JP2011097242A - 音響変調装置、送信装置および音響通信システム - Google Patents

音響変調装置、送信装置および音響通信システム Download PDF

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Abstract

【課題】状況に応じて自由にキャリア信号の周波数を変化させても、安定した音響通信が可能な音響通信システムを提供する。
【解決手段】データ符号を拡散符号で拡散し、この拡散符号を差動符号化する。この差動符号をキャリア信号と乗算して周波数シフトし、符号変調信号として出力する。キャリア信号の周波数はユーザの聴感や外乱信号等に応じて切り換え可能である。受信側では、周波数シフトされた符号変調信号を差動符号1チップ分の遅延時間で遅延検波する。遅延検波によりキャリア信号の周波数にかかわらず拡散符号が復調可能である。復調された拡散符号を整合フィルタで同期を検出することにより、データ符号を復調する。
【選択図】図1

Description

この発明は、音響を用いてデータ符号を伝送する音響変調装置、送信装置および音響通信システムに関する。
音響を伝送媒体に利用する符号伝送技術としては、特許文献1に示すようなものがある。特許文献1の方式は、振幅変調を用いて音声信号にデータ符号である電子透かしを埋め込む方式である。
特開2006−251676号公報
しかし、特許文献1の方式は、振幅変調方式でデータ符号を埋め込んでいるため、受信側では振幅変調に用いられたキャリア信号の周波数が判らなければデータ符号を復調することができない。このため、放音される空間の環境等の状況に応じて送信側でキャリア信号の周波数を自由に変化させることができなかった。また、送信装置または受信装置が移動することによって放音された信号にドップラシフトが生じた場合にも受信側では信号の復調をすることができないという問題点があった。
この発明は、状況に応じて自由にキャリア信号の周波数を変化させても、安定した音響通信が可能な音響変調装置、送信装置および音響通信システムを提供することを目的とする。
請求項1の発明である音響変調装置は、データ符号で拡散符号を変調することにより、前記データ符号を拡散する拡散処理部と、前記データ符号で変調された前記拡散符号を差動符号化する差動符号化部と、複数の周波数でキャリア信号を発生するキャリア信号発生部と、前記差動符号を前記キャリア信号と乗算して周波数シフトし、符号変調信号として出力する変調部と、前記キャリア信号発生部が発生するキャリア信号の周波数を切り換える周波数切換部と、を備えたことを特徴とする。
請求項2の発明は、前記周波数切換部は、前記符号変調信号が伝送される空間で、前記キャリア信号付近の周波数のノイズを検出したとき、前記キャリア信号の周波数を異なる周波数に切り換えることを特徴とする。
請求項3の発明である送信装置は、請求項1または請求項2の音響変調装置と、該音響変調装置が出力した符号変調信号を可聴周波数帯域の音声信号とミキシングするミキシング部と、ミキシングされた合成信号を放音する放音部と、を備えたことを特徴とする。
請求項4の発明である音響通信システムは、請求項3に記載の送信装置と、
前記合成信号を入力して符号変調信号を抽出するフィルタと、前記符号変調信号を前記差動符号1チップ分の遅延時間で遅延検波する遅延検波部と、前記遅延検波された信号波形と前記拡散符号との同期を検出する同期検出部と、検出された同期点のピーク極性に基づき前記データ符号を復調する復調部と、を備えた受信装置と、
を含むことを特徴とする。
この発明では、送信するデータ符号を拡散符号で拡散処理する。拡散符号は、たとえばM系列の擬似ノイズ符号等を用いればよい。拡散することにより、環境音や他の音響信号が存在し、SN比が悪い環境でも信頼度の高いデータ符号の伝送が可能になる。また、この拡散符号を差動符号化して差動符号を生成し、この差動符号をキャリア信号により周波数シフトする。差動符号化することにより、受信側で送信側と正確に同期したクロックが無くても、且つ、キャリア信号の周波数が変化しても、符号列の各チップの符号の反転の有無を用いて元の拡散符号を復調することが可能になる。これにより、ユーザの聴感や外乱ノイズなどに応じてキャリア信号の周波数を切り換えても、受信側でそれを考慮することなくデータ符号の復調が可能になる。
以上のような手法により、変調・復調ともに、周波数領域の処理を必要としない時間領域のみの処理、すなわち少ない処理負荷で、ドップラーシフト等の周波数偏移や外乱に対して高耐性の堅牢な情報伝送が可能となる。
また、本発明では、データ符号をホワイトノイズ的な拡散符号で拡散処理して伝送しているため、耳に付きやすい正弦波を使うシングルキャリア方式や、位相・振幅の不連続によりノイズを発生するマルチキャリア方式に比べて聴感上の違和感は大幅に軽減される。さらに、変調信号を人の聴覚感度が鈍くなる高域にシフトさせ、且つ、中低音域に音響信号をミキシングすることにより、聴感上の違和感はより改善される。
この発明によれば、ユーザの聴感や外乱ノイズに応じてキャリア信号の周波数を切り換えて聴感上違和感のない音響を放音しつつ、データ符号の通信品質を確保することができる。且つ、このようにキャリア信号の周波数が切り換えられても、受信側でそれを考慮することなく安定した復調が可能な音響通信システムを実現することが可能になる。
この発明が適用される音響通信システムの送信装置、受信装置の構成を示す図 前記送信装置のデータ重畳部の構成を示す図 拡散処理および差動符号化の波形例を示す図 データ重畳部の各部のスペクトル例を示す図 前記受信装置の復調部の構成を示す図 HPFおよび遅延検波の出力波形例を示す図 LPFおよび整合フィルタの出力波形例を示す図
≪音響通信システム≫
図面を参照してこの発明の実施形態について説明する。
図1は、本発明の実施形態である音響通信システムの構成を示す図である。この音響通信システムは、送信装置1、受信装置2で構成される。送信装置1は、ユーザおよび受信装置2に向けて音響信号を放音する。音響信号は、ユーザに聞かせるべき音声信号Sと受信装置2に受信させるべきデータ符号Dを重畳した符号変調信号MDMPNを加算合成した合成信号である。音声信号Sはたとえば楽音信号などの心地よいオーディオ信号で構成される。送信装置1は、ユーザに音声信号Sを聴感上違和感なく聞かせ、受信装置2にデータ符号Dを高精度に復調させるよう、以下に説明するような方式でデータ符号Dを変調し、符号変調信号MDMPNの周波数帯域を割り当てる。
送信装置1は、データ重畳部10、アナログ回路部11およびスピーカ12を有している。データ重畳部10はデータ符号Dを拡散処理して音声信号Sの高音域に重畳する回路部である。データ重畳部10の構成および動作の詳細は後述する。
アナログ回路部11は、D/Aコンバータおよびオーディオアンプを含み、データ重畳部10から出力されたデジタルの合成信号をアナログ信号に変換し、増幅してスピーカ12に供給する。スピーカ12は、アナログ回路部11から入力された合成信号を音響として放音する。放音された合成信号音は空間を伝搬して受信装置2のマイク22へ到達する。
受信装置2は、マイク22、アナログ回路部23、復調部21を有している。アナログ回路部23は、マイク22が収音した音響信号を増幅するアンプ、オーディオ信号をデジタル信号に変換するA/Dコンバータを有している。復調部21は、収音した音響信号に含まれている符号変調信号MDMPNを検出し、その符号変調信号MDMPNに重畳されているデータ符号Dを復調する回路部である。復調部21の構成および動作の詳細は後述する。
≪データ重畳部≫
図2(A)は、送信装置1のデータ重畳部10の構成例を示す図である。音声信号入力部31から入力された音声信号Sは、LPF32によって高域がカットされる。LPF32のカットオフ周波数は、聴感と符号変調信号MDMPNに割り当てる帯域幅に基づいて決定される。カットオフ周波数を低くしすぎると音質が劣化する。逆に、LPF32のカットオフ周波数を高くしすぎると、符号変調信号MDMPNの帯域を広くすることができず、データ符号Dの伝送品質が低下する。したがって、LPF32のカットオフ周波数は、LPF32を通過させた音声信号Sの聴感評価および要求される符号変調信号MDMPNの帯域幅等を考慮して決定される。なお、音声信号Sが中低音帯域のみに周波数成分を有し、高音帯域に成分が存在しないような信号の場合には、LPF32は省略してもよい。
LPF38で高域をカットされた音声信号Sはゲイン調整部33によって利得が調整されたのち加算器34に入力される。
データ符号入力部35はデータ符号Dを入力する。拡散符号発生部36は拡散符号を発生する。拡散符号としては、M系列等の一定の巡回周期を持つ擬似乱数符号列PNが用いられる。データ符号入力部35から入力されるデータ符号Dは、1シンボル周期が拡散符号PNの1巡回周期と一致するように周期が調整される。
乗算器37は、データ符号Dと拡散符号PNとを乗算する。一般的に拡散と呼ばれる処理である。この拡散処理により、データ符号Dの値(1/0)によって拡散符号PNが巡回周期毎に位相変調されるとともに、データ符号Dの周波数スペクトルが拡散される。
乗算器37によりデータ符号Dで変調された拡散符号MPNは、差動符号化部38によって差動符号DMPNに変換される。差動符号化処理は、拡散符号MPNの各チップの値をその絶対値から前チップからの変化を表す値に置き換える処理である。この差動符号化により、受信側(後で詳述)において、送信側に正確に同期したクロックが無くても、遅延検波を用いて高精度にシンボルを復調することができる。
図2(B)は差動符号化部38の例を示す図である。差動符号化部38は、拡散符号MPNが入力されるXOR回路45と、XOR回路45の出力を1チップ遅延してXOR回路45の他方の入力端子に戻す1チップ遅延回路46で構成されている。XOR回路45の出力を1チップ遅延してフィードバックすることにより、XOR回路45は、入力された拡散符号MPNとXOR回路45の1クロック前の出力との比較結果を差動符号DMPNとして出力する。すなわち、拡散符号MPNでは、各チップがそのチップの絶対値を表しているが、差動符号DMPNでは、各チップが、拡散符号MPNのそのチップの絶対値と直前の差動符号のチップとの位相変化の有無を示す値に置き換えられる。これにより、受信側において、連続する2チップを比較することにより位相変化の有無を判定することができ、この判定結果に基づいて拡散符号MPNを復元することができる。
図3に、上記拡散処理、差動符号化処理されたデータ符号D、拡散符号PN,変調された拡散符号MPN,差動符号化された拡散符号DMPNの波形例を示しておく。同図(A)が拡散符号発生部36が発生した拡散符号PNである。同図(B)がデータ符号入力部35によって入力されたデータ符号Dである。同図(C)がデータ符号Dで巡回周期ごとに位相変調された拡散符号MPNである。同図に示すデータ符号Dは“10”であるため、拡散符号MPNの1周期目は位相が正転、2周期目は位相が反転している。同図(D)は変調された拡散符号MPNを差動符号化した符号列である差動符号DMPNである。この符号列は、拡散符号MPNの各チップの値と直前のチップの差動符号DMPNの値との比較結果(排他的論理和)による値である。なお、ここで、差動符号DMPNは、0/1のデータ列から−1/1の信号に変換される。
なお、この実施形態では、拡散符号発生部36、乗算器37、差動符号化部38を設けて、データ符号Dを拡散、差動符号化しているが、変調された拡散符号MPNまたは差動符号DMPNをROM等のメモリに記憶しておき、入力されたデータ符号Dに対応したものを読み出すようにしてもよい。これにより、変調器の構成を簡素化することができる。すなわち、データ符号Dが表す各シンボルで変調された拡散符号MPNまたは差動符号DMPNを各シンボル(1巡回周期分)単位でメモリに記憶しておく。このシンボル単位の符号を変調信号素片と呼ぶ。入力されたデータ符号Dに応じてこの素片を読み出して連結し、符号列として出力する。素片の単位は1シンボル単位でなくても、2シンボル、4シンボル等々複数シンボル単位でも構わない。また、差動符号化を採用する場合、素片の符号パターンは前シンボルの影響を受けるため、前シンボルの内容に対応した複数パターンの変調信号素片を用意しておき、差動符号化に対応するように素片を選択し接続すればよい。このように、この方式では予め用意した素片データを接続して出力すればよいので拡散符号の生成、変調、差動符号化等の信号処理が不要となり、非常に軽い負荷でデータ重畳部10を構成することができる。
差動符号DMPNは、アップサンプリング部39に入力される。アップサンプリング部39は、入力された信号をアップサンプリングする。拡散符号発生部36が発生した拡散符号PNのチップレートとこのアップサンプリング部39におけるアップサンプリング率により、送信(放音)される拡散符号のチップレートおよび帯域幅が決定される。
アップサンプリング処理後の信号は、LPF40に入力される。LPF40は、ベースバンド信号の帯域を制限し、チップ間干渉を抑制しつつベースバンド信号の帯域を制限するフィルタでありナイキストフィルタと呼ばれるものである。ナイキストフィルタは、インパルス応答がシンボル・レートでリングする(0を通過する)特性を有するフィルタであり、一般的にコサイン・ロールオフ・フィルタと呼ばれるFIRフィルタで構成される。フィルタの次数、ロールオフ率α等は、適用する条件等に応じて決定すればよい。
なお、この実施形態では、受信側においてもフィルタリング(LPF54)を行うため、このLPF40と受信側のLPF54で完全なナイキストフィルタとなるように、それぞれが、ルートレイズド・コサイン・ロールオフ・フィルタで構成される。
LPF40によって帯域制限、波形整形された差動符号DMPNは乗算器42においてキャリア(搬送波)信号と乗算され符号変調信号MDMPNとされる。符号変調信号は、キャリア信号をアップサンプリングされた差動符号DMPNでAM変調した信号であり、これにより、差動符号DMPNはオーディオ帯域中の高域(十数キロHzの帯域)へ周波数シフトされる。乗算器42には、切換部44を介してキャリア信号発生部41A,41Bが接続されている。切換部44は、ユーザによる外部スイッチ47の操作によってキャリア信号発生部41A/41Bのいずれかに切り換えられる。
キャリア信号発生部41Aが発生するキャリア信号faはたとえば14kHz程度であり、発振器41Bが発生するキャリア信号fbの周波数はfaよりも若干高く、たとえば16kHz程度である。キャリア信号の周波数は任意であるが、周波数シフトされた拡散符号DMPNすなわち符号変調信号MDMPNの帯域がLPF32のカットオフ周波数以上で、スピーカ、マイク等の音響機器の可動周波数帯域の範囲に納まるように設定する。音響機器の特性を考慮して通常は周波数の低いキャリア信号faを用いる。
ただし、人の聴覚にはばらつきがあり、キャリア信号faを変調した符号変調信号MDMPNが聴こえてしまうユーザもいる。このような場合、ユーザは、外部スイッチ47を操作してキャリア信号発生部41Bを選択してキャリア信号をfbに切り換え、符号変調信号MDMPNの周波数帯域をより高域にシフトすることができる。これにより、符号変調信号MDMPNを可聴周波数の上限よりも高くして、ユーザが聴き取る音声信号Sに聴感上の違和感が生じないようにすることができる。
また、送信装置1、受信装置2が使用される環境において、キャリア信号faの周波数付近に外乱信号が定常的に発生している場合がある。たとえばエアコンなどのモーターノイズや旧式のCRTモニタの偏向信号などである。このような場合には、ユーザが外部スイッチ47を操作してキャリア信号をfb切り換えるか、または、図2(C)に示すような、マイク48を備えた外乱信号検出部49を切換部44に接続し、外乱信号検出部49がキャリア信号faの周波数付近に定常的な外乱信号を検出した場合には、切換部44をキャリア信号発生部41B側に切り換えるようにすればよい。
高域へ周波数シフトされた符号変調信号MDMPNはゲイン調整部43によってゲイン調整されたのち、加算器34で音声信号Sと加算合成され、合成信号として出力される。ゲイン調整部43のゲインは、適用する環境やシステムで許される放音音圧レベル、要求される伝播距離、聴感評価、選択されたキャリア信号(fa/fb)の周波数等に基づいて決定すればよい。
また、ゲイン調整部43のゲインを、LPF32から出力れる音声信号Sのレベルに応じて適応的に制御してもよい。例えば、音声信号Sのレベルが大きい場合には、マスキング効果が期待できるので符号変調信号MDMPNのレベルも上げて雑音に対して利得を上げ、音声信号Sのレベルが小さい場合には、音声信号Sの聴感が悪化しないように変調信号のレベルを下げると言う制御をしてもよい。
また、選択されたキャリア信号(fa/fb)の周波数に連動させてゲイン調整部43のゲインを制御する場合、人間の聴覚しきい値は周波数が高くなるほど大きくなるので、低いほうのキャリア周波数faが選択された場合にはゲインを若干小さくし、高いほうのキャリア周波数fbが選択された場合にはゲインを大きくすればよい。
キャリア信号fa/fbのいずれが選択されるかにより、合成信号の周波数スペクトルは図4(A)、(B)のように変化する。同図(A)はキャリア信号faが選択された場合を示し、同図(B)はキャリア信号fbが選択された場合を示す。同図(B)の場合は、同図(A)の場合よりも符号変調信号MDMPNの周波数帯域が高くなってユーザに聴き取られにくくなっているが、全体の周波数帯域が広がっており、スピーカ・マイク等の特性により信号品質が劣化するおそれがある。したがって、キャリア周波数は、聴感、外乱、および、スピーカ、マイク等のオーディオ機器の周波数特性を考慮して選択すればよい。
≪復調部≫
図5は、受信装置2の復調部21の構成例を示す図である。復調部21には、マイク22で収音され、アナログ回路部23でA/D変換された合成信号が入力される。入力された合成信号は、HPF51に入力される。HPF51は合成信号から音声信号Sの成分を除去し、キャリア信号で周波数シフトされた拡散信号である符号変調信号MDMPNの成分を取り出すためのフィルタである。HPF51のカットオフ周波数は、送信装置1のLPF32のカットオフ周波数と同じ、または、若干それよりも高く設定すればよい。これにより、符号変調信号MDMPNがキャリア信号fa/fbのいずれで周波数シフトされていても、その信号を音声信号Sから分離・抽出することができる。
HPF51によって抽出された符号変調信号MDMPNは、遅延器52および乗算器53に入力される。遅延器52の遅延時間は、送信側においてアップサンプリングされた拡散符号の1チップ分の時間に設定されている。たとえば、N倍にアップサンプリングされている場合には、遅延器52は拡散符号1チップに相当するNサンプル分を遅延させる。乗算器53は、HPF53の1チップ分のサンプルと、遅延器52の1チップ分のサンプルとを乗算する。この処理が上述した遅延検波処理である。この遅延検波処理によって、差動符号化され周波数シフトされた符号変調信号MDMPNが、元の拡散符号MPNを含む信号に変換される。
図6(A)にHPF51の出力波形例、図6(B)に乗算器53の出力波形例を示す。同図(A)の波形では、キャリア信号の包絡線が、LPF40で帯域制限された(滑らかな波形に変形された)差動符号DMPNの形状になっている。一方、同図(B)の波形では、キャリア信号の包絡線が、データ符号Dで変調された拡散符号MPNの形状になっている。
この包絡線波形は、キャリア信号の周波数に関係なく、同じように現れる。したがって、送信側でキャリア信号がfa/fbのどちらに切り換えられていても受信側ではそれを考慮することなく遅延検波を行えば拡散符号MPNを復調することが可能である。このように、遅延検波は、復調時にキャリア信号の再生を必要としない点が特徴である。したがって、送信側に差動符号化、受信側に遅延検波を採用することにより、キャリア信号の周波数をシフトした場合は勿論、送信装置1、受信装置2の移動によるドップラシフト等でキャリア周波数が変動した場合にも柔軟に対応でき、処理負荷も少ない通信システムを構築することが可能になる。
なお、この図に示した遅延器52、乗算器53による遅延検波で復号された符号波形は、送信側の差動符号化部38で差動符号化される前の符号波形と正負が反転している。正負が反転した信号として取り扱えば問題ないが、必要に応じてインバータ等を挿入してもよい。
乗算器53の乗算出力は、LPF54に入力される。LPF54は、キャリア成分をフィルタリングしてベースバンド信号を抽出するとともに、余計な雑音をフィルタリングしてSN比を向上させるためのフィルタであり、送信側で使用したLPF(ナイキストフィルタ)40と同様の特性のものである。なお、上述したように、変調部のLPF40とこのLPF54とを合わせて完全なナイキストフィルタ特性となるようにそれぞれルート特性のフィルタとされている。
図7(A)はLPF54の出力波形の一例を示す図である。なお、この出力波形と図6に示した波形とは切り出し箇所が異なっており、波形は一致しない。
LPF54の出力は、整合フィルタ55へ入力される。整合フィルタ55は、送信側でデータ符号の拡散に使用した拡散符号PNを係数に持つFIRフィルタで構成される。係数に使用する拡散符号PNのチップレートは、送信側におけるアップサンプリング後のチップレートと同じである。すなわち、同じ拡散符号PNの同じ符号が、整合フィルタ55において、アップサンプリング率分(アップサンプリング率がNならN回)繰り返すことになる。
整合フィルタ55は、図7(A)に示すLPF54の出力波形と拡散符号PNとの畳み込み演算を実行し、LPF54の出力波形と拡散符号PNとの相関値を出力する。図7(B)は整合フィルタ55の出力波形の一例を示す図である。伝送路で受けた妨害や雑音は、拡散符号とは相関が低いため、整合フィルタが出力する相関値に大きな影響を与えない。よって、拡散処理により、外乱に強い伝送が可能となる。
相関値は、拡散符号PNの周期で強い相関ピークを示し、そのピークの位相は、送信シンボルによって位相変調されているため、送信シンボルの1、−1に対応して、正のピーク、負のピークが現れる。整合フィルタ55の出力は、ピーク検出部56へ入力される。ピーク検出部56は、拡散符号PNの周期付近の大きなピークを検出し、相関ピークとする。検出された相関ピークは、符号判定部57へ入力される。符号判定部57は、ピーク位相からシンボルを復号し、これをデータ符号Dとして出力する。
≪尚書き≫
上記実施形態では、エラー訂正符号の付加等については記載していないが、送信装置側でエラー訂正やインターリーブ等を使用した場合には、受信装置側で、受信シンボルに対してそれらの処理を追加すればよい。
なお、上記実施形態では、キャリア信号と差動符号DMPNとの乗算を実数領域の演算で行っているが、ヒルベルト変換によりキャリア信号を複素数に変換し、複素領域での乗算で差動符号DMPNの帯域シフトをしてもよい。その場合、シフト後の変調信号帯域は単側波帯となる。
上記実施形態において、選択可能なキャリア信号の数は2に限定されない。また、無段階で自由な周波数に変化可能にしてもよい。キャリア信号の周波数すなわち変調帯域の周波数を上げると、マイク、スピーカの周波数特性の高域劣化の影響を受けやすくなるため、ユーザが聴感上の違和感を感じない範囲できめ細かくキャリア周波数を選択できたほうが伝搬品質と聴感改善のバランスがとれた良い結果を得ることができる。
1 受信装置
2 送信装置
10 データ重畳部
21 復調部
32 LPF
37 乗算器(拡散処理)
38 差動符号化部
41A,41B キャリア信号発生部
42 乗算器(変調部)
44 切換部
47 外部スイッチ
49 外乱信号検出部
52 遅延部
53 乗算器

Claims (4)

  1. データ符号で拡散符号を変調することにより、前記データ符号を拡散する拡散処理部と、
    前記データ符号で変調された前記拡散符号を差動符号化する差動符号化部と、
    複数の周波数でキャリア信号を発生するキャリア信号発生部と、
    前記差動符号を前記キャリア信号と乗算して周波数シフトし、符号変調信号として出力する変調部と、
    前記キャリア信号発生部が発生するキャリア信号の周波数を切り換える周波数切換部と、
    を備えた音響変調装置。
  2. 前記周波数切換部は、前記符号変調信号が伝送される空間で、前記キャリア信号付近の周波数のノイズを検出したとき、前記キャリア信号の周波数を異なる周波数に切り換える請求項1に記載の音響変調装置。
  3. 請求項1または請求項2の音響変調装置と、
    該音響変調装置が出力した符号変調信号を可聴周波数帯域の音声信号とミキシングするミキシング部と、
    ミキシングされた合成信号を放音する放音部と、
    を備えた送信装置。
  4. 請求項3に記載の送信装置と、
    前記合成信号を入力して符号変調信号を抽出するフィルタと、前記符号変調信号を前記差動符号1チップ分の遅延時間で遅延検波する遅延検波部と、前記遅延検波された信号波形と前記拡散符号との同期を検出する同期検出部と、検出された同期点のピーク極性に基づき前記データ符号を復調する復調部と、を備えた受信装置と、
    を含む音響通信システム。
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