、不飽和ポリエステル系のオリゴマーや各種単官能、多官能のアクリレート、メタクリレート、ビニルエステル、エチレン誘導体、アリル化合物等のモノマーが挙げられる。これらの中でも、4官能以上の多官能性のモノマー又はオリゴマーが特に好ましい。これらのモノマー又はオリゴマーを2種類以上混合することで樹脂膜の硬さ、収縮度、柔軟性、塗膜強度等を適宜調節することができる。
また、前記モノマー又はオリゴマーを、紫外線を用いて硬化させるためには、光重合開始剤、光重合促進剤を用いる必要がある。
前記光重合開始剤又は光重合促進剤の添加量は、前記保護層の樹脂成分の全質量に対し0.1質量%〜20質量%が好ましく、1質量%〜10質量%がより好ましい。
前記紫外線硬化樹脂を硬化させるための紫外線照射としては、公知の紫外線照射装置を用いて行うことができ、該装置としては、例えば、光源、灯具、電源、冷却装置、搬送装置等を備えたものが挙げられる。
前記光源としては、例えば水銀ランプ、メタルハライドランプ、カリウムランプ、水銀キセノンランプ、フラッシュランプなどが挙げられる。該光源の波長は、前記熱可逆記録媒体用組成物に添加されている光重合開始剤及び光重合促進剤の紫外線吸収波長に応じて適宜選択することができる。
前記紫外線照射の条件としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、前記樹脂を架橋するために必要な照射エネルギーに応じてランプ出力、搬送速度等を決めればよい。
また、搬送性を良好にするため、重合性基を持つシリコーン、シリコーングラフトをした高分子、ワックス、ステアリン酸亜鉛等の離型剤、シリコーンオイル等の滑剤を添加することができる。これらの添加量としては、保護層の樹脂成分全質量に対して0.01質量%〜50質量%が好ましく、0.1質量%〜40質量%がより好ましい。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。また、静電気対策として導電性フィラーを用いることが好ましく、更に針状導電性フィラーを用いることが好ましい。
前記着色顔料の粒径としては、例えば、0.01μm〜10.0μmが好ましく、0.05μm〜8.0μmがより好ましい。前記着色顔料の添加量としては、前記耐熱性樹脂1質量部に対し、0.001質量部〜2質量部が好ましく、0.005質量部〜1質量部がより好ましい。
前記保護層には、添加剤として従来公知の界面活性剤、レベリング剤、帯電防止剤等を含有していてもよい。
また、熱硬化性樹脂としては、例えば、前記熱可逆記録層で用いられたバインダー樹脂と同様なものを好適に用いることができる。
前記熱硬化性樹脂は架橋されていることが好ましい。したがって熱硬化性樹脂としては、例えば水酸基、アミノ基、カルボキシル基等のような、硬化剤と反応する基を有しているものを用いることが好ましく、特に水酸基を有しているポリマーが好ましい。該紫外線吸収構造を持つポリマー含有層の強度を向上させるためには該ポリマーの水酸基価が10mgKOH/g以上のポリマーを用いると十分な塗膜強度が得られ、より好ましくは30mgKOH/g以上であり、更に好ましくは40mgKOH/g以上である。十分な塗膜強度を持たせることで繰り返し画像記録・消去を行っても熱可逆記録媒体の劣化が抑えることができる。
前記硬化剤としては、例えば、前記熱可逆記録層で用いられた硬化剤と同様なものを好適に用いることができる。
前記保護層の塗液に用いられる溶媒、塗液の分散装置、保護層の塗工方法、乾燥方法等は前記記録層で用いられた公知の方法を用いることができる。紫外線硬化樹脂を用いた場合には塗布して乾燥を行った紫外線照射による硬化工程が必要となるが、紫外線照射装置、光源、照射条件については前記の通りである。
前記保護層の厚みとしては、特に制限はないが、0.1μm〜20μmが好ましく、0.5μm〜10μmがより好ましく、1.5μm〜6μmが更に好ましい。0.1μm未満であると、熱可逆記録媒体の保護層としての機能を十分に果たすことができず、熱による繰り返し履歴によりすぐに劣化し、繰り返し使用することができなくなってしまうことがあり、20μmを超えると、保護層の下層にある感熱に十分な熱を伝えることができなくなり、熱による画像記録と消去が十分にできなくなってしまうことがある。
−中間層−
前記熱可逆記録層と前記保護層との接着性向上、保護層の塗布による熱可逆記録層の変質防止、保護層中の添加剤の熱可逆記録層への移行を防止する目的で、両者の間に中間層を設けることが好ましく、これによって発色画像の保存性が改善できる。
前記中間層としては、特に制限はなく、少なくともバインダー樹脂を含有し、更に必要に応じて、フィラー、滑剤、着色顔料等のその他の成分を含有してなる。
前記バインダー樹脂としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、前記熱可逆記録層のバインダー樹脂や熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂等の樹脂成分を用いることができる。該樹脂成分としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリビニルアルコール、ポリビニルブチラール、ポリウレタン、飽和ポリエステル、不飽和ポリエステル、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、ポリカーボネート、ポリアミドなどが挙げられる。
また、前記中間層には、紫外線吸収剤を含有させることが好ましい。該紫外線吸収剤としては、有機系及び無機系化合物のいずれでも用いることができる。
また、紫外線吸収ポリマーを用いてもよく、架橋剤により硬化してもよい。これらは前記保護層で用いられたものと同様のものを好適に用いることができる。
前記中間層の厚みとしては、特に制限はないが、0.1μm〜20μmが好ましく、0.5μm〜5μmがより好ましい。前記中間層の塗液に用いられる溶媒、塗液の分散装置、中間層の塗工方法、中間層の乾燥・硬化方法等は、前記記録層で用いられた公知の方法を用いることができる。
−アンダー層−
印加した熱を有効に利用し高感度化するため、又は前記支持体と前記熱可逆記録層の接着性の改善や前記支持体への記録層材料の浸透防止を目的として、前記熱可逆記録層と前記支持体の間にアンダー層を設けてもよい。
前記アンダー層は、少なくとも中空粒子を含有してなり、バインダー樹脂、更に必要に応じてその他の成分を含有してなる。
前記中空粒子としては、中空部が粒子内に一つ存在する単一中空粒子、中空部が粒子内に多数存在する多中空粒子、などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記中空粒子の材質としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、熱可塑性樹脂などが好適に挙げられる。前記中空粒子は、適宜製造したものであってもよいし、市販品であってもよい。該市販品としては、例えば、マイクロスフェアーR−300(松本油脂株式会社製);ローペイクHP1055、ローペイクHP433J(いずれも、日本ゼオン株式会社製);SX866(JSR株式会社製)などが挙げられる。
前記中空粒子の前記アンダー層における添加量は、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば10質量%〜80質量%が好ましい。
前記バインダー樹脂としては、前記熱可逆記録層、又は前記紫外線吸収構造を持つポリマーを含有する層と同様の樹脂を用いることができる。
前記アンダー層には、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、酸化チタン、酸化ケイ素、水酸化アルミニウム、カオリン、タルク等の無機フィラー及び各種有機フィラーの少なくともいずれかを含有させることができる。
なお、前記アンダー層には、その他、滑剤、界面活性剤、分散剤などを含有させることもできる。
前記アンダー層の厚みとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、0.1μm〜50μmが好ましく、2μm〜30μmがより好ましく、12μm〜24μmが更に好ましい。
−バック層−
前記熱可逆記録媒体のカールや帯電防止、搬送性の向上のために前記支持体の前記熱可逆記録層を設ける面と反対側にバック層を設けてもよい。
前記バック層としては、特に制限はなく、少なくともバインダー樹脂を含有し、更に必要に応じて、フィラー、導電性フィラー、滑剤、着色顔料等のその他の成分を含有してなる。
前記バインダー樹脂としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、熱硬化性樹脂、紫外線(UV)硬化性樹脂、電子線硬化性樹脂、等が挙げられ、これらの中でも、紫外線(UV)硬化性樹脂、熱硬化性樹脂が特に好ましい。
前記紫外線硬化樹脂、前記熱硬化性樹脂、前記フィラー、前記導電性フィラー、及び前記滑剤については、前記熱可逆記録層、又は前記保護層で用いられたものと同様なものを好適に用いることができる。
−接着層又は粘着層−
前記支持体の前記熱可逆記録層形成面の反対面に接着剤層又は粘着剤層を設けて熱可逆記録ラベルとすることができる。前記接着剤層又は粘着剤層の材料は一般的に使われているものが使用可能である。
前記接着剤層又は粘着剤層の材料としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えばユリア樹脂、メラミン樹脂、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、酢ビ系樹脂、酢酸ビニル−アクリル系共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、アクリル系樹脂、ポリビニルエーテル系樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル系共重合体、ポリスチレン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ポリアミド系樹脂、塩素化ポリオレフィン系樹脂、ポリビニルブチラール系樹脂、アクリル酸エステル系共重合体、メタクリル酸エステル系共重合体、天然ゴム、シアノアクリレート系樹脂、シリコーン系樹脂などが挙げられる。
前記接着剤層又は粘着剤層の材料としては、特に制限はなく、ホットメルトタイプでもよい。また、剥離紙を用いてもよいし、無剥離紙タイプでもよい。このような接着剤層又は粘着剤層を設けることにより、記録層の塗布が困難な磁気ストライプ付塩ビカードなどの厚手の基板の全面若しくは一部に貼ることができる。
また、これにより磁気に記憶された情報の一部を表示することができる等、この媒体の利便性が向上する。このような接着剤層又は粘着剤層を設けた熱可逆記録ラベルは、ICカードや光カード等の厚手カードにも適用できる。
前記熱可逆記録媒体としては、前記支持体と前記熱可逆記録層との間に視認性を向上させる目的で、着色層を設けてもよい。前記着色層は、着色剤及び樹脂バインダーを含有する溶液、又は分散液を対象面に塗布し、乾燥するか、あるいは単に着色シートを貼り合せることにより形成することができる。
また、前記熱可逆記録媒体としては、カラー印刷層を設けることもできる。前記カラー印刷層における着色剤としては、従来のフルカラー印刷に使用されるカラーインク中に含まれる各種の染料及び顔料等が挙げられ、前記樹脂バインダーとしては各種の熱可塑性、熱硬化性、紫外線硬化性又は電子線硬化性樹脂等が挙げられる。該カラー印刷層の厚みとしては、印刷色濃度に対して適宜変更されるため、所望の印刷色濃度に合わせて選択することができる。
前記熱可逆記録媒体としては、特に制限はなく、非可逆性記録層を併用しても構わない。この場合、それぞれの記録層の発色色調は同じでも異なってもよい。また、本発明の熱可逆記録媒体の記録層と同一面の一部もしくは全面、又は/もしくは反対面の一部分に、オフセット印刷、グラビア印刷などの印刷、又はインクジェットプリンタ、熱転写プリンタ、昇華型プリンタなどによって任意の絵柄などを施した着色層を設けてもよく、更に着色層上の一部分もしくは全面に硬化性樹脂を主成分とするOPニス層を設けてもよい。前記任意の絵柄としては、文字、模様、図柄、写真、赤外線で検知する情報などが挙げられる。また、単純に構成する各層のいずれかに染料や顔料を添加して着色することもできる。
前記熱可逆記録媒体には、セキュリティのためにホログラムを設けることもできる。また、意匠性付与のためにレリーフ状、インタリヨ状に凹凸を付けて人物像や社章、シンボルマーク等のデザインを設けることもできる。
前記熱可逆記録媒体としては、その用途に応じて所望の形状に加工することができ、例えば、カード状、タグ状、ラベル状、シート状、ロール状などに加工される。また、カード状に加工されたものについてはプリペイドカードやポイントカード、更にはクレジットカードなどへの応用が挙げられる。カードサイズよりも小さなタグ状のサイズでは値札等に利用できる。また、カードサイズよりも大きなタグ状のサイズでは工程管理や出荷指示書、チケット等に使用できる。ラベル状のものは貼り付けることができるために、様々な大きさに加工され、繰り返し使用する台車や容器、箱、コンテナ等に貼り付けて工程管理、物品管理等に使用することができる。また、カードサイズよりも大きなシートサイズでは画像記録する範囲が広くなるため一般文書や工程管理用の指示書等に使用することができる。
このようにして構成される本発明の熱可逆記録媒体の実施形態を図を用いて説明する。
図2Aは、一の実施形態に係る熱可逆記録媒体100の層構成の要部を示す概略断面図である。
該熱可逆記録媒体100は、支持体101、第1の酸素バリア層102、イミダゾール系化合物及び光熱変換材料を含む熱可逆記録層103、紫外線吸収層104、第2の酸素バリア層105を、この順に配して構成される。該熱可逆記録媒体100においては、第1の酸素バリア層102及び熱可逆記録層103を光熱変換記録層150とする。
このように構成される熱可逆記録媒体100においては、イミダゾール系化合物を含有するため、光熱変換材料の劣化を抑制することができ、耐光性に優れる。
図2Bは、他の実施形態に係る熱可逆記録媒体200の層構成の要部を示す概略断面図である。
該熱可逆記録媒体200は、支持体201、第1の酸素バリア層202、イミダゾール系化合物を含む第1の熱可逆記録層203、光熱変換材料及びイミダゾール系化合物を含む光熱変換層206、イミダゾール系化合物を含む第2の熱可逆記録層207、紫外線吸収層204、第2の酸素バリア層205を、この順に配して構成される。該熱可逆記録媒体200においては、第1の熱可逆記録層203、光熱変換層206、及び第2の熱可逆記録層207を光熱変換記録層250とする。
このように構成される熱可逆記録媒体200においては、イミダゾール系化合物を含有するため、光熱変換材料の劣化を抑制することができ、耐光性に優れる。また、光熱変換層が第1の熱可逆記録層203及び第2の熱可逆記録層207で挟み込むように配されるため、光熱変換層で発生した熱を効率よく利用することができる。
<熱可逆記録部材 RF−IDとの組み合わせ例>
前記熱可逆媒体は、前記熱可逆記録層と情報記憶部とを、同一のカードやタグに設け(一体化させ)た熱可逆記録部材として用いることができる。該情報記憶部の記憶情報の一部を記録層に表示することにより、特別な装置がなくてもカードやタグを見るだけで情報を確認することができ、利便性に優れる。また、情報記憶部の内容を書き換えた時には熱可逆記録部の表示を書き換えることで、熱可逆記録媒体を繰り返し何度も使用することができる。
前記情報記憶部としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、磁気記録層、磁気ストライプ、ICメモリー、光メモリー、RF−IDタグなどが好ましく用いられる。工程管理や物品管理等に使用する場合には特にRF−IDタグが好ましく用いられる。なお、前記RF−IDタグはICチップと、該ICチップに接続したアンテナとから構成されている。
前記熱可逆記録部材としては、前記可逆表示可能な熱可逆記録層と情報記憶部とを有し、該情報記憶部の好適なものとしてRF−IDタグが挙げられる。
ここで、図3は、RF−IDタグ85の概略図の一例を示す。このRF−IDタグ85は、ICチップ81と、該ICチップに接続したアンテナ82とから構成されている。前記ICチップ81は記憶部、電源調整部、送信部、受信部の4つに区分されており、それぞれが働きを分担して通信を行っている。通信はRF−IDタグとリーダライタのアンテナが電波により通信してデータのやり取りを行う。具体的には、RF−IDのアンテナがリーダライタからの電波を受信し共振作用により電磁誘導により起電力が発生する電磁誘導方式と放射電磁界により起動する電波方式の2種類がある。共に外部からの電磁界によりRF−IDタグ内のICチップが起動し、チップ内の情報を信号化し、その後、RF−IDタグから信号を発信する。この情報をリーダライタ側のアンテナで受信してデータ処理装置で認識し、ソフト側でデータ処理を行う。
前記RF−IDタグとしては、ラベル状又はカード状に加工され、RF−IDタグを前記熱可逆記録媒体に貼り付けることができる。RF−IDタグは記録層面又はバック層面に貼ることができるが、バック層面に貼ることが好ましい。RF−IDタグと熱可逆記録媒体を貼り合わせるためには公知の接着剤又は粘着剤を使用することができる。
また、熱可逆記録媒体とRF−IDをラミネート加工等で一体化してカード状やタグ状に加工してもよい。
(画像処理方法)
本発明の画像処理方法は、画像記録工程及び画像消去工程を少なくとも含み、更に必要に応じて適宜選択したその他の工程を含む。
<画像記録工程>
前記画像記録工程は、本発明の前記熱可逆記録媒体の前記光熱変換記録層に対し特定波長のレーザ光を照射して加熱することにより画像を記録する工程である。
前記熱可逆記録媒体を加熱する方法としては、特に制限はなく、例えば、従来既知の加熱方法を挙げられるが、物流ラインを想定した場合、熱可逆記録媒体にレーザ光を照射して加熱する方法が非接触の状態で画像の形成を行うことができるため好ましい。
前記画像記録工程において照射されるレーザ光の出力としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、1W以上が好ましく、3W以上がより好ましく、5W以上が特に好ましい。1W未満であると、画像記録に時間がかかり、画像記録時間を短くしようとすると出力が不足して高濃度の画像が得られない。
また、前記レーザ光の出力の上限としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、200W以下が好ましく、150W以下がより好ましく、100W以下が特に好ましい。200Wを超えると、レーザ装置の大型化を招くことがある。
前記レーザ光のレーザ光源としては、YAGレーザ光、ファイバーレーザ光、及び半導体レーザ光の少なくともいずれかであることが好ましい。
前記画像記録工程において照射されるレーザ光の走査速度としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、300mm/s以上が好ましく、500mm/s以上がより好ましく、700mm/s以上が特に好ましい。300mm/s未満であると、画像記録に時間がかかる。
また、前記レーザ光の走査速度の上限としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、15,000mm/s以下が好ましく、10,000mm/s以下がより好ましく、8,000mm/s以下が特に好ましい。15,000mm/sを超えると、均一な画像が形成し難くなる。
前記画像記録工程において照射されるレーザ光のスポット径としては、特に制限はなく目的に応じて適宜選択することができるが、0.02mm以上が好ましく、0.1mm以上がより好ましく、0.15mm以上が特に好ましい。
また、前記レーザ光のスポット径の上限としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、3.0mm以下が好ましく、2.5mm以下がより好ましく、2.0mm以下が更に好ましい。
0.02未満であると、画像の線幅が細くなり、コントラストが小さくなって視認性が低下する。また、3.0mmを超えると、画像の線幅が太くなり、隣接する線が重なり、小さな文字の画像記録が不可能となる。
<画像消去工程>
前記画像消去工程は、本発明の前記熱可逆記録媒体の前記光熱変換記録層に対し特定波長のレーザ光を照射して加熱することにより該熱可逆記録媒体に記録された画像を消去する工程である。
前記熱可逆記録媒体を加熱する方法としては、特に制限はなく、例えば、従来既知の加熱方法(レーザ光照射、熱風、温水、赤外線ヒータなどの非接触加熱方法、サーマルヘッド、ホットスタンプ、ヒートブロック、ヒートローラーなどの接触加熱方法)を挙げられるが、物流ラインを想定した場合、熱可逆記録媒体にレーザ光を照射して加熱する方法が非接触の状態で画像の消去を行うことができるため特に好ましい。
前記熱可逆記録媒体に対し、レーザ光を照射して加熱することにより画像を消去する画像消去工程において照射される前記レーザ光の出力としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、5W以上が好ましく、7W以上がより好ましく、10W以上が特に好ましい。5W未満であると、画像消去に時間がかかり、画像消去時間を短くしようとすると出力が不足して画像の消去不良が発生する。
また、前記レーザ光の出力の上限としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、200W以下が好ましく、150W以下がより好ましく、100W以下が特に好ましい。200Wを超えると、レーザ装置の大型化を招くおそれがある。
前記熱可逆記録媒体に対し、レーザ光を照射して加熱することにより画像を消去する画像消去工程において照射されるレーザ光の走査速度としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、100mm/s以上が好ましく、200mm/s以上がより好ましく、300mm/s以上が特に好ましい。100mm/s未満であると、画像消去に時間がかかる。
また、前記レーザ光の走査速度の上限としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、20,000mm/s以下が好ましく、15,000mm/s以下がより好ましく、10,000mm/s以下が特に好ましい。20,000mm/sを超えると、均一な画像消去がし難くなることがある。
前記レーザ光のレーザ光源としては、YAGレーザ光、ファイバーレーザ光、及び半導体レーザ光の少なくともいずれかであることが好ましい。
前記熱可逆記録媒体に対し、レーザ光を照射して加熱することにより画像を消去する画像消去工程において照射されるレーザ光のスポット径としては、特に制限はなく目的に応じて適宜選択することができるが、0.5mm以上が好ましく、1.0mm以上がより好ましく、2.0mm以上が特に好ましい。また、前記レーザ光のスポット径の上限としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、14.0mm以下が好ましく、10.0mm以下がより好ましく、7.0mm以下が特に好ましい。
0.5mm未満であると、画像消去に時間がかかる。また、14.0mmを超えると、出力が不足して画像の消去不良が発生することがある。
(画像処理装置)
画像処理装置は、本発明の前記画像処理方法に用いられ、レーザ光照射手段を少なくとも有してなり、更に必要に応じて適宜選択したその他の部材を有してなる。また、本発明の前記熱可逆記録媒体を有し、前記熱可逆記録媒体がレーザ光を高効率で吸収し発熱する役割を有する光熱変換材料を少なくとも含有してなる。よって含有させる前記光熱変換材料が他材料に比べ最も高効率でレーザ光を吸収するように、出射するレーザ光の波長を選択する必要がある。
<レーザ光出射手段>
前記レーザ光出射手段から出射されるレーザ光の波長としては、光熱変換材料の吸収がある範囲から適宜選択することができ、700nm以上が好ましく、720nm以上がより好ましく、750nm以上が特に好ましい。前記レーザ光の波長の上限としては、目的に応じて適宜選択することができるが、1,500nm以下が好ましく、1,300mm以下がより好ましく、1,200nm以下が特に好ましい。
700nmより短い波長にすると、可視光領域では熱可逆記録媒体の画像記録時のコントラストが低下したり、熱可逆記録媒体が着色してしまうという問題がある。更に短い波長の紫外光領域では、熱可逆記録媒体の劣化が起こりやすくなるという問題がある。
また、熱可逆記録媒体に添加する光熱変換材料には、繰返し画像処理に対する耐久性を確保するために高い分解温度を必要とし、光熱変換材料に有機色素を用いる場合、分解温度が高く吸収波長が長い光熱変換材料を得るのは難しい。これよりレーザ光の波長としては1,500nm以下が好ましい。
前記レーザ光出射手段としては、目的に応じて適宜選択することができ、例えばYAGレーザ、ファイバーレーザ、半導体レーザ(LD)が挙げられる。これらの中でも波長選択性が広いことで光熱変換材料の選択肢が増え、レーザ装置としては、レーザ光源自体が小さく、装置の小型化、更には低価格化が可能であるという点から、半導体レーザ光が特に好ましい。
前記画像処理装置は、前記レーザ光出射手段を少なくとも有している以外、その基本構成としては、通常レーザマーカーと呼ばれるものと同様であり、発振器ユニット、電源制御ユニット、及びプログラムユニットを少なくとも備えている。
ここで、図4に、本発明で用いられる画像処理装置の一例についてレーザ照射ユニットを中心に示す。
発振器ユニットは、レーザ発振器1、ビームエキスパンダ2、スキャンニングユニット5、fθレンズ6などで構成されている。
前記レーザ発振器1は、光強度が強く、指向性の高いレーザ光を得るために必要なものであり、例えば、レーザ媒質の両側にミラーを配置し、該レーザ媒質をポンピング(エネルギー供給)し、励起状態の原子数を増やし反転分布を形成させて誘導放出を起こさせる。そして、光軸方向の光のみが選択的に増幅されることにより、光の指向性が高まり出力ミラーからレーザ光が放出される。
前記スキャンニングユニット5は、ガルバノメータ4と、該ガルバノメータ4に取り付けられたミラー4Aとで構成されている。そして、前記レーザ発振器1から出力されたレーザ光を、前記ガルバノメータ4に取り付けられたX軸方向とY軸方向との2枚のミラー4Aで高速回転走査することにより、熱可逆記録媒体7上に、画像の形成又は消去を行うようになっている。
前記電源制御ユニットは、レーザ媒質を励起する光源の駆動電源、ガルバノメータの駆動電源、ペルチェ素子などの冷却用電源、画像処理装置全体の制御を司る制御部等などで構成されている。
前記プログラムユニットは、タッチパネル入力やキーボード入力により、画像の記録又は消去のために、レーザ光の強さ、レーザ走査の速度等の条件入力や、記録する文字等の作製及び編集を行うユニットである。
なお、前記レーザ照射ユニット、即ち、画像記録/消去用ヘッド部分は、画像処理装置に搭載されているが、該画像処理装置には、このほか、前記熱可逆記録媒体の搬送部及びその制御部、モニタ部(タッチパネル)等を有している。
以下、本発明の実施例を説明するが、本発明は、これらの実施例に何ら限定されるものではない。なお、以下において「%」は、「質量%」を示す。
(実施例1)
<製造例1 熱可逆記録媒体の作製>
熱により色調が可逆的に変化する熱可逆記録媒体を、以下のようにして作製した。
−支持体−
支持体として、厚み125μmの白濁ポリエステルフィルム(帝人デュポン株式会社製、テトロンフィルムU2L98W)を用いた。
−第1の酸素バリア層−
ウレタン系接着剤(東洋モートン社製、TM−567)5質量部、イソシアネート(東洋モートン社製、CAT−RT−37)0.5質量部、及び酢酸エチル5質量部を加え、よく攪拌して接着層用塗布液を調製した。
次に、シリカ蒸着PETフィルム(三菱樹脂製、テックバリアHX 酸素透過度:0.5mL/m/day/MPa)の上に接着層用塗布液をワイヤーバーにて塗布し、80℃にて1分間加熱及び乾燥した後、支持体に貼合せ、50℃にて24時間加熱し、厚み12μmにて、第1の酸素バリア層を形成した。
−熱可逆記録層の形成−
下記構造式(1)で表される可逆性顕色剤5質量部、下記構造式(2)及び(3)で表される2種類の消色促進剤をそれぞれ0.5質量部ずつ、アクリルポリオール50質量%溶液(水酸基価=200mgKOH/g)10質量部、及びメチルエチルケトン80質量部を、ボールミルを用いて平均粒径が約1μmになるまで粉砕分散した。
次に、前記可逆性顕色剤を粉砕分散させた分散液に、前記ロイコ染料としての2−アニリノ−3−メチル−6ジブチルアミノフルオラン1質量部、1%のフタロシアニン系光熱変換材料(株式会社日本触媒製、IR−14)2.2質量部、イソシアネート(日本ポリウレタン株式会社製、コロネートHL)5質量部、0.1%の2,4,5-トリフェニルイミダゾールを2.4質量部添加し、よく撹拌させて熱可逆記録層用塗布液を調製した。
得られた熱可逆記録層用塗布液を、前記第1の酸素バリア層上に、ワイヤーバーを用いて塗布し、100℃にて2分間乾燥した後、60℃にて24時間キュアーを行って、厚み12μmの熱可逆記録層を形成した。
−紫外線吸収層−
紫外線吸収ポリマーの40質量%溶液(日本触媒社製、UV−G300)10質量部、イソシアネート(日本ポリウレタン社製、コロネートHL)1.5質量部、及びメチルエチルケトン12質量部を加え、よく攪拌して紫外線吸収層用塗布液を調製した。
次に、前記記録層が形成された支持体に、前記紫外線吸収層用塗布液をワイヤーバーにて塗布し、90℃にて1分間加熱及び乾燥した後、60℃にて24時間加熱し、厚み2μmの紫外線吸収層を形成した。
更に、ここでは紫外線吸収層上に第2の酸素バリア層を設置した。
−第2の酸素バリア層−
ウレタン系接着剤(東洋モートン社製、TM−567)5質量部、イソシアネート(東洋モートン社製、CAT−RT−37)0.5質量部、及び酢酸エチル5質量部を加え、よく攪拌して接着層用塗布液を調製した。
次に、シリカ蒸着PETフィルム(三菱樹脂製、テックバリアHX 酸素透過度:0.5ml/m2/day/MPa)の上に接着層用塗布液をワイヤーバーにて塗布し、80℃にて1分間加熱及び乾燥した後、前記紫外線吸収層に貼合せ、50℃にて24時間加熱し、厚み12μmにて、第2の酸素バリア層を形成した。
以上により、実施例1における熱可逆記録媒体を作製した。
(実施例2)
実施例1において、0.1%の2,4,5-トリフェニルイミダゾールを2.4質量部の代わりに0.012質量部添加した以外は、実施例1と同様にして、実施例2における熱可逆記録媒体を作製した。
(実施例3)
実施例1において、0.1%の2,4,5-トリフェニルイミダゾールを2.4質量部の代わりに0.06質量部添加した以外は、実施例1と同様にして、実施例3における熱可逆記録媒体を作製した。
(実施例4)
実施例1において、0.1%の2,4,5-トリフェニルイミダゾールを2.4質量部の代わりに10%の2,4,5-トリフェニルイミダゾール1,2質量部添加した以外は、実施例1と同様にして、実施例4における熱可逆記録媒体を作製した。
(実施例5)
実施例1において、0.1%の2,4,5-トリフェニルイミダゾールを2.4質量部の代わりに10%の2,4,5-トリフェニルイミダゾール2.16質量部添加した以外は、実施例1と同様にして、実施例5における熱可逆記録媒体を作製した。
(実施例6)
実施例1において、0.1%の2,4,5-トリフェニルイミダゾールを2.4質量部の代わりに10%の2,4,5-トリフェニルイミダゾール2.88質量部添加した以外は、実施例1と同様にして、実施例6における熱可逆記録媒体を作製した。
(実施例7)
実施例1において、0.1%の2,4,5−トリフェニルイミダゾールを2.4質量部添加することに代えて、0.1%の4,5−ジフェニルイミダゾールを1.78質量部添加したこと以外は、実施例1と同様にして、実施例7おける熱可逆記録媒体を作製した。
(実施例8)
実施例1において、0.1%の2,4,5−トリフェニルイミダゾールを2.4質量部添加することに代えて、0.1%のイミダゾールを0.56質量部添加したこと以外は、実施例1と同様にして、実施例8における熱可逆記録媒体を作製した。
(実施例9)
実施例1において、0.1%の2,4,5−トリフェニルイミダゾールを2.4質量部添加することに代えて、0.1%の5,6−ジメチルベンゾイミダゾールを1.17質量部添加したこと以外は、実施例1と同様にして、実施例9における熱可逆記録媒体を作製した。
(実施例10)
実施例1において、0.1%の2,4,5−トリフェニルイミダゾールを2.4質量部添加することに代えて、0.1%の2−フェニルイミダゾールを1.16質量部添加したこと以外は、実施例1と同様にして、実施例10における熱可逆記録媒体を作製した。
(比較例1)
実施例1において、0.1%の2,4,5-トリフェニルイミダゾールを添加しないこと以外は、実施例1と同様にして、比較例1における熱可逆記録媒体を作製した。
(比較例2)
実施例1において、0.1%の2,4,5-トリフェニルイミダゾールを2.4質量部の代わりに0.1%のN,N,N’,N’−テトラメチルベンジジンを1.93質量部添加した以外は、実施例1と同様にして、比較例2における熱可逆記録媒体を作製した。
(比較例3)
実施例1において、0.1%の2,4,5-トリフェニルイミダゾールを2.4質量部の代わりに0.1%の2,3-ジフェニルキノクサリンを2.25質量部添加した以外は、実施例1と同様にして、比較例3における熱可逆記録媒体を作製した。
−結果及び評価1−
<耐光性評価>
下記方法で得られた熱可逆記録媒体について、セリック株式会社製人工太陽光照射装置を用いて、30℃80%RH、100klxの条件で6時間光照射した。人工太陽光照射後の熱可逆記録媒体の吸光度(波長808nm)を分光光度計(株式会社日立ハイテクノロジーズ社製、U−4100)により測定した。ここでは吸収変化率を下記の式で求めた。
・ 吸収変化率(%)=100−(人工太陽光照射後の808nmの吸収度/人工太陽光照射前の808nmの吸収度)×100
<画像濃度>
耐光性評価後の熱可逆記録媒体に対して、LIMO社製半導体レーザLIMO25-F100-DL808(中心波長:808nm)により、照射距離152mm、出力8W、線速1000mm/sとなるように調整して、直線にレーザ光を走査して画像を形成した。
形成した画像濃度の測定を、次の方式で行った。グレースケール(Kodak社製)をスキャナー(キャノン社製 Canoscan4400)で取り込み、得られたデジタル階調値と反射濃度計(マクベス社製 RD−914)で測定した濃度値との間で相関を取り、形成した画像を前記スキャナーで取り込んで得られたデジタル階調値を濃度値に変換して画像濃度値とした。
以上の結果を下記表1に示す。
(実施例11)
<製造例2 熱可逆記録媒体の作製>
熱により色調が可逆的に変化する熱可逆記録媒体を、以下のようにして作製した。
−支持体−
支持体として、厚み125μmの白濁ポリエステルフィルム(帝人デュポン株式会社製、テトロンフィルムU2L98W)を用いた。
−第1の酸素バリア層−
ウレタン系接着剤(東洋モートン社製、TM−567)5質量部、イソシアネート(東洋モートン社製、CAT−RT−37)0.5質量部、及び酢酸エチル5質量部を加え、よく攪拌して接着層用塗布液を調製した。
次に、シリカ蒸着PETフィルム(三菱樹脂製、テックバリアHX 酸素透過度:0.5mL/m/day/MPa)の上に接着層用塗布液をワイヤーバーにて塗布し、80℃にて1分間加熱及び乾燥した後、前記支持体に貼合せ、50℃にて24時間加熱し、厚み12μmにて、第1の酸素バリア層を形成した。
−熱可逆記録層1の形成−
製造例1と同じ熱可逆記録層用塗布液を、前記第1の酸素バリア層上に、ワイヤーバーを用いて塗布し、100℃にて2分間乾燥した後、60℃にて24時間キュアーを行って、厚み6μmの熱可逆記録層1を形成した。
−光熱変換層−
フタロシアニン系光熱変換材料(株式会社日本触媒製、IR−14)の1質量%溶液を4.5質量部、アクリルポリオール40質量%溶液(水酸基価=200mgKOH/g)3.6質量部、0.1%の2,4,5−トリフェニルイミダゾールを4.8質量部及びメチルエチルケトン3.8質量部、架橋剤としてイソシアネート(商品名コロネートHL、日本ポリウレタン社製)1.7質量部をよく攪拌し、光熱変換層塗布液を作製した。得られた光熱変換層用塗布液を、前記記録層上に、ワイヤーバーを用いて塗布し、加熱及び乾燥した後、60℃にて24時間キュアーを行って、厚さ4μmの光熱変換層を形成した。
−熱可逆記録層2の形成−
熱可逆記録層1と同じ熱可逆記録層用塗布液を、前記光熱変換層上に、ワイヤーバーを用いて塗布し、100℃にて2分間乾燥した後、60℃にて24時間キュアーを行って、厚み6μmの熱可逆記録層2を形成した。
−紫外線吸収層−
紫外線吸収ポリマーの40質量%溶液(日本触媒社製、UV−G300)10質量部、イソシアネート(日本ポリウレタン社製、コロネートHL)1.5質量部、及びメチルエチルケトン12質量部を加え、よく攪拌して紫外線吸収層用塗布液を調製した。
次に、前記記録層が形成された支持体に、前記紫外線吸収層用塗布液をワイヤーバーにて塗布し、90℃にて1分間加熱及び乾燥した後、60℃にて24時間加熱し、厚み2μmの紫外線吸収層を形成した。
更に、ここでは紫外線吸収層上に第2の酸素バリア層を設置した。
−酸素バリア層−
ウレタン系接着剤(東洋モートン社製、TM−567)5質量部、イソシアネート(東洋モートン社製、CAT−RT−37)0.5質量部、及び酢酸エチル5質量部を加え、よく攪拌して接着層用塗布液を調製した。
次に、シリカ蒸着PETフィルム(三菱樹脂製、テックバリアHX 酸素透過度:0.5mL/m/day/MPa)の上に接着層用塗布液をワイヤーバーにて塗布し、80℃にて1分間加熱及び乾燥した後、前記紫外線吸収層に貼合せ、50℃にて24時間加熱し、厚み12μmにて、第2の酸素バリア層を形成した。
以上により、実施例11における熱可逆記録媒体を作製した。
(比較例4)
実施例11において、0.1%の2,4,5−トリフェニルイミダゾールを添加しないこと以外は、実施例11と同様にして、比較例4における熱可逆記録媒体を作製した。
−結果及び評価2−
<画像形成>
実施例11、比較例4における記熱可逆記録媒体に対して、LIMO社製半導体レーザLIMO25-F100-DL808(中心波長:808nm)により、照射距離152mm、出力10.6W、線速1,000mm/sとなるように調整して、0.3mmの間隔で直線状にレーザ光を走査して画像を形成した。
<画像消去>
実施例11、比較例4における熱可逆記録媒体に対して、LIMO社製半導体レーザLIMO25-F100-DL808(中心波長:808nm)により、照射距離195mm、出力16.5W、線速500mm/s、スポット径3.0mmとなるように調整して、0.5mmの間隔で直線状にレーザ光を走査して画像を消去した。
<繰り返し画像処理>
実施例11、比較例4における熱可逆記録媒体に対して、上記画像形成、画像消去条件で画像処理を行い、繰り返し画像処理1,000回行った。ここで、画像処理は画像形成・画像消去の順に行い、画像形成・画像消去を1回ずつ行った時に繰り返し回数を1回とした。
<耐光性評価>
繰り返し画像処理1,000回後の熱可逆記録媒体について、セリック株式会社製人工太陽光照射装置を用いて、30℃80%RH、100klxの条件で150時間光照射した。人工太陽光照射後の熱可逆記録媒体の吸光度(波長808nm)を分光光度計(株式会社日立ハイテクノロジーズ社製、U−4100)により測定した。ここでは吸収変化率を下記の式で求めた。
・ 吸収変化率(%)=100−(人工太陽光照射後の808nmの吸収度/人工太陽光照射前の808nmの吸収度)×100
<画像濃度>
耐光性評価後の熱可逆記録媒体に対して、LIMO社製半導体レーザLIMO25-F100-DL808(中心波長:808nm)により、照射距離152mm、出力7W、線速1,000mm/sとなるように調整して、直線にレーザ光を走査して画像を形成した。
形成した画像濃度の測定を、次の方式で行った。グレースケール(Kodak社製)をスキャナー(キャノン社製 Canoscan4400)で取り込み、得られたデジタル階調値と反射濃度計(マクベス社製 RD−914)で測定した濃度値との間で相関を取り、形成した画像を前記スキャナーで取り込んで得られたデジタル階調値を濃度値に変換して画像濃度値とした。
以上の結果を下記表2に示す。
本発明の熱可逆記録媒体及び該熱可逆記録媒体を用いた画像処理方法は、耐光性に優れ、物流・配送システムに好適に使用可能である。
1 レーザ発振器
2 ビームエキスパンダ
3 マスクまたは非球面レンズ
4 ガルバノメータ
4A ガルバノミラー
5 スキャニングユニット
6 fθレンズ
7、100、200 熱可逆記録媒体
81 ICチップ
82 アンテナ
85 RF−IDタグ
101、201 支持体
102、202 第1の酸素バリア層
103 熱可逆記録層
104、204 紫外線吸収層
105、205 第2の酸素バリア層
150、250 光熱変換記録層
203 第1の熱可逆記録層
206 光熱変換層
207 第2の熱可逆記録層
特開2000−136022号公報 特開平5−8537号公報 特開2008−254363号公報 特開2005−238746号公報 特開2006−88645号公報

Claims (10)

  1. 支持体上に電子供与性呈色性化合物であるロイコ染料と、電子受容性化合物である可逆性顕色剤とを含有し熱により色調が可逆的に変化する熱可逆記録層を含む光熱変換記録層を有し、前記光熱変換記録層に特定波長の光を吸収して熱に変換する光熱変換材料を含有する熱可逆記録媒体であって、イミダゾール系化合物を含有することを特徴とする熱可逆記録媒体。
  2. 光熱変換記録層にイミダゾール系化合物を含有する請求項1に記載の熱可逆記録媒体。
  3. イミダゾール系化合物の総含有量が、光熱変換材料1.0molに対して0.01mol〜100molである請求項1から2のいずれかに記載の熱可逆記録媒体。
  4. 光熱変換材料が、700nm〜1,500nmの波長範囲内に光の吸収ピークを有する請求項1から3のいずれかに記載の熱可逆記録媒体。
  5. 支持体と光熱変換記録層との間に、酸素バリア層を有する請求項1から4のいずれかに記載の熱可逆記録媒体。
  6. 光熱変換記録層上に、酸素バリア層を有する請求項1から5のいずれかに記載の熱可逆記録媒体。
  7. 酸素バリア層の酸素透過度が、20mL/m/day/MPa以下である請求項5から6のいずれかに記載の熱可逆記録媒体。
  8. 光熱変換記録層上に、紫外線吸収層を有する請求項1から7のいずれかに記載の熱可逆記録媒体。
  9. 請求項1から8のいずれかに記載の熱可逆記録媒体における光熱変換記録層に対し、特定波長のレーザ光を照射して加熱することにより該熱可逆記録媒体に画像を記録する画像記録工程、及び、前記光熱変換記録層に対し特定波長のレーザ光を照射して加熱することにより前記熱可逆記録媒体に記録された画像を消去する画像消去工程の少なくともいずれかを含むことを特徴とする画像処理方法。
  10. レーザ光源が、YAGレーザ光、ファイバーレーザ光、及び半導体レーザ光のいずれかである請求項9に記載の画像処理方法。
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